恋 「チビ、どうしてそんなに大きくなっちゃったんですか?」
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チビ「なんでやろなあ」
サヤ「真面目にやってきたからですよ」 チビ 「なんでやなぁ」
すみれ 「真面目にやってきたからよ」
チビ 「ふっ」
すみれ 「ね?」 キラン
チビ 「ふっふっふっ」
千砂都 「真面目がいちばん」 かのん 「って犬が喋ってるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅーーーーーー!?」
かのん 「え? みんな、えっ!? 犬が喋ってるんだけど」
チビ 「犬にも喋る権利はあるんと思うんやけど」
恋 「そうですよ、かのんさん。チビが可哀想じゃないですか……ってチビが喋ってるぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」
すみれ 「そんな驚くことないじゃない。ショービジネスの世界では常識よ。どうせグソクムシみたいに中に人が入ってて……って着ぐるみじゃなく本物のチビぃぃぃぃぃぃぃ!?」 千砂都 「みんなどうしたの? チビが喋るなんて夢があっていいじゃん。とりあえず気にしないで話を丸く収めようよ」
かのん 「いや気にしないのは無理だよ!? あ、そっか! どっかで可可ちゃんが悪戯でもしてるんでしょ! チビにスピーカーでも付けて!」
可可 「可可は何もしてマセンヨ? その内容のssは先駆者がいますシ。あのssスキデス」
かのん 「ssってなんのこと!?」
すみれ 「じゃあ、チビは本当に喋れるようになったってわけ!?」 チビ 「恋ちゃんと喋りたくてなぁ」
恋 「チビ……! そんな嬉しいことを言ってくれるなんて……涙が止まりません……!」 ポロポロ
可可 「スバラシイイヌノヒト! 可可、あまりの愛に感動してしまいマシタ!!」 ナデナデ
チビ 「わふっ!」
千砂都 「あ、チビ嬉しそうだよ。やっぱり喋れるようになっても、頭を撫でられたら嬉しいんだなぁ」
かのん 「じゃあ私も撫でちゃう!」 ナデナデ
チビ 「わふっ!」 千砂都 「かのんちゃんが撫でるなら私も!」 ナデナデ
チビ 「わふっ!」
恋 「ふふ。チビ、こんな私のために喋れるようになってくれてありがとう」 ナデナデ
チビ 「わふっ!」
すみれ 「可愛いとこあるじゃない」 ナデナデ
チビ 「あんた手ごつくてちょっと痛いんやけど」
すみれ 「なんでよっ!!」 かのん 「それにしても、こんなことあるんだねぇ」
千砂都 「夢があっていいよね」
可可 「チビ、ふわふわして可愛いデスゥ」 ポワーン
すみれ 「そういえば今日はあのメイドさん、サヤさん、だったっけ? いないの?」
恋 「あれ、さっきまでいたはずですが……そういえば見当たりませんね。どこに行ったんでしょう」 可可 「サヤさんいない……チビ喋るように……ま、マサカ!?」
すみれ 「どうしたの?」
可可 「可可、日本のマンガでこのような展開見たことアリマス……!」
可可 「このチビの中にサヤさんが……!」
チビ 「……君のような勘のいいガキは嫌いだよ」
恋 「そんな!? サヤさんが……!?」
かのん 「いやそもそも、そのセリフはチビが言うセリフじゃないでしょ」 サヤ 「お嬢様。紅茶を用意してきて参りました」 ガチャ
恋 「サヤさん……! 無事だったんですね……!」 タタタ
サヤ 「はい?」
恋 「あなたがいなくなったと思うと、わたくしとてもつらくて……!」 ダキッ
サヤ 「お、お嬢様!?///」
恋 「帰ってきてくれて、嬉しい」 グスッ サヤ 「この人生に一片の悔いなし」 ポタポタ
すみれ 「うわっ!? メイドさん、鼻血出てるわよ!?」
可可 「紅茶に入らないようにシナクテハ」 スッ
すみれ 「あんた冷静ね……」
サヤ 「はっ! 私としたことが! 申し訳ありませんっ!」 恋 「いえ、良いのです。それよりも、立ちながら鼻血がポタポタ出るなんて、そこまでの重労働をさせていたということ……わたくしはあなたになんてひどいことを」
サヤ (って思ったより重く受け取られてるっ!? ただの鼻血なのに!)
サヤ 「違うのです、お嬢様……!」
恋 「いえ、違くないのです。サヤさん」
サヤ 「あ、あの、本当に私は疲れてなんか……!」
恋 「こんなときまで気を遣ってくれるなんて、あなたは本当に……やはり、このままこんな職場で働かせるわけには」 かのん 「た、た、た、大変だよ!」
かのん (このままじゃ勘違いで、サヤさんが引退しちゃうよぉぉぉ〜!!)
チビ 「すれ違い漫才は面白いなぁ」 ポリポリ
かのん 「って普通に鑑賞してるぅぅぅぅぅーーーー!?」
かのん 「チビ! 一応二人のご主人様のピンチなんだよ!? 呑気にだらけてる場合じゃないよ!」
チビ 「あっ、ポテチなくなっちゃったよ」
かのん 「しかもポリポリ音が聞こえるなぁ、って思ってたらポテチ食ってたの!? もう映画見てる気分じゃん!」 チビ 「コーラはあるかい?」
可可 「はっ! ここに!」 スッ
かのん 「可可ちゃんも何やってるの!?」
千砂都 「すっかりチビも人になった気分だねぇ。チビも満足そうだし、恋ちゃんもサヤさんと仲良くお喋りしてるし、無事に話が丸く収まったね!」
かのん 「収まってない!! 全く収まってないよ!!ちいちゃんはさっきから話を丸くしたいだけでしょ!?」 すみれ 「ってそもそも犬にポテトもコーラも食べさせちゃダメなんじゃ……!?」
チビ 「ぐっ」 パタッ
恋 「チビ!?」
サヤ 「大五郎……!?」
すみれ 「大五郎?」
サヤ (はっ……! つい私が勝手に名付けた方の名前で読んでしまった!) 恋 「チビ、チビ! チビ、大丈夫!?」
チビ 「恋ちゃん、聞いといてくれや」
恋 「チビ、わたくしはここにいますから……! ちゃんといますから……!」 ポロポロ
チビ 「恋ちゃんはずっと苦労してきた。寂しい思いも山ほどしてきた。だけど、それでも強く生きて、チビがいるから大丈夫、とまで言ってくれた。そんなの、ペット人生最高の褒め言葉じゃないか……」
恋 「チビ……! チビ……!」 ポロポロ チビ 「ずっと言えなかったけど、一緒にいてくれてありがとうと思ってるのは、本当はこっちの方。ありがとう、恋ちゃん」
チビ 「さよなら……」
チビ 「」
恋 「チビ? ほら、早く起きて一緒に映画でも見ましょう? あなたの好きなターミネーター3を見ましょう?」
恋 「ねぇ、返事してよ、チビ。チビ……! チビ……!!」 ポロポロ
恋 「うわぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーん!!」 ポロポロ
…
…
… 恋 「サヤさん、チビは……!」
サヤ 「安心してください。チビは無事ですよ。病院に早めに連れて行ったのが功を奏しました」
恋 「良かった……本当に良かった……」 ホッ
可可 「可可、ペットと主人との友情、弱いのデス……」 ポロポロ
かのん 「本当に助かって良かった、良かったよぉぉぉ〜!」 ポロポロ
千砂都 「丸く収まったね……!」 ポロポロ
すみれ 「助かって、本当に良かったわ……」
すみれ (でも、大五郎って何なの? とか、ターミネーターそこは1、2じゃないの? とか、ツッコめなかったことが山ほどあって消化不良だわ……) 恋 「みなさん、今日はありがとうございました。迷惑をかけてしまいました、今日は疲れたでしょう、夜になってしまいます。先に帰っても大丈夫ですよ?」
かのん 「いやいや、お気遣いは大丈夫だよ、恋ちゃん! それより私たちにだってチビは大切な存在なんだから、しっかり今日は夜中まで見守って……」
すみれ 「かのん。帰るわよ」 グイッ
かのん 「えっ?」 すみれ 「ほら、行くわよ。みんな」
かのん 「ちょ、ちょっと待ってよーーー!」 ズルズル
すみれ (あの顔。今日ぐらいは誰にも邪魔されず家族だけでいたいわよね、恋……)
恋 「……」
サヤ 「……」
恋 (ありがとう、みなさん。すみれさん)
ガチャ
医者 「どうぞ、こちらに」
恋 「はい。今行きます」 タタタ
…
…
… チビ 「……」 スピースピー
サヤ 「なんとも気持ちよさそうに寝ていますね」
恋 「チビもきっと、急に喋れるようになってはしゃいでしまったのでしょう」
サヤ 「……チビ。ずっとお嬢様を見守ってくれていたのですね」
恋 「……それはサヤさんもですよ」
チビ 「……」 スピースピー
恋 「わたくしは、昔も今も、支えてもらいっぱなしですね」 フフ その後、チビは目を覚ましましたが、もう人の言葉を喋ることはなくなっていました。
あれは神の気まぐれだったのでしょうか、感謝とともに、この奇跡はまた一度は起きないであろうことに少し寂しさを覚えました。
でも、それでも良いのです。
たった一度の奇跡で十分わたくしは、自分がどれだけ愛されてきたかが分かったから。
恋 「チビ、どうしてそんなに大きくなっちゃったんですか?」
チビ 「わふっ!」
恋 「ふふ、大好きですよ、チビ」 ナデナデ
おわり ありがとうございました。
普段はμ’sのギャグssばかり書いてるやわ銀です。
葉月家の絆が上手く書けるよう頑張りました。
去年の今頃にssを書き始めて、この約一年間で50作以上書きました。
これも読んでくださっているみなさんのおかげです。
前作
【ss】穂乃果 「μ's四コマ!」 1〜15
前々作
可可 「音楽科にもかのんがいるデスカ!?」 チビがかのんの事舐め回してたのもこういう理由だったのか
助かる ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています