曜「鞠莉ちゃん!わ、私を抱いてっ!」
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理事長室――
鞠莉「それで、頼みがあるって言ってたけど、なにかしら」
曜「あの、えっと、その…」
曜「鞠莉ちゃん!わ、私を抱いてっ!」
鞠莉「…」
鞠莉「…ふええっ!?」 ――――――――
遡ること少し前――
曜「この前、鞠莉ちゃんに抱きしめてもらったとき、凄く心地よかった。落ち着くっていうか、鞠莉ちゃんの優しさに包まれてるみたいで」
鞠莉『曜、おいで。よしよし、とてもよく頑張ったわ』
曜「もう一度ぎゅってしてもらいたくて、理事長室までやってきたけど…うう、なんかドキドキしてきちゃった。やっぱり今日はやめておこうかな…」 鞠莉『元気出た?そう、ふふっ、良かった。またハグしましょうね』
曜「…ここまで来て引き返すわけにはいかないよね。鞠莉ちゃんもまたしようって言ってくれてたし。よし…!」
コンコン
「はーい」 曜「わ、私です、曜です」
「どうぞ、入って」
曜「失礼します」
ガチャ 鞠莉「ハァイ、曜」
曜「鞠莉ちゃん、ごめんね、急に」
鞠莉「いいのよ、仕事もちょうどひと段落したところだし。それで、頼みがあるって言ってたけど、なにかしら」
曜「あの、えっと、その…」 鞠莉(心なしか緊張しているみたいね。何かあったのかしら。また悩みを抱えていなければいいのだけれど)
曜(ダメだ、焦って言葉が出てこない。なんて言ったらいいんだろう…ええい、こうなったら真っ向勝負!全速前進…!)
曜「鞠莉ちゃん!わ、私を抱いてっ!」
曜(い、言えたー!)
鞠莉「…」
鞠莉「…ふええっ!?」 曜(って、ハグしてって言えばよかったかな?まあいいか、伝わるよね)
鞠莉(曜、今、抱いてって…?い、いえ、曜に限ってそんなこと。きっと私の聞き間違えよね)
鞠莉「えっと、ごめんなさい、よく聞き取れなかったの。もう一回言ってもらえるかしら」
曜(えっ、もう一度言い直すのって、なんか恥ずかしいな) 曜「うん、えっとね…わ、私のこと、抱いて欲しいんだ」
鞠莉(き、聞き間違いじゃなかった…それに曜、さっきからずっと頬を赤くしてモジモジしてる。つ、つまり――)
曜(…返事がない。鞠莉ちゃんなら喜んでハグしてくれると思ったのに)
鞠莉(つまり曜は、私とそういうことしたいってこと…!?) 鞠莉「あ、あの…」
曜「その、鞠莉ちゃんが嫌だって思うなら、断ってくれていいんだよ」
鞠莉「えっ」
曜「ほら、こういうのって、鞠莉ちゃんの気持ちが一番大切だから。私のわがままで、鞠莉ちゃんを困らせたくないから…」
鞠莉「よ、曜…」 曜(私、やっぱり勘違いしちゃってたんだ。またハグしてもらえるかもって勝手に期待して、鞠莉ちゃんの優しさに甘えようとして)
鞠莉(曜、こんなにも寂しげな笑顔を浮かべて…)
曜(ほんと、バカみたい…)
鞠莉(わ、私は一体どうしたら、どうすれば) 曜「ごめんね、変なこと言って。無かったことには出来ないと思うけど、忘れて――」
鞠莉「ま、待って!」
曜「!」
鞠莉「一つだけ、一つだけ教えて。ど、どうして私なの?曜ならきっと、他にも良い人が沢山いて…」 曜(他にも良い人…ああ、果南ちゃんとかかな?確かに果南ちゃんのハグも大好きだけど)
曜「鞠莉ちゃんがいい。ううん、鞠莉ちゃんじゃなきゃダメなんだ」
鞠莉「!」
曜(あの日のハグは、私の身も心も包み込んでくれた。その感覚がどうしても忘れられないんだ) 曜「ときめくようなこの気持ち…他の人なんて考えられないよ」
鞠莉「は、はわわ…!」
鞠莉(真剣な眼差し、決意のこもった力強い言葉…ど、どうしよう)
曜「答えに、なったかな」
鞠莉(曜に、曜に、告白されちゃった…!) 曜(鞠莉ちゃん、驚いてる…ああ、私、取り返しがつかないことしちゃったのかも)
曜「…あはは、なーんて、急にこんなこと言われたって迷惑だよね」
鞠莉「あっ」
曜「嫌な思いさせちゃって、ごめんなさい。私、行くね。お仕事中なのに、時間作ってくれてありがとう」 鞠莉(…曜は本音をぶつけてくれた。本当は不器用で、人一倍優しくて、恥ずかしがり屋の曜が、これほどまでに私のことを想ってくれている)
鞠莉「わ、私は」
鞠莉(私は曜のことを、どう思ってるの?) 曜『鞠莉ちゃん!』
曜『お仕事お疲れ様!はいこれ、差し入れ。えへへっ、この前お世話になったお礼!』
曜『荷物持つね。いいからいいから、たまには格好つけさせてよ』
鞠莉(…そうよ、私は) 曜『美味しい!鞠莉ちゃんのシャイ煮、さらに美味しくなったね!』
曜『ここから見る海が大好きなんだ。大きくて、優しくて、鞠莉ちゃんと一緒に見た海だから』
曜『私がみんなと笑っていられるのは、鞠莉ちゃんが背中を押してくれたおかげだよ。本当にありがとう』
鞠莉「私は…!」 曜「それじゃ、また…」
鞠莉「私も!」
曜「…えっ」
鞠莉「私も、曜と同じ気持ち!」
曜「…!!」 鞠莉(言えた…私もちゃんと伝えられた!)
曜「ま、鞠莉ちゃん。本当に?」
鞠莉「ええ。気持ちを整理するのに時間がかかっちゃったけど…偽らざる私の本音よ」
曜「じゃ、じゃあ」 鞠莉「私でよければ、謹んでお受け致します」
曜「や、やったー!」
鞠莉(こんなにも喜んで…曜の笑顔をやっと見れたような気がする。やっぱり曜はシャイニーな笑顔が一番ね)
曜「はぁ、よかったぁ。私のせいで気まずくさせちゃったかなって心配で」 鞠莉「ごめんなさい、不安にさせて」
曜「いいんだ、いいんだよ。えへへっ」
鞠莉(ふふっ、可愛いなぁ)
曜「それでね、鞠莉ちゃん。私の頼み事の件なんだけど」 鞠莉「頼み事…あっ」
曜『鞠莉ちゃん!わ、私を抱いてっ!』
鞠莉(そ、そうだった。抱いてって頼まれて…)
曜「早速だけど、今からお願いできるかな?」
鞠莉「!?」 鞠莉(い、今から!?そんな、気持ちが通じ合ったばかりだっていうのに。こういうのは段階を踏んでするものじゃないの!?)
鞠莉「け、けど、するって言っても場所の問題が」
曜「鞠莉ちゃんさえよければ、ここでお願いしたいなって」
鞠莉「こ、ここで!?ここでしちゃうの!?」 曜「え、ダメだった?」
鞠莉「ダメというか、こ、こういうのはもっと、適した場所があるんじゃないかしら」
鞠莉(お互いの家とか、べ、ベッドのある休憩施設のとか…!)
曜「そうかな?ここなら大丈夫だと思うけど」 鞠莉(仕事部屋とは言え学校の中。誰が来るともわからないのに…それとも、こういうことはこれが普通なの?)
曜「それに、ずっとしたかったことだから」
鞠莉(な、なるほど。溢れ出す想いを抑えることなんか出来ない、ってことかしら。こんなにも曜が情熱的だったなんて)
曜「鞠莉ちゃん、さあ、お願い」 鞠莉(いえ、純情な曜だからこそ、真っ直ぐな愛情を持ち合わせているのね。私もその気持ちに応えなきゃ。心で、そして体で――)
鞠莉「じゃ、じゃあ…する、わね」
曜「うん!」
鞠莉(まずはハグから、よね?ああ、心臓がうるさい。これじゃ曜に聞こえちゃう…) 鞠莉「え、えいっ」
曜「わっ」
鞠莉(ハグ、しちゃった。私の腕の中にすっぽりと収まって、とっても愛おしい)
曜(ああ、やっぱり鞠莉ちゃんのハグはいいなぁ。あたたかくて優しくって、安らぎに包まれているみたい) 曜「えへへ、これ好き」
鞠莉(す、好き!好きって言ってくれた、曜が私のこと好きって!)
曜(なんだかぽわぽわする。すごく幸せ)
鞠莉「わ、私も」 曜「ん?」
鞠莉「私も、曜のことだ、だいす」
鞠莉(あれ、視界がぐるぐる回って――)
鞠莉「き…」
ドサッ
曜「えっ」 鞠莉「きゅう…」
曜「えっ、ちょ、鞠莉ちゃんが倒れた!?」
鞠莉「」ぷしゅー
曜「わわっ、頭から湯気噴いて気を失ってる!?しっかりして鞠莉ちゃん!鞠莉ちゃーん!」 その後、倒れた鞠莉を曜がお姫様抱っこして保健室へと運び込んだことから、校内はしばらくロマンスの噂で持ちきりとなる。
なお、保健室のベッドで目を覚ました鞠莉が、またしても思い込みとすれ違いを重ねることとなるが、紆余曲折を経ながらも無事二人の交際が始まるのはまた別のお話――
終わり 全弾撃ち尽くしました。高度な心理戦ようまりでした。
↓は前に書いたものです。よろしければ併せてお願いします。
曜「鞠莉ちゃんにナンパされた」
https://fate.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1626694134/
ありがとうございました。 安定のようまり
この暴走しちゃいながらもお互いを想う感じ大好き
いつもありがとう
また期待してます ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています