探検
曜「鞠莉ちゃんにナンパされた」
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曜「たまの休日。一人でいるのも退屈で、なんとなく家から出て来たものの、何しようかな」
「へーい、そこのとってもシャイニーな彼女ぉ」
曜「えっ？」
鞠莉「チャオ！暇ならマリーとお茶しない？」
曜「…ふっ、あはははっ！」
曜「なんで言うか、あまりにもコテコテなナンパの仕方だったからさ、あははっ。いつもそういう誘い方してるの？」
鞠莉「うふふっ、まさか。一人なの？」
曜「うん。家にいてもすることなくて、とりあえず出掛けてきたって感じかな。鞠莉ちゃんは？」
曜「暇を持て余しちゃうよね」
鞠莉「そうね。それで、曜の答えは？」
曜「お供しますよ。鞠莉ちゃんからのお誘いだからね」
鞠莉「そうこなくっちゃ！」
鞠莉「偶然とはいえ、こうやって二人だけで出かけるって珍しいわね」
曜「どこかに遊びに行く場合、大抵は他の誰かと一緒だもんね」
鞠莉「今日は曜と久々のデートってところかしら」
曜「わーい！鞠莉ちゃんとデートだ！」
曜「ん、どしたの？」
鞠莉「なんか想定と違ったなって」
曜「想定？」
曜「ああ、そんなこと考えてたの？」
鞠莉「可愛らしく慌てふためく様子が見られると思ったのに」
曜「ナンパの相手を間違えたねー」
曜「こらこら、今やらないの」
鞠莉「抱き心地が良くていい感じよ？」
曜「歩きにくかったら元も子もないでしょ」
曜「わわ、ストップストップ！」
鞠莉「やーっと慌ててくれたわね」
曜「いやいやいや、流石にこんなところでダメだよ！」
曜「いいわけないでしょ。どこであろうとダメです、絶対」
鞠莉「むぅ、曜のケチー」
曜「ケチじゃありません」
曜「犯行予告は良くないと思うよ」
鞠莉「あ、この前みたいなジュードーは無しよ？」
曜「鞠莉ちゃんの行動次第かな」
曜「背中を見せたら危ないってわかったからね」
鞠莉「甘いわね。私は正面からのハグも大得意なのよ」
曜「うーむ、逃げ場無しか」
曜「はいはい、また後でね」
鞠莉「言ったわね、後で絶対にハグさせてもらうから！」
曜「そのつもりだよ」
曜「なんてね。ほらほら、先に行っちゃうよ」
鞠莉「あっ、ちょっと、待ってよ、曜ー！」
曜「でね、そのとき――むっ？」
鞠莉「どうかしたの？」
曜「なんか、雨が降りそうな気がして」
鞠莉「そう？よく晴れてるし、そんな予報じゃなかったはずだけど」
鞠莉「いえいえ」
曜「結構歩いたし、そろそろお茶にでもしようか」
鞠莉「近くにお気に入りのお店があるの、そこでいい？」
曜「うん！」
曜「いい雰囲気だね、さすが鞠莉ちゃんの行きつけのお店。何にする？」
鞠莉「私はブレンドコーヒーにするわ」
曜「じゃあ、私も同じもので」
鞠莉「紅茶とか甘い物もあるけど、いいの？」
鞠莉「あら可愛い」
曜「えへへっ、お揃いだね」
鞠莉「ここはケーキも美味しいの。せっかくだからセットにしましょう」
鞠莉「へぇ、なかなかお目が高いわね」
曜「最近コンビニとかでも見かけるから、気になってたんだ。挟むタイプのシュークリームがボリュームアップしたみたいな見た目だけど、鞠莉ちゃんは食べたことある？」
鞠莉「ええ。マリトッツォはイタリアのスイーツなの」
鞠莉「パンにたっぷりのクリームがサンドされて、コーヒーとの相性も抜群。小腹満たしにもってこいで、一目惚れすること間違いなし」
曜「決めた、これにする！」
鞠莉「きっと気に入ると思うわ。私はティラミスにするから、二人でシェアして食べましょう」
鞠莉「ん？」
曜「イタリアといい、コーヒーといい、名前といい、マリトッツォって鞠莉ちゃんにぴったりって感じのスイーツだね！」
鞠莉「ふふっ、確かに気の利いた取り合わせかもね。すみませーん、注文お願いします」
「お待たせいたしました」
曜「わあ、クリームがもりもりだ！これがマリトッツォ…！」
鞠莉「ボリューム満点、圧巻の見栄えよね」
曜「すごいね！でも、これってどうやって食べればいいのかな」
曜「で、できるかな…？」
鞠莉「その大きさとクリームの量だと上手に食べるのは難しそうね。カットしたり、フォークでクリームをすくったり、上下で分けたりと、食べ方は色々よ」
曜「なるほど、そこはシュークリームと同じだね。上下に分けてみようかな、シェアするのにもちょうど良さそうだし」
曜「はい、鞠莉ちゃんはこっち。クリームが多い方ね」
鞠莉「じゃあ曜には大きくカットした方をお裾分け」
曜「ああ、それじゃ貰い過ぎだよ」
曜「マリトッツォを試してから、だね」
鞠莉「そういうこと。さ、召し上がれ」
曜「それじゃ、いただきまーす。わあ、ふわっふわ。んんっ」
曜「美味しい！クリームの程よく上品な甘さが広がって、それでいてさっぱりと食べれちゃう！」
鞠莉「気軽に食べられる上に可愛くて美味しい。そんなスイーツなのよね」
曜「鞠莉ちゃんのおすすめどおり、コーヒーとの相性バッチリだよ。ああ、たっぷりクリームでお口がしあわせ〜」
曜「どうかした？」
鞠莉「外、雨降ってきた」
曜「わ、本当だ。さっきまで全然そんな前触れ無かったのに…すごい勢いで降り出したね」
曜「当たっちゃったね。傘も無いし、これじゃ身動きが取れないよ、せっかくのお休みなのに…」
鞠莉「落ち込むのはまだ早いわ。ほら、天気予報は相変わらず晴れるって言ってるし、きっと通り雨よ」
曜「だと良いんだけど…」
曜「言われてみれば…少ししたら止みそうな気がする」
鞠莉「きっとまた予報が的中するわ。それにね、思ったんだけど、もしかしたらお天気の神様が気を利かせてくれたのかもしれないわ。もっとゆっくりしてなさいって、ね」
曜「…そうだね、鞠莉ちゃんが言うと、なんだかそんな気がしてきたよ！」
鞠莉「美味しいコーヒーと美味しいスイーツ、心許せる話し相手。人生を楽しむのに必要な物は揃っているわ。最高の午後のひとときを満喫しましょう」
曜「うん！」
「ありがとうございましたー」
曜「すっかり長居しちゃったね」
鞠莉「おかげで雨も止んだし、まったりゆったりと過ごせたわ。今日は付き合ってくれてありがとう」
曜「こちらこそ、すごく楽しかったよ。鞠莉ちゃんに声をかけてもらったおかげだね」
曜「えへへ、お待ちしてます。この後はどうするの？」
鞠莉「日も暮れちゃたし、迎えの車に来てもらうわ。曜も家まで送るわね」
曜「助かるよ、ありがとね」
曜「いいよ、そんなに気を遣わなくて。それに、今日は私一人だし」
鞠莉「えっ、そうなの？」
曜「お母さん、明日の夜まで親戚のところに行ってるんだ」
曜「うん」
鞠莉「…」
曜「…」
ようまり「あ、あの」
鞠莉「い、いえ、曜からどうぞ」
曜「けど」
鞠莉「いいから、言って」
鞠莉「！」
曜「今日は楽しかった、本当に楽しかったんだ。だから、まだ終わりたくないな、もっと一緒にいたいなって…」
鞠莉「…曜」
曜「あっ、もちろん、無理なら遠慮なく断ってくれて――」
曜「うん、意見が…えっ？」
鞠莉「私も同じことを言おうとしてたの。よければ曜の家に泊めてもらえないかって」
曜「ほ、ほんと？」
曜「鞠莉ちゃん…！」
鞠莉「それに言うでしょ、家に帰るまでがデートだって」
曜「この場合は家に帰ってもデート、じゃない？」
鞠莉「そうね。ふふっ、曜をナンパしたつもりが、曜にナンパされちゃったかしら」
鞠莉「いいけど、いいの？」
曜「もちろん！だってさ、今日はデートなんだもん！」
鞠莉「そうね、なんと言っても、デートだものね！」
終わり
↓は前に書いたものです。よろしければ併せてお願いします。
曜「天の川、空を染めあげて」
https://fate.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1625655340/
ありがとうございました。
梅雨明けも重なって丁度いい晴れやかなSSだね
ありがとう
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