曜「天の川、空を染めあげて」
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鞠莉「曜は七夕の由来は知ってる?」
曜「もちろんだよ」
鞠莉「言ってみて」
曜「えーと、天の神様の娘である織姫が、働き者の彦星と恋に落ちるんだよね」 鞠莉「そうそう。二人は相思相愛となり、やがて結ばれて夫婦になるの」
曜「そこまでは良かったんだけど、働き者だった二人が、結婚をきっかけに仕事もせず遊んで暮らすようになっちゃって、これに怒った天の神様によって天の川を隔てて引き離されてしまう」
鞠莉「お互いのことが好きすぎて、他のことが手につかなくなってしまったのね」
曜「離ればなれになった二人は悲しみに暮れて塞ぎ込んでしまい、これを不憫に思った神様は真面目に働くことを条件に、一年に一度、七夕の日だけは会うことを許してあげたのであった――って感じであってる?」 鞠莉「ベリーグッド!解説お疲れ様」
曜「でもこのお話、実はいまいちピンとこないんだよね」
鞠莉「あら、どうして?」
曜「何ていうかさ、真面目だった織姫と彦星が、結婚したとたんに怠けて働かなくなっちゃうでしょ。そんなことあるのかなって、子どものころから不思議に思ってて」 鞠莉「端的に言えば、恋は人を変えてしまうってことかしらね」
曜「そういうものなの?」
鞠莉「曜はそうじゃないの?」
曜「あんまり実感がないっていうか」 鞠莉「まだまだロマンスが足りないようですねぇ。じゃあ、織姫たちにはあまり共感できない?」
曜「んー。でも、好きな人ともっと一緒にいたいなって、離れたくないなって思ってるよ」
鞠莉「ふふっ、可愛いこと言っちゃって」
曜「えへへっ。ああ、でも、もう一つひっかかかることがあってさ」 鞠莉「どんなこと?」
曜「神様から助け船を出してもらえたとはいえ、大好きな人と年に一回しか会えないっていうのは、やっぱり寂しいんじゃないかなって」
鞠莉「確かにね。私だったら勘当を宣言して、ヘリコプターで天の川を横断して会いに行っちゃうかも」
曜「あはは、やりそう。っていうか、すでに似たようなことやってるよね?」 鞠莉「経験済みよ。2年ぶりデースってね」
曜「ん…」
鞠莉「曜?」
曜「ううん、なんでも――あたっ」 鞠莉「今、出しちゃいけない話題だったかもって思ったんでしょ」
曜「わかっちゃった?」
鞠莉「まあね。曜は優しいから、地元を離れて留学せざるをえなかった私の過去を、離ればなれになった織姫と彦星の境遇に重ね合わせてしまったってところかしら」
曜「…うん、正解」 鞠莉「そんな顔しないで。確かに不幸で辛い出来事だったけど…だからこそ、今の私たちがある。みんなのおかげで、そう思えるようになったんだから」
曜「鞠莉ちゃん、ぎゅってしていい?」
鞠莉「もちろんデース!」
曜「ぎゅっ」 鞠莉「んっ♪」
曜「ぎゅーっ」
鞠莉「あらあら、どうしたの、急に」
曜「こうしたい気分なの」 鞠莉「曜のそういうセンチメンタル、優しくて好きよ」
曜「私も、好きだよ、鞠莉ちゃん」
鞠莉「私もよ」
曜「こうやって抱きしめあってると、織姫たちの気持ちがなんとなくわかったような気がする」 鞠莉「ずっとこうしていたいってこと?」
曜「一年に一回じゃ全然足りないよ」
鞠莉「そうね。いっそのこと、このまま一緒に暮らしちゃおっか」
曜「いつか、そうなると良いなって…ううん、そうしたいなって思ってるよ」 鞠莉「!」
曜「子供じみた願望だってわかってるけど、いつかは、必ずって」
鞠莉「…ありがと。嬉しいわ」
曜「ごめんね、無責任なこと言って」 鞠莉「私だって同じよ。曜と一緒に暮らせたらどんなに楽しいだろう、どんなに毎日が輝いているだろうって想像しちゃうの」
曜「鞠莉ちゃん…」
鞠莉「さすがに遊び呆けてばかりはいられないけどね」
曜「そうだね。私たち、色々頑張らなきゃ」 鞠莉「頑張ったその先には、きっとキラキラとドキドキに満ち溢れた生活が待ってるわ」
曜「うん、うん」
鞠莉「だってほら、今日の夜空はこんなにも冴え渡っているんだもの」
曜「天の川がくっきり輝いて見える。織姫たちが雨で渡れなくなる心配はなさそうだね」 鞠莉「今頃きっとラブラブよ」
曜「私たちみたいに?」
鞠莉「それ以上ね。燃え上がる気持ちを抑えられるわけがないもの」
曜「情熱的なんだ」 鞠莉「その点に関しては、私たちも負けていられないんじゃないかしら」
曜「私は負けてないつもりだけどね」
鞠莉「それにしては控えめじゃない?」
曜「鞠莉ちゃんを大好きって気持ちは、誰にも負けないつもりだよ」 鞠莉「曜っ!」
曜「わわっ」
鞠莉「もう、この子はなんて愛らしいのかしら!」
曜「ふふっ、鞠莉ちゃんには負けるよ」 鞠莉「いいえ、曜の方が可愛いわ」
曜「鞠莉ちゃんの方が可愛い」
鞠莉「曜!」
曜「鞠莉ちゃん!」 鞠莉「うふふっ」
曜「あははっ、これじゃバカップルだよ」
鞠莉「言ったでしょ、恋は人を変えてしまうって」
曜「なるほど。勉強になるね、七夕って」 鞠莉「いつか絶対に、織姫や彦星も羨むような幸せを掴んでみせるって、この天の川に誓うわ」
曜(私たちのささやかな願いは、やはりどこか子どもじみていて)
鞠莉「いざとなれば、天の川だって強行突破デース!」
曜(もしかしたら途方もなく複雑で困難なことなのかもしれない) 鞠莉「曜、大好きよ」
曜(だけど、夢を語る鞠莉ちゃんの瞳は、天の川にも負けないくらい輝いていて)
曜「私も大好きだよ、鞠莉ちゃん!」
曜(たとえ見果てぬ夢だろうと絶対に叶えてみせるって、本気でそう思えるんだ)
終わり 全弾撃ち尽くしました。天の川に想いを重ねるようまりでした。
↓は前に書いたものです。よろしければ併せてお願いします。
鞠莉「ねぇ曜。マリーのこと、お姉ちゃんって呼んでくれてもいいのよ?」
https://fate.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1625052391/
ありがとうございました。 全弾撃ち尽くし乙
七夕にぴったりのセンチメンタルなお話で素敵 全弾打ち尽くしたってどういうこと?
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