しずく「素直になれないかすみさん…………と、私」【短編集・他】
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●「メイクの必要性」
しずく「……」カチャカチャ
璃奈「しずくちゃん、何してるの?」
しずく「あ、これはね……演劇部で使っているメイク道具を整理しているの」
しずく「舞台では、演技力もそうだけどメイクも重要で」
しずく「役者を綺麗に見せる以外に、登場人物の性格や表情を強調することもできるんだよ」
璃奈「なるほど……璃奈ちゃんボードに、近いものがあるね」
しずく「……そうだね、似てるかも」クスッ しずく「ライブの時も、衣装によってメイクの仕方を変えるようにしてるの」
しずく「勉強の一環として、色々な方法を試してみたいっていうのもあるんだけど」
しずく「顔の印象が変わると、気持ちが引き締まるというか……」
しずく「何となく、験担ぎ(げんかつぎ)の意味合いもあるかな?」
璃奈「しずくちゃんが堂々とステージに立てるのは、そのおかげでもあるんだね」
しずく「そう見える?……ふふ、ありがとう璃奈さん」
侑「しずくちゃーん、今こっち来てもらってもいい〜?」
しずく「あ、はーい!大丈夫です!」
しずく「呼ばれたから、ちょっと行ってくるね」
璃奈「うん」 ――――
――
かすみ「ん?りな子、可愛いの持ってるじゃん」
璃奈「これは……私のじゃなくて、しずくちゃんのメイクポーチだよ」
かすみ「……あ、確かによく見たら和柄だし、しず子のっぽいね」
璃奈「…………」
璃奈「……かすみちゃんって、しずくちゃんの持ち物をよく可愛いって言うけど」
璃奈「かすみちゃん自身はあんまり、そういうデザインの物を持たないよね」
かすみ「えっ…………まぁ、そだね」
かすみ「そりゃあさ〜、かすみんは可愛いから大体の物は似合うってわかってるけど」 かすみ「やっぱり、こういう柄はしず子が一番しっくりくるっていうか」
璃奈「……あっ」
かすみ「しず子が持ってるから余計に可愛く見える、ってのがあるからさ〜」
璃奈「……うん、わかる」ジー
かすみ「あと、衣装なんかもそうだよね」
かすみ「しず子って色んな衣装着てるけど、特に和服の衣装が似合うし」
かすみ「でも、だからって他のがダメってわけじゃないんだよね〜」
かすみ「清純派系とかレトロ系とかも似合うから、ズルいっていうか」
璃奈「……しずくちゃん、衣装によってメイクのやり方を変えてるって言ってた」ジー
璃奈「そういう努力があるから、どの衣装も似合うっていうのも……あると思う」ジー
かすみ「……まぁ、それもあるかもしれないけど」 かすみ「しず子って元々の顔立ちがいいし、姿勢もいいから何着ても様になるんだよね」
璃奈「……うん、私もそう思う」ジー
かすみ「……っていうか、さっきからどこ見て話してんの?」クルッ
しずく「♪」ニコニコ
かすみ「…………」
かすみ「うわぁぁぁぁぁぁ!!!///しず子!?いたの!?///」
かすみ「ちょっとりな子!!何で教えてくれないのっ!!///」
璃奈「……かすみちゃんが、語りたがっているように見えたから」
かすみ「ぜ、全然そんなことないしっ!!///」 しずく「かすみさん」
かすみ「!」ドキッ
しずく「…………」
しずく「……私ってそんなに、何でも似合うかな?♪」ニコニコ
かすみ「ぐっ///……ぐぬぬぬぬぬ///」
かすみ「か……かすみんの方が何でも着こなせるしっ!」
かすみ「しず子よりもず〜っと可愛いもんね〜〜っ!」ダダダダ
しずく・璃奈「…………」 璃奈「……かすみちゃん、逃げちゃった」
璃奈「……」チラッ(しずくの方を見る)
しずく「…………」
璃奈「……」ジー
しずく「……///」カァァァ
しずく「っ///」(両手で顔を覆う)
璃奈「…………」
璃奈「かすみちゃんに褒められて、良かったね」
しずく「……///」(無言)
璃奈「……」ヤレヤレ 璃奈「しずくちゃんも……かすみちゃんのことになると、素直じゃないんだから」
しずく「う……///」
璃奈「……」ジー
璃奈「顔、真っ赤だけど……メイクで隠す?」
しずく「う……ううん、大丈夫///」
璃奈「……あ、そっか」ポン
璃奈「かすみちゃんから顔も褒められたから、そのままでいたいよね」
しずく「り、璃奈さんっ///」
侑「ミーティング始めるよ〜……ってあれ!?かすみちゃんは!?」 ●「愛称?」
放課後 演劇部部室
かすみ「しず子ー、いる?」ヒョコッ
演劇部部長「あれ、中須さん?ここに来るなんて珍しいね」
かすみ「あっ……どうも」ペコッ
かすみ「同好会のことで、しず子に急ぎで確認したいことがあるんですけど……」
演劇部部長「あ〜ごめんね、さっきしずくに台本の印刷頼んじゃって、今いないんだ」
演劇部部長「もう少ししたら戻ると思うから、ちょっと待っててね」
かすみ「は、はい」
かすみ「……」ソワソワ 演劇部員A「も〜!見つかんないだけど〜」
演劇部員B「ここじゃないっぽいね」
かすみ「……?」
演劇部員A「はぁ……しず、どこいったんだろ」
演劇部員B「倉庫の方探してみる?」
かすみ「……!」
かすみ「あの!」
演劇部員A「ん?」
かすみ「し、しず……なら、もう少しで印刷終わって帰ってくるって言ってました!」
演劇部員A・B「???」
かすみ「……あ、あれ?」 しずく「かすみさん、私に何か用?」
かすみ「……あっ!」
かすみ「良かったですね!しず、戻って来ましたよ!」
演劇部員A・B「…………」
演劇部員A「……あ〜!そういうことね!…………くっ……あははは!!」
演劇部員B「ふっ……ふふ、確かに間違えやすいわ」プルプル(笑いを堪える)
かすみ「えっ?えっ?」
演劇部員A「ふぅ…………しずって、しずくのことじゃないんだよ」
かすみ「……えっ!?」 演劇部員B「舞台用語でね、大道具とかに使う重りのことを『しず』って言うの」
演劇部員B「ほら、『怒りを鎮める』の『鎮(しず)』ってかねへんの漢字あるじゃん?あれあれ」
かすみ「へぇ〜!そうなんですね!…………じゃなかった!」
かすみ「か、かすみんもそれくらい当然知ってましたけどね〜!」
しずく「……重りが、印刷して帰ってくるの?」
かすみ「っ……なんだ、聞いてたんじゃん……///」
しずく「うん♪」
しずく「かすみさんが私のことをしずって呼ぶの、新鮮味があって良かったな〜♪」
かすみ「あ、あれはっ!///しず子って言ったらわかんないと思ったから!///」
しずく「呼びたくなったら、いつでもしずって呼んでいいよ♪」ニコニコ
かすみ「いっ、言わないっ!///しず子はしず子だもん!」 演劇部員A「まぁまぁしずく、あんまり中須さんからかうなって〜」
演劇部員B「そうだよ、中須さんは私達に気を遣ってくれたんだから」
かすみ「うぅ……しず子の先輩さん達……」ウルウル
演劇部員A「でも私達、しず子って呼ばれてるの知ってたよ」
演劇部員B「うん、しずくって中須さんのことよく話してくれるから」
かすみ「ええっ!そうなんですか!」
かすみ「ふ〜ん♪しず子ってば、かすみんが可愛いって言い広めてくれてるんだ〜♪」
しずく「……ふふ♪」ニコニコ
かすみ「…………はっ!嫌な予感がする笑顔……」
かすみ「もしかして、変なこと言ってるんじゃ……」
しずく「う〜ん、どうだったかな〜♪」ニコニコ しずく「例えば……この前かすみさんが」
かすみ「や、やっぱりいい!聞きたくないっ!」
かすみ「先輩さん達!しず子に余計なことを吹き込まれたかもしれませんけど!」
かすみ「今度のライブでかすみんが可愛いってことを教えてあげますから!必ず見に来てください!」
演劇部員A「え?…………ふふ、わかった」
演劇部員B「楽しみにしてるからね」
かすみ「はいっ!!」
かすみ「よーし!そうと決まれば!部室に戻って特訓ですよ〜!」ダダダダ
しずく「…………」
しずく「……相変わらず、喜怒哀楽が激しいんだから」フゥ しずく「お二人ともすみません、かすみさんの相手してもらっちゃって」
演劇部員A・B「…………」
演劇部員A「……可愛いって、言い広めてるのにね」
しずく「……っ!」ドキッ
演劇部員B「ホントそれ、しょっちゅう私達に中須さんの写真とか動画見せるのに」
演劇部員A「バレたくないからって、咄嗟に笑顔でごまかして〜」ウリウリ
しずく「う……///」
演劇部員B「それにさ〜、『しずって呼んでいいよ〜』だなんて」
演劇部員B「中須さんからしず子って呼ばれるの、好きなくせに〜」ウリウリ
しずく「……も、もう勘弁してください……///」 演劇部員A「あはは、ごめんごめん」
演劇部員B「しずくが珍しい反応するからさ〜」
しずく「うぅ……///恥ずかしいです///」
演劇部員A「でも、中須さんとも初めて喋ったけど、しずくが話してた通りの子だね」
演劇部員B「うん、面白いし可愛いね」
しずく「……はい、いつもあんな感じなんですよ」クスクス
演劇部員A「あ、そうだ!今度中須さんの曲のコール教えてよ」
演劇部員B「私にも!予習しておきたいし」
しずく「……!」パァァァ
しずく「もちろんいいですよ!後でライブの映像送ります!」
しずく「歌声もですけど、踊ってるところも可愛いんですよ〜!」 しずく「あっ!ついでにこの前部室で撮った動画も送りますね!」
しずく「キメ顔の練習してるところで、ちょっと笑えるんですけどそれが可愛くて〜!(以下略)」ペラペラ
演劇部員A・B「(私達の前ではこんなに素直なのに……どうして……)」
しずく「……あれ?」
しずく「そういえばかすみさん、何でここにいたんだろう?」
――――
――
侑「しずくちゃん、なんて言ってた?」
かすみ「…………あ゛っ!!」 ●「長所」
しずく「ねぇ……かすみさんは、私といて疲れない?」
かすみ「えっ?……何、いきなり」
しずく「私ってよく真面目って言われるし……何かに熱中すると周りが見えなくなるでしょ?」
しずく「それで、かすみさんに迷惑かけたり、無理させてないかなって……」
かすみ「そ、そんなこと思ってないから!」
しずく「……本当に?」
かすみ「ホント!!」
かすみ「っていうか!真面目とか熱中するっていうのは、それだけ一生懸命ってことじゃん!」
かすみ「演劇にもスクールアイドルにも真剣で、すごいって思ってるよっ!」
しずく「……ふーん」 かすみ「それに……しず子のそういうとこ、結構頼りにしてるし」
かすみ「無理させてるっていうけど、逆に……自然体でいられるっていうか……///」ゴニョゴニョ
しずく「……」ジー
かすみ「……!///」ハッ
かすみ「は、はいっ!そういうことだからっ!///」
かすみ「わかった!?///」
しずく「…………」
しずく「……他には?」
かすみ「へっ!?」
しずく「私の良いところ」
かすみ「っ!///……も、もういいでしょっ!?」 しずく「…………」
しずく「……うん、そうだね」
かすみ「……」ホッ
しずく「もう思いつかないのに、無理やり言わせても虚しいだけだもんね」シュン
かすみ「……えっ!?」
しずく「私がかすみさんに認めてもらえるものを持っていないのが悪いのに……」
かすみ「あれ?このセリフ、前にもどこかで聞いたような……」
かすみ「って!だから違うってば!」
しずく「ううん、いいの」
しずく「かすみさんが優しいから……私、調子に乗っちゃって」
しずく「……ごめんね」ニコ(困ったように笑う)
かすみ「ぐっ……ぐぬぬぬぬぬ」 かすみ「…………あ〜!!もうっ!!」
かすみ「誰にでも優しくて、いつも周りを気遣ってくれる!」
かすみ「それから!面倒見が良くて、相談に乗ってくれたり宿題見てくれるとことか!」
しずく「…………」
かすみ「演技と歌が上手で、ステージ上のパフォーマンスがすごくて」
しずく「……うん」
かすみ「あと、オフィーリアの動画も見せてくれるし」
しずく「っ!……ふふっ……」プルプル(笑いを堪える)
かすみ「って、しず子!聞いてる!?」
しずく「う、うん!聞いてるよ!それからそれから?」 かすみ「え〜っと……」
かすみ「礼儀正しくて、立ち振る舞いが綺麗でお嬢様って感じがするのと」
しずく「うんうん♪」ニコニコ
かすみ「それで運動神経も良いのにちょっと抜けてて、でもそこが可愛いって思うこともあって……」
しずく「そうなんだ〜♪」ニッコニコ
愛・璃奈「…………」
璃奈「……もう、単に褒めてるだけになってるよね」
愛「かすかすに言わせたいからって、しずくやるな〜♪」アハハ
璃奈「しずくちゃん……この前褒められたこと、本当に嬉しかったんだね……」 ●「寝顔@」
ガチャ
かすみ「おっはようございま〜す♪」
かすみ「今日もかすみんが部室に一番乗りですよ〜!……って、あれ?」
しずく「……」スヤスヤ(テーブルに突っ伏している)
かすみ「な〜んだ、先に来てたんだ」
しずく「……」スヤスヤ
かすみ「…………」
かすみ「……そうだ!」ゴソゴソ(スマホを取り出す)
かすみ「ふっふっふ……今のうちに寝顔を撮って……」
かすみ「今度、しず子に言い負かされそうになった時の切り札にしよっと!」 かすみ「にしし……しず子、写真を見たら焦るだろうな〜♪」
かすみ「うーん、どの角度がいいかな〜♪」スッ(カメラを構える)
しずく「……」ジー
かすみ「……」パチッ(カメラ越しのしずくと目が合う)
かすみ・しずく「…………」
かすみ「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」
かすみ「し、しず子!起きてたの!?」
しずく「……あんなに大声出して入ってきたら、誰でも起きるよ?」
かすみ「ぐっ……ぐぬぬぬぬぬ」 しずく「……ところで、私の写真撮らなくていいの?」
かすみ「っ!///」ギクッ
しずく「撮ってもいいよ」
しずく「だってかすみさん、欲しいんだもんね♪」ニコニコ
かすみ「ぐ///……ぐぬぬぬぬぬぬぬ///」
かすみ「きょ、今日のところはっ!!勘弁しといてあげるっ!!」ダダダダ
しずく「(……行っちゃった)」
彼方「やれやれ〜……すぐ逃げ出す〜」ムクッ
彼方「ミーティング前に、ちゃんと連れ戻しておかないとね〜」
しずく「……彼方さんも、さりげなく寝たふりしていたんですね」 ●「寝顔A」
ガチャ
かすみ「おっはようござ…………!」ハッ(口を押える)
しずく「……」スヤスヤ
かすみ「…………」
かすみ「……」コソコソ(しずくに近づく)
かすみ「……」スッ(カメラを構える)
かすみ「……」パシャ
しずく「……ん」 かすみ「……!」
かすみ「……」コソコソ(部室から出ていく)
しずく「…………」
しずく「……」ムクッ
しずく「(……まぁ、起きてるんだけど)」
しずく「……」ゴソゴソ(スマホを取り出す)
しずく「……」スッ(写真管理アプリを開く)
『[かすみの寝顔写真]』
しずく「(実は、私も持ってるんだよね……合宿の時にこっそり撮った写真)」 しずく「(……いや、これはかすみさん対策として万が一に備えて撮っただけで)」
しずく「(別に、寝顔が可愛くて撮ったとかじゃなくて……)」
しずく「(……って、誰に言い訳してるんだろう)」
しずく「(とにかく……かすみさんが私の写真を出してきても、こっちにも切り札はある)」
しずく「(……この写真を見せたら、かすみさんどんな顔するかな)」フフッ
しずく「……」ジー(写真を眺める)
しずく「♪」ニコニコ
侑「あの〜しずくちゃん……ご機嫌なとこ悪いんだけど」
侑「かすみちゃんがいなくてミーティングが始められないんだけど、どこ行ったか知らない?」 数日後
かすみ「……ぐぬぬぬぬぬ!」
かすみ「お、覚えといてよねっ!」ダダダダ
しずく「…………」
しずく「(……おかしい)」
しずく「(私の写真を持っているはずなのに、出してこない)」
しずく「(ちょっと悩んだ素振りは見せるけど、いつも捨て台詞を言って逃げるだけ)」
しずく「(……何か、考えがあるのかも)」
侑「あの〜しずくちゃん……今度かすみちゃんが逃げようとしたら、引き留めてくれない?」 さらに数日後
かすみ「……ぐぬぬぬぬぬぬぬ!」
かすみ「……」クルッ(逃げようとする)
しずく「待って」ガシッ
かすみ「わっ!」
侑「……!」ホッ
かすみ「な、何?」
しずく「……かすみさん、この前私の寝顔撮ってたよね?」
かすみ「!」ギクッ
しずく「使わないの?」
かすみ「え……え〜っとぉ」ダラダラ しずく「罪悪感で消した……ってことはないと思うし」
しずく「もしかして、変なこと企んでる?」
かすみ「ちっ、違うから!何も企んでないって!」
しずく「じゃあ、どうして撮ったの?」
かすみ「う……」
しずく「特に理由もないなら、消してほしいんだけど……」
かすみ「わ、わかったから!正直に言うからっ!」
かすみ「…………」
かすみ「……撮った時は、切り札にするつもりだったけど……」
かすみ「寝顔写真持ってることが知られたら、しず子に『消して』って言われると思って」
しずく「うん、かすみさんが出してきたらそうするつもりだったけど」
かすみ「……なんか、それって…………嫌っていうか」
しずく「……えっ?」 かすみ「ちょっとした時にあの写真を見ると、癒されるっていうか……///」
かすみ「だから……消されたくなくて、使わないようにしてたっていうか……///」モジモジ
しずく「…………」
かすみ「……しず子?」
しずく「……//////」カァァァァァァ
しずく「っ///」ダダダダ
かすみ「…………」
かすみ「……写真、消さなくてもいいのかな?///」
侑「って!!今度はしずくちゃんが逃げるんかい!!」ダッ(追いかける) ●「寝顔B」
…ガチャ
かすみ「……」コソッ
しずく「……」スヤスヤ
かすみ「…………」
かすみ「……」コソコソ(しずくに近づく)
しずく「…………」
しずく「(今日も静かに入ってきたけど、また何かするつもりかな)」(寝たふり)
かすみ「……」ストン(しずくの向かいの席に座る) しずく「(これ以上写真は撮られたくないし……シャッター音が聞こえたら、すぐに起き)」
かすみ「……」スッ ナデナデ
しずく「(っ!?///)」(反応しないように堪える)
かすみ「……」ナデナデ
かすみ「……いつも、お疲れ様」
ガチャ
愛「おっはよ〜♪」
侑「……」キョロキョロ(警戒態勢)
かすみ「あっ、おはようございます」 侑「…………」
侑「……」ブワッ
かすみ「……えっ!?侑先輩、どうしたんですか!?」アタフタ(侑に近づく)
侑「……かすみちゃんとしずくちゃんが、大人しく部室にいることに感動して」ウッウッ
かすみ「うっ……今まで何度も探しに来てもらってすみませんでした……」
侑「今日こそは、時間通りにミーティング始められそうで良かった〜!」グッ
愛「…………」
愛「……」ストン(しずくの隣の椅子に座る)
愛「ゆうゆもああ言ってることだしさ」コソッ
愛「時間までには顔の熱が冷めるように、頑張れ〜♪」コソッ
しずく「………………はい////」プシュー 今日はここまで
数か月ぶりに代行無しでSS書けたことに感動 まさか別々のさくらんぼが2人ともしずかす書いてくれるとは
すげえニヤニヤした やり取りがかわいくて癒やされる
短編集だから短いのかと思ったら続くのか
嬉しい ●「目線の違い」
学園内廊下
かすみ「ぐぬぬぬぬぬ……」スタスタ
かすみ「最近ど〜もしず子にからかわれたり、振り回されてばっかりな気がする」
かすみ「この辺りでぎゃふんと言わせたいけど……どうすれば」ムムム
果林「あら、かすみちゃんじゃない」
彼方「今から部室へ向かうところかな〜?」
かすみ「あ、果林先輩に彼方先輩」
かすみ「……そうだ!」
かすみ「あのっ、二人に相談したいことが……」
彼方・果林「?」 ――――
――
彼方「ふむふむ……つまり、しずくちゃんにいつものお返しをしたいと〜」
かすみ「そうなんですよ〜!」
果林「……話を聞く限り、ほとんどかすみちゃんが自爆しているだけな気がするわね」
かすみ「ぐっ……ぐぬぬぬぬぬ」
彼方「まぁ、しずくちゃんを悲しませたいわけじゃなさそうだし……」
彼方「少しだけなら、一緒に考えてあげよう〜」
かすみ「本当ですか!?」
果林「はぁ、仕方ないわね……今回だけよ?」
かすみ「さ〜っすが!話がわかります!」 彼方「そうだね〜……しずくちゃんが相手となると……」
彼方「言葉でやり込めようとしても、返り討ちに合うのがオチだと思うんだよ〜」
かすみ「うぅ……否定できないです……」
彼方「だから、行動や態度で何とかするのがいいんじゃないかな〜?」
かすみ「行動や態度、ですか」
果林「そうね、あとは……」
果林「いつもと違う自分を見せたり、普段しないことをすればしずくちゃんも驚くんじゃないかしら」
かすみ「なるほど……」
生徒「あ、あの!すみません!……朝香果林さんですよね!?」
果林「……あら、私に何か用かしら?」ニコッ(営業スマイル) 生徒「え、えっと!///……握手とサインをお願いしたいんですけど……」モジモジ
果林「ええ、いいわよ」
生徒「ありがとうございます!」ペコッ
果林「二人とも、ちょっとここで待ってて」スタスタ(少し離れた場所へ移動する)
かすみ・彼方「「はーい」」
かすみ「……相変わらず、モテモテですね〜」
彼方「果林ちゃんはクールに見えてファンサも手厚いし、かっこいいからね〜」
彼方「あ、ほら見て」
彼方「ファンの子が小柄で可愛い感じだから、果林ちゃんがいつもより高身長に感じるよ〜」
かすみ「……確かに、そうですね」 果林「……」スラスラ
果林「これでいいかしら?」スッ(サインを渡す)
生徒「はいっ!感激です!///」
果林「…………」
果林「……」アゴクイ
生徒「ひぇっ!?!?///」ドキッ
果林「応援してくれてありがとう」
果林「私の方こそ……あなたみたいなファンに会えて嬉しいわ」ニコッ
生徒「っ!!!//////」ドキーン!
生徒「こ、これ以上は……限界です〜〜〜!//////」ダダダダ
かすみ・彼方「…………」 かすみ「……ファンの人、顔真っ赤にして走って行きましたね」
彼方「果林ちゃん……なんて罪な女」
果林「……」スタスタ
彼方「おかえり〜」
果林「……ちょっと、やりすぎちゃったかしら」
彼方「いやいや〜ますます果林ちゃんの虜になったと思うよ〜」
果林「それならいいんだけど……」
かすみ「…………」
かすみ「……!」ハッ
かすみ「こ、これですよ!」
彼方・果林「……えっ?」 ――――
――
スクールアイドル同好会部室
かすみ「……」ドヤッ
彼方・果林「…………」
果林「かすみちゃん……どうして踏み台に乗って仁王立ちしてるの?」
かすみ「ふっふっふ……さっきの果林先輩を見て思いついたんですよ!」
かすみ「高いところからしず子を見下ろして、アゴクイしながら甘い言葉をささやく……」
かすみ「そうすれば!しず子もドキドキして逃げ出すに決まってます!」
果林「…………」 かすみ「背を高くすることで、いつもと違う自分を見せられますし」
かすみ「アゴクイなんてしたことないですから、果林先輩が言ってたことと完璧に合ってますね!」
かすみ「それに!今のかすみんは果林先輩よりも大きいですから、向かうところ敵なしですよ!」フフン
果林「…………」
彼方「果林ちゃん……さっきから、突っ込みを放棄しないでほしいんだけどな〜」
彼方「……かすみちゃん、侑ちゃんからも注意されてたみたいだけど」
彼方「しずくちゃんが逃げるようなことをするのは良くないよ〜」
かすみ「大丈夫ですって〜!」
かすみ「逃げたらかすみんが責任を持ってミーティング前に連れ戻しますから!」
彼方「う〜ん……何故か、嫌な予感しかしないなぁ」 ガチャ
しずく「おはようございます」
かすみ「あっ!」
かすみ「しず子!ちょっとこっち来て!」
しずく「えっ?……うん」スタスタ
かすみ「はい!じゃあこのままここに立ってて!」
しずく「……?」ピタッ
彼方「うわぁ〜なんてひどいシチュエーション」
果林「……この様子なら、しずくちゃんが逃げ出すことはなさそうね」
彼方「そうだね〜」 彼方「いや〜、何事も起こらなそうで安心したよ〜」ウンウン
かすみ「…………」フゥー(深呼吸)
かすみ「……」スッ アゴクイ
しずく「……えっ」
かすみ「私、しず子のこと………………っ!?///」ドキッ!
しずく「……?」ジー(上目遣い)
かすみ「……///」キューン しずく「……」ジー(上目遣い)
かすみ「……///」キュンキューン
しずく「……何?」キョトン(首を傾げる)
かすみ「……っ!///」ドキーン!
かすみ「う///…………うわぁぁぁぁぁ!!!///」ダダダダ
しずく「ちょ、ちょっとかすみさん!?ホントに何!?」
彼方・果林「…………」 彼方「逃げたのはかすみちゃんの方だったか〜」
果林「かすみちゃん自身も……普段見ないしずくちゃんの姿を見ることになっちゃったのね」
彼方「やっぱり、ちゃんと止めさせるべきだったね〜……反省、反省」
しずく「もう……人の顔見て逃げ出して、何なの」ムー
彼方「……しずくちゃんも、罪な女だね〜」
しずく「えっ?……どういうことですか?」
彼方「なんでもないよ〜、気にしないで」
しずく「?」
彼方「それよりも……かすみちゃん、戻って来なそうだね〜」
しずく「……そうですね」 しずく「はぁ……私、探しに行ってきます」
彼方「いやいや〜、ここは責任を持って私と果林ちゃんで行ってくるよ〜」
果林「ええ、私達が責任を持って探してくるわ」
しずく「そ、そうですか?」
しずく「お二人がそこまで言うなら……お願いします」ペコッ
彼方「かすみちゃんの行動に振り回されて、しずくちゃんも大変だね〜」
しずく「はい……そうなんです」
しずく「いつもこうやって、突拍子もないことを言って巻き込むんですよ」
しずく「……さっきだって……その///」
果林「(……あら?)」 しずく「いきなり顔に触れたと思ったら近づいてきて……ビックリしましたよ///」
しずく「かすみさんって、本当にわけがわからないですよね……///」
果林「…………」
果林「……ふふっ」
しずく「?」
しずく「……果林さん?」
果林「ごめんなさいね」クスクス
果林「しずくちゃん達が可愛くて……つい」
彼方「うんうん、わかるよ〜」
しずく「えっ///……お、お二人までどうしちゃったんですか?///」 ●「バレーボール」
1年生 VS 2年生で試合中(愛は強すぎるため主審)
歩夢「せつ菜ちゃん!」レシーブ
せつ菜「お任せください!」タッ
せつ菜「……『せつ菜☆スカーレットストーム!!』」バシィッ!
シュルルルルル(ボールが飛んでくる)
璃奈「……わっ!」オロオロ
かすみ「っ!」ダッ
かすみ「なんのー!!」バシッ(ボールを片腕ではじく)
…ダンッ!(ボールが地面に落下する) 愛「」ピーッ!(2年生チームに得点、のジェスチャー)
侑「せつ菜ちゃん!すご〜い!」
歩夢「うん!かっこよかったよ!」
せつ菜「ふぅ、今日も世界を救ってしまいました!」ハイタッチ
かすみ「くぅ〜!もうちょっとで上にはじくことができそうだったのに〜!」
璃奈「……かすみちゃん、ありがとう」
かすみ「っ!……べ、別にりな子を守ろうと思ったわけじゃないし〜///」(目逸らし)
しずく「…………」
しずく「(……いいなぁ璃奈さん)」
かすみ「せつ菜先輩!次からはかすみんの真正面に打ってくださいよ〜!」 かすみ「かすみんのスーパープレイで、華麗に受け止めて見せますから!」フフン
せつ菜「むっ!……かすみさんがその気なら……いいでしょう!」
せつ菜「本気でいきますから!覚悟してくださいね!」
かすみ「ふっふ〜ん!望むところです!」
璃奈「……そうやって挑発して、私達にあのボールが飛んでこないように配慮も」
かすみ「だっ、だから!そんなんじゃないってば!///」(食い気味)
愛「じゃ!そろそろ再開するよ!」
愛「」ピッ(サーブ開始の合図)
侑「行くよー!それっ!」バシッ
璃奈「……えいっ!」レシーブ
かすみ「ナイスりな子!」 かすみ「しず子!!行ったよ!!」
しずく「(私も、かすみさんに……)」ボー
かすみ「ってしず子何してんの!?上見て!上っ!」
しずく「……ん?」フィッ
シュルルルルル
しずく「……えっ」
しずく「きゃむっ!!」ボンッ!
しずく「」フラッ
しずく「」…ドサッ(床に倒れる) かすみ「し、しず子〜!!」\\シズクチャーン! ザワザワ//
愛「」ピーッ!(タイムアウトの合図)
愛「皆!下がって!」タッタッタッ(しずくに駆け寄る)
愛「しずく!大丈夫!?」トントン
しずく「ぅぅ……」
愛「……良かった、意識ある」ホッ
愛「パッと見、出血とかはなさそうだけど……どっか痛む?」
しずく「……」ボー
しずく「……〜」ボソボソ
愛「……えっ、なんて?」(しずくの顔に耳を近づける) しずく「なんで……私のことは守ってくれないの……」ボソッ(無意識)
愛「…………」
愛「いや、あのチャンスボールでそれは無理があるっしょ〜」
しずく「……!」ハッ(正気に戻る)
愛「しずくも乙女だな〜」
しずく「…………」
しずく「……っ///」カァァァ
愛「思わず……言うの『を止め』ることはできなかったか〜、『乙女』だけに!なんつって〜!!」アハハ
しずく「〜〜っ///」(両手で顔を覆う)
かすみ「……どういう状況?」(←聞こえてない) ――――
――
帰り道
かすみ「うーん……結局最後までせつ菜先輩のボールを攻略できなかった」ムムム
かすみ「でも、あとちょっとでいけそうだったし……次は絶対に勝ってみせるっ!」グッ
かすみ「ねっ!しず子!」
しずく「……」ズーン
かすみ「…………」
かすみ「も〜、いつまで凹んでんの」
しずく「うぅ……」 かすみ「負けて悔しいのはわかるけど、仕方ないじゃん」
しずく「……悔しいというか……自分の不甲斐なさとか、図々しさが恥ずかしいというか……」ボソッ
かすみ「今回ダメならもっと練習すればいいだけし!」
かすみ「さぁ!打倒せつ菜先輩だよ!」ビシィッ!(空に向かって指差す)
しずく「……その前向きさが……今は眩しい」
かすみ「も〜!どうしろっていうのさ〜!」
しずく「…………」
しずく「かすみさんも面倒な私なんかより、素直で可愛い璃奈さんの方がいいよね……」
かすみ「……よくわかんないけど、そういうとこはすっごくめんどくさい」
しずく「……」ズーン
かすみ「だから〜!!!」 しずく「(はぁ……私ってどうしてこう……)」
かすみ「……しず子がそんなんだと調子狂っちゃうじゃん」
しずく「(何も悪くない璃奈さんに勝手に嫉妬して……)」
しずく「(愛さん達にも……かすみさんにもこうやって迷惑かけちゃうし……)」
かすみ「……ん?」
しずく「(……こんな可愛げのない私なんて、誰も)」
かすみ「しず子」グィッ(しずくを引き寄せる)
しずく「えっ……」
通行人(自転車)「あっ、すいませ〜ん」
かすみ「ほら、ボーっとしてるからぶつかりそうだったじゃん」
しずく「…………」
かすみ「はぁ〜しず子って普段しっかりしてるのに、たまにこういうとこあるから目が離せないんだよね〜」 しずく「…………」
しずく「……ふふっ♪」
かすみ「……!」
しずく「ありがとう」ニコッ
かすみ「っ///……これくらい、いいし///」
しずく「……次は、試合で勝てるように頑張ろうね♪」
かすみ「えっ?……も、もちろん」
しずく「〜〜〜♪」
かすみ「…………」
かすみ「全く……しず子もわけわかんないんだから」ホッ(安堵の表情) ●「国際交流学科所属」
かすみ・しずく、二人で買い出し中
かすみ「ふ〜……ずっと歩きっぱなしでかすみん疲れたぁ〜」
しずく「そうだね……ちょっと休憩していこっか」
かすみ「さんせ〜い」
しずく「そこで飲み物買ってくるから待ってて」タッタッタッ
かすみ「あ、うん……ありがと」
かすみ「……」ボー
外国人「Excuse me.」
かすみ「……ふぇっ?」 外国人「May I ask you something?」
外国人「I'm looking for the nearest bus stop. Do you know where it is?」
かすみ「えっ、ちょ!わかんないわかんない!」
かすみ「し、しず子!助けて〜!!」
しずく「えっ?…………!」ハッ
しずく「か、かすみさん!」タッタッタッ
しずく「あのっ!何か御用ですか!?」スッ(かすみの前に出る)
外国人「Oh! Is she your friend?」
(約:あ!お友達さんですか?)
外国人「Actually, I got lost.」
(約:実は……道に迷いまして)
外国人「Could you tell me the way to the bus stop?」
(約:バス停までの道を教えてもらえないでしょうか?) しずく「…………」
しずく「(な、なんだ……そういうこと……)」ガクッ
――――
――
外国人「Thank you so much! You really saved me!」
(約:ありがとうございます!助かりました!)
しずく「You're welcome.」ニコッ
(約:どういたしまして)
かすみ「ほぇ〜さすがしず子……専門的に学んでるだけあるぅ〜」
かすみ「あ、それに海外の映画とかもよく見てるもんね」
しずく「……ちゃんと聞いていれば、かすみさんにも何となくわかったと思うよ?」
かすみ「えっ、そうだった?」
しずく「英語だからって反射的に逃げたでしょ」
かすみ「う……だ、だって、いきなりでビックリしちゃって」 しずく「大声で助けて〜なんて言うから、ビックリしたのはこっちだよ」ハァ
かすみ「ぐっ……ぐぬぬぬぬぬ」
しずく「(まぁ、かすみさんが無事で良かったけど……)」フゥ
外国人「…………」
しずく「(私てっきり)」
外国人「It's just my guess, but... did you think I was a suspicious person?」
(約:もしかして……危ない人だと思いました?)
しずく「……えっ?」
かすみ「?」
しずく「……あっ!いや、ええと………………はい……じゃなくて……」
しずく「Yes... Sorry for my misunderstanding.」
(約:はい……勘違いしてすみません)
外国人「Ha ha! Don’t worry about it.」
(約:あはは!気にしなくていいですよ〜) 外国人「However, you talked to me. You're courageous.」
(約:それなのに私に話しかけるなんて、度胸ありますね〜)
しずく「…………」
しずく「……」チラッ(かすみの方を見る)
かすみ「???」ポカーン
しずく「...She always helped me when I was in trouble.」
(約:……彼女はいつも、私が困った時に助けてくれるんです)
しずく「Therefore, I want to help her, too.」
(約:ですから、私も彼女の力になりたいって思ってるんです)
外国人「Oh, I see.」ニコニコ
(約:そうなんですね)
しずく「……///」 外国人「...Is she your sweetheart?」
(約:……彼女は特別な人ですか?)
しずく「えっ!?///」
しずく「……」チラッ
かすみ「?????」ポカーン
しずく「…………yes///」ボソッ
外国人「Oh〜^」
(約:あら〜^ )
しずく「……あ!でもそこまで深い関係じゃなくて!!///えっと、えっと」アタフタ
外国人「Oh! In that case, I am disturbing you guys.」
(約:あ!なら私、お二人の邪魔になってますね)
しずく「……えっ!ち、違いますから!!そんなこと全然ないですから!!ノー!!ノーです!!」 外国人「Alright, then. I will leave right away! 」
(約:では、邪魔者はさっさと去るとしますか!)
外国人「Thank you so much! Be happy!」タッタッタッ
(約:本当にありがとうございました!お幸せに〜!)
しずく「あっ!ちょ、ちょっと待ってください〜!!」
しずく「(うぅ///……絶対に誤解された///)」
かすみ「……ねぇ」
しずく「!」ドキッ
かすみ「あの人なんて言ってたの?」
しずく「…………」
しずく「バス停の近くにオススメのお店はありませんか、って」
かすみ「いや、さすがに違うってわかるから」 ●「寝不足の理由」
かすみ「……ふぁ〜ぁ」(欠伸)
歩夢「かすみちゃんが欠伸をするなんて珍しいね」
かすみ「あ、歩夢先輩」
かすみ「実は最近……夜考え事をしちゃってなかなか眠れないんですよ」
かすみ「睡眠不足はスクールアイドルの天敵だって、わかってはいるんですけどね〜」ムムム
歩夢「へぇ〜、かすみちゃんもそういうことあるんだね」
かすみ「ん?ということは……歩夢先輩もですか?」
歩夢「うん、よくやっちゃうんだ」
かすみ「いや〜……ホントやっかいですよね〜」
歩夢「ふふっ、そうだね」 歩夢「好きな人のことって、ずっと考えちゃうからやっかいだよね///」テレテレ
かすみ「しず子をあっと言わせるには…………ってあれ!?好きな人!?」
歩夢「えっ?///」
歩夢「…………」
歩夢「あっ!///今のはその……好きな人っていうか……」
歩夢「こ、恋をすると眠れなくなるって聞いたことがあるな〜って!」アセアセ
かすみ「えっ!?」
かすみ「…………」
かすみ「……眠れないくらい考えてたら、恋してるってことですか?」
歩夢「……そ、そういう考え方もあるってことだよ!!」 歩夢「あくまで一般的な話だから!別に私のことじゃなくて……///」
歩夢「……って、かすみちゃん?」
かすみ「」ポカーン
歩夢「…………」
歩夢「……放心してる」
侑「歩夢〜そろそろ帰るよ」
歩夢「!///……う、うん!///」
歩夢「じゃ、じゃあねかすみちゃん!また明日!」
侑「かすみちゃん、お疲れ〜」フリフリ(手を振る)
かすみ「」 次の日 ミーティング中
かすみ「……」ウトウト
侑「で、次のライブではこういう方針でいこうと思うんだけど」
かすみ「」…ドンッ!!(机に頭を強打する)
侑「うわっ!!か、かすみちゃん大丈夫!?」
かすみ「……だ、大丈夫……です」ジンジン
侑「……なんか今日ボーっとしてるけど、具合悪いなら帰った方がいいんじゃない?」
かすみ「い、いえ!平気ですっ!」
しずく「…………」
しずく「……かすみさん」スッ(かすみの顔を自分の方に向かせる)
かすみ「ふぇ?…………っ!?///し、しず子!?///」ドキッ しずく「……やっぱり、顔色悪い」
しずく「寝不足?だったら仮眠とった方がいいんじゃない?」
かすみ「だ、大丈夫だって!///」
しずく「かすみさんが寝るまでそばで見てるよ?」
かすみ「それ逆効果だからっ!///もっと眠れなくなるからっ!///」
かすみ「ていうかっ!///考えないようにしてるんだから近づかないでよ〜!///」
\\ギャー ギャー//
歩夢「(……かすみちゃん、ごめん)」
侑「二人とも、話聞いて……」ウッウッ
歩夢「(……それから、侑ちゃんも)」 ●「おねだりの仕方@」
しずく『オフィーリア!おいで!』(動画)
オフィーリア『ワンワン!』ガバッ
しずく『きゃっ!……もう、オフィーリアったら〜♡』ナデナデ
オフィーリア『ハッハッ、クゥ〜ン』ペロペロ
しずく『あはは!くすぐったいってば〜♡』ナデナデ
エマ「わぁ〜!かわいいねぇ〜♡」
しずく「ですよね!!エマさんもそう思いますよね〜♡」デレ〜
璃奈「しずくちゃんにナデナデされて、幸せそう」
しずく「ふふ、可愛いからつい撫でたくなっちゃって〜♡」デレ〜
璃奈「……あ、そっか」ポン
しずく「ん?」 璃奈「かすみちゃんをよく撫でるのも、そういう……」
しずく「っ!///……別に、そんなつもりじゃ……///」
エマ「しずくちゃんはかすみちゃんのことが大好きだもんね♪」
しずく「エ、エマさんまでやめてください!///」
エマ「えっ……」
しずく「えっ」
エマ「……しずくちゃんは、かすみちゃんのこと嫌いなの?」ウルウル
しずく「うっ!……その、嫌いというわけでは……」ゴニョゴニョ
エマ「……」ウルウル(悪意のない目)
しずく「(うぅ……この顔には、勝てない……)」 しずく「(仕方ない……)」グッ
しずく「……か……かすみさんのこと……す……す、好き、ですけど……」
かすみ「……ありがと」
しずく「――っ!!!///」ビクッ
しずく「か……かすみさん!!いつの間に……///」
しずく「い、今のは違っ…………!」ハッ
エマ「良かった〜!やっぱり二人は仲良しなんだね♪」ニコニコ
しずく「(くっ……エマさんの手前、否定できない……///)」
かすみ「…………」 しずく「(ここは一旦逃げるしか)」クルッ
かすみ「ま、待って!」ガシッ
しずく「きゃっ!」
侑「……!」ホッ
かすみ「…………」
かすみ「……私、しず子にナデナデされるの好きだから!!///」
しずく「っ!?///」ボッ
かすみ「だから……いつでもしていいからっ!!///」
しずく「……///」
かすみ「……そ、それだけっ!///」パッ(しずくの腕を離す) しずく「……///」
しずく「っ///」ダダダダ
エマ「し、しずくちゃーん!?どこ行くの!?」
侑「ねぇ、今離す必要なかったよね?」
エマ「!」
エマ「わかった!侑ちゃん、一緒に追いかけるよ!」ガシッ
侑「ってエマさん!?私を離すなってことじゃなくてぇぇぇぇ!!!」ダダダダ(エマに引っ張られる)
璃奈「…………」
璃奈「……私達の話、聞いていたんだね」
かすみ「……///」 璃奈「今回はずいぶん素直だったけど……どうかしたの?」
璃奈「かすみちゃんのことだから、もっと勝ち誇った顔をするとか、調子に乗ってからかうと思ってた」
かすみ「……りな子も結構、はっきり言うよね……」
かすみ「…………」
かすみ「さっきのタイミングでしず子のことからかったり、変に意地張ったら……」
かすみ「……ナデナデしてくれなくなるかも、って思って……///」モジモジ
璃奈「…………」
璃奈「……」ナデナデ
かすみ「えっ!?///」
璃奈「(しずくちゃんが言ってたこと……ちょっとわかった気がする)」ナデナデ
かすみ「ちょ、ちょっとりな子!///なんなの〜!?///」 ●「おねだりの仕方A」
彼方「あぁ〜……」ゴロゴロ
しずく「……」ナデナデ(彼方をソファーで膝枕中)
彼方「しずくちゃんの太ももと、手が……気持ちいい〜」グデー
しずく「もう……変な言い方しないでください」ナデナデ
彼方「あはは〜ごめんごめ〜ん」
かすみ「ぐぬぬぬぬぬ……」
かすみ「しず子ってば、かすみんが一番可愛いからいっぱい撫でるんじゃなかったの!?」プンプン
璃奈「かすみちゃん……都合よく記憶を書き換えないで」 彼方「えへへ〜……しずくちゃ〜ん♪」ゴロゴロ
しずく「……ふふっ♪」ナデナデ
かすみ「……」ジー
彼方「…………ん?」パチッ(かすみと目が合う)
かすみ「あっ!」
かすみ「……」フィッ
彼方「…………」
彼方「……さ〜てと」ムクッ
しずく「あれ?彼方さん、もういいんですか?」
彼方「うん、しずくちゃんのお膝は十分堪能できたからね〜」 彼方「甘えさせてくれて、どうもありがとう〜」ナデナデ
しずく「どういたしまして」ニコッ
かすみ「……」ジー
彼方「……おおっと〜、これ以上はマズいかな〜?」パッ
しずく「?」
彼方「それじゃあ璃奈ちゃん、行こうか〜」スッ(立ち上がる)
璃奈「うん」スッ スタスタ
しずく「えっ、どこへ行くんですか?」
彼方「…………」
彼方「学園内にある、まだ見ぬ至高の寝所を探しに行くのさ」キリッ
璃奈「私は、その付き添い」【 ・`д・´】キリッ
しずく「ええ……?どうしてまた突然……」 しずく「……よくわかりませんけど、ミーティング前には戻ってきてくださいね」
彼方「もちろんだよ〜」スタスタ
彼方「……」ピタッ(かすみの前に立つ)
かすみ「……ふぇ?」
彼方「……」スッ(かすみの耳に顔を近づける)
彼方「……思う存分、しずくちゃんに甘えなよ〜」コソッ
かすみ「…………」
かすみ「!?!?!?//////」ボッ
彼方「それじゃあ〜」フリフリ(手を振る)
璃奈「……また、後でね」ガチャ バタン かすみ・しずく「…………」
しずく「マイペースな彼方さんはともかく……璃奈さんまで珍しいね」
かすみ「う、うん……///」
かすみ・しずく「…………」シーン
かすみ「…………」
かすみ「……」スッ(立ち上がる)
かすみ「……」スタスタ ストン(しずくの隣に座る)
しずく「(……ん?)」 かすみ「……」ソワソワ
しずく「…………」
しずく「(妙に落ち着きが無いけど……何か言うわけでもない)」
かすみ「……」ウーン(悩み顔)
しずく「(気になるけど、下手に構って逃げられても皆さんに迷惑だし……放っておこう)」
しずく「(オーディションに向けての練習でもしようかな)」ゴソゴソ(台本を取り出そうとする)
かすみ「……!」ハッ
かすみ「し、しず子!」
しずく「?」
かすみ「え、ええっとぉ〜……」 かすみ「か、かすみんのこと撫でていいよ!!」
しずく「…………」
しずく「……はい?」
かすみ「ほ、ほら!皆が来るまでまだ時間あるし!」
かすみ「やることないなら、ねっ!?」
しずく「……そう言われると、あんまり撫でる気が起きないかな……」
かすみ「ぐっ……」
かすみ「……じゃ、じゃあ!かすみんのことオフィーリアだと思っていいから!」
しずく「ええ…………何でそんなに必死なの……」
かすみ「う〜……しず子ぉ〜」ウルウル(懇願の顔) しずく「…………」
しずく「(……今日のかすみさん、いつにも増して変だけど)」
かすみ「……」ウルウル
しずく「(ちょっと、可愛…………じゃなくて、可哀想に見えてきたし……)」
しずく「(……少しくらいなら、いっか)」フフッ
しずく「……おいで、かすみさん」ポンポン(自分の膝を叩く)
かすみ「!」
かすみ「……う、うん!///」
かすみ「…………」フゥー(深呼吸)
かすみ「……」ドキドキ しずく「(……なんか、こっちまで緊張しちゃう)」
かすみ「……」ゴロン(しずくの膝の上で寝る)
しずく「…………」
しずく「……」ナデナデ
かすみ「ぁぁ〜……」グデー
しずく「……ふふっ、かすみさんったら変な声出して」クスクス
かすみ「……っ///」
かすみ「だ、だってしず子の膝と手が……気持ちいいから///」
しずく「はいはい♪」ナデナデ
かすみ「……あ゛ぁ〜///」フニャ〜 ――――
――
かすみ「……」ニヘー
しずく「(かすみさん、蕩けた顔してるけど)」ナデナデ
かすみ「……」ポヤーン
しずく「(……このままだと眠っちゃいそう)」ナデナデ
しずく「…………」
しずく「えい」サワッ(かすみのお腹を撫でる)
かすみ「わっひゃぁぁぁぁ!?!?///」ビクッ
かすみ「ちょ、ちょっとしず子!何すんの!?///」 しずく「……かすみさん、オフィーリアだと思っていいって言ってたよね?」
かすみ「そ、そうだけどっ!」
しずく「オフィーリアって、お腹を撫でられるのが好きなんだ〜♪」ニコニコ
かすみ「……!」ゾクッ
しずく「だから………………そ〜れ♪」コチョコチョ
かすみ「あっ……!あはははははは!!」
しずく「このこの〜♪」コチョコチョ
かすみ「あははっ!!///や、やめてっ!!///」ジタバタ
しずく「どうしたの〜?いつもは喜ぶのに〜♪」ニッコニコ
かすみ「はぁ……はぁ……///」 かすみ「こ、こうなったら……///お返し〜!」ガバッ
しずく「きゃっ!待って待って!///」
かすみ「えいっ!」サワサワ
しずく「ひゃぁっ!///あ、あはははっ!!///」
かすみ「ふっふ〜ん♪かすみんだって、やられっぱなしじゃないよ〜♪」コチョコチョ
しずく「あっ!あはははははは!!///」
しずく「わっ……私だって!!///……いつもオフィーリアとじゃれ合ってるんだから!!」ガバッ
しずく「これくらいで絶対に負けないから〜!!」コチョコチョ
かすみ「あはっ、あははははははは!!///」ジタバタ
ガラッ!
せつ菜「おはようございます!!」ペカー せつ菜「賑やかな声が聞こえましたが!!一体何を」
しずく「えっ」クルッ(かすみを組み敷いた体制)
かすみ「//////」ハァ ハァ(真っ赤)
しずく・せつ菜「…………」
せつ菜「おっ…………///」カァァァ
せつ菜「お邪魔しましたぁぁぁぁぁっ!!!///」バタン! ダダダダ
しずく「…………」
しずく「……//////」カァァァァァァ ――――
――
空き教室
彼方「いや〜……かすみちゃんは世話が焼けるね〜」
璃奈「……本当に、そう」モグモグ
彼方「璃奈ちゃんも一緒に来てもらっちゃって、ごめんね」
璃奈「ううん」フルフル
璃奈「彼方さんの手作りクッキーをもらえたから、ついて来て良かった」モグモグ
彼方「璃奈ちゃんはいい子だから、ご褒美をあげたくなっちゃうんだよ〜」
璃奈「ありがとう……すごく美味しいよ」モグモグ
彼方「ふふ、また作ってくるからね〜」ナデナデ …ダダダダ
彼方「……ん〜?」
彼方「何やら、廊下が騒がしい〜?」チラッ
せつ菜「しずくさん達が部室でいいいかがわしいことをしてたなんてっ!!!///」ダダダダ
せつ菜「絶対に言いふらしませんからぁぁぁぁっ!!!///」ダダダダ
しずく「してませんからっ!!///」ダダダダ
しずく「というか!大声で言っちゃってるじゃないですか!!///」ダダダダ
せつ菜「いや!!待ってください!!生徒会長として見過ごすのも問題のような気がします!!」ダダダダ
しずく「ちょ、ちょっとせつ菜さん!!余計にマズいこと言ってますから!!」ダダダダ せつ菜「う〜ん!!私はどうすればいいんでしょうか!!」ダダダダ
しずく「せつ菜さん!走りながら悩むくらいなら止まってください〜!!」ダダダダ
ダダダダ…
彼方「…………」
彼方「我が同好会が誇る真面目二人組も、世話が焼けるとは……」
彼方「やれやれ……侑ちゃんが部室に来るまでに、何とか連れ戻さないとね〜」
璃奈「うん」
璃奈「さっき愛さんにも連絡したから、すぐに捕まえられると思う」
彼方「そして璃奈ちゃんはこの状況に慣れ過ぎというか……頼もしすぎるな〜」 ●「しずくの気持ち 前編」
スクールアイドル同好会、昼休憩中
侑「ん〜♪かすみちゃんのコッペパン最高〜!」モグモグ
エマ「うん!すっごくおいしいよね〜♪」モグモグ
かすみ「ふっふ〜ん♪当然ですっ!」ドヤッ
かすみ「まだまだありますから、い〜っぱい食べてくださいね!」
かすみ「あっ!これ自信作なんで侑先輩に食べてもらいたいです〜♪」スッ
侑「こっちも美味しそうだね〜!いただきます!」
かすみ「それからこれ、絶対エマ先輩気に入りますよ〜♪ぜひ食べてください!」スッ
エマ「わ〜!ありがとう♪」 侑「かすみちゃんは可愛いだけじゃなくて、料理もこんなに上手なんだもんね〜」
かすみ「も〜侑先輩ったら〜♡」
かすみ「かすみんが一番可愛くて何でもできちゃうなんて〜♡」クネクネ
エマ「私、可愛いかすみちゃんのことも、かすみちゃんのコッペパンも大好き〜♡」
侑「私も〜♪」
かすみ「あ〜ん♡かすみんも、エマ先輩と侑先輩のこと好き好き好き〜♡」ギュー
\\アハハ カワイイ〜//
しずく「……」ムゥ
璃奈「…………」 ――――
――
食事の後片付け中
かすみ「〜〜〜♪」カチャカチャ
璃奈「…………」
璃奈「……」チョイチョイ(かすみの袖を引っ張る)
かすみ「ん?りな子、どうかした?」
璃奈「自然な感じで、あっちを見て」スッ
かすみ「えっ?…………な、何?」チラッ
しずく「……」ジー(ふてくされた顔)
かすみ「…………」 かすみ「……しず子が、不機嫌そうにこっちを見てる?」
璃奈「……」コクリ
かすみ「何かあったの?」
璃奈「……」ジー
かすみ「……何その、かすみんが原因、みたいな目は」
璃奈「おお〜」パチパチ
かすみ「ちょっと!拍手されても全然嬉しくないんだけど!」
璃奈「ん……それじゃあ、気を取り直して」
璃奈「どうしてしずくちゃんがああなったか、心当たりはある?」
かすみ「ええっ、いきなり言われても……」ムムム
かすみ「……午前中はいつも通りだった気がするし」
璃奈「うん」 かすみ「お昼は、皆でかすみんのコッペパンを食べて……」
璃奈「うん」
かすみ「それで今機嫌が悪いってことは……」
かすみ「……お昼の時に、かすみんが何かしちゃったってこと?」
璃奈「!……そう、そうだよ!もう少し!」【 > ▽ < 】ファイト!
かすみ「え〜っと……あの時は皆コッペパンを美味しそうに食べてくれて」ムムム
かすみ「特に、エマ先輩と侑先輩が褒めてくれて」
かすみ「……あっ!それでかすみんのこと、と〜っても可愛いって言ってたっけ〜♡」クネクネ
璃奈「余計なこと思い出さなくていいから(うん!答えに近づいてるよ!)」
かすみ「…………」
かすみ「ひょっとして……逆のこと言ってたりする?」
璃奈「(……そういうところは鋭いのに)」 璃奈「こほん……かすみちゃんが、エマさんと侑さんに取った行動を思い出して」
かすみ「…………」ムムム
かすみ「…………」
かすみ「……!!!」ハッ
かすみ「えっ!?……もしかしてしず子って……」
璃奈「!」
かすみ「そ、そういうこと…………なの?///」
璃奈「……ようやく、気が付いたみたいだね」
かすみ「いや……そりゃあ、さぁ……なんとなくはわかってたけど……」
かすみ「……まさか、そんなに好きだなんて思ってなかったっていうか……///」 璃奈「かすみちゃんはそれを知って……どんな気持ち?」
かすみ「えっ!……そ、そんなの……」
かすみ「……と、当然だし〜って感じ!」
璃奈「素直に答えて」
かすみ「うっ……」
かすみ「…………」
かすみ「嬉しいに……決まってるじゃん……///」カァァァ
璃奈「(……わかってはいたけど……良かった)」ホッ
璃奈「それなら……しずくちゃんの機嫌を直すには、どうすればいいかわかるよね?」
かすみ「……えっ?」 かすみ「うーん……明後日にはどうにかできるかな……」
璃奈「何言ってるの」
璃奈「お昼の時は、知らなかったから仕方ないとは思うけど」
璃奈「かすみちゃんが蒔いた種なんだから、今すぐにでも頑張ってもらわないと」
かすみ「そう言われても……どうすればいいかわかんないし……」
璃奈「(……まぁ、かすみちゃんも混乱するよね)」
璃奈「(ちょっと気持ちの整理をさせた方がいいと思うし……ここは間を置いて)」
璃奈「じゃあ、今日の帰り道に……かすみちゃんが言いたいことを、しずくちゃんに伝えてみて」
璃奈「そうすれば、しずくちゃんも自分の気持ちを打ち明けてくれると思うよ」
かすみ「……そのあとは?」
璃奈「しずくちゃんの思いを聞いて、かすみちゃんがそれに応えてあげれば……」
璃奈「……もう、大丈夫」グッ
かすみ「ええ〜?本当にそれで上手くいく〜?」 璃奈「心配いらないから、自信を持ってぶつかってきて」
かすみ「う〜ん、いまいちピンと来ないけど……」
かすみ「……りな子がそこまで言うなら……大丈夫なのかな」
かすみ「っていうか、思いに応えるって……何すればいいの?」
璃奈「……さすがに、それは自分で考えないと」
璃奈「後は、かすみちゃんとしずくちゃんがどうしたいか、だから」
かすみ「…………」ムムム
璃奈「あ、それから……」
璃奈「今話したことは私は何も知らないし、聞かなかったことにするからね」
かすみ「えっ?秘密にする必要ある?」 璃奈「その方が、しずくちゃんは嬉しいと思う」
かすみ「ふ〜ん?……そういうもんなんだ」
璃奈「……これは、かすみちゃんにしか解決できないけど」
璃奈「私、かすみちゃんのこと……信じてるから」
かすみ「りな子……」
かすみ「…………」
かすみ「……わかったっ!」
かすみ「しず子のために、できる限りやってみる!」
璃奈「うん、その意気だよ」【 > ▽ < 】 かすみ「話してくれてありがと!」
かすみ「よ〜し!しず子になんて言うか考えておかないと……」ムムム
璃奈「…………」
璃奈「(かすみちゃん……鈍感だと思っていたけど、いつの間にか成長していたんだね)」シミジミ
璃奈「(さて……)」チラッ
歩夢「侑ちゃんにとって一番可愛くて料理上手で好きなのはかすみちゃんなんだ……」(ふてくされた顔)
侑「いやだから!それはかすみちゃんがさりげなく『一番』って付け加えただけだから!」
璃奈「(……次は、こっちかな)」ヤレヤレ ●「しずくの気持ち 後編」
――――
――
夕方 帰り道
かすみ・しずく「……」スタスタ
かすみ「あのさ、しず子」
しずく「……何?」
かすみ「その……お昼はごめん」
かすみ「私、無神経だったなって」
しずく「……え?」 かすみ「しず子のこと全然わかってなかった」
かすみ「私が、もっと早くしず子の気持ちに気が付いていれば……」
かすみ「しず子が辛い思いをすることも無かったんだよね?」
しずく「え……」
しずく「…………ええええっ!?!?///」
かすみ「私、あの時褒められて調子に乗っちゃって」
かすみ「しず子の気持ちも知らないで、いつものノリでエマ先輩と侑先輩に」
しずく「ちょ、ちょっと待って!!///」(食い気味)
かすみ「?」 しずく「…………」フゥー(深呼吸)
しずく「あの……私の気持ち、って言うのは……?///」
かすみ「…………」
かすみ「……好き、なんでしょ?」
しずく「いや!///そのっ……好きっていうか!///」(食い気味)
かすみ「……色々考えたけど、しず子が言わない理由も何となく想像付いてる」
しずく「……っ!」
かすみ「もし周りの皆が知ったら……何言われるかわかんないもんね」
しずく「…………」
しずく「(……私が気にしてるのは…………周りじゃなくて……)」 かすみ「でも……それでも……」
かすみ「……私には、ちゃんと言ってよ!!」
かすみ「私としず子の仲でしょ!!」
しずく「っ!……だ、だって!」
しずく「正直に話して、かすみさんを嫌な気持ちにさせたらどうしようって……不安で」
かすみ「そりゃ、そう思う人だっているかもしれないよ!?」
かすみ「……でも、私はそんなことで嫌にならないから!!」
かすみ「ていうか!しず子がそんな顔するくらいなら全部知りたいからっ!!」
しずく「……っ///」ドキッ
かすみ「……!」ハッ かすみ「……ごめん、ちょっとカッとなった」
しずく「う、ううん……///」
かすみ「……言いたくないのもわかるけど、私はしず子の口から直接聞きたい」
かすみ「思ってること、正直に話してよ」
しずく「かすみさん……」
かすみ「真剣に聞くって約束するからさ」
しずく「…………」
しずく「(……かすみさんは、いつもそう)」
しずく「(私が必死に隠そうとしていることを、強引に暴こうとする……)」 しずく「(でも、私は…………そんなかすみさんのことが……)」
しずく「…………好き」
かすみ「……!」
しずく「…………」
しずく「初めはね……」
しずく「かすみさんって思い付きと勢いだけで、後先考えないめちゃくちゃな人なんだなって思ってた」
かすみ「……えっ!?」
しずく「……だけど、そうじゃなった」
しずく「意外と中身はしっかりしてて、かすみさんなりのポリシーを持っていて」
かすみ「……」ホッ しずく「そして、それを貫き通すための努力を惜しまない……」
しずく「そうやって皆を笑顔にできるのがかすみさんなんだってわかったの」
かすみ「……えっ」
かすみ「……まぁ、皆が喜んでくれるから頑張ろうっていうのもあるけど///」
しずく「(かすみさんのそういうところも……)」
しずく「なんていうか……もう、器が違うよね」
かすみ「器…………ああ、まあね」
しずく「(今日だって……私が意地を張ってかすみさんに嫌な態度を取っていたのに)」
しずく「(こうやって私と向き合おうとしてくれる)」
しずく「(……自分のことばっかり考えている私とは、大違い)」 しずく「……かすみさんのこと、本当に尊敬してる」
しずく「私と違って……いつも自由で、それでいて自分をしっかり持っているかすみさんは」
しずく「……私にとって、憧れなの」
かすみ「…………」
しずく「(……言っちゃった)」
しずく「(かすみさん、どう思ったかな)」チラッ
かすみ「……///」カァァァ
しずく「……かすみさん?」
かすみ「あ、その……思ってた以上に熱く語ってくれたから///」 かすみ「ホントに好きなんだな〜って///」
しずく「……っ///」
しずく「…………」
かすみ「…………」ウーン(悩み顔)
しずく「私の気持ち、全部話しちゃったけど……かすみさんの返事が欲しいわけじゃなくて……」
かすみ「……!」ハッ
しずく「今まで通りの関係でいられれば十分満足だから、その……」
しずく「かすみさんが良ければ、これからも仲良くして欲しくて……」
かすみ「…………」ウンウン
しずく「……って、聞いてる?」 かすみ「…………」
かすみ「……うん!」グッ(覚悟を決めた顔)
かすみ「しず子!」ガシッ(しずくの両肩を掴む)
しずく「きゃっ!///」ビクッ
かすみ「…………」フゥー(深呼吸)
かすみ「私、付き合う!!」
しずく「えっ……」
しずく「ええーーーー!?!?///」
かすみ「何その反応……しず子だって望んでたことでしょ?」
しずく「えっ、だって、まさかこうなるとは思ってなかったっていうか……///」 かすみ「嬉しくないの?」
しずく「っ!///……う、嬉しくないって言えば…………嘘になるけど……///」
かすみ「じゃあ決まり!」
かすみ「早速だけど……明日は同好会もお休みだし、うちに来て!」
しずく「えっ///」
かすみ「……こういうこと初めてだし、すぐにはしず子の期待に応えられないと思うけど」
かすみ「ちょっとずつお互いに慣れていってさ」
かすみ「いつかしず子が満足できるように、私も頑張るから」
しずく「…………」
しずく「……はいっ!?!?!?//////」 かすみ「あれっ、もしかして明日予定ある?」
しずく「いや…………大丈夫、だけど///」
かすみ「それならいいよね?」
かすみ「詳しいことは後で連絡するから」
しずく「……わ、わかった///」
かすみ「じゃ、そういうことだから!」フリフリ(手を振りながら去る)
しずく「あ、うん…………じゃあね」フリフリ
しずく「…………」 しずく「(えっ!?えっ!?……勝手に話が進んだけど)」
しずく「(かすみさんと付き合うことに……なったんだよね?///)」
しずく「(というか……満足できるように頑張るって何!?何!?何!?///)」パニック
しずく「……!」ハッ(我に返る)
しずく「(……一旦落ち着こう///)」
しずく「…………」フゥー(深呼吸)
しずく「…………」
しずく「(私……明日どうなっちゃうのかな///)」ドキドキ 次の日 かすみの家
しずく「……」コネコネ
かすみ「あーほら、生地がまとまってないじゃん」
かすみ「こういう時は強力粉をちょっと入れると手につかなくなるから」
しずく「……うん」コネコネ
かすみ「そうそう、上手上手」
しずく「…………」
しずく「(……どうして、こうなったんだろう)」
かすみ「いや〜それにしても、しず子のコッペパン愛には感動したよ!」 かすみ「かすみんとしたことが、昨日まで全然気が付かなくってさ〜」
かすみ「しず子を差し置いて、エマ先輩と侑先輩にばっかり食べさせちゃって」
かすみ「そりゃ〜機嫌悪くなるのも仕方ないよね」ウンウン
しずく「……」コネコネ
かすみ「でも、まさかしず子がコッペパン作りまで始めてたのはビックリだよね〜」
かすみ「それでコッペパン作りの天才であるかすみんに教わりたかったけど、ずっと言えなかったなんて」
かすみ「も〜しず子も素直じゃないな〜♪」
しずく「……」イラッ
しずく「っ!」バン!(パン生地を叩き付ける)
かすみ「おお〜!いいじゃん!」 かすみ「叩くとグルテンが強くなって、イーストからの炭酸ガスが逃げなくなるから(以下略)」ペラペラ
しずく「(……こういうことに関しては賢いのに)」
しずく「(どうして!昨日の告白で!パン作りに発想が飛ぶの!)」バン! バン!
かすみ「し、しず子!もうそのくらいでオッケーだから!」
しずく「……」ハァ ハァ
かすみ「早く上手になりたいって気持ちはわかるけど、そんなに焦んなくても大丈夫だって〜」
しずく「…………」
しずく「……あのね、かすみさん」
かすみ「私、嬉しいんだ」
しずく「……えっ?」 かすみ「しず子が私のコッペパンを大好きでいてくれて」
かすみ「……あと、こうやって二人でパン作りができることも」
しずく「…………」
かすみ「だから……しず子が満足できるコッペパンを作れるようになるまで、ずっと付き合うって昨日決めたんだ」
しずく「かすみさん……」
かすみ「あっ!で、でも、そんな簡単にはいかないだろうけどっ!」
かすみ「かすみんのレベルになるには、十年……いや!五十年くらいかかると思うし!」
しずく「……ふふっ、そんなに?」
かすみ「かすみんの才能に追い付くには、それくらい覚悟してよね!!」
しずく「……そっか」
しずく「(そんなに長い間、一緒にいてもいいって思ってくれてるんだ……)」 しずく「…………」
しずく「……うん、わかった」
しずく「私あんまり器用じゃないから、根気強く教えてくれる?」
かすみ「任せて!」
かすみ「何十年かかってもしず子を立派なパン職人にしてみせるから!」
しずく「……私の進路先、パン屋さんになっちゃうの?」クスクス
かすみ「……あ!も、もちろん夢は大女優ってわかってるから!」
かすみ「私だって、しず子には女優になってほしいって思ってるし」
しずく「……うん」
かすみ「よーし!じゃあお喋りはこの辺にして、作業再開しよっか!」
しずく「……はい、ご指導お願いします♪」 かすみ「捏ね具合は丁度いい感じだから……次は発酵の工程にいくよ!」
しずく「…………」
かすみ「発酵は時間と温度で味が全然変わっちゃうから、見極めが重要で」
しずく「(かすみさん、思いっきり勘違いしちゃってるけど……)」
かすみ「最初のうちは生地に触りながら発酵具合を(以下略)」ペラペラ
しずく「(……まぁ、かすみさんのコッペパンが好きなのは本当だし)」
しずく「(パン作りも……かすみさんと一緒なら、極めるのも悪くないかも)」フフッ
かすみ「ってしず子!今重要なこと説明してるんだからしっかり聞いてよね!」
しずく「……は〜い♪」 次の日 スクールアイドル同好会部室
かすみ「じゃっじゃ〜ん!なんと今日は!しず子と二人で作ったコッペパンを差し入れで〜す♪」
侑「えっ!しずくちゃんが作ったの!?」
しずく「……はい、成り行きでそうなっちゃいました」フフッ
侑「すごいね!!それに美味しそう〜!」
かすみ「大事な工程はかすみんがやりましたから味は保証しますよ!」フフン
かすみ「しず子一人で作ったものは、まだ皆さんに提供するには早いですからね!」
エマ「う〜ん!おいしい〜♪」モグモグ
彼方「エマちゃん……食べるの早いね〜」
侑「あっ、それじゃあ私もいただきま〜す♪」\\オイシイー! ワイワイ//
璃奈「…………」 璃奈「かすみちゃん……何があったか、説明してくれる?」
かすみ「あっ!りな子〜♪」
かすみ「私てっきり、『思いを聞いて、応えてあげて』ってりな子に言われた時はさ〜」
かすみ「しず子の好きな味を聞いて、それを作ればいいんだって思ってたんだ」
璃奈「?????」
かすみ「でも、そうじゃなかったんだね!」
かすみ「しず子のコッペパンに対する情熱を聞いて……」
かすみ「そして、しず子が最高のコッペパンを作れるように協力してってことだったんでしょ?」
璃奈「…………」
かすみ「いや〜……しず子の気持ちをそこまで見抜いていたなんて、りな子はすごいよ!」ウンウン かすみ「聞かなかったことにするって言ったのも、秘密にして同好会の皆をビックリさせるためだよね!」
かすみ「確かにしず子ってサプライズ好きなとこあるし、りな子が知らないフリした方が喜ぶよね」ウンウン
璃奈「…………」(無表情)
かすみ「…………」
かすみ「……ん?どうしたの?」
愛「あっ!」
愛「ちょっとかすみ〜ん!りなりーめっちゃふてくされた顔してんじゃん!何したのさ〜!」
かすみ「えっ!?今度はりな子!?なんで!?」
璃奈「…………」(無表情でふてくされた顔)
かすみ「そ、そうなの?……っていうか、わかんないからっ!!」 五十年でも何十年でもずっと一緒にいようねって実質プロポーズしたからセーフ ●「しずくの気持ち 後編(かすみ視点)」(※完全に蛇足です)
――――
――
夕方 帰り道
かすみ・しずく「……」スタスタ
かすみ「あのさ、しず子」
しずく「……何?」
かすみ「その……お昼はごめん」
かすみ「私、無神経だったなって」
しずく「……え?」 かすみ「しず子のこと全然わかってなかった」
かすみ「私が、もっと早くしず子の(コッペパンが大好きな)気持ちに気が付いていれば……」
かすみ「しず子が(いっぱい食べられなくて)辛い思いをすることも無かったんだよね?」
しずく「え……」
しずく「…………ええええっ!?!?///」
かすみ「私、あの時(コッペパンを)褒められて調子に乗っちゃって」
かすみ「しず子の気持ちも知らないで、いつものノリでエマ先輩と侑先輩に(ばっかりパンを配って)」
しずく「ちょ、ちょっと待って!!///」(食い気味)
かすみ「?」 しずく「…………」フゥー(深呼吸)
しずく「あの……私の気持ち、って言うのは……?///」
かすみ「…………」
かすみ「……好き、なんでしょ?(コッペパンが)」
しずく「いや!///そのっ……好きっていうか!///」(食い気味)
かすみ「……色々考えたけど、しず子が言わない理由も何となく想像付いてる」
しずく「……っ!」
かすみ「もし周りの皆が知ったら……何言われるかわかんないもんね」
かすみ「(パンが大好きなんて、エマ先輩とキャラ被っちゃうからね)」
しずく「…………」 かすみ「でも……それでも……」
かすみ「……私には、ちゃんと(いっぱい食べたいって)言ってよ!!」
かすみ「私としず子の仲でしょ!!」
しずく「っ!……だ、だって!」
しずく「正直に話して、かすみさんを嫌な気持ちにさせたらどうしようって……不安で」
かすみ「そりゃ、そう思う人だっているかもしれないよ!?」
かすみ「(『食べたいからいっぱい作ってきて』なんて言われたら、嫌な人だっているだろうし)」
かすみ「……でも、私はそんなことで嫌にならないから!!」
かすみ「ていうか!しず子がそんな顔するくらいなら(何味が好きか)全部知りたいからっ!!」
しずく「……っ///」ドキッ
かすみ「(って、私ばっかり喋ってるじゃん!)」ハッ かすみ「……ごめん、ちょっとカッとなった」
しずく「う、ううん……///」
かすみ「……言いたくないのもわかるけど、私はしず子の口から直接聞きたい」
かすみ「思ってること、正直に話してよ」
しずく「かすみさん……」
かすみ「真剣に聞くって約束するからさ」
しずく「…………」
かすみ「(簡単な味付けだといっぱい作りやすいけど……なんて言うかな……)」 しずく「…………」
しずく「…………好き」
かすみ「……!」
かすみ「(何味が?って聞きたいけど……まずはしず子の話を聞かないとね)」
しずく「初めはね……」
しずく「かすみさんって思い付きと勢いだけで、後先考えないめちゃくちゃな人なんだなって思ってた」
かすみ「……えっ!?」
かすみ「(もしかして最初は美味しくなかった!?変わった具材使い過ぎてた!?)」
しずく「……だけど、そうじゃなった」
しずく「意外と中身はしっかりしてて、かすみさんなりのポリシーを持っていて」
かすみ「(あ、良かった……大丈夫だったみたい)」ホッ しずく「そして、それを貫き通すための努力を惜しまない……」
しずく「そうやって皆を笑顔にできるのがかすみさんなんだってわかったの」
かすみ「……えっ」
かすみ「(私のこともすっごく褒めてくれるじゃん)」
かすみ「……まぁ、皆が(美味しいって)喜んでくれるから頑張ろうっていうのもあるけど///」
しずく「…………」
しずく「なんていうか……もう、器が違うよね」
かすみ「器…………ああ、まあね」
かすみ「(ほぇ〜……しず子って容器とか包みも見てくれてるんだ……)」
かすみ「(今まで手を抜いて作ってたわけじゃないけど……これからはますます気が抜けないなぁ〜///)」 しずく「……かすみさんのこと、本当に尊敬してる」
しずく「私と違って……いつも自由で、それでいて自分をしっかり持っているかすみさんは」
しずく「……私にとって、憧れなの」
かすみ「(しず子、そんなにコッペパンに情熱を持ってたんだ……)」
かすみ「(それに……私のこだわりなんかも、わかってくれてる……)」
かすみ「……///」カァァァ
しずく「……かすみさん?」
かすみ「あ、その……思ってた以上に熱く語ってくれたから///」 かすみ「ホントに好きなんだな〜って///」
しずく「……っ///」
しずく「…………」
かすみ「(……でも結局、しず子の思いに応えるって何すればいいんだろう)」ウーン(悩み顔)
かすみ「(好きな味があるっていうより……私の腕前とか考え方に憧れてるって感じだったよね?)」
かすみ「(う〜ん……憧れ…………尊敬…………)」
しずく「私の気持ち、全部話しちゃったけど……かすみさんの返事が欲しいわけじゃなくて……」(←聞こえてない)
かすみ「(……あれっ!?)」ハッ
かすみ「(ひょっとしてしず子って…………コッペパン作りを始めた!?)」
かすみ「(だから……このコッペパン作りの天才であるかすみんを尊敬してるとか!?)」 かすみ「(……うん、絶対そうだよっ!)」
かすみ「(さっきしず子、『私と違って、自由で〜』とか言ってたし……)」
かすみ「(真面目なしず子のことだから、いかにもテンプレみたいな味付けしかできなくて悩んでたんだ!)」
かすみ「(……っていうことはつまり……思いに応えるっていうのは)」
かすみ「(……私がしず子にパン作りを教えるってこと!?)」
しずく「今まで通りの関係でいられれば十分満足だから、その……」(←聞こえてない)
しずく「かすみさんが良ければ、これからも仲良くして欲しくて……」(←聞こえてない)
かすみ「(っていうかりな子……しず子のコッペパン愛も、こうなることも全部わかってたってこと!?)」
かすみ「(そっか〜!さすが天使・天才・天王寺!って言われるだけあるぅ〜!)」ウンウン
しずく「……って、聞いてる?」(←聞こえてない) かすみ「(でも……ちょっと悔しいかも)」
かすみ「(私は全然わからなかったのに……りな子はしず子のことをこんなにわかってたんだ……)」
かすみ「(……いや!だからこそ!)」
かすみ「(私はその分、しっかりとしず子にパン作りの極意を教えればいいんじゃん!)」
かすみ「……うん!」グッ(覚悟を決めた顔)
かすみ「しず子!」ガシッ(しずくの両肩を掴む)
しずく「きゃっ!///」ビクッ
かすみ「…………」フゥー(深呼吸)
かすみ「私、(しず子のパン作りに)付き合う!!」 しずく「えっ……」
しずく「ええーーーー!?!?///」
かすみ「何その反応……しず子だって(教わるのは)望んでたことでしょ?」
しずく「えっ、だって、まさかこうなるとは思ってなかったっていうか……///」
かすみ「嬉しくないの?」
しずく「っ!///……う、嬉しくないって言えば…………嘘になるけど……///」
かすみ「じゃあ決まり!」
かすみ「早速だけど……明日は同好会もお休みだし、うちに来て!」
しずく「えっ///」
かすみ「……こういうこと(指導)初めてだし、(ちゃんと指導できなくて)すぐにはしず子の期待に応えられないと思うけど」 かすみ「ちょっとずつお互いに(パン作りと指導に)慣れていってさ」
かすみ「いつかしず子が満足できる(コッペパンが作れる)ように、私も頑張るから」
しずく「…………」
しずく「……はいっ!?!?!?//////」
かすみ「あれっ、もしかして明日予定ある?」
しずく「いや…………大丈夫、だけど///」
かすみ「それならいいよね?」
かすみ「詳しいことは後で連絡するから」
しずく「……わ、わかった///」
かすみ「じゃ、そういうことだから!」フリフリ(手を振りながら去る)
しずく「あ、うん…………じゃあね」フリフリ かすみ「(ふ〜……どうなることかと思ったけど、何とかなりそうで良かった〜!)」
かすみ「(そうだ!明日二人で作ったパン、同好会の皆にも配っちゃお〜!)」
かすみ「(先輩達ビックリするだろうな〜♪)」
かすみ「(……あっ!)」
かすみ「(りな子が『秘密にした方がいい』って言ってたのは、そういうことかぁ〜!!)」
かすみ「(しず子のサプライズ好きなとこまでわかってるなんて……さすがりな子)」ウンウン
かすみ「(よ〜し!帰ったら早速準備に取り掛からないと!)」ウキウキ
>>149〜>>157へ続く 今日はここまで
明日と明後日は急用で確実に投稿できないので、しばしお待ちを
保守はするかも ●「しずくの気持ち 完結編」
数日後
しずく「……」パラッ(台本黙読中)
璃奈「…………」
璃奈「……」チョイチョイ(しずくの袖を引っ張る)
しずく「ん?璃奈さん、どうかしたの?」
璃奈「……しずくちゃんは、かすみちゃんに自分の気持ちを伝えないの?」
しずく「……えっ」
璃奈「あ……ごめん、言い直すね」
しずく「えっ?」
璃奈「桜坂しずくちゃんは、中須かすみちゃんに『愛してる』って伝えないの?」
しずく「……!?!?!?//////」ボッ 璃奈「しずくちゃんの恋愛観に、あれこれ言うのは良くないってわかってるけど」
しずく「ちょ、ちょっと待って待って!!///」(食い気味)
しずく「あ、愛してるって///……えっ!?///」
しずく「……というか……なんで丁寧に言い直したの?///」
璃奈「また、間違った解釈をされても困るから」
しずく「(……なんとなくだけど……静かな怒りを感じる)」
璃奈「……それじゃあ、本題に入るけど」
しずく「…………」
璃奈「しずくちゃんは、かすみちゃんに恋をしてるよね?」
しずく「……///」(無言)
璃奈「…………」 璃奈「でもかすみちゃんは鈍感で、しずくちゃんの恋愛的な意味での好きっていう気持ちに、気が付かない」
しずく「……///」(無言)
璃奈「…………」
璃奈「しずくちゃんがいつも発している、かすみちゃんへの隠しきれない愛に、何も感じない」
しずく「……あの……璃奈さんが言いたいこともちゃんとわかってるし……///」
しずく「かすみさんのことが好きなのも認めるから、具体的に言わないでほしいかな……///」
璃奈「ん……」
璃奈「まぁ、しずくちゃんなら大丈夫な気もするし……わかった」
璃奈「そういうことだから……もうしずくちゃんがはっきり言わないと、ずっと気付かれないままだよ?」
しずく「そ、そう言われても……」
璃奈「はっきり、だよ?どんな勘違いをするかわからないから」 璃奈「あっ……よく考えたら『愛してる』もやめた方がいいかも」
璃奈「あのかすみちゃんなら、『愛さんが何かしてる』って思うかもしれない……」ムムム
しずく「(……いつの間にか、璃奈さんのかすみさんへの評価が大きく下がってる……)」
しずく「…………」
しずく「……璃奈さんは、気持ちを伝えた方がいいって思ってるの?」
璃奈「うん」
璃奈「しずくちゃんの好意がわかったら、きっとかすみちゃんも素直になるでしょ?」
しずく「いや、『でしょ?』って言われても……」
璃奈「そうなると、二人は照れ隠しをしなくなるから、私達は学園内を探し回らなくてよくなるよね?」
しずく「うっ…………それについては、いつも皆さんに申し訳ないって思ってます……」 しずく「…………」
しずく「……実は私、この前かすみさんに告白したの」
璃奈「!……そうなんだ」
しずく「でも、全然伝わらなくて」
しずく「……いや、伝わらなかったというより、お互い勘違いをしたまま話が進んでいたというか……」
璃奈「(私が曖昧なことを言ったせいで…………ごめんね)」
しずく「それで、わかったの」
しずく「かすみさんは私のことを全くそういう対象で見てないって」
璃奈「(……そんなはずないけど)」
しずく「……元々、私自身もかすみさんとの関係を変えたいなんて思ってないの」 しずく「だから……最初から告白する必要なんてなかったんだよね」
璃奈「……それは」
しずく「そんなこと、前からわかっていたのに……」
しずく「かすみさんにまんまと乗せられて全部話しちゃって」
しずく「……二人して思い違いをしていたのに…………ふふ、おかしいよね」
璃奈「…………」
璃奈「……かすみちゃんが、なんて言ったかはわからないけど」
しずく「……えっ?」
璃奈「告白する必要がなかったって、本気で思っているなら……」
璃奈「いつもみたいに誤魔化すとか、逃げればよかったよね?」
しずく「……!」 璃奈「……間違ってるかもしれないけど」
璃奈「しずくちゃん……本当は、自分の気持ちを知ってもらいたいんじゃないの?」
しずく「……っ!」
璃奈「…………」
璃奈「……さっきの、学園内を探し回らなくてよくなるって言うのは、冗談として」
璃奈「私は、しずくちゃんがそう思ってるような気がしたから、伝えた方がいいって思ったの」
しずく「…………どうして……」
璃奈「……私も、自分の気持ちが伝わらなくて、悩んだことがあったから」
璃奈「しずくちゃんのは恋愛感情だから、私の悩みとはちょっと違うけど」
しずく「…………」 璃奈「それから…………逆に、知られることが怖いっていう気持ちも、すごくわかるよ」
璃奈「かすみちゃんみたいにいつも自信満々で、単純で、怖いもの知らずならそう思わないんだろうけど」
璃奈「自分の感情を否定されるんじゃないかって考えたら、不安になっちゃうよね」
しずく「…………」
璃奈「……なんて、勝手にしずくちゃんの気持ちを決めつけちゃったけど」
しずく「…………私は……」
璃奈「でも……もし、しずくちゃんがそういう不安を抱いてるとしても」
璃奈「少なくともかすみちゃんは……自分への好意を蔑ろにするような人じゃないよ」
しずく「……!」
璃奈「……素直じゃないところは、あるけどね」 璃奈「……しずくちゃんだってそれをわかってるから、告白を決意したのかなって、私は思ってる」
しずく「璃奈さん……」
璃奈「……ごめんね、偉そうなこと言って」
璃奈「私、勝手にしずくちゃんと自分を重ねちゃって……ほっとけなくて、口出ししたくなっちゃうの」
しずく「……ううん」
しずく「私のこと、心配してくれてありがとう」
璃奈「……それに」
しずく「……ん?」
璃奈「かすみちゃんが、しずくちゃんの思いに気が付いたら……私もかすみちゃんと仲直りできそうだし」ボソッ
しずく「…………」 しずく「……二人ってケンカしてたの?」
璃奈「……あっ」
しずく「さっきからかすみさんに対して棘があると思ったら……そういうことだったの?」
しずく「……というか、一番の理由ってそれなんじゃ……」
璃奈「…………」
璃奈「……」ダダダダ
しずく「……えっ!?ちょ、ちょっと璃奈さん!?」
侑「あああああああ頼みの綱まで〜!!」ダッ(追いかける) ――――
――
帰り道
かすみ・しずく「……」スタスタ
しずく「…………」
しずく「(璃奈さんの言葉が、頭から離れない……)」
しずく「(……図星、だったから)」
しずく「(本当は思いを伝えたいことも……でも、知られるのが怖いっていうことも……)」
しずく「(私……いつも肝心なところで逃げてばっかりで……)」 しずく「(……自分をさらけ出せるようになったと思ってたのに)」
しずく「(結局、何も変わってなかったのかな……)」
しずく「…………」
しずく「(いや、だって……前とは状況が違うというか……)」
しずく「(恋心をさらけ出すのは、また別問題というか……)」
しずく「(……って、またこうやって言い訳して……)」ハァ
かすみ「……」チラッ
しずく「(……あの時も……かすみさんが真正面からぶつかってきて)」
しずく「(自信が持てなくても、たとえ嫌われたとしても……自分と向き合えって言ってくれて)」 しずく「(……そして)」
(かすみ「「私はっ!桜坂しずくのこと大好きだから!!」)
しずく「…………」
しずく「(あの言葉に偽りはなくて……あれからもずっと、かすみさんは私を受け入れてくれてる)」
しずく「(本当の私が……こんなに面倒で、意地っ張りで、臆病でも)」
かすみ「…………」
しずく「(かすみさんの私に対する『好き』は、私の思いとは違う意味だってわかってるけど)」
しずく「(……それでも……かすみさんなら、きっと)」 かすみ「ねぇ、しず子……」
しずく「!」ドキッ
しずく「な、何?」
かすみ「最近、元気なかったりする?」
しずく「……えっ?」
かすみ「……なんとなく、大人しいっていうか……」
かすみ「かすみんがなんか言っても、あんまり言い返してこなくなったっていうか……」
しずく「…………」
かすみ「もしかして……上下関係気にしてる?」
しずく「えっ?」 かすみ「パン作りの師匠だからからかっちゃダメ、みたいな……」
しずく「…………」
かすみ「そりゃ、立場的にはそうだけどさ……」
かすみ「私は……いつものしず子がいいっていうか」
かすみ「……あっ!今のは!しず子が堅苦しいとこっちもやりにくいって意味で!」
かすみ「別に、からかってほしいって言ってるわけじゃないからね!」
しずく「……ふっ…………ふふふふ」プルプル
かすみ「……えっ」
しずく「あはっ……あははははは!」
かすみ「ちょ!ちょっと!こっちは真面目に聞いてるのにっ!」 しずく「…………はぁ……はぁ……ふふっ」
しずく「…………」
しずく「……うん」グッ(覚悟を決めた顔)
しずく「……」スッ(かすみの方へ向き直る)
かすみ「……?」
しずく「ごめんなさい」ペコッ
しずく「私、かすみさんに言ってなかったことがあるの」
かすみ「えっ?」 しずく「この前の……私がパン作りを始めたとか、かすみさんをパン職人として尊敬してるとか……」
しずく「……あれ、かすみさんの勘違いなの」
かすみ「えっ…………」
かすみ「……え゛え゛え゛ぇ゛〜〜〜!!!」ガーン!
しずく「あっ!もちろんコッペパンは好きだし、パン作りも一緒にやって楽しかったから、続けたいって思ってるよ!」
かすみ「そ、そうなんだ……」ホッ
かすみ「……ん?じゃあなんだったの?」
しずく「…………」
しずく「私が言いたかったのは……かすみさんへの思いだったの」
かすみ「……えっ?」 しずく「私が好きなのも、憧れてるのも、かすみさんのことで」
しずく「私……ずっと前から、かすみさんに恋してるの」
かすみ「…………」
かすみ「は…………」
かすみ「はあああああああああ!?!?!?//////」カァァァァァァ
しずく「…………」 しずく「……もう、誤解されたくないから詳しく話すね」
しずく「かすみさんが他の誰かと仲良くしてるの見て嫉妬したり」
しずく「かすみさんのちょっとした言葉とか行動に、いつもドキドキさせられてたけど」
しずく「気持ちを知られるのが怖くて、からかったり逃げたりしてた」
しずく「……でも、自分の気持ちを抑えるのも辛くて」
しずく「かすみさんの知らないところでは好意を露わにして、色んな人にかすみさんへの思いを語ってた」
かすみ「//////」ポカーン
しずく「……それで、この前」
しずく「とうとうかすみさんに気持ちがバレたと思ったから、誤魔化すことも考えたんだけど……」 しずく「また、真剣に私と向き合おうとしてくれたから……それが嬉しくて、つい告白しちゃったの」
しずく「……かすみさんはコッペパンのことと勘違いしてたけど……」
かすみ「//////」ポカーン
しずく「一つだけ、言い忘れてたね」
しずく「かすみさんの……たまに頓珍漢だけど、私の本心や内面を見ようとしてくれるところも……好き」
かすみ「……っ///」
しずく「…………」
しずく「……私の言いたいこと、伝わった?」
かすみ「……///」コクリ
しずく「……そっか」 しずく「…………」
しずく「話、聞いてくれてありがとう」
かすみ「……え、え〜っと///」
かすみ「……その…………私は……///」
しずく「いいよ、何も言わなくて」
かすみ「……えっ?」
しずく「ただ、知っておいてほしかっただけだから」
しずく「かすみさんは私の気持ちを否定することはないって、わかってるけど」
しずく「……私をそういう目でみれないってことも、わかってるから」
かすみ「……えっ!?」
しずく「じゃあ……そろそろ行くね」 しずく「……さっき、元気がないって言ってたけど、思いを伝えられなくてモヤモヤしてただけなの」
しずく「これでスッキリしたし……明日には元の私に戻ると思うから」スタスタ(早歩き)
かすみ「ま、待ってよっ!」
しずく「……」ピタッ
しずく「……気付いてくれて、嬉しかった」
しずく「……」スタスタ
かすみ「っ!」
かすみ「待ってってば!」ガシッ
しずく「……離して」
かすみ「やだっ!」 しずく「どうして?」
かすみ「え!?……え〜っと」
かすみ「……ほ、ほら!侑先輩に、しず子が逃げようとしたら捕まえておけって言われてるし!」
しずく「……」グッ(逃げようとする)
かすみ「ごめん!嘘っ!嘘だから!お願い待って待って!」ググググ(必死に腕を掴む)
しずく「……痛いから、離して」
かすみ「あっ!ご、ごめん」パッ
しずく「……」スタスタスタスタ
かすみ「って!!だからっ!!」ダッ(追いかける)
かすみ「……そうだ!」ハッ
かすみ「……しず子、確保〜!!」ギュ(後ろから抱き着く)
しずく「っ!?///……な、何してるの!?///」 かすみ「私は口では勝てないから!こうしないとダメなの!」
しずく「は、離して……///」
かすみ「なんで!これなら痛くないでしょ!」
しずく「……もっと好きになっちゃう……///」ボソッ
かすみ「……ふぇ!?///」ボッ
かすみ「……///」
かすみ「……///」ギュー(より強く抱きしめる)
しずく「や、やめてってば……///」
かすみ「……しず子が私の話を聞くまでやめないっ///」
しずく「……っ!///」 しずく「……///」フゥー(心を落ち着かせる)
しずく「私は臆病だから、自分の気持ちに向き合うだけで精一杯なの」
しずく「かすみさんの答えはわかってるけど、それを直接聞くのは怖いから……だから、ごめんね」
かすみ「むっ……まだ何も言ってないじゃん」
しずく「…………」
しずく「私の気持ち、全然気付いてなかったくせに」ボソッ
かすみ「そ、それはっ……」
かすみ「なんていうか、歩夢先輩とそういう話してから……」
かすみ「しず子に対して、そういうこと考えないようにしてたっていうか……///」ゴニョゴニョ
しずく「……?」
かすみ「!……そっか!」 かすみ「私も、そういう意味では自分の気持ちに向き合ってなかったんだ」
しずく「???」
かすみ「……ごめん、しず子」
かすみ「……よしっ!これでお相子だから、今しず子が逃げようとしたことは許してあげるっ!」
しずく「よくわからないし……この前もだったけど、何でも勝手に話を進めないでもらいたいんだけど」
かすみ「うっ…………と、とにかくっ」
かすみ「しず子が本当に私のこと好きなら、私にも向き合ってよ」
しずく「……っ」
かすみ「…………」
かすみ「はっきり言ってさ、そもそも恋っていう気持ちがよくわかってなかったんだよね」 しずく「……やっぱり、そうだよね」
かすみ「だってかすみんが一番可愛いし、かすみんの顔が一番好きだもん」
しずく「…………ん?」
かすみ「それに、しず子も言ってくれたけど、私もかすみんを一番尊敬してるし」
しずく「……『一番』とは言ってないけど……」
かすみ「だからそういうのを恋っていうなら、私はかすみんに恋してるってことになっちゃうんだよね」ムムム
しずく「…………」
かすみ「……でもさ、さっきしず子が告白してくれた時に思ったけど」
かすみ「私はかすみんの可愛さとか才能には嫉妬しないけど、しず子が誰かとイチャイチャしてたら嫉妬するし」
しずく「……えっ」 かすみ「かすみんの可愛さは当たり前だから特にドキドキしないけど、しず子見てるとドキドキすることあるし」
かすみ「っていうか……今もすっごくドキドキしてるんだけど……///」
かすみ「……こんなにくっついてるんだから、しず子にも聞こえてるでしょ?///」
しずく「……っ///」
かすみ「それに、しず子のこと考えて一睡もできなかったことだってあるし」
かすみ「あと……今日もこのまま帰らないで、離したくないって思うし……///」ギュ
しずく「……///」
かすみ「他にも……」スッ(しずくの肩にあごを乗せる)
しずく「……っ!?///」
かすみ「しず子じゃなきゃ嫌だって思うこと、いっぱいあるんだよね……///」
しずく「か、かすみさん……///あんまり耳元で喋られると……///」 かすみ「……だから」
かすみ「私も、絶対しず子に恋してる……///」
しずく「……っ!//////」
かすみ「しず子のこと、好きだよ……///」ギュー
かすみ「……///」
かすみ「…………」 かすみ「……?」
かすみ「……な、なんか言ってよ///…………ってうわぁっ!?」ズシッ
しずく「//////」ヘナヘナ〜(脱力)
かすみ「やっ……ちょ、お、重いって……」プルプル
かすみ「……離したくないんだから……ちゃんと、立って……」プルプル
しずく「//////」プシュー
――――――
――――
―― 次の日
かすみ「……あのさ、りな子」モジモジ
璃奈「……何?」
かすみ「その……かすみんさ……」
かすみ「……好き、みたいなんだけど……///」
璃奈「……パン作りが?」
かすみ「ち、ちがっ……あれはごめんって!!」
璃奈「…………」
かすみ「私……しず子のことが好きなのっ!///」
璃奈「……うん、わかってる」
かすみ「りな子にはその……一応、お世話になったから伝えておこうと思って」
璃奈「そっか…………ありがとう、かすみちゃん」 璃奈「……」チラッ(しずくの方を見る)
しずく「……///」
璃奈「……」ジー
璃奈「かすみちゃんに好きって言われて、良かったね」
しずく「……うん///」
璃奈「……」ヤレヤレ(安堵)
璃奈「……というか、お互いに鈍すぎると思う」
かすみ・しずく「……///」
璃奈「……しずくちゃんは一度勘違いされたから、まだわかるけど」
璃奈「かすみちゃんなんて……前に私達が動画見てた時に」
璃奈「しずくちゃんがかすみちゃんのことを好きって言ってたの、聞いてたよね?」 かすみ「……だって、あの時はそういう意味で言ったわけじゃなさそうだったし」
かすみ「しず子のことだから、エマ先輩をかっかりさせないために言ったのかなって思ったから」
璃奈「……かすみちゃんって本当に、しずくちゃんのこと理解してるのかしてないのか、わからないよね」
璃奈「……でも、これで二人は素直になりそうだし、良かった」
璃奈「そうじゃないと……ほら、あれ見て」
かすみ・しずく「ん?」
侑「……」ドンッ!(ドアの前に立ちふさがる)
璃奈「……私達への警戒が解かれなくて、帰りまでずっと出られないっていう日々が、続きそうだから」
しずく「……これからは皆さんに迷惑かけないように、気を付けます」フカブカ
かすみ「っていうか『私達』って……りな子もなんかやらかしたの……?」 ――――
――
帰り道
かすみ・しずく「……」スタスタ
かすみ「ねぇ、しず子」
しずく「ん?」
かすみ「なんていうか……意外と普通の一日だったね」
しずく「……そうだね」
しずく「気持ちを伝えたら何かが大きく変わっちゃうのかなって思ってたから」
しずく「……ちょっと、安心したかも」フフッ かすみ「まぁ、お互いに好きってわかったけど……何すればいいかわかんないもんね」
しずく「それはこれから二人でゆっくり考えようよ」
しずく「だって、何十年も一緒にいてくれるんだもんね♪」ニコニコ
かすみ「ぐっ///……ぐぬぬぬぬぬ///……勘違いしてたこと、怒ってたくせに……///」
しずく「私もずっと一緒にいたいって思ってるから、嬉しいな♪」ニコニコ
かすみ「……っ///」
しずく「……私も今は、特に何がしたいっていうのは思いつかないかな」
しずく「……かすみさんと一緒にいられるだけで、十分幸せだから」
かすみ「…………」
しずく「ふふ、今まで言えなかったことを言うのって、ちょっと恥ずかしいね」 かすみ「…………」
かすみ「……しず子」スッ
しずく「えっ?」
チュ
かすみ「……///」
しずく「…………」 かすみ「なんか、しず子が可愛いこと言ってきたから……したくなっちゃった///」
しずく「…………」
しずく「……//////」カァァァァァァ
しずく「〜〜っ///」ヘナヘナ〜(両手で顔を覆いながらしゃがむ)
かすみ「ご、ごめん!いきなり!///」
しずく「いや……そうじゃなくて……///」
しずく「……嬉しくて……また力が抜けちゃった……///」
かすみ「っ!///」 しずく「……///」フゥー(心を落ち着かせる)
しずく「……」スッ(立ち上がる)
かすみ・しずく「…………」
しずく「かすみさん……」
かすみ「……何?」
しずく「璃奈さんには、ああ言われたけど……」
しずく「私達……素直になりすぎるのも考え物かもしれないね……///」
かすみ「……うん///……そうだね……///」 おわり
にじよんの「リスペクト」が好きで、それを基に話を考えていたら予想以上の文章量になった
ちょっと間が空いたけど、最後まで見てくれてありがとうね マジか、ずっと見ていたい雰囲気だった…
良質すぎるしずかすサンクス キャラを可愛らしく書くの上手だな
やりとりがほんわかして最高だった 生きがいが終わってしまったか···
まじで面白かったわ乙 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています