鞠莉「怖い夢を見た日には」
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曜「うっ…ううっ…うわあっ!?」
鞠莉「曜、大丈夫?」
曜「はぁっ、はぁっ…鞠莉、ちゃん…?」
鞠莉「ずっとうなされていたのよ。心配したんだから…」
曜「わ、私…」
鞠莉「すごい汗…拭くものを持ってくるわ」 曜「っ、待って!」
鞠莉「!」
曜「やだ…お願い、行かないで…」
鞠莉「曜…ごめんね、大丈夫、大丈夫だから」
曜「鞠莉ちゃん…」
鞠莉「大丈夫、私はここにいるわ」 ――――――――
鞠莉「落ち着いた?痛かったり、苦しいところはない?」
曜「うん…」
鞠莉「無理はしてないのね?」
曜「本当に大丈夫。心配かけてごめんね」 鞠莉「ならよかったわ。待ってて、着替えを取ってくるわ。ついでに飲み物も」
曜「あっ、自分で行くよ」
鞠莉「いいから横になってて、ね?」
曜「…ありがとう」 鞠莉「ん、すぐ戻るわ」
曜「うん」
バタン トテトテ…
曜「はぁ…怖い、夢だったな」 ――――――――
鞠莉「背中拭くから、そっち向いて」
曜「そのくらい自分でやるよ」
鞠莉「遠慮しないで、マリーにお任せあれ」
曜「ん…」 鞠莉「気分はどう?」
曜「嬉しいけど、体を拭いてもらってると、なんか子供に戻ったみたい」
鞠莉「奇遇ね、私も子供のお世話してる気分だったの」
曜「ふふっ、なにそれ」
鞠莉「痒いところはございませんかー、なんてね」
曜「あははっ、それじゃ美容室だよ」 鞠莉「これでよしっと。次はお着替えね、お姉さんが手伝ってあげようか?」
曜「だから、子供じゃないってば」
鞠莉「はいはい。さ、ばんざーいってして」
曜「もう…鞠莉ちゃんの意地悪」 鞠莉「ふんふーん」
曜「…なにがあったか聞かないの?」
鞠莉「んー、話してくれるのなら聞くけど」
曜「…どうだろう。言葉にして話すことで、思い出しちゃうのが恐い気がするんだ。すごく怖い夢だったから…」
『――さようなら』
曜(怖かった。暗く冷たい湖に沈んでいくような感覚だった。身震いさえできないくらいの) 鞠莉「曜は皮肉過程理論って聞いたことある?」
曜「ひにく、なに?」
鞠莉「皮肉過程理論。あることを意識的に忘れようとすると、かえってそれが強い印象として記憶されてしまうという現象よ」
曜「ああ、わかる気がする。そう言うんだ」 鞠莉「忘れようとすればするほど、心の奥底に封じ込めようとすればするほど、自分の中で大きなものになっていってしまうの」
曜(…まるで嫉妬ファイヤーみたい)
鞠莉「例えるなら、恋心と同じね」
曜「…ふっ、あははっ!」 鞠莉「あら。私、おかしいこと言った?」
曜「ううん、鞠莉ちゃんらしいなって」
鞠莉「そう?」
曜「そうだよ、ふふふっ」 鞠莉「ま、そういうわけで、悪夢の怖さに付き纏われるよりも、話してすっきりして忘れてしまうって方法もあると思うの。もちろん、無理にとは言わないけどね」
曜「ありがとう。だけど、詳しくは覚えてないんだ。とびっきり怖い夢だったってこと以外は…」
鞠莉「なるほど。残ったのは後味の悪さってことかしら」
曜「うん、そんな感じ」
曜(けど、生々しい夢だった。リアルというか、質感があるっていうか。私の中の不安の現れ?それともなにかの予感?) 鞠莉「曜、ばくって3回言ってみて」
曜「えっ、ばく?どうして?」
鞠莉「いいから。さん、はい」
曜「ば、ばく、ばく、ばく?」 鞠莉「グッド!」
曜「今の、何か意味があるの?」
鞠莉「おまじないよ。悪い夢を見たときはそうするの。ばくって言うのは人の夢を食べるとされる伝説の生き物のことで、その名を3回唱えると悪い夢を食べてくれると言われているの」
曜「そうなんだ、知らなかった」 鞠莉「ちゃんと吐き出して、ばくにも食べてもらったら、悪い夢なんて跡形も残らないわ。これで二度寝すれば、きっと気分もすっきりよ」
曜「ん…なんだか目が覚めちゃったから、私、朝ごはん作って…わわっ」
鞠莉「だーめ。せっかくだから、もう少しこのままゆっくりしていましょう」
曜「で、でも、もう起きる時間だし」 鞠莉「どうせ日曜日で、特に予定もないんだし」
曜「鞠莉ちゃん…」
鞠莉「たまにはそういう日も、ね?」
曜「うん、そうする。ありがとう、気分転換に付き合ってくれて」
鞠莉「It’s my pleasure、文字どおり私の喜びです、ってね」 ……………………………………
曜「はい、朝ごはんお待たせー」
鞠莉「わあ、美味しそう!」
曜「お昼近いし、ちょっと手抜きだけどね」
鞠莉「手抜きなものですか。トースト、ベーコンエッグに、その上サラダまで。誰がどう見ても立派な朝食よ」 曜「えへへっ、コーヒーはブラックでいい?」
鞠莉「曜にお任せするわ」
曜「そう言う気分なの?」
鞠莉「そう言う気分なの。よろしくね」
曜「それは責任重大、頑張ります。んーと…はい、これでどうかな」 鞠莉「いただくわ。どれどれ…んんっ、美味しい」
曜「気に入ってもらえた?」
曜「私好みで今の気分にぴったりの味わい。さすがね、『お任せ曜ちゃん』して正解だったわ」
曜「あははっ、なにそれ」
鞠莉「この上ない、ってことよ」
曜(差し込む太陽の光、鞠莉ちゃんの笑う声、あたたかな笑顔。悪い夢とは違って、目にするもの全部が輝いている)
鞠莉「素敵ね」
曜「うん、最高だよ!」 鞠莉「いただくわ。どれどれ…んんっ、美味しい」
曜「気に入ってもらえた?」
鞠莉「私好みで今の気分にぴったりの味わい。さすがね、『お任せ曜ちゃん』して正解だったわ」
曜「あははっ、なにそれ」
鞠莉「この上ない、ってことよ」
曜(差し込む太陽の光、鞠莉ちゃんの笑う声、あたたかな笑顔。悪い夢とは違って、目にするもの全部が輝いている)
鞠莉「素敵ね」
曜「うん、最高だよ!」 ……………………………………
鞠莉「明日は朝から練習だし、早く寝ないとね」
曜「うん…」
鞠莉「大丈夫、もう変な夢はやってこないわ」
曜「そうだね、おまじないもしたもんね」 鞠莉「さらにさらに、ほら、こうやって曜のことを抱きしめれば」
曜「ばくならぬ、ハグってこと?」
鞠莉「正解!幸せを呼ぶマリーのハグで、不吉なナイトメアなんか、曜に指一本触れさせないわよ」
曜「厄除けのハグかぁ。えへへっ、よく効きそうだよ」 鞠莉「ほら、曜もはぐはぐして」
曜「はぐはぐー」
鞠莉「きゃーっ、うふふっ」
曜(ああ、私って幸せ者だな) 曜「ね、鞠莉ちゃん」
鞠莉「なぁに?」
ぐいっと背を伸ばして、鞠莉ちゃんの額にキスをする。
鞠莉「わっ」 曜「おまじない。いい夢を見れますようにって」
鞠莉「ありがとう、効果てきめん間違いなしね」
曜(そういえば、私からするのは初めてだったかも)
曜「おやすみ、鞠莉ちゃん」
鞠莉「おやすみ。素敵な夢をね」
終わり 全弾撃ち尽くしました。怖い夢を見た日のようまりでした。
↓は前に書いたものです。よろしければ併せてお願いします。
鞠莉「圧倒的クラウディ」
https://fate.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1622287468/
ありがとうございました。 乙です
ようまりいつもいつも楽しませて貰ってる
優しい幸せな世界観が好き 全弾撃ち尽くし乙
今回も素敵でした
このまま何事もなく2人が幸せでありますように… ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています