璃奈 「令和って元号カッコいい、好き」 愛 「ほう」
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かすみ 「先輩の名前をそこらじゅうで聞くようになりましたね〜」
侑 「もう! 歩夢が勝手なことするからだよ!!」
歩夢 「だって侑ちゃんが好きだからつい……///」
侑 「歩夢……/// 最高だYO!!」 ワイワイ
愛 「……」 ゴゴゴゴ
璃奈 「愛さん……」
テレビ 「ニュースです」
侑 「ニュース?」
テレビ 「再び元号が変わりました」
歩夢 「!!?」 カシャ カシャ
カシャ カシャ
演劇部部長 「次の元号は……」
カシャ カシャ
カシャ カシャ
私は好奇心の塊だった。
常に最高の答えを探して、最高の自分を探していた。そんな中で、面白いことをやってる人たちを見つけた。元号を変える? ふふ、私もやってみよう。
歩夢 「そ、そんな!? 私だって時間をかけて裏から手を回したから、実現したことなのに……どうやってこの短期間で!?」 やり方は簡単。他の人がやったことを真似る、演技すればいい。そして私はこの地位にすぐ辿り着いた。いつも、後から同じことをした者に抜かれるのが世の常。
好奇心の強い私を一番端的に表現した、この一言を元号とする。
カシャ カシャ
カシャ カシャ
演劇部部長 『しずく、面白いこと思いついたんだけど』 スッ
演劇部部長 「新元号は『しずく、面白いこと思いついたんだけど』です」
カシャ カシャ
カシャ カシャ ―― しずく、面白いこと思いついたんだけど元年――
あまりに元号を私的目的に使いすぎてないか?
そんな議論も出た……当然であろう。しかし、そんな杞憂は呆気なく、その元号は世間に問題なく受け入れられ、大ブームを起こした。
ギャル1 「しずく、面白いこと思いついたんだけど」
ギャル2 「ちょwww 私、しずくって名前じゃないしwww」
ギャル1 「ちがうよ、元号言っただけだからwww」
ギャル2 「そっかwww」 審査員 「今年の流行語大賞は」
審査員 「『しずく、面白いこと思いついたんだけど』です。ではしずくさんと演劇部部長さんから話を聞きたいと思います」
審査員 「流行語大賞ですが、お気持ちはどうですか?」
しずく 「うぅ……/// 恥ずかしいです///」
演劇部部長 「面白いことができて私はもう満足かな。それに、しずくの名前が広がってくれて嬉しいよ」
しずく 「部長……」
演劇部部長 「でももっと面白いことがしたいなぁ。あ! 『しずく、面白いこと思いついたんだけど』!」
会場 「wwww」 \ドッ/ 愛 「……」 ゴゴゴゴ
歩夢 「……」 ゴゴゴゴ
かすみ 「はわわわわわわわ」
テレビ 「ニュースです」
侑 「テレビ、ニュースばっかだなぁ。録画のスクールアイドル特集見ようかなぁ」
テレビ 「なんとなく察していると思いますが、再び元号が変わりました」 カシャ カシャ
カシャ カシャ
しずく 「次の元号は……」
カシャ カシャ
カシャ カシャ
演劇部部長 『今度はしずくの出番だよ』
しずく 『え?』
演劇部部長 『もしかして、しずくともあろう人が現状に満足してるの? 先輩がやれたこと、しずくができないはずがないじゃん』
しずく 『!』
演劇部部長 『私の背中を見て真似するんだ。そして、いつかは演技を越えて私を越えてよ』
しずく 『……』
演劇部 『どう、いける?』
しずく 『もちろんです!!』 カシャ カシャ
カシャ カシャ
しずく 『火器などを使わない、安全なものなら構いませんよ』 スッ
しずく 「新元号は『火器などを使わない、安全なものなら構いませんよ』です」
カシャ カシャ
カシャ カシャ
かすみ 「元号で会話しないでくださいよ!?」 ―― 火器などを使わない、安全なものなら構いませんよ元年――
まさかの前回の元号の返事という、前代未聞の元号であったが、そもそも前回がかなり異色だったので、世間には問題なく受け入れられブームが到来した。
穂乃果 「絵里ちゃん! なんで文化祭でライブを行っちゃダメなの!!」
絵里 「ダメとは言ってないわ。ただ、安全性にはしっかり考慮して欲しいと言っただけ」
穂乃果 「安全性?」
絵里 「そう。『火器などを使わない、安全なものなら構いませんよ』」
穂乃果 「……っ……!」 プルプル
絵里 「……」 ニコニコ
ことり (仲良しだなぁ) 演劇部部長 「よくやったね、しずく」
しずく 「部長……!」
演劇部部長 「確実に一歩レベルが上がったよ」
しずく 「本当ですか……!?」 パァァ
演劇部部長 「ああ、もちろん」
しずく 「ちなみに何のレベルが上がったんですか?」
演劇部部長 「大喜利力」
しずく 「大喜利力……」
演劇部部長 「……」
しずく 「……」 それから数週間はその元号のままだった。しかしそんなある日……。
璃奈 「愛さん、最近また練習に出てないし何してるの?」
愛 「何って、もちろん勉強だよ。またなんとしても元号を取り返したいんだ」 カリカリ
璃奈 「元号は公共物だよ」
テレビ 「ニュースです」
璃奈 「! また元号が?」
テレビ 「再び元号が変わりました」 カシャ カシャ
カシャ カシャ
彼方 「次の元号は……」
カシャ カシャ
カシャ カシャ
彼方ちゃんの願いは一つ。
自分の大切な人の名前が広がること。
特待生の頭脳なら数週間頑張れば、愛ちゃんに追いつけたよ〜疲れたけど満足〜。
カシャ カシャ
カシャ カシャ
彼方 『遥ちゃん』 スッ
彼方 「新元号は『遥ちゃん』です」
カシャ カシャ
カシャ カシャ ――遥ちゃん元年――
もはや元号にツッコミを入れる人はいなかった。しかし、数週間を空けての元号変更は、もはやそれ自体がブームになってしまった。
つまりどういうことかと言うと、次の変更はすぐ来たということで、
――みんなの大好き元年――
せつ菜 「みんなの大好きを守りたいんです!!!!」
侑 「せつ菜ちゃんカッコいいYO!!」 ワイワイ
――お姉ちゃん元年――
遥 「お姉ちゃんを悲しませる人は島流しです」
彼方 「嬉しいけど独裁政権はダメだよ〜遥ちゃん」
――せつ菜ちゃんに会いたい元年――
副会長 「どこに行けば会えるんでしょう……」 ハァ
菜々 「あはは、忙しいから会うのは難しいかもですね……」 メソラシ ころころ元号変わりすぎてて数年後に虹ヶ咲で歴史を学ぶ学生がキレそうwww しかし、この戦いに怒りを爆発させた者が一人いた。
果林 「ねぇ、エマ」
エマ 「どうしたの? 果林ちゃん?」
果林 「私に勉強を教えて」
エマ 「!」
果林 「元号はその時代を象徴するものなんでしょ? そんな大事なものが私利私欲に使われているなんて間違っている」
エマ 「……」
果林 「だから私はみんなが元気になる、忘れていた大事な言葉。それを元号にするわ。でもそのためには勉強が必要……お願い。教えて、エマ」
エマ 「……大変だよ?」
果林 「承知の上よ」
エマ 「分かった。頑張ろう!! 果林ちゃん!!」 ニコッ カシャ カシャ
カシャ カシャ
果林 「次の元号は……」
カシャ カシャ
カシャ カシャ
学んでみると、世界には知らないことがたくさんあることを思い知った。知らないことを知った……これこそ無知の知と呼ばれるものだろう。
エマ 「よく頑張ったね、果林ちゃん……」
エマ 「果林ちゃんが一体どんな元号を選んだのかは知らない。でもあんな真面目な志で、あんなに努力したんだから、きっと素晴らしい元号なんだと思う」
エマ 「おめでとう、果林ちゃん!」 グスッ 人と人は支え合って生きてゆくものだ。
私も多くの人に支えられた、期待してもらった……。だからこそこの言葉の真価がわかる。大切なことはいつも単純な言葉で伝わるものだ。
カシャ カシャ
カシャ カシャ
果林 『応えん』 スッ
果林 「新元号は『応えん』です」
カシャ カシャ
カシャ カシャ "えん"は書けなかったんじゃなく色んな意味があるとかないとか ――応えん元年――
世間は一瞬悩んだ。
なぜ援だけひらがななんだろうと……。
しかし例えば、応仁と少し被ってるから後半はひらがなにして区別をつけようとしたとか、三文字がオシャレだと考えたからとか、多くの理由が考えられ人々は納得していった。
果林 「うぅ……エマぁ……」 グスッ
エマ 「よしよし。果林ちゃん勉強頑張ったけどまずは基礎を固めるべきだったねぇ」 ナデナデ
しかし、果林の多くの願いを込めた元号も、次の刺客によって呆気なく変わってしまった。 カシャ カシャ
カシャ カシャ
流しそうめん同好会部長 「次の元号は……」
カシャ カシャ
カシャ カシャ
もう詳細を語らなくても分かるだろう。
彼女の願いはただ一つ。
流しそうめんとは真逆に周りに流されず、努力してきた彼女。だからこそ元号を変える権利を手にした。
カシャ カシャ
カシャ カシャ
流しそうめん同好会部長 『流しそうめん』 スッ
流しそうめん同好会部長 「新元号は『流しそうめん』です」
カシャ カシャ
カシャ カシャ ――流しそうめん元年――
その元号は世間に受け入れられるはずもなく、大炎上の末、流しそうめん同好会部長は政治職辞任にまで追い込まれてしまった。
愛 「……」 ゴゴゴゴ
歩夢 「……」 ゴゴゴゴ
彼方 「……」 ゴゴゴゴ
遥 「……」 ゴゴゴゴ
副会長 「……」 ゴゴゴゴ
流しそうめん同好会部長 「……」 ゴゴゴゴ
テレビ 「ニュースです」
愛 「……またニュース。今度は誰さ」
愛 (りなりーに喜んで欲しくて、そして少しは見栄を張りたくて、それだけだったのに……それだけだったのに、なんでこんなことになっちゃったんだろう)
テレビ 「再び元号が変わりました」
愛 「……」 まって生まれて初めてイルカの鳴き声みたいな笑い声でたんだけど
めっちゃすき カシャ カシャ
カシャ カシャ
璃奈 「次の元号は……」
カシャ カシャ
カシャ カシャ
愛 「!?」
愛 「りなりー!? どうして!?」
カシャ カシャ
カシャ カシャ
璃奈 「いやまずは謝罪を。今回は、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会が迷惑をかけてしまい申し訳ありませんでした」
璃奈 「でもみんなすごく優しい人……悪気はなかった、それだけは分かってほしい」
カシャ カシャ
カシャ カシャ 愛 「りなりー……」
歩夢 「璃奈ちゃん……」
カシャ カシャ
カシャ カシャ
璃奈 『令和』 スッ
璃奈 「新元号は『令和』です」
カシャ カシャ
カシャ カシャ
…
…
… 璃奈 「……」
愛 「……ねぇ、りなりー」
璃奈 「……」
愛 「ごめんね、愛さん暴走しちゃった」
璃奈 「……」
愛 「りなりーが前に、令和って元号がカッコいいって言ってたから、愛さんの名前を元号にしたらりなりーにカッコいいって思われるかなって……何も考えずに安易な行動をしちゃって……」
璃奈 「私は令和って言葉がカッコいいと思っただけで、元号になる名前が全部カッコいいと思う訳じゃない」 愛 「っ……! ごめんね、愛さんがバカだったから」
璃奈 「違う」
愛 「!」
璃奈 「愛さんは元々カッコいい。元号の名前になる必要なんてない」
愛 「り、りなりー……」
璃奈 「それに謝る必要もない。私は怒ってないから」
愛 「え……」
璃奈 「多分愛さんは私に元気がなさそうだからそう思ったんだと思うけど……違う。私はただ、寂しかっただけ」
愛 「……」
璃奈 「愛さんが練習に出なくなって、勉強ばかりで、ずっと寂しかった。だから今こうやってたくさん話せて嬉しい」
愛 「りなりー……!」 ポロポロ
璃奈 「愛さん、五分後に部室に来て。みんな待ってるから」
愛 「五分後……? 部室……?」
璃奈 「うん」
…
…
… 愛 (みんな待ってる、ってどういうことだろう)
愛 (りなりーは優しいから許してくれた。でも、周りのみんなは許してくれなかったってことかな)
愛 (もちろんみんなもすごく優しい。でも、だとしても、こんな大ハプニングに巻き込んじゃったんだから、怒られても仕方ないよね)
せつ菜 「愛さーーん! もう入ってきて大丈夫ですよ!!」
愛 「うん、分かった、今入るね」
愛 (覚悟しよう)
ガチャ 虹ヶ咲スクールアイドル同好会一同 「「愛(さん、ちゃん、先輩)お誕生日おめでとう!!!!」」
パチパチ
愛 「へ?」
璃奈 「愛さんはいつも一生懸命で、人のために頑張ってくれる。だから自分のことを忘れがち」
璃奈 「愛さん、お誕生日おめでとう」 ダキッ
愛 「あ……そっか……今日は愛さんの誕生日……」 ポロポロ
こんな幸せなことがあってもいいのか。
なんて思ったりもするけど。
愛さんの心の中はすごくポカポカして幸せだし、そんな愛さんを見て喜んでくれるみんながいるなら……ありがたく満喫しよう。
ありがとう、みんな。
そしてやっぱり元号はそのままにしよう、だってすごく盛り上がってる気持ちだから。
愛 「令和の愛さんは盛り上がれ! 今! って感じだね!」 ニコッ
おわり ありがとうございました。
改めて愛ちゃんお誕生日おめでとうございます!!
最初はハチャメチャに暴れても、最後は誕生日をお祝いしてくれる優しい虹ヶ咲のみんなが素敵ですね。
前作
海未 「手が離れなくなる催眠術? はは、そんなの」
前々作
亜里沙 「ねぇ、お姉ちゃん、優しさって何なのかな」 他の書いた虹ヶ咲ss
かすみ 「かすみんは学びます!」
愛 「かすみんのライブにテレビが!?」
かすみ 「今日はかすみんの誕生日〜♪ 楽しみだなぁ〜♪」
歩夢 「せつ菜ちゃんの方が大事なの!?」侑 「違うよ」 元号の争奪戦とは中々……
時代に躍る先導者、正に偶像ですね。 中国でも明には一代一元号だったし
戻すのは相当困難 四文字元号は日本も中華も一時期あったが
一文字元号はついぞなかったな 一瞬で変わるなら良いけど数週間とか微妙な期間で変わると役所やシステム屋がブチ切れそう 元号変わるたびに金爆が新曲発表してるんだろうなあ… ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています