希「ウチとえりちの出会い」
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穂乃果「おっとと。危ない」
海未「何をしてるんです」
希「大丈夫?」
穂乃果「いや〜バランス崩しちゃってさ」
海未「楽しようとして一気に運ぶからそうなるんですよ」
穂乃果「はいはい。分かってますよ」
海未「はいは一回」
穂乃果「は〜い」
海未「伸ばさない。まったくもう」
希「ふふっ。今日も仲良しやね」 穂乃果「はあ。こんな事なら私もことりちゃん達の方行けば良かった。部室の掃除じゃなくて」
海未「口より手を動かす!」
穂乃果「もう」
希「ふふっ」
ひら〜
穂乃果「ん?希ちゃん!何か落ちたよ?」
希「へ?」
穂乃果「何だろう……?わ〜見て海未ちゃん!」
海未「え?…希と絵里ですね。これ…リボンの色からして一年生の頃の写真ですか?」
希「うん。そうだね。何で部室にあるんやろ?」
穂乃果「なんか初々しいね」
海未「一年生の頃からの付き合いなんですね!」
希「うん」 穂乃果「そう言えば二人の出会いってどんな感じだったの?」
希「ん?二人?」
穂乃果「いや、希ちゃんと絵里ちゃんの。中学バラバラでしょ?」
希「そうよ。知りたい?」
穂乃果「知りたい!ね?」
海未「そうですね」 ウチとえりちの出会いは…。
ーーー二年前 四月ーーー
絵里『絢瀬絵里です。よろしく』
初めて出会った。自分を大切にするあまり、周りと距離を置いて、みんなと上手く溶け込めない。ズルができない…まるで、自分と同じような人に。
穂乃果「へ〜そうなんだ。なんか意外」
海未「そうですね」 だから、すぐに仲良くなりたいと思って声を掛けたの。
希『あの…』
絵里『……あなたは?』
希『私……ウチ、東條希!』
穂乃果「希ちゃんから声を掛けたんだね」
うん。けど…
絵里『そっ。それじゃあ私は行くから』
希『待って!』
絵里『何?』
希『よかったら。ウチと友達に…』
絵里『悪いけど馴れ合うつもりはないわ』 って感じで軽くあしらわれちゃって。
穂乃果「え?絵里ちゃんって一年生の頃そんなピリピリしてたの?」
海未「いつかを思い出しますね…」
ウチはめげなかった。
キーンコーンカーンコーン
希『ね!絢瀬さん!次の教室まで一緒に行こう!』
絵里『いい。一人で行く』
希『あっ…』
別の日も
希『絢瀬さん!一緒にお昼』
絵里『遠慮するわ』
けれど、どんなに声を掛けてもえりちは心を開いてくれる事はなかった。
穂乃果「凄いね。それで良く今の関係に持っていけたよね」
海未「本当ですね」 当時のクラスではえりちは目立ってた。
穂乃果「まあ絵里ちゃんじゃ嫌でも目立つよね」
海未「才色兼備ですからね」
良い意味ではなく悪い意味で。
それどころか
『絢瀬さんって暴走族の仲間なんですって』
『え?私は政治家の愛人って聞いたよ』
『他校の生徒と喧嘩してるって』
そんな根も葉も無い噂まで流れてた。 希『絢瀬さん!一緒に帰ろ〜』
絵里『あなたもしつこいわね』
希『あっ!待って!』
クラスメイト『あの〜東條さん。あまり絢瀬さんと関わらない方がいいよ』
希『どうして?』
クラスメイト『あまり良い噂聞かないし』
希『あくまで噂でしょ?』
クラスメイト『私の友達が暴走族と一緒に居るところを見たって。噂は本当だったんだよ』 穂乃果「え?待って待って!」
希「どうしたん?」
穂乃果「絵里ちゃんって元暴走族なの?」
海未「そんな訳ないでしょう。だいたい今の時代暴走族なんて…」
希「んふふ。さて、どうやろう」 結局、えりちとは仲良くなれず三ヶ月が過ぎた。
穂乃果「結構過ぎたね」
海未「三ヶ月も付き纏われて無視できる絵里にも凄いですが断られ続ける希の精神力も凄いですね」
ふふっ、そうやな。
ある日の夜近所のコンビニへ向かう途中だったかな?
希『いや〜気が付いて良かったな〜。ん?あれは…』
コンビニの入り口で一人佇むえりちを発見した。
希『お〜い!絢瀬さ〜ん』
絵里『……うわっ』
海未「凄い嫌そうな反応ですね」
うん。凄い嫌そうやった。 希『こんな時間にどうしたの?買い物?』
絵里『……別に。あなたには関係ないから』
いつも通りえりちはつれなかった。
会話も続かず何となく流れる気まずい空気をコンビニ自動ドアが一掃してくれた。
ウィーーーン
穂乃果「希ちゃん自動ドアの真似上手い!」
海未「話の腰をおらないで下さい」 亜里沙『お姉ちゃーん。お金足りなかった…あれ?』
絵里『亜里沙…』
コンビニの中から亜里沙ちゃんが出て来たの。もちろんその時ウチは面識はない訳で。
希『妹さん?』
絵里『……そうよ』
亜里沙『お姉ちゃんの友達?』
絵里『え?いや…亜里沙』
希『こんばんは。亜里沙ちゃんって言うんだ。私はお姉ちゃんの友達なの。よろしくね』
亜里沙『ハラショー!お姉ちゃんにも友達居たのね!』
穂乃果「亜里沙ちゃんって天然で攻撃して来そうな所あるよね」
海未「確かに」 ウチはその時ハラショーの意味が分からなかった。正直今もそんなしっかりとは理解していない。
穂乃果「それは今はいいよ。私も分かってないから」
絵里『あの…亜里沙…』
亜里沙『お姉ちゃんの事よろしくお願いします』
希『うん。こちらこそ』
絵里『もう。ほら、お金』
亜里沙『うん。お姉ちゃんはチョコレート味で良いのよね?』
絵里『……そうね』 希『好きなんだ。チョコレート』
絵里『どうでもいいでしょ』
希『いや?絢瀬さんの事知れて嬉しいよ』
絵里『……なんでそんなに私に付き纏うのよ』
希『ん〜…ピンと来たから?』
絵里『何それ。私と居ると友達居なくなるわよ。私って悪い噂ばかり聞くでしょ?』
希『ん〜…別に信じてないし』
絵里『学校の皆んなはそうじゃないみたいだけど』
希『学校の皆んなは関係ないよ。私がそうしたいだけだもん』 絵里『なにそれ…』
希『それに。さっきの妹さんを見てれば分かるよ。仲良いんやね』
絵里『私は親代わりなの』
希『え?親代わり?』
絵里『そう。訳あってね。両親はロシアに居て私とあの子は二人で暮らしてる。だから私がしっかりしなくちゃいけないの』
希『そうなんだ』
絵里『不思議ね。誰にも言った事なかったのに』
希『それって。もう友達って事やない?』
絵里『友達…』
亜里沙『お姉ちゃ〜ん。アイス買って来たよ!三つ!』
絵里『三つ?何で?』
亜里沙『お友達の…良かったらお家で一緒に』
絵里『亜里沙…!!?』
希『いいの?』
亜里沙『お姉ちゃん…』
絵里『勝手にしなさい』 穂乃果「亜里沙ちゃんがキューピッドだったんだ!」
海未「ん?亜里沙ちゃんは二年前から日本に来ていたんですか?」
それからウチとえりちの仲は徐々に深まっていった。
希『絢瀬さん!一緒にお昼食べよう!』
絵里『ご勝手に』
相変わらず愛想は悪かったし
ヒソヒソ ヒソヒソ
悪い噂も相変わらずだった。 亜里沙ちゃんがそう思うくらいに家でも学校の話とか全くしてなかったんだろうな 希『なあ、えりち』
絵里『えりち?』
希『あだ名!嫌やった?』
絵里『…べつに。勝手にすれば』
希『じゃあ勝手にする』
絵里『そんな事より。あなたって喋り方に統一してないわよね。関西弁になったり標準語になったり』
希『まだ慣れてないからね』
絵里『標準語に?』
希『関西弁に』
絵里『ここ東京よ?』 海未「確かに…。良い機会なので聞きますがなんで関西弁なんですか?」
そして事件は起きた。
海未「無視!!?無視するんですか?」
希『へ?えりちが学校に来てない?』
先生『そうなの。何か聞いてたりしない?』
希『何も聞いてないです』
先生『そう。何か事件に巻き込まれてなければ良いけど』
希『事件…』 先生『知らなければいいの。絢瀬さんの自宅に電話してみるわ』
希『先生。あの…私から連絡してみます』
嫌な予感がした。
プルルルル
希『お願い。えりち…電話に出て』
『お掛けになった電話番号は現在使われておりません』
希『え…使われてない』
穂乃果「え…もしかして絵里ちゃんって…希ちゃんが作り出した架空の人物…」
海未「じゃあ私達の知ってる絵里は何なのですか?」 ピンポーン
ガチャ
亜里沙『はい』
希『亜里沙ちゃん…』
亜里沙『希さん…どうしたんですか?』
希『亜里沙ちゃん…学校は?』
亜里沙『お姉ちゃんに今日は休めって言われて』 まだ携帯番号までは知らないのか。家のと同じで使えなくなってるのかもだけど 希『お姉ちゃんがどこに行ったか分かる?』
亜里沙『人と会うって言ってました』
希『学校を休んでまで会いたい人って…心当たりは?』
亜里沙『お姉ちゃん…定期的に誰かと会ってる見たい何です』
そのあとウチはえりちを探す事にした。
海未「希も学校をサボったと言う事ですよね?」
友達の為仕方なかった。
海未「回想の中で返事しないで下さい」 ウチは街中を探した。
希『これくらいの女の子を見ませんでしたか?』
通行人『見なかったな〜』
海未「絵里を探してるんですよね?」
希『君たち。この女の人を見なかった?』
猫『にゃ〜』猫『にゃ〜〜』
穂乃果「希ちゃん猫と喋れるの!!?」 そして辿り着いたのは港にある古びた倉庫だった。
海未「港町!!?どこまで行ったんですか?」
穂乃果「って言うかよくそこに辿り着いたね」
ガラララ ガチャン
希『えりち。居るんやろ?』
男1『誰だ!!?』
男2『おい絵里。お前の事を呼んでるぞ?』
絵里『………』
希『えりち!!?』
絵里『……誰だったかしら?』
希『何を言ってるの。どうして学校を休んだりしたの?』
絵里『別に。退屈だからよ』 希『嘘だ。何かあるんやろ?』
絵里『嘘なんかじゃないわ』
ボスみたいな男『おいおい。騒がしいなぁ。絵里の友達か?』
絵里『違う。私に友達なんか居ない』
ボスみたいな男『悲しい事言うなよ。俺たちは友達だろ?』
絵里『………』
ボスみたいな男『悪かったね。でもね絵里は君とは住む世界が違うんだ。お帰り願おうか』
希『…えりち。帰ろう。亜里沙ちゃんも心配してるよ』
亜里沙『亜里沙…』
ボスみたいな男『話が通じないみたいだなぁ。こいつは君が思っている様な人間じゃない。自分の為なら何でもする。そう言う人間なんだよ』
希『嘘だ。えりちはそんな人間じゃない』 ボスみたいな男『言葉で言っても分からないなら体に言う事を聞いてもらおう』
絵里『なっ…』
ボスみたいな男『どうした絵里?友達じゃないんだろう?』
絵里『……それは』
希『ほら。えりちは平気で酷い事をする様な人間じゃない』
絵里『くっ…余計な事を…』
ドゴォォォ
希『なっ…』
えりちの強烈なパンチが腹部に食い込んだ。
海未「え…絵里が殴ったんですか?友達を?」
穂乃果「………」 絵里『あいつの言う通りよ。私はあなたの思う様な人間じゃない。こうやって平気で友達にも手を出す』
希『ゲホッ…は、初めてやね』
絵里『は?』
希『えりちの方から…ウチの事…友達って呼んでくれたの』
絵里『くっ……戯言を』
ズコッ
希『グハッ』
絵里『まだ足りなかった様ね』
ボコォ バキィ ボコォ
絵里『はあ…はあ…はあ…』 希『えりち…かえ…ろう…』
ボスみたいな男『ヒュ〜泣かせるねぇ』
絵里『な、なんなのよ。どうしてそんなに私にこだわるのよ』
希『ほっとけないのよ。えりちみたいな人…まるで自分を見てる様だから』
カチン
絵里『私と…私とあなたが似てるですって?どこが!!?私は汚れた人間よ。子供が二人で生きる為に色んな事をしたわ。もう戻れないの。お願いだから帰って』
希『罪なら一緒に背負うよ』
絵里『なんで…』
希『友達やろ。ウチだって初めての事やから勝手は知らんけどな』
絵里『希…』
希『さあ帰ろうか』
絵里『でも…』 ボスみたいな男『そうさ。帰れる訳ないよな?』
希『もうえりちはあなた達とは付き合いません。だから』
ボスみたいな男『はいそうですかと行く訳ないだろう?おいっ!お前ら』
男1『いいんすか?』
ボスみたいな男『構わない。但し、顔は傷付けるなよ?女子高生好きは沢山居るんだ。なあ絵里?』
絵里『……』
海未「散々絵里が殴ってませんでしたっけ?」
穂乃果「確かに」
男1『へっへっへっ〜。さて』
希『だりゃぁぁぁぁ』
男1『え?』
ズゴーーーン
男1『グハァ…』
男2『何ぃ』 絵里『希…あなた…』
希『ウチは!!!こう見えても!!!中学時代、ピンポンやってたんやぁぁぁ!!!!』
ドゴォォォン
男1『ぐはぁぁぁぁ』
希『言うとくけど、空手もやってたんやぁぁぁ』
男1『ごはぁぁぁ』
希『まっ、通信教育やけどな』
男1『くっ…つ、強い…』
海未「同じ相手ばかり攻撃してませんか…」
穂乃果「男2の方無傷だよ」 ボスみたいな男『ふっふっふ。やるじゃないか。どうだ?私達の仲間にならないか?もし仲間になると言うのなら世界の半分をやろう』
希『世界の半分?』
ボスみたいな男『そうだ』
絵里『希…』
海未「世界!!?希は何を相手にしてるのですか!!?」
希『半分なんてウチらには狭すぎる』
ボスみたいな男『くっ…』
希『くらえ。ノゾミミラクルスペシャルウルトラスーパーメガトンパンチ』
ボスみたいな男『ぐ、ぐはぁぁぁぁ』
希『ふっ…か、勝った』 絵里『希…』
希『えりち。これでえりちは自由や』
絵里『あの…私…』
希『人間、生きていればいくらだってやり直せる。えりちが無事で良かった』
絵里『ごめんなさい。こう言う時どんな顔すれば良いか分からない』
希『笑えば良いと思うよ』
こうしてウチとえりちは無事家に帰る事が出来た。
絵里『希…私…』
希『もう良いって。友達なんやから』
絵里『ありがとう希。それと…改めてよろしくお願いします』
希『うん。こちらこそよろしくね。親友』
テンテンテーン テレテテテー
穂乃果「え?get Wild!!?」 希「これがウチとえりちの馴れ初めよ」
絵里「へ〜初めて知ったわ」
穂乃果「あっ…絵里ちゃん」
希「えりち…いつの間に」
絵里「いつの間にじゃないわよ!!!掃除もしないで嘘ばっかり言って」
希「えへへ」
穂乃果「嘘…」
海未「気付いてましたけど…。だいぶ序盤から」
穂乃果「やっぱり全部嘘だったの?」
絵里「そうよ。まあ…9割くらいね」
海未「9割?残りの1割は本当なんですか?」
穂乃果「絵里ちゃん本当に暴走族だったの?」
絵里「そこじゃないわよ!!!」
穂乃果「じゃあどこ?」
絵里「それは……想像に任せるわ」 乙!この後二人が倉庫を出て少しするとその建物、爆発するのよな。 乙です
のぞほのうみのやりとり可愛い
海未ちゃんのツッコミが捗るね おつ
え?get wild!!?で腹筋死ぬほど笑った ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています