かすみ「エマ先輩を甘やかし隊!」 彼方「たいー」
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彼方「というわけなんだけど、璃奈ちゃんも一緒にやらない〜?」
璃奈「えっと……展開が急すぎて話が見えない」
彼方「あのね〜、彼方ちゃんもさっきかすみちゃんに言われたんだけど、エマちゃんってなかなか人に甘えたりしないじゃん?」
璃奈「うん」
かすみ「だから、たまには思いっきり甘えさせてあげたいなって。心やさしいかすみんが思いついたってわけ!」
璃奈「そうなんだ……」
かすみ「そうそう。さっすがかすみん。気が利いてかわいい」
璃奈「それはわかったけど、本音は?」
かすみ「……だ、だからあ」 璃奈「本音」
かすみ「その……エマ先輩を甘やかしてわたしに依存させたら、もっとわがままを聞いてもらえるかなって」
璃奈「……やっぱり。そんなことだろうと思った。璃奈ちゃんボード『ドン引き』」
彼方「まあまあ、かすみちゃんの方の計画はたぶん失敗するからいいとしてさ」
かすみ「全然よくないんですけど?」
彼方「璃奈ちゃんも、エマちゃんはもっと人に甘えてもいいと思わない?」
璃奈「んー……」
璃奈(もっと甘えていいのは、エマさんだけじゃないと思う。けど……) 璃奈「たしかにエマさんは、もっとみんなに優しくされていいと思う。だから、そういうことなら私も協力したい」
彼方「やったね。璃奈ちゃんが仲間になったら……なったら……」
彼方(なーんか自分が甘えるよりも、むしろ璃奈ちゃんを甘えさせたくなっちゃいそうだなあ)
かすみ「さてさて人数もそろったところで。エマ先輩は部室にいるとすでに調査済みです。さあ行っきますよー!」
彼方「おー」
璃奈「おー」 ほうかなエマに甘やかさせるQU4RTZですかいいですね 【部室】
エマ(ちょっと早く来すぎちゃったかなあ。待ってるけどまだ誰も来ないや……)
エマ(それにしても……)
エマ(今日はぽっかぽかで良い天気。こうやって何もせずぼーっとしてると……眠くなっちゃいそう……) かすみ「見てください。エマ先輩、一人で退屈そうにみんなを待ってますよ。これはいきなり大チャンスです!」
璃奈「待たせてるなら、普通に中に入った方がいいんじゃ……」
かすみ「なに甘っちょろいこと言ってんの、りな子。私たちの目的はエマ先輩を甘やかすことでしょ」
璃奈「うん、それはまあ」
かすみ「大丈夫。かすみんの秘策があればエマ先輩もすぐに甘えん坊さんになっちゃうから。そこで見てればいいよ」
彼方「おお、期待してるよかすみちゃん」
かすみ「まっかせて下さい。中須かすみ! 甘やかし隊! 行きます!」
璃奈「がんばれー」 かすみ「えっませっんぱっい。今日は早いですねっ」
エマ「あ、かすみちゃん。よかったー、誰か来てくれて。ずっと一人で寂しかったんだよ〜」
璃奈(おお、幸先良い出だし)
彼方(これは期待できるんじゃない?)
かすみ「ま、まあ。生徒会とかモデルとか……あとはお昼寝とか変な発明とかで、みんな忙しいですからねー。ところでエマ先輩。いきなりですけどかすみんが焼いてきたケーキ、試食しませんか?」
エマ「えっいいの?」
かすみ「もちろんです。じゃじゃーん、どうぞ好きなだけ食べてください」
エマ「わあっ、本格的。ちゃんとしたホールの苺ショートだー」
かすみ(ふっふっふ、計画通りです! 甘いもので文字通り甘やかしたあと、お腹いっぱいのエマ先輩を膝枕で寝かしつけてあげますよー。さあ存分に召し上がってください!) エマ「うーん、でもなあ」
かすみ「ど、どうしたんですか。りな子じゃあるまいし、変な薬なんて入れてませんよ?」
エマ「そう言われると逆に心配になるけど……でもそうじゃなくて、今はいいかなって」
かすみ「な! なんでですか? 美味しそうじゃなかったですか?」
エマ「そんなことないよ、とっても美味しそう。でもだからこそ、みんなで一緒に食べたいなって」
かすみ「でもでも、ホールと言ってもこのサイズをみんなで分け合ったら結構小さくなっちゃいますし」
エマ「大丈夫。ケーキをお腹いっぱい食べるのはとっても幸せなことだけど、小さくてもみんなで分け合って食べる方がもっともーっと幸せなことなんだよー」
かすみ「――っ!」ズガーン 璃奈(聖人だ……)
彼方(天使はスイスにいたんだね……日本に来てくれてありがとう……)
璃奈(でもあんな人が相手じゃ、かすみちゃんの計画は――)
かすみ「くっ、わかりました。エマ先輩が言うなら仕方ありません。後でみんなで食べましょう」
エマ「そうだね。それがいいと思うな。苺ショートって璃奈ちゃんの大好物だしね」
かすみ「じゃあその代わり、みんなが来るまでかすみんとおしゃべりしましょうよ。隣、いいですか?」
エマ「大歓迎だよー。それでかすみちゃんは何かお話ししたいことがあるの?」 かすみ「ふっふっふ。実はかすみん。イタリア語の勉強をしたので聞いてもらいたいなと思って」
エマ「そうなんだー。もちろんいいよ」
かすみ「じゃあじっくり聞いてくださいよ――Fa la ninna, fa la nanna ♪」
彼方(なんかガチっぽい発音きたー)
エマ「わあ、懐かしい……子守歌だね……」
璃奈(ああ、だけどエマさんが……)
かすみ「Nella braccia della mamma ♪」
エマ「Fa la ninna bel bambin ♪」
かすみ「!」
彼方(ハモってきた!) かすみ「Fa la nanna bambin bel ♪」
エマ「Fa la nanna bambin bel ♪」
璃奈(かすみちゃんも必死に抵抗してるけど――)
エマ「Fa la ninna, fa la nanna ♪」
かすみ「Fa la ninna, fa la...」
璃奈(あの包容力の前じゃ――)
エマ「Nella braccia della mamma ♪」
かすみ「すぅ……すぅ……」
璃奈(即落ちだ……)
エマ「あれ、かすみちゃん疲れてたのかな。ふふっ、ゆっくり寝てていいからね」ナデナデ 璃奈「かすみちゃんには悪いけど、エマさんに歌わせた時点で結果は見えてた――いや、ていうか」
璃奈「彼方さん、起きて。寝ちゃヤダ」ユサユサ
彼方「――はっ。危うくガチ寝するところだったよ。危ない危ない……」
璃奈(今のも、絶対ガチだったと思うけど……)
彼方「さすがエマちゃん、油断ならないねー。けどかすみちゃんが落ちたところでまた私たちがいるからね。眠気覚ましがてら、次は彼方ちゃんが行こうかな」
璃奈「大丈夫……? すっきりするドリンクならあ――」
彼方「――甘やかせ隊! 彼方ちゃん! 狙い撃つぜ〜」ダッシュ
璃奈「あっ……逃げられた……」 ガチャ
彼方「お〜、エマちゃんだけか〜。と思ったらかすみちゃんがすやぴ中かな」
エマ「あ、彼方ちゃん。そうなんだ〜、さっきのかすみちゃんとっても可愛くてね。頑張って勉強して、イタリア語の子守唄を聞かせてくれたんだよー」
彼方「それはすごいね〜。詳しく聞きたいけど、眠ってる人を見ると眠くなってきちゃうねえ……」
璃奈(あれは……彼方さんがエマさんにぴったりくっついて。完全にすやぴモードに入ってる……?)
エマ「そうだね〜。彼方ちゃんもぽかぽかであったかいから、こうやってのんびりしてるとますます眠くなっちゃうねえ……」
彼方「うん……そうだ……ね……」
璃奈(そっか。あれはすやぴに適した空気を作ることで、エマさんを眠りに誘おうとしてるんだ……つまり我慢比べ!) エマ「うーん。お膝にはかすみちゃん。隣には彼方ちゃん。良い気持ちだねぇ……」
璃奈(だけど……)
彼方「…………」スヤァ
璃奈(我慢要素……どこ……?)
エマ「ふふっ、今日の彼方ちゃんはいつも以上におやすみするのが早かったなあ。寝顔かわいい」
璃奈(むむむ……こうなったら私がやるしかない――甘やかせ隊。天王寺璃奈。出る!) ガラッ
エマ「ん……あ、璃奈ちゃんだ。やっほー待ってたよー」
璃奈「うん。私も、今日もエマさんに会えてうれしい。でも……」
エマ「でも?」
璃奈「そんなに三人でくっついてたら、私のスペースがなさそう」
エマ「あ、そうだね。どうしようかな。璃奈ちゃんも混ざりたいよね」
璃奈「こうすればいいと思う。まず彼方さんの場所を少し移動させて距離を離す」
エマ「そっとね。起こしたら可哀想だよ」
璃奈「うん。それからエマさんは、かすみちゃんを膝枕したまま横になって、彼方さんの膝に頭を乗せる」
エマ「こうかな――ふふっ、誰かに膝枕してもらうのってこんな感じなんだねー」 璃奈「エマさんも、するだけじゃなくてもっとしてもらってもいいと思う」
エマ「じゃあ今度璃奈ちゃんにさせてもらおうかな?」
璃奈「いつでも待ってる。エマさんになら年間パスポートあげたい」
エマ「楽しみにしてるねー。でもそれはそうと、今は璃奈ちゃんどうするの? 結局スペースがないんじゃ……」
璃奈「思ったのと違った。だから、私は床でいい」
エマ「だ、ダメだよーそんなの。そうだ、ソファの奥の方にわたしが詰めれば、璃奈ちゃんなら一緒に寝られるんじゃないかな。スマートだから」
璃奈「できるかな……?」 エマ「うん! ほら、ちょうど胸のあたりに璃奈ちゃんの頭が来る感じで。そうそう、いい感じ。もっと詰めてもいいよ」
璃奈「ほんとだ。なんだかエマさんにすっぽり包まれてるみたい」
エマ「そうだね〜。わたしも、璃奈ちゃんを抱きしめてると、昔を思い出しちゃうな……」
璃奈「うん。ここは陽射しがあったかくて……エマさんのいい匂いがして……なんだか日本じゃないみたい」
エマ「そうだね〜。この感じは……うん……そうかもね……」
璃奈「エマさんの故郷って、どんなところだったの……?」
エマ「んー……周りがすごく大きな山でね……それから……」
璃奈「うん……」 エマ「それから……大好きな家族がいて…………」
璃奈「ん……」
エマ「それで…………」
璃奈「…………」
エマ「…………」
璃奈「すぅ……すぅ……」
エマ「むにゃ……ん……」
かすみ「すぴー……すぴー……」
彼方「…………」
彼方「…………ふっふっふ」ムクリ 彼方「やれやれ……まったく、ここまでしないと落ちないんだから、エマちゃんを甘やかすのも楽じゃないぜー」
璃奈「……ん。本当にそう思う」
彼方「ええっ、璃奈ちゃん起きてたの?」
璃奈「ううん、寝ちゃってた。だけど寝落ちする前に、何か感じたらすぐ起きれる眠り方にしようって決めたから」
彼方「ええ……幕末の剣豪とかがやるやつじゃん……」
璃奈「それより彼方さんこそ。もうずっと起きないと思ってた」
彼方「ふっふっふ。彼方ちゃんはすやぴのプロだからね〜。いつでもぐっすり寝れるし、いつでもすっきり起きられるのさ〜」
璃奈「絶対そっちの方がすごい」 エマ「むにゃ……誰? おかーさん……?」
彼方「はいはい、ここにいるよー」ナデナデ
エマ「えへへ……みんなは?」
彼方「エマの近くでみんなぐっすりだよ〜。ほら、膝にも腕の中にも、ね」
エマ「むにゃ……ほんとだあ……」
彼方「だからね、エマももうちょっと寝ててもいいんだよ。ゆっくり、おやすみ〜」
エマ「そっか……そうするねえ……ありがと、おかーさん……」
エマ「すぅ……すぅ……」 璃奈「可愛い寝顔」
彼方「だねえ。エマちゃんを甘やかすのは難しいけど、たまにはこういうところ、見せてほしいよねえ」
璃奈「うん。でも」
彼方「んー? どうしたの璃奈ちゃん。動くとエマちゃんが起きちゃうよ〜?」
璃奈「大丈夫。私が動いても、エマさんの体勢にはあんまり影響がないから」 彼方「え、えっ。璃奈ちゃん、なんで彼方ちゃんの後ろに回るのかなー?」
璃奈「決まってる。彼方さんを後ろから……こうする」
彼方「お、おおう。さすがの彼方ちゃんもそんなふうに抱きしめられると照れてしまうぜ〜///」
璃奈「それから、たくさん撫で撫でしてあげる」
彼方「ちょ、ちょっと待って璃奈ちゃん。今日の目的はエマちゃんを甘やかすことだったはずだよ〜?」
璃奈「うん。だけどもう一人、甘やかすのが難しい困った人がいるの、わたし知ってるから」 彼方「うう……それって彼方ちゃんのこと? おかしいなあ、そんなつもり無かったんだけどなあ」
璃奈「動いちゃダメ。エマさんが起きちゃう。私たちの代わりにちゃんと撫でてあげてほしい」
彼方「……仕方ない。ここは璃奈ちゃんの策士っぷりに免じて大人しく労われるかあ……」
璃奈「うん。彼方さんいいこいいこ。大好き……大好き」
彼方「くぅ〜……気恥ずかしいぜ〜。思わず口調がおかしくなっちゃうよ〜」
璃奈「ほんとに嫌なら、やめるけど……」
彼方「う……その、嫌じゃない、かも」
彼方「だから……出来れば、他のみんなが来るまで続けてもらってもいい……?」
璃奈「うん!」 璃奈(それから結局わたしも彼方さんにもたれかかって、まぶたが重くなっちゃって……)
璃奈(後から来たせつ菜さんたちに、四人で眠ってるところを写真に撮られちゃうのはもう少し後のこと)
かすみ「すぴー。むにゃむにゃ……やっぱりかすみんのケーキは絶品ですぅ……」
かすみ「遠慮せずもっと食べてください……みなさんのためなら、またいくらでも作ってきますからねー……」
おわり。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています