【SS】しずく「千両役者」かすみ「三文小説」
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・アニメ時空です。
・栞子等のアニメ未登場キャラは登場しません。悪しからず。
・話の都合上、オリジナルのモブキャラが登場するので、苦手な人はブラウザバック推奨です。
・しずかすSS。アニメ13話でしずくとかすみが恋仲になったという前提。
以上、但し書きです。
書き溜めてませんのでゆっくり書いていく予定です。
よろしければ最後までお付き合い頂けると嬉しいです。 旧部長「騒動に乗じてしずくを恋人と別れさせて、その怒りを舞台の上でぶつけてもらう」
旧部長「ところがしずくは恋人と別れず、舞台から降りてしまった」
旧部長「まさかしずくが自主降板するなんて思ってもいなかっただろうね。君は内心焦った」
旧部長「当然、舞台をおじゃんにする訳にもいかない。君自身が代役になって埋め合わせを図ったそうだけど……」
旧部長「正直な話、しずくが戻ってきたのは嬉しい誤算だったんじゃないかい?」
部長「…………誤算なんかじゃありません」
部長「彼女は必ず舞台に戻ってくると信じてましたよ」
旧部長「……」
部長「…スクールアイドル同好会の彼女がスクールアイドルとそのファンを信じていたように、」
部長「私も演劇部が舞台を捨てるはずがないと信じていましたから」
旧部長「……ふぅん?」 部長「確かに彼女の自主降板は意外でしたが……再登板する未来は目に見えてました」
部長「大方、私を犯人だと暴いて、犯行を明かさないことを交換条件に」
部長「なんせ私があの写真を仕掛けた張本人だと判明するのは、時間の問題でしたから」
部長「だってそうでしょう?」
部長「演劇部のインタビューが掲示されるあのタイミングで、わざわざ貼り出すなんて、犯人が身内だと言ってるようなものじゃないですか」
旧部長「……」
部長「あとは隙を伺って犯人しか知り得ない情報でも口に漏らせば……、私が怪しいという疑念は確信に変わります」
部長「ひどく疲れましたよ。降板を迫った立場である以上、桜坂さんの再登板を認めない演技をしながら、なんとしても再登板の流れに持っていく訳ですから」
部長「同好会の皆さんは本当によく立ち回っていだきました……。感謝しかありません」 この部長さんは演技のためなら殺人以外のことは大体やっちゃいそうだな 旧部長「……なるほど」
旧部長「君の行動理念は、今日の舞台の成功のために、か」
旧部長「今回の舞台『山門』は、君がしずくのために用意したようなものだ」
旧部長「この舞台にしずくが立つことが前提で、君はとある演技指導を試みた」
旧部長「演技指導━━━要するに、彼女の怒りの演技に説得力を持たせること」
旧部長「具体的には、騒動に乗じて恋人と別れるように強要し、やがてその騒動を起こしたのが自分自身だと明かすこと」
旧部長「そうすることで、しずくが君に憎悪の念を向けるように仕掛けた」
旧部長「その怒りを彼女なら、舞台上を演技に昇華すると、君は確信していたから」
旧部長「自主降板というアクシデントはあれど……結果的に彼女は舞台の上にあがり、素晴らしい演技を見せた」
旧部長「全ては君の計画通りだったわけだ」 旧部長「流石だよ。君に演技指導をさせたら右に出る者はいないだろうね」
旧部長「桜坂しずくも、スクールアイドル同好会も、そして観客も……全員が君の掌の上だったわけだから」
部長「……観客?」
旧部長「だってそうでしょう?」
旧部長「君が彼女の恋人の存在をああいった形で知らしめたことで、桜坂しずくに対する関心をさらに高めたわけなんだから」
部長「……」
旧部長「世間は、有名人の熱愛発覚だとか、そういった類いのスキャンダルが大好きだからね」
旧部長「演劇部の花形である桜坂しずくに恋人がいた、だなんて、そんなセンセーショナルな話題に飛びつかないはずがない」
旧部長「しずくの関心は虹ヶ咲のみならず他校にも広まっただろう。今日の観客席の盛り上がりを見れば明らかだからね」
旧部長「あっばれだよ、本当に」
部長「……お褒めに与り光栄です」 何があっぱれじゃ人の事なんだと思ってんだこいつら…… まあ旧部長さんも8話で降板ちらつかせてしずくを試してるしな
ここまで悪質じゃないけど ふたりとも一人の人間じゃなくて演劇マシーンとしか見てないよね……人として最悪だわ 旧部長「本当に尊敬しちゃうよ」
旧部長「君のように、そこまで舞台に情熱を注ぐことは私には出来ないからね」
旧部長「━━━役者の尊厳を踏みにじってでも、舞台の成功を優先する。そんな真似はね」
旧部長「演劇を志す者として、ほんと、あっぱれだよ」
部長「……」
旧部長「まあ実のところ、私も人のことは言えないけどね」
旧部長「去年の今頃……私が部長だった頃かな」
旧部長「主演を務める彼女の演技に関して、腑に落ちない部分があった。……だから私は、しずくに降板を伝えた」
旧部長「……あの時、しずくに辛い思いをさせたのは、今でも申し訳ないと思っているよ」
旧部長「だけど、彼女の殻を彼女自身で破るためには……彼女が演技を続けていく上では、そこが避けて通れない壁だったと思っている」
旧部長「怖かったよ。しずくに嫌われたんじゃないかってね」
旧部長「だから舞台が終わった後、しずく本人から感謝された時は、胸を撫で下ろしたよ」 旧部長「君がどう考えてるのかは知らないけど……少なくとも私は、しずくとの間に禍根を残したくなかった」
旧部長「一緒に活動するんだったら、ギスギスしないで、良好な関係の方がいいに決まってる」
旧部長「意味もなくギスギスしたり、グダグダとお互いを憎み合うだなんて、まっぴらごめんだね」
旧部長「そんなのは、三文小説の世界で十分さ」
旧部長「そう思わない?」
部長「……私のシナリオが、そうだって言いたいんですか」
旧部長「君のシナリオは完璧だよ。やや人間味に欠けている点を除けばね」
部長「あなたと私が、何が違うというんですか」
部長「やってることは、一緒でしょう」
旧部長「待って待って。君の大作と一緒くたにされるなんて恐れ多いよ」
旧部長「まあ、強いて言うなら……土台かな」
旧部長「しずくから好かれてるか、嫌われてるか。それだけじゃない?」
部長「……」
旧部長「…おっと、そろそろ時間かな」
旧部長「ごめんね。私はこれで、しずくの方に顔を出しに行くから、これで失礼するよ」
部長「……お疲れ様でした」
旧部長「うん、お疲れ」
旧部長「君が三文小説家でないことを、切に願うよ」 この部長を見てるとなぜかスラダンのエースキラー南を思い出す ━━━━━
━━━━
━━━
【桜坂しずく様 楽屋】
しずく「…………ふぅ」
しずく(楽屋へと戻ってきて、しばらくはあえて何も行動しない)
しずく(舞台上の興奮状態を冷ますのに必要なクールダウンの時間を取る)
しずく(それが私のルーティンワークになりつつある)
しずく「…………」
しずく(普段ならもう落ち着いてきてもおかしくない頃だけど……まだ体に熱を帯びている……)
しずく(やっぱり今日この日は……色んな意味でいつもと全然違う……)
コンコンッ
しずく「……!ど、どうぞ!」
ガチャッ
「やあ、しずく」
しずく「……!部長!……あ」
しずく「元…部長の方が適切でしたね」
旧部長「わざわざいいよ。しずくの呼びたいように呼んでくれれば」 部長も旧部長もしずくちゃんが化けてないでちゃんと本人で良かった 旧部長「お疲れ様。すごくいい舞台だったよ」
旧部長「しずくの演技も良かったよ。去年から更に磨きがかかっていた」
しずく「……ありがとうございます」
旧部長「……話は聞いたよ。大変だったね」
しずく「……!」
旧部長「頑張ったね。しずくは偉いよ」
しずく「……一時期は、本当にダメかと思いました」
しずく「全部投げ捨てたくなって、自分から役を降りたりして……」
しずく「目の前の世界が、灰色になってしまって」
旧部長「……」
しずく「だけど、私には……大切な人や、スクールアイドル同好会の皆さんが傍にいてくれて……」
しずく「そのおかげで、私の世界に彩りが戻ってきました」
旧部長「……そっか」
旧部長「しずくは愛されてるね」 旧部長「しずく。何も恐れることはないさ」
旧部長「恋人さんに、同好会の皆さんに、観客の皆さん」
旧部長「しずくには、しずくを応援してくれる沢山の味方がいるんだから」
旧部長「もちろん私も、しずくの味方だよ。どんな時も」
しずく「部長……」
「お、お客さま!ここからは立入禁止です!」
「ええい、離してください!」
しずく「……!」
旧部長「おや」
しずく「この声は……」
「ここからは関係者以外は入れません!」
「かすみんは、関係者ですよ!だって━━━しず子の恋人ですから!」
しずく「」
旧部長「おやおや」
しずく「あ、あの人、なにいって……」
バタンッ
かすみ「━━━しず子っ!」 かすみ「急に来てごめんしず子!でも、しず子にどうしても伝えたいことがあって、かすみん我慢できなくて……って、え?」
しずく「か、かすみさん……」
旧部長「やあ、中須さん」ニコニコ
かすみ「って、なんで部長さんがいるんですかぁ!?」
旧部長「中須さんと同じだよ。今日の舞台の感想を言いに来ただけ」
かすみ「……しず子に変なちょっかい出してないですよねぇ?」
旧部長「誤解だよ。これでもう帰るところさ」
旧部長「さて、厄介ごとに巻き込まれないうちに私は失礼するよ。またね、しずく」
しずく「は、はい。お疲れ様でした」
旧部長「お疲れ」
かすみ「……」ジー〜っ
旧部長「じゃあ、後は頼んだよ。しずくの恋人さん」
旧部長「しずくのこと、守ってあげてね」
かすみ「……言われなくても、そのつもりですよ」
旧部長「そっか」ニコッ
バタンッ
しずく「……もう、ビックリしちゃったよ」
かすみ「……ごめん」 しずく「……秘密にするの、やめたんだ」
かすみ「え?」
しずく「ほら、さっき廊下で言ってたじゃん」
しずく「しず子の恋人だって」
かすみ「あー……」
かすみ「……うん、変に隠すのはもうやめた」
かすみ「こうやって、しず子の近くに居られるし、その方がいいかなって」
かすみ「もしかしたら、また迷惑かけるかもしれないけど……」
しずく「……うんうん、迷惑なんかじゃないよ」
しずく「かすみさんがそばにいてくれれば、それだけでいいから」
かすみ「……しず子」
ギュッ
しずく「……かすみさん?」
かすみ「お疲れ、しず子」
しずく「……うん。かすみさんも、お疲れさま」 しずく「今日の舞台、どうだった?」
かすみ「良かった。今日のしず子、すごくかっこよかった」
かすみ「釘付けになって…目が離せなくて…」
かすみ「しず子が舞台を諦めないでくれて、本当に良かったと思ってるよ」
しずく「……ありがとう。かすみさんにそう言ってもらえると、すごく嬉しい」
しずく「頑張った甲斐があったよ」
しずく「……でも」
しずく「私一人じゃ、ここまで頑張れなかったと思う」
しずく「皆んなが居てくれてたから……かすみさんが居てくれてたから……今日この日まで、頑張れたんだと思う」
かすみ「しず子……」 しずく「ねえ、かすみさん」
しずく「かすみさんがこれからも私のそばに居てくれるなら…」
しずく「かすみさんのパワーを分け与えてもらえるなら…」
しずく「私、もう挫けない。どんなことがあっても、きっと頑張れる」
しずく「だから……」
かすみ「……大丈夫だよ、しず子」スッ
ぽむっ
しずく「……どうしたの、かすみさん?私の頭に手なんか置いて……」
かすみ「しず子のこと、なでなでしたくなったから、つい」
しずく「……」
かすみ「しず子、大丈夫。かすみん、もう迷ったりしないから」
かすみ「しず子の一番近くに、かすみんは居るから」
しずく「……うん」
かすみ「だってかすみん、誰よりも一番、しず子のこと大好きだもん」
かすみ「頑張ってるしず子も」
かすみ「おちゃめなしず子も」
かすみ「どんな時のしず子も、かすみんは大好きだから」 しずく「かすみさん……」
かすみ「しず子……」
しずく「…………」
かすみ「…………」
しずく「……かすみさん、目つむって」
かすみ「え?」
しずく「あの時は、かすみさんからだったから」
しずく「今日は私からしたいの」
しずく「だから、目つむって」
かすみ「……あ」
かすみ(あの時って……あの駅前の時か)
かすみ(あれから色々あり過ぎて、だいぶ昔のように感じちゃうよ)
かすみ「こ、これでいい?」パチッ
しずく「うん、いいよ」
しずく「……じゃあ、いくよ、かすみさん」
かすみ「う、うん」
しずく「…………」
ドキドキ
かすみ「…………」
ドキドキ
しずく「…………///」
かすみ「……は、早く来てよ///」
しずく「せかさないで/// 今いくから///」 しずく「次こそ行くね……///」ドキドキ
かすみ「おいで、しず子……///」ドキドキ
しずく「ん……♡」
しずく(━━━今にして思えば、今日までの私たちのあれこれは、あの時から始まったのでしょうか)
しずく(あの日の帰り際のベンチから、始まったのかもしれません)
しずく(それは、私とかすみさんが恋人であることが証明するような、決定的瞬間で)
しずく(そこから色々なことがあって)
しずく(かすみさんも私も、一人で背負い込んだり、挫けそうになったりして)
しずく(それでも、お互いを支えあいながら、こうして今も一緒にいる)
しずく(どんなことがあっても、私たちなら乗り越えられると、そう信じている)
しずく(私たちの絆を断ち切ることなんて、誰にもできないと、そう信じている)
しずく(だから、かすみさん━━━)
チュッ…♡
しずく「……♡」
かすみ「……えへへ♡」
しずく「大好きだよ、かすみさん……♡」
かすみ「かすみんだって、しず子のこと、だいだいだいすきだよ……♡」
しずく「ん……♡」
これからも、あなたと相思相愛でいたい。
あなたの目に映る景色に、その一番近くに、これからもずっといたい。
そして、誰にも真似できない景色を見続けよう。
私たちだけの絶景を━━━。 これにて完結です
長い間お付き合いいただき、本当にありがとうございました 完結乙
毎日更新が楽しみだった
素晴らしいクオリティとしずかすでした おつでした。二人のこれからや現部長としずくの関係とか、完結後のストーリーも想像が捗って楽しいです。ありがとう 約1ヶ月間毎日の楽しみでした、ありがとう
しずかすの強固な絆が見れてよかった 乙!
約一ヶ月間ドキドキしながら追ってました
しずかすの絆が丁寧に描かれていて素敵でした めっちゃよかった、特に前半のデート描写がすごい癒やされた
次回作も期待してる 旧部長の推理が正しいとすると、現部長が侑たちに話してた内容の大半は嘘だったてことか
最後まで自分のシナリオ通りに事を進めた現部長は有能だけど、そのシナリオを三文小説と一蹴する旧部長すこなんだ しずくから好かれてるか嫌われてるかが違うって旧部長が言ってたけど現部長はそれも含めて計算だったのかもな
好きな人に裏切られたら怒りや憎しみよりも悲しみや驚きが先に来るけどそれじゃあ困るから嫌われてる必要があったみたいな 三文小説の歌詞の
君の不器用な表情や言葉一つで救われる僕がいるから
千両役者の歌詞の
一世一代の大舞台 有名無名も関係ない 爽快だけを頂戴 あなたと相思相愛で居たい
の部分いいよね、このSSのしずくに重なる ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています