しずく「かすみさんとの馴れ初め」
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短めのしずかす。
前回、途中で落ちてしまったので再掲。 【4月】
【虹ヶ咲学園】
【演劇部 部室】
演劇部部長「兼部希望?」
しずく「はい。……やっぱりダメでしょうか」
演劇部部長「いや、問題ないよ。生徒の自由を重んじるのがこの学園の売りでもあるし」
演劇部部長「それに演劇部にも、兼部してる子けっこういるよ?」
しずく「え……そうなんです?」
演劇部部長「もちろん皆んな演劇部がメインだけどね」
演劇部部長「ちなみに、どこの部活なの? しずくのことだから愛犬部とか?」
しずく「………………同好会、です」
演劇部部長「ん?」
しずく「……スクールアイドル同好会、です」 【スクールアイドル同好会 部室前】
しずく「……来てしまった。それも半ば勢い任せで」
しずく「まだ入ろうかどうか迷ってる段階なのに……」
しずく「でも、しょうがないよね。茶化してくる部長が悪いもん。あんな風に言われたら誰だってそうだよ」
━━━ス、スクールアイドル部? しずくが?
━━━へぇ〜……スクールアイドルねぇ〜……。
━━━ふふっ。あ、いや、笑ってないよ? しずくがスクールアイドルやってるところなんて想像してないって。
━━━ごめんごめん。馬鹿にしてないって。
━━━それにしても、しずくがスクールアイドルとは……意外だったなぁ。
━━━あ、じゃあさ、あれやってみてよ。しずく知ってるかな? こうやって頭の上に手のっけてポーズ取ってさ、アイドル感全開の声で『にっこにっこにー』って。
しずく「全く、部長と来たら……」ブツブツ
しずく「……でも、どうしよっかな」
しずく「今日は考えなしで来ちゃったもんだし、入るのは、また今度に━━━
「……あ!」 しずく「!」ビクッ
しずく「な、何?」
「あっ、えとその」
「驚かせちゃいましたかね? ごめんなさいですぅ……」
「そこの部室って、スクールアイドル同好会、ですよね?」
「ひょっとしてあなたも、興味ありありなんですかぁ? スクールアイドルに!」
しずく「…………あ、ええーっと…」
「……あー、ごめんなさいですぅ。かすみんったら、ついテンションあがっちゃいまして……」
かすみ「だってかすみん、今日から念願のスクールアイドルですもん!」
しずく「……は、はあ」 かすみ「……あなたも新入生?」
しずく「う、うん……そうですけど……?」
かすみ「やっぱりぃ!じゃあ、かすみんとタメってことだ!敬語終了!」
かすみ「かすみんはね!普通科1年の中須かすみ!」
かすみ「あんまし見ない顔だけど、別の学科とか?」
しずく「……私は桜坂しずくと言います。国際交流学科の1年生です」
しずく「学園内がこれだけ広いですので、同学年でも会ったことも話したこともない二人がいても、別におかしくないはないかと
かすみ「だぁぁぁぁぁぁぁ!!」
かすみ「かすみん、敬語終了って言ったじゃん!」
かすみ「それに堅苦しすぎ!」
かすみ「タメなんだからもっと軽く話そうよぉ、しず子ぉ」
しずく「しず、子……?」
かすみ「そう、しず子。しずくだから、しず子」
かすみ「こっちの方が可愛いでしょ?」
しずく「う、うん……」 かすみ「かすみんとしず子はタメなんだから、敬語は無し!オッケー?」
しずく「わ、分かりました…じゃなくて、分かった」
かすみ「上出来!」
かすみ「よーししず子ぉ!さっそくスクールアイドル同好会、入門しちゃいますか〜、いざレッツゴ〜!」
しずく「えっ、ちょ、ちょっと待って!」
かすみ「? どうしたのぉ? しず子ぉ」
しずく「ま、まだ私、入るかどうか迷ってまして……じゃなくて、迷ってて……」
かすみ「……じゃーあー」
かすみ「体験入部!同好会が何やってるのか気になって見に来ました!ってことなら、どう?」
しずく「それなら、まあ…」
かすみ「決まり!じゃあ改めまして、いざレッツゴ〜!」 ガチャッ
かすみ「あのぉ!スクールアイドル同好会、入部しに来ましたー!」
「チャオ〜せつ菜ちゃ…ってえええええっ!」
「zzz……」
「か、彼方ちゃん起きて起きて!入部希望の人たちだよ!」
「ん……ほんとぉ……?」
「本当だって!しかも、二人も!」
しずく「えっ」
「おぉ〜……じゃあこれで、ようやく5人揃ったんだねぇ……」
しずく「ま、待ってくださ」
「部員集め、難航してたからね〜。せつ菜ちゃんも喜んでくれるよ〜」
しずく「あの…」
「よかったぁ…彼方ちゃん安心だぁ…そして安眠……zzz……」
しずく「話を…」
「彼方ちゃ〜ん!寝ちゃダメだよ〜!これから新入部員の二人に挨拶しなきゃ
しずく「あの!話を聞いてください!」 時間帯が
自分で24まで伸ばすくらいじゃないと落ちる 「そっかあ、桜坂さんは体験入部で来てくれたんだ。早とちりしちゃってごめんね」
「zzz…」
しずく「いえ、大丈夫です……」
かすみ「かすみんは今日から入部希望ですけどね!」
「中須さんが今日付けで入部なんだね。『かすみちゃん』って呼んでもいい?」
かすみ「いえいえ、そこはぜひ『かすみん』とお呼びください!」
「わかった!今日からよろしくね、かすみちゃん!」
かすみ「だから、かすみんですって…!ぐぬぬ…!」
しずく「…えっと、私たちはお二人を何てお呼びすれば……?」
「……あ!そうだよね!自己紹介もまだだったもんね!」
「改めまして。私は国際交流学科3年のエマ・ヴェルデと言います」
かすみ「エマ……外国人さんなんですか?」
エマ「うんっ。生まれはスイスなんだけど、日本のスクールアイドルが大好きで、ここの学校に転入してきたんだぁ〜」 エマ「で、私の隣で寝ちゃってるこの子が、私と同じ3年生の、近江彼方ちゃん」
彼方「zzz…」
エマ「彼方ちゃんはライフデザイン科を専攻してるみたいなんだ〜」
しずく「……彼方さん、大丈夫なんですか?」
エマ「え、どうして?」
しずく「いや、先ほどから眠ってるので……」
エマ「あ〜!うん!大丈夫!」
エマ「彼方ちゃんはね〜お昼寝が大好きなんだよ〜」
彼方「zzz……」
しずく「そ、そうですか……」
かすみ「エマ先輩たち以外の部員って居ないんですかぁ?」
エマ「あと1人いるよ〜。優木せつ菜ちゃんって子なんだけどね」
かすみ「えぇ〜〜〜…かすみん、もっと多いもんだと思ってましたよぉ〜」
エマ「スクールアイドル同好会はまだ設立してまもないから、部員も少ないんだよね」
エマ「勧誘もしてはいるけど、スクールアイドルは好き!って子は結構いるけど」
エマ「私もスクールアイドルやりたい!って子は意外といないんだよね〜」
かすみ「そうなんですか……」
ガチャッ
「エマさん、彼方さん、お疲れさまです!」 エマ「あ、せつ菜さんチャオ〜」
彼方「はっ!」パチッ
せつ菜「おや、彼方さん!また居眠りしてましたね!」
彼方「せ、せつ菜ちゃん〜…おはよ〜う」
せつ菜「まだ練習前ですが、起きてすぐの運動は体に毒ですよ?そもそも彼方さんは練習中も
彼方「と、ところでせつ菜ちゃ〜ん、彼方ちゃんよりも注目するべき子たちが、いるんじゃあないかな〜?」
せつ菜「……?」
せつ菜「」チラッ
しずく「……」
かすみ「……えへへ」
せつ菜「ってえええ!?何ですかこのお二人!?」
エマ「新入部員の二人だよ〜、あ、うち一人は見学だからまだ正式じゃないけど」
せつ菜「しんにゅう、ぶいん……」
せつ菜「……」
しずく「……あの…?」
かすみ「せつ菜先輩…?」
せつ菜「…ぅうおおおおおおおおおおお!!!」
しずく・かすみ「!?」ビクッ せつ菜「素晴らしいです!」
せつ菜「同好会の活動が正式に認められるためには最低でも部員が5人必要!」
せつ菜「私が同好会を設立してからエマさんと彼方さんが立て続けに入部!」
せつ菜「ここまでは順調な滑り出しでした!」
せつ菜「ですが!あと2人の入部希望者がなかなか現れず!同好会の活動もままならない日々!」
せつ菜「本日は部員勧誘の件でエマさん彼方さんとミーティングを開こうと思いましたが……全ては杞憂でした!」
せつ菜「入部いただきありがとうございます!中須かすみさん!桜坂しずくさん!」
彼方「せつ菜ちゃん、いつになく大興奮だよ〜」
エマ「でもせつ菜ちゃん、かすみちゃんは今日からの入部希望だけど、しずくちゃんは今日のところは見学だよ?」
せつ菜「そうでしたか!」 これでいけるか、>>1後は自分のペースで頑張ってな せつ菜「では!かすみさんは早速今日から私達に混ざって練習に参加していただきます!準備はいいですか!」
かすみ「もちろんですよー!」
せつ菜「しずくさんは私達と同行いただき、私たちの雰囲気等を見学していただければと思います!」
しずく「わ、分かりました!」
せつ菜「イエス!」
せつ菜「こうしてはいられません!早速練習に移りましょう!」
エマ彼方かすみ「おー!」
しずく「お、おー!」
しずく(……あれ?そういえば私たちって自己紹介してもないし、エマさん達から呼ばれてもなかったよね?)
しずく(何でせつ菜さんは、私とかすみさんの名前を知ってたんだろう…?)
しずく(……まあ、気のせいか) 【練習終了】
かすみ「へ、へぁあ……もうダメ……」バタンッ
しずく「か、かすみさん!」
彼方「彼方ちゃん壊れちゃうよ〜…」バタンッ
エマ「彼方ちゃんまで…!」
せつ菜「すいません皆さん……。嬉しさのあまり、ついいつも以上に張り切ってしまいました……」
せつ菜「今日のところは新入部員のかすみさんにペースを合わせるべきでしたね……」
かすみ「い、いえ!せつ菜先輩!かすみんは大丈夫です!」
せつ菜「!」
かすみ「かすみんは、一日でも早くスクールアイドルになって、歌えるようになって、踊れるようになって、ステージの上に立てるようになりたいんです!」
かすみ「そのためなら、このくらい、へっちゃらですよ!」
せつ菜「……素晴らしいです!」
かすみ「えへへ………あっ!足が……つった…」
しずく「えぇ!?待って!今伸ばすから!」
かすみ「いてて……ありがとうしず子」
しずく「もう、流石に初回からペース飛ばしすぎ。かすみさんの気持ちもわかるけど」
かすみ「あはは……。どう、しず子?入部する気になった?」
しずく「……うーん、まだ決心はついてないかな」
かすみ「…そっか」
しずく「でも、今日のかすみさん達の練習してるところを見てて……楽しそうだなとは思ったよ」
かすみ「!」
しずく「……また明日も、見学に来ていいかな?」
かすみ「いいに決まってるじゃん!ですよね!せつ菜先輩!」
せつ菜「はい!もちろんです!」
せつ菜「それじゃあ今日の練習はここまでにします!お疲れさまでした!」
4人「お疲れさまでした!」 一区切りついたので一旦ここまでにします
少し休みますが今日の昼頃には再開予定です
未明の落ちやすい時間帯でしたが、保守していただきありがとうございました しずかすの出会いってそういえばまだ全媒体で不明だっけ 出会いの話は見てみたいと思ってたからありがたい
ただ、初期5人だとせつ菜とかすみがギスギスする暗い話になっちゃうのでは 【スクールアイドル同好会 部室】
ガラガラガラ
しずく「お疲れさまです。かすみさんですが、念のため保健室の先生に診てもらってます」
せつ菜「しずくさん、ありがとうございます!」
エマ「ごめんね〜。こういう時、先輩が連れてかなきゃいけないのに、任せちゃって」
しずく「いえいえ、このくらいのことでしたら、全然大丈夫です」
エマ「ありがとう〜。しずくちゃん、1年生なのにとっても頼りになって、上級生顔負けだな〜」
彼方「ほんとだよ〜。なんていうか〜、かすみちゃんのお姉ちゃん!って感じ、するよね〜」
しずく「わ、私が、かすみさんのお姉さん?」
せつ菜「分かります!」
せつ菜「練習中もお二人の距離が近く、すでにツウカアの関係のように見受けられました!」
しずく「な、何いってるんですか! 誤解です!」
しずく「かすみさんと私は、今日そのドアの前で会ったばっかりですから!」
彼方「へぇ〜? じゃあ、なんでしずくちゃんは、私たちには敬語なのに、かすみちゃんにはタメ口なの〜?」ニヤニヤ
しずく「そ、それは!ドアの前でかすみさんとお話したときに言われたからです!」
しずく「『かすみんとしず子はタメなんだから敬語禁止!』だって……」
エマ「へえ〜羨ましいなあ〜。なんだかフレンドリーって感じするもん!」
エマ「しずくちゃん!私たちにも、タメ口でいいんだよ?」
しずく「いやいやいや!流石にダメです!先輩たちにタメ口なんて、失礼ですから!」
エマ「そっかあ…」ショボーン せつ菜「大丈夫ですよ、しずくさん!私もどちらかといえば敬語キャラですから!」
しずく「キャラとか言わないでください!違いますから!」
ガラガラガラ
かすみ「かすみん、帰還しましたー!」
せつ菜「あっ!ここにも敬語キャラがいましたね!」
かすみ「へっ? けいごキャラ…? 何の話ですか?」
しずく「気にしなくていいよ。足の方は大丈夫?」
かすみ「平気だって〜!最初から保健室いくほどでないって思ってたし!」
しずく「でも、何かあったら心配でしょ?」
かすみ「も〜う。しず子ったら心配症なんだから〜。かすみんのお母さんみたい!」
しずく「お、お母さん…!?///」
彼方「ありゃりゃ〜。しずくちゃんはかすみちゃんのお姉ちゃんじゃなくて、お母さんだったか〜」
\ どっ /
しずく「う、うぅ…///」
かすみ「でも、心配してくれてありがとね、しず子」
しずく「どういたしまして…///」 エマ「う〜ん!でもでも、人が増えると雰囲気も明るくなっていいね!」
エマ「1年生ならなおさら!」
彼方「ほんとだよ〜。おかげで彼方ちゃん、今日の練習はバッチリ目が醒めてたよ〜」
せつ菜「そうですね!……って、彼方さん!普段の練習でも目を醒ましていてください!」
彼方「おっとっと〜、口が滑っちゃったぜ〜、いかんいかん」
彼方「 \どっ/ 」
せつ菜「セルフで笑いを足さないでください!」
しずく「……」
せつ菜「? しずくさん、どうかしました?」
しずく「……いや、皆さん、本当に楽しそうだな、と思いまして…」
せつ菜「…そうですね。今はメンバーこそ少ないですが、皆さんスクールアイドルが大好きですから!」
せつ菜「『スクールアイドルが大好き』という気持ちを共にして、『スクールアイドルになりたい』という同じ志があれば、一丸となって活動できるんだと思います!」
せつ菜「私たちは、同じものを好む者が集まった、まさしく『同好会』なんですから!」
しずく「なるほど……」
せつ菜「でもそれは私たちに限らず、演劇部だってそうなのではないですか?」
せつ菜「『より素晴らしい演劇を世に送りたい』という気持ちは同じはずでしょう?」
しずく「確かに、そうなんですけど……ってあれ?」
しずく「せつ菜さん、なんで私が演劇部ってこと、知ってるんですか…?」 せつ菜「…………(冷や汗)」
しずく「せつ菜さん?」
せつ菜「……あれ?練習前、しずくさんから聞いた、ような気がしますが……?」
しずく「いや、おそらく私からは言ってなかったと思いますけど……」
せつ菜「……………………(冷や汗)」
しずく「……せつ菜さ━━━「えええええ?!そうなの?!」
かすみ「しず子!演劇部に入ってるの!?」
しずく「あっ……うん、そうだよ。まだ言ってなかったよね?」
かすみ「なんで黙ってたの〜?水くさいじゃんか〜!」
しずく「ご、ごめんね?」
彼方「しずくちゃん、今日すぐに入部しなかったのは、演劇部との兼部のこともあって、すぐには決められなかったって感じかな〜?」
しずく「……!そうです……」
エマ「そっかあ〜。しずくちゃん、演劇が好きなんだね〜」
しずく「そうですね…。演劇は昔から好きで、演技する女優さん達に憧れて、演劇の道を志すようになりました」
エマ「へえ〜!しずくちゃんってどんな演目が好きなの?」
しずく「そうですねぇ…。多すぎて一つには選べませんが、シェイクスピアの戯曲はどれも好きですかね……特に『ハムレット』は子供の頃に観たときに強い衝撃を覚え(以下略)」
せつ菜「……!撤退するなら今です!」
せつ菜「じゃあ、私はこれで失礼します!皆さん、また明日!」シュババババ
しずく「特にオフィーリアというヒロインが印象的で……、あっ!せつ菜さんっ!」
しずく「行ってしまいました……」 エマ「あれ?せつ菜ちゃん帰っちゃった?」
彼方「みたいだね〜。もうこんな時間だし、今日はここらでお開きにしちゃいますか」
かすみ「じゃあ、また明日ですね!」
エマ「そうだね〜。しずくちゃんは、明日も大丈夫なんだっけ?」
しずく「はい、明日もよろしくお願いします」
エマ「も〜そんな真面目にしなくてもいいのに〜」
彼方「じゃあ〜、部室の鍵は彼方ちゃんとエマちゃんで職員室に返しておくから、お二人はお先にあがりたまえ〜」
かすみ「え、いいんですかぁ?」
彼方「いいってことよ〜」
かすみ「えへへ、それじゃあ、お言葉に甘えちゃいます!しず子、一緒に帰ろう?」
しずく「う、うん」
しずく「では、エマさん、彼方さん。お先に失礼します。お疲れさまでした」
エマ「お疲れさま〜」 ガラガラ
かすみ「じゃあ、帰ろっか」
かすみ「しず子って歩き?」
しずく「うん。駅まで歩きだよ。家が鎌倉だから電車で通ってるんだ」
かすみ「カマクラ?もう春なのに…融けたりしないの?」
しずく「いや、私イヌイットじゃないんだから」
かすみ「いぬいっと?」
しずく「……なんでもない、忘れて」
しずく「雪のかまくらじゃなくて鎌倉市の鎌倉。要は、私の家って神奈川県にあるの」
かすみ「へぇ〜……でも、遠くない?通学時間も長そうだし……」
しずく「そうでもないよ。私、登下校の時間って、案外嫌いじゃないから」
しずく「それに、通学費もお母さんたちが出してくれてるし」
かすみ「ふーん……ねえ、しず子ぉ」
かすみ「なんでしず子って、虹ヶ咲にしたの?進学先」
しずく「え?」
かすみ「ほら、高校って色々あるじゃん?その中で虹ヶ咲に選んだのは何でなのかなーって、ふと思って」 しずく「うーん……まあ、偏差値とか制服とか、要因は色々あるけど……やっぱり一番の決め手は演劇部かな」
かすみ「まあ、さっきエマ先輩たちに熱弁してたしず子の様子を見てたら、納得って感じ」
しずく「……虹ヶ咲って、比較的新しい方の学校なんだけど、部活動に精力的なのはかすみさんも知ってるよね?」
かすみ「うん」
しずく「虹ヶ咲の演劇部の勢いもここ最近すごく伸びてて、周りの古豪にも引けを取らないレベルにまで成長してるの」
しずく「……正直言うと、昔からの強豪校にも興味はあって、進学先は結構迷ってたんだ」
しずく「でも、オープンスクールで情報を集めてみると、虹ヶ咲と他の強豪校には大きな違いがあったの」
かすみ「違い?」
しずく「……虹ヶ咲以外の学校の演劇部は、基本的に兼部が認められてなかったの」
かすみ「ふーん…兼部禁止なんて、今の時代にもあるんだ……」
しずく「まあ実際、古豪って呼ばれてる学校ほど兼部禁止の傾向にはあったかな。やっぱり昔からあるだけあって、校風が古風なところは否めないね」
しずく「その考え方も有りだと思うし、もちろんそこの演劇部を見下すわけじゃないけど……私個人としては違うかなと思って」
かすみ「それで、虹ヶ咲を選んだんだ」
しずく「うん。……納得いった?」
かすみ「納得納得〜。わざわざ遠くから来てるのも納得だよ〜」 しずく「……かすみさんは、意外だって思わないの?」
かすみ「ふえ?意外って?」
しずく「演劇部の私が、スクールアイドルに興味がある、なんて……」
(━━それにしても、しずくがスクールアイドルとは……意外だったなぁ。)
しずく「……」
かすみ「……え?」
かすみ「えぇ〜〜〜?なに言ってんですかぁしず子ぉ〜〜〜?」
しずく「……かすみさん?」
かすみ「『スクールアイドルに興味あるのが意外』って、かすみんからすれば意味わかんないもん」
かすみ「━━━だって」
かすみ「スクールアイドルって、みーんな好きでしょ?」
しずく「……」
しずく「……ふふっ、確かに。そうだよね」
しずく「ちなみに、なんでかすみさんは虹ヶ咲に決めたの?」
かすみ「ん?うーん、まあ、かすみんは……」
かすみ「近場にあって、筆記試験やらなくても入れるところが、ここしかなかったから……」
しずく「……かすみさんってさ、ずっと言おうかどうか迷ってたけど、その……お勉強が……」
かすみ「や、やめて!それ以上言わないで!」 校風が古風なことは否めないね、こうふうなだけに!www ━━━━━
━━━━
━━━
【駅前】
しずく「じゃあ、ここで大丈夫かな。ありがとうね」
かすみ「あ、うん…」
しずく「ごめんね、かすみさん。こんなとこまで付き合ってくれて」
かすみ「え〜?いいよいいよ〜」
かすみ「しず子と話してたら、時間もあっという間だったし!」
しずく「ふふっ、私もだよ」
しずく「かすみさんの話、もっと聞きたいなって思うもん」
かすみ「……ねえ、しず子。明日の朝って…何時頃ここ着く?」
しずく「え?どうして?」
かすみ「んと……かすみん、今日みたいに友達とお喋りしながら下校するってこと…初めてで……」
かすみ「もししず子がよかったら、明日も一緒に登校したいなって思って……」
しずく「かすみさん……」
しずく「その…気持ちはすごく嬉しいし、私もそうしたいのが山々なんだけど……」
かすみ「けど……?」
しずく「明日ね…朝から演劇部の練習があって……朝の6時頃には、ここに到着する予定なんだよね……」
かすみ「………6時?」
しずく「かすみさんがそれでもいいなら……」
かすみ「……6時って、かすみん……まだお布団の中にいる時間だよ……」
しずく「うん……」
かすみ「…………下校は?」
しずく「下校は、今日と同じくらいかな」
かすみ「……じゃあ、また下校するとき、一緒にまた帰ろう?」
しずく「……うん。約束だよ?」
かすみ「うんっ」 ━━━━━
━━━━
━━━
【翌朝】
【虹ヶ咲学園】
【演劇部 部室】
演劇部部長「おはよう、しずく」
しずく「部長、おはようございます」
演劇部部長「で、どうだった?スクールアイドル同好会」
しずく「……なんだか嬉しそうですね」
演劇部部長「そうかな?」
しずく「……行ってきましたよ。部の活動の最低人数を満たしてないにもかかわらず、見学者の私を暖かく歓迎していただきました」
しずく「皆さん個性的な人たちばかりで……」
(柔らかい雰囲気で場を和ませるエマさん)
(居眠り好きでマイペースな彼方さん)
(その直情さと熱血で部を盛り上げるせつ菜さん)
(━━━そして、私の初めての友達の、かすみさん)
しずく「あの人たちと一緒に何かが出来たら、きっと…いや、絶対に楽しいと思います」
演劇部部長「…今日も行くのかい?」
しずく「はい。昨日は見学でしたが……今日、正式に入部したいと思います」
演劇部部長「そっか」ニコッ
演劇部部長「期待してるよ。無茶はしないようにね」
しずく「はい、ありがとうございます」 【放課後】
【スクールアイドル同好会 部室前】
しずく「……さて。昨日もこんな場面ありましたね」
しずく(……このドアを開ければ、私のスクールアイドル生活が始まる)
しずく「……ふぅ」
しずく(女優の道を夢見る私は、なぜスクールアイドルに興味を持ったのか)
しずく(それは純粋な理由で、私だけの歌が欲しいと思ったからだ)
しずく(舞台の上で歌うような劇中歌ではなく、私だけが奏でる歌を)
しずく(桜坂しずくだけの歌を━━━この世に送りたいと思うようになった)
しずく(だから私は、今、スクールアイドル同好会の部室の、ドアの前に立っているんだ)
しずく「……」
しずく(……こわい)
しずく(今までの桜坂しずくが歩んできた道とは違う、新しい桜坂しずくの道が、この扉の先に待ち構えてる)
しずく(その一歩を踏み出すことに、こんなにも臆病になってしまっている私がいる。足がすくんで動けない)
しずく(この小さな背中を、誰かに押してほしい)
しずく(誰でもいい。エマさんでも、彼方さんでも、せつ菜さんでも……知らない誰かでも)
しずく(でも、もし私のワガママを聞いてもらえるなら、その人は━━━)
「あ!しーず子ぉー!」
しずく「!」
「部室の前で何やってんのー!」
しずく(━━━その人は、かすみさんであってほしい)
しずく(何故なら、演劇畑の私にとって、かすみさんとの馴れ初めは、劇的であってほしいからだ。) 乙です
結末はアレだから邂逅としてこの締め方は良かった しずくとかすみの出会いを見たかったから実にありがたい >>彼方「 \どっ/ 」
>>せつ菜「セルフで笑いを足さないでください!」
ここいぬまるだし バッドエンドとわかっているからこそ
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