あなた「歩夢ちゃん、大事な話があるの」
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※このSSには歩夢ちゃんにとって刺激の強い表現があるから注意して読もうね!
歩夢(小さい頃からあの子のことが好きだった)
歩夢(いつも私の隣にいてくれる幼馴染の女の子)
歩夢(どうして好きなのかって聞かれても、きっとうまく答えられない)
歩夢(好きっていう気持ちには理由なんて必要ないと思うから)
歩夢(ただあの子の顔とか声とか匂いとか、とにかく全部が好きだってことは間違いなくて)
歩夢(いつか結ばれる日が来たらいいなって思ってた)
歩夢(そう、思っているだけだった)
………………
…………
…… 夜 マンション・ベランダ
歩夢「大事な話って、なにかな?」
あなた「……驚かないで聞いてね?」
歩夢「うん」
歩夢(この子のこんな真剣な顔、初めて見たかも……)
歩夢(もしかして私、告白とかされちゃうのかな!?)
あなた「その……実はね――」
歩夢(その言葉は、期待していたものとは全く違って)
歩夢(私の想像を遥かに超える残酷なものだった) あなた「実はね……せつ菜ちゃんと付き合ってるんだ、私」
歩夢「えっ……」
あなた「黙っててごめんね。早く言わなきゃとは思ってたんだけど……」
歩夢「あ……そ、それが大事な話、なの……?」
あなた「まぁ、うん。えへへ……」
歩夢「…………」
あなた「明日同好会のみんなにも報告するつもりなんだけど、まずは歩夢ちゃんに話しておきたくて」
歩夢「……そう、なんだ」
あなた「今日はもう遅いし、詳しいことは明日話すね。おやすみ」
歩夢「……うん」
ガラガラ
歩夢(あの子がせつ菜ちゃんと?……嘘だよ、そんなの)
歩夢(悪い夢でも見てるのかな、私……だってこんなこと、どうして?)
歩夢(嫌……嫌だよ……私が、私があの子のっ!)
歩夢「うっ、おぇぇぇ……」ビチャビチャ
歩夢「ぐすっ……嘘だって、言ってよぉ……」 翌日 虹ヶ咲学園
かすみ「ええええええええええ!?!?!?!?」
しずく「かすみさん、声が大きいよ?」
かすみ「だだ、だってしず子ぉ……!」
あなた「あはは……やっぱり驚いたよね」
璃奈「これで驚かないなんて無理。璃奈ちゃんボード『おったまげた』」
愛「いや〜、愛さんもびっくりしてひっくり返るかと思ったよー」
彼方「せつ菜ちゃんにもとうとう春が来たんだね〜」
果林「彼方ったらなにを言ってるの? 今はもう夏よ?」
エマ「ふたりともとってもお似合いだと思うよ!」
せつ菜「ありがとうございますっ!」
あなた「それじゃこの話は一旦終わりにして、練習始めよっか」 夕方 歩夢の部屋
歩夢「学校、休んじゃった……」
歩夢(でもこれはズル休みじゃないよね……昨夜は吐いちゃったし)
歩夢(……なんて言い訳しても、結局はあの子に会うのが怖いだけ)
歩夢(せつ菜ちゃんにも今は会いたくないよ……)
歩夢「はあ……」
歩夢(ベランダ、掃除しないとなぁ……)
コンコン
あなた『歩夢ちゃん? 起きてる?』
歩夢「!」
歩夢(ど、どうしよう……今はまだあの子と話す余裕なんて――)
あなた『……入るね?』
ガチャッ
歩夢「あ……」 あなた「なんだ、起きてたんだ。具合はどう?」
歩夢「えっと、その……」
せつ菜「みんな心配していましたよ、歩夢さんのこと」
歩夢「え……」
歩夢(どうしてせつ菜ちゃんまで……)
あなた「辛かったら横になってていいからね」
歩夢「うん……」
あなた「それで……お見舞いのついでに改めて、私たち少し前から付き合ってて……」
歩夢(ついで……? ついでのためにわざわざせつ菜ちゃんを連れてきたの?)
歩夢(おかしいよそんなの……ついでなのはお見舞いのほうじゃない……)
歩夢(いつの間にせつ菜ちゃんがそんなに大切になったの?)
歩夢(私はずっと、あなたのことだけが大切だったのに……)
あなた「あっ、でもみんなのサポートは、今までと同じように――」
歩夢「……同じじゃない」
あなた「えっ?」 歩夢「今までとは、全然違うよ……」
あなた「歩夢ちゃん……?」
歩夢「…………」
せつ菜「あの、大丈夫――」
歩夢「帰って」
せつ菜「はい?」
歩夢「帰って! 私、二人の顔なんて見たくない!!」
あなた「ど、どうしたの? 私たちなにか――」
歩夢「早く行ってよ! 私の部屋から出てって!」
あなた「歩夢ちゃ――」
せつ菜「行きましょう」
あなた「だけど……」
せつ菜「突然押しかけてすみませんでした。では、また学校で」
ガチャッ……バタン マンション・廊下
あなた「歩夢ちゃん、どうしちゃったんだろう……」
せつ菜「わかりませんが、今はそっとしておいてあげましょう」
あなた「……そうだね。あ、家寄ってくよね?」
せつ菜「はいっ!」
歩夢の部屋
歩夢(……やっちゃった)
歩夢(ふたりに当たったところで、どうにもならないのに)
歩夢(でもどうするのが一番いいかなんて、私にはわからないよ……)
歩夢(せつ菜ちゃん、今頃あの子の部屋にいるのかな)
歩夢(あの子と、どんなことしてるのかな……) あなたの部屋
せつ菜「んぅ……好き、好きです……んむっ」
あなた「菜々ちゃ、んんっ……」
せつ菜「ん……なんだか、熱くなってきましたね」
あなた「そうだね……ちょっと熱いかも」
せつ菜「……ソファに、行きませんか?」
あなた「……うん」
………………
…………
……
玄関
せつ菜「すみません、シャワーまで借りてしまって……」
あなた「汗かいたままじゃあれだし全然いいよ。それより送ってってもいいかな?」
せつ菜「私のことは気にせず、今日はもうゆっくり休んでください」
あなた「いや、その……もうちょっとせつ菜ちゃんと一緒にいたくて……」
せつ菜「ふふっ、そういうことならお言葉に甘えさせてもらいますね」 夜 歩夢の部屋
歩夢(私、今までなにをやってたんだろう……)
歩夢(あの子が隣にいるのが当たり前で、ずっと一緒にいられると思ってた)
歩夢(なんの行動も起こさなくても、あの子なら私を選んでくれると信じてた)
歩夢(だけど……現実はそうじゃなくて)
歩夢(私はどうしてそんな都合のいい未来になると思い込んでたんだろう)
歩夢(どうして手遅れになるまで気付かなかったんだろう)
歩夢(……なんて考えても、どうにもならないんだよね)
歩夢(あの子が私のものにならない世界なら)
歩夢(私があの子のものになれない世界なら)
歩夢「私がここにいる意味って、あるのかな……」 翌日 虹ヶ咲学園
しずく「歩夢さん、今日もお休みですか?」
あなた「うん、まだ調子悪いみたい」
愛「昨日お見舞い行ったんだよね? どうだった?」
あなた「うーん、思ったより元気そうだったんだけど……」
愛「けど?」
あなた「歩夢ちゃん、急に怒り出しちゃって」
あなた「なにか怒らせるようなことでもしちゃったのかなぁ……」
しずく「そのお見舞いって、せつ菜さんも一緒だったんですか?」
あなた「そうだけど、それがどうかしたの?」
しずく「いえ、ちょっと聞いてみただけです」 夕方 歩夢の部屋前
コンコン
歩夢『誰っ!?』
しずく「しずくです。入ってもいいですか?」
歩夢『だ、ダメ!』
しずく「……入ります!」ガチャッ
歩夢「きゃっ!」
しずく「……ロープ? 歩夢さん、これはなんですか?」
歩夢「な、なんでもないよ……」
しずく「そんなの嘘です! これでなにをするつもりだったんですか?」
歩夢「……もう嫌なの。私、耐えられない……」
しずく「先輩のこと、ですよね」
歩夢「……うん」 しずく「辛いのはわかりますが、だからってこんなこと――」
歩夢「しずくちゃんに私のなにがわかるの?」
しずく「……わかりますよ。だって私も歩夢さんと同じですから」
歩夢「えっ……?」
しずく「私も好きなんです、先輩のことが」
歩夢「……そう」
しずく「でも歩夢さんはもう諦めてしまったみたいですね」
歩夢「諦めるしかないよ。あの子はもう、せつ菜ちゃんと……」
しずく「なるほど、だから手遅れってことですか」
歩夢「そうだよ……なにもかも遅すぎたの……」
しずく「私はそうは思いません。遅すぎることなんて、ひとつもありませんよ」
歩夢「……どうしてそう思うの?」 しずく「だって先輩とせつ菜さんが永遠に離れないとは限らないじゃないですか」
しずく「つまり私にもまだチャンスはあるんです。可能性は残っているんですよ」
歩夢「……本当に、そんなものあるのかな」
しずく「ありますよ、きっと。だからもうただの後輩を演じるのはおしまいにします」
しずく「これからはせつ菜さんから先輩を奪い取る、ちょっぴり悪い後輩になるんです」
しずく「歩夢さんも、悪い幼馴染になってみたらどうですか?」
歩夢「悪い幼馴染、か……いいかも。でもしずくちゃんは悪い後輩にはなれないんじゃないかな」
しずく「どうしてですか?」
歩夢「私のことなんか放っておけばいいのに、わざわざ敵に塩を送りに来るんだもん」
しずく「そ、それは……ちょっぴり悪い後輩ですから、いいところもあるんです!」
歩夢「ふふっ、なにそれ」
………………
…………
…… 夜 公園
あなた「その……一昨日はごめんね」
歩夢「どうしてあなたが謝るの?」
あなた「私、歩夢ちゃんになにかしちゃったんでしょ?」
歩夢「ううん、違うよ。あれは全部私が悪いの。だからこちらこそごめんなさい」
あなた「えっと……話があるんだよね?」
歩夢「うん。とっても大事な話だから、ちゃんと聞いてね」
あなた「聞くよ、ちゃんと」
歩夢「私ね……ずっと前からあなたのことが好きなの」
あなた「……? 私も歩夢ちゃんのこと好きだよ?」
歩夢「ふぇっ!? って、そうじゃなくって!」
あなた「んん?」 歩夢「うぅ……ああもうっ!」スッ
あなた「へっ?」
歩夢「んっ……!」
あなた「んむぅ――!?」
歩夢「……私の“好き”は、こういう“好き”なんだよ?」
あなた「えっ、ええっ!?!?」
歩夢「今はせつ菜ちゃんに夢中なのかもしれないけど……」
歩夢「あなたのこと、いつか必ず振り向かせてみせるから!」
あなた「歩夢ちゃん……」
歩夢「…………」
あなた「あ、あの――」
歩夢「じゃあ、そろそろ帰ろっか」 マンション・廊下
あなた「……着いたね」
歩夢「そうだね」
あなた「…………」
歩夢「明日の朝は迎えに行くから、一緒に学校行こうね」
あなた「……うん」
歩夢「おやすみなさい」
あなた「おやすみ、また明日」
ガチャッ……バタン
………………
…………
…… 翌日 虹ヶ咲学園・音楽室
せつ菜「昨日、なにかあったんですか?」
あなた「えっ!? な、なんで……?」
せつ菜「なんとなくそんな気がして。違ったらすみません」
あなた「いや……うん、ちょっとね」
せつ菜「……えいっ」ギュッ
あなた「わっ、いきなりどうしたの?」
せつ菜「今はこうしていたいんです……ダメですか?」
あなた「……ううん、いいよ。私もこうしてたいから」
せつ菜「よかった……大好きです」
あなた「私も……せつ菜ちゃんのこと、大好きだよ」 中庭
しずく「ええっ!? キスしちゃったんですか!?」
歩夢「しずくちゃんっ、しーっ!」
しずく「あっ、ごめんなさい……」
歩夢「でもね、あれは仕方なくしただけで……」
しずく「どういう事情であれ、キスをしたのは事実じゃないですかっ」
歩夢「そうなんだけど……」
しずく「むぅ、これはよくない状況ですね……私ももっと積極的にならないと」
歩夢「えっ、まさかしずくちゃん……」
しずく「ふふっ、なんですか?」
歩夢「わ、私はしずくちゃんには負けないよ! もちろんせつ菜ちゃんにだって!」 歩夢(小さい頃からあの子のことが好きだった)
歩夢(……今は私の隣にいない幼馴染の女の子)
歩夢(終わってしまったと思った恋だったけど)
歩夢(それでもあの子のことを好きな気持ちは全然変わらなくて)
歩夢(本当は今やっとスタートラインに立ったところなんだと思う)
歩夢(だから私はもう諦めない)
歩夢(もう一度、あの子の隣で笑えるその時まで)
おしまい 最終的にどうなるとしても単純な負け要因にしないss大好き 。*☆∴。 。@☆*。
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★* H a p p y *★
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*★。 E n d 。★*
@☆。 。☆∵.
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@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ♥|/cV ˶╹ᴗ╹V\| ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています