美渡「くっそ〜風邪引いた……」
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朝 美渡の部屋
美渡「……ん?」パチッ
美渡「……」
美渡「あ〜なんか熱っぽいな……風邪引いたかなぁ」ムクリ
美渡「―げほっごほっ……!!」
美渡「うぅ……喉が痛いし寒気もする、こりゃ間違いなく風邪だな」ブルッ
志満「美渡、いつまで寝ているの?そろそろ起きないと会社に遅れる」ガラッ
志満「―あら、どうしたの?顔が赤いわよ」
美渡「おはよ……なんか風邪引いたっぽいかも」
志満「まぁ、それは大変ね。待ってて今体温計持って来るから」パタパタ 志満「ほら、体温計」スッ
美渡「ん、ありがと……」グッ
志満「具合、どうなの?」
美渡「風邪の引き始めって感じかな、喉が痛くて寒気がする―げほっげほっ」
志満「ほら大丈夫?あまり辛いようなら会社は休んだ方がいいわよ」サスサス
美渡「う〜ん……今日中に仕上げないといけない仕事があるんだけどなぁ」ピピッピピッ
美渡「お、測り終わった。どれどれ」スッ
志満「37.9°……これは無理しないで寝てた方がいいかもしれないわね、これからまた上がるわよ」
美渡「くっそ〜風邪引いた……しばらく風邪なんて引いてなかったのになぁ」
志満「たまには休息を取れと言う事ね、あなたがいなくても会社は回るから安心しなさい」
美渡「それ、地味に傷付くんだけど……」 千歌「2人共〜ご飯出来たよ〜」
千歌「ありゃ?美渡姉どうしたの?」
志満「風邪を引いたみたいでね、私は美渡のそばについてるから千歌ちゃんは先にお父さんと食べてて」
千歌「へぇ〜美渡姉風邪引いたの〜?美渡姉は風邪なんか引かないと思ってたのに」ニヤニヤ
美渡「なんだと〜どういう意味だ―あっ……」クラッ
志満「茶化さないの千歌ちゃん、ほら早く行きなさい。遅刻するわよ」
千歌「は〜い、美渡姉お大事に〜」
美渡「はよ行け、しっしっ」
志満「ご飯、食べられる?」
美渡「いや……今は食欲がわかない、しばらく寝てるから志満姉もご飯食べて来たら」
志満「そう、それじゃなにかあったら遠慮なく呼ぶのよ」
美渡「うん、わかった……」 千歌「美渡ね゛え゛し゛な゛な゛い゛て゛えぇぇええぇぇ!!!!」 美渡「はぁ〜風邪で会社休んだの初めてかも……」
美渡(最近忙しかったからなぁ、疲れが出たのかな)
美渡「……」ボーッ
美渡「……寝よ」ゴロン
美渡「―すぅ……すぅ……」
ギュウ〜ピチャピチャ……ピトッ
美渡「……んん」パチッ
志満「あ、起こしちゃった?ごめんなさい」
美渡「ううん……大丈夫、タオル気持ちいい……」
志満「よかった、幸い今日はお客さんも少ないから看病してあげられるわ」スッ
志満「お父さんがお粥作ってくれたんだけど、今度は食べられそう?」
美渡「そうだね、少しくらい食べないと体力持たないから食べてみるよ」
志満「えぇ、今用意するわね」 志満「お待ちどうさま〜」カタッ
美渡「おぉ〜うまそ、この赤いのは蟹かな?豪勢だねぇ」
志満「ふふ、今夜のお膳に出す食材から特別に入れたのよ。ラッキーだったわね」
志満「食べさせてあげる、ふ〜ふ〜」
志満「はい、あ〜ん」スッ
美渡「いやいいって、ひとりで食べられるよ」
志満「そう言わないの、普段ならこんな事しないわよ」
志満「風邪を引いた時くらい素直に甘えなさいな」ニコッ
美渡「別に甘えたいとか思ってないけど……」
志満「ほら早く食べないとこぼしちゃうかも〜」
美渡「わ、わかったよ。あ……あ〜ん」パクッ
志満「おいしい?」
美渡「―うん、うまい……やっぱりお父さんの作る料理は世界一だね」
志満「お父さんにもそう伝えておくわ」
美渡「あと……志満姉に食べさせてもらって……よかった」ボソッ
志満「あら、なんだって?もう一度言って」ズイッ
美渡「な、なんでもないっ」カァァ
志満「まぁ、また熱が上がっちゃったかしら?うふふ♪」
美渡「志満姉……病人をからかわないでよ」 美渡「ふぅ……ごちそうさま」
志満「結局全部食べたわね、よかったわ」
美渡「自分で思ってたよりもお腹空いてたのかもね」
志満「だけどまだ油断は出来ないわね、また横になって休んだ方がいいわ」
美渡「そうするわ……なんかだるくなってきた」ゴロン
志満「タオル、ぬるくなっちゃったわね。交換してくるわ」
美渡「……」
美渡(まさかこの歳になってご飯を食べさせてもらうなんてなぁ……)
美渡(千歌が学校に行っててよかったよ、あんなところ見られた日にゃなにを言われるか)
美渡(今日の志満姉、優しいな……)
美渡(ちょっと恥ずかしかったけど……)
美渡(たまには風邪引くのも、悪くないかも)
美渡「―へへへ♪」ニヤァ 志満「あら、なにニヤニヤしてるの?」
美渡「し、志満姉!?早かったね……」
志満「水を交換してきただけだもの」ギュウ〜
志満「少し顔色がよくなったかしらね」ピトッ
美渡「うん、やっぱりご飯食べると違うね」
美渡「こんなに志満姉がそばにいてくれるの、滅多にないよね」
志満「そうね、小さい頃は遊ぶのもお風呂に入るのも寝るのも一緒だったけれど」
美渡「千歌が生まれるまではいつも志満姉と一緒にいたなぁ」
志満「千歌ちゃんが生まれてからは千歌ちゃんの面倒を見るようになっていつの間にかお互いそばにいる事もなくなっちゃったわね」
美渡「千歌の奴ピーピー泣いて志満姉よく飛んで行ってたよね」
志満「あら、美渡だってよく泣いて私にくっついて来たものよ」
美渡「えぇ〜そうだっけ?」
志満「そうそう、私がお母さんと出掛けようとすると『みともおねえちゃんと一緒に行きたい〜!!』って言って結局美渡もついて来てたの」
美渡「き、記憶にございませんなぁ〜」
志満「私はしっかり覚えてるわよ、確か写真もどこかにあったはずねぇ〜」
美渡「そ、そんなの見せなくていいから!!」 美渡「うっ……!?ごっほごっほ!!」
志満「あらあら大丈夫?興奮し過ぎよ」サスサス
美渡「誰のせいだと思ってるのさ……」ジロッ
美渡「……」
美渡「―そう言えばさ、昔は志満姉の事『お姉ちゃん』って呼んでたんだね」
志満「そうね、私も『美渡ちゃん』って呼んでたわね」
志満「千歌ちゃんが生まれてからはお互い示しがつかないって言って呼び方を変えたのよね」
志満「私は美渡ちゃんって呼んでもよかったしお姉ちゃんって呼ばれてもよかったんだけど」
美渡「それじゃ私がダメだと思ったんだ、私だって千歌のお姉ちゃんなんだから」
美渡「いつまでも志満姉に甘えてたら千歌に格好つかないってさ」
志満「へぇ、そんな風に思ってたの」
美渡「なにさ……私だって少しは上になった自覚くらいあったんだからね」
志満「ふふ、いつの間にか頼れるお姉ちゃんになっていたのね」 志満「ねぇ美渡ちゃん」
美渡「は?なに急に?」
志満「なんだか昔の話をしている内に久し振りに呼んでみたくなってね」
美渡「や、やめてよ……変な汗出た」
志満「その調子で汗をかけば熱が下がるかもね」
志満「あなたも私の事『お姉ちゃん』って呼んでいいのよ」
美渡「な、なに言ってんのさ。私達もういい歳の大人じゃんよ」
志満「いい歳してお粥食べさせてもらうんだ〜?」ニヤニヤ
美渡「それは志満姉が食べさせたからだろ〜!!」
美渡「―あ……」フラッ
志満「はぁい♪いらっしゃ〜い♪」ギュッ
美渡「ダメ……風邪が移っちゃう……」
志満「そしたらあなたに看病してもらうからいいわよ」
志満「―今は千歌ちゃんもいない、私達2人だけ」
志満「ね、また昔のように戻ってみない?美渡ちゃん」
美渡「え?」
志満「こんな時じゃないと出来ないわよ」
美渡「う……」
美渡「……お、お姉ちゃん」ポフン
志満「うん、よく出来ました♪」ナデナデ 美渡(志満姉の胸……すごく温かくて柔らかい)
美渡「あぁ……落ち着く……」
志満「だんだん素直になってきたわね」
美渡「うん……なんかもうどうでもいいや」
美渡「今はただ、こうやってお姉ちゃんに抱かれていたい……」スリスリ
志満「やっとお姉ちゃんって言ってくれた」
美渡「ねぇお姉ちゃん、一緒に寝て」
志満「うーん、それだと本当に風邪が移りそうね……」
美渡「私が責任持って看病するからさ」
美渡「ね、お願い」ギュッ
志満「すっかり昔の甘えん坊に戻ってしまったわね」
美渡「お姉ちゃんが甘えていいって言ったんでしょ」
志満「それもそうね。美渡ちゃんかわいいし、まぁいっか」モゾモゾ
美渡「へへっ、やった」
美渡「お姉ちゃん、手繋いで」ベッタリ
志満「やれやれ、今千歌ちゃんが帰って来たら大変ね」
志満「おやすみなさい、美渡ちゃん」ギュッ 夕方
志満「はい美渡ちゃん、みかん剥いたわよ」スッ
美渡「あ〜ん、はむっ……う〜ん、お姉ちゃんに剥いてもらうみかんはおいしいなぁ」モグモグ
志満「大分顔色もよくなってきたわね、明日には会社に行けそうかしら」
美渡「会社かぁ……明日も具合悪いって言って休んじゃおうかな」
志満「もう、まだ甘え足りないの?」
美渡「はは、冗談だよ。明日は流石に行かないとまずいし」
志満「風邪を引いた時じゃなくても、たまにはこうして甘えてもいいのよ」
美渡「なら今度からは会社の愚痴聞いてもらってもいい?」
志満「もちろん、いつでも慰めてあげるわ」ニコッ
美渡「えへへ、お姉ちゃ〜ん」ダキッ
千歌「……へぇ〜」
美渡「ちっ、ちちち千歌!?」パッ
志満「あら、おかえりなさい千歌ちゃん」
千歌「ただいま〜」
千歌「ね〜ね〜今2人でなにしてたのぉ?」ニヤニヤ
美渡「ちょ、ちょっとふらついたから寄りかかっただけだ!!」
志満「そうそう、ただの看病よ」
千歌「ふ〜ん、そうなんだぁ。いやぁごちそうさま。お姉ちゃん達の仲がよくて私は嬉しいなぁ〜」
千歌「お邪魔虫は退散しますよ〜だ、ばいば〜い」
美渡「違っ!!おい千歌〜!!」
美渡「うわぁぁ〜!!見られたぁ〜!!」
志満「まぁまぁ、いいじゃないの。私は気にしてないからね」
美渡「私が気にするんだよぉぉ〜!!」
美渡「あぅ……また熱上がってきたかも……」プシュ〜 翌朝
美渡「う〜ん……」ノビー
美渡「―はぁ……あぁ〜」
美渡「よっしゃ!!風邪治ったぞ〜!!」
志満「おはよう美渡、具合はどう?」
美渡「うん、バッチリ治った。これも志満姉の看病のおかけだね」
志満「そう、それならよかったわ」
美渡「志満姉は平気?風邪移ってない?」
志満「私は大丈夫、なんだけどね……」
美渡「へっ?」キョトン
千歌「へっくちゅん‼へっくちゅん‼」
千歌「うあぁ〜風邪引いた〜」
美渡「なんで千歌が風邪引いてるんだよ」
志満「あのあと千歌ちゃんヤキモチを妬いて私にくっついてきたのよね」
美渡「あぁ、それで……」
志満「と、いう訳で私と美渡で責任を持って千歌ちゃんの看病をしてあげましょうね」
美渡「しゃーないな、元はと言えば私のせいだし面倒見てやりますか」
美渡「会社終わったらすぐ帰るからな〜待ってろよ〜」
千歌「帰りプリン買って来て〜」
美渡「はいはいわかりました」 美渡「ただいま〜」
志満「おかえりなさい」
美渡「千歌は?」
志満「寝ているわ、具合も落ち着いてきた。プリン食べたいプリン食べたいってずっと言ってたわよ」
美渡「そんじゃ、起きたら食べさせてやるかね」
美渡「……」ソーッ
千歌「んん……むにゃ……」
美渡「布団蹴っ飛ばして、元気なこった」ファサッ
美渡「ごめんな千歌、私の風邪移しちゃって」
千歌「ん……」パチッ
千歌「あ、美渡姉……おかえりなさい」
美渡「ただいま、プリン買って来たぞ」
千歌「わぁ、早く食べた〜い」
美渡「よしよし、今開けてやるからね」
美渡「ほれ、口開けな」スッ
千歌「あ〜ん、―甘ぁ〜い、おいしいねこのプリン」
美渡「高かったんだぞ〜味わって食べろよな」
千歌「ありがと〜美渡姉大好き〜」ダキッ
美渡「あんたは風邪を引いても引いてなくても甘えん坊だなぁ」ナデナデ
千歌「妹の特権なのだ、えへへ」
美渡「いいよ、思いっきり甘えな。私がいっぱいかわいがってあげる」
美渡(妹の特権、か……)
美渡(なら私にもその権利があるよね)
美渡(また……お姉ちゃんに甘えよう) おまけ
志満「お母さ〜ん」ムギュッ
千歌ママ「あらあら志満ちゃんたら、お母さんが恋しかったの?」ナデナデ
志満「美渡や千歌ちゃんが私に甘えてくるものだから私もお母さんに甘えたくなっちゃって」
千歌ママ「あなたは昔からお母さんにべったりだったものねぇ」
志満「そうよ、だから今だって本当は寂しいんだから」スリスリ
千歌ママ「お姉さんなんだから我慢しなくちゃダメよ」
千歌ママ「―と、言いたいところだけど。お姉さんだからこそどこかで気を抜かないといけないわよね」
千歌ママ「今夜は久し振りに一緒に寝ましょうか、美渡ちゃんや千歌ちゃんには内緒よ」
志満「うん、嬉しいなぁ〜♪」
千歌ママ「うふふ、やっぱりいくつになっても子供は子供よね」 終わりです。最後まで読んでいただきありがとうございました。 このSSは高海姉妹推し俺の聖典だ
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