かすみ「せつ菜先輩と菜々先輩に分裂したー!?」
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部室
かすみ「あなた達にそんな機能があるの、恋人のかすみんでも聞いてませんよ!」
菜々「私もです」
せつ菜「一体、ど、どうしてこうなったんですか!?」
かすみ「それはかすみんが聞きたいことなんです!」
かすみ「何か異変はなかったんですか? 変わったこととか色々」
菜々「と、言いましても……」
ガララ
璃奈「――ごめんなさい、私のせい」
かすみ「?」
璃奈「私が彼方さんと協力して開発してたスポーツドリンクの試作品、間違えてせつ菜さんに渡しちゃってた」
せつ菜「ああ……昨日の?」
かすみ「だからってこんなことになるの!?」
璃奈「そういうこともある、りなちゃんボード【科学の発展ニ犠牲はツキモノデース】」 菜々「……犠牲かどうかはともかくとして、直せる方法はあるんですか?」
璃奈「ある」
せつ菜「それなら!」
璃奈「でも少し時間がかかる、多分1〜2週間くらいは必要」
菜々「2週間……」
せつ菜「な、なるほど! こういう展開は見たことがありますよ! とある不注意から分裂してしまった私たちを直そうと、色んな方々が協力してそこに数多の人間ドラマが生まれる……!」
せつ菜「きっと面白くなりますね! さあ私はどうしたらいい――」
菜々「落ち着いて、静かにしてください。今はこれからどうして行くかを考える方が先決です」
せつ菜「は、はい……」シュン…
かすみ(せつ菜先輩が自分に怒られてる……) 菜々「長くて2週間、私たちは普通通り過ごしていればいいんですね?」
璃奈「うん」
かすみ「いやいや、普通通りって言っても2人になっちゃってるんですよ?」
菜々「学校では基本的に私の姿でいましたから、授業は私が出ましょう」
菜々「部室以外で2人一緒にいることが無ければ、基本的には悟られないはずです」
せつ菜「確かに……」
菜々「せつ菜さんは基本的に部室にいて下さい」
かすみ「な、なるほど……まあ確かに実際お二人は別人みたいなものですし」
かすみ「むしろ、生徒会の仕事に集中する菜々先輩とスクールアイドルに集中するせつ菜先輩という構図は効率がいいんじゃ……」ムムム… せつ菜「色々問題はありそうですが……きっと乗り越えられるはずです! 神は乗り越えられる試練しか与えませんからっ!!」
璃奈「2週間あれば絶対直せる。私も協力するから」
菜々「ではかすみさん」
かすみ「はい?」
菜々「せつ菜さんのこと、よろしくお願いしますね」
かすみ「……どういうことですか?」
菜々「……2人も同じ家に帰るわけには行かないでしょう?」
せつ菜「――あ」 ◇――――◇
かすみの部屋
せつ菜「お邪魔しますっっ!!」
かすみ「部屋に入るときは別に言わなくてもいいですよ」
かすみ(こっちのせつ菜先輩……いつも以上に勢いがあるというかなんというか……こうでも言ってあげないと毎回お邪魔しますって言いそうですもん)
かすみ(せつ菜先輩、時々暴走しちゃうからなんか嫌な予感がします……)
せつ菜「本当になんと感謝を申しあげていいのか……私は感動してますっ」ギュ
かすみ「はいはい分かりましたから。気を使わなくていいですからね、ゆっくりしてください」
せつ菜「はいっ!」
せつ菜「じゃあ早速なんですが……」
かすみ「?」
せつ菜「ふたりで筋トレをしましょう!」 かすみ「え゛っ、いきなりですか!?」
せつ菜「はいっ! 今日は分裂騒ぎで満足に練習出来ませんでしたからね、やることは沢山ありますよ!」
かすみ「い、いやだからかすみんは……」
せつ菜「さっ、はやく!」
かすみ「うぇぇぇぇぇん…………」
――――
かすみ「き、筋トレも終わりましたし……あ、あとはシャワーを浴びて眠るだけですね……」
かすみ(なんか前に泊まりきた時よりも随分トレーニングの時間が長くなってるような……疲れました……)
せつ菜「よし、次は一緒にゲームをしましょう!?」
かすみ「えっ、あ……はい」
せつ菜「その後はアニメが始まりますね! 今日の深夜アニメは見どころが多いですからね! かすみさんも一緒に見ましょう!」 かすみ「あ、ぁの、かすみんもう疲れてきたっていうか……」ゴニョゴニョ…
せつ菜「あっっっ! 新しいスクールアイドルの動画も投稿されたんでした! うぅぅ、迷いますね……! かすみさんはアニメよりもスクールアイドルの方が好きですかね!?」
かすみ「す、スクールアイドルは好きですけど! せつ菜先輩のプランだと夜がいくらあっても足りないです!」
かすみ「明日は学校ですよ!?」
せつ菜「うーんうーん……どうしましょうか、あっ、かすみさん見てくださいっ! 最近面白そうなものがありまして!」
かすみ「ぅぅぅぅぅ」 ◇――――◇
部室
せつ菜「皆さんおはようございます!!!」
かすみ「…………おはようございます」
侑「おはよ、2人とも」
かすみ「はぁぁ……」
侑「かすみちゃん、なんか眠そうだね?」
かすみ「ぅぅ、眠いですよぉ……せつ菜先輩が夜通しで色々見せてくるんですもん……」
せつ菜「す、すみません。かすみさんと一緒だと楽しくなってしまって……」
ガチャ
菜々「失礼します」
侑「あ、菜々ちゃんおはよう」 菜々「おはようございます、あまり部室に立ち寄ると良くないと思ったのですが」
かすみ「どーかしたんですか?」
菜々「いえ、かすみさんの様子を確認しに来たんです」
かすみ「かすみんの様子? どういうことです?」
菜々「――恋人の様子を見にくるのは当然のことではありませんか?」
かすみ「っっ////」
菜々「ふむ……」グイ
かすみ「ひゃ///」
かすみ「ぁ、ぁの、そのぉ……」////
せつ菜「ちょ、ちょっと!」ワタワタッ 菜々「随分眠そうですね、せつ菜さん、昨夜は何をしていたんですか?」
せつ菜「え、えっと……トレーニングをした後アニメやゲーム、スクールアイドルの動画など……」
菜々「何時まで?」
せつ菜「わ、わかりません……」
かすみ「3時半までですよ……」ジト…
せつ菜「そ、そんなにですか!? すみません……」
菜々「呆れました」
せつ菜「……」
菜々「――今日は私がかすみさんの家に泊まります」 かすみ「!?」
せつ菜「えっ!?!?」
菜々「あなたにかすみさんを任せてはおけない、そう判断出来ましたから」
せつ菜「ちょっと待ってくださいっ、私はかすみさんの恋人ですっ、私はかすみさんが大好きで、だから――」
菜々「――私もかすみさんの恋人ですが?」
せつ菜「っっ」
侑「な、なにこの雰囲気……」
歩夢「私たち、いちゃいけない気がするよ……」ヒソヒソ…
侑「ご、ごめんっ、私たち先教室行ってるねっ!」
ガチャッ
かすみ「ちょ、ちょっとお二人とも!?」 菜々「……」バチバチ
せつ菜「……」バチバチ…
かすみ(うぅぅ、なんなんですかこの状況〜っ、かすみんにどうしろっていうんですか)
かすみ(いくらかすみんが可愛いからって取り合いはやめてくださいよぅ〜〜)
かすみ「ぅ、うぅ……」
菜々「かすみさん」
かすみ「ふぁいっ」
菜々「――あなたは今日、どちらの私に泊まりに来てほしいですか?」
かすみ「な、なんですかその質問……」
せつ菜「わ、わたしですよね……かすみさん?」ウルウル…
かすみ「ぅぅぅ」
かすみ(せつ菜先輩が悲しそうな顔をするのは見たくないですけど、昨日みたいに夜通しだと辛いです……それに、片方だけというのも不公平ですし……) かすみ「ごめんなさいっ、せつ菜先輩っ!」
せつ菜「えっ……」
かすみ「今日は、菜々先輩に来てもらいたいです……」
菜々「ありがとうございます、嬉しいです」
せつ菜「……」シュン…………
かすみ「こ、これはあくまで公平性を期すためであって……そんな顔しないでくださいよぉ、せつ菜先輩……」
せつ菜「すみません……あの、もう私は行きますね」
ガチャ
かすみ「ちょっと!」
かすみ「…………悪いこと、しちゃいましたかね」
菜々「いえ、そんなことはありません。少し大袈裟なだけですよ」
かすみ「そう、ですかね……」
菜々「そうだ、今日のお昼は是非生徒会室に来てください。一緒にお昼を食べましょう?」
かすみ「生徒会室……わかりました」 ――――
お昼
菜々「はいどうぞ、あーん」
かすみ「っ」////
菜々「どうしましたか?」
かすみ「ぁっ、いやその」
かすみ「菜々先輩は、随分積極的だなーと」アハハ…
かすみ「まあ、かすみんは可愛いですから積極的になるのもわかりますけどぉ……」
菜々「ふふ、自分で答えを言わないで下さい」
菜々「かすみさんがとても可愛いから、色々したくなってしまうんですよ」
かすみ「ぁ、ぁぅ……そうですか」///
かすみ(思えば……あまりこの状態の先輩と2人きりになることって少なかった気が……大抵せつ菜先輩の方でしたし……) かすみ(真顔でズバズバ言ってくるから正直苦手と思ってましたけど、好意まで真顔で言ってくるなんて……)
かすみ(でも、せつ菜先輩も菜々先輩も直球なことには変わりないんですね……)
かすみ「あの、菜々先輩……」
菜々「?」
かすみ「菜々先輩とせつ菜先輩って…………どっちが本物、なんですか?」
菜々「本物?」
かすみ「ぁぁ、いや……なんて言うんですかね……時々わからなくなるんですよ」
かすみ「無邪気にはしゃぐせつ菜先輩、真顔で真面目でお堅い生徒会長、温度差が激しすぎて……その、かすみんどうしたらいいのか」
菜々「なるほど……たしかに、接しにくい部分があっても仕方ありませんよね」
菜々「だから、今までもあまり生徒会室には来てくれなかったんですか?」 かすみ「ま、まあそんなところですかね……」
菜々「結論から言ってしまえばどちらも本物です、どちらも私です」
菜々「だから気にせずここにも来て欲しいんです、勿論仕事中だったりすると難しいですが」
かすみ「……分かりました、これからはそうします」
かすみ「……いたずらしたら怒りますか?」
菜々「当たり前です」
かすみ「ぅぅ、せつ菜先輩の時は笑って許してくれるじゃないですかぁ……」
菜々「それはそれ、です」
かすみ「も〜それがわからないんですよぉ!」 ――――
1年生の教室
せつ菜「失礼します!」
せつ菜「あっ、しずくさん!」
しずく「せつ菜さん……どうしたんですか?」
ザワザワ…
せつ菜「かすみさんを知りませんか? 一緒にお昼を食べようと思ったのですが、こちらの教室に来ていないかと……」
しずく「ああ、かすみさんなら――」
「あ、あのっ、せつ菜さんですか?」
せつ菜「はいっ、そうですよっ!」
「この前のライブ、とてもかっこよかったです!」
「私も見ました! 今までせつ菜さんのことを学園で見た人ってほとんどいなかったので……会えて嬉しいです!」
「2年の何組なんですか?」
ザワザワ…
せつ菜「あ、あれ、あの」
せつ菜(ぅ、ぅぅどうしましょう……迂闊に学園内を歩くべきではありませんでした……)
しずく「せつ菜さん、とりあえず部室にいきましょう」グイッッ ◇――――◇
せつ菜「すみません……」
しずく「もう……2人居るっていうのも考えものですね……しかも、せつ菜さんがここ最近急に姿を現し始めたと言うのも……」
せつ菜「そうですよね……」
しずく「まだ治すものは出来ないの?」
璃奈「まだ時間がかかる」
せつ菜「そうですよね……」
せつ菜「かすみさんはどこへ?」
しずく「確か……」
璃奈「生徒会室に行って食べるって言ってた」
せつ菜「えっ!?!?」
せつ菜「本当ですか!?」
璃奈「本当」
せつ菜「じゃあ、かすみさんは菜々さんと……」シュン……
しずく(す、すごい落ち込み様……) ◇――――◇
放課後
せつ菜「ふぅ、今日の練習は終わりですね……!」
かすみ「はぁぁ、今日も疲れました〜、でも疲れたかすみんも可愛いなぁ……」
せつ菜「そうですねっ、では……」
菜々「――ああ、見つけました。かすみさん、行きましょうか」
せつ菜「ぁ……」
菜々「せつ菜さん、あなたが1番分かっているとは思いますが、くれぐれも家では静かにお願いします」
せつ菜「……はい」
菜々「行きましょう?」ギュ…グイッ
かすみ「は、はい///」
せつ菜「……」ズゥゥゥン…… ◇――――◇
かすみの部屋
かすみ(昨日はせつ菜先輩が暴走しちゃって酷い目に遭いましたけど……菜々先輩は真面目ですし、きっと大丈夫ですよね)
かすみ「ふぁぁ、昨日あまり眠れなかったからかすみん、今日は早く眠りたいです」
菜々「ふむ、確かにそうですね」
菜々「今日は早く眠りましょう、22時には眠れるといいですね」
菜々「では気持ちよく眠るために……」ガサゴソ
かすみ(い、嫌な予感……)
菜々「――課題を終わらせてしまいましょう」
かすみ「うげっっ……今度はそっち」
菜々「かすみさんは課題などはありませんか?」
かすみ「な、ないですないですっ! かすみん真面目なので課題は出たその日に終わらせちゃうんですぅ〜」
奈々「……」
かすみ「ほ、ほんとです!」 かすみ(今は抱えてる課題とかが無くてよかったぁぁぁ……)
菜々「そうですか、流石はかすみさんですね」フフ
菜々「では、次のテストに向けて復習をしましょう」
かすみ「へ?」
菜々「学生の本分は勉強です、それを疎かにしてしまったらスクールアイドルも出来ませんし、私が許しません」
かすみ「ぁ、いや、かすみんはいまそんな気分じゃないというか……その」
菜々「分からないところがあればなんでも聞いてくださいね? 一緒に頑張りましょう?」ニコ
かすみ「あ、ぅぅぅぅぅ」 ――
2時間後
かすみ「ぐす……」
かすみ(菜々先輩てば、どれだけ勉強すれば気が済むんですかぁ……分裂する前は短く効率的にって言ってたのにぃ……これじゃあ長いうえに効率的で、かすみんにとっては地獄ですよぉ……)
菜々「ふぅ、きちんと勉強をしてからベッドに入るのは心地良いですね」
かすみ「そ、そーですねー……」
かすみ「うぅ、本当にかすみんもう眠いですぅ……」
菜々「ふふ、そうですねゆっくり眠って明日に備えましょう」
菜々「あっ、そうだかすみさん、眠る前に……こちらを向いてください」
かすみ「?」
菜々「――んっ……」チュ…///
かすみ「っぁ……♡」 菜々「ふふ」
かすみ「っっっ////」
かすみ「い、いきなりはずるいですよ! いつも、キスしていいですかって馬鹿正直に聞いてくるくせに……」///
菜々「それはせつ菜さんの方です。昨日はしたんですか?」
かすみ「いえ……」
菜々「じゃあ私の方が最初だったんですね、嬉しいです」ギュッ…
かすみ「……」ドキドキ…
かすみ(ま、まずいです……いつもはせつ菜先輩モードの時としかこういうことしたことなかったから、なんか、なんか……)////
菜々「ちゅ……♡んっ……」
かすみ「ん、んんんぅ♡」
菜々「ちゅぷ……はっ♡ん、っ、ぁ♡」
かすみ「ふぅ、は……♡」ビク…♡ビク…///
菜々「ぷは……ふふ、可愛いですよ」
かすみ「〜〜〜っっ、あたりまえ、です」//// かすみ(なんかいつもより、変な気分になるというか……もしかして、このままこの先まで……)キュンキュン…♡
菜々「――ふぅ、もう眠る時間ですし電気消しますね」
かすみ「え」
パチッ
菜々「おやすみなさい」
かすみ「ちょちょっ……えっ、えっ?」
菜々「――すぅ、すぅ……」
かすみ「ぐ、ぬぬぬぬぬぬぬ」
かすみ(こんな、こんな、いきなり深いキスまでしておいてこっちを変な気分にまでさせて……!!)
かすみ(自分だけすぐ眠っちゃうなんて……!!! 自分勝手にもほどがありますっ、全く! せつ菜先輩とは違うかもって思ったかすみんが馬鹿でしたっ)
かすみ(ばかっ、ばかばかっ!) ◇――――◇
翌朝 部室
かすみ「つーん」
菜々「か、かすみさん……私が一体何をしたと言うんですか……? お願いします、教えてください……」
かすみ「多分菜々先輩には一生わかりませんよーだ」
菜々「ど、どういう……」
ガチャ
せつ菜「おはようございます!」
かすみ「あっ、おはようございます〜」
菜々「おはようございます、昨日は家の方では問題は起きませんでしたか?」
せつ菜「ええ、アニメなども我慢しましたしバッチリなはずです」
せつ菜「そ、それより!」手ギュッ…グイッ
かすみ「ち、ちかいです///」 せつ菜「今日はかすみさんとお昼を食べたいです……もちろん2人きりで、です」
菜々「……」
かすみ「えっ、ぁ……」
せつ菜「だめ、ですか?」ウル…
かすみ「ま、まあ昨日は菜々先輩と食べましたし……いい、ですよ」
かすみ(目の前でそんな切なそうな顔されたら断れるわけないじゃないですかぁぁ)
菜々「まあ、そうですね。公平性を保つためにも今日は譲ります。ただし、明日は私と2人きりですよ」
かすみ「も、も〜いくらかすみんが可愛いからって取り合いは――」
菜々「……」バチバチ
せつ菜「……」バチバチ…
かすみ「あ、の……本気のやつはやめて、ください……はい」 ◇――――◇
お昼 部室
かすみ「いただきまーす」
せつ菜「……」モグモグ…
かすみ「聞いてくださいよ、さっきも言いましたけど菜々先輩ったら勉強勉強って……ほんと、先輩の極端な部分をさらに濃くした感じで」
せつ菜「……」
かすみ「せつ菜先輩? せっかくかすみんと一緒にお昼食べてるんですよぉ? しかも2人きりっ、もっと楽しそうにしてくださいよ〜」
せつ菜「す、すみません……」
かすみ「…………なんか、元気無いですね? 何かありましたか?」 せつ菜「いえ、かすみさんが何かをしたわけではないんです。これは完全に私の心の問題で……」
かすみ「?」
せつ菜「……ほ、ほんとうに大丈夫です。すみません、あっ、何の話をしてましたっけ?」
せつ菜「な、菜々さんの話ですよね!」
かすみ「……」 ◇――――◇
夜 かすみの部屋
せつ菜「……」
かすみ「……」
かすみ「もうっ、一体どうしたって言うんですか!!」
せつ菜「へ?」
かすみ「朝からそんな顔ばっっかりですよ! いつもの笑顔満開のせつ菜先輩はどこへ行っちゃったんですか!? 何かあったんですよね!? 早くかすみんに言って下さい! 力になってみせますから!」
せつ菜「ぁ、ぅ……すみません、でも相談をするようなことじゃ」
かすみ「……恋人には、かすみんには相談出来ないことですか?」
かすみ「明日は土曜だから練習はありますけど、いつもより長く眠っていられます。沢山聞く時間はありますから」
せつ菜「……でも」
せつ菜「っ、いえ……本当にすみません、幻滅するかもしれませんよ」 かすみ「しませんから安心してください」
せつ菜「…………ぁ、の」
せつ菜「――ぎゅって、してくれませんか……?」/////
かすみ「へ?」
せつ菜「……」
かすみ「これで、いいですか?」ギュ…
せつ菜「ぁぁ……ありがとうございます」//
せつ菜「やっぱりそうなんです、今私……とても幸せです。心が暖かくなって、安心して、満たされているのを感じるんです」
せつ菜「――私、自分のことが嫌いになってしまいそうなんです」 かすみ「……どういうことですか?」
せつ菜「かすみさんが他の方のことを話しているのを聞くのが、つらくて」
かすみ「え?」
せつ菜「菜々さんのことを話しているのを聞いていると、どうしようもなく心が締め付けられるんです」
せつ菜「聞きたくないんです、かすみさんの口から他の方の名前が出るのが嫌なんです…………」
せつ菜「ああ、もう……ごめんなさい……ごめんなさい……」
かすみ「……」
せつ菜「分かっていますよ、あの人はもう1人の私です。でも、かすみさんには私だけを見てほしい、私のことだけを考えていてほしい……」
せつ菜「そう願ってしまう、利己的な自分がいることに耐えられなくて…………」
かすみ「せつ菜先輩……」
せつ菜「でも――もう少しだけこうしてくれていたら、大丈夫ですから」
かすみ(せつ菜先輩って、嫉妬するんだ…………だからずっと) せつ菜「ごめんなさい、重い、ですよね……本当にごめんなさい……」
かすみ「……別に、構いません。そういう感情があるのはきっと誰だって同じですから」
かすみ「それに! かすみんは可愛いですからね、みーんなそう思ったって不思議じゃありません!」
せつ菜「……」
かすみ「――ぎゅっとしてるだけでいいんですか?」
せつ菜「……」
かすみ「かすみんとキスしたいんですよね? もう〜いつもは雰囲気なんて選ばずキスしてくるくせに」
かすみ「こういう時は頼りないんですね、せつ菜先輩は」
せつ菜「ぅ」
かすみ「でも、そうですね――んっ……♡」
せつ菜「んっ……」 かすみ「これ続けたら機嫌治してくれますか?」
せつ菜「!!」
せつ菜「…………」コク…/////
かすみ(はぁもう、かすみんは自分からするようなキャラじゃないんですけどね)
かすみ(かすみんの可愛さに我慢できなくなった人にされる側、なんですけど)
かすみ(でも……こんな風にちょっと頼りない部分も、可愛いなって思っちゃうんです)
かすみ「ちゅ……ん♡れろ……♡」
せつ菜「ふぁ♡んっ♡かすみ、さ……♡」
かすみ「ちゅぷ……♡は、ぅ♡」 せつ菜「はぁ、はぁ……だいすき、です。わたし、おかしくなっちゃいそうなんです」
せつ菜「このままじゃ私、かすみさんのことめちゃくちゃに――」
かすみ「――しちゃえばいいじゃないですか、明日は授業とかないんですし」
せつ菜「っっ〜〜」ガバッッ
――
チュンチュン…
プルルルルルッッッッ
かすみ「ん、ん〜〜……えっ、侑先輩から――って! もう練習始まるじゃないですか!! 完全に寝坊ですよ!」
かすみ「もしもしっっ」
侑『あ〜かすみちゃん、良かった。練習始まるけど大丈夫?』 かすみ「うぅ、すみません色々あってっ! せつ菜先輩も横にいます! すぐ準備しますから!」
侑『もう菜々ちゃんは来てるからね、気をつけてね』
プツ
かすみ「ちょっとせつ菜先輩起きてください〜!! 完全に寝坊なんですよ!」ユッサユッサ
せつ菜「ん、んん……えっ!?!? ど、どうしてこんな時間まで!」
かすみ「そんなのっ、せつ菜先輩が昨日めちゃくちゃに盛っちゃったからに決まってます!」
せつ菜「うぅぅ、すみません。でもかすみさんも良いって……」
かすみ「限度があります! 早く着替えないと……って――うわぁぁぁぁっ!」
せつ菜「どうしたんですか!?」
かすみ「なんなんですかこのキスマークの数!? 首とか手とか、脚とか……これじゃあ練習に参加なんて出来ませんよぉ〜っっ」グズグズ
かすみ「絶対休みますっ、今から連絡入れて……」
せつ菜「練習を休むのはダメですっ! ぜ、全部に絆創膏を貼って……そう、なんとかなりますから!!」
かすみ「なりませんよぉ〜うぇぇぇぇぇん……」 ――――
練習終了後 帰り道
かすみ「ふぅぅ、誰も絆創膏のことを触れて来ませんでしたし……なんとかやり過ごせましたかね」
菜々「――やり過ごせていませんよ」
かすみ「うぇ……?」
菜々「かすみさん、本当にそう思っているのだとしたら呆れますよ」
かすみ「ぅぅ、菜々先輩……」
菜々「2人で練習に遅刻してきたあげく、片方は身体中に絆創膏を貼っている。こんなの、破廉恥なことをしてきたと周りに示していることに他なりません」
菜々「生徒会長として、見過ごせることではありませんね」
菜々「他の方も完全に気がついていて、あえて触れなかったんですから」
かすみ「そ、そうなんですかね……」
菜々「昨日はどんな経緯でそうなってしまったのか、教えて貰えますか?」 ――――
菜々「なるほど……」
かすみ「やっぱりせつ菜先輩には、笑っていてほしかったので……」
奈々「経緯はわかりました」
菜々「それなら――これ以上絆創膏が増えても違和感はないですよね?」カベドン
かすみ「ひゃっ……ど、どういう意味です、か」
菜々「お恥ずかしながら、そういった感情になっているのがせつ菜さんだけではないということです」
菜々「私だって――かすみさんのことを独り占めしたいと思うのは、恋人として当然のことだと思いませんか?」
かすみ「ぁ、いや……だ、だめですよ。ここ外ですよ!?」
かすみ「生徒会長ですよね……こんなの、破廉恥なこと、ダメ、ですよね?」
菜々「ふふ、もう敷地の外ですから」
菜々「んっ……♡」
かすみ「っぅ♡っぁ♡♡」チュプ…♡チュパ…♡
菜々「今日は私がかすみさんの部屋に行く番ですからね――私のことしか見えなくさせてあげます」
かすみ「っ〜〜〜」ゾクゾクッッ
菜々「それに、私もかすみさんの方からキスして頂かないと不公平ですよね?」フフ… ◇――――◇
月曜日
かすみ「」
侑「おーい、かすみちゃん、かすみちゃん?」
かすみ「侑せん、ぱい……」
かすみ「かすみん、もうむりです」
かすみ(酷い目にあいました……)
かすみ(あの夜菜々先輩にめちゃくちゃにされるわ、その次は嫉妬しちゃってるせつ菜先輩に夜通しめちゃくちゃにされるわ……)
かすみ「もう目が開きません〜……」
侑「あはは……いいじゃん楽しそうで」
侑「じゃあ今日は私がせつ菜ちゃんを家に泊めようか?」
かすみ「――そ、それはダメです絶対ダメです!」
侑「えー?」
かすみ「あなたは色々危険なんですからダメなんです!」
侑「も〜、冗談だって」アハハ
かすみ「まったく……」 ◇――――◇
生徒会室
菜々「なるほど、昨日はせつ菜さんのそんなことをしたんですね」
かすみ「まあ、そうです……」
かすみ「かすみんもう激しいのは無理ですからね!? 最近エスカレートしすぎ――」
ガチャ
せつ菜「失礼します!」
菜々「……今は私とかすみさんの時間のはずですが?」
せつ菜「関係ありませんっ、私はもう遠慮しませんからね」
せつ菜「さ、かすみさんっ、あーん」
かすみ「えっ!? うぅ、あ、あーん」
菜々「ほらかすみさん、あーん」
かすみ「あーん……」
かすみ(……ふたりから言いようの無い威圧感が……)ダラダラ せつ菜「……」ウズウズ
せつ菜「か、かすみさん! キスをしましょう!」
かすみ「はぁ!?」
かすみ「いやいやなんでそうなるんですか!?」
せつ菜「そちらの菜々さんより私の方がかすみさんのことを好きだと証明させて下さい!」
菜々「聞き捨てなりませんね、あなたよりも雰囲気は読めますしかすみさんの意に沿うことが出来るのは私だと思いますけど」
かすみ(う、うーん……どっちもどっちな気が……)
せつ菜「かすみさん!」
菜々「かすみさん」
ユッサユッサユッサ
かすみ「あぁぁぅ〜〜〜もう許してくだざぃぃ〜〜」 ◇――――◇
数日後
かすみ(そんなこんなで、2人の恋人に取り合いされていた不思議な期間は過ぎていき)
璃奈「やっと出来た、直す機械」
璃奈「ふたりをここに呼んで来てほしい」
――
生徒会室
ガチャッッ
かすみ「菜々せんぱ〜いっ! やっと出来たらしいですよ! 元に戻す機械!」
菜々「本当ですか!?」
かすみ「はいっ!」
菜々「これでやっと元通りになるんですね……」
かすみ「心残りはありませんか?」
菜々「もともと一つの存在だったわけですから」
かすみ「うーん、まあそうですよね」 かすみ「あっ! まだ菜々先輩にしてあげてないことがありました!」
菜々「?」
かすみ「今眼鏡の下にコンタクトとか付けてないですよね?」
菜々「ええ、どういうことですか?」
かすみ「…………こういうことですよ」グイッッ
スッッ…
かすみ「――んっ……///」
菜々「ん……//」
かすみ「ふふ、眼鏡お返ししますね」スチャ…
かすみ「菜々先輩に対してわたしからしてあげられてませんでしたから!」
かすみ「まあでも……やっぱりいつも真顔なあなた相手だとかすみんだってちょっと恥ずかしいんです」
かすみ「だから――これで許してくださいね」
菜々「……ふふ、ええ。とても良いものを頂きました」
菜々「では行きましょうか」 ◇――――◇
部室
璃奈「じゃあふたりで手を繋いで」
菜々「はい」
せつ菜「こうですか?」
かすみ「これで本当に戻るの?」
璃奈「うん、私の声と一緒にこのボタンを押して」
かすみ(元々一つだったものが分裂した。それがまた元に戻るだけ)
かすみ(それだけのことなのに)
かすみ(これを機に知ることが出来た一面だってありました)
かすみ(分裂した後は、先輩の二面性が極端に強く出てしまっただけ)
かすみ(だからこの期間にぶつけられた感情は全て真実で)
璃奈「――押して」 菜々「ではかすみさん」
せつ菜「お世話になりました!」
かすみ「ふふ……どうでもいいですけど、この期間のご恩はちゃーんと返してもらいますからね?」
「「はいっ」」
ポチッッ
スゥゥゥゥゥ
「……」
かすみ「先輩……?」
せつ菜「よしっ、今からかすみさんに受けたご恩をお返ししますね!」
璃奈「うん、成功だね」
かすみ「やった! やっと戻ったんですね!」
かすみ「記憶はどうなってるんですか?」
せつ菜「ふたり分の時の記憶がばっちり残っていますよ! とても効率良く日々が過ごせた気がします!」
かすみ「大発明だよりな子……」
璃奈「えっへん」
かすみ「ちょっとせつ菜先輩に話したいことがあるんでこっち来てくださいっ!」グイッッ ――
かすみ「いやー、全く騒がしい日々も終わっちゃいましたねー」
せつ菜「本当にご迷惑をお掛けしました……」
かすみ「まあせつ菜先輩が悪いわけじゃないですからね」
かすみ「でも、その笑顔の裏にはあんなに強い独占欲がドロドロに溜まってたなんてびっくりしましたよ〜」ツンツン
せつ菜「ぅぅ///」
せつ菜「あれは、その」
かすみ「いくらかすみんが可愛いからって、自分同士で嫉妬し合う先輩を見れるなんて思いませんでした〜」
せつ菜「か、からかうのはやめてください」
せつ菜「あれは私の中の感情が大袈裟に表に出ただけです。でも……事実でも、ありますから」
かすみ「ふぅん、かすみんが他の子と仲良さそうに話してるとあんな風に思ってたんですね〜」
せつ菜「ぅぅぅ///」
かすみ「で、も!!!」 かすみ「そういうせつ菜先輩こそ自分の行動を顧みてくださいよ!」
かすみ「大体あなたはいつもいつも他の人に対して愛を振り撒きすぎなんですよ! 大好き大好き大好きって!」
かすみ「他の子に対してまでそう言ってる時の私の気持ちも考えてくださいっ」
せつ菜「……」
かすみ「他の子に対して距離が近いです、顔が近いです。そんなことして惚れられたらどうするんですか。絶対あげませんからね」
かすみ「これを機に言いますけど、ダメです。もう許しませんからね」
かすみ「せつ菜先輩の大好きは……私だけにしてください……」
せつ菜「っっ〜〜〜」プルプル…///
かすみ「せ、先輩……?」
ガシッッッ
せつ菜「今日かすみさんの家に行きますっ! 親に外泊の許可も取ります!」
せつ菜「だから――私の大好きを証明させてくださいっ!」
かすみ「……ちゃんと、証明してくださいよ」///
せつ菜「はいっ……!」
おわり。 @cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ とっても素敵だったよ。2人ともお幸せにね 乙です
お互いにせつ菜であり菜々である感じが出てて良かったです この作品を産み出してくれてありがとう
キャラじゃないと思いながらもせつ菜を可愛がっちゃうかすみんマジでグッときたし、独占欲強い菜々せつ菜最高でした こういうのでいいんだよおじさん「こういうのでいいんだよ」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています