せつ菜「ルビィさん!!私の大好きを受け取ってください!!」ルビィ「ぴぎぃっ!?」
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ルビィ「あ、ああ、あああ……」アトズサリ
ルビィ「うわああぁ〜ん!!ヤダ〜!!」ダッ
せつ菜「ルビィさん!?なぜ逃げるんです!?」ダッ
ルビィ「その手に持ってるぶぶぶ物体はなんなのぉ〜!?」
せつ菜「ケーキですよケーキ!!ルビィさんに食べて欲しくて作ったんです、食べてください!!」
せつ菜「待ってくださいよルビィさん!!」
ルビィ「それを聞いたら余計に止まれないよ!!助けてお姉ちゃ〜ん!!」
ルビィ「―ぷぎゃっ!?」ボヨンッ
彼方「おっと、大丈夫?」
ルビィ「か、彼方さん」
彼方「廊下を走ったら危ないよぉ」
ルビィ「あぅ……ごめんなしゃい」
せつ菜「おぉ彼方さん、ナイスです!!ルビィさんに追い付きました」
ルビィ「ぴぎゃっ!?助けて彼方さん!!」サッ
彼方「んん?どゆ事〜?」 彼方「ん?」チラッ
彼方「―ははぁなるほど、そゆ事ね〜」
ルビィ「実はかくかくしまうまで……」
彼方「あいわかった、みなまで言わなくても謎は全て解けたよ」
彼方「せつ菜ちゃん、それはもしかして」
せつ菜「はい!!ルビィさんの為にケーキを作ったんです」
せつ菜「それなのにルビィさんは逃げ出してしまって」
ルビィ「そんなの見たら誰だって逃げるよぉ……」
彼方「そうだね、あれは中々強烈そうだ」
彼方「あのねせつ菜ちゃん、前から言おうと思ってたんだけど」
彼方「―ってルビィちゃん、どうしたの?」
ルビィ「すんすん……彼方さんの鞄の中からいい匂いがする」
彼方「あぁ、今日調理実習があってその時に私もケーキを作ったんだよ」
彼方「ただちょっと作り過ぎて余っちゃってさ、あはは」
彼方「―あ、そうだ」ポコーン
彼方「よかったら私のケーキ食べる?」
ルビィ「いいの!?食べる食べる〜!!」
せつ菜「ちょ、彼方さん!?」 せつ菜「ズルいですよ!!私の方が先に渡そうと思ったのに」
彼方「いいから黙って見てなよ」
彼方「さ、どうぞ召し上がれ」スッ
ルビィ「うわぁ〜おいしそう、いただきま〜す」パクッ
ルビィ「―ううう〜ん!!お口の中に幸せが溢れ出してきた〜おいしいよぉ〜♪」ホワワ〜ン
彼方「そうだろうそうだろう、彼方ちゃんの気持ちがたっぷりこもった力作だからね」
ルビィ「うぅ……おいし過ぎて涙が」ポロポロ
せつ菜「なっ……!?そこまでのおいしさとは」
彼方「せつ菜ちゃんも食べてみる?」スッ
せつ菜「いいんですか?では」パクッ
せつ菜「―こ、これは……!?」
せつ菜「食べた瞬間彼方さんの優しさがケーキの甘さと共に口いっぱいに広がる」
せつ菜「……おいしい、すごくおいしいです!!感動しました!!」ジーンッ
彼方「ふふふ、ありがとう。食べてくれた人が笑顔になるとこっちも嬉しくなるねぇ」 ルビィ「けぷぅ……食べた食べた♪」
せつ菜「彼方さんのお菓子は絶品ですね、ごちそうさまでした」
彼方「お粗末さま、2人が食べてくれたおかげで売れ残りにならずに済んだよ」
せつ菜「あの、ところでルビィさん……私のケーキは?」
ルビィ「ぴっ……!?ル、ルビィもうお腹いっぱいで食べられないから」
ルビィ「彼方さんごちそうさまでした!!さよなら〜!!」ダッ
せつ菜「あ、ルビィさん!!」ダッ
彼方「おっとちょい待ち、どこに行くのかな」ガシッ
せつ菜「どこってルビィさんの所ですよ、今食べられないのならせめて持ち帰ってもらおうと」
彼方「やれやれ……まだわかってなかったか」
せつ菜「え?なにを言っているんですか?」キョトン
彼方「さっきはルビィちゃんに遮られて言えなかったけどせつ菜ちゃんにはずっと言いたかった事がある」
彼方「それを今から教えてあげるよ」 心が痛むけどのちのちもっと傷つくからね
仕方ないね 彼方「とりあえずそのケーキを私に食べさせて」
せつ菜「彼方さんが食べてくれるんですか!?よかった、ぜひ食べてください!!」スッ
彼方「むぅ……間近で見ると更に強烈……一体どうやって作ったんだか」
彼方「とにかく、いただきます」パクッ
彼方「―ぐっ!?ごほっ!!かはっ!?」
せつ菜「彼方さん!?どうしたんですか!?」
彼方「だ、大丈夫……このまま食べきる、から……」モグ…モグ…
彼方「―ふぅ〜これは中々のお手前で」ナミダメ
せつ菜「彼方さんも涙を、私のケーキに感動してくれたんですね」
彼方「確かに心を揺さぶられたけどこれは感動の涙じゃあない」
彼方「このケーキの感想を率直に言わせてもらうよ、覚悟はいいかな?」
せつ菜「は、はい……」ゴクリ
彼方「このケーキ、はっきり言って………マズい」
せつ菜「んなっ……!?」ガーンッ 彼方「せつ菜ちゃん、このケーキの材料は?どうやって作ったの?」
せつ菜「どうやってって普通に」
彼方「普通に作ったらこんな味になるはずないんだよなぁ」
彼方「せつ菜ちゃんは変なアレンジ付け加えるから……」
彼方「この赤味と辛さ……唐辛子を入れたね」
せつ菜「流石は彼方さん、よくわかりましたね。スパイスを利かせてみました」
せつ菜「あとはアクセントを付けるのに黒こしょうも入れました」
彼方「この黒い粒は黒こしょうだったか」
彼方「確かに多少のアレンジはやったって構わないさ」
彼方「だけどそれは基本をしっかり踏まえてから」
彼方「このケーキはスポンジがぺちゃんこになってるし生クリームもサラサラしてる」
彼方「基本がなってないのに応用なんてもってのほか、これじゃルビィちゃんにも逃げられる訳だ」
せつ菜「そ、そんな……」ガクッ 彼方「ここで問題、私のケーキは食べてもらえてせつ菜ちゃんのケーキは食べてもらえなかった」
彼方「この違いがなんだか、わかる?」
せつ菜「私のケーキがおいしくないから……ですか?」
彼方「まぁ1番はそれだけど味だけじゃない」
彼方「基本も出来ていないのに自分勝手なアレンジをする、相手が嫌がってるのも気付かないで追いかけ回す」
彼方「なによりそれを自覚していないのがいけない、無理矢理食べさせて喜ぶ人なんていないよ」
せつ菜「そ、それは……でも私はルビィさんの事を想ってケーキを」
彼方「あぁ、それは伝わったよ。ルビィちゃんに喜んでもらいたいと想って作ったんだね」
せつ菜「そうです、私の大好きをケーキに込めました」
彼方「その気持ちはヨシ、ただ作り方とやり方がよくない」
彼方「いい機会だから私とお菓子作りの練習をしよう」
せつ菜「彼方さんが教えてくれるんですか?」
彼方「うん、料理に関しては彼方ちゃんもビシバシいくよ〜」ニヤリ
せつ菜「はい!!よろしくお願いします!!」 家庭科室
彼方「ここは材料も色々揃えてあるから助かるね〜」
彼方「とりあえずシンプルなスポンジケーキを作ってみようか」
彼方「いいかい、お菓子作りに限った事じゃないけどなんでも基本が大事」
彼方「それさえきちんと出来ればアレンジなんてしなくても十分おいしくなるのさ」
彼方「それよりももっとおいしくする方法がある」
せつ菜「それはなんですか?」
彼方「それは食べてくれる相手の事を考えながら作る事」
彼方「こんな時、こんなシチュエーションで、こんな風に食べて欲しい」
彼方「そして相手の笑顔を想像するんだ」
せつ菜「笑顔……」
彼方「まぁまずはレシピを見てその通りに作ってみようか」
せつ菜「私、今までレシピなんて見た事ありません」
彼方「おぅ……だからあんな物が出来上がったんだな」
彼方「なら、今回はちゃんとレシピに従って作ろうね」 せつ菜「ケーキってこうやって作るんですね」カチャカチャカチャ
彼方「そうだよ、余計な物はなにも必要ない。レシピ通りに作るだけでいいんだ」
彼方「せっかくだからルビィちゃんに対する大好きを声に出して作ってみようか」
彼方「ほら、よく花に声をかけると長持ちするって言うでしょ。お菓子も一緒さ」
せつ菜「なるほど、では……こほん」
せつ菜「ルビィさん大好きです!!私はルビィさんの喜ぶ顔、笑顔が見たい!!」カチャカチャカチャ
せつ菜「うおおぉぉ〜!!ルビィさ〜ん!!」
彼方「よしよし、気持ちも込めたところでちょっと見せてごらん」
彼方「ふむ、いい感じに生地が出来上がったね。あとはこれをオーブンで焼くだけだ」
せつ菜「少し物足りないような……デナトニウムを足してビターにしませんか」
彼方「それ、世界一苦い物質じゃない。ダメダメそんなの入れちゃ、ルビィちゃん倒れちゃうよ」
せつ菜「ちぇっ……わかりましたよ」 彼方「そろそろいいんじゃないかな、オーブンを開けてみて」
せつ菜「はい、どうかなぁ」パカッ
せつ菜「おぉっ!!キレイに焼き上がってます!!やったぁ!!」
彼方「型から出して……と。うん、今度はふっくらしてるね」
彼方「さ、この調子で生クリームも作っちゃおうか」
せつ菜「はい!!ルビィさんにたーっぷりの大好きを込めて、ラブ注入♪」マゼマゼ
彼方「ふふふ、その調子その調子」
せつ菜「とうっ、そりゃっ、デコレーションは爆発です!!」ペッタペッタ
彼方「こらこら、そんな乱暴に塗ったらスポンジまで崩れちゃう」
彼方「頭をなでてあげるように優しく、そぉ〜っとね」スッスッスッ……
せつ菜「むむ、しまった……ついテンションが上がってしまいました」
せつ菜「優しく優しく……なでなで♪」スッスッスッ…… せつ菜「出来ました!!ルビィさんへの大好きを込めたケーキの完成です!!」
彼方「うむ、お疲れ様。なんだ、レシピを見ながら作ればちゃんと出来るじゃないか」
彼方「まぁもともとせつ菜ちゃんは物覚えのいい子だからね、これからも精進したまえ」
せつ菜「はい、彼方さんに指導してもらって本当によかったです!!ありがとうございました!!」
せつ菜「ではさっそく明日ルビィさんにケーキを」
彼方「はいストップ〜」
せつ菜「な、なんですか?まだなにか足りませんか?」
彼方「そのケーキはうまく出来たよ、だけど最初のケーキを見たルビィちゃんが素直に受け取ってくれると思う?」
せつ菜「うっ……それは確かに……また逃げられるかも」
彼方「まずは警戒心を解かないとね、2人でデートでもしたらどうだい」
彼方「2人の仲が深まればきっとルビィちゃんもケーキを食べてくれると思うよ」
せつ菜「デート、ですか……」 せつ菜「だったら、今日よりももっとおいしいケーキを作りたいです!!」
せつ菜「あとルビィさんにお弁当も作ってあげたいです、お弁当の作り方も教えてください」
彼方「よしよし、そういう事なら彼方ちゃんもう一肌脱いじゃうよ〜」
彼方「一緒に遊んでルビィちゃんが心を開いてくれた時にとびきりのお弁当とケーキで胃袋ごとルビィちゃんのハートも鷲掴みにしちゃおう」
せつ菜「はい!!よーし、燃えてきましたぁ〜!!」メラメラ
彼方「あー違う違う、野菜はもっと小さく切って。これじゃ火が通らないよ」
せつ菜「はい!!」トントントン
彼方「ほらほらいつまで焼いてるの焦げちゃうよ、早く引っくり返して」
せつ菜「は、はい!!」クルッ
彼方「ちゃんと味見した?しょっぱ過ぎるよこれ」
せつ菜「申し訳ありません!!」
彼方「ほらせつ菜ちゃん、―あーせつ菜ちゃん、―違うってせつ菜ちゃん」
せつ菜「―はい、―はい、―はいい〜!!」ドタバタ 彼方「ふぃ〜今日はここまでかな」
彼方「お弁当作りもお菓子作りと一緒、レシピ通りに気持ちを込めて作ればおいしく出来るから」
彼方「とにかく作って作って作る、練習あるのみだよ」
彼方「今度の日曜日にルビィちゃんを誘ってみよう、それまでに腕を磨く事」
彼方「期限付きの方がせつ菜ちゃんは燃えるでしょ?」
せつ菜「わかりました、家でも練習をしておいしいお弁当とケーキを作れるよう頑張ります!!」
彼方「作った物はたとえ失敗した物でも私に見せて、アドバイスしてあげる」
せつ菜「はい!!よろしくお願いします」
せつ菜「今日作ったケーキはどうしましょうかね……」チラッ
彼方「せつ菜ちゃん自分で食べなよ、なんなら私も頂こうかな」
せつ菜「では、2人で食べましょう」
せつ菜「―はむっ……おぉ、我ながらおいしいですね」
彼方「―うん、あのケーキと比べたら大分よくなったよ」モグモグ
彼方「だけど、せつ菜ちゃんの実力はこんなもんじゃないはずだ。期待してるよ」
せつ菜「ふふ、彼方さんは厳しいですね。でも期待されるのは嬉しいです。私、頑張りますね」 金曜日
せつ菜「彼方さん、お願いします」スッ
彼方「どれ、今日はなにを作ったのかな」パカッ
彼方「ほう、親子丼だね。うまく出来てるじゃないか。ではさっそく」パクッ
彼方「―うん、卵はトロトロで鶏肉も柔らかい。味も薄味でいくらでも食べられそうだね」
彼方「おいしい、合格♪」
せつ菜「やった!!ケーキの方もよろしくお願いします」スッ
彼方「チーズケーキかぁ、タルト生地の部分が割りと難しい物だけど」パクッ
彼方「あむあむ……おぉ、生地はサクサク、チーズはしっとりといいバランスだ」
彼方「これも上出来、合格〜♪」
せつ菜「初めて両方で合格をもらいました、と言う事は」
彼方「これで自信を持ってルビィちゃんを誘えるね、声をかけておいで」
せつ菜「ついにやりました!!この日の為にデートプランも並行して考えていました」
せつ菜「善は急げ、さっそくルビィさんに話して来ます!!」ダッ
彼方「ふふふ、頑張れよせつ菜ちゃ〜ん」 せつ菜「ルビィさ〜ん!!」
ルビィ「ぴぎゃっ!?せつ菜さん!?」ビクンッ
ルビィ「あわわわわ……」
せつ菜「おっと、怖がらせてしまいましたね。申し訳ありません」
せつ菜「こほん……この間は大変失礼しました」ペコリ
ルビィ「ほぇ……?」
せつ菜「ルビィさんの気持ちも考えずに一方的にケーキを食べさせようとしてしまいました」
せつ菜「すごく、反省しています……」
ルビィ「せつ菜さん……」
せつ菜「そのお詫びに今度の日曜日ルビィさんを楽しませてみせます」
せつ菜「私とデートしてください」ガシッ
ルビィ「ふえぇぇ〜!?デデデデートぉ〜!?」カァァ
せつ菜「お願いしますルビィさん、あの日の汚名返上のチャンスをください」
ルビィ(な、なんか今日のせつ菜さんいつもと違ってすごく真剣で声も静かで……)
ルビィ「わ、わかりました……」コクン
せつ菜「ありがとうございます、ではまた今度の日曜日に」クルッ スタスタ……
ルビィ「はぅ〜ドキドキしたぁ〜」ヘナヘナ 日曜日
せつ菜「早起きして料理を作ったので待ち合わせよりも早く着いちゃった」
せつ菜「ルビィさん……来てくれるかな」ソワソワ
ルビィ「あの……せつ菜さん」
せつ菜「あ、ルビィさん。おはようございます」ペカッ
ルビィ「おはようございます、早いね」
せつ菜「ルビィさんとのデートが楽しみで早く来てしまいました」
ルビィ「そう、なんだ」カァァ
せつ菜「それではさっそく行きましょう!!」
ルビィ「ど、どこに行くの?」
せつ菜「ついて来ればわかりますよ」
ルビィ「ここ、映画館……?」
せつ菜「ルビィさん、前にこのアニメ映画が見たいと話していましたよね」
ルビィ「あ、うん。よく覚えてたね」
せつ菜「私もこのアニメ大好きなんです、よかったら一緒に見ましょう」
ルビィ「わぁ、嬉しい!!小さな子供向けだからお姉ちゃんや他の子達とは見に行けなくてどうしようかと思ってたの」
せつ菜「面白いアニメに大人も子供も関係ありません、さぁそろそろ上映が開始されますよ」
ルビィ「うん、行こ行こ♪」
せつ菜(よしよし、つかみはバッチリです) ルビィ「うぅ……ぐすっ、いいお話だったねぇ」
せつ菜「ハンカチどうぞ、まさか最後にあんな結末が待ってるとは私も予想出来ませんでした。感動しましたね」クスンッ
ルビィ「せつ菜さんありがとう、この映画見れてよかったよ」
せつ菜「私もルビィさんと一緒に映画を見る事が出来てよかったです」
せつ菜「なにかおやつでも食べませんか?ごちそうしますよ」
ルビィ「本当?ルビィアイス食べたいなぁ」
せつ菜「いいですね、私いいお店知ってるんですよ」
せつ菜「はいルビィさん、どうぞ」スッ
ルビィ「ありがとう、このアイス大きいねぇ」
せつ菜「シェアして食べるアイスだそうですよ、私にも少し分けてください」
ルビィ「いいよぉ、はいあ〜ん」スッ
せつ菜「あーん、―うん、おいし〜これはたまりません♪」
せつ菜「ルビィさんにもお返し、はい」スッ
ルビィ「は〜むっ、―んん〜コクがあってミルクの味が濃厚〜♪」ホワワ〜ン
ルビィ「ねぇねぇもっとちょーだい」アーン
せつ菜「はい♪いっぱい食べてくださいね」スッ ルビィ「あ」ジーッ
せつ菜「どうしました?おや、これは」
せつ菜「UFOキャッチャーですね、このぬいぐるみが欲しいんですか?」
ルビィ「うん、このシーラカンスのぬいぐるみかわいい……」
せつ菜「ふっ……ならばこの優木せつ菜にお任せあれっ!!」チャリン
ルビィ「え?このぬいぐるみ取ってくれるの?」
せつ菜「私はゲームが得意なんです、それもジャンルは問いません」
せつ菜「UFOキャッチャーなど私の前では児戯にも等しい!!それっ」ポチッポチッ
ウィーン……ガシッ
ルビィ「うわぁすごーい!!1発だ!!」パァァ
せつ菜「―よいしょ」ガタンッ
せつ菜「さ、どうぞルビィさん」スッ
ルビィ「ありがとう!!せつ菜さんかっこいい〜♪」
せつ菜「わっはっはっは!!これくらいライブ前です♪」ドヤァ
せつ菜(ふふふ、だんだん打ち解けてきましたね) せつ菜「ここは出来れば誰にも教えたくはありませんでしたが」
せつ菜「ルビィさんにだけ、特別に教えちゃいます」ガチャッ
ルビィ「なにこのお店……アイドルのグッズがいっぱい」
せつ菜「このお店は地下にあって目立ちませんが商品のラインナップはどこのお店よりも豊富で私の行きつけなんです」
ルビィ「本当だ、見た事のないご当地アイドルからトップアイドルのグッズまで」キョロキョロ
ルビィ「あ、これ昔動画で見た地下アイドルの下敷きだ」
ルビィ「すぐ解散しちゃったからグッズなんてないと思ってた〜嬉しい〜♪」
せつ菜「その方達は実力はあったのに事務所の都合で解散させられてしまいましたね、残念でした」
ルビィ「せつ菜さんもこの子達知ってるの?」
せつ菜「もちろん、デビューシングルの限定盤を持ってます」
ルビィ「CD出してたの!?知らなかった」
せつ菜「確かここにまだCDの在庫があったような」ガサゴソ
せつ菜「―あ、ありました。プレゼントしてあげましょう」
ルビィ「そ、それくらい自分で買うよぉ」
せつ菜「いいからいいから、買わせてくださいよ」
ルビィ「そ、それじゃお言葉に甘えて……ありがとう」 ルビィ「えへへ〜CDの他にTシャツまで買ってもらっちゃった、お姉ちゃんに自慢してやろ」ホクホク
クゥ〜
せつ菜「おや、もしかして今の音は」
ルビィ「ピギィッ!?ごごごごめんなしゃい!!お腹が空いてつい音が鳴っちゃった」カァァ
せつ菜「いえいえ、かわいい音でしたね」
せつ菜(いよいよ『アレ』を出す時が来た……!!)
せつ菜「ルビィさん、あそこの公園でランチにしませんか?」
ルビィ「ランチ?公園にお店でもあるの?」
せつ菜「お店ではありませんよ」
せつ菜「ここ、ちょうどよくベンチとテーブルがありますね。座ってください」
ルビィ「なにを食べるの?」
せつ菜「実は私、彼方さんに教えてもらって料理の練習をしたんです」
せつ菜「そして今日、ルビィさんにお弁当を作って来ました」
ルビィ「え?お弁当……?」ビクッ
せつ菜「ルビィさんの為に心を込めて作りました」
せつ菜「どうか、食べてみてください」パカッ ルビィ「こ、これって……」
せつ菜「ルビィさんはおいもが好きと聞いたので」
せつ菜「肉じゃがと大学いも、それにフライドポテトを作ってみました」
ルビィ「これ、せつ菜さんが作ったの?」
せつ菜「はい、お口に合うかわかりませんが食べてもらえると嬉しいです」
ルビィ「おいしそう……」ジュルリ
ルビィ「い、いただきます」パクッ
ルビィ「―ぴぎぃっ!?」
せつ菜「ル、ルビィさん!?まさか……」
ルビィ「―おいしい……おいしいよこの肉じゃがぁ」
ルビィ「大学いもも、フライドポテトも」パクパクパク
ルビィ「とろっとろで、ほっくほくで、カリッカリで」
ルビィ「どれも優しい味がする……」モグモグ
ルビィ「なによりルビィの好きな食べ物をわざわざ聞いて作ってくれたなんて」
ルビィ「とっても嬉しい、ありがとうせつ菜さん」ニコッ
せつ菜「ほっ……よかった、安心したら力が抜けました」
ルビィ「せつ菜さんも食べてみなよ、すごくおいしいよ♪」スッ
せつ菜「私は味見をしたのですが……あむっ」
せつ菜「―うん、我ながらいい出来ですね♪」 せつ菜「お弁当が気に入っていただけてよかったです」
せつ菜「ルビィさん、デザートはいかがですか?」
ルビィ「デザートもあるの〜?食べる〜」
せつ菜「では、これを」スッ
ルビィ「あ、これ……」
せつ菜「あの日食べてもらえなかったケーキです」
せつ菜「ですがこのケーキはあの時とは違います」
せつ菜「レシピにのっとり丁寧に作り、そして」
せつ菜「ルビィさんへの『大好き』をたくさん込めました」
せつ菜「ルビィさん、私の大好きを受け取ってください」
ルビィ「は、はい……」
ルビィ「すごい……なんてキレイなケーキ」
ルビィ「いただきます」
せつ菜「どうぞ」
ルビィ「あ……む」
ルビィ「!?」
『ルビィさんといっぱい遊んだらお腹が空くだろうから公園に誘って』
『お弁当を食べてもらったらこのケーキも食べてもらおう』
『ルビィさん、喜んでくれるかなぁ』
『これを食べたら最高の笑顔を見せてくれるように』
『私の大好きをこのケーキにたくさん込めて〜♪』
『私は、ルビィさんの事がだ〜い好き!!』
ルビィ「あ……」 ルビィ「―うっ……ううぅ……」ポロポロ
せつ菜「ルビィさん?大丈夫ですか?」
ルビィ「うん……大丈夫……」グシグシ
ルビィ「このケーキ……せつ菜さんの気持ちが詰まってて」
ルビィ「せつ菜さんの『大好き』が伝わってきた、甘い……とても甘い味がする……」
ルビィ「せつ菜さんの優しさに包まれて心がポカポカしてくる……」ウルウル
ルビィ「おいしい……!!おいしいよぉ!!」パクパク
ルビィ「―ありがとうせつ菜さん、私の為にこんなおいしいケーキを作ってくれて」ニコッ
せつ菜「いえ……私も、私も嬉しいです」
せつ菜「ルビィさんが私のケーキを食べてくれて、笑顔を見せてくれたんですから」
ピチャッ
ルビィ「あ……ルビィの涙でちょっぴりしょっぱくなっちゃった」
ルビィ「でも、いい味出してる。なんてね」
せつ菜「なるほど……そういうアレンジもあるんですね。勉強になりました」 ルビィ「あぁ〜今日は楽しかったなぁ」
せつ菜「いっぱい遊びましたね、普段中々遊びに行けないから私も楽しかったです」
ルビィ「せつ菜さんにデートって誘われた時はびっくりしたけど」
ルビィ「せつ菜さん、色々な所に連れて行ってくれたりたくさんプレゼントしてくれたり」
ルビィ「おいしいお弁当とケーキまで作ってくれて、すごくかっこよかったよ」
ルビィ「また、誘って欲しいな……」
せつ菜「ルビィさん……」
せつ菜「もちろんです!!また一緒にデートしましょうね♪」
ルビィ「うん!!ルビィもせつ菜さんの事だ〜い好き♪」ダキッ 彼方「ほう、泣くほど喜んでくれたの。それはよかった」
彼方「次のデートの約束までして、やるねぇこのこの」
せつ菜「はい、ルビィさんとの距離がぐっと縮まり今までよりも仲良くなれた気がします」
せつ菜「これも、彼方さんのおかげです。本当にありがとうございました」
彼方「いや、私は別に大した事はしていないよ。せつ菜ちゃんの努力があってこそさ」
彼方「今度は彼方ちゃんも混ぜておくれよ」
彼方「寒くなってきたし、皆でお鍋でも作って食べよう」
せつ菜「それはいいですね!!どんなお鍋にしましょうか」
せつ菜「体を温める為にデスソースをふんだんに入れた激辛デンジャー鍋なんか」
彼方「却下、やれやれ……成長したかと思えば隙を見せたらすぐこれだ」
彼方「どうやらもう少し指導が必要なようだね。せつ菜ちゃん、また料理の練習するよ」
せつ菜「はい!!よろしくお願いします!!」 終わりです。最後まで読んでいただきありがとうございました 乙です!
面白くてあっという間に一気に読んでしまった
あとデナトニウムで草 いいね
せつ菜ちゃんが絡んでてこんなにマッタリしてるのは珍しい
乙 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています