善子「私は千歌に命を救われたの!」千歌「はい?」
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千歌「どういうこと?」
千歌「しいて言えば、梨子ちゃんなら助けたかもしれないけど……」
善子「え?」
千歌「梨子ちゃん初めて会った時海に飛び込もうとしてたんだよ」
千歌「さすがに4月の海は寒いでしょ?だから……」
善子「私以外にも……じゃなくって!」
善子「だから……だからね?」
千歌「うん?」 善子「その……私……」
善子「私は!千歌が!……千歌のこと……」
善子「……千歌に改めてお礼言っておきたいと思って……ありがと」
千歌「ん?うん?どういたしまして?」
善子「さ、みんな待ってるから早く行くわよ!」
千歌「え?ちょっ……待ってー!」 ――
善子「はぁぁぁぁぁぁ……」
ルビィ「すごいおっきなため息、幸せが逃げちゃうよ?」
善子「ヨハネは堕天使だもん、幸せなんてないわよ」
花丸「完全にいじけてるずら」
善子「別にいじけてないもん」
ルビィ「善子ちゃんアイス溶けちゃうよ」
花丸「食べないならマルがもらおうかなぁ」
善子「ダメよ!私の!」
善子「……っっ!」 花丸「慌てて食べるから」
ルビィ「頭がキーンときた時は器をおでこに当てるといいらしいよ」
善子「っあぁ……」
善子「やっと治ってきたぁ」
花丸「で、聞かなくてもわかるけど、ダメだったの?」
ルビィ「は、花丸ちゃん!」
善子「ダメというか……ダメなのは私というか……」
ルビィ「もしかして……」 善子「そうよ!何も言えなかったわよ!ヘタレとでもなんとでも言えばいいじゃない!」
ルビィ「ヘタレ」
花丸「ヘタレ堕天使」
善子「なにをぅ!!」
ルビィ「ピギィ!善子ちゃんが言えって言ったもん!」
善子「はぁ……そうだけどぉそうじゃないじゃない」
花丸「面倒ずらね」
善子「うぅ……もっと優しく慰めてくれたっていいじゃない!」
ルビィ「あわわ、善子ちゃんよしよし」
花丸「大丈夫だよ善子ちゃん、次頑張ろう?」
善子「ルビィ……ずら丸ぅ……」 善子「ダメよ……堕天使がリア充なんてきっと許されないんだわ」
花丸「余裕あるのかないのかわからないずら」
善子「自分がこんなに臆病だとは思わなかったわ」
善子「大体千歌も千歌よ!」
善子「このヨハネ様が何度も何度も仕掛けてるんだからちょっとぐらい気づいてくれたって!」
ルビィ「まぁまぁ」
ルビィ「それに仕掛ける前に終わってるんじゃ……」
善子「んぐっ」
善子「きっとあと一歩!あと一歩のはずなのよ!」
花丸「その一歩を足せば地球一周できちゃうかも」
善子「ぐぬぬ……」 善子「そうよ、きっと私なんてただの後輩Cよ」
善子「舞台装置でしかないんだわ……」
善子「千歌に気になる人がいたとしても、その周りの更にその周りよ……」
ルビィ「今日の失敗がよっぽど堪えたんだね」
花丸「堕天使なんだから堕天使パワーでなんとかならないの?」
善子「そんな都合のいいもの現実にはないわ」
善子「リアルこそ正義!正義なんだから……」
ルビィ「よしよし、大丈夫だよ、ルビィと花丸ちゃんはずっと善子ちゃんの味方だからね」
花丸「そうずら!だから帰ったら電話することね」
善子「え?」 ルビィ「今日のことお話して……明日朝練付き合ってもらおう!」
善子「ちょっと待って!なんであんた達が決めてるのよ」
花丸「そうしないと善子ちゃんが動かないのを知ってるから」
ルビィ「ミッションってやつだね」
善子「失敗したら……?」
花丸「失敗のことなんて善子ちゃんは考えなくていいずら」
ルビィ「きっと大丈夫だよ!大丈夫」
善子「なんでそう言い切れるのよ」
ルビィ「それはルビィがリトルデーモン4号だからです!」 ルビィ「ダメだったら善子ちゃんがルビィのリトルデーモンになってもらおうかなぁ」
善子「なっ!ヨハネのリトルデーモンのくせに生意気よ!」
花丸「マルはご飯食べさせてくれたらいいよ」
善子「お金が尽きちゃうわよ!」
花丸「だから、善子ちゃんは失敗なんて考余計なこと考える必要ないずら」
ルビィ「頑張るびぃ!」
善子「はぁ……分かったわよ」
善子「やるわ!私やってやるんだから!!」 ――
善子「と言ったものの……どうしたらいいの?」
善子「とりあえず配信でリトルデーモン達に……」
善子「ってそんな余裕はないし……それなら今日の配信は……」
善子「くくっ……配信を廃止……ふふっ」
善子「じゃなくって!」
善子「えーっと愛しきリトルデーモン達へ……今日の配信はなしっと」
善子「よし!じゃあ電話!……の前にお風呂入ろ……」
善子「ってこれじゃでも!……いいや、一旦落ち着くためにお風呂入ろ」 善子「……ふぅー」
別に嘘じゃない。
私は本当に千歌に救われたと思ってる。
千歌がいなければ、きっと私は……私が生きるために……私を殺していたんだろう。
それでも、千歌の言葉で私は私でいられた。
その時から私にとって千歌が特別になった。
善子「……はぁ」
善子「堕天使ヨハネ」
善子「私は堕天使が好き」
善子「好きだから堕天使になれた……と思う」 善子「私は千歌が好き」
善子「千歌が好きな私に私はなれるのかしら?」
善子「もし……自在に変身でもできるなら、千歌はもう私を好きになっていてくれた?」
善子「……ダメよ、千歌のおかげで私がいるのに、結局私を殺してしまう」
善子「津島善子で堕天使ヨハネじゃないと意味がない」
例えば、私が魔法を使えたなら。
少しの間だけ私に釘付けにできれば、前を走る貴女を振り向かせることができたなら。
そんな魔法が使えたらどんなにいいだろうか。
善子「ふふ、弱音ばっかりね」
善子「ヨハネらしくもない」
善子「動くしかないわよね」
善子「とりあえず、もしもしの一言から」 ――
善子「……もしもし?」
千歌「もしもーし」
千歌「善子ちゃん?何かあったの?」
善子「遅い時間にごめんなさい」
千歌「ううん、大丈夫だよ」
千歌「それで、どうしたの?」
千歌「まさか体調崩しちゃったとか!?」
千歌「ダメだよ!それなら安静にしてなくっちゃ!」
千歌「それなら、明日は無理せずに休んで……」 善子「待って待って、どうしてそうなるわけ」
千歌「え?違うの?」
善子「違うわよ、全く」
千歌「ほっ……それなら良かった」
善子「大体なんで急にそういう話になるのよ」
千歌「あー、えへへ」
善子「可愛く笑ってごまかさないの」
千歌「かわっ……」
善子「あ!えっと違くて……」
千歌「……違うの?」
善子「いやっ、違わないんだけど……」 善子「そうじゃなくって!」
千歌「いやー、寒くなってきた時期だし、こんな時間の連絡だからさ」
善子「もし、そうならグループで連絡するわよ」
千歌「あー、まぁそうだよね」
善子「ま、でも、その、心配してくれたのは嬉しかったかな」
千歌「お、善子ちゃん照れてる!」
善子「照れてない!それからヨハネよ!」
千歌「そっかそっか」
善子「照れてないもん」
千歌「ふふふ、それで、どうしたの?」 善子「あー、そうだ!」
善子「えっと、まずは今日変なこと言ってごめんなさい」
千歌「あー、別に大丈夫だよ」
千歌「でも、内容は気になるかも……」
善子「別にそんな大袈裟なことじゃなくて、千歌のおかげでヨハネが生きていられるというか……」
善子「あの時千歌がいなければ、今の私はなかったから……」
善子「だから、ありがとう」
千歌「そんなこと言ったら、善子ちゃんがいないと今の私もなかったよ」
千歌「ありがとうね!善子ちゃん!」 善子「……」
千歌「善子ちゃん?」
あー、好きだ。
やっぱり私は千歌が好きだ。
千歌「おーい!よ・は・ね・ちゃーん!」
善子「だから善子だってば!あれ?」
千歌「あはは!」
善子「ちょ!今の間違い!ミスミス!」
千歌「ダメー!」
善子「むぅ……千歌の意地悪……」
千歌「わ、善子ちゃん拗ねないでよぉ」
善子「拗ねてない」 千歌「もー!一度だけヨハネ様の眷属?になるから許して?」
善子「言ったわね!」
善子「てか、千歌はすでにヨハネのリトルデーモンなんだから!」
千歌「はーい!」
善子「分かってない!」
善子「それなら……」
善子「明日朝練付き合ってくれない?」
千歌「ん?なんで私?」
善子「ヨハネの眷属なんでしょ?」
千歌「いや、別にいいんだけど」 千歌「明日は朝練ないのに熱心だなって」
善子「私だってやる時はやるのよ!」
そう、やる時は……。
言ってみせる!
千歌「オッケー!でも、千歌で大丈夫なの?」
千歌「正直そういうのは曜ちゃんとか果南ちゃんの方が……」
善子「ダメ!」
善子「千歌とじゃなきゃ嫌なの」
千歌「そ、そっか」
千歌「それなら明日いつもの朝練の時間に学校でいい?」
善子「えぇ、大丈夫よ」
善子「それから……」 善子「……」
千歌「ん?それから?」
大丈夫。
善子「私は堕天使ヨハネよ……」
千歌「ん?どうしたの急に?」
魔法なんて使えなくたって、背に翼もないけれど……
たった一歩、たった数十センチの距離ぐらい、飛んでみせる。
魔法も翼もないけれど……それでも、私は堕天使ヨハネだから。
善子「千歌」
千歌「うん?」
善子「私明日千歌に告白するから」 千歌「…………」
善子「それじゃ、遅い時間にごめんね」
善子「明日の朝練楽しみにしてる」
千歌「……ふぇ?」
千歌「ちょ!善子ちゃんどういう!?」
千歌「え?は?」
千歌「切れてるし!」
千歌「なになに?実は本当に堕天使なの……とか?」
千歌「……違う……よね?」 ――
善子「おはよ」
千歌「……ぁ……ぉ……はよ」
善子「?元気ないわね」
善子「夜更かしでもしたの?」
千歌「……でしょ」
善子「え?」
千歌「昨日あんなこと言われて寝れる訳ないでしょ!!」
善子「わっ!急に大声出さないでよ」
善子「そっか、それはごめんなさい」 子「でも、嬉しいわ」
千歌「……なにが」
善子「千歌が私のことを考えていてくれたことが」
千歌「なっ……」
千歌「今日の善子ちゃんなんか変」
善子「リトルデーモンが夜通しヨハネのことを考えていたおかげでね」
善子「今日はパワーが漲ってる気がするわ」
千歌「そっか……それで」
善子「ひとまず練習始めましょ?」
善子「昨日のダンスで上手くできないところがあるの」
千歌「あ……うん」
千歌「……とりあえずストレッチから始めようか」
善子「えぇ、よろしくね」 ~~♪♪
千歌「うん!バッチリ!」
千歌「やっぱり善子ちゃんダンス上手だね」
善子「はぁ……はぁ……」
千歌「大丈夫?」
善子「うん」
千歌「はい、お水……」
善子「好き」
千歌「……っ!」 善子「千歌が好き」
善子「千歌のことが大好き」
善子「あの日千歌が私を認めてくれたその瞬間から!」
善子「どうしようもないほどに……千歌が好き」
善子「千歌が好きな私を千歌はまた認めてくれる?」
善子「千歌が大好きな私は……千歌が大好きな限り……」
善子「千歌のことを大好きでいたい」
善子「私は堕天使ヨハネだけど魔法も使えないし、大空を舞うことなんて到底できないけれど」
善子「でも……私はその私で!千歌の一番側にずっといたいと思ってる!」
善子「好き」 千歌「…………」
千歌「私ね、昨日ずっと考えてたの」
千歌「善子ちゃん!それから……ヨハネちゃん!」
千歌「私は…………」
良かった。
私はまだ堕天使ヨハネでいれるみたい。 おしまい。
千歌とヨハネとそれから私。
書き始めた時は少し暗めな雰囲気で書こうと思ったけど別物になっちゃいました。 コメントくださった方ありがとうございました!
ANNギリギリになっちゃった。
ごめんなさい。
聴きながらでも聴き終わってからでも見て頂けると喜びます。 乙
良いSSを読んだ後の幸福感をありがとう
良いちかよしでした ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています