My First TOKIMEKI
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歩夢「うーん……これはどう?」
ピンクと緑のパスケースが私の目を引いた。
侑「いまいちトキメキが足りないね……」
私の好きな色と侑ちゃんの髪の色。
お揃いのパスケースがいいなあなんて少し子供っぽかったかな? 侑「あっ!」
侑「歩夢!これいいんじゃない?」
歩夢「えっ!?」
侑「似合うと思うよ?」
ピンク色の可愛らしいワンピース。
可愛い……可愛いけど……
もう高校2年生だからね……
でも……
ちょっと着てみたいかも。
と言ってもこの年齢で着る勇気なんて私には無いんだけど。 歩夢「いいよ……可愛いとは思うけど、子供っぽいって!」
侑「そうかな?最近までよく着てたじゃん!」
そんなの小学生の頃の話じゃない?
ただ、そんなことを覚えてくれていることに少し頬が緩んでしまう私がいる。
侑「着たい服着ればいいじゃん!歩夢は何着たって可愛いよ!」
相変わらずこの幼なじみはサラッとこんなことを言ってくる。
ずるいなあ…… 侑ちゃんだって可愛いのに。
侑ちゃんは私のことをよく褒めてくれるけど、自己評価がとっても低い。
もったいないなあ……
歩夢「お腹空いたし、下降りよっか?」
侑「で、どーする?」
歩夢「やっぱりコッペパンかなあ……」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 侑「美味しい〜!!」
放課後にコッペパンを二人で食べてゆっくりと過ごす日常。
大切な時間だけど……
侑ちゃんは何か物足りないような顔をいつもしているような気がした。
私とただ日常を過ごすだけじゃなくて、もっと凄いことをできる力がきっとある。
そんな……気がしてたんだ。 キャー!セツナチャーン!
侑「何かのイベント……かな?」
侑「結構盛り上がってるね!言ってみよっか!」
歩夢「うん!」
私達はその歓声の正体を見に行くことにした。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ せつ菜「世界が色づいて光り出す瞬間を!君と見たいその心がアンサー!」
せつ菜「走り出した!思いは強くするよ!」
せつ菜「なりたい自分を我慢しなくていいよ!」
せつ菜「目には見えない力で繋がる!」
せつ菜「夢はいつかほら!輝き出すんだ!」
パワフルで圧倒的な熱量と共に溢れる。
なんだろう……この気持ち。
初めて見た誰かも分からないこのアイドルのステージから。
目を離せない自分がいた。 侑「凄い……」
うん……
そう呟くように私は言った。
侑「だよね!凄かったよね!」
侑「カッコよかった!可愛かった!ヤバいよ!あんな子いるんだ!!!!」
侑「なんだろうこの気持ち!すっごいトキメキ!」 見たことも無いくらい目を輝かせた幼なじみがそこにいた。
侑「あっ、ポスター!」
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会……
虹ヶ咲って……
二人「ウチの高校だー!!」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会。
部員は5人。
って書いてあるけど、ホームページの更新も止まっていて分かんないなあ……
動画サイトで調べたら出てくるかな?
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会っと。
一番上に出てきた今日見たあの人の動画。 優木せつ菜さん……
神出鬼没のニジガクスクールアイドル。
"校内でその姿を見た人はいない"とのこと。
こんな凄い人がいたらすぐに分かりそうだけどなあ……
圧倒的な歌唱力と熱量。
観客を引き込むパフォーマンス。
"夢はいつかほら輝き出すんだ"
CHASE!の歌詞のように素直に夢を追いかける彼女が眩しくて……
私には羨ましかった。
私も……
こんな風になれたら……
可愛い衣装を着ても違和感が出ないかな……
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 次の日の放課後。
部室棟……
スクールアイドル同好会もある……はずだよね。
優木せつ菜さん……
実際に会って彼女と話してみたい。
そう思っている自分がいた。
話せばこのトキメキの正体が分かる気がしたから。
そう思いながら待っているとあの子が走ってこっちに来た。 侑「歩夢ー!待った?」
歩夢「ううん?帰ろっか!」
侑「その前にちょっと寄りたいとこあるんだけど、いい?」
歩夢「うん?もちろん。」
侑「ありがと!」
そう言うと私は幼なじみに手を引かれて走り始めていた。 歩夢「ちょっと、どこ行くの?」
侑「スクールアイドル同好会!!」
侑「私、スクールアイドルってよく知らなかったからさ、昨日帰ってから動画とかいっぱい見たんだよね!」
侑「みんなカッコよくて……可愛くて…輝いていて……」
侑「もう……完全にトキメイちゃった!!」
侑「でも一番はやっぱり昨日のあの人!」
侑「優木せつ菜ちゃんって言うんだって!!」
侑「次のライブとか決まってるのかな〜!!」 二人で予備校通うのにそんな時間……あるのかな?
でも……
こんなに目が輝いている侑ちゃんを見たのはいつ以来だろうか。
侑ちゃんのトキメキの正体を。
私は知りたかった。
こうして私達はスクールアイドル同好会の部室を探すことになった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 愛「ほら、スクールアイドル同好会はここだよ!」
侑「ありがとう!助かったよ!」
愛「どういたしまして!」
璃奈「好きなの?スクールアイドル?」
侑「うん!ハマったばっかだけどね!」
璃奈「あなたも?」
私も……好き……なのかな……?
侑ちゃんほどの熱量を持っているかと言われると…… 歩夢「どうだろう?まだよく分からないかな。」
璃奈「そう。」
好きなものを好きって言えない私は。
なんて弱いんだろうか。
優木せつ菜さんなら。
きっとあんな歌詞を歌う彼女なら。
大好きだと隠すことも無く言っちゃうんだろうなとモヤモヤする自分に。
少し嫌気が差してしまう。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 菜々「このスクールアイドル同好会はただいまをもって廃部となりました。」
侑「そんな……」
幼なじみのショックを受けている姿を見ているだけで私はどうすればいいのか分からなかった。
あんなに興味があって、侑ちゃんが目を輝かせていたものが無い。
私だって……会ってみたかった。
どうしたらあんな風に真っ直ぐ気持ちを表現できるのか。
聞いてみたかった。 歩夢「残念だったね、せつ菜さん……でも学校にはいるはずだし、会おうと思えば……」
侑「それはいいよ、辞める理由があったんだろうし。」
侑「やっぱり難しいのかな、夢追いかけるのって。」
侑「自分の夢はまだ無いけどさ……」
侑「夢を追いかける人を応援出来たら、私も何かが始まる……そんな気がしたんだけどな……」
侑「なんてね……」 そう言って夕焼けを背に笑う彼女を見ると。
なんだか……
もったいないような気が……
私はした。
どうすれば……
どうすればいいの?
侑ちゃんのトキメキは。
優木せつ菜さんから得たもの。
だから私には何も…… せつ菜『足を踏み出す 最初は怖いかも』
せつ菜『でも「進みたい」その心があれば!』
そうだ。
あの人の歌でもこう言ってた!!
大事なのは私の気持ち。
上原歩夢は……
どうしたいの?
今はまだ無理かもしれない。
ダメかもしれない。
私に力を貸してください。
優木せつ菜さん。 歩夢「二人で始めようよ!侑ちゃん!」
侑「えっ!?」
歩夢「私も見てたの!動画!」
歩夢「スクールアイドルの!せつ菜さんのだけじゃなくてたくさん!」
歩夢「本当に凄いと思ったよ!」
歩夢「自分の気持ちをあんなに真っ直ぐ伝えられるなんて!スクールアイドルって本当に凄い!」
歩夢「私もあんな風に出来たらなんて素敵だろうって!」 侑「歩夢……」
歩夢「それでも、動き始めたなら止めちゃいけない!我慢しちゃいけない!」
歩夢「私……」
歩夢「好きなの!!!!!!!」
歩夢「ピンクとか可愛い服だって今でも大好きだし、着てみたいって思う!」
歩夢「自分に素直になりたい!」
歩夢「だから見てて欲しい!」
歩夢「私は!!!!」
歩夢「スクールアイドルやってみたい!!」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 歩夢「今はまだ勇気も自信も全然だから。」
歩夢「これが精一杯。」
侑ちゃんがトキメキが足りないと言っていたパスケース。
これが今の私だ。
侑ちゃんをトキメかせるほどのものは無い。 でも、もう逃げない。
今ダメなら今から頑張ればいい。
未来へと続く果てしない道でも。
一歩ずつ。
いつの日にかきっと咲く日まで。
歩夢「私の夢を一緒に見てくれる?」 これはあの人への宣戦布告。
私が一番近くで見てきたあなたに見ていて欲しい。
応援して欲しい。
私の唯一のワガママ。
侑「もちろん。」
侑「いつだって私は……」 ありがとう。
あなたと一緒なら。
一人じゃないから。
どこまでもいける気がするんだ。
いつか私があなたの……
"一番"のトキメキになれますように。 これが私にとってはじまりの。
"トキメキ"だから。 終わりです。
歩夢ちゃんがこんな気持ちで侑ちゃんに打ち明けていたらいいなっていう願望で書いてみました。 侑ちゃんは緑なのかな黒なのかなブレード出るまで分からないな黒ブレード無理だからやっぱ緑かなエマと被るね ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています