美渡「もんじゃでも食べて行こっかなぁ〜」
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美渡「いや〜久し振りに東京に来たけど相変わらず人が多いなぁ」
美渡「でもすごく賑やかでわくわくする、修学旅行を思い出すよ」
美渡「この辺も歩いたっけなぁ」キョロキョロ
フワ〜ン
美渡「すんすん……お、いい匂いがするねぇ。なんだこれ、懐かしい匂い」
美渡「んん?『もんじゃみやした』……?もんじゃ屋さんかぁ」
美渡「へぇ〜、前来た時はこんな店あるの気付かなかったな」グゥ〜
美渡「へへ……匂いにやられたか、私」
美渡「―そうだ、せっかく東京に来たんだからもんじゃでも食べて行こっかなぁ〜。小腹も空いたし」
美渡「お邪魔しまーす」ガララ 愛「はーい、いらっしゃいませ‼」
愛「お姉さん、1人ですか?」
美渡「うん、私1人」
愛「それじゃ、こちらのお席へどうぞ」
美渡「はいはいどーも」スッ
美渡「ふーん……」キョロキョロ
美渡「ここ、いい雰囲気のお店だね」
愛「雰囲気だけじゃなくて、うちのもんじゃはここいらじゃ1番おいしいって評判なんですよ。めっちゃうまいからぜひ食べて行ってください」
美渡「はは、いい匂いがしてね。それでここに入ったんだ」
愛「ありがとうございます♪メニューはこちらです。決まったら呼んでくださいね〜」
美渡「はいよ〜」
美渡(随分派手な頭の娘だねぇ、だけど元気いっぱいでかわいいな)
美渡「さて、なにを頼もうかなぁ〜」ジーッ 美渡「すみませーん」
愛「はーい」パタパタ
美渡「えっと……正直なにがいいのかよくわからなかったからこの『愛さんの愛をたっぷり込めたスペシャルもんじゃ』を」
愛「お姉さんそれを頼むなんてお目が高い!!張り切って作らせてもらいま〜す」
美渡「愛さんって誰なの?」
愛「あたしですよあたし、宮下愛って言います。よろしくお願いします♪」
美渡「あなたの名前だったのかぁ、自分の名前をメニューに入れるなんてすごいな〜」
愛「それだけ自信があるって事、今用意しますから楽しみにしててください」
愛「お待たせしました〜」
美渡「おぉ〜色々な具材が入ってる、豪勢だねぇ」
愛「お姉さん美人だから具材おまけしちゃいました」
美渡「美人だなんて上手だなぁも〜」
美渡「それじゃ気分がいいからこの『ばあちゃんのぬか漬け』も頼もうかな」
愛「まいど‼ありがとうございま〜す」
美渡「あはは、人をのせるのがうまいよ愛ちゃんは」 愛「はい、このぬか漬けはうちのばあちゃんが丹精込めて作った秘伝のお漬け物」コトッ
美渡「おうおう、これまたうまそうなぬか漬けだぁ」
愛「もんじゃ、どうします?よかったらあたし焼きますけど?」
美渡「そうだね、もんじゃなんて滅多に食べないから自分でうまく焼く自信がないや。お願い」
愛「かしこまり‼じゃあその間ぬか漬けを食べててください」
美渡「そんじゃ、いただきます」パクッ
美渡「―うんまっ‼なにこれぇ!?こんなおいしいぬか漬け初めて食べた〜」ポリポリ
愛「でっしょー?あたしも毎日食べてるんですよ、ばあちゃんのぬか漬けは世界一〜‼」
美渡「まさかもんじゃ屋さんでぬか漬け食べられるとは思わなかったなぁ〜うまいうまい♪」
愛「ではではその間に愛さんはもんじゃの方を」トローッ ジュウ〜
愛「あたしの愛をたーっぷり込めて〜、ラブ注入っと♪」
美渡「ほほ〜若いのに随分馴れた手さばきだこと」
愛「この前やっとばあちゃんから免許皆伝をもらって」
美渡「おばあちゃんに教えてもらったんだ、その腕ならもう一人前だね」
愛「いやいや、一人前にはまだ遠いですって、ははは」 愛「そう言えば、お姉さんこの辺じゃ見かけないけどここには観光か何かで?」
美渡「うん、有給をもらって遊びにね。こっちに母親がいるから1週間世話になりながらのんびりする予定」
愛「へぇ〜、いいじゃないですかぁ。お仕事ばかりじゃ息が詰まっちゃいますもんね」
美渡「そうそう、最近ずっと忙しくて休みもろくに取れなかったからさぁ〜」
美渡「やっと落ち着いてきたところで体を休める為にまとめて有給もらった訳よ」
美渡「そう言う事ならこっちに来てのんびりすればいいって母親が言ってくれてね、まさに渡りに船ってやつ」
愛「それじゃ、しばらく東京にいるんですね」
愛「東京は楽しい所いっぱいあり過ぎて1週間じゃとても楽しめないですよ〜」
美渡「そうだろうさ、地元の人だって無理なんじゃないの」
愛「ですね〜、あたしもまだ行った事ない場所沢山あるし」
美渡「どこかおすすめのスポットあったら教えてよ」
愛「はい‼お姉さんが楽しめそうな所探しておきまーす」 愛「さ〜て、そろそろいいかなぁ」ジュウジュウ〜
美渡「お、食べ頃になった?早く食べたい食べたい〜♪」
愛「はい、このコテをどうぞ。熱いから気を付けてくださいね」スッ
美渡「サンキュー。これこれ、この小っちゃいコテ見るともんじゃ食べに来たーって思うよ」
美渡「いただきま〜す、―ふぅ、ふぅ〜」
美渡「あむっ……―ほほっ、あちちっ‼」
美渡「はふはふ……う〜ん!!こりゃ絶品だ‼頬っぺた落ちちゃう〜♪」ホワワ〜ン
愛「よっしゃ‼お褒めの言葉いただきましたぁ‼」グッ
美渡「うんうん、ぬか漬けもおいしかったけどこのもんじゃも最高‼今まで食べた中で1番おいしいよ〜」モグモグ
美渡「あ〜なんか飲みたくなってきたな。ここ、ビールある?」
愛「ビールですね、少々お待ちください」パタパタ 愛「はーい、ビールお持ちしました〜」
愛「さ、どうぞ」トクトクトク
美渡「おっとっと……ありがと。へへへ、飲むつもりなかったけどつい頼んじゃったよ」
美渡「もんじゃをひと口食べて……」パクッ
美渡「んぐ……んぐ……んぐ……」
美渡「―かあぁぁ〜!!うんまぁ〜い!!やっぱもんじゃにはビールなんだよねぇ〜!!たまんな〜い!!」
愛「お姉さんいい飲みっぷり♪ささ、もう1杯」スッ
美渡「いや〜こんなかわい子ちゃんにお酌してもらえるなんて嬉しいなぁ〜」
美渡「んぐ……んぐ……」
美渡「―ぷはぁ〜!!この為に生きているんだよなぁ‼」 美渡「もんじゃだけじゃなくてぬか漬けもビールによく合うねぇ、いいつまみになるよ」
美渡「ところでさ、愛ちゃんは学生さん?」
愛「あたし、高校2年です」
美渡「へぇ‼うちの妹と同級生かぁ、いやでもとても同い年には見えないなぁ〜」
美渡「すごく落ち着いてて大人っぽいから大学生かと思ったよ」
愛「いや〜そんな事ないですって」テレテレ
愛「妹さん、あたしと同級生なんだ。どんな娘なんですか?」
美渡「妹は高校生のくせにいつまで経っても子供でさ、しょーもない事ですぐケンカになっちゃうんだよ」
愛「ケンカするって事はお姉さんも妹さんの事言えないんじゃないですかぁ」
美渡「うぐっ……痛いところを突かれたね、確かに志満姉にもよく同レベルだって言われるな」
愛「お姉さんもいるんだ、何姉妹なんですか?」
美渡「3人姉妹で私は真ん中、真ん中ってのは板挟みになってなにかと辛い立場さ……」グビッ
愛「あはは……姉妹が多いと苦労するもんですねぇ」 美渡「それにしても……」ジーッ
美渡「最初見た時から思ってたけど、今時珍しいくらいキレイな金髪だねぇ。うまく染めてあるわ」
愛「あ、わかります?あたし、こう見えて実はギャルなんですよ」
美渡「な〜にがこう見えて、どこからどう見てもギャルだわ」
愛「きゃははっ、ですよね〜♪」
美渡「ギャルがいるもんじゃ屋さんなんて面白いよねぇ〜」
美渡「こういう店は割りと年配の人も来ると思うけど反応はどう?」
愛「ここに来るのは昔からの顔馴染みばかりであたしの小さい頃から知ってる人ばかりだからなにも言われないですよ」
愛「お姉さんみたいに初めて来た人はびっくりしますけどね〜、にしし」
美渡「意外とそのギャップが印象に残るかもしれないね」
美渡「愛ちゃん接客ももんじゃ作りもうまいからまた来ようって思うもん」
愛「やだ〜、そんな褒めたってもんじゃしか出て来ませんよ」
美渡「もんじゃ屋だけに、てか‼あっはっは‼」
愛「ぷぷぷっ……お姉さんもダジャレのセンスある〜」 美渡「ギャルって事は結構遊んだりもしてるんだ」
愛「まぁ遊ぶのは大好きですから。―あ、だからって勉強はおろそかにはしてませんよ。成績だってそれなりにいいんだから〜」ドヤァ
美渡「マジで!?そんだけかわいくてスタイルもよくてお店のお手伝いまでしておまけに勉強も出来るたぁ立派なもんだねぇ」
美渡「私や妹も見習わないとなぁ……私が愛ちゃんくらいの頃は勉強なんてそっちのけで遊んでばかりいたよ」
愛「お姉さんもギャルだったり?」
美渡「いや〜、つっても愛ちゃんみたいにバリバリのギャルじゃないって。もっとおとなしかったよ」
美渡「あ〜なんかもっと遊びたかったなぁ、働くようになったら余計そう思うよ」
愛「だったら、このお休みを使って思いっきり遊んじゃいましょうよ」
美渡「はは、だね。貴重な長期休暇、有意義に使わないと」
ガラッ
美里「愛ちゃん、そろそろお店を閉める時間」
美里「―あら、お客様がいたんですね。失礼しました」
美渡「あ、どうも。ありゃ、もうこんな時間か」チラッ
美渡「遅くまで居座っちゃってごめんね、帰るわ。お会計よろしく」
愛「いえいえ、こちらこそこれからって時に。それじゃレジへ」
愛「お姉ちゃん、この人の事そこまで見送って来る」
美渡「いいってそんなん」
美里「わかったわ、テーブルは私が片付けておくから行ってらっしゃい」
愛「だってさ、行きましょ行きましょ♪」
美渡「……わかったよ、ご丁寧にどうも」 美渡「さっきの人は?」
愛「あたしのお姉ちゃん、ちょっと体が弱いからあまりお店には出ないけど」
美渡「愛ちゃんにもお姉さんがいたんだね、キレイで上品な人じゃない」
美渡「見た目だけは志満姉に似てたなぁ……」
愛「うん‼あたしお姉ちゃんの事大好きなんです‼」
美渡「おう、ストレートだねぇ。いい妹だ」
美渡「大事にしてあげな、きっとお姉さんも愛ちゃんをかわいがってくれるから」ナデナデ
愛「へへへ……もちろん♪」
愛「まだ地元には帰らないんですよね、よかったらまた来てください」
美渡「あぁ、このお店気に入ったからこっちにいる間に必ず顔を出すよ」
美渡「また、色々お話しながらもんじゃ食べさせてよね」
愛「はい‼あたしもお姉さんに会うの楽しみにしてます」
愛「せっかく仲良くなったんだからお名前聞いてもいいですか?」
美渡「あれ?言ってなかったっけ?」
愛「聞いてませんよ。もう、酔っ払い過ぎ」クスッ
美渡「私は高海美渡、よろしくね」
愛「美渡さん、ですね。覚えました‼よろしくお願いします‼」
美渡「そんじゃ、またね〜、ごちそうさま」フリフリ
愛「さよ〜なら〜」フリフリ
愛「高海美渡さん、かぁ……明るくていい人だなぁ」
愛「―ん?高海……どこかで聞いた事あるような……」
愛「ま、いっか。私も店に戻ろっと」
愛(今度会ったら一緒に遊びたいなぁ〜、なーんてね。うふふ♪) 次の日
美渡「おーっす」ガララ
愛「いらっしゃいませー‼」
愛「―あ、美渡さん。また会えるとは思ってたけど今日来るとは思わなかったなぁ」
美渡「いや〜愛ちゃんに会いたくなってね。あ、もんじゃちょうだい。『愛さんスペシャル』ね」
愛「は〜い」
美渡「はふはふ……あむあむ……」
美渡「―くうぅ〜!!このもんじゃは毎日食べても飽きないかもねぇ、うまい‼」
愛「もういっその事毎日来てもらってもいいですよ〜」
美渡「ここも居心地いいけど他の所も見て回りたいな」
美渡「と言う訳で今日は愛ちゃんにガイドの依頼をしに来たのよ」
愛「あぁ、観光するんですね。もちろん喜んでお供します♪」
愛「ん〜、でもなぁ……あたし抜けちゃっても大丈夫かなぁ」
美里「いいじゃない、行ってきたら?」
愛「わ、お姉ちゃんいつの間に」
美渡「あ、昨日はどうも」
美里「今日も来ていただき、ありがとうございます。もしよろしければぜひ妹を連れて行ってくださいな」
美里「この娘、あちこち歩き回っているから東京の名所には詳しいんですよ」
愛「いいの……?お姉ちゃん?」
美里「今日は体調がいいし、おばあちゃんも出てくれるから心配いらないわよ」
美里「あなたもたまには息抜きしないとね、楽しんでらっしゃい」
愛「お姉ちゃん……」パァァ
愛「ありがとう‼あたし、さっそく着替えて来る‼」
美里「―高海美渡さん、ですね」
美里「妹からお名前をお聞きしました。妹の事、どうかよろしくお願いしますね」ペコリ
美渡「こちらこそ、愛ちゃんのお世話になります」ペコリ 愛「お待たせしました〜」ギャル〜ン
美渡「おぉ〜!!かわいい〜♪私服はそんな感じなんだ、いかにもギャルって感じで垢抜けてるねぇ」
美渡「肩出しへそ出し生足出し……うーん、私にゃ無理な格好だ」
愛「へっへーん、ギャルは目立ってなんぼだからね〜」
愛「―っと、ギャルの格好したらつい喋り方まで……すいませ〜ん」カァァ
美渡「いーよいーよ、むしろその格好で敬語の方が気持ち悪いって」
美渡「私の事はタメの友達だと思って気軽に話してよ」
愛「そ、そう?―わかった‼」
愛「それじゃ行こ、ミトッチ♪」ニコッ
美渡「み、ミトッチぃ?」
愛「美渡さんだからミトッチ、イケてるっしょ?」
美渡「……ぷぷっ、あははははっ‼」
美渡「ミトッチなんて呼ばれたの初めて、いーねミトッチ。それでよろしく!!」
愛「ではでは愛さんの東京廻りしゅっぱ〜つ
♪」
美渡「お〜♪」
美渡(打ち解けたら一気に距離を詰めてきたなぁ〜、恐ろしい人たらしだ愛ちゃんは) 愛「まずはこちら、浅草になりま〜す」
美渡「浅草かぁ。懐かしい〜、修学旅行の時以来だよ。この辺は変わってないねぇ〜」
愛「浅草は海外からも沢山観光客が来る定番中の定番、だ・け・ど」
愛「今更仲見世や雷門見せたってつまらないから、今日はちょっとわき道に入って古きよき下町を体験してもらうよん」
美渡「確かに前来た時は大通りと雷門の前を歩いただけですぐ次の場所に行ってゆっくり見られなかったからなぁ」
愛「そんでぇ、ゆっくり見て回るならあれに乗るに限る」チョイチョイ
美渡「あれ?―あぁ、人力車‼1度乗ってみたかったんだよねぇ〜」
愛「お兄さん、今日はあたしの新しい友達連れて来たんだ。よろしくね」
お兄さん「友達?随分歳の離れた友達だねぇ、ははは」
美渡「あ?」ギロッ
お兄さん「い、いえいえ!!そういう関係も素敵だと思いますですはい」
愛「ミトッチ早く乗ろ〜よ」
美渡「はいはい、よいしょっと」
美渡「よろしくね、お兄さん」ニッコリ
お兄さん「はっ、はいぃ!!」 ガラガラ……
美渡「ほぉ〜、意外と乗り心地いいねぇこれ」
愛「でしょでしょ、ちゃんと座席も柔らかくして長く乗っても疲れないように出来てるの」
美渡「お兄さんは大変そうだけどね」
美渡「おーい、大丈夫?」
お兄さん「だ、大丈夫でっす‼」
愛「へーきへーき、体の大きい外国人だって乗るんだから。そんなやわじゃないって」
愛「ねー、お兄さん」
お兄さん「うっす‼」
美渡「あはは……ちょっと怖がらせ過ぎたかな」
愛「あ、ここで止めて」
美渡「なにここ?お煎餅屋さん?」
愛「そうそう、昔からあるお煎餅屋さんでさ。ここの味噌ねぎ煎餅がめっちゃうまいの」
美渡「お煎餅とか渋いねぇ愛ちゃん」
愛「ここでは自分で焼いてその場で焼きたてを食べられるんだよ」
美渡「焼きたてのお煎餅?いいね〜、お煎餅は焼いた後の物しか食べた事ないや」
愛「あそこにある七輪で焼くんだよ、やってみよ」
美渡「これはここでしか出来ない体験だねぇ〜」ワクワク ジジジ……
愛「あ、そろそろひっくり返さないと焦げちゃうよ」
美渡「おっと、どれどれ」クルッ
愛「いいね〜ちょうどいい焼き目、ミトッチうまいじゃーん」
美渡「先生の指導の賜物でございます」
美渡「ふわぁ〜、味噌ねぎとお煎餅の香ばしい匂いが……こりゃたまらん」ヒクヒク
美渡「炭火の七輪で焼くってのがまたいいよね〜、風情があって」
愛「七輪なんて学校の娘達は誰も知らないんだろうなぁ」
美渡「私らの世代だって知らないよ、おじいちゃんやおばあちゃんの世代だろうね」
愛「時代が変わっても、こういう温もりのある物はなくならないで欲しいな」
美渡「―だね、私達は忘れないようにしようか」
愛「出来た〜!!」
美渡「―んん〜味噌ねぎの香りが鼻を抜けてなんとも……お煎餅もパリッパリでおいしい〜♪」
美渡「はぁ……のんびりお煎餅をかじって過ごす、これぞ休息だなぁ」
愛「これで温かいお茶でもあれば言う事なしだよね」
美渡「そうですなぁ〜、―ってこれじゃまるで年寄りじゃ〜ん」
愛「ミトッチナイスつっこみ♪」 美渡「ふふふんふんふんふ〜ん♪」
美渡「あぁ〜、こうやって人力車に乗って町を見てるだけでも楽しいねぇ」
愛「そうなんだよ、下町って昔の面影がそのまま残ってるからさ。まるでタイムスリップでもしたかのような感覚になるよね」
美渡「だからいつまでも飽きないで見ていられるのかぁ、納得」
美渡「人力車の揺れも心地よくて……あぁ、気持ちいい……」
愛「下町廻りはここまで、お疲れ様」
美渡「ありがとう、今日は久し振りにのんびり出来たよ。疲れも取れたわ」
美渡「あ、そうだ。―お兄さん」
お兄さん「な、なんでしょう……」
美渡「はいこれ、さっき私が焼いた味噌ねぎ煎餅」スッ
美渡「ずっと私達を乗せて付き合ってくれたお礼、どうもありがとね」パチッ
愛「おぉ〜、そのお煎餅ハートの形してる〜!!ひゅーひゅー♪」
美渡「い、いやたまたまだってば」カァァ
美渡「ま、とにかく今日はお疲れ様。そのお煎餅おいしいから食べてみてよ」
お兄さん「あ……ありがとうございます‼」
お兄さん「―あの、よろしければ最後にお名前を……」
美渡「美渡、高海美渡だよ」
お兄さん「高海……美渡、さん……」
お兄さん「……ぽっ」カァァ 3日目
愛「昨日はミトッチと下町廻り出来てよかったな〜、あたしもいい息抜きになったし」
愛「お、噂をすれば」ニヤリ
愛「いらっしゃい、ミトッチ〜」
愛「―って、んん〜!?」
???「あら、本当にいい雰囲気。こんないいお店あったなんて知らなかったわぁ〜」
美渡「やぁ、昨日はありがとう。楽しかったよ」
愛「いや、それはいいんだけど……その女の子……誰?」ユビサシ
愛「はっ……!?まさかミトッチの子供……!?」
美渡「はぁ……どうせこうなると思った、だから連れて来たくなかったんだよ」
???「もう数え切れないくらい勘違いされてきたでしょ、いい加減慣れなさい」
美渡「慣れたけどいちいち説明するのは面倒なんだよ……」
美渡「あのね愛ちゃん、この人が最初に話した私のお母さん」
千歌ママ「はじめまして、美渡ちゃんの母で〜す♪」キャピーン
愛「………は?」
愛「はああぁぁ〜!?」 美渡「もう見慣れたというか見飽きた反応……ま、普通の人はこうなるよね」
愛「え、いや、だって、は?なんでミトッチよりお母さんの方が若い、いや幼いの?」マジマジ
愛「本当にお母さん?てか人間?」ツンツン
千歌ママ「正真正銘、美渡ちゃんのお母さんですよぉ」ニコニコ
美渡「まぁそういう事なんだわ、わかって愛ちゃん」
愛「―ミトッチがそこまで言うなら……」
千歌ママ「ミトッチなんて呼ばれてかわいいわね〜私もミトッチって呼ぼうかしら」
美渡「ちょ、それだけはやめてマジで‼恥ずかし過ぎるから!!」
千歌ママ「ねぇ、愛ちゃんだったかしら。美渡ちゃんがお友達なら私もあなたのお友達よね」
千歌ママ「だから気軽に、私の事はママッチって呼んでね♪」
愛「は、はぁ……」ボーゼン
美渡「勝手に話を進めるなぁ〜!!」ムッキーッ‼ すいません、長くなりそうなので今日はここまでにして続きはまた明日投稿します 人力車のお兄さんの反応が乙女で笑うw
続き楽しみにしてます 愛「最初はビックリしたけどこうして見ると……」
愛「ママッチ、めっちゃ若々しくてかわいいじゃ〜ん♪」
愛「あたしもこの見た目のまま歳取りたいなぁ〜あはは」
千歌ママ「よく言われるの、うふ♪」
美渡「愛ちゃん普通にママッチ呼びしてる……流石ギャル、ノリがいいなぁ」
千歌ママ「ねぇ、ミトッチが食べたもんじゃってどれなの?」
美渡「あぁ、えっとね」
美渡「―って、だからミトッチ言うな‼あまりにも自然に言うから危うく聞き流すとこだったわ‼」
愛「あっはははは‼ウッケる〜」
千歌ママ「美渡ちゃんはこういうところがかわいいのよ〜」ナデナデ
美渡「もうっ、愛ちゃんの前でやめてよね」カァァ
美渡「あー愛ちゃん、いつものもんじゃお願い。早いとこ食べさせて黙らせないと」
愛「了解!!ただいま用意しまーす♪」 愛「それそれそれ〜」ジュウジュウ〜
千歌ママ「愛ちゃんもんじゃ焼くの上手ねぇ、おいしそ〜」
愛「へへ、それほどでもあるのだ〜」
美渡「このもんじゃがビールとよく合うんだわ、て事でビール追加」
千歌ママ「それなら私は日本酒でももらおうかしら」
愛「に、日本酒……?」パチクリ
千歌ママ「ん?だって私はもう大人だもん」
愛「そうだったそうだった、わかりました〜」
千歌ママ「あ〜ん、―はむっ、あむあむ……」
千歌ママ「―ん……」クイッ
千歌ママ「―はあぁぁ〜、おいしい〜♪日本酒との相性も抜群ねこのもんじゃ」
美渡「でしょでしょ、この味はほんと病み付きになるよ〜」モグモグ
美渡・千歌ママ「「んん〜、うんま〜い♪」」
愛「……」ジーッ
愛(変わったお母さんだけどミトッチの事可愛がっているんだな、いい人)
愛(お母さんってこんな感じなんだ……いいな、親子って) 千歌ママ「ふぅ〜おいしかったぁ。愛ちゃん、ごちそうさま♪」
愛「はーい、ママッチは東京に住んでるんだよね。またいつでも来てよ」
千歌ママ「えぇ、私もこのお店気に入っちゃったわ〜、また来るわね」
千歌ママ「今度は美渡ちゃんの話をいっぱい聞かせてあげる」
愛「マジで!?楽しみ〜」ニヤニヤ
美渡「だぁ〜っ‼余計な事は喋らなくていいから‼ほら帰るよ」
千歌ママ「私ちょっと酔っちゃったかも〜、美渡ちゃんおんぶ〜」ギュッ
美渡「たく……飲み過ぎだよ母さん、―よいしょ」グッ
美渡「そんじゃ愛ちゃん、今日もごちそうさま」
愛「うん‼あ、ねぇLINE交換しよーよ。なんかあった時連絡取れるといいっしょ」
美渡「いいよーほい、QRコード」スッ
愛「サンキュー、これでOK!!」ピロン
愛「これでミトッチと繋がった〜えへへ」
美渡「暇な時いつでもLINE送ってよ、私も送るからさ」
愛「うん、さっそくスタンプを送信♪」 4日目
ブオォ〜
美渡「まったく、なんで私が東京に来てまで家の掃除なんか」
美渡「のんびりして行けって言ったのは母さんだろ、娘にやらせるなよな」
美渡「しゃーない、せっかく世話になってんだからこうなりゃとことんキレイにしてやるか」
美渡「掃除が終わったら買い物に行かないと、今夜は私がご飯作るって約束したし」
美渡「なに作ろうかなぁ、うーん」
美渡「―なんだかんだ今日は1日かかりそう……愛ちゃんのお店には行けないかも」ピロン
美渡「ん?愛ちゃんからLINEだ」
美渡「『今日は来ないのか〜ミトッチ?』はは、噂をすればなんとやらだ」
美渡「『悪いね、今日は忙しくて行けないわ〜(泣)』と」
愛「あはは、ミトッチお母さんに捕まったか〜」
愛「たまには親孝行もしないとね、しゃーなし」
愛「ミトッチが来ないのは残念だけど他にお客さん来てるからね、あたしも頑張らないと」
ガララ
愛「いらっしゃいませー!!ようこそもんじゃみやしたへ‼」 5日目
愛「おーい、ミトッチ〜」タタタッ
美渡「やっほ、愛ちゃん」
美渡「昨日は行けなくてごめんねぇ」
愛「いいっていいって、ママッチにはなに作ってあげたの?」
美渡「私の家でよく食べているみかん鍋、お母さん1人じゃ鍋なんてやらないから喜んでくれたよ」
愛「おぉ〜みかん鍋、あたしも食べてみた〜い」
美渡「今度愛ちゃんにもごちそうしてあげるよ」
愛「うん‼楽しみにしてるね」
愛「今日は1日オフの日だから昨日の分も合わせていっぱい遊ぼ♪」
愛「あたしの行きつけのお店連れて行ってあげる」グイッ
美渡「あはは、そんな引っ張らなくてもついて行くって」
美渡「よーし、私も今日は思いっきり遊んじゃうぞ〜♪」 愛「うーん……」ジロジロ
美渡「な、なに?なんか付いてる?」
愛「ミトッチってさぁ、学生時代もっとはっちゃけたかったって言ってたよね」
美渡「んまぁそうだね、だから今日は遊ぼうかなと」
愛「あたし思うんだけど、ミトッチってかなりルックスがイケてるからギャルファッションも似合うと思うんだね」
美渡「へっ!?私がギャルぅ!?」
愛「そーだよ、今日はあたしとお揃いのギャルファッションで遊んでみようよ!!」
美渡「いや〜、流石にこの歳でギャルファッションは痛いだけのような……」
愛「そんな事ないって‼そんじゃまずは洋服屋へレッツゴー!!」ガシッ
美渡「うわわっ!?ちょっと愛ちゃ〜ん!!」
洋服屋
愛「―おーっ‼あたしの思った通り‼よく似合ってるよミトッチ♪」
美渡「……」ジーッ
美渡「肩が出てる、おへそが出てる、生足も出てる、胸元もバックリのシャツに超ミニスカート……」
美渡「〜〜〜〜!!」カァァ
美渡「やっぱ私着替え」
愛「えぇ〜?ダメだよ着替えちゃ‼今日だけ、今日だけその格好でいてよ〜」
美渡「この格好で東京歩くとかなんの罰ゲームだよ……」
美渡「はぁ……仕方ない、どうか知り合いに出会いませんように」 愛「ミトッチが学生の頃ってどんな格好が流行ったの?」
美渡「ん?そうだなぁ、今とそれほど変わらないけど私らの世代はルーズソックスが流行ったな」
愛「ルーズソックス?」キョトン
美渡「えっと、ここに置いてあるかな……」キョロキョロ
美渡「―お、あったあった。これがルーズソックスって言うんだよ」
愛「長っ‼そんなのどうやって履くのさ」
美渡「こうやって足元に集めてダボタボにして履くんだよ」
愛「へぇ〜、結構イケてるじゃん。これ買ってあたしも履いてみようかな」
美渡「今時の娘にもルーズソックスのよさがわかるんだ……」
愛「へへっ、どうミトッチ?」
美渡「ほう、愛ちゃんにゃルーズソックスはぴったりだ。元々これもギャルファッションだからね」
美渡「もっと昔には長いスカートが流行ったみたいだよ、スケバンとか呼ばれてたっけ。地面スレスレまで伸ばしてさ」
愛「今とは真逆だね〜、時代によってファッションが変わるのは面白いなぁ」
美渡「いつの時代も女の子はオシャレには一生懸命だったんだよねぇ」シミジミ 美渡「うう……この格好、なんだか落ち着かないなぁ」
愛「その内慣れるって、次はどこ行く?」
美渡「そうだな〜、―ん?なにあの行列?」
愛「あぁ、あれはタピオカミルクティーの店だよ。今チータピが大人気なんだよね」
美渡「チータピ?」
愛「めっちゃうまいよ、せっかくだからあたしらも飲んで行こうよ。このファッションにもバッチリ合うし」
美渡「はは、いいね。東京らしいや」
愛「ほい、ミトッチの分」スッ
美渡「ありがと。へぇ、タピオカミルクティーの中にチーズが入ってるんだ。オシャレ〜」チュウ〜
美渡「―ん〜、コクがあっておいし〜♪」
愛「ね、あたしもチータピ大好き。ハマると抜け出せないんだよね〜」チュウチュウ
美渡「こんな格好でこういうの飲んでるとまるで学校帰りに寄り道してるみたい、楽しいなぁ」
愛「学生に戻った気分になった?そりゃよかった」
美渡「うん、青春時代を思い出すよ」チュウ〜 美渡「あ、カラオケがある。最近全然行ってないな〜」
愛「そんじゃ行っちゃう?あたしも久し振りに歌いたくなってきちゃった」
美渡「よーし、カラオケ行っちゃいますか‼」
カラオケ店
美渡「ふわぁ〜、最新機種はこんなハイテクなタッチパネルなんだ。すごっ」
愛「でも使い方はとても簡単だから、先入れていいよ」
美渡「それじゃ……これ」ピピピッ
美渡「ボーダーのTシャツの〜す〜そ〜から覗くお〜へ〜そ〜♪」
美渡「し〜かめ顔のママの背中〜すり抜け〜てやって来た〜♪」
愛「あたしの知らない歌……でもミトッチ歌うま〜」
美渡「―ずっと前から〜彼の〜事〜好き〜だった〜誰〜よりも〜♪」
美渡「やっと私に〜来た〜チャンス〜逃〜せ〜な〜い〜の〜♪」
愛「はいはいはいはい!!」
美渡「―MajiでKoiしちゃいそ〜な〜約束〜の5秒前〜♪」
愛「いいねいいね〜!!ひゅーひゅー♪」
美渡「あはは、どうもどうも」 愛「いや〜ミトッチうまいね〜、曲のタイトルもマジイケてるし」
美渡「私が小さい頃に流行ってたみたいでさ、よくお母さんが歌ってたんだよ」
愛「この調子でどんどん入れてこ〜、次は愛さんの番だ」ピピピッ
美渡「私も負けないぞ〜」
美渡「あ〜歌った歌った、もう喉ガラガラ」
美渡「それにしても、まさか愛ちゃんが演歌歌うなんて意外だったねぇ」
愛「ばあちゃんが演歌好きでね、あたしも小さい頃から一緒に聴いて育って来たから」
美渡「ギャルと演歌ってのもすごいギャップだ」
愛「演歌を歌うギャルってのも中々イケてるっしょ」ニカッ
美渡「ほんと、愛ちゃんはギャップの塊だよ」
美渡「いっぱい歌ったからいいストレス発散になった〜」
愛「ねーねー、最後にこの歌2人で歌おうよ」
美渡「お、その歌なら私も知ってる。いいよ、記念にデュエットしよっか」
愛「それじゃ、送信っと」ピピピッ 美渡「やっぱカラオケは楽しいな〜」
美渡「けど夢中で歌って気付けば夕方……時間が経つのは早いもんだねぇ」
美渡「愛ちゃん、帰らなくて大丈夫?」
愛「まだまだいけるよん‼」
愛「―って、言いたいところだけどぼちぼち帰る時間かな。もっと遊びたかったのに〜」
美渡「私は満足したからいいよ、早く帰らないとおばあちゃんやお姉さんが心配しちゃう」
愛「うん……でもやっぱ待って‼帰る前にあそこ寄ってこ」
美渡「ゲーセン?」
愛「ギャルと言えば友達同士でプリクラ!!ミトッチだってよくやってたでしょ」
美渡「プリクラってまだあったんだ。いいよ、それくらいなら付き合ってあげる」
愛「よっしゃ‼行こ行こ♪」
美渡「ちょ、愛ちゃんくっつき過ぎじゃないの?」ドキッ
愛「女の子同士なんだからいいでしょ、ほらカメラの方見て」
美渡「う、うん。―へへっ」パシャッ
愛「次は愛さんとお揃いのポーズだ〜」
美渡「うえぇっ?そんな前かがみになったら胸が見えちゃうよ〜」カァァ
愛「最後に……ちゅっ♪」
美渡「うわっ!?愛ちゃん大胆過ぎるってば!!」
愛「ミトッチもほら、ここにちゅーして」スッ
美渡「えぇ……も〜、しょうがないなぁ」
美渡「―ちゅっ」 愛「はい、ミトッチのプリクラ」スッ
美渡「こんな格好でこんなポーズ……こりゃ絶対誰にも見せられない私の黒歴史だな」
愛「えぇ〜、黒歴史とか言わないでよ。私とミトッチの思い出なんだからさ」
愛「さっそくこれをスマホに貼って〜」
美渡「いやいやいやダメダメダメ!!そんなのスマホに貼らないでぇ‼」
愛「ちぇ〜、つまんないの」
愛「わざわざ家の前まで送ってもらってありがとう」
美渡「なぁに、年下の女の子を送るのは年長者として当然の事だよ」
愛「もんじゃ、食べてく?」
美渡「お、いいね〜」
美渡「―と、言いたいところだけど今日は帰るよ。愛ちゃんも疲れただろうし」
美渡「それに、こんな格好見られたくないよ」ピラッ
愛「そっか、わかった」
美渡「今日もありがとう、どこもすごく楽しかったよ」
愛「あたしもミトッチと遊べて楽しかった!!帰る前にまた遊びたいね」
美渡「うん、時間が合えばまた少しでも一緒に出かけようか」
美渡「それじゃ、おやすみ」
愛「おやすみ〜、帰り気を付けてね〜」フリフリ 6日目
美渡「こんにちは〜」ガララ
美里「いらっしゃいませ」ニコッ
美渡「あ、確か愛ちゃんのお姉さん。どうも」
美里「どうも、うちの妹がお世話になって」
美渡「いえいえ、私の方こそ色々楽しい場所に案内してもらって」
美渡「今日、愛ちゃんは?」キョロキョロ
美里「ごめんなさいね、妹は今日部活の練習に行っているんですよ」
美渡「あ、そうなんですか。愛ちゃん部活もやってたんだなぁ」
美里「夕方までは帰らないと思います、私でよければもんじゃをお作りしますが」
美渡「そうですね、せっかくここまで来たし今日はお姉さんにごちそうしてもらいます」
美里「あなたがこのお店に来てくれた日から妹はとても楽しそうで」ジュウジュウ
美里「最近は美渡さんの話題で絶えないんですよ」
美里「『もう1人お姉ちゃんが出来たんだ!!めっちゃ楽しい人だよ‼」って」
美渡「そんな、参ったなぁ〜。でへへ」ニヘラ
美里「昨日も街で一緒に遊んでくれたみたいで、プリクラ見せてもらいましたよ」
美渡「は?愛ちゃんお姉さんにプリクラ見せたの!?うわぁぁ〜!!」
美里「そんな恥ずかしがらなくても、よくお似合いでしたよ。私にはとてもあんな格好は出来ませんわ」
美渡「うぐっ……遠回しに嫌み言われてる気分……」グサッ 美里「さぁ出来ましたよ、召し上がれ」
美渡「おぉ、お姉さんのもんじゃもおいしそ〜、ふぅ、ふぅ〜」パクッ
美渡「―ん〜愛ちゃんとはまた一味違ってうまい‼最高です♪」
美里「ありがとうございます」ニコッ
美里「―美渡さんには本当に感謝しています」
美渡「あむあむ……私なんかしたっけかな」
美里「妹から聞いたかも知れませんが私は体が弱くてよく入院もしたりしているんです」
美里「だから妹とも中々遊んであげられなくて……」
美渡「いやでも、愛ちゃん結構遊んでるって聞いたけど」
美里「お友達と遊ぶのと姉妹で遊ぶのはまた別でしょう」
美里「本当なら私も妹と一緒にお出かけして遊んであげたいんですが、もしも具合が悪くなったら妹に迷惑をかけてしまう」
美里「なので、美渡さんが妹と会ってお話したりお出かけしてくれるのはとてもありがたいんです」
美渡「お姉さん……」
美渡「―友達と姉妹は別、か」
美渡「そんな事、考えた事なかったな」
美渡「楽しませてもらってるのは私も一緒ですよ、愛ちゃんやお姉さんが喜んでくれているならよかったです」
美渡「むしろ、お礼を言うのは私の方」
美渡「見ず知らずの私にこんなに温かく接してくれて、東京まで来た甲斐があったってもんですよ」
美渡「あの日、匂いにつられてこのお店に入ってよかった」ニヤッ
美里「うふふ、素敵な巡り合わせに感謝、ですね」
美里「よかったら、ビールでもいかが?」
美渡「お、それじゃいただいちゃいますかねぇ〜」 愛「ただいま〜」ガララ
美里「おかえりなさい、愛ちゃん」
美渡「ちーっす、おかえり〜」
愛「あ、ミトッチ来てたんだ。それならLINEで教えてくれればもっと早く帰って来たのに」
美渡「あはは、ごめんよ。お姉さんとの話が盛り上がっちゃってさ」
美里「私がお相手していたから大丈夫よ」
愛「ごめんねお姉ちゃん、ありがと。あとはあたしが出るから少し休んで」
美里「はいはい、あとはよろしくお願いね」
愛「ミトッチ酒臭〜、もうすっかり出来上がってんじゃん」
美渡「いや〜お姉さん飲ませるのがうまくてさ、ついつい飲んじゃったよ」
愛「まったく……しょうがないなぁ」クスッ
愛「―ミトッチ、帰るの明日だっけ。何時に行くの?」
美渡「ん……明日はお母さんとお昼ご飯食べてから帰るから、午後になってからかな」
愛「そう……」
愛「ね、もう一杯飲んで行かない?もう少しお話したいよ」
美渡「へへ、いいよ。私も愛ちゃんの顔見ながら飲みたいや」 愛「はい、どうぞ」トクトクトク
美渡「お、注ぐのうまくなったんじゃないの?」
愛「お酌の仕方も練習してるんだよ」
美渡「愛ちゃんも付き合えよ〜、高2ならもう酒飲めるだろぉ」
愛「いやいや、あたしはお酒飲まないから。お酒は二十歳になってから、でしょ」
美渡「なんだよ〜私が愛ちゃんくらいの歳にはもう飲んでたぞ〜」
愛「ミトッチはギャルじゃなくて不良だったか〜」
美渡「だぁれが不良だ、コラッ」
愛「はいはい、あたしはこのジュースで付き合いますよ」
美渡「はぁ、しょうがないねぇ。それで勘弁してあげるよ」
美渡「それじゃ……かんぱ〜い」カチン
愛「かんぱ〜い」カチン 美渡「んぐ……んぐ……」
美渡「―かあぁぁ〜!!やっぱビールはうまい‼」
愛「―ぷはぁっ、このジュースもおいし〜」
美渡「お、いい飲みっぷりだね〜」
美渡「あ〜あ、いつか愛ちゃんと一緒に酒飲みたいなぁ」
愛「ははは、あたしが二十歳になるまで待っててよね」
愛「それまでにちゃんとお酒飲めるようになっておくから」
愛「―こうやってミトッチとお話出来るのも今日で最後かぁ」
愛「ミトッチと知り合って1週間……あっという間に明日帰る日になるんだね」
美渡「なんだ急に、しんみりか〜?明日帰るからそれがどうしたのよ」
愛「ごめん、なんか……明日でお別れだと思ったら、さ……」ウルウル
愛「あたし……あたし……!!」ポロポロ
美渡「愛ちゃん……」
愛「帰らないで……」ギュウッ
愛「せっかく仲良くなったのに……せっかく新しいお姉ちゃんが出来たのに……」
愛「あたし、寂しいよぉ……」
美渡「……大丈夫、帰るったって同じ日本だ。会う気になればいつでも会える」ナデナデ
美渡「今生の別れじゃない、また必ず会いに来るよ」
愛「本当……?」
美渡「もちろん、愛だけにね♪」
愛「くすっ……あたしのダジャレ取らないでよ、もう」 7日目
美渡「あぁ〜昨日は飲み過ぎたな……頭痛い……」
千歌ママ「ふらふらになってよくここまで帰って来られたわよねぇ〜」
千歌ママ「ほら、シャキッとしなさい。二日酔いの顔で新幹線に乗るつもり?」
美渡「うん、もう1回顔洗って来る……」
美渡「ふぅ……顔洗って化粧したら大分マシになったかな」
千歌ママ「美渡ちゃん、そろそろ行くわよ。忘れ物しないようにね」
美渡「わかってるよ、今行く」
美渡「……あ〜」
美渡「―ごめん母さん、帰る前にちょっと寄り道したい」
千歌ママ「愛ちゃんの所、でしょ?知ってたわ」
千歌ママ「いいわよ、まだ時間はあるから行ってらっしゃい。駅で待ち合わせしましょ」
美渡「悪いね、ちょっくら行ってきます」 愛「……」
愛(ミトッチ昨日はへろへろになって帰ったけど大丈夫だったかな)チラッ
愛(もうすぐお昼、今頃ママッチとご飯食べている頃か……)
愛「―はぁ……」
ガララ
愛「いらっしゃいま」
愛「―ミトッチ……」
美渡「や、愛ちゃん。帰る前にどうしても会いたくなってね」
美渡「これ、ここに来る途中で買ったの。よかったら」スッ
愛「なんだろ?開けていい?」ガサッ
愛「……これは」
美渡「みかんのヘアピン、私とお揃いだよ。ほら」チョンチョン
愛「か、かわいい……!!」パァァ
愛「ミトッチとお揃いなんて嬉しい!!ありがとミトッチ!!だ〜い好き♪」ガバッ
美渡「へへ、私もだよ。愛ちゃん」
美渡「愛ちゃんはもうひとりの私の妹だ、離れていてもそれは変わらないよ」
愛「うん……うん……ミトッチはあたしのもうひとりのお姉ちゃんだよ‼」
美渡「今度は私の家にも遊びに来てよ、海が見える旅館でさ。精一杯おもてなしさせてもらうよ」
愛「なにそれテンションあがる〜!!絶対行くよ」
美渡「じゃあ、私帰るね。―お姉さんも体に気を付けて」
美里「えぇ、ぜひまた来てくださいね」ニコッ
愛「じゃ〜ね〜ミトッチ〜!!ありがと〜!!」 高海家
美渡「ただいま〜、あぁ疲れた」ドサッ
千歌「おかえり美渡姉、おみやげは?」
美渡「あのなぁ……出迎えて早々言うセリフがそれかよ」
美渡「ちったぁ疲れをいたわれよなぁまったく」ゴソゴソ
美渡「ほれ、浅草で私が焼いた味噌ねぎ煎餅とぬか漬け」スッ
千歌「うぇっ、くせーのだ。もっとオシャレなお菓子とかないの〜?」
美渡「なんだと〜?おみやげもらえるだけありがたいと思えよな〜」グリグリ
千歌「あぅ〜い〜た〜い!!」
志満「あら美渡、おかえりなさい」
美渡「あ、志満姉。ただいま」
志満「千歌ちゃん、よかったわね美渡が帰って来て」
美渡「あ?なにが?」
志満「あなたが東京に行ってる間千歌ちゃん寂しがっていたのよ」
千歌「ちょ、志満姉‼」カァァ
美渡「へぇ〜」ニヤニヤ
美渡「そーかそーか、そりゃすまなかったね千歌ちゃぁ〜ん」スリスリムギュー
千歌「やだぁも〜くすぐったいってば、やめてよ美渡姉〜」キャッキャッ
美渡「いや〜やっぱり姉妹はいいもんだねぇ〜」
美渡「私も千歌や志満姉の事大好きだぞ〜♪」
志満「あらあら、嬉しい事言ってくれるわねぇ。私も抱き締めちゃおうかしら」ギュウ〜
美渡「うげぇっ、重い……」シロクロ
志満「まぁ、失礼しちゃうわね」 終わりです。長くなりましたが最後までお付き合い、読んでいただきありがとうございました。 乙!雰囲気良かった
欲を言えば愛さんが十千万旅館来るところまで書いて欲しい… 待て待て待て待て!!
こっから東京で髪飾りしてる愛さんと千歌が出会うとこがプロローグだろぉ!!!(藤原竜也) そこまでプロローグってどんだけ書かせるつもりだよwww 千歌を絡ませない事によってスクールアイドルではなく一人の女の子としての愛さんが見られたのが良かった なんか物足りない感が残るな
初めの段階で美渡が千歌のお姉様って分かる事を想像しちゃったからね 面白かったです
メインだけじゃない組み合わせに発見というか可能性を感じました
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