雪穂「高坂家」
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私の家は
穂乃果「わ〜見てよ。あれ、パンダだよ!パンダ!」
よく喋るお姉ちゃんと
母「穂乃果。ご飯食べてる時はテレビばっかり見ないの。パンダなんて上野に行けばいつでも見れるでしょ」
よく喋るお母さんと
父「……」
無口なお父さん。 穂乃果「いいな〜パンダ。パンダって何食べるんだろ?」
母「笹でしょ?」
穂乃果「だけなのかな?」
母「さあ?」
食事中お姉ちゃんとお母さんがずっと喋ってるから無口なお父さんは殆ど喋らない。
父「……」
黙ってずっと二人の話を聞いてるかテレビを見てる。お父さんは楽しいのかな?
雪穂「お父さん、パンダ好きなの?」
ってたまにたまに話を振ってみるけど
穂乃果「えー?そうなの?お父さんパンダ好きだったの?」
母「知らなかったわ。何も言わないから」
すぐにお姉ちゃんとお母さんが喋り出す。 だから、結局お父さんは殆ど喋らない。
穂乃果「でもさ〜なんでパンダって白黒なんだろうね?」
母「パンダに聞いてみたらいいんじゃないの?」
今でこそお姉ちゃんと私が居るけど…私達が生まれる前は二人は会話はあったのかな?
母「そう言えばお隣車買い替えたんですって」
お父さんが喋らない分お母さんは一人で喋ってたのかな? 穂乃果「あ〜お腹いっぱい。雪穂〜お茶〜」
雪穂「自分でいれなよ」
穂乃果「え〜」
母「穂乃果。冷蔵庫にケーキ入ってるから出してちょうだい」
穂乃果「え!!?ケーキ!!?なんでケーキあるの?」
母「ちょっと出かけたからついでに買ってきたのよ」
穂乃果「わーい!わーい!ケーキ!ケーキ!」
雪穂「まるで子供だね」 穂乃果「わっ!これ駅前のやつでしょ?六個だから…二つ食べていいの?私ショートケーキとチョコレートケーキ!」
母「だと思ったわ」
ケーキを六個も買って来ても当然の様にお父さんの分はない。
穂乃果「うわっ。美味しっ、何これ?」
母「本当美味しいわね」
穂乃果「ねえ。雪穂の一口ちょうだい」
雪穂「なんで」
私達がケーキを食べるのを黙って見てる。 雪穂「一口食べる?」
穂乃果「え?いいの?」
雪穂「お姉ちゃんじゃないよ。お父さんだよ」
けど、お父さんは一口も食べない。
穂乃果「多分照れてるんだよ。娘から一口貰うの」
多分お姉ちゃんの言う通り。だって、お父さんは不器用でぶっきらぼうだから。 穂乃果「あ〜美味しかったぁ。どうしようかな。もう一個食べちゃおうかな。それとも明日に残しておこうかな」
母「明日にしなさいよ。ほらあなたもちゃちゃっとお風呂に入っちゃって」
穂乃果「あっ!お父さん早く出てよ!見たいドラマがあるから早く入っちゃいたいだよね」
母「じゃあ、穂乃果先に入れば?」
穂乃果「そうしようかな」
お風呂に入るタイミングお母さんとお姉ちゃん次第。
一家の大黒柱なのに女の家系だからお母さんとお姉ちゃんの方が少し強い。 そう言えば小さい頃はよくお父さんと一緒にお風呂に入ってたなぁ。
熱いお風呂が大好きで一緒に入ってた私がのぼせちゃってお母さんに怒られてた。
父「……」
お父さん。今、何を考えているんだろう。
雪穂「あっ!!!」
母「何?どうしたの?」
雪穂「明日、調理実習があるんだった。何も準備してない」 穂乃果「へ〜調理実習かぁ」
母「何?出たの?じゃあお父さん入っちゃって」
父「……」スッ
雪穂「ちょっと出かけてくる」
母「今から?」
雪穂「材料を一部持参なの。すっかり忘れてたぁ」
穂乃果「もうおっちょこちょいだなぁ。どこまで行くの?」
雪穂「自転車でコンビニまで行ってくる」
母「じゃあ、帰りに牛乳も買って来て」 雪穂「じゃあ行ってきます」
カチャ
歩いて行くとちょっと遠く感じるけど自転車で行けばすぐ近くに感じるコンビニ。
この自転車ももう三年くらい乗ってるなぁ。昔はしょっちゅう転んではお父さんが直してくれたけど。今は転ぶ事もあまりない。
ピロピロピロ〜ン ありがとうございました。
雪穂「……星が綺麗だなぁ」 絵里「あら?雪穂ちゃん?」
雪穂「え?絵里さん…こんばんは」
絵里「こんばんは。こんな時間にお出掛け?」
雪穂「ちょっとコンビニに。絵里さんは?」
絵里「私もコンビニにね。明日、調理実習があるんでしょ?亜里沙ったら急に言うから」
雪穂「あはは。私も同じ感じです」
絵里「そうなのね」
雪穂「はい」
絵里「もう大分暗いから気をつけてね。それじゃあか
雪穂「はい。お休みなさい」 やっぱり絵里さんって大人っぽいなぁ。お姉ちゃんと一つしか歳が違わないなんて思えない。
うちのお姉ちゃんなんてさっきケーキのフィルムを舐めてたしアイスの蓋もいつも舐める。
お父さんに一口あげるどころか私から一口貰おうとする始末。
雪穂「絵里さんは絶対にそんな事しないんだろうなぁ」
お姉ちゃん、絵里さんの後の生徒会長ちゃんと出来てるのかなぁ。 雪穂「ただいま」
穂乃果「おかえり〜」
母「ダメに決まってるじゃない。全くもう」
父「……」
雪穂「何かあったの?」
穂乃果「お父さんが新しい釣竿を買いたいんだって」
雪穂「あ〜…そうなんだ」
穂乃果「釣竿って高いからね」
雪穂「そうなの?」
穂乃果「多分ね。お風呂入っちゃえば?あと、雪穂だけだよ」
雪穂「うん…」 カポ〜ン
お父さん。釣竿買って貰えるのかなぁ。
雪穂「ぬるい…」
あの日以来、気を遣って私の為にお風呂の温度は低めにしてるみたいだけど。
私もお姉ちゃんもお風呂は熱い方が好きだよ。だってお父さんの娘だから。
雪穂「追い焚きしちゃおう」 〜翌日〜
先生「はい。これでラッピングしたらクッキーの完成です」
ワイワイ ガヤガヤ
亜里沙「雪穂、雪穂!上手く出来た?」
雪穂「うん。まあね」
亜里沙「流石お菓子屋さんの娘!」
雪穂「お菓子屋さんの娘って…間違いじゃないけど。亜里沙は上手く出来たの?」
亜里沙「うん。出来たよ。チョコレートのクッキー」
雪穂「そっか」
亜里沙「ねえ。皆んな気になる男子にあげたりするんだって」
雪穂「へ〜…亜里沙は誰かにあげたりするの?」
亜里沙「うん。お姉ちゃんに!」
雪穂「そっか。喜ぶだろうね」
亜里沙「雪穂は誰かにあげるの?」
雪穂「まあね」
亜里沙「もしかして…男の人?」
雪穂「そうだよ」
亜里沙「ハラショー。私の知ってる人?どんな人?」
雪穂「無口で不器用でぶっきらぼうで凄く優しい人」 とても楽しかったです。
雪穂はどちらかと言うと、
お父さん似なのでしょうね。 お父さんの優しい所は雪穂にも受け継がれてるんだろうなぁ
ほっこりする ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています