かすみ「君が見えなくて 何度も呼びかけるよ」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
〜数時間前 部室〜
かすみ「え、か、かすみんが1番ですか!?
本当に…?」
あなた「うん。みんなすごかった…誰が1番でもおかしくなかったけど、かすみちゃんおめでとう」
私たちの同好会の宣伝を兼ねたPV付き新曲……
歌えるのは先輩の負担も考えて一人だろうと意見が一致し、その一人を決めるための選挙が行われたんです。 その選挙で私、中須かすみは1位を取れたのです!!
以前にあった部活動紹介センター選挙では4位だった。
悔しかった…可愛いだけは、可愛いだけは負けないと思って、歯を食いしばって頑張って……
あの思いを胸に、かすみんはずっと頑張ってきました。それが今日、報われたのです!!
かすみ「や、やった〜〜!!!やっぱみんな見る目ありますねっ♪」 果林「おめでとう、かすみちゃん」
せつ菜「かすみさん…凄いです。私も負けてはいないと思ってましたが、まだまだでした」
歩夢「うん、かすみちゃん頑張ってたもんね。私も、まだまだ足りなかったな…」
愛「かすかす…いや、かすみん。次は愛さんも負けないよ。絶対に」 みんな、おめでとうとは言ってくれるけど、雰囲気がピリピリしてる…
そうだよね、1位になりたかったのはかすみんだけじゃ、ないんですよね…
今回の新曲は歌えるのは1人。
1位じゃないということは、個人としてのアピールの機会が1回少なくなるということ… しずく「先輩、私、しばらく演劇部に戻ります。表現力をさらに磨きたいんです」
璃奈「璃奈ちゃんボード…今は少し邪魔。つけてると練習効率が落ちる。なりふり構ってられない。しばらくはずそう」
エマ「やっぱり言葉に乗せる想いがまだまだ足りないのかな…言葉だけでは足りない…もっと1節1節への理解を高めないと…」
彼方「不思議と眠くならないんだよね。みんな〜練習しようよ」
かすみ「み、、みんな…」 その後の練習、みんなの集中力は鬼気迫るものがありました。
私はただ、その雰囲気に呑まれるしかできなかったんです…
あなた「かすみちゃん大丈夫?疲れてる?
選挙が終わってほっとした?」
かすみ「先輩…いえ、いや、そうかもしれません…ダメですね、かすみんはいつも笑顔でいなきゃですもんね!!」
あなた「うん。笑顔のかすみちゃんが一番可愛いよ。じゃあ帰ろうか」 Lies and Truthってもう四半世紀前の曲なんだな… 帰り道。先輩と歩夢先輩と別れてからはかすみんは一人です。
練習が終わって帰るときにはもう真っ暗。
いつものように一人ぼっち歩く夜。変わらない、いつもと同じ帰り道なはずなのに、今日はため息が止まらない。
ずっと欲しかった1位なのに…
なんでモヤモヤするんだろう……
挫けそうな時、もうひと頑張りしなきゃいけないときに思い出す言葉 ーーーーーーーーーーーーーー
ken『当たり前やん。
かすみちゃんめっちゃ努力してるの、歩いてるところ見るだけで分かるで。
立ち振る舞いから些細な仕草、全部自分の可愛いを高めるために考えて実践してるんやろ。
それも一朝一夕やない。努力はもう無意識下のレベルや。
現に今こうして俺と話してる間も、隙がないもん。
後はそれをみんなに届けるだけやん?
取れるで、世界』
ーーーーーーーーーーーーーー
かすみ「kenさん…かすみん…世界じゃないけど、1位取れたんです。
私だけがPV付きの新曲を歌えるんです。先輩がかすみんのために曲を作ってくれるんです。
嬉しいはずなのに……」
嬉しいのにすっきりしない…なんだろう、この気持ち… かすみ「こんな時はラルクさん達のkenさん作曲プレイリストでも聴いて帰ろう!!
あ〜んkenさんの作る曲好き好き♡」
かすみ「あ、NEO UNIVERSEだ…この曲どちらかとうとtetsuyaさんぽいんだよね…で、finaleはむしろkenさんぽいな〜ってかすみんは思います」 『きれいな花のように笑って
星のように輝いて
この世界をはばたく
怖がらずに neo universe』
この部分の歌詞が、かすみんは大好き。
まさに世界に可愛いを届けるかすみんにぴったりだと思いませんか!?
あ〜あ、作詞もkenさんだったら良かったのに。
なんて、流石にhydeさんに失礼ですね。 ???「生まれ変わる季節よ
切なすぎた季節よ
空のように一つに
結ばれよう neo universe」
かすみ「え!?え!?なんなのなんなの!?」
???「ハイディ急にどうしたん?資生堂から電波でも送られたん?」
???「いや、どっかからイヤホンの音漏れが聴こえて」 こ、この声は…!?
聞き覚えのある関西なまり。
合同ライブの後、急に姿を消して謎の記念品を押し付けてきた怪しいおじさん4人組……
かすみ「L’Arc~en~Cielの皆さん!なんでお台場に!?」
ken「お、かすみちゃん。奇遇やね。部活帰り?」
hyde「また1段とオーラ増したんじゃない?ギルガメッシュよりオーラ出てるよ」
tetsuya「若い子は恐ろしいね。短時間でここまで伸びるもんなんや」
yukihiro「俺が等身大ガンダム見たいって言って
付き合ってもらってるんだ」 かすみ「ユッキーさん以外既婚者なのに、家庭ほっぽってこんな時間におじ様4人揃って何してるんですか!!
もう!!」
ken「まあまあええやん。…かすみん、いつもと違うね。
なんか悩みでもあるんか?」
かすみ「えっ……」
すごい観察力だ…ハプニングでツッコミに回れたおかげでいつものかすみんに戻れたと思ったけど、見抜かれてるんだ…… hyde「信頼できる友達や家族もいいけどさ、僕たちみたいにちょっと距離の離れた大人に対しての方が話しやすいことあるでしょ」
tetsuya「いやいや、俺ら中須さんはじめとした虹ヶ咲学園メンバーと友達でしょ」
かすみ「tetsuyaさんはまだ認めてませんからね!!」
yukihiro「ははは」
ken「ま、まあまあかすみちゃん。てっちゃんはL’Arc~en~Cielのリーダーとして裏ではいろいろ頑張ってくれてるんよ。
神経質すぎる真面目さが仇になってしまった悲しい勘違いだったんよ…許してやってや」
かすみ「まあ…kenさんがそういうなら…」 確かに、今モヤモヤした気持ちは同好会のみんなには話しづらいです…
家族には楽しそうなかすみんを見ていて欲しいし…
それに、きっとこの再会も運命なんだと思いましょう!
かすみ「話、聴いてくれますか?」
ken「もちろん、どっかカラオケでも行こか」
〜お台場某カラオケ〜
店員「ひっ…!!」
ken「大人4人と高校生1人ね。フリータイムでドリンクバー付きで頼むわ。あ〜かすみちゃんおるし禁煙…席…で…」
店員「110…110……」
かすみ「ま、待ってください!確かに怪しいけど私の友達なので不審者ではないんです〜!!」
店員「は、よく見たらL’Arc~en~Ciel…!!」
hyde「ブームは去っても流石にカラオケ店員はわかってくれるんやね」 〜666号室〜
ken「なるほどね。PV付き新曲を歌うための選挙で1位をとったと。だがみんな、おめでとうと言ってくれるがピリピリしてる…なるほどな。
まずはかすみちゃん、1位おめでとうな。なんであれ1位ってのは凄いて」
かすみ「ありがとうございます…」
tetsuya「1位のプレッシャーやね。わかるわ。
俺たちも、初めてオリコンで1位をとった時…アルバムだとTrue、シングルだとwinter fallか…嬉しかったけど、その分重圧も大きかった」
かすみ「1位の…プレッシャー?」 hyde「僕たちのように商業的に音楽をやってると特にね。
プレッシャーには色々あるよ。
まずは1位を取らなければいけなくなるプレッシャーだね」
ken「あーあるね。1位を取ると1位を取れる奴らって思われるんよ。
すると1位を狙ったような音作りになる。ならざるを得なくなる。
やりたい音楽じゃなくて、売るための音楽に軸がぶれるんよ。
僕たちもそうだし、やりたい音楽をやるってソロ活動に移る理由としてはかなり多いと思う。
まあ、かすみちゃんの場合はこっちじゃないな」
かすみ「じゃあ、何なんですか?」 tetsuya「シンプルさ。自分が1番でいいのか?その自問自答に潰されるプレッシャーだよ」
背筋が冷えました…
考えたくなくて押しつぶした気持ち…
かすみんは1番可愛い。
超絶誰より可愛い。
…本当に? ken「自分で言うのもなんやけど、僕たちの全盛期、1990年代から2000年代半ばまでは、モンスターバンドがいっぱいいたんよ。
GLAY、Mr.Children、THE YELLOW MONKEY、THE MICHELLE GUN ELEPHANT、スピッツ、JUDY AND MARY、LUNA SEA…あげだしたらきりがないし、今でも前線で戦ってるバンドもある。
かすみちゃんも知ってる名前あるやろ?
その中で1位を競ってきた」
tetsuya「売れなきゃおかしいとも思う曲を作ってきた自負はある。
でも、他のバンドや歌手より優れていると胸を張って言えるか…それはまた別や。
自分たちを高めれば高めるほど、自分たちの弱さと、他のグループの強さが目につくんだ」 hyde「かすみちゃんもそうなんじゃない?
虹ヶ咲の9人の中で、本当に自分が1位にふさわしいのか…そう悩んでいるんだろう。
誰かが手を抜いたわけでもなく、勝ちたくないという人間もいない中で自分が1位をとったことに、引目を感じているんじゃないか?」
かすみ「私は…果林先輩のようにカッコよくはなれない…せつ菜先輩や歩夢先輩のように、誰よりもアイドルらしいアイドルにはなれない…
みんな…8人とも、私にはないものをたくさん持っているんです…
1位は欲しかったです…でも…」 ken「可愛いやろ」
かすみ「え…?」
ken「可愛いやんかすみちゃん。
1番可愛いに誠実で、1番可愛いに貪欲で、そして誰よりも可愛いくあろうとする。
それがかすみちゃんの強さや」
tetsuya「そもそも虹ヶ咲の娘達の面白いところは、9人が9人、個性の1点突破なところよね。
それで1位決めようとしても、それは陸上で全部違う競技一斉にスタートして1番は誰ですか?って言うようなもんやん。
投擲と跳躍はもちろん、100m走と5000m走も比べられん。
GLAYと俺らも比べられん」
yukihiro「逆に言えば誰が1番になってもおかしくない」 ken「かすみちゃんが1番になって、文句言う娘おらんかったやろ?」
かすみ「はい…」
ken「かすみちゃんも、誰が1番でも文句なかったやろ?」
かすみ「当たり前です!!!みんな、この1位のために頑張ってきたんです!!
誰が一番でもおかしくなかったんです!!」
hyde「ふふふ」
tetsuya「中須さん、かわいいな」
yukihiro「グラノーラ、食べる?」 ken「答え、出てるやろ。
誰もかすみちゃんに勝てない。
かすみちゃんも誰にも勝てない。だってそうやん?
みんな世界中でたった一人の自分なんやから。
そもそも無敵やん?
順位なんて、まあPV付きソロってのは大きいかもしれんけど、勝負は水物。
もう一回時間巻き戻して投票したら、案外最下位もあるかもしれんよ。
虹ヶ咲はそれくらいパワーがある。
その中の1番なんだから、胸をはるんよ」
かすみ「皆さん…ありがとうございます!!」
ken「すべきこと、わかったね」
かすみ「はい!!!」
ken「うん。じゃあ僕等とは、これでお別れや」
かすみ「えっ…」 hyde「合同ライブの後すぐにいなくなったのも、やっぱり僕達が干渉しすぎるのもよくないなって思ったからなんだ」
かすみ「そんな…私、皆さんのこと大好きです!そんな寂しいこと言わないでください!」
ken「君達はアマチュア。僕等はプロや。仕方ないことなんよ。
本当は虹ヶ咲学園のスーパーアドバイザーになりたいんやけどね。
スクールアイドルの尊さは、やっぱり限られた時間の中で、自分たちで輝こうとすることやろ?」
tetsuya「そこに俺たちは、入ってはいけないんだ」
hyde「でもこの先、中須さんが…虹ヶ咲学園のメンバーが、音楽やアイドルを続けていつかプロのステージに立つってなったときは、握手を交わそう かすみ「わかりました…ちょっと、ちょっとだけ辛いですけど、
かすみん子供じゃないので!泣いたりなんか…泣いたりなんか…」
ken「泣いてええよ。いつもみんなが求める自分でいるって言うのは、凄いことだけど辛いことや。
俺たち大人の前では、無理すること、ないんやで」
かすみ「皆さん…皆さん……本当に、ありがとうございました!
かすみんのこと…私達のこと…忘れないでくださいね?」
ken「当たり前やろ…だって友達やん。虹友やで。ラル学やん。
かすみちゃん、俺たちいつでも君の事を想ってるで」
かすみ「私も…かすみんもです!!」
ken「離れても、空と音楽が僕ら虹を繋いでくれる。覚えといてな」 『君が見えなくて 見えなくて
何度も呼びかける』
君は、私だ。
鏡の中の私。
なんて顔してたんだろう。
自分がわからなくなって…沈んだ顔して。
出口のない迷路みたいに感じていた…でも違った。上を見れば世界は広がっている。
顔を上げて、とびっきりキュートな笑顔が1番私…かすみんらしいじゃないですか!!
笑顔になると自信が湧いてくる。
自信が湧いてくると笑顔になる。 かすみんが笑顔ならみんなも笑顔!!
私のことを応援してくれる人が大好き。
好きって言ってくれる人が大好き。
一緒に頑張れる、みんなが好き。
でも、世界中でたった1人の私を、私が1番好きにならなきゃ!
私が私を信じてあげなきゃ!
この想いを、届けたい。
みんなに!
かすみん「先輩!今お話ししてもいいですか!?
はい、かすみんの新曲のことで!!
こんな曲が良いなーってアイディアがあるんです!」 〜数ヶ月後〜
tetsuya「みんな、聴いたか。中須さんの曲」
hyde「当然。フラゲしたよ」
yukihiro「また一皮剥けたね」
ken「ええやん。本当に曲作ってるあの子には頭下がるね。
勝手にかすみちゃんのこと理解した気になってたけど、まだまだやったわ」
hyde「次に会うときはプロのステージで…かな」
ken「そう遠くない思うで。かすみちゃんに限らんけどな。提供する曲、用意しとこ」 〜虹ヶ咲学園〜
Dear my friends
kenさん…L'Arc~en~Cielの皆さん、聴いてくれましたか?
かすみんの曲、とっても素敵な曲になりました。
PV撮影やダンスも、みんなが手伝ってくれたんです。
素敵でしょ?可愛いでしょ?
もう大丈夫です。私はブレない!私は可愛い!
だって私は… かすみ「無敵級*ビリーバー、ですから!」
虹ヶ咲学園×L'Arc~en~Ciel
かすみ「君が見えなくて 何度も呼びかけるよ」
完 無敵級ビリーバーのベースラインになんとなくてっちゃんみを感じるような気がしてきた ちゃんと言い忘れていた。
かすみ、本当に1位おめでとう。
これからも素敵な笑顔を見せてください。かすみの瞳に住んでいたいです。 せつ菜×L'Arc~en~Cielは中の人的にも書きたいんですけど、いまいちエピソードが浮かばないんですよね……
何かアイディアあれば教えてください CHASEとCHASE!やevergreenとEvergreenみたいな絡みとか finaleがken作曲っぽいとかネタのひとつひとつに頷きながら読んでしまった
愛を感じるSSで良かったです ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています