にこ「空色の瞳」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
その人物がμ'sに加入したのは、私が入ってから1ヶ月と少しが経った頃だった。
私と同じで最初は穂乃果達の活動に反対していて、自分を大切にするあまり素直になれない所とか実は似たもの同士だったのかな、なんて思う。
私が彼女に最初に出会ったのがどこかだったなんて覚えてはいないけど、少なくとも三年生になって覚えている範囲ではずっとコイツとは仲良くなれないなっていう印象しかなくて。
……それは仲間になった今でも同じだった。 絵里「ぁ……にこ、今帰りなの?」
にこ「あぁ、絵里。今日は練習もオフだから、たまには早く帰ろうと思ってね」
絵里、にこ。なんて呼び合ってはいるけれど、それはお互いの仲の良さを認め合って次第に変化していった訳では無くて。
ただアイドルとして名字で呼び合うなんていうのはどうなんだろうという事で仕方なく私が呼び始めたのを覚えている。
……私がそう呼んだ時、彼女がやけに嬉しそうに目を輝かせた事も。 絵里「そっか……気を付けて帰ってね、最近は物騒だと聞くから……」
にこ「通い慣れた道なんだから、今更何か起こったりはしないわよ」
絵里「でも、何が起こるか分からないでしょう?……ほら、にこって可愛いから……」
にこ「……。」 私は彼女のこういう所が苦手だった。
私からしてみれば彼女には私には足りないものが沢山あって、少し羨んだりもした。
それなのに彼女は私の事を高く評価していて、それをあっけらかんと言うものだからいつも調子が狂うの。
少し前までの、私が知る限りの彼女だったらそんな事絶対に言わないはずなのに。 にこ「……とにかく、大丈夫だから。あんたも遅くならない内に帰りなさいよね」
絵里「……!ええ、気を付けるわね!心配してくれてありがとう」
にこ「……じゃあね」
絵里「ぁっ……」 先に心配してくれたのは彼女だと言うのに、
それに対して私はお礼なんて言ってないのに。
私のそんな一言に、やっぱり嬉しそうに笑う彼女の姿。
どうにも居心地が悪くなってその場を後にする。
立ち去る寸前の寂しそうな顔がより一層私の心に影を落とした。
彼女……絵里が、私がこれまでアイドル研究部に所属して、挫折を経験した事なんて関係なく仲良くなろうとしてくれているのは分かる。
だけど私にとってはあの頃の全てを見て見ぬふりしているように感じて何となく嫌だった。 …………
……
穂乃果「今日も暑いねぇ……」
凛「うん……今にも溶けちゃいそうだよ……」
にこ「なに馬鹿なこと言ってんのよ。ほら、皆もう屋上行ったんだから、さっさと準備して上行くわよ?」
穂乃果「はぁ〜い……」
凛「にこちゃん厳しいにゃ……」 先輩禁止。
これはμ'sの……特に先輩後輩の仲を深めるのに特に効果を発揮した。
メンバーが9人になって初めて合宿をして、その時に始まったもの。
提案したのは絵里で、希も相談を受けてたみたい。
だけど、私は何も知らなかった。 にこ「厳しいも何も……。夏休みだからっていって休んでる訳にはいかないのよ?」
凛「たまには皆で遊びに行ったりしたいにゃ〜……」
穂乃果「そうだよねぇ。折角絵里ちゃん達が入ってくれたんだから、なにか歓迎会みたいなものやりたいよね〜」
にこ「……もう先に行くからね」
穂乃果と凛の話が盛り上がる中、私は部室を後にする。
絵里は後輩から随分慕われているのね。
……私が入った時にはそんなもの無かったのに。 私から見ても彼女はダンスが上手いし、綺麗で大人っぽい。
それに、ふと覗かせる天然さ?のような可愛さがギャップを生んでまた彼女の魅力を引き上げているように思える。
だからこそそんな何でも持っている彼女が苦手だった。 …………
……
にこ「μ's内ユニット?」
穂乃果「うん!ほら、私達って他のスクールアイドルと比べて人数が多いでしょ?だから、三人ずつ三つに別れて活動出来たらより皆にアピール出来るのかなって!」
穂乃果から告げられた提案は確かに的を射ていて。
そう簡単な話では無いけど、人数の多さという利点を活かす事が出来たら今よりも効率が良くイベントなり何なりを開催することが出来る。 問題は誰と組むかだった。
「じゃ、ちょっと考えておいて!ここは三年生の意見を重視して考えるから!」
と、半ば雑に私たちに放り投げられた提案に悩む。
…単純によく一緒にいる所ってなると花陽や凛、後は希?辺りが候補に挙げられるんだけど……
希はともかく凛と花陽…特に凛は何となく私とキャラが被るからユニットを組むとしたら少し違うような気がして。
ってなると真姫、海未……でもそうなると作詞作曲両方を取る事になるからまた偏るのよね。
結局その日のうちに答えは出なかった。 絵里「さ、今日の練習は終わり!身体が冷えない内に着替えて帰りましょう?」
絵里の号令を合図に着替えを済ませて家路につく。
花陽と凛は少し寄り道して帰ろうか?などと話していて、幼なじみの三人組もそれに便乗するような形で穂乃果が寄り道を提案して、ことりがそれに乗っかると海未も渋々了承する。
私は今日の練習で上手くいかなかった所があるから家で自主練でもしようかな、なんて思って断る理由を考えていた。
一度挫折したとはいえ、アイドルを始めたのはこの子達よりも前で。
ましてやアイドル研究部の部長として後輩に情けない姿は見せられないから、だから私は皆よりも上手でいなければいけない。 とはいえどう言って誘いを断ろうかな、なんて考えていると。
絵里「ごめんなさい、ちょっと部室に忘れ物しちゃったから……皆は先に帰っていて?」
と、絵里が突然言い出して。
確か私が最後に鍵を閉めた時にはそんなもの残されていなかったはずだった。
そんな中告げられたその言葉に私はどこか違和感を覚える。
言うや否や校舎の方に戻っていく絵里。何気無いその姿にもどこか目を離せない何かがあった。 にこ「あ、ごめん。私も教室に忘れ物したみたい」
穂乃果「え〜、にこちゃんも?それなら私達も残ってよっか?」
海未「そうですね……やはり、皆一緒に帰った方が安全ですからね」
やっぱり仲間想いが強くて、皆が口々に待ってようなんて言葉を落とす。
あ〜、なんて言い訳して帰らそうか、なんて考えていると今まで思案顔を浮かべていた希が口を開いた。
希「まあまあ、とりあえずウチらは先に帰ろう?早くしないと寄り道する時間も無くなっちゃうよ?」
穂乃果「え……?でも……」
希「絵里ちの事はにこっちが居れば安心やん!にこっちなら変なナンパにも引っ掛からないしね」
穂乃果「う〜ん、確かに……にこちゃんなら有無を言わさず追い返しそう……」 腑に落ちた様に納得する穂乃果。
……心外ね、例えナンパだとしても私は上手く断ってファンを増やしてみせるわよ。
まあ、わざわざそんな事は言わないけど。
皆が少し申し訳なさそうに帰っていく。
帰り際に希は「……任せたよ、にこっち」と私にだけ聴こえるような声で言った。
全部分かってるかのような希の態度に、私は周りには誰も居ないっていうのに「スピリチュアルね」と呟く。
そしてみんなを見送ると、踵を返し校舎へと足を向けた。 …………
……
にこ「……ここに居たのね」
絵里「っ!?……にこ?」
……全く、探すのに苦労したって言うのよ。
最初に教室と生徒会室を見にいって、それから部室を確認する。
部室の机には絵里の鞄と制服が置いてあって、
その綺麗に畳まれた制服から彼女の性格が現れていた。 わざわざ着替えを済ましてから向かう場所と言ったら一つしかなくて。
絵里は徐々に顔を隠しながらも屋上を照らす夕日に照らされながらこちらを振り向いた。
にこ「精が出るわね、今日の練習でも特にダメな所なんて無かったじゃない」
絵里「……私は、皆に技術を教えられるくらいに上手くないといけないから。だから皆よりもたくさん練習しないと」
当たり前のように言ってのける
ダンスにおいて一日の長がある彼女なのに、なにもここまでする必要があるのかと思った。 にこ「バレエで培ったものがあるじゃない。そんなに気負わなくても……」
私がそう言うと絵里はきょとんとした顔を浮かべ、ふふっ、と軽く自嘲気味に笑うと言葉を次ぐ。
絵里「にこ、忘れちゃった?私はバレエ、途中で挫折してるのよ?」 ハッと息が詰まる。
そうだ、あまりにも彼女が当たり前のようにこなしてみせるから気が付かなかった。
彼女にも私と同じように挫折した経験があって、そのブランクを埋めようとして自主練に励んでいた。
皆の為に、だけど……皆には気付かれないように。
……やっぱり、彼女は私とどこか似ている。
私は彼女のそれを元々持っていた才能のように考えて居たけれど、彼女も挫折した経験から学び、自分なりに考えて…考え抜いて、培ってきたものだったのね。 にこ「……凄いわね、皆に気付かれないように隠れて努力してたなんて」
絵里「にこにはバレちゃったけどね、やっぱり帰ってからやるべきだったかしら」
にこ「ま、アンタが知らない間に頑張りすぎる前に気付けて良かったわ」
絵里「……?」
にこ「無理し過ぎて自分がダウンする事になったら元も子もないでしょ?だから、無理はしないで」
絵里「心配してくれてありがとう。……でも、お互い様よね?」
にこ「はぁ?」
絵里「にこも自主練、してるんでしょう?前日出来てなかったステップが次の日には完璧になってる。そんなの私から見たら気が付くわよ。……だからこそ、にこの事凄いなって思ってる」 よく男達の間で噂になる「マンコ」、
女性の又の間にあるらしいんだが、もちろん俺は実物を見たことがない。
いや、それだけならまだ存在を信じることもできるんだが、さっき気がついたんだ。
「オマンコは存在しない」んだと。
その根拠を幾つか述べよう。
1.女は絶対に「オマンコ」を見せたがらない。それも不自然なほど隠す。
あの嫌がり方は尋常ではない。女子小学生ですら見せるのを嫌がるではないか。
2.AVを見ていても「オマンコ」の部分には必ずモザイクが
かかっており、われわれは「オマンコ」を目にする事が出来ない。
これこそが「オマンコ」が存在しない何よりの証拠ではないだろうか。
3.日常生活で「オマンコ」という言葉をひとたび発すると、
法律で禁じられた行為であるかのような嫌悪の視線を受ける。
しかも公共放送でも「オマンコ」は放送禁止用語となっている。
これも明らかにおかしい。
俺は確信した。「オマンコ」は絶対に存在しない。
そう「マンコ」は私たちの心の中にあるものなのです
・・・これでもあなたは「オマンコ」を信じますか? 気付かれてたのね……。
全く……知ってたんだったら言ってよね、ちょっと恥ずかしいじゃない。
でもようやく理解できた。
絵里が事ある毎に私を持ち上げるのも、後輩から弄られた時にさり気なく私のフォローを入れるのも、私の言葉一つに嬉しそうに目を輝かせるのも……。
私の努力を認めてくれていたからだったのね。 それなのに、私が勝手に挫折した事に引け目を感じて彼女から距離を取った。
思えば先輩禁止の話だって、そんな私に相談したくたって出来ないわよね……。
……彼女だって挫折した経験があって、それを見て見ぬふりするのではなくて、知ってるからこそ私と仲良くしてくれようとしてたのに。 にこ「……ありがと」
絵里「……?なんでお礼を……?」
にこ「さ、じゃあ今日は仕方が無いから私が見てあげる。確かに絵里は上手だけど、私から見たらアイドルとしてはなってない所だって沢山あるんだから」
絵里「……!流石にこね、それじゃあお願いしちゃおうかしら」
いつものように目を輝かせてこちらを見つめる瞳。
……今日からはこの瞳に引け目を感じる事もなく、逃げずに見つめ返すことが出来そう、だなんて思った。 …………
……
穂乃果「じゃあ、にこちゃん。ユニットの事についてちょっと相談したいんだけど……一緒に組みたい人とか居るかな?」
にこ「ええ、色々考えたけど……やっと答えが決まったわ」
穂乃果「……聞かせてもらってもいいかな?」
……考えてみればこれが一番しっくりくるのかもしれない。
まだこうなると決まった訳ではないけど、不思議とこの三人で活動する姿は想像に容易かった。
アイドルで一度挫折した私、そんな私と似ていないようでそっくりな同級生。
いじっぱりで最初は冷たく当たって。でもいつしか皆と仲良くなろうと頑張って、そして同じくいじっぱりな私の事をずっと気にかけてくれた大切な仲間。
にこ「……私は絵里と組みたい。もう一人は……そうね、真姫なんかがいいかしら」 あとの一人は自分の気持ちに正直になれない、素直じゃない後輩。
そんな彼女に同じように素直じゃない私達が、先輩としてその姿を見せる、そうすれば。
きっと彼女も自分なりに悩んで悩んで……私達のように答えを見つける事が出来るって、そう思うから。 穂乃果「……凄いなぁ、にこちゃん。相思相愛だよ」
にこ「……?」
穂乃果「絵里ちゃんもね、同じ事を言っていたんだ」
にこ「……!」
穂乃果「全く、にこちゃんと絵里ちゃんには妬けちゃうよ〜。私、三年生の皆とユニット活動したかったのに〜……」
にこ「……アンタはリーダーでしょ。信用されてるって事よ」
穂乃果「あはは、そうかなぁ……じゃあ頑張っちゃおうかな!」 絵里「……あら?穂乃果、にこ。早いわね、何話してたの?」
にこ「あぁ、来たのね。……やっぱり私に似てるなって話。」
絵里「……?誰が?」
にこ「絵里。」
少し照れくさくって、そっぽを向きながらそう呟く。
今までとは違って、今度は心の底から貴女との仲を認めてその名前を呼べた様な気がして。
スっ、と視線を彼女に移すと、彼女はやっぱり嬉しそうに、
窓から覗く快晴の空のような、スカイブルーの瞳を輝かせていた。 絵里がにこには一目置いてる感じ好き 書いてくれてありがとう お互いに愛し合ってる恋人ののぞえり、
お互いに信頼し合ってる親友ののぞにこ、
お互い尊敬し合ってるライバルのにこえり、
というイメージ
μ's三年生のカップリングは全部好きだなー 信頼関係ができるまでの過程、すごくしっくりくる
いいにこえりだった ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています