【SS】ことり(18)「今日からあなたの専属メイドになることりです。まりちゃんよろしくね♡」鞠莉(11)「ふんっ…」
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歩く大人 3/6
『間もなく、山頂駅に到着します…』
ゴトン、と大きく揺れて扉が開く。
係員「小原さんですね。下の者から連絡を貰っています」
ことり「無理を言ってすみません」
係員「いえ、こちらこそすみませんでした。私が声をかけた途端、走っていってしまって、追いかけることができませんでした」
ことり「子どもたちがどっちへ行ったかわかりますか?」
係員「向こうの道をまっすぐ走っていったと思います」
ことり「ありがとうございます、できるだけ早く子どもたちを連れて戻ります。……あ、そうだ」
ことり「星が一番よく見えるのは、どの辺りですか?」 歩く大人 4/6
まばらにすれ違う人達の視線を浴びながら、足早に歩く。
私と同じ方に向かう人はいない。
当然だ、だってもう間もなくロープウェイの最終運行時刻になってしまうから。
家野さんが話をしてくださっているから少し過ぎても大丈夫だと思うけど、できるだけ早く戻らなくちゃ。
ばか。
茶寮があって、神社があって、足湯があって、展望ソファがあって。
すっきり晴れたお休みの日をこんなところでのんびり過ごせたらとっても気持ちがいいだろうな。
今は眺める余裕もないけど、左手にはアスレチックもあるみたい。
ふと抜けると、木材で組まれた展望台が現れた。
ことり「!」
駆け寄って、登る。
ことり「まりちゃん!かなんちゃん、ダイヤちゃん!?」
人は誰もいなくて、私の呼びかけに応える声もない。
どんよりとした空は、淡島から見るよりもずっと遠くて、手を伸ばす気にさえなれない。
視界の端──
ずっと伸びるパノラマパークの奥、小さな三つの影が見えた。 歩く大人 5/6
深い木々に囲まれたボードウォークを踏みしめる。
山の上だなんて嘘だぁ、と言いたくなるような光景。
ばか。
ちょっとしたウォーキングにはぴったり、でも体力作りのランニングをするには向いてないかもしれない。
こんな穏やかな空間で走っていて微笑ましいのは子どもだけ、高校生や大人が走っているのは少しみっともなく映っちゃうはずだ。
難しいことはなんにも考えないで走り回っていてくれたら、どんなによかったか。
それなら私はいつもの調子でいられただろう。
ばか。
うるさくしちゃだめだよ、なんて笑いながら追いかけることができたはずなのに。
無邪気な子どもに振り回される頼りない保護者でいられたはずなのに。
ばか。
でもね、私は大人なんだよ。
少なくとも今この時は、大人でなくちゃいけないんだよ。
ばか、ばか、ばか、ばか、ばか。
いつもみたいに頼りない笑顔で振り回されるわけにはいかないの。 歩く大人 6/6
木々を抜けて、視界がひらけて、二つ目の展望台。
寄り添う影。
もう、ずっと前から目が合ってる。
近づいてくる私から視線を逸らさないまま、三人はぎゅっと抱きしめ合って、ただただ私を見つめてる。
カチ、バサ──
黒く大きな傘で三人を包んで、私は。
ことり「帰るよ。まりちゃん、かなんちゃん、ダイヤちゃん」
お願いだから、心配させないでよ────ばか。 雲の下で涙と祈りを 1/7
ダイヤ「こ、ことりさん…カサは、ここまで…ささずに来たのですか…?」
ことり「うん、速く歩くのに邪魔だったから」
かなん「ことちゃん、濡れちゃってるよ。ことちゃんも入って」
ことり「帰ったらお風呂に入るから、大丈夫だよ」
ことり「ほら、帰るよ。もうロープウェイだって止まっちゃうんだから」グイ
まり「いや!だって、だって──まだ…ちゃんと……」
ことり「…」
ダイヤ「まりさん…」
かなん「まり…」
ことり「みんな心配してるんだよ。小原さんは怒ってた。かなんちゃんとダイヤちゃんも、お家の人に話してないよね」
かなん「…ことちゃん、まりはね」
ことり「わかってるよ」
ことり「お星さまにお祈りしにきたんだよね」
まり「!」
ダイヤ「ご存知だったのですか…」
ことり「…うん」
まり っ〔星座☆早見盤 北半球版〕と ギュ…
まりちゃんのベッドの下から、小テストが──星座の早見盤がなくなっていたから。 雲の下で涙と祈りを 2/7
ことり「ねえ、まりちゃん」スッ
まり ビクッ…
かなん「ことちゃん──
ことり ス
ことり「お星さまにお祈りしようって、かなんちゃんとダイヤちゃんを誘ったんだよね?」
ことり「まりちゃんが、誘ったんだよね?」
まり「…………」
ことり「大好きな人達とずっと一緒にいられますようにって、お祈りしたかったから」
まり「…………」
まり コクン…
ことり ハァ…
ことり「それはね、間違ってるよ」
まり「…っ」
ダイヤ「!」
ことり「私だってお友達は大切だよ、ずっと一緒にいたいって思ってる。お星さまにお祈りしたことだってある。まりちゃんにも──まりちゃん達にも、みんなのことずっと大好きでいて、仲良くしててほしいって思う」
ことり「でも、こんなやり方をしちゃだめだよ」 雲の下で涙と祈りを 3/7
ことり「他の人達を心配させるようなやり方でお祈りしたって、お星さまはきっと聞いてくれないんだよ」
まり「だって……だっ、て………っ」グス…
ことり「どうして今日だったの?どうして嘘をつくみたいにしたの?」
ことり「ずっと一緒にいたいって、お星さまにお祈りするのは全然悪いことじゃないよ。でもこんな風にしちゃったら、まりちゃんが大切にしたいと思ったかなんちゃんとダイヤちゃんだって怒られちゃうんだよ」
ダイヤ「……」
ことり「こんな悪いことをするならもう三人で遊んじゃだめだって言われるかもしれない。三人でずっと一緒にいられますようにってお祈りしたのに、それが理由で離ればなれになっちゃうかもしれないんだよ」
ダイヤ「!」
かなん「!」
まり「…!」
ことり「…私から言えるのはこれだけ。下で家野さんが待ってるから、まず家野さんにお話ししよう。その後、順番にダイヤちゃんのお家、かなんちゃんのお家に行って、みんなで謝ろう」スクッ
ことり「私も一緒に謝りにいくから、ちゃんと──
ダイヤ「違いますわ!!」 雲の下で涙と祈りを 4/7
ことり「!」
まり「い、いいわよダイヤ、」
ダイヤ「いいえ、よくありません!きちんと言わなくてはいけないことですわ。他の誰に怒られたっていい、おやつを食べられなくったって、おけいこの時間が増えたっていい」
ダイヤ「だけど、ことりさんにだけはきちんと言っておかなくてはいけませんわ」
かなん「そうだよ、まり!」
ことり「なに…?なんの話?」
かなん「ことちゃん、心配かけたのはごめんなさい。後でみんなにもちゃんと謝るから、聞いてほしい」
かなん「まりが、ううん…私達がお祈りするのは、今日じゃなくちゃだめだったの!今日こうするしかなかったんだよ!」
ことり「どうして…?」
ことり「今日はこんな天気でお星さまだってちゃんと見えないし、こんな明るい時間じゃなくても、ちゃんとお家の人に話して夜に連れてきてもらえばよかったんだよ。それだったら誰も心配しなくてよかったし、まりちゃん達も怒られずに済んだんだよ」
ことり「今日しかなかったなんて、
ダイヤ「わたくし達がお祈りしたのは、ことりさんとずっと一緒にいられますようにってことだからです!」
ことり「──────ぇ──」 雲の下で涙と祈りを 5/7
ことり「う、そ…」
かなん「まりがね、ダイヤんとこでおやつ食べてるときに言ったんだ。『ことりのことでお星さまにお祈りしたいから一緒に来てほしい』って」
ダイヤ「お母様に嘘をついたことも、運転手の方をだましてしまったことも、本当にごめんなさい。心配をかけてしまった皆さんにもちゃんと謝るつもりでしたわ」
ダイヤ「でも、それでもいいからそうしたいって、同じことをお祈りしたいってわたくし達も思ったのです!」
ダイヤ「大好きなことりさんが明日でいなくなってしまうと聞いて、そんなのイヤだって…思ったのです……」
ことり「まり、ちゃん…ほんとなの……?」
ことり「ことりのことをお祈りするために、こんなことしたの…?かなんちゃんとダイヤちゃんとずっと一緒にいられますようにってお祈りしたかったんじゃなくて…?」
まり「…………うん…」
まり「あのね、………あのね、ことり…」
まり「…………わたし……っわた、し………っ、あなたにいなくなってほしくないの……!」ポロポロ…
ことり「………!!」 雲の下で涙と祈りを 6/7
まり「ことりがうちに来てから、すごく楽しかった…」
まり「いじわるしても、無視しても、ずっとまりのこと好きって言ってくれて、嬉しかった…!」
まり「ごはんもおいしかった、おやつもおいしかった」
まり「参観日に来てくれたのも嬉しかった、一緒にマカロン作ったのも楽しかったわ!」
まり「頭を洗ってくれたのも、ママとはぐれたときに見つけてくれたのも、バスでひざまくらしてくれたのも、ベレー帽作ってくれたのも、船でたくさん話しかけてくれるのも、コーヒーのこと考えてくれたのも、全部…全部…嬉しかった……!」
まり「明日出ていっちゃうって聞いて、さみしかったの…イヤだったの…!でもそんなこと言ったら、ことりも…ママも…みんな困るから、言えなくて……っ」
まり「優しいことりが好き。いつも笑顔のことりが好き。困ってることりも怖がってることりもみんな好き!まりのこと一生懸命に考えてくれて、いっぱい好きって言ってくれて、困ってたら助けてくれて、優しくて、美人で、歌も上手でダンスも上手でっ……」
ことり「ま、り…ちゃん……」
まり「……ことりのことが好き!大好きなの!!」
ことり ガバッ
まり「行かないでよ…まりのこと置いて、行っちゃわないでよ……!ずっと、ずっと一緒にいてよぉ!!わぁぁぁん………うわぁぁぁあああああ………ん…!!」ボロボロ…ボロボロ……
ことり「まりちゃん…!ことりも、ことりもまりちゃんのこと大好きだよ!ずっとずっと、一番好きだよ…!ごめんね、さみしい想いをさせて、ごめんね……!!」ギュウウゥ
まり「わぁぁぁぁぁん…………ぅわぁぁあああああん…………」
………
……
… 雲の下で涙と祈りを 7/7
やがて、あんまりにも戻ってくるのが遅いと心配した家野さんが係員の人と捜しにきてくださった。
私達は四人でお互いに抱き締め合って全員でわんわん泣いていて、傘も傍に転がっていてみんなびしょ濡れだし、家野さん達もかなり困惑したとのことでした。
特別に動かしてもらった下りのロープウェイの中で家野さんにお話しして、謝ったら、
「私は皆さんが風邪を引いてしまわないか、今はそれが一番の心配事です」
って呆れたように笑った。
その後、順番にみんなのお家を謝って回った。
黒澤さんは私達が話し終わるまでずっと無言で聞いていて(無表情だからすごく怖かった)、最後にみんなで謝ったら、
「もし祈りが届かなかったとしたら、私とルビィさんを除け者にしたせいでしょうね」
と、怒ってるのかなんなのかよくわからないことをおっしゃって、微笑んだ。それとルビィちゃんがよしよししてくれました♡
松浦さんはぐしゃぐしゃの私達を見るや大笑いして、
「お母さんに似て大したもんだ!」
ってまりちゃんの頭を豪快に撫でた。
小原さんには私も含めてしこたま怒られた。 関係ないの出して悪いけど、まきちゃんがにこちゃんに冷たくするssで嫌われたと思ったまきちゃんがにこちゃんに好きなとこあげて泣きつくシーンがこのまりちゃんに被った。 Mattina di speranza 1/13
コンコン
「お嬢様、朝ですよ。起きてくださ〜い」
まり モゾ…
まり「もう起きてるー」
まり「でも、お布団から出られないみたいなの。…出して」
「失礼しまぁす」ガチャ
スタスタ…
スッ
「おはようございます、まりお嬢様。今朝はお布団がいつもより重いですか?」
まり「そうみたい」
まり モゾモゾ…
まり「ん」
「はい」
ギュ
「…はい、出られましたね。おはようございます」
まり「おはよう」
「朝、お嬢様に一番始めに挨拶できたのは初めてですね」
まり「これから、ずっとそうでしょ?」
「…そうだったら、よかったんですけどね」
まり「…ばか。うそでも、そうだねって言ってよ」グリ
まり「おはよう、ことり」
ことり「おはよう、まりちゃん」
−最終日− Mattina di speranza 2/13
コンコン
「奥様。朝ですよ」
鞠莉ママ「起きていマスよ。入りなサイ」
「失礼いたします」
ガチャ
「おはようございます」
鞠莉ママ「オハヨウ」
「ご支度は、もうお済みですね」
鞠莉ママ「モチロン」
「ヘリコプターは、十一時に手配しています」
鞠莉ママ「アリガトウ」
鞠莉ママ「次は、ワタシは再来月の下旬になるわ。その間に一度 hubby が帰れるだろうと言っていまシタよ」
「承知しました」
鞠莉ママ「…おいで」
トトト…
ギュ
鞠莉ママ「いつもアリガトウ。あなたがいてくれるから、ワタシ達も安心していられるのよ。またしばらくマリのことをお願いね──イエノ」ポン…
家野「…はい。奥様と旦那様が帰ってくる場所を、そしてお二人の宝物であるまりお嬢様を、私が必ず守ります」
鞠莉ママ「エエ、信じていマス」 Mattina di speranza 3/13
家野「今朝はフランスパンのフレンチトーストとカボチャのポタージュ、オムレツ、梨とプチトマトのマリネです」
まり「ありがとう、いえの」
「「「「頂きます」」」」
家野 ス…
まり「あ、いえの。牛乳はいいわ」
家野「おや、そうですか。紅茶になさいますか?」
まり「ううん。ママと同じの、いれてくれる?」
鞠莉ママ「coffee よ?」
まり「うん、知ってるわよ」
家野「ご用意いたしますね、少々お待ちください」
カチャ コポポ…
家野「熱いので、お気をつけて」
まり「ありがとう」
まり フー…フー…
まり ゴク…
まり「………にがい」
鞠莉ママ「でショウね」
まり「ねえ、ことり」
ことり「! なに?まりちゃん」
まり「次にあなたに会うまでに、わたし、コーヒー飲めるようになってるから。だからそのときは、一番おいしくコーヒーいれてよね」
ことり「…うんっ、任せて!」 Mattina di speranza 4/13
ガチャ…
まり「ママ、そろそろ行ってくるわ」
鞠莉ママ「そうね、船まで送りまショウ」
まり タタタ ギューッ
鞠莉ママ ギューッ
まり「次はパパよね。ママは再来月」
鞠莉ママ「エエ。いつもお留守番させてばかりで、ごめんね」
まり「ほんとーよ!ママがいつも家にいてくれたらまりだってイタズラしないのに!」
鞠莉ママ「ホントウに?」
まり「…ちょっとするわ」
鞠莉ママ「なんデスか、それは」クスクス
まり「えへへ。年末は?」
鞠莉ママ「年末はパパと二人とも帰れると思うわ」
まり「ほんと!?やった!」パァ
鞠莉ママ「イエノの言うことをよく聞いて、お利口にね」
まり「うん。でも一番は?」
鞠莉ママ「元気イ〜ッパイで過ごしなサイ!」ナデ
まり「もちろんっ!」ニパッ Mattina di speranza 5/13
かなん「まり〜!ことちゃ〜ん!」タタタ
まり「かなん!おはよう、早いわね!」
かなん「一緒の船で行こうと思って、早起きしたんだ」
家野「おはようございます、果南さん」
ことり「おはよう、かなんちゃん」
かなん「家野さん、ことちゃんも!おはよう!まりのお母さんも!」
鞠莉ママ「…オハヨウ」
かなん「ことちゃん、これあげる!」
ことり「え、なあに?」
かなん「貝がらのネックレスだよ!プレゼント!」
ことり「わあ…ありがとう、かなんちゃん。大切にするね」
かなん「えへへー」
まり「えー、ずるい!まりも欲しい!」
かなん「わかったわかった、今度作ってあげるから。それと」トトト Mattina di speranza 6/13
鞠莉ママ「なんデスか?」
かなん「おばさんにも、はい!昨日もだけど、いつもまりのことで心配させてごめんなさい!」
鞠莉ママ「…!」
鞠莉ママ「こんなもので、ワタシはハグゥ達のことを許したりはしまセンからね。次またイタズラをしたらこれもあなたに返しマス」チャリ
かなん「うん!ばれないようにします!」
鞠莉ママ「ハァ!?誰がそんなことを言いまシタか!」
かなん「さ、行こ!まり」
まり「うん、いってきます!」
ことり「私も向こうまで送ってきますね」
家野「行ってらっしゃいませ、まりお嬢様。果南さん。ことりさん」
船頭「そいじゃ出しますね」
鞠莉ママ「コラ、ハグゥ!話を最後まで聞きなサイ!!」
ブ…
ブゥゥゥゥン… Mattina di speranza 7/13
ことり「このお船から見る景色、好きだなあ」
かなん「きれいだよね、私も好きだよ!」
まり「…もう怖くないの?」
ことり「え?うーん、乗るときは足元がまだちょっと怖いけど、座っちゃえば平気になったよ。それに今はまりちゃんとかなんちゃんもいるしね」
まり「戻るときは一人よ」
ことり「うう、頑張るよ…」
ことり「…ね、まりちゃん。ことりのおひざ、あいてますよ?」ポン
まり「………座らない」プイッ
ことり「え〜〜〜〜!今日、最後なんだよー?」
まり「最後じゃないわよ。この次、ね。座るのは」
まり「だから、絶対にまた──」
かなん(on the bird's ひざ) チョコン
まり「…」
ことり「…」
かなん「じゃーわたしもーらいっ!」ペカー
まり「…………かっ」
まり「かなぁ〜〜〜〜〜〜〜〜んっ!!」
かなん「うわーなにまりどしたの!?」 Mattina di speranza 8/13
まり「ありがとう」
かなん「ありがとーございました!」
船頭「気をつけて行ってらっしゃい!」
ことり「少しだけ」
船頭「はい、もちろん。待ってますよ」
ダイヤ「ことりさん!」
ことり「ダイヤちゃん。ルビィちゃんも!」
ダイヤ「おはようございます。最後にお会いしたくて、待たせてもらっていましたわ」
ルビィ「おはよぉ」
ことり「えー、嬉しいなぁ。遠いのにありがとう、ダイヤちゃん。ルビィちゃん」
かなん「四人で学校行くなんて初めてかもね」
ことり「え、どうしよっかな。学校まで送ってっちゃおっかな」ソワソワ
ダイヤ「それはとても嬉しいですが、わたくし達は大丈夫ですわ。わたくし達がしっかりしていないと、ことりさんが安心して帰れませんものね」
かなん「そう!安心して未来に帰れないんだよ!」
まり「…未来?」
ダイヤ「ことりさんが帰るのはイタリアなのでは…?」
ルビィ「ことりちゃー」ギュー
ことり「よしよし。元気でね、ルビィちゃん」
ダイヤ「あー!ずるいルビィ、わたくしも!」ギュー
かなん「じゃー私も!」ギュー
ことり「わっわっ、えへへ…もう。みんなくすぐったいよ」 Mattina di speranza 9/13
ダイヤ「名残惜しいですけど、学校に行かないと遅刻してしまいますわ」
かなん「うん。またね、ことちゃん」
ルビィ「ばいばいー」
ことり「ダイヤちゃん、かなんちゃん、ルビィちゃん。必ずまた来るからね」
まり「…」
かなん「ほらまり、いいの?」
ダイヤ「しばらくお別れですわよ」
ことり「まりちゃん」
ことり「ことり、向こうに戻っても頑張れるように、まりちゃんのことぎゅーってしたいな」
ことり「だめかなあ?」
まり「……………仕方ないことりね」
タタタ…
ギュウゥゥ…
ことり「二週間、ありがとう。すっごくすっごく楽しかったよ。たくさんした約束、絶対守るからね」
まり「わたしこそありがとう。大好きよ、ことり」
ことり「うん、私もだよ」
ギュッ…
まり「…そうだ、ことり。最後に言っておきたいことがあるの」
ことり「うん、なに?」
まり「あのね、────────」 Mattina di speranza 10/13
ヘリコプター ドン!!
ことり「相変わらず、すごい迫力…」
鞠莉ママ「もう慣れたでショウ」
ことり「いや、二回目ですし…慣れる気はしません…」
家野「ことりさん、二週間お疲れ様でした。ぜひまたいらしてくださいね」
ことり「家野さん。こちらこそ、お世話になりました。忘れられない想い出になりました」
家野「もし学校を卒業されて進路にお悩みでしたら、お電話を下さい。履歴書不要、面接不要で即日採用しますよ」
ことり「ほんとですか!?」
鞠莉ママ「イエノは部下には厳しいわよ」
ことり「ぴ…ぴぃっ!?」
家野「お、奥様!」
鞠莉ママ「ハハハ。褒め言葉デース!」
家野「もう…!ですが、今の言葉は本当ですよ。ご自身の夢を精いっぱい追いかけた後、もしもこの二週間を思い出されたときには、ぜひ」
ことり「…はい、ありがとうございます!」
鞠莉ママ「では、そろそろ行きまショウか」
家野「奥様。ことりさん」
家野「──行ってらっしゃいませ」ペコ… Mattina di speranza 11/13
鞠莉ママ「二週間、どうでシタか」
ことり「最高でした」
ことり「まりちゃんは可愛くて、ダイヤちゃんにかなんちゃん、ルビィちゃんとも会えて、家野さん、黒澤さん、松浦さん、それに小原さん。色んな人と会って、色んなことをしました」
鞠莉ママ「子ども達と一緒になって雨の中で泣いたりね」
ことり「その節は、すみませんでした…」
鞠莉ママ「ノン。そんなコトリだからこそ、マリと、それにあの子達とあんなにも打ち解けることができたのでショウ。ワタシでも、イエノでも、きっとできなかったことデス」
ことり「小原さん、かなんちゃん達のこと…好きですよね?」
鞠莉ママ「なにを急に…」
鞠莉ママ「好きなはずがないでショウ。あの子達はいつもいつもマリに変なことをフキコムのよ。…ただ」
鞠莉ママ「カナンとダイヤが友達になってから、マリが一人ぼっちではない時間が増えたことには感謝しているけれど」
ことり「うふふ…そうですね」 Mattina di speranza 12/13
ことり「私、ここに連れてきてもらえて本当によかったです」
ことり「楽しかった、嬉しかった、色んなわくわくした気持ちを感じられたのはもちろんですけど、それだけじゃなくて」
ことり「一生懸命で純粋なまりちゃん達から、教えてもらったことがたくさんあるんです」
鞠莉ママ「hmm...?」
──まり「…そうだ、ことり。最後に言っておきたいことがあるの。あのね、
──ことりも、大切なお友達のことをあきらめちゃだめよ。
──あなた自身が言ってくれたことなんだから」
ことり「私、向こうに戻ったら穂乃果ちゃん達にお手紙を書こうと思うんです。みんなとお別れしてからのこと。イタリアで見たこと、学んだこと、みんなを想って泣く夜があること。それにこの二週間のこと」
ことり「きちんと謝って、離れてからぽっかり空いちゃった時間と友情を取り戻したいから」
ことり「そして次は私の大切なお友達を、まりちゃん達に紹介するんです。みんなでドッヂボールして、お菓子作りをして、ラーメンなんか食べにいって、占いで盛り上がって、夜は星を見ます。きっと、仲良くなれます」 Mattina di speranza 13/13
ことり「すっごくうるさいと思いますけど、いいですよね?」
鞠莉ママ フ──
鞠莉ママ「モチロン、いいデスよ。一泊一人20,000円ね」
ことり「えええ〜〜〜っ、お金とるんですか!?」
鞠莉ママ「これでもかなりサービスしているのデスよ、ありがたく思いなサイ!」
ことり「み、みんなでホテルのお手伝いするので…」
鞠莉ママ「トーゼン!それも含んだ上での料金デス!」
ことり「そっ、そんなあ〜」
鞠莉ママ「イエノにもビシビシ指導させマスので、遊んでる時間はないかもしれないわね」
ことり「ふぇぇぇん……」
ことり「マリチャ〜〜〜〜〜〜ン………!」
こうして、私の短い夏休みは終わりました。
後日、宅配便で届けてもらった、使い切れずに余らせてしまった大量の布と生地。
これをどうしたか、わかりますか?
うふふ──それは、ご想像にお任せしますね♡
終わり 的なね。
ことり(16)「今日から貴女の専属メイドになることりです。鞠莉ちゃんよろしくね♡」鞠莉(11)「ふんっ…」
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1563982278/
こちらが元スレになります、他の方が書いたssレスやシーンなどもあるのでぜひご覧ください。
長い間保守をしたり待っていてくださったりした方、アイディアを寄せてくださった方、読んでくださった方、また着想そのものをくれたこのスレにいた方々、皆さん本当にありがとうございました。
もしよければ、好きな話やお気に入りのシーンなどあったらお聞かせいただけると嬉しいです お疲れ様でした。大変素晴らしいものをありがとう
雲の下で涙と祈りを6/7と
宇宙を感じることり がお気に入り
2週間と短いのにしっかりと心を開くまでが書かれてて、こんなの書けるのが羨ましい おわっちゃった………………つらいなきそう
ありがとう、心よりありがとう
永遠に見ていたかった
ありがとう ああ、終わっちゃった…本当に素敵すぎるSSだったよ
アニメの二期10話の「シャイニーを探して」は、正直何を言いたかったか意味不明な回だったけど
このSSのお陰で48000倍は好きになった
また気が向いた時に後日談でも書いてくれたら、凄く、凄く、嬉しい
お疲れ様でした 感動しました
ありがとうございました。
まさか、星を見に行く話をこうつなげるとは恐れ入ります。
また、心温まる作品をお願いします!!! ありがとうございました。
新しい可能性を感じました。 すごく良かったです
大作をありがとうございました
あまりにもエモいので読んでる途中に、ことりが留学する定期スレの(°8。)を見て笑って心のバランスを保ってました おつおつ
途中本当に泣きそうになる心温まる良い作品だった
流れ星にことりちゃんと一緒に居られるようにお願いするところ好き 泣きました😭
最高でした!
同じ世界線の続きの話も書いてください… めちゃくちゃ良かった……
アニメストーリーを所々補完してたりすごく面白かった
最大限の乙!! 元のスレが立ったときにはまさかこんな素敵なSSが生まれるとは思ってもみなかった
10ヶ月の間すごく楽しかった、最後まで書き切ってくれて本当にありがとう……
上手く言葉が見つからないけど感動した、素晴らしかったです 呼ぶ声、雲の下で涙と祈りをとかはもちろん好き
一人きりなら呑み込めたもの、ブレイク ブレイク スタイルとかも好き
どのキャラも優しさと心遣いが伝わってくる ことりと鞠莉ママたちの年齢差感じさせないツッコミ合いが好きだわ
本筋に全然関係ないけど>>174のデカいブラが誰のだったのかすげー気になる
あとロリルビィちゃん可愛い ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています