穂乃果「に〜こせんぱい♪」にこ「んなっ……!!」
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穂乃果「ねぇねぇそういえばね!私気になる人見つけたんだ!」
海未「ぶふぅっ!?」
お昼休み。あ、そういえば、と私が話を始めると海未ちゃんが飲んでいたお茶を盛大に吹き出す。
あれ、そんなに驚く事かなぁ?
ことり「ほ、穂乃果ちゃん…それって…?」
穂乃果「あ、うん。話の通りなんだけど、前天気がいい日に中庭でパンを食べてる時にね、校舎の外れにある部屋に入っていくのを見つけたんだ」
穂乃果「私は校舎の中にいるその人の事を外から遠目に見ただけだったからあんまり詳しくは分からないんだけど、とっても可愛かったんだよ!」
お茶を吹き出してから先程までゲホゲホと噎せていた海未ちゃんが、少し焦ったような顔で話に合流する。
海未「と…ということは穂乃果はその人に恋をしたという事ですか?」
穂乃果「恋……うーん、お互い女の子だし恋とはちょっと違う気もするんだけど、仲良くなりたいな〜って!」 ことり「…こ、ことりは、きっと生涯貴女の事を諦められない。…だから留学の話を貰ったのは、きっと……きっと救いだったんだね……。」
にこ「…ことり……っ」
じわりと私の目にも涙が滲む。だけど私が泣いてしまったら、ことりが私を気遣ってくれた意味が無くなってしまうから……腿を抓って必死にそれを堪えた。
ことり「…ごめんね、泣いちゃって……。絶対に泣かないって決めてたのに、いざって時に泣いちゃうんだから……ことりは弱い女です……。」
にこ「そんな事…!」
辛さを押し殺して、私の為に無理して笑顔を作った彼女が弱いなんて誰が言えようか。
彼女の強さにはスクールアイドルとして活動していた時にも何度も救われていた。
最後の最後にこんな時ですらも優柔不断な私を非難せずに謝ってくれることりの強さが、余計に辛い。 ことり「ううん、私は弱いよ。……最後に一つ、お願いをしてもいいですか?」
にこ「ええ、勿論よ…。」
ことり「……キス、してくれないかな。」
にこ「えっ…?」
ことり「そうしてくれたら、明日からもまたいつも通り頑張っていけそうな気がするから…。だから、お願い。」
にこ「でも……。」
ことり「ずるいお願いだって事は分かってるんだ。…だけどね、この気持ちが一生報われないのだとしたら、せめて一生忘れられない思い出が欲しいの……。」 不意に、穂乃果の顔が頭に浮かぶ。
きっとここでしてしまったらあの子を悲しませてしまうかもしれない。
だけど、私の弱さでことりを縛り付けたから……。
ちゅっ……。
ことり「ぁ……。」
だから、ほっぺたで許してね。
にこ「…これが私の精一杯よ……。」
そう言うとぷい、と顔を背ける。
…流石に恥ずかしくてことりの顔、確認出来ないわね。 ことり「……嬉しい。」
にこ「そ。それはよかっ……」
ことり「だけど、ことりはズルい女です。」
にこ「……?」
ことり「やっぱり、諦められない。…だから、穂乃果ちゃんが安心した所でにこ先輩をぱくっ!です♪」
にこ「…は…はは……。あんたホントに強かね……。」
ことり「にこ先輩も、油断してるとことりのおやつにしちゃいますよ♡」
にこ「ふふっ、それは怖いわね…」
先程までの雰囲気と一転、二人で笑い合う。
ホントにこの子は……マイペースというか……。
そういう所も可愛い所の一つなんだろうけどね。 ことり「それじゃあ、そろそろにこ先輩は穂乃果ちゃんの所へいかなきゃ!」
にこ「え、今から!?」
ことり「勿論です!さあ、こうしちゃいられません!」
にこ「わっ、と。もう、分かったわよ……じゃあ、行ってくるからね。」
ことり「はい!行ってらっしゃい♪」
そう言って私を急かすようにトントンと背中を押すことりに従うように公園を後にして穂むらへの道程を歩き出す。
ことりの方へ振り向くことは無かった。 ことり「……行っちゃった、ね。」
ことり「頑張った、ことり頑張ったよね……?」ジワッ
ことり「すき……。好き…!」ツーッ
ことり「うぅ…にこ、先輩……!」ポロポロ
ことり「諦めたく、ないよぉ……!!」 セリフも良いけど、間の使い方も上手いよね。
登場人物の心情がじっくり伝わってくる。 にこ「……いざとなると緊張するわね」
ことりと別れ、そのままの足で穂むらの店先まで到着する。……しかし、したはいいけどその先が踏み出せない。
いざ穂乃果に気持ちを伝えると考えると、先延ばしにし過ぎせいで悪い事まで考えてしまって……頭が真っ白になっていって。……ことりは本当に強いのね、と再確認させられた。
と、そんな事を考えていた時だった。
穂乃果「はーい、分かったってば!じゃあいってきま〜す……?あれ、にこちゃん?」 私のここに来た目的の、穂乃果が家から出てくる。
扉の前に立ちほうけてる私をの目を、少し間の抜けた表情でしっかりと見つめる穂乃果。
にこ「……っ、穂乃果……。ちょっと時間貰えない?」
穂乃果「……?いいけど……どうしたの、そんな真剣な顔して……」
私は不思議そうにこちらを見る穂乃果に対して、意を決して口を開いた。
にこ「……大分昔に置いてきた言葉を、伝えなくちゃと思ってね」
穂乃果「……そっか、そうだよね。」
私の言葉で話の先を察した穂乃果は、先程までと一転して覚悟を決めたようにこちらを見つめ返す。
私の心臓は穂乃果まで聞こえてしまうんじゃないかと錯覚する程大きな音を立てていた。 穂乃果「さ、ここなら誰にも聞かれる心配無いと思うから……。……早速話を聞かせてもらってもいいかな?」
案内されたのは穂乃果の部屋。思えば私は穂乃果の部屋まで案内されたのは初めての事で、目新しさからきょろきょろと辺りを見渡す。
にこ「……これって」
穂乃果「わぁあっ!ちょ、ちょっとタイム!」
様々な想い出を飾るコルクボードにはμ'sの皆で撮った写真。
……それと、いつか秋葉原で見た私のブロマイドがそこに飾られていた。
あわあわとして隠すように私とコルクボードの間に立つ穂乃果。それを見て少し安心した私は一番の目的である話題を切り出す。
にこ「……ねぇ穂乃果。私の気持ちなんだけど……聞いてくれるかしら?」 穂乃果「……うん。いや……はい。どんな事でも、聞く覚悟は出来てます」
にこ「……まずは遅くなってしまった事を謝らせて。ごめんなさい、私ずっと答えを先延ばしにしてた。」
穂乃果「そんな……こうやって言いに来てくれただけでも、私は嬉しいから……」
にこ「ううん。きっと私一人だったら今日ここまで来れなかった」
穂乃果「……?」
にこ「……さっきね、ことりと話してきたの。もう一度今の気持ちを真っ直ぐに伝えてくれた」
穂乃果「……!」
にこ「改めて考えてみたの。私も、ことりに対して恋愛感情を持っていた。」
穂乃果「それじゃあ……」
にこ「……断ったわ」
穂乃果「どうして……?」
にこ「……ことりを想う以上に貴女の事が好きな事に気が付いたのよ。」 穂乃果「ぁ……」
私の言葉に口を詰まらせる穂乃果。
にこ「……随分遅くなってしまったけれど、今度は私から言わせて。優柔不断で、自分の気持ちにも鈍感な情けない私だけど……やっとわかったの」
私は握った手を胸に当て、しみじみと思い返すかのように語り始める。
にこ「真っ直ぐで、夢中になると周りが見えない位にほっとけなくて……でも周りさえも自分の力で変えてしまって。」
にこ「無邪気で、いつだって屈託のない笑顔で私に笑いかけてくれて……実は誰よりも乙女な、そんな穂乃果が……」
にこ「そんな貴女の事が……私は世界で一番大好きです。私を、貴女の特別にして下さい。」 穂乃果「ぅ……うぅ……!にこ、先輩……!」
私が思いの丈を伝えると、穂乃果は口元を両手で覆ってくぐもった声で泣き出した。
穂乃果「私、怖かった。気持ちを伝えた時に、優しいにこ先輩はああ言ってくれたけど……本当は同性からの告白なんて受け入れて貰えるはずないんじゃないかって。」
穂乃果「でも、それで躊躇っていたらことりちゃんに負けちゃうからアピールはしたくって……。例え受け入れて貰えた所でこんな私の事なんかよりも、きっとことりちゃんのことを好きになるんじゃないかって……ずっと怖かったんだよぉ……。」
ぐすっ……ひっく……としゃくりあげてしまう穂乃果。
こちらを不安そうに見つめる瞳が、初めてアイドル研究部に訪ねて来た時の姿と重なって。
そして気付く。
……ああ、私はきっと、初めて……一目見た時から貴女を……。 にこ「好きよ、穂乃果。……愛してる」
言葉と共に抱き締める。未だにふるふると震えるその身体は、私よりも小さな少女のようで。
どきり、と胸が高鳴る。
穂乃果「……にこ先輩…………。」
潤んだ目でこちらを上目に見据える彼女。
どちらからともなくその距離を縮めていく。
ドクン、ドクン……。
私のものなのか、穂乃果のものなのか、それとも両方の心音が重なっているのか。
それすらも分からないまま確かに近付く私達の顔……唇。 そっと目を閉じる私達。
はっ、と小さく息を漏らして口を軽く開く。
ドクンッ。
……一際大きく脈打った心臓の音を合図に、二人の唇が重なり合った。 穂乃果「えへへ……私、初めてだったんですよ?」
にこ「私もよ。これから先も、貴女だけ……」
言った後に自分が気恥しいことを言っている事に気が付いてぷいっ、と顔を背ける。
穂乃果「……今はダメ。」
にこ「なっ……んむっ……!!」
ぐいっ、と私の顔を両手で掴んで無理やり自分の方に向かせる穂乃果。
そのままもう一度口付けを交わしてきた。 にこ「ちょっ……!ほの……ンチュッ……はぁ……っ……!」
先程よりもうんと深く交わり、舌を絡め合う。
穂乃果は満足して口を離すと二人の舌と舌の間に薄銀色の橋が架かり扇情的に消えていく。
私は、艶やかに……真っ直ぐとこちらを見つめる穂乃果の瞳に耐えきれず目を逸らした。
穂乃果「……また…………。」
にこ「んんっ……!?あぁ……んっ……やめ……っ!」
お仕置き、とでも言いたそうに私を咎めるとまた私を掴んで力強く口付ける。
穂乃果の身体は先程までの弱々しさを覗かせるものでなかった。
体格差をもって押さえ付けられた私はなされるがままに口内を犯される。 にこ「ダメ……っ!ダメなの……これ以上は……!」
隙をついてバッ、と距離を離す。
これ以上されたら自分がどうにかなってしまいそうで、自分が今何をしているのかを考える事も出来ずに私は穂乃果から顔を背けた。
穂乃果「……もう一回。」
無理やり、だけど……心はどこかそれを望んでいて。
彼女は回数を重ねる度に私の好い所を探り当てて攻め立てる。
ゆっくり……ほんのりと、穂乃果に染められていく私の身体と心。
私が着けているリボンの様に、私の色が穂乃果の色と混ざっていく。 ようやく穂乃果から目を離さずにいられるようになった時、私は虚ろな目で身体を不規則にビクつかせていた。
穂乃果「……ようやくちゃんと見てくれたね?」
にこ「はぁ……はぁ……っ。だ、だって……」
穂乃果「わかるよ、にこ先輩は恥ずかしがり屋さんだもんね?……でも、私だって今くらいは目を離してほしくないんだもん」
にこ「……もう嫌でも離せなくなったわよ……」
穂乃果「あはは、ごめんね?無理やりにして……嫌だった?」
にこ「……イヤ。……じゃない」
自分でも顔が真っ赤なのが分かる。
今度は目を逸らしたりしなかった。 穂乃果「……にこ先輩。穂乃果、なんかヘンになっちゃったかも……っ」
にこ「……?」
穂乃果「ここ。おへその下の辺りがね、凄く熱くって……」
にこ「……なるほどね。それはこれからゆっくりと知っていきましょう。……今日は流石に、私の心臓破裂しちゃいそうというか……」
穂乃果「うん……?なんかよく分からないけどそうだね……?」
むしろよくここまで保ってくれたと褒めたたえてあげたいくらい。
ライブの前よりも、ステージに上がる瞬間よりも高く大きく脈を刻んだ心臓は今にもその活動を停止してしまうんじゃないかと錯覚する。
知識も経験も無くて天然で今の事をやってのけた穂乃果。
……これはまた一筋縄ではいかないかもしれないわね、私……。 安心して気が抜けると同時に、ふと思い出した事を穂乃果に聞いてみる。
にこ「あれ、そういえば……私が来る前に穂乃果どこかへ出掛けようとしてたんじゃないの?」
穂乃果「…………?」
にこ「ほら、確かいってきますって……」
穂乃果「……あ゛っっ!!!」
穂乃果「そういえば、今日海未ちゃんに生徒会長としての入学式のスピーチを一緒に考えて貰うんだった!!」 にこ「じゃあ、ホントにそろそろ私は行くわね。今日はありがと……いや、これからよろしくね」
穂乃果「うんっ!こちらこそ!」
そうして私は背を向けて穂乃果の部屋を後にする。
穂乃果「……にこ先輩っ!」
階段に差し掛かった辺りで呼び止められる。
何かと思って振り向くと。 そこには満面の笑みを浮かべた穂乃果。
私と視線を交わすと彼女は少し不格好なウィンクを一つ。
そして音を発する事は無く口を数回動かして、最後に手遊びの要領で一つのマークを形作った。
『だ』
『い』
『す』
『き』
『♡』
穂乃果「えへへ……♪」
照れくさそうに頬をかく彼女が愛おしい。
願わくばこのまま、一生彼女と人生を歩みたいなと思った。
たとえどれほどのしょうがいが待ち受けていようと、穂乃果となら乗り越えていけるって。
……そう、信じてるから。
〜 おしまい 〜 予定していた終わり方では無いですし、多分あれ?って思う所もどっかにあると思いますがこれにて終了です。
一応現行で残っているスレもありますが、お次の新作は違うにこカプでお会いしましょう。
なにか指摘とかご質問あればここが残ってる限りはお答えするので今後の為にも是非よろしくお願いします。 朝からなんてものを…!
にこほの最高でした!
おつ! 乙!
とても面白かった
ただ、穂乃果達はまだスクールアイドルなのに付き合っていて良いものかが少し気になりました
卒業後としか書かれていなかったので、勝手に穂乃果達卒業後かなと解釈してましたw >>297
あ、確かにそうだ。
自分でアイドルに恋愛はタブーだって言ってますもんね……反省です。この日以来穂乃果が卒業するまでは節度を持ったかなり清いお付き合いをしていたという風に思って頂ければなんとか……。 自分でも気付いたものがあるのでひとつ言っちゃいます。
にこちゃん2期6話で穂乃果の部屋行ってました……インタビューでA‐RISEのインパクトに負けて話し合うシーンなのですが、そこはまあμ'sの活動が早まった事によってそこまでA‐RISEとの差が無くなってそのイベント自体無くなったという事でなんとか手を打って頂きたい…… 乙女なハノケチェン良いちゅんなぁ(;8;)おつちゅん このルートのプランタンは花陽が胃を痛めてそう
ハノケチェンにバチバチなことりちゃんはあんまり見ないね おつおつ
ほのにこが良いと改めて感じる良SSでした
アナザーなほのにこでもいいのよ 出遅れてしまった。
今回も素晴らしいにこカプ話だった。
次回作も期待してます。
> にこちゃん2期6話で穂乃果の部屋行ってました
アニメとは少し違う設定なんだから気にする必要は無いと思う。 皆さん温かい感想ありがとうございます。
>>308
そう言っていただけるとありがたいです。
短編ではありますが、にこえりのやつ書いたのでもしよろしければ是非読んでみて下さると嬉しいです。
それとは別に長編予定でことにこ作成中でして、そちらもある程度道筋が決まったら投下するのでよろしくお願いします。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています