穂乃果「卍解」千歌「なん…だと…」
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???「この辺りですか…」
一月十八日。午後二時二十三分 金曜日
???「――成程…強い魄動を感じます…。」
斯くて刃は振り下ろされる。 絵里「全くお笑いね…」
絵里「奇跡のような段取りでこの私を出し抜いて、何をやってくれるのかと思えば」
海未「……」
絵里「この役立たずを復活させるとはね…」
凛「ムーッ!」
絵里「まあ…人選ミスというわけではないわ…誰を復活させても同じこと……」
凛「海未ちゃん!絵里ちゃんのいう事なんか気にしないでね!」
海未「……凛…」
凛「海未ちゃんなら勝てるよ!だって海未ちゃんは凛達よりずっと…」 ピシャンッ
凛「えっ…」ヒリヒリ
海未「私を助けるよりもっとやることがあるでしょう」
海未「絵里を相手に“解放”すらせずに…」
凛「ご…ゴメンなさい……」ウルウル
海未「教えたハズです」
海未「仲間がやられたら好機だと思え」
海未「間に入るな」
海未「後ろから刺せ」
海未「それすらできぬ程敵との力量が隔たっているなら」
海未「その場で仲間は見殺しにしろ」 海未「それがスクールアイドルです」
凛「……………」
海未「分かったら解放ぐらいしなさい!!」
凛「にゃっ!?」ビクッ
凛「げっ、『月猫夜』…」カラカラ
絵里「自分の無能を棚に上げて凛に説教?」
絵里「嫌な先輩ね…」
海未「…μ’sは先輩禁止ですよ…」
絵里「揚げ足をとることばかり上手いのね」
絵里「本当に嫌な後輩だわ…」 海未「嫌なのはお互い様です」
海未「絵里……私はずっと…貴方への殺意を忘れたことはありませんよ…」
―
――
―――
絵里「でも、私は認めない」
海未「……」
・μ’sが七人の時代。公園のベンチに座る海未と絵里。傍らには亜里沙もいるが、二人の会話は聞いてはいない。
絵里「人に見せられるものになっているとは思えない」
絵里「そんな状態で、学校の名前を背負って戦って欲しくない」
絵里「話はそれだけ」スッ…
海未「待ってください!」 海未「じゃあ、もし私達がもっと強くなったら…」
海未「貴方を倒せるようになったら…認めてくれますか?」
絵里「無理よ」
絵里「私にとっては、スクールアイドル全部が素人にしか見えない」
絵里「一番強いというA-RISEも――――」
海未「…………っ」
絵里「素人にしか見えない」
海未「…貴方に……」
絵里「……」ザッ…
海未「貴方に私達のこと、そんな風に言われたくありません!」 あれから……
海未「なっ」
海未「なんですかこれは…!?」
海未(生徒会長の幼少期…バレエの型に基づいた戦闘の様子…!)ゴクリ
海未(次元が違いすぎます……!)フルフル
あれからずっと……
海未「悔しいですけど、生徒会長がああ言いたくなる気持ちもわかりました」
希「だから謝ろう思ったん?」
海未「いえ」
海未「闘法を教わろうと思いました!!」 ―――
――
―
海未「貴方に言われたあの時から、私のスクールアイドルを続ける目的は、ラブライブ!優勝でも、スクールアイドル最強を謳われるA-RISEの打倒でもありません…」
絵里「……」
海未「絵里!」
海未「貴方を地獄へ葬り去って、この私を認めさせることです!」
凛「海未ちゃん…」
海未「『い・く・よ』」
絵里「!」
海未「『負けないでね先の先は』」
海未「『雨上がりの青空だよ』」
海未「『雫がきらりはじけて』」 海未「縛道の七十三――『あ・の・ね・が・ん・ば・れ!』」
シュウウウウウウウウウウ
絵里(濃霧…目くらましね)
絵里「案外頭は冷えてるじゃない」
海未「伊達に凍ってたわけじゃありませんよ…」
凛「海未ちゃん流石!」
海未「凛!」
海未「2分……時間を稼いでください」
凛「…え……?」 海未「任せましたよ」
シュンッッ
凛「えっ、ちょっと……」
し〜ん…
凛「え〜〜〜っ!?」
カキィィィィン
凛「!」
凛(霧が凍って…)
パリイイイイイン 凛「あ…」
絵里「あら、お久しぶりね……凛…」
凛「あ…あはは……」
絵里「そして…そろそろお別れの時間よ」シュンッッッ
凛「ちょっと待って〜〜〜っ!!」シュンッッッッ
真姫「…………」
コチコチコチコチコチ…
真姫(大丈夫…凛の瞬歩はμ’s最速…絵里でも追いつけやしない)
真姫(不安があるのはスタミナ面だけど、2分ぐらいならなんとかなるハズ…) 絵里(海未が何を企んでるのか知らないけど…構わないわ)
絵里(今面倒なのは『勝三時計』持ちの凛…こっちを確実に仕留める!)
凛「ひぃ〜〜〜っ」シュンッッッッ…
絵里「…と言っても、流石に鬼ごっこでは分が悪いわね…」フッ…
絵里「久しぶりに…」
ブウン…
真姫「!」
真姫「あれは…!」
絵里「やっぱり、こっちの方が随分楽ね…」スイーッ
真姫(“飛廉脚”……!)
真姫(スクールアイドルになる前に生徒会長だった絵里は、当然“飛廉脚”も使える……!) 絵里「フフフ…」ブウンッ…
凛「!!」
凛「速い……!」シュンッッッ…
真姫(いや…スピードではあくまで凛が勝ってる)
真姫(でも宙の足場ごと移動する“飛廉脚”は、瞬歩より断然無駄がない)
真姫(平らなステージの上ならともかく、障害物だらけの市街地でこの差は大きい…!)
凛「くっ…」シュンッッ
真姫「凛!逃げてるだけじゃダメ!追いつかれるわ!」
凛「そんなこと言ったって…」
真姫「戦いなさい!何も倒せとは言ってないわ!」
真姫「ある程度牽制を入れて……このままじゃ追いつかれる!!」 凛「凛の弱っちい『月猫夜』なんかじゃ、何にもできないよ…」
真姫「馬鹿なこと言ってんじゃないわよ!花陽の犠牲を無駄にしたいの!!」
凛「―!」
花陽「」カチコーーーン…
凛「…かよちん……!」
絵里「とらえたっ!」ブウンッッ
凛「―ッ」グルンッ
絵里「!」
凛「『月猫夜』!!」バッ カランカランッ
絵里「…………」
凛「冷やし中華……の氷」
絵里「……」ジト…
凛「ま…まいどありだにゃ〜……」アハハ…
絵里「――」ブウンッ
凛「ひい〜〜〜っ!」シュンッッッッ
真姫(す…救いようが無い…!)
凛「こんなの不本意だにゃ〜〜〜っ!」 凛「もぉ〜〜〜っ!海未ちゃ〜〜〜んっ!!」
海未「…凛…全く…」ギュッ…
物陰から絵里と凛の様子をうかがう海未。
海未「また泣き喚いて…見苦しい…」ギュッ
海未「…帰ったら山頂アタック百連発です……」ギュウッ…
海未「……これでよし」
ギュウウウウウウウ…
海未「卍解―――……」ドオオッ… 星空凛―『月猫夜』
解号:「生まれ変われ」
形状:骨こん棒。
能力:食材をベースにラーメン(の一部)を作る。
みかんジュースをスープに変えたりといった無茶な料理はできない。 凛「うわあ〜〜〜ん!」シュバババッッ…
絵里「いよいよ万策つきたわね…」
絵里「フンッ!」ブウンッ
凛「ひいっ!」
コチコチコチコチコチ
真姫(追いつかれる…!)
凛「もうダメだにゃ〜〜〜!」
海未「絵里!!」ザッ
絵里「!」ピタッ
凛「海未ちゃん!!」パアッ…
凛「!?」 絵里「何……それは」
海未「卍解」
海未「『園田流雷公鞭』」ガシャアン…
凛「ばんかい…」
凛(海未ちゃんの卍解……初めて見る…)
絵里(右腕に巨大な……何?アレは?)
絵里(…ずいぶん重そうね……)
海未「凛も…よくこらえてくれました」ギュウウウウ…
絵里(それに『愛ばん』の夢の木と…『もぎゅ』で自分を縛ってる…)
絵里(足元のアレは『未来の花』で根を張ってる…?)
絵里(なんのためにあんなに自分に縛道を…) 海未「――――できれば」
海未「この卍解は使いたくありませんでした」
絵里「………何?」
海未「この卍解は私の弓道家としての矜持に反するのです」
海未「威力は絶大…紛うことなき一撃必殺です」
絵里「…………」
海未「しかしその様は」
ガシャアン
海未「“弓道”と呼ぶには派手すぎます」チュイイイイイン… 絵里「!!」
絵里(まさか、あれを直で飛ばす気!?)
絵里(弓っていうか、ミサイル――)
海未「はあっ!!」ドオォォン
絵里「くっ!」バッ
絵里「『永零智禍』!!」コオオオオ
海未「無駄ですよ!」ドヒュウウウウウウウ
カッ…
絵里「――――!」
チュッドオオオオオオオオオオオオオオン 希「!!?」グルッ
凛「爆発した!!」
凛「ってことは――」
真姫「凍ってない!絵里に届いたんだわ!」
モクモクモクモク…
海未「当然です…『園田流雷公鞭』の貫通力は花陽のお米の比ではありません…」
ハア…ハア…
海未「反動も大きすぎて…縛道を何重にもかけなければ撃った私が遥か彼方に吹っ飛ばされてしまう程ですからね…」
海未「…体力の消耗も……」フラッ…
凛「海未ちゃん!」シュンッッ
ガシッ 海未「ハァ…凛に介護されるとは…」
海未「私もまだまだ…鍛錬不足ですね……ハァ…」
凛「もぉ〜、海未ちゃんったら、また凛のこと子供扱いして…」
真姫「やった…やったわ……」
真姫「倒した……あの絵里を…!海未と凛がやったわ……!」
モクモクモクモク…
希「…えりち……」
凛「2分も時間稼ぐの、すっごく大変だったんだよ!」
凛「ラーメンの一杯ぐらい奢ってほしいにゃ〜」
海未「…その前に…山頂アタックですよ……」フフ… 園田海未――『神弓』
卍解:『園田流雷公鞭』
形状:ミサイル。
能力:特になし。 希「…………」
「殺し合いの最中によそ見ですか……」
希「!」
聖良「ずいぶん…余裕ですね……」ヨロッ…
希「…殺し合いしてるつもりはなかったんやけど」
聖良「ハァ…!?」
鞠莉「それはいくらなんでも…」ヨロッ…
ダイヤ「ナメすぎですわ……」ヨロッ… 希「…流石に、みんな強いなあ…」
希「普通なら一発KOなんやけどね」
希「そこの理亞ちゃんみたいに」
理亞「」
聖良「…理亞…」
ダイヤ(無理もありませんわ…かわいらしい見た目からは想像もできないこの威力)
ダイヤ(喰らったのがルビィでも同じことになっていたでしょう…)
希「まあでも、あと二三発って感じやね」
希「どうする?逃げれば見逃すよ」
ダイヤ「……っ!」
鞠莉「誰が…!」 聖良「余裕ぶってもダメです…」
聖良「絵里さんも陥落して…残るはアナタ一人」
聖良「もはやアナタ達の敗北は…」
希「…う〜ん…」ポリポリ
希「それはちょっと違うなあ」
三人「え?」
カッキイイイイイン
海未凛「!!」
真姫「なっ…」
真姫(爆発で巻き上がった煙が――凍っ――) パリィィィィィィン…
希「えりちは負けないよ」
希「なんたってえりちは……」
コオオオオオオオオ…
絵里「…………」
コチコチコチコチコチコチ…
凛「あっ…ああ…ああああ……」ガチガチガチ
海未「そんなっ…」
海未「そんな馬鹿な……!!」
希「無敵……やからね」 凛「なっ…なんっ…なんで…っ」
絵里「……理解できない?」
真姫(傷一つついてない……)
真姫(ありえない!!)ガタガタガタガタ
絵里「死とはそういうものよ」
海未(馬鹿な!!『園田流雷公鞭』が爆発したということは凍らされる前に着弾したということ!!)
海未(着弾した上で無傷!?いやそれはない!!)
海未(絵里の“鋼皮”の硬度は真姫ほどではないハズですし、たとえ真姫でも『園田流雷公鞭』を受けたら粉微塵に消し飛ぶに決まっています!!)
絵里「そう…これからあなた達が死ぬまで」
絵里「あなた達の頭で理解できることなんて何一つ起こることはないわ」 絵里「卍解」
ドドドドドドドドドドドドドドドドド
凛「ひいいっ」
真姫「―ッ」
海未「…馬鹿な…ッ」
コオオオオオオオオオオオ…
絵里「『賢可愛氷女王(エリーチカ)』」
to be continued… >>835
最後の台詞、エリーチカが言うとかっけーな 海未ちゃん卍解があの卍解だったから負けが見えてしまった… 月猫夜でラーメン屋してた方が身のためだった にゃ… 真姫「あれが……絵里の…卍解……」
海未(…忘れもしません……!)
絵里「………」シャラン…
海未(あの純白のバレエの衣装……)
海未(絵里の幼少期……エリーチカの戦闘の装束……!)
絵里「そう身構えなくていいわ」
絵里「私の『永零智禍』は……たぶんμ’sで最も始解と卍解の能力の差が小さい斬魄刀」
絵里「卍解しても気の利いた能力が増えるわけじゃない…」
凛「……っ」ブルブル
絵里「ただほんの少し――」 コオオオオオオオ
海未「!!」
絵里「冷気の速度と範囲が伸びるだけ」
コオオオオオオオオオオ
凛「にゃっ」シュンッッッッ
海未「くっ…」シュンッッッ
コチコチコチコチコチコチコチ
カスッ…
海未「!!」ピキ… 海未「う…」
ピキピキピキ…
海未「うああああああああ!!」ピキピキ
真姫「なっ――」
真姫(あの間合いから海未の指先に掠るなんて――)
凛「あっ…」ピキ…
凛(真姫ちゃんの『勝三時計』が……)ピキピキ
真姫「いいわ凛!!捨てて!!手まで上ってくる!!」
凛「くうっ!」ポイッ 海未「凛!!りーんっ!!!」
凛「――っ」グルッ
ピキピキピキピキ
海未「私の腕を斬り落としてください!!」
凛「海未ちゃん…!」
ピキピキピキ
海未「早くしなさい!!私を殺したいんですか!!!」
凛「っ!」
シュンッッッ
凛「うわああんっ!凛はこんなこと全然したくないのにー!」ブンッ 斬ッッ
海未「…………っ」
間一髪、凍りゆく海未の左腕は身体から斬りおとされた…。
凛「うう…心が痛いにゃ……」
ピッキイイイイイン
凛「!」
凛(海未ちゃんの左腕が…)
パリイイイイイイイイイイン
凛「〜〜〜ッ」ゾワア… 絵里「滑稽だわ」
海未「!」
コオオオオオオオオ…
絵里「海の名を持つあなたが、凍らされることに怯えるなんてね」
海未「…絵里…………!」ギロリ
真姫(ヤバいなんてもんじゃないわね……)
真姫(海未でさえ……凛でさえ完全には逃げ切れなかった)
真姫(誰もかわせない…誰も逃げられない……!)
真姫(それにさっきの海未の『雷公鞭』…あれを止めるなんて)
真姫(力ずくで冷気のバリアを突破して倒すのは絶対不可能だわ!!) 絵里「フフ…一息つく暇もないわよ」
絵里「ほら第二波…」ス…
海未「!!」ビクッ
コオオオオオオオオ
凛「まっ、また来たーっ!!」
海未「この私に二度同じ手が通じるとでも!?」バッ
海未「破道の七!『知らないLove*教えてLove』!」
絵里「…なな……?」
ヒュオオオオオオオ 凛「風だ!やった!冷気はこの激しい風にさらわれ…」
カッキイイイイイン
凛「な〜い!やっぱり風なんか一瞬で凍らされるだけだよ!」
海未「だから良いんですよ、凛」
海未「身体を包む風を一瞬で凍らせてくれるから良いんです!」バッ
真姫「あれは!」
海未「行きますよ絵里!!」
海未「私は逃げも隠れもしません!!」カッキイイイイン
真姫「凍った風をまとって冷気に突っ込んだッ!」
真姫「防火服を着て炎に突っ込む消防隊のように!!」 海未「触れれば凍る冷気ならば触れなければいいのです!」
海未「そして既に凍った“風の鎧”なら、凍ることはありません!もう凍っているのですから!!」
真姫(上手い!鎧と身体の間にわずかに空気の隙間を作ってる!)
真姫(あれなら身体が凍って身動きがとれなくなることはないわ!)
ヒュオオオオオ
真姫(それに海未自身が盾になって防いでるから、背中に吹く風は凍らない!)
真姫(その風を推進力にしている!)
凛「いっけー!」
絵里「…くだらない発想ね」
絵里「神風特攻……二つ欠陥があるわ」
コオオオオオオオ 絵里「一つ…“凍ったものは凍らない”……氷が氷以上にならないという意味ではその通り」
絵里「だけど……」
カチコチ…
海未「……!」
ズシイ…
凛「氷の鎧がどんどん大きくなってる…!」
絵里「氷の鎧は凍らなくても、その周りの空気は凍っていく」
絵里「つまり鎧は際限なく大きく、重くなっていく」
海未「……ッ」ズン…
真姫(海未のスピードが段々遅くなってる…)
絵里「しまいに動けなくなれば、中のあなたは凍らされてるのとなんら変わりないわ」 凛「海未ちゃん!」
海未「問題ありません!」
海未「このペースなら、動けなくなる前に射程距離内に到達できます!」
絵里「そして二つ目…」
カチコチカチコチコチ
海未「っ!」
海未(なっ…凍るペースが一気に……!)
真姫(加速度的に速くなっている…!)
絵里「私の冷気の“冷やす力”は等しくないということよ」
絵里「私の身体に近づけば近づくほど“冷やす力”は強くなる」 絵里「太陽に突っ込むようなものよ」
絵里「中心まで……私まで届くことは決してない」
ミシ…
海未「あと少し…っ」
海未「あと少しで私の射程距離なのに……!」
真姫「…ダメだわ……もう…ッ」
ピタ…
凛「と…止まっちゃった……!完全に…!」
絵里「だから『永零智禍』は無敵だと言うのよ」 絵里「ミサイルだって止められるのに、あなたのやけっぱちな突進ごとき止められないわけがないでしょう?」
海未「…私の方は、別にあなたの身体に触れるまで届かなくて良いのです…」ピタ…
海未「ただ…“射程距離”内に入れれば…」
絵里「あらそう。なんでもいいわ。とにかくもう終わり」
絵里「あなたはもう1ミリたりとも前に進めない」
海未「もう少しなのに…っ何故…」プルプル
絵里「そういうものよ…何をする気だったか知らないけど」
絵里「決定的な“もう少し”は得てしてどうしようもなく遠い」
絵里「これが私とあなたの実力の距離――」
絵里「というには余りに近すぎるわね……フフ…」
ズ…
海未「―!」
絵里「え?」 ズズ…
絵里(海未が前進――なんで――)
「よくわからないけど…」ズズ…
海未「貴方―!」
真姫「あとちょっと近づけば本当に絵里を倒せるんでしょうね!?」グググ
絵里「真姫!背中から押している!」
絵里(背中は冷気の死角になる!凍る速度はこの距離でもやっぱりまだ遅い!)
絵里(とはいえ――)
真姫「この私が捨て身でサポートしてあげたんだから…」ピキ…
海未「真姫…!」
真姫「負けたら承知しないわよ――」ピキピキピキ 真姫「」カチコーーーーン
凛「真姫ちゃーん!」
絵里(プライドの高い真姫が身を呈して――)
海未「貴方の覚悟を無駄にはしません!」バッ
絵里「くっ――」シュ…
海未「遅い!!」
海未「縛道の九十八!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
絵里「……!」
海未「『乙姫心で恋宮殿』!!」 絵里(九十番台詠唱破棄―!)
絵里(本当に……)
ギイイイイイイイイ…
絵里「…………」
バッタアアアン!
巨大な宮殿が何重にもなって絵里を一人包み込んだ……。
絵里「…フン」
シィン…
絵里「こんなもので私を閉じ込められるとでも思っているの?」
絵里「まだ私の力が分かっていないようね…」ス…
「この『恋宮殿』は……貴方を閉じ込めるためのものではありません」
絵里「!」 海未「さっき貴方は…冷気を縦に伸ばして、ミサイルの勢いを極限まで減衰させ――」
海未「最後は分厚い氷の盾にでも着弾させたんでしょう…だからミサイルは爆発もしたし貴方は爆風からも身を守れた」
絵里(壁の外側…隣の部屋?から…)
海未「だったら」
ギイイイイイイ…
絵里「!」
絵里(扉が開いて…)
海未「その一撃を、この至近距離から、爆風を全く逃がさない場所で浴びせられたらどうでしょう?」チュイイイイイン
絵里「…この素人風情が…ッ!」
海未「『園田流雷公鞭』」ガシャアン
海未「やりなさい」
カッ… ズッドオオオオオオオオオアアアアアアアアン
凛「!!」
パラパラパラ…
凛「スゴイ音…」
凛「海未ちゃんの『雷公鞭』が成功したんだ……!」
バラバラ…
凛「一発で『恋宮殿』がボロボロに……ほんとにスゴい威力だにゃ…」
凛「やった…よね?今度の今度こそ…!」
ピキピキッ
凛「えっ」
「調子に……」
凛「ちょ……ちょっと…冗談でしょ…っ」ブル… 絵里「調子に乗るんじゃないわよ……」
カッキイイイイイイイン
凛「こんなの反則だにゃ〜〜!!」
絵里「ド素人が…ッ!」ハアハア
凛「あの距離からミサイルを完全に凍らせて止めたっていうの!?」
凛「ありえない…!!」ガタガタ
絵里「詰めが甘い…甘すぎるのよ!」
絵里「一発目の『雷公鞭』を受けたときの私は始解!今は卍解!!」
絵里「卍解した私が全身360度に纏って伸ばす冷気の…ほぼ全てをこうやって前に持ってくれば!!」
絵里「至近距離からのミサイルだって受け止めることはできるのよおお!!」
海未「……なるほど…」 海未「ならば今の貴方の背中はガラ空きということ」
海未「いくらでも…」シュンッッ
絵里「人の話ぐらいちゃんと聞いてなさいよ!」
絵里「だから素人なのよあなたは!!」
コオオ…
絵里「私は“ほぼ”全てって言ったの!」
絵里「薄っぺらだけど背中にもあなたのケチな攻撃を受け止められるぐらいの冷気は残してあるわ!」
海未「……」
絵里「ここにもう一発『雷公鞭』を打てるっていうんならそりゃ止められないけど!」
絵里「無理無理無理よね…二発でも相当無理してる…それは分かってるのよ!」 海未「だから貴方はポンコツなんですよ」
絵里「…はあ?」
海未「人の話ぐらいちゃんと最後まで聞きなさい」
海未「私はこう言いかけたんです」
海未「今の貴方の背中からいくらでも――」
ス…
海未「近づける…ってね」
絵里「ポンコツはどっちよ!?近づいてどうするっていうの!?」
絵里「いくら近づいても私の身体に届くことは決して――」
海未「射程距離ですよ」 海未「“この技”は発動さえすれば必殺ですが射程距離がごくごく狭い…こうやってすごく近づかないと発動できないのです」
海未「待っていましたよ………この時を!ずっと!」
絵里「なんでも一緒よ!どんな技もどんな攻撃も私には届かないんだから!」
絵里「一から十まで百まで千まで!凍ってくだけるだけなのよ!!」
海未「…本当にそうでしょうか?」
ギュル…
絵里「!!!」
海未「確かに外から放つ攻撃なら貴方を纏う冷気に凍らされるだけでしょう」
海未「でも“内側”からなら…?」
ギュルルルルルル
絵里「これは…まさか……ッ」
海未「縛道の六十三―――『勇気のReason』」 不思議、熱くなる!
踏み出したらもう走らなきゃ
絵里「ああッ!」
みんなこうなっちゃうの?
高まってく
ギュルルルルル
ああ止まらない
絵里「あああ〜ッ!」
やってみたいと思う事を数えながら進むよ
絵里「ああああああ〜〜〜〜ッ!!」バタバタ ギュルルルルルル…
絵里「許さない許さないわ!ド素人が!!」
絵里「この期に及んでこんなふざけた技――」
海未「ふざける?馬鹿言わないでください」
海未「この『勇気のReason』は、私の“持ち歌道”です」
絵里「…………」ギュルルルル
寄せては返して輝く波を私は見ていた
海未「貴方を倒すことを願い続けた私の――そして“歌道”のプロフェッショナルである私の」
知らない世界へ飛び込む勢い
海未「れっきとした最後の切り札…………無敵の貴方を殺す、必殺の一手です!」
絵里「………ッ」フルフル 絵里「………も…もう…」ブルブル
海未「ふざけてるのは貴方の肛門だけですよ」
私のなか
海未「――『生まれたReason why now?』」
絵里「認めないいイイイイ!!認められないわああアアアアアア!!」
ブッチブリブリブリブリイイイイ!!!
凛「うっわあ…」
海未「決着です」 カキイイイイン
海未「!」
パリイイイイン
絵里「」ガクッ…
海未「……」
海未「最後の力で、自分のウ…排泄物だけはこの世から消し去りましたか…」
サラサラ…
海未「ポンコツは撤回します」
海未「絵里…確かに貴方は、私がずっと目標とした、誇り高い戦士でした」
凛「さすがにフォローに無理があるにゃ〜」 絢瀬絵里――『永零智禍』
卍解:『賢可愛氷女王』
形状:なし。(本体はバレエの衣装に変わる)
能力:瞬間冷凍。 ルビィ「梨子ちゃん、どこにもいないね…」
花丸「もう残ってるのは…」
・音の木坂学院にて、梨子を探すAqoursの一年三人。
善子「ここだけね」
ドドドドドドドドドドド
『図書室』
ルビィ(何か感じる……この部屋の中…)
花丸(“誰か”が……いる?)
善子「開けるわよッ!」
ガララッ! 善子「!」
花丸「!」
ルビィ「!」
梨子「あ……」クルッ…
花丸「り…」
梨子「花丸ちゃん…ルビィちゃん…それに……」
善子「リリー!」ダッ
ハグウッ
梨子「…善子ちゃん…」ナデ… 善子「バカバカバカ!どこ行ってたのよ!」
善子「心配………したんだから」ギュッ…
梨子「…ごめんね……」
梨子「絵里さんが健在のうちに居場所がバレちゃうと危ないから…」
花丸「絵里さん…」
花丸「!」ハッ
ルビィ(絵里さんの霊圧が消えてる…!)
ルビィ「お姉ちゃん達、勝ったんだぁ!」パアッ…
梨子「…ダイヤさん達にも……後でちゃんとお礼言わなきゃな」
善子「………」ギュウウウ…
梨子「みんなも…私のために本当にありがとう」 梨子「そして」
ズンッ
善子「――っ」
花丸ルビィ「えっ」
ブッシャアアアアアアアア…
梨子「さよなら」
善子「………………」
善子「………………………?」ズキン…
シャアアアアアア…
善子「嘘」 ドシャアアッ
花丸「善子ちゃん!!」
梨子「………」チラ…
ルビィ「え、あ…え、……なんで」
花丸「善子ちゃん!善子ちゃんっ!!」ユサユサ
善子「」
ルビィ「梨……子…ちゃん」
梨子「………」チラ… シュンッッ
ルビィ「!」
斬ッ 斬ッッ
ルビィ「――っ」
花丸「…………っ!」ユラ…
ドシャシャア!
梨子「…………」
し〜ん…
梨子「フン」
スタスタ… 桜内梨子――『桜内』
解号:「叫べ青春」
形状:桜色の日本刀。
能力:斬ったものの“支配権”を奪う。 適用範囲は狭め。 希「………………」
絵里「」
希「…えりち……」
聖良「感傷に浸っているヒマはないですよ」
聖良「アナタもすぐああなります」
希「……………」
聖良「それとも降参ですか?って」
聖良「させると思いますか?私が――」チャカ…
希「…ごめんね聖良ちゃん」 ギアアアアアッ
聖良「!!?」バッ
希「時間や」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
突如空間が裂ける。その狭間に巨大な霊圧が1人――――。
鞠莉「…あれは――」
シュンッッッッ
斬ッッッ 鞠莉「なっ…」ブシャアアッ
ダイヤ「鞠莉さ――」
グサアアアッ
ダイヤ「――っ!」ブシャアアアア
シュンッッッッ…
ダイヤ「…馬鹿な……」ガク…
聖良「…っ!」
聖良「『雪天狂骨』!!」ジャギイインッ
のんたぬ「クゥ〜ン…」スリスリ
聖良「!!」 ドッカアアアアアアアアアン
希「“梨子ちゃん”がね……」
モクモクモクモク…
希「もう、待てなくなっちゃったみたいなんよ」
「何よ、絵里のやつ、負けたワケ?」タンッ…
海未「…………」
凛「え?え?え?」
にこ「ざまあないわね…」 凛「にこちゃん……なんで…」
海未「…どういう事です?」
にこ「Aqoursは敵、だから斬った」
にこ「なんか疑問の入る余地ある?」
海未「大アリです」
海未「にこ、貴方は『スクールアイドルの戦いは挨拶から始める』が信条のはず…」
海未「らしくないですよ」
希「……」
海未「そして…こっちはもっと大問題です」
海未「貴方の“瞬歩”…………そんなに速かったですか?」
にこ「…………」
海未「何か……不純な力を……何者かから与えられたかのような……」 にこ「ちいッ」
にこ「面倒だわ…」
シュンッッッッ
海未「―!」バッ
ガキイイン!
凛「にこちゃん!?何を――」
にこ「ま…当然受け止めるわよね?」
海未「…大手を振って訊けますね」
ギリギリギリ…
海未「どういう事です?」 にこ「知る必要のないことよ」
にこ「これから死ぬアンタ達にはね」
海未「…あらゆる意味で……正気の沙汰ではありませんね」
にこ「…………」
海未「自分の“序列”を忘れたんですか?」
海未「私は“3”、貴方はドンケツの“9”」
海未「下駄の一つ二つ履かせてもらったところで格が違います」
海未「“3”が“2”を倒すのとはワケが違いますよ……」
にこ「μ’sの力の数字が1から9だって誰か言った?」
海未「は?」
ス…
にこが首元を見せる。そこには確かに“9”の刻印……。 スウウ…
海未凛「!!」
ドドドドドドドドドドドド
“9”の字の下半分が消え、にこの首元には上半分だけが残る……。
凛「あれは……」
海未「丸…?いや、まさか……」
にこ「ミューズの力の序列は0から8よ」
海未「ゼロ………!?」 にこ「私は“あるもの”の大きさが変わることで数字の変わる唯一のミューズ」
海未「大きさ…?」
海未「…何も…特に変化があるようには見えませんが」
にこ「せっかちね、これから変わるのよ」
にこ「そしてその力でアンタ達は死ぬことになる…」スチャ…
海未「…卍解ですか……望むところ…」
にこ「卍解?ハッ、笑わせんじゃないわよ」
にこ「梨子様は卍解なんかよりもっと素晴らしい力を私にくれたのよ…」
海未「…梨子様…?」
にこ「帰刃(レズレクシオン)」
にこ「『伊達女子道…………増胸(まさむね)』」 ズオオオオオオオッ
海未「!!?」
凛「えっ――――」
ドドドドドドドドドドドドドドド
にこ「……………………ハ」
希「…………」
にこ「ハハハ…」
ぼいんっ
にこ「ハハハハハハハハハハハハ!!」ボインボイン
凛「にこちゃんのおっぱいが大きくなってるゥ〜〜〜ッ!!」 レス数が900を超えています。1000を超えると表示できなくなるよ。