穂乃果「卍解」千歌「なん…だと…」
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???「この辺りですか…」 一月十八日。午後二時二十三分 金曜日 ???「――成程…強い魄動を感じます…。」 斯くて刃は振り下ろされる。 真姫「…『勝三時計』…」チャリン… スウウウ… 時がまき戻り、もげた真姫の腕は無事くっついた。 曜「よかった…」 千歌「……」ジト… 果南「いや〜、よかったよかった」 果南「おかしな話だけど、な〜んか悪いことしたな〜って気になっちゃったもん」 真姫「……」ムス… 果南「…でも、10年後の肉体?だっけ?」 果南「終わっちゃったね」 真姫「…………」 果南「大丈夫?真姫ちゃん」 果南「まだやれる?」 真姫「――ッ」 真姫「当然でしょ!」 果南「そうこなくっちゃ」ニヤリ 真姫「…………」 真姫(気にいらない…) 真姫(…揃いも揃って…) 真姫(この私を上から見下ろすその感じ……) 曜「……」 果南「再開…」ザッザッ… 真姫(全く……気に入らないわ…………!)グッ… ― ―― ――― 凛「真姫ちゃん、またにこちゃんと喧嘩してたねー」 真姫「別に、喧嘩っていう程じゃないわよ」 ・まきりんぱな。在りし日の帰り道。 真姫「ただ意見の相違があったから、ぶつかってみただけ」 真姫「グループの成長の為には絶対必要なことよ」 花陽「そうだね」 花陽「でも、私は真姫ちゃんほどハッキリは自分の意見を言えないから…真姫ちゃんは本当にスゴイと思う」 凛「凛もそういうの苦手だなー」 花陽「どうしたら真姫ちゃんみたいになれるのかな…?」 真姫「……別に」 真姫「なる必要があるとは思わないけど」 真姫「私は…………」 凛「……」 真姫「………………」 花陽「…私、は……?」 真姫「気に入らないのよ」 凛花陽「え?」 真姫「学校で、上級生が下級生の上に立つのが」 凛花陽「…………」 真姫「それだけよ」プイッ ――― ―― ― 真姫「ハァ……ハァ…ハァ…」 果南「粘るね…」 果南「とうっ!」ブンッ ボゴオッ 真姫「ぐうッ!」 真姫「………ッ」ヨロロ… 千歌「よし!もう完全に果南ちゃんのペースだ!」 千歌「勝てる!」 曜「……真姫ちゃん…」 真姫(気に入らない…………) 果南「次で終わりかな…」 真姫「気に入らないのよ!!」ドオッ 曜千歌「!!」 果南「おっ」 真姫「卍解!!」バッ ドオオオオッ 曜千歌「!」 ゴゴゴゴゴ… 真姫の背後―――大地を割って、人間大のメトロノームが出現する。 果南「そっか、まだそれがあったね」 果南「卍解…」 真姫「『勝三時計2式巻巻(かつさんどけいにしきのまきまき)』」 果南「スクールアイドルの最終奥義、卍解…………」 果南「曜はともかく、鞠莉やダイヤでも出来るんだもん」 果南「そりゃ真姫ちゃんもできるよね」 真姫「…………」 果南「どんな能力なのかな?」 真姫「…能力は……使わない」 果南「え?」 真姫「私の卍解は始解と同じで、直接、戦闘の武器にはならない…」 真姫「そのぶんとびっきりの能力を持っているけど…」 真姫「とにかく、その能力は使わない!」 真姫「私が頼みにするのはこの―――膨れ上がった霊圧だけ!!」ドオオオオッ 曜「ッ!!」 ドドドドドドドドドドドドドド 千歌「あ…あ……っ」ガクガク バリイイイイン 曜「!!」 千歌「なっ…」 バリイイン バリイイイン 千歌「空が…ガラスみたいに割れてく……」 曜「“空”じゃない」 曜「“空間”が……」 バリイイイン バリィィン バリィィィン… 曜「余りの霊圧に、次元そのものが崩壊してるんだ……!」 千歌「…そんな……ッ」 バシャッ… 曜「…………ッ」ブルッ… バシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャッ 曜(限界か……この『守護胎』も……ッ)ブルブル 曜「果南ちゃん!」 果南「…オッケー…」ザッ… 真姫「……………」 果南「終わらせるよ」 真姫「こっちのセリフよ…!」 果南「来なよ」 果南「真姫ちゃんの全力、受け止めてあげる」 真姫「…この霊圧を見て、まだ……」 ドドドドドドドドドドドドドド 果南「ほら、早く」 真姫「そういうところが気に入らないのよ!」ブンッ グワキインッ 真姫「―!」 果南「……」グ… 真姫「…………ッ」 果南「……知ってる?」 ハグウッ 真姫「ッ!」 真姫(捕まっ――) 果南「ハグっていうのは、片手で抱くより両手で抱くほうが強いんだって」 真姫「ハァ!?」 真姫「そんなの当たり前――」 果南「知らないでしょ?」 果南「どれぐらいスゴいのか…」グ… ミシ… 真姫「……!」 果南「お休み」 めぎょッッ 真姫「――――」ユラ… ドシャアッ 真姫「」 果南「楽しかったよ、真姫ちゃん」ニカッ 穂乃果「…真姫ちゃん……」 海未「全く…ッ」グッ… 海未「その狂いに狂った霊圧は飾りですか……!」 絵里「…あなたは人を責められる立場じゃないでしょう?」 希「…いよいよ…残りはこの四人だけやね……」 希「どうする?梨子ちゃんの逃走でちょっと状況が変わったけど…」 絵里「…勢いに乗る敵さんを甘んじて待つのもつまらないわね」 海未「だったらどうします?」 絵里「がら空きの“城”を落としましょう」 絵里「希」 絵里「『純愛レンズ』でAqoursとつなげて。向こうにもわかるように」 希「八人みんなとでいい?」 絵里「面倒だからそれでいいわ」 希「りょーかい」 絵里「穂乃果は結界を」 穂乃果「『ORION』だね!」 海未「歌道なら私が……」ス… 絵里「遠慮しておくわ」 絵里「また破られたら敵わないもの」 海未「…………」 穂乃果「いくよ…」ブウン… 穂乃果「『冬の星座よ私に』」 穂乃果「『ちからをください』」 シュインシュインシュインシュイン… 果南「!」 千歌「なに!?」 曜「星……が……町の周りを……」 穂乃果「『出口のないオリオン座へあなたを誘って』」 穂乃果「『ふたりきりの夜空で恋を確かめたい』」 穂乃果「『ほかに誰が必要なの?』」 穂乃果「『私以外は』――」 シュインシュインシュインシュイン… ルビィ「これって…」 善子「ラグナロク!」ギランッ 花丸「違うずら」 穂乃果「縛道の九十七――――」 ギャイイイイイン Aqours「!!」 穂乃果「『NO EXIT ORION』」 穂乃果「また疲れた〜!」ヘター 絵里「ご苦労様」 海未「ふむ…成功ですね」 鞠莉「ちょっと、コレ、どういう…」 ギャイイイイン… 鞠莉「出られない!?」 鞠莉「もしかして、閉じ込められた!?」 ダイヤ「縛道をかけられましたわ…」 ダイヤ「この町全体に………!!」 鞠莉「ハァ!?」 「少し違うわね」ブウン… ダイヤ鞠莉「!」 絵里「始めましてね、Aqours」 絵里「絵里です」 鞠莉「これは…映像通信!?」 ダイヤ「…エリーチカ…」 絵里「おかしいとは思わなかったの?」 絵里「通行人1人いない――」 絵里「私達が大暴れしているのに、騒ぎも起きないこの“町”に」 ダイヤ「…………」 絵里「この町はあなた達を迎えるために予め音の木の座標に設置した作り物の町」 絵里「端的に言えばレプリカよ」 鞠莉「な……」 絵里「そして今、このレプリカはあなた達を閉じ込めることで役割を完遂する……」 絵里「わかるかしら?」 絵里「あなたたちのこれまでの戦い全てが、この為の隙となったのよ」 ダイヤ「エリーチカ!!」 ダイヤ「梨子さんはどこです!?私たちの大切な仲間を――」 絵里「こちらが聞きたいわ」 絵里「それが分からないから、あなた達にお願いしようと思って」 ダイヤ「…は……?」 絵里「梨子にも伝えてもらえる?」 絵里「私たち四人は今から、内浦に侵攻する」 Aqours「!!」 曜「な……」 千歌「何を………」 絵里「学校も護れなかったあなた達に、果たして内浦が護れるのか……」 絵里「見物だわ…」プツ… 千歌「待っ――」 シィン… 千歌「……………ッ」 果南「切った、ね」 鞠莉「これ…」グヌヌ ギャイイイイン… 鞠莉「どうにかできないのダイヤ!?」 鞠莉「自慢の“舞武天盾”で――」 ダイヤ「無理ですわ。流石に規模が違いすぎます」 ダイヤ「加えて言うなら、貴方の卍解でも、果南さんでも、そして曜さんでも無理でしょう」 ダイヤ「九十番台の縛道は八十番台以下とは次元が違いますからね」 ダイヤ「解除する方法があるとすれば一つだけですわ…」 鞠莉「何を落ち着き払って…」 ダイヤ「急いても事は好転しないでしょう」 ダイヤ「鞠莉さん」 ダイヤ「私はこれからある方と交渉してみます」 鞠莉「…交渉……?」 ダイヤ「話がつくまでに、貴方は他の六人を集めて――」 鞠莉「そんなヨユーこいてていいの!?」 ダイヤ「一定の猶予はあります」 ダイヤ「こういう展開もあり得ると――という程想定通りではありませんが――」 ダイヤ「とにかく、予め内浦にも結界を張ってきました」 ダイヤ「ですからそれが破られるまでは……」 鞠莉「そんなの、あの穂乃果たちにかかればソッコー破られちゃうでしょう!?」 鞠莉「このままじゃ私たちまた――」 ダイヤ「大丈夫です!!」 ダイヤ「暫くは――――」 鞠莉「え…………」 ダイヤ「戦争にあたって、本拠地は最大の要点であり急所ですわ」 ダイヤ「そんな大事な場所に、誰も配備していない訳があると思いますか――?」 ・内浦。 ベリベリベリベリ… 穂乃果「うわぁ〜、綺麗な海!」 海未「なっ、なんです急に…」カアア 穂乃果「いや海未ちゃんじゃなくて、海!」 希「“お送り”ありがとね、海未ちゃん」 希「やっぱり、海未ちゃんの『どんとき』が一番快適やん」 海未「当然です」ドヤ 絵里「三人共、気を引き締めなさい」 絵里「観光に来たわけじゃないのよ」 「μ’sの皆さん、ですね――――」ザッ… 四人「!」 「お待ちしてました!」 ダイヤ「ちゃんと――腕利き共を用意していますわ」 月「初めまして!曜ちゃんの従妹の、渡辺月です!」 月「よーろしくー!」ケイレイ 理亞「遊びじゃない…!」グッ 聖良「ラブライブ!ですからね―――」 絵里「…………」 聖良「こういう事もあります」 to be continued… 希「…えっと……あなた達は…」 聖良「Saint Snow、鹿角聖良」 理亞「Saint Snow、鹿角理亞…」 穂乃果「せいんとすのー…」 海未「思い出しました。花陽に聞いたことがあります」 海未「確か北海道ナンバー1スクールアイドルで…」 聖良「ハイ」 海未「Aqoursとはライバル、でしたっけ?」 理亞「…ライバル……」 聖良「まあ、良いですよ。ソレで」フッ… 海未「で、その貴方たちがどういう了見で私たちの前に立つのです?」 月「それは、君たちがどういう了見で僕達の前に立つのか、によるかな」 絵里「…………」 月「平和的に解決できると、嬉しいんだけど」ニコニコ 希「…平和的、かァ〜…」 海未「ご安心を」ザッ… 穂乃果「!」 海未「戦いと言うほどのものにはなりません」 海未「身の程知らずの首三つ……秒で転がして終わりです」 真姫「ん……」パチクリ… 千歌「あ」 真姫「ハッ!」ガバッ ルビィ「ピギイッ!」ビクッ 鞠莉「グッモーニ〜ン♪」ヒラヒラ 真姫「…これは……」スクッ… 曜「気分はどう?」 真姫「!」 曜「私の“回道”は半端だから…ダイヤさんみたいに、何もかも全快!ってワケにはいかないけど…」ニコニコ 真姫「……………」 真姫「…そういう…」 善子「本当に大丈夫なんでしょうね…」ヒソヒソ 花丸「いざとなれば曜ちゃんがとめてくれるずら…たぶん」ヒソヒソ 真姫「呆れた」ハアーッ 曜「え?」 真姫「どういうつもり?」 曜「だって真姫ちゃんにはホラ、私たちも助けてもらったから…」 真姫「そういう問題じゃないでしょ!」 真姫「さっきの私のとは明確に状況が違うわ!」 真姫「私は自分が戦いたいから貴女たちを治したんであって…」 真姫「貴女は私を甦らせて、また戦いたいワケ!?違うでしょ!」ビシッ 曜「それはモチロン、戦いたくないけど…」 真姫「だったら――」 「あれー!?真姫ちゃーん!」 真姫「!」 七人「!」 花丸「この声は…」 凛「なんで真姫ちゃんがAqoursのみんなといるのー!?」 曜「星空…」 千歌「凛ちゃん!?」 「千歌さん!!スゴい!生きてたんですか!?」 千歌「!!」 千歌「チョットチョットチョットチョット…」 ルビィ「凛ちゃんとくれば、モチロン――」 花陽「曜さんも!花丸ちゃんも!善子ちゃんも!ルビィちゃんも!!」 花陽「三年生の小原鞠莉ちゃんに松浦果南ちゃんまで!」 花陽「最初の梨子ちゃん以外1人として欠けてない!スゴすぎる!スゴすぎますよコレは!!」 曜「花陽ちゃん…なんで…」 曜「数日はお米の状態から戻れないんじゃ……」 千歌「どーでもいいよそんなことは!」 千歌「ここで会ったが百年目――」 ダイヤ「私が“戻した”のです」ザッ… 千歌「!」 鞠莉「ダイヤ!」 ダイヤ「お待たせしましたわ」 ルビィ「お姉ちゃんが戻したって…」 千歌「どういう…」 ダイヤ「花陽さんと協定を結びました」 千歌「…なん……だと…!?」 ダイヤ「花陽さんに、この『NO EXIT ORION』を“詠唱”で正面から解除して頂く」 ダイヤ「代わりに、私が花陽さんと凛さんの傷を戻して、内浦に――最終決戦の場に連れて行く――そういう交換条件ですわ」 果南「解除?できるの?」 花陽「完全には無理ですけど、一時的に解除して皆さんを抜けさせるぐらいなら…」 凛「『ORION』は、かよちんと穂乃果ちゃんとことりちゃんの、三人の持ち“歌道”だもんね!」 千歌「ちょ、ちょっと待ってよ!」 千歌「手を組む!?花陽ちゃんと!?」 ダイヤ「そう言っているでしょう」 千歌「ダメだよそんなの!ダメ!ぜ〜ったいダメ!」 千歌「だって花陽ちゃんは私たちの浦の星を、輝きを――」 ダイヤ「千歌さん」 ダイヤ「詳しい話は存じませんが…敵の花陽さんと組むことに抵抗があるのはわかります」 千歌「敵っていうか、仇…」 ダイヤ「が、今は手段を選べる状況ではない――ソレもわかりますよね?」 ダイヤ「内浦と、そして梨子さんが懸かっているのです」 千歌「……!」 ダイヤ「悪を倒すのに悪を利用することを、私は悪だとは思いませんわ」 花陽「悪って…」アハハ… 善子「それより!条件の二つめ!」 善子「内浦に連れてくって…それって結局……」 花陽「いいえ!」キッパリ 花陽「信じてもらえないかもしれませんが…私は穂乃果ちゃん達と皆さんの戦いには手出ししません」 花丸「でも、じゃあなんの為に?」 ルビィ「スクールアイドルの戦いを、目の前で見たいから」 花陽「!」 ルビィ「ですよね?」 花陽「ドンピシャリです!」ニッコリ 果南「まあ土壇場で裏切られたとしても、ここから出られない今の状況よりはマシだしね」 ダイヤ「そういうことですわ」 真姫「…知らないわよ…勝手なことして」クルクル 凛「で、真姫ちゃんは何してたのー?」 凛「…もしかして負け…」 真姫「ムウッ!」ベシッ 凛「いたっ…なにするのー!?」 真姫「私が負けるワケないでしょ!」 果南「負けたよね」 凛「シャー!」 鞠莉「じゃあ、花陽!早速だけど…」 花陽「ワカりました」ス… 凛「真姫ちゃんはどうする?凛たちと一緒に来る?」 真姫「…私は別に……」 凛「へ〜真姫ちゃん逃げるんだ〜」ジトー 真姫「なっ!?行くわよ!行けばいいんでしょ行けば!」 ダイヤ「騒がしいですわね…」 千歌「ロクなことにならないよ…絶対……」ブツブツ 花陽「『夜明けの陽が登れば恋は消えてしまう?』――……」 星空凛―『月猫夜』 解号:「生まれ変われ」 形状:骨こん棒。 能力:食材をベースにラーメン(の一部)を作る。 みかんジュースをスープに変えたりといった無茶な料理はできない。 小泉花陽―『炊込地蔵』 解号:「踏み出せ」 形状:しゃもじ。 能力:大量のお米を生み出し、自在に操る。 お米には特殊な品種改良が重ねられている。 穂乃果「…海未ちゃん、やる気満々だね…」 希「色々、溜まってるみたいやね」チラッ 絵里「……」 聖良「私達3人を1人で相手するつもりですか?」 海未「貴方達程度の相手に、2人目が要るように見えますか?」 理亞「…ッ」 月「アッハッハ、ナメられてるね〜」 海未「貴方が一番場違いですよ、月」 月「厳しいね」 月「その心は?」 海未「決まっているでしょう」 海未「セイ…………北海道の二人はともかく」 海未「月、貴方はスクールアイドルですらない」 月「……」 聖良「Saint Snowですよ、海未さん」 海未「すなわち“瞬歩”も“歌道”も斬魄刀も使えぬということ」 海未「そんな素人が仮にもスクールアイドルの最高峰といえる私を相手に……」 月「素人、ね…」ブウン… 海未「!」 希「へえ…」 月の足が地面を離れ、そのまま身体は宙に浮かびあがった。 穂乃果「あれは…」 海未「ホウ…飛廉脚ですか」 月「よーくご存知で」 穂乃果「ひれんきゃく?」 絵里「“生徒会長”が集会で速やかに壇上に上がる為に用いる、霊子を足場に固めて移動する歩行法よ」 穂乃果「生徒会長の?私使えないよ?」 絵里「ハナから“瞬歩”が使えるんだもの。いらないでしょ」 月「霊子を扱うのはスクールアイドルの特権じゃないよ」 月「例えばホラ」スウ… 月「これだって…」キュッ… 月の指先から“糸”が伸びる。 海未「“乱装天傀”…」 月「静真の部活動は優秀でね」 月「“手芸部”だって全国レベルなんだよ」 海未「貴方、手芸部なんですか?」 月「全ての部活動の頂点にあるのが僕ら生徒会…」 月「会長ともなれば、下にある全部活の技術を一通りは使えないとね」 海未「なるほど、愚問でした」 シュンッッ 海未「!」 聖良「――」ブンッ 海未「フン!」バッ スカッ 聖良「躱しますねえ!」 海未「不躾ですね、話をしている最中に……」 聖良「すみません、我慢できなくて」 聖良「聞いているだけじゃヒマなんですよ…」 「『DROPOUT!?』」 海未「!」 ブワアアアッ 頭上から、海未が闇に飲み込まれる。 聖良「貴方もですか、理亞」ニヤリ 理亞「…これで園田海未は終わり…」タンッ… 月「僕まだ何にもしてないんだけど」アハハ… 海未「破道の四十六、『No brand girls』」 カッ 三人「!」 海未「他愛ない…」ザッ… 理亞「なっ…」 月「闇を吹き飛ばしたね…」 「とうっ!」シュンッッ 聖良「!」バッ ガキイイン! 理亞「姉様!」 聖良「…案外余裕がないんですね」ギリギリ… 聖良「μ’sたるもの、もっと堂々と構えてくれるものだと思ってましたけど」 希「ごめんね、我慢できなくて」 希「見てるだけじゃヒマなんよ」ニシシ 聖良「…食えない人です…」 理亞「待って姉様、今…」 穂乃果「あなたの相手は私だよ!」 理亞「!」 穂乃果「高坂穂乃果です!よろしく!」ブイッ 絵里「…サービスが過ぎるわ…」 海未「結局一人一殺ですか…まあ良いでしょう」 海未「撃ちぬけ、『神弓』」ピィン… 月「!」 海未「そのぶん、貴方にはがんばってもらいますよ、月」 月「いや〜!お手柔らかに頼むよ!」アッハッハ to be continued… 園田海未――『神弓』 解号:「撃ち抜け」 形状:弓矢。 能力:特になし。 善子「…みんな…行っちゃったわね」 ルビィ「うん…」 花丸「寂しがってる場合じゃないよ!二人とも!」 花丸「マル達にはマル達の仕事があるずら」 ― ―― ――― ダイヤ「善子さん、花丸さん、そしてルビィ…」 ダイヤ「三人はここでお留守番ですわ」 善子「……」ムス… 花丸「ことりさんを倒したのは、マル達なのに…」ボソ… ルビィ「…聞いてお姉ちゃん!ルビィ達…」 ダイヤ「――と言っても、まだ重要な仕事が残っています」 ルビィ「え?」 ダイヤ「エリーチカの通信を聞いたでしょう?」 ダイヤ「あの時、気になることを言っていました…」 ダイヤ『エリーチカ!!梨子さんはどこです!?私達の大切な仲間を――』 絵里『こちらが聞きたいわ』 絵里『それが分からないから、あなた達にお願いしようと思って』 ルビィ「ハッ!」 ダイヤ「敵の言葉を妄信するわけにはいきませんが」 ダイヤ「アレが本当なら、梨子さんは今、あの四人の管理下にはいないということになります」 ダイヤ「…貴方達に頼みたい事…もう解りましたね?」 ルビィ「梨子ちゃんを見つけて、護る…!」 善子「でも、いいの?」 善子「絵里さんの言葉が本当なら、あっちは私たちを利用してリリーを探そうとしてる」 花丸「マル達が見つけちゃったら、逆に危ないんじゃ…」 ダイヤ「その為に、私たちが行くのですわ」 三人「!」 ダイヤ「エリーチカは、みゅーずは……内浦で、私たちが必ず倒します」 ダイヤ「ですから皆さんは安心して、梨子さんを探し出してください」 ――― ―― ― 善子「でも…見つけるったってどこ探せば…」 ルビィ「とりあえず、音の木坂かな…?」 シュインシュインシュイン… 三人「!?」 シュインシュインシュインシュイン… 花丸「なんずら!?」 善子「『ORION』が…!」 スウッ… ルビィ「解除…された…!?」 善子「これって、さっきと…」 花丸「うん。花陽さんが“詠唱”で一時解除したときと同じ…」 ルビィ「まさかッ!」ハッ …シュイン… ルビィ「『ORION』を解除できる人は……この世にもう1人だけいる!」 善子花丸「!!」 ルビィ「穂乃果さんと!花陽ちゃんと!」 ルビィ「持ち“歌道”にしている人がもう1人だけ……!」 シュインシュインシュインシュイン… 善子「…な……ッ」 善子「でもあの人はもう完全に死にかけで、今サラ何も……」 ギャイイイイン 善子「あっ…」 ルビィ「閉じちゃった…また…」 ルビィ「…弱弱しくて正確にはわからなかったけど、今の間に霊圧が一つ?二つ?」 ルビィ「外に出たような……」 花丸「……信じるしかないずら、みんなを」 花丸「マル達のやることは、やらなきゃいけない事は変わらないずら」 善子「…そうね」 ルビィ「…お姉ちゃん……!」グッ… ダイヤ「ヘックション!!」 鞠莉「ダイヤったら、また〜?」 ダイヤ「仕方がないでしょう。生理現象なのですから…」ムズ… ダイヤ「それより鞠莉さん!この車、もっとスピード出ないんですの!?」 ・内浦に向かう5+3人。『予測不可能Driving!』で空を往く。 鞠莉「無理言わないで!何人乗せてると思ってるの!」 花陽「うぅ…スミません……」 凛「真姫ちゃん、用無いなら下りれば〜?」 真姫「アンタが連れてきたの!」 果南「助っ人の三人は、もうドンパチ始めてるかな?」 千歌「聖良さん……理亞ちゃん……」 曜「…月ちゃん……」 ダイヤ「どうか私たちが到着するまで持ちこたえていてください…!」 南ことり――『皆臨好(みなりんすき)』 解号:「寄り添え」 形状:ラクロスのラケット。 能力:霊子のボールをシュートして、当たった相手をメロメロにする。 海未「おっと、すみません、私としたことがつい」 海未「素人相手に “解放”など…」 月「…戻してくれるの?」 海未「フフ…まあソレは」 海未「格好がつかないですからね…」 月「じゃあ、使わないでくれる?」 海未「貴方次第ですね」 海未「ぜひ使わせて欲しいものです」 ポツッ… 月「!」 月「雨…?」 海未「破道の五十五、『愛してるばんざーい!』」 ズドアアアアッ 月「うわっ!?」バッ グググググググ 月「地面から木が伸びて…触手みたいに!」 グググンッ 月「くっ!」ブウンッ 海未「よく逃げますね」 海未「“夢の木”…少々水気が足りませんか」バッ 月「!」 海未「破道の四十八、『嵐の中の恋だから』」 ザアアアア 月(雨の勢いが強く!) ザアアアアアアアアアアア 月(嵐だ!) グググーッ! 月「!」 グルルンッ 月(水の量に比例して、木の伸びるスピードも――) ギュッ! 月「あッ!」ビタッ 海未「おや、鬼ごっこはもう終わりですか」 月「…アハハ…捕まっちゃったか……」 海未「つまらないですね…」フン… 月「ってことは――」スッ… 海未「?」 月「今度は僕が鬼の番だね」バッ ピインッ 海未「!」 キュキュキュッ… 海未(これは…“乱装天傀”!) 海未(蜘蛛の巣のように張り巡らせて、私を……) ギチイイッッ 海未「くッ!」ビタンッ 月「僕が夢の木から逃げながら、周囲に糸を張っていたことに気づかなかったの?」 海未「………」 月「ホラ、こっちも…」グイッ スパアッ 海未「!」 ドササッ… 海未(夢の木が…!) 月「これでまた海未ちゃんが鬼……って言いたいけど」 月「お望み通り、鬼ごっこは終わらせよっか…」 ジュン… 海未「ッ!」 海未(熱……) 月「知ってるよね?霊圧による加熱は――霊圧の炎は――水で消えない」 月「どんな嵐の中でもね」 ザアアアアアア… 月「だから野外での調理も多い全国レベルの “料理部”は、コンロじゃなくて霊圧で燃やす」 海未「…………」 月「こんな風に…」チッ… ボオオオオオオオオオ 海未「――――」 蜘蛛の巣状の“乱装天傀”を伝って、海未の全身が紅く燃えあがる――。 プスプス… 月「いい匂いだね〜!」クンクン 月「骨付きのお肉を豪快に焼く……これぞまさしく」 ボオオオオオオオオオオオオオオオ 月「『ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ』」 海未「………………」 月「好きなんだよねえ、僕」ペロリ ボオオオオ… 聖良「…あっちは文字通り、白熱しているみたいですね」 聖良「どうです?こちらもそろそろ――」 シュンッッ 聖良「“解放”をっ!」ブンッ 希「こわいこわい」ヒョイッ 聖良「………」タンッ… 希「今のは危なかったやん♪」 希「あと数センチ踏み込まれてたら…」 聖良「そのときは、私の首が飛んでたでしょうね」 希「ツレないなあ」 聖良「こちらのセリフです」 聖良「未解放でのチャンバラで仕留められるほど、私も、あなたも、甘くありません」 希「そーう?」 聖良「だから、どうです?そろそろ」カチャ… 希「いや〜、ウチはまだいいかなあ」 希「こういうのは先に晒した方が不利やからね」 聖良「…だからツレないと言」シュンッッ 希「おっと!」シュンッッ 聖良「ツレないと言うんですよ!」シュンッ 希「仕留める気満々やん!恐いな〜!」シュンッ 聖良「私を見くびらないほうが良いですよ?」ブンッ 希「っと」 ガキイイイン! 聖良「ハッキリ言って、私はサシでやるならAqoursの誰よりも強い」 希「ほんとに〜!?」 希「それじゃあウチ、すごい外れクジ引いたってことになるね」 聖良「…目が笑ってますよ」 希「ハハハ、いやいやそんなそんな」 聖良「…本当にあなたは…やり辛いですね!」シュンッッ 理亞「うおおおおおおおっ!!」 穂乃果「よしこいっ!」 理亞「はっ!!」シュンッ 穂乃果「…………」シュンッッッ 理亞「えっ」 パシッ 理亞「……ッ」 理亞「離……」 デコピンッ 理亞「痛っ」 穂乃果「不合格!!」ビシッ 理亞「…………は?」 穂乃果「理亞ちゃんの“瞬歩”はまだ未熟だね」 理亞「なっ…」 穂乃果「いや、“瞬歩”だけじゃない」 穂乃果「霊圧も!白打も!剣術も!」※白打…肉弾格闘。殴る蹴る。 穂乃果「まだ私たちと戦えるレベルじゃ〜〜〜」 穂乃果「ないっ!」バーン! 理亞「そんなの…」 穂乃果「わかるよ」シュンッッッ 理亞「!!」 穂乃果「う〜ん、やわらか〜い…」ホッペムニー 理亞「〜〜〜〜」ホッペムニラレ 穂乃果「ほら、ね?」 理亞「くうッ!」ブンッ パッ 理亞「なっ!?」 穂乃果「もーらいっ!」ニコッ 理亞「返して!私のラブライブレード!」 穂乃果「…私も妹がいるから、聖良さんの気持ちはよくわかる…」クルクル 穂乃果「ねえ理亞ちゃん」 理亞「返し――」 穂乃果「北海道のお家に帰ろう?」 理亞「――――――ッ」 穂乃果「これ以上理亞ちゃんを相手に戦うのは、私には耐えられない……」シュン… 理亞「…………………ッッ」ワナワナ… ボオオオオオオオオ 穂乃果「ん?」 月「どうやら、上手く行ったみたいだね…」ホッ… 穂乃果「うわ〜!海未ちゃん、すっごい燃えてる!!」 月「よかった…正直これでダメだったらもう……」 「…そうですか……」 月「!!」 ボオオオオオオオオ 海未「待っていても、これ以上のものは出ないということですね」ザッ… 月「なっ…」 ボオオオオオオオ 海未「残念です」スタスタ 月「も…燃えながら……なんで生きて………」 海未「この炎が自分の炎だと思っていたのですか?」 海未「滑稽ですね」 海未「フンッ!」 フッ… 月「!」 海未「破道の五十一、『僕らは今のなかで』」 海未「今まで燃えていたのは、熱すぎてとまらない僕の―失礼、私の温度によるものです」 月「そんな……」 海未「あなたの霊圧は私の温度で焼き消しました」 海未「もちろん、チャチな乱装天傀もこの通り」パラパラ… 月「くっ!」ブウンッ 海未「遅い」シュンッッ 海未「縛道の三十、『もぎゅっと“love”で接近中!』」 モギュッ… 月「……っ」 海未「“歌道”は言霊の力…すなわち詞の力」 海未「私はμ’sで最も“歌道”に長けます」 月(身動きがとれない……!) 海未「また失礼。スクールアイドルで、ですね」 海未「まあ言わなくても解りますか…」 海未「さて」スッ… 月「!」 海未「それこそ“歌道”でいくらでもトドメは刺せるのですが…」 海未「存外楽しませてもらったので…これは礼です」キリ… 月(弓……ッ) 海未「安心してください」 海未「一発で確実に心臓(ハート)を撃ちぬきますから、瞬きする間に終わりますよ」キリキリ… 月「…………」ゴクリ 海未「さようなら」パッ ビュインッ 「『守護胎』!!」 ブワアアアアア 海未「!」 チャプンンン… 月「……よ…」 曜「ごめん月ちゃん、遅くなった」 月「曜ちゃん!」 海未「ほう…水如きで私の『神弓』を……」 ダイヤ「曜さん!1人で飛び出さないでください!」 ダイヤ「ブッブーですわ!」 果実「どうやら、間に合ったみたいだね」 千歌「うん!三人とも……」 鞠莉「オウケー!内浦も無事だね!」 絵里「………………………」 絵里「あれは…」 ジト… 凛「わ〜…絵里ちゃんこっちよりにらんでるよ〜っ…」 真姫「…当然でしょ」クルクル 花陽「うう…ごめんなさい……どうしても見たかったのぉ…」 海未「花陽」 花陽「ハイイッ!?」ビクッ 海未「貴方ですね」 花陽「あっ…は…ハイ!わたし…」 花陽「私です!私!私が!皆さんを逃がしました!ハイ!」 海未「…………」 花陽「だから、凛ちゃんと真姫ちゃんは……」 海未「お手柄です」 花陽「…………えっ?」 海未「よく連れてきてくれました」 海未「こんなご馳走……」ペロリ 絵里「……………」 曜「タダで食べられると思ってるの?」 曜「ご馳走はお金がかかるもの…海未ちゃんにもそれなりの対価を払ってもらわなくちゃね」 海未「何を払えばいいのですか?」 曜「そうだね……」 曜「やっぱり、命、しかないかな」 海未「フフ…できないことを吼えるものではないですよ……曜…」 to be continued… 乙 �「ちゃんがはしゃいでるのを見るエリチカの目つきがツラい ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
read.cgi ver 07.4.7 2024/03/31 Walang Kapalit ★ | Donguri System Team 5ちゃんねる