穂乃果「卍解」千歌「なん…だと…」
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???「この辺りですか…」
一月十八日。午後二時二十三分 金曜日
???「――成程…強い魄動を感じます…。」
斯くて刃は振り下ろされる。 海未「大体貴方はいつもいつも…」
希「まあまあ海未ちゃん」シュンッッッ
海未「!」
希「その辺にしとき?」
穂乃果「希ちゃん!」
海未「希…!なぜ貴方までここに……!」
海未「あとのことは私一人で十分だと、さっき貴方も…」
希「それがね…ちょっと緊急事態なんよ」
海未「緊急…」
穂乃果「じたい?」
希「二人とも、ウチと一緒に来て」
希「戻るよ、音の木まで」 高坂穂乃果――『焔饅頭(ほむらまんじゅう)』
解号:「始まれ」
形状:刀身が爆炎の刀。
能力:万象一切灰燼と為す。 千歌「ハァ…ハァ……」
真姫「…常々花陽から聞いてはいたけど」
真姫「諦めの悪さは筋金入りね」
千歌「くっ…」
真姫「まだわからないの?」
真姫「貴女の剣じゃ私の身体は…」
曜「『葬波砲射』!」
ドオッ
水鉄砲が横から真姫に直撃する。
曜「…………」 曜「!」
真姫「貴女も」ズブ…
全身濡れてこそいるが、真姫は当然のようにその場に立っている。
真姫「今の貴女の能力じゃ…私にダメージは与えられない」
真姫「もう一度言うわ。今の能力じゃね」
曜「…………」
真姫「連発は少々身体に堪えるでしょうけど…四の五の言ってられないでしょ」
真姫「出しなさいよ。さっきのあの、花陽を倒してみせた」
千歌「くっ…」ヌグッ…
真姫「卍解を……!」 曜「……」
曜「それしかないか……」ス…
千歌「待った!」
曜「!」
真姫「……」クルクル
千歌「待って曜ちゃん…曜ちゃんが卍解を使うような相手じゃないよ…」
千歌「真姫ちゃんごとき…」
真姫「ごとき!?」イラッ
真姫「貴女に言われたくな…」
千歌「待ってたんだよ!」 真姫「…ハァ?」
真姫「何を」
千歌「……」スッ…
千歌がまっすぐ手を挙げて空を指差す。
千歌「太陽」
真姫(…いつの間にか雲が……)
真姫(穂乃果の『焔饅頭』ね)
千歌「この天気!この時間!この角度!」
千歌「“輝き”が一番集まる…………」
ドドドドドドドドドド
真姫「!」 千歌「くらって驚け!私の最大・最速・最強の技―――」
キラキラキラキラ
真姫「!」
真姫「大きい…」
千歌「『輝ラ輝ラ天衝』!!」ブンッ
真姫「くうっ!」バッ
キラアアアアアアアアアアア
放たれた輝きが、この日初めて身構えた真姫にブチ当たった―――。 高海千歌―『金毘加』
解号:「輝け」
形状:普通の刀(輝いてる)。
能力:輝く。 千歌「ハァ……ハァ……」
曜「……」
曜「……………ッ」
千歌「ハァ…ハァ………ハァ…」
サアア…
千歌「……………ハア…ッ」ギリ…
真姫「ふぅ…」パッパ
真姫「何よ…ただのこけおどしね」
千歌「効いてるパターンだろこれぇ!!」
千歌「『輝ラ輝ラ天衝』でもダメなのか!!」 曜(万事休すだね……!)
曜(やるしかない!)
真姫「……」クルクル
曜「卍か――」
「うっわあ…ほんとスゴいな、この霊圧」
曜「!」ピタッ
真姫「!」
千歌「!」
「やっぱり来てよかった…」ザッ…
真姫「…貴女は……」
果南「Aqours三年、松浦果南」
果南「ここは私が相手になるよ、真姫ちゃん」ニコッ 千歌「果南ちゃん……」
曜「なんで…」
果南「いくら私が不器用でも、こんな霊圧を感知できないワケないでしょ」
果南「うわっ、ほんと、どうなってんのコレ。クラクラするよ」
真姫「…いつか花陽から聞いたことがあるわ…」
真姫「松浦果南……戦闘力でいえば貴女と曜がAqoursの中でもツートップって言ってたけど」
曜「……」
真姫「その曜がこの程度じゃね……」
真姫「程度が知れるわ」
果南「どうだろうね。曜は甘すぎるから……」
果南「でも、確かに私の方が、あなたとの相性はよさそう…かなん?」 果南「だから…真姫ちゃんも気を抜かないで…」
果南「ちゃんと私を楽しませてよね…」ニイ…
真姫「…上からもの言ってくれるわね」
真姫「気に入らないわ」
果南「いくよ」
ス…
果南が無造作にラブライブレードを抜いてその動作のまま振りかぶる。
真姫「…ちょっと…“解放”ぐらいしてから…」
果南「えいっ」ブンッ… 斬ッッッ
ブッシャアアアアアアアアアア
真姫「……………………え…?」
果南「あーあ」
果南「だから気を抜くなって言ったのに」
シャアアアアアアアア…
真姫「…………ッ…」グラ…
ドシャアッ
果南「つまんない幕引きだね」 果南「μ’sっていってもこんなもんか」
果南「はあ」ガックシ
千歌「…流石……」
果南「曜が悪いよ!」グルッ
曜「ええっ!?」
果南「曜を苦戦させるなんて、どんなに強いのかと思って期待したのに!」
曜「そう言われても…」
果南「一振りでおしまいって!ねえ!一振りでおしまいって!」ユッサユッサ
曜「私に当たらないでよ〜!」 「誰が…」
三人「!」
真姫「誰が……終わ…」ムズ…
果南「オ〜…」
千歌「スゴい…生きてたんだ……」
曜「…よかった…」ホッ
千歌「ムッ!」ギロッ
曜「あっ、いやいや!今のは…」ブンブン 果南「よかったね。誰かさんと違って、私は手加減なんてしてない」
果南「生き残ったのはあなたの運だよ」
真姫「…………」
果南「せっかく拾った命…死に急ぐことはないと思うけど?」
真姫「…ことごとく…………」
真姫「癇に障るわ!!」ドッ
果南「!」
真姫「繰り返せ」バッ
ドッ
真姫「『勝三時計(かつさんどけい)』」チャリン… ドドドドドドドドドドドドドドド
弱弱しかった真姫の霊圧が復活し、さらにまた一段とハネ上がる――。
千歌「ぐっ!」ガクンッ
曜「千歌ちゃん!」
千歌(もう……立ってられない…………!)
果南「青天井…霊圧はほんとにスゴいね」キョロキョロ
果南「でも問題は……」チラッ
果南「!」
真姫「問題は…………何?」スクッ… 曜(傷が…きれいサッパリ……!)
千歌(嘘でしょ…!?果南ちゃんが斬った傷だよ!?)
真姫「私の始解…『勝三時計』の能力は、“時間の操作”」
曜千歌「!!」
真姫「今のはわかりやすく、私の身体に対して、“まき戻し”させてもらったわ……」
千歌「何……ソレ……」
果南「…………」
真姫「終わらないパーティー………始めましょ」 西木野真姫――『勝三時計(かつさんどけい)』
解号:「繰り返せ」
形状:懐中時計。
能力:指定した対象の、時間の流れを自由に変える。 曜ちゃん周りの評価の割に苦戦しまくりだなぁと思ってたけど相当手加減?してたのね 絵里「説明してもらえるかしら?」
海未「…馬鹿な……」
穂乃果「…これって…」
ドドドドドドド
海未「『恋宮殿』が…ブチ破られています……」
絵里「それで?」
ドドドドドドドドドドドドド
海未「逃げられました……!梨子に…………!!」
to be continued… 絵里「………………」
絵里「海未」
海未「…はい?」
絵里「私は分かるように説明してと言ったのよ」
海未「…ですから…」
絵里「見れば分かることをわざわざ言葉に変える不必要な作業を“説明”とは言わないでしょう?」
絵里「それはかしこくないことよ」
海未「…………」
絵里「桜内梨子の担当はあなたに一任していたわよね?」
絵里「私の最も信用する―――いや」
絵里「信用していたあなたに」
海未「……………………」 希「まあまあまあまあ」
希「海未ちゃん、『恋宮殿』は確かに成功したん?」
海未「…ハイ、間違いありません」
海未「詠唱破棄で撃ちましたが、術自体は確実に…」
希「九十番台詠唱破棄!」
希「怖いなァ、いつの間にそんなことできるようになったん?」
絵里「できてないからこうなったのよ」
海未「………」ジト…
絵里「九十番台が完全に成功したなら、梨子程度に脱出できる術はないわ」
絵里「それはあなた自身が一番よくわかっているハズでしょう?」
海未「…それはどうでしょうか……」
穂乃果「え?」 海未「恐らく…梨子は帰刃(レズレクシオン)を習得しています」
海未「それも恐らくトッリ級の…」
絵里「笑わせないで」
絵里「帰刃なんて邪道な技、できようができまいがなんでもいいのよ」
絵里「トッリ級だったらなんだっていうの?」
絵里「海未…あなたは仮にもそのトッリ込みのことりより上の数字を与えられているのよ」
絵里「これ以上私を失望させないでほしいわね」
海未「………」ギリ…
穂乃果「そういえば、ことりちゃんは?」
穂乃果「真姫ちゃんは今、霊圧バリバリで戦ってるみたいだけど…」キョロキョロ
海未「…」ハア
希「“説明”……してあげて、海未ちゃん」 園田海未――『神弓』
解号:「撃ち抜け」
形状:弓矢。
能力:特になし。 ドドドドドドドド…
真姫「…………」スクッ…
千歌「時を……まき戻した……だって!?」
千歌「そんな…そんなの……」
果南「イイね〜!」
千歌「!」
果南「よくわからないけど、要は何度でも戦いが楽しめるってことでしょ?」
真姫「……」
果南「いや、イイ!イイよ真姫ちゃん!」 真姫「悪いけど…全然違うわね」
果南「え?違うの?」
真姫「私のこの霊圧で何も感じないの?」
ドドドドドドドドドド
曜「――!」
ゴゴゴゴゴ…
曜「地震!?」
千歌「あわわわわわ」ガクガク
真姫「……」ドドドドドドドト
曜「まっ、まさか…」 ドドドドドドドドド
曜「真姫ちゃんの霊圧が!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
曜「世界を揺らしているのかッ!!」
果南「う〜ん、痺れる〜♪」
真姫「こんな霊圧で固めた私の鋼皮に、貴女のちっぽけな刃が通ると思う?」
真姫「戦いはもう終わっているのよ」
果南「それはやってみなきゃ…」ス…
果南「わかんないでしょ!」ブンッ ガキイイン!
果南「オッ!」
ギリギリ…
千歌「うわ…」
曜「ウッソでしょ…」
果南「おおぉ〜…」
果南「ほんとに斬れない」ギリギリ…
バキイイイイン
果南「あ」 ギャリンッ…
千歌「なっ…」
曜「―ッ」
果南「折れちゃった」
真姫「次」
果南「!」
真姫「こっちの番よ」ブンッ…
曜(素手!)
ボゴオッ 果南「……ッ」グ…
果南「ぺっ!」
ベチャッ…
千歌「か…か…ッ」
曜「果南ちゃんが……出血した……ッ!」
真姫「やってみて、分かった?」
真姫「貴女は刀を以ってしても、もう私に傷1つつけられない」
真姫「その刀も二度と使えないけど」
果南「……」
真姫「一方の私は拳1つで…」 果南「ソレ」
真姫「え?」
果南「ふつーに殴るって…アリなんだ……」
真姫「当然でしょ!」
真姫「スクールアイドルの基本は“斬拳踊歌” !そのうちの“拳”を使って何が――」
果南「よし!」
果南「じゃあ、私もそのスタイルでいこう」グッ
真姫「…ハァ?」
果南「いや〜私も本当は斬り合いより殴り合いのほうが好きなんだけどね?」
果南「ダイヤとか鞠莉のお母さんがさ、はしたないってうるさいんだよ…」 真姫「…別にいいけど」クルクル
真姫「それが私に効くとでも…」
果南「だ〜か〜ら〜」スッ…
果南「やってみないとわからないでしょ!」ブンッ
ゴッ
真姫「ぐふっ!」
真姫(お…重い!)
真姫「くっ…」ヨロッ…
千歌「効いた!」
真姫「―ッ!」グッ 真姫「誰が!」ブンッ
ボガッ
果南「うッ!」
真姫「ハァ…ハァ…」
果南「効…くなぁ〜」ヌグッ…
曜「果南ちゃんのパンチを受けて即反撃って…」
千歌「ありえないでしょ…」 果南「…この…」グッ…
果南「やったな!」ブンッ
メギョッ
真姫「ッハアッ!」
真姫「…しつこいっ!」ブンッ
ガキイッ
果南「ぐッ!」
果南「…まだまだっ!」ブンッ
グワシイッ
真姫「ウホッ!」
曜「に…人間の戦いじゃない…!」
千歌「うん…まるでゴリラ同士の喧嘩だ……!」 真姫「誰がゴリラよッ」バッ
果南「!」
真姫「そっちはどうだか知らないけど、私は違う」
真姫「こんな風に、道具だって使えるのよ!」チャリンッ
千歌「かしこーい!」
真姫「『勝三時計』!」
カッ
千歌「な…何だ〜!?」
ググググッ
曜「真姫ちゃんの身体が大きくなってる!?」 真姫「どう!私の『勝三時計』はこんな事もできるのよ!!」ゴリゴリ
真姫「私がハードトレーニングを続けた10年後の肉体を前借りした!!」
真姫「霊圧だってこの通り!!」
ドドドドドドドドドドドッ
千歌「わー!」
曜「まずい!」
曜「『千年水牢・守護胎』!」ブワアアンッ
水の壁が曜千歌を包む。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
千歌「ひいっ」
バキバキバキバキ バラバラバラ ガガガガガ ドオオオン 曜「木も家も道路も…霊圧だけで押し潰されていく……!」
千歌「……ッ」
千歌(この水の中で護られていなかったら…私も……!)
果南「…スゴいな…」
真姫「流石の貴女も、あまりの霊圧に圧倒されてるって感じね」
真姫「無理もないわ。寧ろまだ貴女の身体が原型を保っていることを……」
果南「これなら全力で戦っても良さそうだね!」ビリビリイッ
真姫「ヴェエッ!?」
曜「制服を!」
千歌「破り捨てた!?」 真姫「―って!」
果南「ふう…」
真姫「ビックリさせないでよ!」
真姫「ちゃんと下に着てるじゃない。ダイビングスーツ…」
千歌「な〜んだ」ホッ…
曜「せ、制服……」ウルウル
果南「ごめんごめん、別におどかす気はなかったんだけど……」
果南「じゃあ、今度は最初に言っとくね」
果南「この下…まだ水着、あるから」バッ
ボインッ
曜千歌「こぼれたッッ!」 果南「うるさいなあ…」ヌギヌギ
果南がダイビングスーツを脱いでその水着になる……。
真姫「………………」
真姫「……!」
ドドドドドッ…
真姫「…なっ…」
果南「いつ以来かな…これを外すのは……」ヌギヌギ
ドドドドドドドドドド
真姫「なに…」 果南「よし、と…」ドドドドドドドドドドドドドドド
真姫「何よこれは!?」
千歌「果南ちゃんの霊圧が…何倍…何十倍にも……」
曜「イヤ…何百倍だね」
果南「このスーツは小原家に作らせたシロモノでね」スッ…
ニュルニュル
千歌「うわっ、気持ち悪…」
曜「スーツの内側に…触手みたいなものが……」
果南「私の霊圧を無限に吸収する化け物だよ」ポイッ
果南「こうでもしなきゃ、私とまともに戦える子なんて普通いないからね…」 真姫「…それが……ッ」
真姫「どうしたっていうのよ!」ブンッ
果南「あ、それと――」
パシッ
真姫「!」
真姫の拳を、果南は初めて掌で受け止めた。
果南「殴り合いも良いけど、私が一番得意なのは組み技(グラップル)なんだよね……」グググ…
真姫「………ッ」 果南「さあ!ここからが…」
もげっ
果南「あっ」
真姫「――ッ!」
ブッシャアアアアアアアアア
曜「ま…真姫ちゃんの……ッ」
千歌「腕が…」
果南「取れちゃった」テヘペロ
真姫「とらないで!」
to be continued… 真姫「…『勝三時計』…」チャリン…
スウウウ…
時がまき戻り、もげた真姫の腕は無事くっついた。
曜「よかった…」
千歌「……」ジト…
果南「いや〜、よかったよかった」
果南「おかしな話だけど、な〜んか悪いことしたな〜って気になっちゃったもん」
真姫「……」ムス… 果南「…でも、10年後の肉体?だっけ?」
果南「終わっちゃったね」
真姫「…………」
果南「大丈夫?真姫ちゃん」
果南「まだやれる?」
真姫「――ッ」
真姫「当然でしょ!」
果南「そうこなくっちゃ」ニヤリ
真姫「…………」
真姫(気にいらない…)
真姫(…揃いも揃って…) 真姫(この私を上から見下ろすその感じ……)
曜「……」
果南「再開…」ザッザッ…
真姫(全く……気に入らないわ…………!)グッ…
―
――
―――
凛「真姫ちゃん、またにこちゃんと喧嘩してたねー」
真姫「別に、喧嘩っていう程じゃないわよ」
・まきりんぱな。在りし日の帰り道。
真姫「ただ意見の相違があったから、ぶつかってみただけ」 真姫「グループの成長の為には絶対必要なことよ」
花陽「そうだね」
花陽「でも、私は真姫ちゃんほどハッキリは自分の意見を言えないから…真姫ちゃんは本当にスゴイと思う」
凛「凛もそういうの苦手だなー」
花陽「どうしたら真姫ちゃんみたいになれるのかな…?」
真姫「……別に」
真姫「なる必要があるとは思わないけど」
真姫「私は…………」
凛「……」
真姫「………………」
花陽「…私、は……?」 真姫「気に入らないのよ」
凛花陽「え?」
真姫「学校で、上級生が下級生の上に立つのが」
凛花陽「…………」
真姫「それだけよ」プイッ
―――
――
―
真姫「ハァ……ハァ…ハァ…」
果南「粘るね…」
果南「とうっ!」ブンッ
ボゴオッ
真姫「ぐうッ!」 真姫「………ッ」ヨロロ…
千歌「よし!もう完全に果南ちゃんのペースだ!」
千歌「勝てる!」
曜「……真姫ちゃん…」
真姫(気に入らない…………)
果南「次で終わりかな…」
真姫「気に入らないのよ!!」ドオッ
曜千歌「!!」
果南「おっ」 真姫「卍解!!」バッ
ドオオオオッ
曜千歌「!」
ゴゴゴゴゴ…
真姫の背後―――大地を割って、人間大のメトロノームが出現する。
果南「そっか、まだそれがあったね」
果南「卍解…」
真姫「『勝三時計2式巻巻(かつさんどけいにしきのまきまき)』」 果南「スクールアイドルの最終奥義、卍解…………」
果南「曜はともかく、鞠莉やダイヤでも出来るんだもん」
果南「そりゃ真姫ちゃんもできるよね」
真姫「…………」
果南「どんな能力なのかな?」
真姫「…能力は……使わない」
果南「え?」
真姫「私の卍解は始解と同じで、直接、戦闘の武器にはならない…」
真姫「そのぶんとびっきりの能力を持っているけど…」
真姫「とにかく、その能力は使わない!」
真姫「私が頼みにするのはこの―――膨れ上がった霊圧だけ!!」ドオオオオッ 曜「ッ!!」
ドドドドドドドドドドドドドド
千歌「あ…あ……っ」ガクガク
バリイイイイン
曜「!!」
千歌「なっ…」
バリイイン バリイイイン
千歌「空が…ガラスみたいに割れてく……」 曜「“空”じゃない」
曜「“空間”が……」
バリイイイン バリィィン バリィィィン…
曜「余りの霊圧に、次元そのものが崩壊してるんだ……!」
千歌「…そんな……ッ」
バシャッ…
曜「…………ッ」ブルッ…
バシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャッ
曜(限界か……この『守護胎』も……ッ)ブルブル
曜「果南ちゃん!」 果南「…オッケー…」ザッ…
真姫「……………」
果南「終わらせるよ」
真姫「こっちのセリフよ…!」
果南「来なよ」
果南「真姫ちゃんの全力、受け止めてあげる」
真姫「…この霊圧を見て、まだ……」
ドドドドドドドドドドドドドド
果南「ほら、早く」
真姫「そういうところが気に入らないのよ!」ブンッ グワキインッ
真姫「―!」
果南「……」グ…
真姫「…………ッ」
果南「……知ってる?」
ハグウッ
真姫「ッ!」
真姫(捕まっ――)
果南「ハグっていうのは、片手で抱くより両手で抱くほうが強いんだって」 真姫「ハァ!?」
真姫「そんなの当たり前――」
果南「知らないでしょ?」
果南「どれぐらいスゴいのか…」グ…
ミシ…
真姫「……!」
果南「お休み」
めぎょッッ
真姫「――――」ユラ…
ドシャアッ 真姫「」
果南「楽しかったよ、真姫ちゃん」ニカッ
穂乃果「…真姫ちゃん……」
海未「全く…ッ」グッ…
海未「その狂いに狂った霊圧は飾りですか……!」
絵里「…あなたは人を責められる立場じゃないでしょう?」
希「…いよいよ…残りはこの四人だけやね……」
希「どうする?梨子ちゃんの逃走でちょっと状況が変わったけど…」
絵里「…勢いに乗る敵さんを甘んじて待つのもつまらないわね」
海未「だったらどうします?」
絵里「がら空きの“城”を落としましょう」 絵里「希」
絵里「『純愛レンズ』でAqoursとつなげて。向こうにもわかるように」
希「八人みんなとでいい?」
絵里「面倒だからそれでいいわ」
希「りょーかい」
絵里「穂乃果は結界を」
穂乃果「『ORION』だね!」
海未「歌道なら私が……」ス…
絵里「遠慮しておくわ」
絵里「また破られたら敵わないもの」
海未「…………」 穂乃果「いくよ…」ブウン…
穂乃果「『冬の星座よ私に』」
穂乃果「『ちからをください』」
シュインシュインシュインシュイン…
果南「!」
千歌「なに!?」
曜「星……が……町の周りを……」
穂乃果「『出口のないオリオン座へあなたを誘って』」
穂乃果「『ふたりきりの夜空で恋を確かめたい』」
穂乃果「『ほかに誰が必要なの?』」 穂乃果「『私以外は』――」
シュインシュインシュインシュイン…
ルビィ「これって…」
善子「ラグナロク!」ギランッ
花丸「違うずら」
穂乃果「縛道の九十七――――」
ギャイイイイイン
Aqours「!!」
穂乃果「『NO EXIT ORION』」 穂乃果「また疲れた〜!」ヘター
絵里「ご苦労様」
海未「ふむ…成功ですね」
鞠莉「ちょっと、コレ、どういう…」
ギャイイイイン…
鞠莉「出られない!?」
鞠莉「もしかして、閉じ込められた!?」
ダイヤ「縛道をかけられましたわ…」
ダイヤ「この町全体に………!!」
鞠莉「ハァ!?」
「少し違うわね」ブウン…
ダイヤ鞠莉「!」 絵里「始めましてね、Aqours」
絵里「絵里です」
鞠莉「これは…映像通信!?」
ダイヤ「…エリーチカ…」
絵里「おかしいとは思わなかったの?」
絵里「通行人1人いない――」
絵里「私達が大暴れしているのに、騒ぎも起きないこの“町”に」
ダイヤ「…………」
絵里「この町はあなた達を迎えるために予め音の木の座標に設置した作り物の町」
絵里「端的に言えばレプリカよ」
鞠莉「な……」
絵里「そして今、このレプリカはあなた達を閉じ込めることで役割を完遂する……」 絵里「わかるかしら?」
絵里「あなたたちのこれまでの戦い全てが、この為の隙となったのよ」
ダイヤ「エリーチカ!!」
ダイヤ「梨子さんはどこです!?私たちの大切な仲間を――」
絵里「こちらが聞きたいわ」
絵里「それが分からないから、あなた達にお願いしようと思って」
ダイヤ「…は……?」
絵里「梨子にも伝えてもらえる?」
絵里「私たち四人は今から、内浦に侵攻する」
Aqours「!!」 曜「な……」
千歌「何を………」
絵里「学校も護れなかったあなた達に、果たして内浦が護れるのか……」
絵里「見物だわ…」プツ…
千歌「待っ――」
シィン…
千歌「……………ッ」
果南「切った、ね」 鞠莉「これ…」グヌヌ
ギャイイイイン…
鞠莉「どうにかできないのダイヤ!?」
鞠莉「自慢の“舞武天盾”で――」
ダイヤ「無理ですわ。流石に規模が違いすぎます」
ダイヤ「加えて言うなら、貴方の卍解でも、果南さんでも、そして曜さんでも無理でしょう」
ダイヤ「九十番台の縛道は八十番台以下とは次元が違いますからね」
ダイヤ「解除する方法があるとすれば一つだけですわ…」
鞠莉「何を落ち着き払って…」
ダイヤ「急いても事は好転しないでしょう」
ダイヤ「鞠莉さん」 ダイヤ「私はこれからある方と交渉してみます」
鞠莉「…交渉……?」
ダイヤ「話がつくまでに、貴方は他の六人を集めて――」
鞠莉「そんなヨユーこいてていいの!?」
ダイヤ「一定の猶予はあります」
ダイヤ「こういう展開もあり得ると――という程想定通りではありませんが――」
ダイヤ「とにかく、予め内浦にも結界を張ってきました」
ダイヤ「ですからそれが破られるまでは……」
鞠莉「そんなの、あの穂乃果たちにかかればソッコー破られちゃうでしょう!?」
鞠莉「このままじゃ私たちまた――」 ダイヤ「大丈夫です!!」
ダイヤ「暫くは――――」
鞠莉「え…………」
ダイヤ「戦争にあたって、本拠地は最大の要点であり急所ですわ」
ダイヤ「そんな大事な場所に、誰も配備していない訳があると思いますか――?」
・内浦。
ベリベリベリベリ…
穂乃果「うわぁ〜、綺麗な海!」
海未「なっ、なんです急に…」カアア
穂乃果「いや海未ちゃんじゃなくて、海!」 希「“お送り”ありがとね、海未ちゃん」
希「やっぱり、海未ちゃんの『どんとき』が一番快適やん」
海未「当然です」ドヤ
絵里「三人共、気を引き締めなさい」
絵里「観光に来たわけじゃないのよ」
「μ’sの皆さん、ですね――――」ザッ…
四人「!」
「お待ちしてました!」
ダイヤ「ちゃんと――腕利き共を用意していますわ」 月「初めまして!曜ちゃんの従妹の、渡辺月です!」
月「よーろしくー!」ケイレイ
理亞「遊びじゃない…!」グッ
聖良「ラブライブ!ですからね―――」
絵里「…………」
聖良「こういう事もあります」
to be continued… 希「…えっと……あなた達は…」
聖良「Saint Snow、鹿角聖良」
理亞「Saint Snow、鹿角理亞…」
穂乃果「せいんとすのー…」
海未「思い出しました。花陽に聞いたことがあります」
海未「確か北海道ナンバー1スクールアイドルで…」
聖良「ハイ」
海未「Aqoursとはライバル、でしたっけ?」
理亞「…ライバル……」
聖良「まあ、良いですよ。ソレで」フッ… 海未「で、その貴方たちがどういう了見で私たちの前に立つのです?」
月「それは、君たちがどういう了見で僕達の前に立つのか、によるかな」
絵里「…………」
月「平和的に解決できると、嬉しいんだけど」ニコニコ
希「…平和的、かァ〜…」
海未「ご安心を」ザッ…
穂乃果「!」
海未「戦いと言うほどのものにはなりません」
海未「身の程知らずの首三つ……秒で転がして終わりです」 真姫「ん……」パチクリ…
千歌「あ」
真姫「ハッ!」ガバッ
ルビィ「ピギイッ!」ビクッ
鞠莉「グッモーニ〜ン♪」ヒラヒラ
真姫「…これは……」スクッ…
曜「気分はどう?」
真姫「!」
曜「私の“回道”は半端だから…ダイヤさんみたいに、何もかも全快!ってワケにはいかないけど…」ニコニコ 真姫「……………」
真姫「…そういう…」
善子「本当に大丈夫なんでしょうね…」ヒソヒソ
花丸「いざとなれば曜ちゃんがとめてくれるずら…たぶん」ヒソヒソ
真姫「呆れた」ハアーッ
曜「え?」
真姫「どういうつもり?」
曜「だって真姫ちゃんにはホラ、私たちも助けてもらったから…」
真姫「そういう問題じゃないでしょ!」 真姫「さっきの私のとは明確に状況が違うわ!」
真姫「私は自分が戦いたいから貴女たちを治したんであって…」
真姫「貴女は私を甦らせて、また戦いたいワケ!?違うでしょ!」ビシッ
曜「それはモチロン、戦いたくないけど…」
真姫「だったら――」
「あれー!?真姫ちゃーん!」
真姫「!」
七人「!」
花丸「この声は…」 凛「なんで真姫ちゃんがAqoursのみんなといるのー!?」
曜「星空…」
千歌「凛ちゃん!?」
「千歌さん!!スゴい!生きてたんですか!?」
千歌「!!」
千歌「チョットチョットチョットチョット…」
ルビィ「凛ちゃんとくれば、モチロン――」
花陽「曜さんも!花丸ちゃんも!善子ちゃんも!ルビィちゃんも!!」
花陽「三年生の小原鞠莉ちゃんに松浦果南ちゃんまで!」
花陽「最初の梨子ちゃん以外1人として欠けてない!スゴすぎる!スゴすぎますよコレは!!」 曜「花陽ちゃん…なんで…」
曜「数日はお米の状態から戻れないんじゃ……」
千歌「どーでもいいよそんなことは!」
千歌「ここで会ったが百年目――」
ダイヤ「私が“戻した”のです」ザッ…
千歌「!」
鞠莉「ダイヤ!」
ダイヤ「お待たせしましたわ」
ルビィ「お姉ちゃんが戻したって…」
千歌「どういう…」 ダイヤ「花陽さんと協定を結びました」
千歌「…なん……だと…!?」
ダイヤ「花陽さんに、この『NO EXIT ORION』を“詠唱”で正面から解除して頂く」
ダイヤ「代わりに、私が花陽さんと凛さんの傷を戻して、内浦に――最終決戦の場に連れて行く――そういう交換条件ですわ」
果南「解除?できるの?」
花陽「完全には無理ですけど、一時的に解除して皆さんを抜けさせるぐらいなら…」
凛「『ORION』は、かよちんと穂乃果ちゃんとことりちゃんの、三人の持ち“歌道”だもんね!」
千歌「ちょ、ちょっと待ってよ!」 千歌「手を組む!?花陽ちゃんと!?」
ダイヤ「そう言っているでしょう」
千歌「ダメだよそんなの!ダメ!ぜ〜ったいダメ!」
千歌「だって花陽ちゃんは私たちの浦の星を、輝きを――」
ダイヤ「千歌さん」
ダイヤ「詳しい話は存じませんが…敵の花陽さんと組むことに抵抗があるのはわかります」
千歌「敵っていうか、仇…」
ダイヤ「が、今は手段を選べる状況ではない――ソレもわかりますよね?」
ダイヤ「内浦と、そして梨子さんが懸かっているのです」
千歌「……!」
ダイヤ「悪を倒すのに悪を利用することを、私は悪だとは思いませんわ」 花陽「悪って…」アハハ…
善子「それより!条件の二つめ!」
善子「内浦に連れてくって…それって結局……」
花陽「いいえ!」キッパリ
花陽「信じてもらえないかもしれませんが…私は穂乃果ちゃん達と皆さんの戦いには手出ししません」
花丸「でも、じゃあなんの為に?」
ルビィ「スクールアイドルの戦いを、目の前で見たいから」
花陽「!」
ルビィ「ですよね?」
花陽「ドンピシャリです!」ニッコリ 果南「まあ土壇場で裏切られたとしても、ここから出られない今の状況よりはマシだしね」
ダイヤ「そういうことですわ」
真姫「…知らないわよ…勝手なことして」クルクル
凛「で、真姫ちゃんは何してたのー?」
凛「…もしかして負け…」
真姫「ムウッ!」ベシッ
凛「いたっ…なにするのー!?」
真姫「私が負けるワケないでしょ!」
果南「負けたよね」
凛「シャー!」 鞠莉「じゃあ、花陽!早速だけど…」
花陽「ワカりました」ス…
凛「真姫ちゃんはどうする?凛たちと一緒に来る?」
真姫「…私は別に……」
凛「へ〜真姫ちゃん逃げるんだ〜」ジトー
真姫「なっ!?行くわよ!行けばいいんでしょ行けば!」
ダイヤ「騒がしいですわね…」
千歌「ロクなことにならないよ…絶対……」ブツブツ
花陽「『夜明けの陽が登れば恋は消えてしまう?』――……」 星空凛―『月猫夜』
解号:「生まれ変われ」
形状:骨こん棒。
能力:食材をベースにラーメン(の一部)を作る。
みかんジュースをスープに変えたりといった無茶な料理はできない。
小泉花陽―『炊込地蔵』
解号:「踏み出せ」
形状:しゃもじ。
能力:大量のお米を生み出し、自在に操る。
お米には特殊な品種改良が重ねられている。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています