海未「私には弟がいます」
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海未「弟とは少し歳が離れていて……」
海未「身体があまり丈夫ではないので体調を崩しがちです」
海未「ですからいつも私が姉として彼の面倒を見ています」
海未「自分の時間が削られてしまうのは少しもったい気はしますが、かわいい弟のためです。苦ではありません」 ジャッジャッ
海未「……よし、完成です!」
海未「ご飯ですよー!今日はお母様がいないので海未チャーハンと餃子ですよ!」ガラッ
海未「……いない?」
海未(この時間はいつも居間で本を読んでいたはず……)
海未「部屋でしょうか。静かな弟ですね」 海未「いない……どこにも……!!」
海未(家中探し回っても弟の姿は見えませんでした)
海未(広い家ですが、廊下ですれ違わないことはないはず……もう全部見て回ったのに……)
海未(自分の顔を嫌な汗が流れるのがわかります。何か事件に巻き込まれたのではないか、そんな考えが頭を離れませんでした)
海未「ほ、穂むらにいるかも……!」ダッ
海未(8時半、子供が一人で出歩いていい時間ではないはずです) 海未「ごめんください!!」
穂乃果「う、海未ちゃん??ごめんね急いで来たみたいだけどもう閉店……」
海未「わ、私の弟がここに来ませんでしたか!!?」
穂乃果「えっ……弟??来てないけど……」
海未「そうですか……失礼しました!」ダッ
穂乃果「……ん?」
穂乃果「海未ちゃんの弟……??」 海未(どこにもいません……)
海未(警察に連絡した方がいいのかもしれません……一度家に帰って、家にいなければ連絡しましょう)
ガラッ
海未(靴……弟がいつも使っている靴はどれでしたっけ。弟のことなのにわからないことが多いですね)
ワヤワヤ……
海未(テレビの音……居間から?)
海未(か、帰ってきてます!!)
海未(ドタドタと足音を立て、居間のふすまを勢いよくあけ弟の名前を叫ぼうと───した瞬間)
「ん?どうしたの海未、こんな時間なんだからもっと静かにしてないとダメよ?」
海未「え……」 「あ、今すごい面白い番組してるのよ。海未も一緒に見ましょ」
海未「あの……ど、どなたですか?」
「何それ?あんまり面白くない冗談ね。傷つくからあんまりそういうこと言わないでね」
海未「あ、す、すみません」
海未(状況が掴めません。なんなのですか、これは) 「ねえ海未、もしかして疲れてる?」
海未「え……?」
「ほらこっち来なさい。昔みたいに膝枕してあげるから」
海未「それはちょっと……恥ずかしいです」
「問答無用よ」グイ
海未「わ……」
海未(私は、誰とも知れぬこの人の言うがままになって……明らかに異常なことなのに、不思議と違和感はありませんでした) 「というかごめんね、お腹空きすぎてご飯先に食べちゃってる」
海未「あ、いえ、そんな……」
「海未はもう自分でお弁当作るくらい料理が上手だけど、やっぱりチャーハンがいちばん好きよ」
海未「そのチャーハンは……」
「もしかしてまだ作りかけだった?」
海未(……どうしてチャーハンなんて作ってたんでしたっけ)
海未「い、いえ。なんでもありません、美味しかったのなら、よかった」 「ところでさっきまで外出てなかった?」
海未「はい。少し用事が……」
「少し?さっきまでの様子見るに結構焦ってたと思うのだけど」
海未「そう、ですね。焦っていました、ですが何に焦っていたのか……」
「ふふっ、変な海未。卵がなくて急いで出掛けたら何買うか忘れた、とかそんなオチ?」
海未「そんなことでは……ですが、なんだかとても悲しくて……」ポロ
「……」ナデナデ
海未「あっ……姉さん」
海未(自然と声に出ました。そうです、この人は私の姉、園田家の長女で、私の唯一の姉妹)
海未(なぜ今まで忘れていたのでしょう) 「あなたが小学生の時、よくこうやってたことを思い出すわ。昔の海未は涙を流さない日はないくらいの泣き虫で……」
海未「昔の話はいいじゃないですか///」
「ふふ、そうね。今は強くたくましい女の子に成長して、姉ながら誇らしいわ。きっと穂乃果ちゃんやことりちゃんのおかげね」
海未「確かに穂乃果やことりと出会って私は変わりました。ですがその殆どは姉さんの影響ですよ。あなたを理想としていたから……頑張れたんです」
「面と向かってそんなこと言われると照れるわね。……でも、私を理想とするなら膝枕は卒業しないとね」
海未「姉さんが勝手にしてきたんじゃないですかっ」
「ふふ……あ、チャーハンって残るわよね。明日のお弁当にしていい?」
海未「え……はい、もちろんです!よければ私におかずも作らせてください!」
「ホントに?みんなに自慢できるわ、楽しみにしてるわね」 翌朝
ジュワ-
海未「よし、できました」
海未「ちょっと重いでしょうか……でも姉さんならきっと喜んで食べてくれますよね」
海未「まだ寝ているのでしょうか。姉さんが忘れないようにバッグに詰めておきましょう」
コンコン
海未「姉さん、起きてますか?入りますよ〜」ガチャ
海未「……え」
海未(そこは姉さんの部屋ではなく……オフシーズンの家具が積まれた物置でした) 母「海未さん!?どうしたのですか、こんな朝から物置なんか開けたりして、何か探し物ですか?」
海未「お、お母様!姉さんの部屋は!!?」
母「姉さん?誰のことを言っているのですか?」
海未「冗談はやめてください!姉さんと喧嘩でもしたのですか!?」
母「姉さん?私に姉はいませんよ」
海未「私の姉です!園田家の長女で、私の目標だった……」
母「海未さん、しっかりしてください。園田家の長女はあなたで、私はあなたしか産んだ覚えはありません」
海未「そん、な……」ポロポロ 母「どうも体調が優れないようですね、今日は学校お休みしますか?」
海未「ぐすっ……いえ、構いません。行きます……」
海未(頭の中が混乱して……無理やりにでも体を動かしていなければどうにかなってしまいそうです) 穂乃果「海未ちゃんお待たせ!!」
海未「おはようございます、穂乃果」
ことり「2分遅れてるよ、穂乃果ちゃん」
穂乃果「ごめんね〜……ん?」
穂乃果「いつもは海未ちゃんが言うセリフじゃない?」
海未「そう、でしょうか」
穂乃果「なんか元気ないね?目も赤いし、お母さんと喧嘩でもしたの?」
海未「いいえ。……実は私も寝坊したので穂乃果に何も言えなかっただけですよ」
穂乃果「なーんだそういうことか〜!」
海未「……」 ことり「ねえ海未ちゃん、本当に大丈夫?」ボソボソ
海未「はい、大丈夫です」
ことり「……」
海未「そんな目をしないでください、本当に何もないんですから」
ことり「海未ちゃんの嘘ってすぐわかるんだよ」
海未「……実は、何かには悩んでいるんです」
ことり「??」
海未「でもそれが何だったのか……もう自分でも思い出せません」
ことり「そう、なんだ……」
海未「すみません、変ですよね。こんなの」
ことり「自分でもわからないんじゃ相談には乗ってあげられないけど、ことりと穂乃果ちゃんは、ずっと海未ちゃんと一緒だからね」
海未「はい。……ありがとう、ことり」 昼休み
海未(お弁当が二つ……こんなに丁寧に作ったのに、なぜ2つ持っていたのでしょうか)
海未(もしかしたら誰かに渡す予定だったのかも……)
海未(ん……あれは……)
海未「絵里」
絵里「海未。昼休みに会うなんて偶然ね」
海未「今日は購買ですか?」
絵里「朝起きられなくてね。お弁当作る時間なかったから」
海未「あ……よかったら私の食べませんか?2つあるんです」
絵里「2つ?食いしん坊ね」
海未「……」
絵里「怒らないでよ。ありがたくいただくわ」 絵里「このチャーハンおいしい……!お店で作ったやつみたい」
海未「ふふ、そう言ってもらえると嬉しいです」
海未「実はそれ、誰かにあげる予定だったんです」
絵里「え……私が食べてよかったの?」
海未「はい。誰に渡すべきなのかわからなくなってしまったので」
絵里「ふふ、なにそれ」
海未「……絵里は、もし、今の自分を構成している大切な何かが無かったことにされて、自分もそれを忘れてしまったらどうしますか?」
絵里「なにかのテスト?」
海未「聞いてみただけです」
絵里「うーん、そうねえ……」
絵里「例えば家族とかかしら。私は亜里沙とずっと一緒に暮らしてきて、生活の中心にはあの子がいたから、明日から急に亜里沙の存在が消えて、記憶もなくなるとすると……ひどく混乱するでしょうね」
海未「……」
絵里「でも、私ならどうにかして絶対亜里沙の記憶と、亜里沙がここにいたことを思い出すと思う。自分の中心にそれがあったのに、ぽっかり空いたままずっと過ごすなんて絶対にモヤモヤしてるはずだもの」
海未「そうですか……そう、ですよね」
絵里「なんか例え話でたくさん話しちゃったけど、海未の納得いく答えは出た?」
海未「おそらくは。絵里は頼りになりますね」
絵里「ふふ、今日の海未、やっぱり少し変よ。悪くはないけれど」
海未「そうでしょうか……多分あなたが似てるからなんでしょうね」
絵里「誰に?」
海未「さあ……いつか、思い出します」 姉ちゃんは勘当されても飄々と生きてそうな気がするけど
弟くんどうやっても死んでそうなのが なんか不思議な感じが面白かった
乙
でもアニメで兄弟姉妹設定が多いとわちゃわちゃしそうだからアレで良かったとは思う >>32
メタ的な意味だろうけど、ラブライブキャラ一人っ子が殆どだし、かなり少子化なのかもね エリチもアニメで亜里沙くんを弟なのって言ってたしな 園田家長女が絵里に似てるとかいうゲキヤバ設定すきだから知って欲しい とても良い
弟を可愛がり姉に可愛がられる海未ちゃんを見てみたかった 家族構成もったいないよなぁ
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