歩夢「あなたにラブソングを」
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———
歩夢(これがきっと、自立ってことなんだと思う)
歩夢(いつまでもあなたに頼りっきりじゃいられないから)
歩夢(いつかこうやって、一人で歩けるようにならなきゃいけないから)
歩夢(こうしないと、私はきっと変われないから)
歩夢(ここから一人で歩きだして、そうしたら……)
歩夢(本当の『私らしさ』もきっと見つかると思うから……)
歩夢(だから——
歩夢「——バイバイ、今までの私」
……… 虹ヶ咲学園 練習場
あなた「ワン、ツー、スリー、フォー、ワン、ツー、スリー、フォー…最後にターン!」
あなた「うん!みんなバッチリだよ!じゃあちょっと休憩にしよっか!」
かすみ「ふぇ〜疲れました〜かすみん疲れすぎて足が棒になっちゃいそうです〜」グテー
しずく「かすみさん、はしたないですよ。もっとスクールアイドルとしての自覚を持って行動してください」
かすみ「いーじゃん休憩中くらい〜しず子が真面目過ぎるんだって」 エマ「あっそうだ〜かすみちゃん、今日わたし、おやつにレモンケーキ作ってきたんだ〜」
かすみ「ケーキ!かすみんケーキ大好きですっ!いただきます!」
璃奈「かすみちゃん、さっきまで歩きたくなさそうにしてたのに……璃奈ちゃんボード『ヤレヤレ』」
エマ「ふふっ、そんなに焦らなくても大丈夫だよ〜。みんなの分もあるからね〜」
あなた「えっ、私たちの分もあるの!?わーい!いただきまーす!」パクッ
あなた「ん!?なにこれ!?レモンの風味がするのに、しっかり甘くて……とってもおいしいよ!毎日食べさせて欲しいくらい!」
かすみ「なっ、毎日……。か、かすみんだって、おいしいケーキくらい作れますけど!」
しずく「でも、ケーキはすっごくおいしいと思います。ケーキの甘さにレモンの酸っぱさがいいアクセントになっていて、すごく爽やかな風味です。まるで高原の清涼感みたい」
璃奈「しずくちゃん、すっごく食レポ上手……璃奈ちゃんボード『ソンケイ』」
しずく「ふふっ、ありがと、璃奈ちゃん。実は演劇部の方でも、感受性を高めるために練習してたんだ」
エマ「しずくちゃん、勉強熱心だね〜。そんなに褒めてもらえるとわたしも嬉しいな〜」 エマ「このケーキはね、よく故郷のわたしの家族にも作ってあげてたし、自信作なんだ〜。果林ちゃんもよくおねだりしてくるし〜」
果林「なっ!?エ、エマ!?今はそんなこと言わなくてもいいでしょ!?///」
エマ「え〜でも、ケーキ作ってよーってお願いしてくるときの果林ちゃん、とってもかわいいから〜」
果林「や、やめてよね!?みんな聞いてるんだから!?」
かすみ「え〜果林先輩、寮ではそんな甘えたことしてたんですか〜、普段はセクシー系とか大人の魅力とか言ってるのに〜」ニヤニヤ
果林「そ、そんなことないわよっ!もうエマっ!恥ずかしいから寮での話はやめてよねっ!//」 愛「なになに、おやつタイム?おっ、レモンケーキじゃん!愛さんにもひとつちょーだいっ!」パクッ
愛「うわっ、なにこれ!?超ウマッ!」
エマ「愛ちゃんもありがと〜、私の自信作なんだ〜」
愛「レモンの爽快感が効いててベリーグッド!まさに優れもんだね!レモンだけに!」
璃奈「…相変わらず愛さんのダジャレはよくわからない。璃奈ちゃんボード『カイセキフノウ』」
あなた「あれっ、そういえば歩夢ちゃんは?」
しずく「彼方さんとせつ菜さんの姿も見えませんね」
彼方「彼方ちゃんは、ずっとここにいるよ〜」
かすみ「うわっ!彼方先輩、そんな端っこの方で何してるんですかっ!?」 彼方「練習がハードだったから、ちょっと体力を回復させてたのだ〜疲労回復といえば、そのレモンケーキ彼方ちゃんにもちょうだい〜」
しずく「ちゃんと話は聞いてたんですね……」
彼方「かすみちゃん、ケーキここまで持ってきてよ〜」
かすみ「彼方先輩、かすみんのことコキ使わないでくださいよ……」
璃奈「でもかすみちゃん、そういいながらもちゃんと持っていってあげるんだね。璃奈ちゃんボード『ミナオシマシタ!』」
かすみ「ち、違っ!これはみんなに内緒でイタズラを準備しにいこうと……」
彼方「ふふふ〜かすみちゃん、ありがと〜」ハグッ
かすみ「彼方先輩!?もうっ、放してくださいっ!」
果林「…じゃあせつ菜と歩夢はどこへ行ったのかしら?」
エマ「そうだね〜、迷子になってないといいけど〜」
しずく「いや、さすがに学園の中では迷子にならないと思いますけど…」 愛「あ、歩夢とせっつーなら、さっき自主練するって、中庭の方に向かってってたよ!」
あなた「なるほど……歩夢ちゃんとせつ菜ちゃんはイベントが近かった気がするから、それに向けた特訓でもしにいったのかな?」
果林「確かせつ菜のライブイベントが2週間後で、歩夢のファンミがその1週間後、だったかしら?」
あなた「うん。根詰めすぎて、無理してないといいけど。歩夢ちゃん、昔から頑張り過ぎちゃうところあるから……」
かすみ「はっ!?もしかして歩夢先輩、抜け駆けして自分だけに人気を集めるつもりでは!?ぐぬぬ……かすみんのファン、みんな歩夢先輩にとられちゃうかも!?」
しずく「かすみさんじゃないんだから、そんなこと考えてないと思うよ……」 ガチャッ
歩夢「あ、みんなおやつタイムにしてたんだね」
あなた「あ、歩夢ちゃん帰ってきた!せつ菜ちゃんもお疲れ!」
せつ菜「はい!とっても疲れました!」
あなた「はい、歩夢ちゃん。タオルとお水だよ」
歩夢「ありがと!……ふう…」ゴクゴク
歩夢「そういえば、さっきみんなで何のお話をしてたの?」
あなた「いや、歩夢ちゃんもせつ菜ちゃんも、頑張ってるなーって……」
かすみ「歩夢先輩!歩夢先輩がいくら上手くなったとしても、かすみんのファンだけはとらないで下さいっ!!」
歩夢「うん、そんなことするつもりはない、かな……」 かすみ「せんぱーい〜、歩夢先輩とせつ菜先輩だけじゃなくて、かすみんにもイベントを用意して下さいよ〜」
あなた「ええっ!?急に言われても……こういうのは持ち回り制でやってるから……」たじたじ
しずく「かすみさん、そんなに迫ると、先輩も困っちゃうよ」
あなた「うーん。じゃあ、かすみちゃんや他のみんなもイベントたくさん開けるように、私頑張ってみるね!」
かすみ「わーい!先輩、大好きですっ!!」ハグッ
あなた「わっ!?かすみちゃん!?」
歩夢「……」
あなた「ん?歩夢ちゃん、どうかした?」
歩夢「ううん、なんでもないの」 歩夢「かすみちゃん、急に抱き着いちゃうとあなたも困惑しちゃうから、ほどほどにね」
璃奈「だいたいかすみちゃんは普段から落ち着きがなさすぎる。璃奈ちゃんボード『コドモミタイ』」
かすみ「なっ!?こ、子供って!?だいたいりな子の方が身長低いくせに!」
璃奈「身長は関係ない。中身の問題。璃奈ちゃんボード『タッカン』」
しずく「そもそもそういう考えが子供っぽいんだよ、かすみさん」
かすみ「もう!しず子まで!かすみんだって簡単に大人っぽくなれるもん!」
果林「ちょっと一年生たちー!わちゃわちゃしてないで、そろそろ練習再開するわよ!」
しずく「あっ、はい!わかりました!」
あなた「よーしじゃあ今日も、イベントに向かって!それぞれの目標目指して、はりきって練習するぞー!」
みんな「おー!!!」 下校中
あなた「歩夢ちゃん、今日も練習お疲れ様!」
歩夢「ううん、あなたの方こそ、お疲れさま。あなたが見守っててくれるから、私たちも頑張れるんだよ?」
あなた「えー、そうかなー?私なんてまだまだ何もしてあげられてないよー」
歩夢「そんなことないよ。いつも私たちに合った練習メニュー考えてきてくれるし、曲だってあなたに作ってもらっちゃってるし」
あなた「別にそれは私ができることをやってるだけで、やりたいからやってるだけだよ」
歩夢「ふふっ、謙遜しちゃって。そういうところもあなたらしいね」 あなた「…そういえば、歩夢ちゃんとこうして二人っきりで話すのって、なんか久しぶりな気がするよ」
歩夢「そうだね。私もあなたもスクールアイドル活動が忙しくて、何かと時間合わなかったから」
あなた「ううん、そういう意味もあるけど……」
あなた「…ほら、中学生の時って、私たち、いっつも一緒にいたから……」
あなた「だから、歩夢ちゃん以外にも親しい友達がたくさんできるなんて、当時の私からしたら考えられなくて」
歩夢「そ、それは、私もだよ。ずっとあなたと二人っきりだったから、こうして新しい世界が広がっていくなんて、想像もしてなくて…」
あなた「うん。でも歩夢ちゃんのおかげで、新しい世界を、スクールアイドルの素晴らしさを、知ることができた。だからありがとっ!」
歩夢「えっ、でも、スクールアイドルだって、あなたから誘ってくれたから、私も始めることができたわけだし……」
あなた「ううん!全部歩夢ちゃんのおかげなのっ!」ダキッ!
歩夢(わわっ!!//) 歩夢「…もう。いきなり抱き着いてくると、さすがに私もビックリしちゃうよ?」
あなた「ごめんごめん〜」
歩夢(でもそれ以上に、嬉しい、かな?)
あなた「あっそうだ!今日もあそこの公園で、少しお話していかない?私ね、歩夢ちゃんに聞いて欲しいこと、たくさんあるんだっ!」
歩夢「うん、いいよ。あなたとゆっくりお話できると、私も嬉しいな」
あなた「じゃあ決まりっ!待ってて!私そこの自販機で飲み物買ってくるから!」
歩夢「うん、ありがとっ」
歩夢(…でも、私とふたりきりで話すのは久しぶり、か)
歩夢(…確かにそうかも。あの子、愛ちゃんやせつ菜ちゃんとも一緒に帰ってるみたいだし、私も私で、同好会の子といる時間が長くなってきてるもん)
歩夢(あの子にたくさんお友達ができることはいいことだとは思うけど……)
歩夢(その反面、ちょっと寂しい、かな……) 歩夢(……なんて考えてたらダメだよね!素直に祝福してあげないと!)
あなた「ん、どしたの歩夢ちゃん、難しい顔しちゃって?考え事?」
あなた「あっ、もしかして〜、私のこと考えててくれてたの〜?」ニヤニヤ
歩夢「えっ!?あっ、うん……」
あなた「えっ!?そうなの!?冗談でいったつもりだったのに……///」アセアセ
歩夢「あっ、でもあなたのことを考えてたって言っても、別に変な意味じゃなくて、ただ漠然とした考え事をしてたってだけだよ?」
あなた「あっ、うん、そうだよね……」
あなた「…それより!冷めちゃわないうちに!はいこれ!あったかいミルクティー!」
歩夢「…もしかして昔私がミルクティー好きって言ったこと、覚えててくれたの?」
あなた「うん!」
歩夢「ありがとう……あなたはもう、忘れちゃったんじゃないかって、思ってたから……」 あなた「え〜、私だって覚えてることくらいちゃんと覚えてるんだからねーもう、歩夢ちゃん、ひどいなぁ」
歩夢「…じゃあ中学校の調理実習で、ミルクティーとハーブクッキー作ったことは?」
あなた「えっ!?あれ、中学校のときだっけ?もっと前のことだと思ってた……」
歩夢「そうだよ。中学校一年生のときの調理実習で、私が一生懸命作ったクッキーを、あなたがおいしいって言ってくれたのが、とても嬉しくて……」
あなた「あはは……歩夢ちゃんにはかなわないや……」
歩夢「もうっ、私にとってはあなたとの大切な思い出だから、覚えていて欲しかったのに……」プクー
あなた「ごめんごめん……」
あなた「じゃあ代わりに、私はこれからのことをたっくさん覚えるね!歩夢ちゃんがスクールアイドルとして輝いてる瞬間も!もちろんせつ菜ちゃんや愛ちゃん、それに同好会のみんなのことも!」
歩夢「うん、ありがとう、あなた」
あなた「あ、同好会といえば、今日、休憩の時間に、エマさんがね……
……… 歩夢「ふふっ、そんなことがあったんだね」
あなた「うん!でねでね、それをみてた彼方さんがね、すっごく可愛かったんだ〜」
歩夢(ふふっ、同好会での出来事を話すあなた、とっても楽しそう)
ピロリン!
あなた「あれっ?歩夢ちゃん、LINE鳴ってるよ!」
歩夢「ほんとだ……誰からだろ?」
歩夢(もうっ、せっかくあなたといい感じだったのに……)
———
歩夢ママ:もう夜遅いけど、どこにいるの?
歩夢ママ:遅くなるなら連絡くらい入れなさい
———
歩夢「……お母さんからみたい。帰りが遅いから私のこと心配しているみたい」
あなた「えっ!?もうそんな時間なの!?うわっ、ほんとだ!!」
歩夢(心配かけたくないし、返信いれておこう……) ———
歩夢:ごめんなさい。今あの子と一緒にいるんだけど、帰り道でちょっとお話してたら長くなっちゃって。遅くならないうちには帰ります
———
歩夢(これで、いいかな?)
ピロリン!
歩夢(お母さん、返事はや!)
———
歩夢ママ:そう。あの子が一緒なら安心ね
歩夢ママ:補導されない時間には帰ってくるのよ
——— 歩夢(良かった……お母さんわかってくれたみたい)
あなた「あっ、LINE、私のところにも来てるよ!うう〜ちょっと怒ってるかなこれは〜」
歩夢「私のせいでちょっと遅くなっちゃうって言っておけばいいんじゃない?おばさん、ちょっと私に甘いところあるし……」
あなた「ううっ、ごめん歩夢ちゃん!その案使わせてもらうよ!」
歩夢「ううん、大丈夫だよ、私は。ねえ覚えてる?小学生のときも私たちこうやって言い訳を考えながら、毎日遅くまで遊ぼうとしてたよね」
あなた「あはは、あの頃から私たち、何も成長してないんだね……」
歩夢「そうだね……」
歩夢(でも、逆にその何も変わらないということが、すごく安心するって思えるのは、私だけ、なのかな?)
あなた「わわっ!ヤバい!嘘もうバレちゃってるよ!急いで帰らなくちゃ!」
歩夢「ふふっ、波乱万丈だね」
あなた「よーし!そうと決まれば!歩夢ちゃん!家まで競争だよっ!スクールアイドルの特訓も兼ねて!」ダッシュ!
歩夢「ええっ!?ま、待ってよ、あなた……」
歩夢(…でも、こうして幼馴染に振り回される生活が、私はとっても大好きです) 翌日 登校時
あなた「ふああ……歩夢ちゃん、おはよ……」
歩夢「うん、おはよう♪」
あなた「ごめんね遅くなっちゃって……朝はどうしても弱くて……」
歩夢「ううん、大丈夫だよ。私も今来たとこだから」
歩夢「それより、昨日はどのスクールアイドルを調べてたの?」
あなた「ええっ!?どうして私がスクールアイドルの動画見てて夜更かししちゃったってわかるの!?まさか私の独り言、歩夢ちゃんの部屋まで届いてたとか!?」
歩夢「もう、それくらいわかるよ。だって私、あなたの幼馴染なんだもん」
あなた「ええっ!?そういうものなの!?」
歩夢「うん♪そういうものだよっ!」
あなた「…昨日はあの後お母さんに怒られて、最近同好会ばっかで勉強おろそかにしてるって怒られて……勉強しなきゃって思ったんだけどつい調べものしちゃって、そしたら新しいスクールアイドルのPVを見つけて……」
あなた「あっ!そうだ歩夢ちゃん!すごいPV見つけたんだよ!見て見て!これ!」 歩夢「Dream……?」
あなた「そう!福岡のスクールアイドルなんだって!」
歩夢「ほんとだ……後ろに梅の花が舞ってて、キレイ……」
あなた「うん!福岡では梅の花が今一番の見ごろで、それに合わせて撮影したんだって!太宰府天満宮の目の前の丘にある高校借りて!」
歩夢「へえ、そうなんだ……だからこんなに幻想的な演出ができるんだね……」
あなた「うん!でねでね!リーダーの人がインタビューで言ってたんだけど、福岡らしさ、グループらしさにこだわって作ったんだって!」
歩夢「福岡らしさと、グループらしさ……」
あなた「私ね、思ったんだ。私たちらしさってなんだろうって」
あなた「ほら、私たちってグループじゃなくてソロ活動メインにしてるでしょ?だから一人ひとりの個性は他のグループに比べても強く押し出せているはず、なんだけど……」
あなた「でもそれが逆に、みんなの可能性を狭めることに繋がってるんじゃないかって、みんなの新しい側面をもっと引き出してあげることが、できるんじゃないかって……」
歩夢(あなた……そんなこと考えてくれてたんだ……) あなた「だからね、私も考えてたの。私たちらしさってなんだろうって。それがわからなきゃ、新しい可能性もみつからないのかもって」
あなた「まあそのせいで勉強をおろそかにしちゃって同好会停止になっちゃったら、本末転倒なんだけどね……」タハハ
歩夢「ふふっ、そうだね。夜更かしもほどほどにしないとね。体調管理も練習の一環だよ」
あなた「ううっ……気を付けます……」
歩夢「うんっ!」
歩夢(……私たちの新しい可能性、か) お昼休み
かすみ「あっ、歩夢先輩!かすみんたちもご一緒しても大丈夫ですか?」
歩夢「うん、平気だよ。ねっ、愛ちゃん?」
愛「アタシは誰が一緒でもダイジョーブ!それに一年生も一緒とか、愛さんめっちゃテンアゲ!まさに、一緒のご飯で、御反響が大きい!って感じ?」
しずく「愛さん、さすがにそれはちょっと無理がある気が……」
かすみ「もうっ!愛先輩!かすかすじゃなくてかすみんですっ!」
歩夢「そういえば、あの子知らない?今日は姿が見えなくて……」
璃奈「さっき音楽室の方に向かってるのを見かけた。璃奈ちゃんボード『ゲンコウハン』」
かすみ「ああ!先輩のことなら確か……」 ———
かすみん:先輩!今日のお昼一緒に食べましょう!かすみん早起きしてコッペパン焼いてきたんですっ!
あなた:ごめんかすみちゃん!せつ菜ちゃんとちょっと音楽室で話したいことがあるから、今日は一緒にご飯食べられないや!
あなた:だから同好会のときにもらうね!
———
かすみ「……だそうです!歩夢先輩、聞いてないんですか?」
歩夢「ううん、私は、何も…」
歩夢(…どうして私には何も言ってくれなかったんだろ。かすみちゃんには伝えてるのに) 璃奈「あの子、何やら深刻そうな顔してた。よっぽど大切な用事なのかも」
かすみ「むむむ……先輩のダイジな用事……先輩一人でダイジョーブでしょうか……」
愛「おっ、もしかしてかすかす、アタシのダジャレ、マネしてくれてるの!?」
かすみ「してません!それにかすかすじゃなくてかすみんです!」
しずく「かすみさん。先輩のことだからきっと、考えがあって何か行動しているんだから、そっとしておいてあげないと。ですよね、歩夢先輩?」
歩夢「えっ!?あっ、うん、それがいいかも……」
愛「はい!じゃあこの話はここでおしまい!じゃあここからは愛さんとかすみんのダジャレ対決やりーます!りなりーを笑わせた方が優勝ってことで!」
かすみ「やりませんよ!そんな対決!」
璃奈「…愛さんのダジャレでは、絶対に笑わない自信がある。璃奈ちゃんボード『ダイブツ』」
かすみ「ちょ!?りな子までやる気にならなくていいから!」
愛「じゃあ先攻は愛さんってことで!いっくよー!………
……… 愛「あっ、りなりー!そのコロッケ美味しそう!愛さんに1つちょーだいっ!」
歩夢(私らしさ、か)
璃奈「うん。いいよ。はい」アーン
歩夢(結局、午前中ずっと考えてたけど……よくわからないや)
愛「うーん!おいしいっ!お礼に愛さん特性ミニハンバーグ!1個あげるね!」
歩夢(少しでも、あなたの力になりたいのに……)
しずく「歩夢先輩!」
歩夢「えっ、なに、急に、しずくちゃん?」
しずく「さっきから呼んでいましたけど……どうされたんですか?少しお疲れのように見えますけど……」
しずく「もしかして、悩みごと、とかですか?私でよければ相談にのりますよ」
歩夢「えっ、あっ、うん……実は……
……… みんな「私たちらしさ?」
歩夢「そうなの。今朝あの子に聞かれてね、なんだろうって、ずっと考えてたんだ」
愛「愛さんたちらしさかー。難しい質問だねー」
かすみ「はいはいっ!そんなのかすみん決まってますっ!かすみんらしさ、それはズバリ!世界一のかわいさのことです!」
しずく「…かすみさん。先輩が求めているのは、そんな単純な答えじゃないと思うよ」
愛「でも、私たちらしさかー。いつかはこういうこと考えなきゃいけないって愛さんも思ってたんだけどなー。急に聞かれて困っちゃうっていうか」
璃奈「うん。返答に困る。璃奈ちゃんボード『シキソクゼクウ』」
歩夢「あはは、だよね……」
愛「うん!じゃあこの答えは各々の宿題ってことで!」
しずく「そうですね。考えを深めることで演技にも深みが増しそうですし」
愛「じゃあそろそろ時間だから教室もどろ!行こっ!歩夢!」
歩夢「うん、また同好会でね。かすみちゃん、しずくちゃん、璃奈ちゃん」 夜 上原宅
歩夢(はぁ……結局今日もあなたと一緒に帰れなかったな……)
歩夢(まあ、あの子も忙しいみたいだし、私もファンミーティングを控えてるし、仕方ない、よね……)
歩夢(明日は練習休みだし、私もあの子みたいに、スクールアイドルの動画見て、少し勉強してみようかな……)
ピロピロリン!!
歩夢「あ、LINE来てる!」 ———
あなた:明日は練習お休みだよね!歩夢ちゃん、予定あったりする?
———
歩夢「嬉しい……あなたからのメッセージだ……」
———
歩夢:ううん、大丈夫だよ
———
ピロピロリン!
————
あなた:良かった……
あなた:ねえ、もし歩夢ちゃんさえよければ、付き合ってくれないかな?
———
歩夢「……」
歩夢「う、嘘、これって、もしかして—
……… 翌日
歩夢「あなたとのデート……休日デート……//」
歩夢「髪もちゃんと整えたし……ファッションもいつもより気合入れて準備してきたし……」
歩夢「これでバッチリ!……だよね?」
あなた「あっ!おーい!歩夢ちゃん!」カケヨリ
あなた「はぁ……はぁ……、ごめんね、少し遅くなっちゃって……」
歩夢「ふふっ、大丈夫だよ。私も今来たところだから」
あなた「立ち話するもアレだし、行こっか?」
歩夢「うん!」
歩夢(こうして、私とあなたの、二人っきりの休日デートが、幕を開けました) 歩夢「まずは、いつものスクールアイドルショップに行くの?」
あなた「ええっ!?ち、違うよ〜、いくら私だって、大切な人とのデートでそんな場所選んだりはしないよ〜」
歩夢「ふふっ、そうなんだ」
あなた「もう、歩夢ちゃん、私のこと、どんな風に見えてるの?そんなに私最近スクールアイドルのこと考えてばっかりかな……?」
歩夢「うん。最近のあなたは口を開けばスクールアイドル、スクールアイドルって……それこそ嫉妬しちゃうくらいに」
あなた「ええっ!?そうなの!?自分じゃそんなことないって思ってたんだけど……」
あなた「でも今日はそんなのなしなし!せっかくの歩夢ちゃんとの休日デートなんだもん!スクールアイドルとか同好会のこととか全部忘れて、思いっきり楽しまなくちゃ!」
歩夢(えっ!?じゃあ今日だけは、あなたは私だけを見ていてくれるってことなの……?)
歩夢(もしかしたら、今日くらいは、あなたを私だけのものにしてもいいってこと、なのかな……?)
あなた「さっ!行こっ!歩夢ちゃん!私ね、まずは洋服みにいきたいんだ!」
歩夢(ふふっ、あなた、とっても楽しそう) あなた「あ、洋服といえば今日の歩夢ちゃんのファッション、とっても可愛いね!もしかして、今日のために準備してきてくれたの?」
歩夢「え、あ、うん!」
歩夢(見ていて、くれてたんだ……)
あなた「やっぱり!春っぽい柔らかくてシンプルなコーデの中に、小物が良いアクセントになっていて……うん!素材を活かした調理って感じ!」
歩夢「ありがと……//」
歩夢「でもそんなに褒められちゃうと、さすがの私でも、ちょっと恥ずかしい、かな?//」
歩夢(幼馴染に対してこんな気持ちになるなんて……やっぱり私は、ちょっと悪い子です)
あなた「いいの!私が褒めたくて褒めてるんだから!」
歩夢「でも今日のあなたは、いつも通りのラフな格好だね?」
あなた「え、あ、うん。私、みんなを可愛くしてあげたい!って気持ちは強いけど、自分を可愛く見せたいって方には、あんまり気が向かなくて……」
歩夢「でも私はそんなあなたの可愛いところを、たくさん知ってるんだよ?」
あなた「ふええっ!?///か、可愛いだなんて、歩夢ちゃんのほうが何百倍も……」
歩夢「ううん、あなたはとっても可愛いんだから」
歩夢「でも今日は、私がもっと可愛くしてあげるね?」
……… 歩夢「……♪」
あなた「…もう、歩夢ちゃん、途中から私で遊んでたでしょ?」
歩夢「ううん、そんなことないよ。あなたが可愛すぎるからついエスカレートしちゃっただけだよ?」
あなた「…もう、褒めてもなにもでないんだからね//」
歩夢(ちょっと照れてるあなたも、本当に可愛いんだから♪)
あなた「…私、ちょっとはしゃいじゃったから、喉乾いちゃった」
あなた「歩夢ちゃん、私ちょっと喫茶店入って休憩したいんだけど、いいかな?」
歩夢「……//」クイックイッ
あなた「ん、どしたの歩夢ちゃん?袖なんか引っ張っちゃって……」
歩夢「……あれ、飲みたいな//」 ———
カップル必見!愛が深まる真っ白い恋人ジュースver.!
ロシア名物、真っ白い恋人がなんと!ジュースになって登場!
カップルで飲めば、深い愛が育まれること間違いなしね!キャッ!
———
あなた(え!!?だ、だってあれ、特別な関係になった人たちのためのもの、だよね///私たちにはまだ早いんじゃないかな///)
あなた「あ、歩夢ちゃん。あ、あの、真っ白い恋人ってやつで、い、いいの?///」
歩夢「……うん///」
歩夢「……だめ、かな?///」ウワメヅカイ
あなた(!!!!!////) あなた(お、落ち着け私!!!べ、別に恋人じゃないと飲んじゃいけないわけじゃないんだから!!私と歩夢ちゃんはただの幼馴染だし、歩夢ちゃんもただ私のことからかいたいだけだしっ!!!!)
あなた(ええい!!!こういうのは勢いだよっ!!)
あなた「わ、わかった!ちょっと買ってくるから、待ってて!//」
歩夢「うん!」
歩夢(…ちょっと意地悪、しすぎたかな?)
歩夢(…でもあなたはニブチンさんだし、こうでもしないと本気になってくれないもん)プクー
……… あなた「す、すみません!真っ白い恋人ジュース、一つください!」
店員「ええ、真っ白い恋人ね。お客様、二人用ですので少し量が多くなっておりますが、それでもよろしいですか?」
あなた「は、はい!大丈夫です……」
店員「お待たせしました。真っ白い恋人になります……もしかして、あそこの彼女と一緒に飲むつもりなのかしら?」
あなた「はい、そのつもりですけど……」
店員「ハラショー。そうだったのね」
あなた「あ、あのっ!やっぱり女の子どうしでこんなことするのって、珍しいんでしょうか……」
店員「そんなことないわ。最近だとよく女子高生のグループがみんなで一つ買っていかれるくらいだし」
あなた「そうだったんですか……」
店員「だからあなたももう少し、自信をもって、彼女を愛してあげなさい?」
あなた「え!?あ、はい……頑張ります……」
店員(ふふっ、やっぱりいいわね、女の子どうしって。それに若くて、輝いてるって感じで……) あなた「お待たせ!歩夢ちゃん!」
歩夢「ううん、大丈夫だよ。でも真っ白い恋人なんて、どんな味がするのかな?」
あなた「色はココアって雰囲気の茶色だけど……」
あなた「じゃ、じゃあ私から飲んでみるね……えいっ!」ゴクッ あなた「……意外とおいしい。歩夢ちゃん!おいしいよ、このジュース!」
あなた「チョコベースのココアみたいな感じなんだけど、後味が意外としつこくなくて、スッキリしてるんだ!ちゃんと飲みやすい感じに仕上がってるよこれ!」
歩夢「ふうん……ねえ、私も飲んでみてもいい?」
あなた「もちろん!はい!」
歩夢「……甘い。うん、甘くておいしい」
歩夢(この甘さは、チョコレートの風味なのかな?それとも……)
歩夢(…あなたがとなりにいてくれてるから、なのかな?)
……… あなた「あっ、そうだ歩夢ちゃん!私ちょっと見てみたい映画があってさー」
あなた「貴重な休日の時間で申し訳ないんだけど、付き合ってもらっちゃっていいかな?」
歩夢「ううん、大丈夫だよ。あなたと一緒にいられるなら、私はどこでも嬉しいから」
あなた「良かった……じゃあ私、券買ってくるから!」
……… あなた「おまたせ!歩夢ちゃん!はい!」
歩夢「ありがとう、あなた」
歩夢(あっ、この映画、私が前に見たいって言った映画だ……)
歩夢「でも珍しいね。あなたがこういうロマンス映画を見たがるなんて」
あなた「えっ!?あっ、うん、そうかな……」
あなた「私が恋愛系の映画見たがるのって、そんなに変かなあ……」
歩夢「ううん、そんなことないよ。あなただって、夢見る可愛い乙女なんだから♪」
歩夢「行こっ?映画始まっちゃうよ?」 ———
ウミ「ホノカ!あなたって人は!どうしていつもいつもそう自分勝手に突っ走るんですか!もっと周りの人のことも考えてください!」
ウミ「あなたがピンチになるたびに私がどれだけ心配しているか……」
ウミ「もっと、私の気持ち、考えてください……」ポロポロ
ホノカ「ウミちゃん……」
ホノカ「ごめん、ウミちゃん……」
ホノカ「でもね私、ウミちゃんがいつもそばにいてくれているから、こうやって無茶が出来てるんだと思う」 ホノカ「ウミちゃんが見てくれてるって思うと安心できるっていうか……昔から一緒にいるから慣れちゃったっていうか……」
ホノカ「それにね、ウミちゃんに新しい景色をみせてあげたいって気持ちが、私の中の原動力になってるんだ!」
ホノカ「だからね!ウミちゃん!いつもありがとう!」
ウミ「ホノカ……」
ウミ「もう、ホノカはいつもずるいです……」ボソッ
ホノカ「ん?ウミちゃん?何か言った?」
ウミ(…だから私も少しくらい、ずるくなってもいいですよね?)
ホノカ「わっ!!ウミちゃん!何考えてるの!近い!近いからっ!!///」
ウミ「……」
ウミ「…だからこれはいつもの仕返し、なんですからね?//」
——— 歩夢(ううっ、やっぱり最後は長年愛し合ってきた幼馴染と結ばれる展開、王道だけど、すごく感動するなぁ……)
あなた「……」ギュッ
歩夢(!!!)
歩夢(嘘!?あなたから、積極的になってくれるなんて……)
歩夢(ふふっ、幸せ、だなぁ……)
……… 歩夢「映画、すごく良かったね」
あなた「え、あ、うん!最高だったよ!」
歩夢「クライマックスの展開なんかは、やっぱりわかっててはいても、感動しちゃうよね?」
あなた「そ、そうだね……」
歩夢「……ねえ、もしかしてあなた、何か考え事してるでしょ?」
あなた「え!?」
歩夢「…そしてそれのヒントになるかもって思って、映画みようって言ってくれたんでしょ?」
あなた「ど、どうしてわかったの、歩夢ちゃん!?」
歩夢「ふふっ、だってあなたの顔にそう書いてあったんだもん」
歩夢「ねえ、私でよければ、相談にのるよ?」
あなた「う、うん、実は—
——— 歩夢「ラブソングを考えてた?」
あなた「そうなの!やっぱりアイドルといえばラブソング、ラブソングといえばアイドルってくらい王道じゃん?だから私も、何かラブソングを作ってみたいって思って!それに有名なスクールアイドルはどこもラブソングがやっぱり強いところだから!」
あなた「それに、新しい分野の曲を作ってみることで、私たちの新しい可能性にも、気づけるかもって思ったから……」
歩夢(あなた、この前のこと、そこまで考えててくれてたんだ……)
あなた「だから、さっきの映画とか、今日の歩夢ちゃんとのお出かけとかで、何かひらめいたらなって思ってたんだけど……」
あなた「とにかくごめん!今日は私のワガママにつき合わせちゃって!せっかくの休日だってのに!」
歩夢「ううん、今日は私もとっても楽しかったから、大丈夫だよ」 歩夢「それで、何かヒントはつかめそう?」
あなた「え、そ、それは……まだ、何も……」
歩夢「ふふっ、そうだよね。あなた、恋とか恋愛とか、かなり疎いほうだもんね」
あなた「な!?あ、歩夢ちゃんだって彼氏とかいたことないくせに!」
歩夢「ふふっ、ごめんごめん」ナデナデ
あなた「も、もうっ!子ども扱いしないでよっ!」プクー
歩夢(こういうところも、本当に可愛いんだから)
あなた「と、とにかく!今日の経験をもとにもう一度練ってみるから!」
あなた「だから今日はありがとね!歩夢ちゃん!」 虹ヶ咲学園 昼休み
歩夢(あの子は今日も音楽室にいるのかな?)
歩夢(最近お昼一緒に食べれてないから、今日こそはあの子と一緒に食べたい……なんて私は思ってるのに……)
歩夢(ラブソングを作り始めたって言ったあの日から、ずっとスクールアイドルのことばっか考えてて)
歩夢(ちょっとは私の気持ちも、考えて欲しいな、なんて……) 〜♪〜♪
歩夢「あっ、この音……あの子の音楽だ……」
歩夢(聞いてるだけで何かに包まれてるみたいに、あったかいな……)
歩夢(それになんだか懐かしいような、そんな心地……)
あなた「ねえ、今の感じ、どうかな?」
歩夢「あ、あな
せつ菜「はい!良かったと思います!!!」
歩夢「!!!」ビクッ
歩夢(せ、せつ菜ちゃん!?) あなた「ん?今扉の向こう、誰か来たような気がしなかった?」
せつ菜「いえ、気のせいだと思いますが……一応確認してきますね」
ガチャッ
せつ菜「……」キョロキョロ
せつ菜「いえ、誰もいませんが……」
歩夢(うっ……つい反射的に隠れちゃったよ……)
歩夢(盗み聞きなんていけないことだってわかってるけど……あの子とせつ菜ちゃんが二人っきりでどんな話をしてるのか、とっても気になっちゃうよ……)
あなた「そっか、私の勘違いかな……」 あなた「それよりせつ菜ちゃん!今の私の曲どうだった?ラブソングをイメージして作ったんだけど」
歩夢(ラ、ラブソング!?それってあの子が最近ずっとかんがえてた、あの……)
せつ菜「はい!!楽曲からとても熱いパッションが感じられて、スクールアイドルの曲として、申し分ないと思います!!!」
せつ菜「ですが、ラブソングとして見てみた場合、少し物足りないと言いますか……なんというか、こう、弱い、と思ってしまうんですよね?」
あなた「弱い?」
せつ菜「あ、すみません!あなたがせっかく頑張って考えてきてくださったのに、批判するようなことばかり言ってしまい……」
あなた「ううん、せつ菜ちゃん、色んなスクールアイドルの曲のこと知ってて、すごく参考になるから」
あなた「それより、さっき言ってた弱いって言葉……」
せつ菜「あっ、はい……スクールアイドルの作るラブソングは、純粋な心から出る等身大の強い思いを歌にしたものが多いんですが……」 せつ菜「あなたの作って来てくださった曲には、心を震わせられる気持ちというか、恋愛の切なさというか、そんな感じのものが、足りないように感じたので……」
あなた「切なさ、か………せつ菜ちゃんだけに!ぷ、ぷぷぅ……」
せつ菜「他人の芸名をダジャレにしないで下さいっ!!」
あなた「ご、ごめんごめん。……でも切なさ、か。確かに私も、こう心がキュンキュンときめく感じがもう少し欲しいなって思ってたんだけど、恋のときめきが、どうしてもわからなくて……」
せつ菜「すみません……私も恋愛はラノベやアニメの中での出来事なので、的確なアドバイスが出来なくて……」
あなた「ううん、大丈夫!せつ菜ちゃんが相談してくれたおかげで、方向性が定まった気がするよ!」
あなた「ありがと!せつ菜ちゃん!」 歩夢Side
歩夢(あの子の会話、ちゃんとは聞こえなかったけど、せつ菜ちゃんにラブソングを披露していた、ってことだよね?)
歩夢(……じゃあやっぱりあのラブソングは、せつ菜ちゃんに向けて書いてたものなのかな?)
歩夢(そうだよね、あの子も別に『私に向けた』ラブソングだとは一言も言ってなかったし……)
歩夢(なのに私一人で勘違いして、はしゃいじゃって……)
歩夢(……バカみたい) とりあえずここまで
残りは明日までには頑張ります
コメント見てます。大変励みになります >>62
チー牛茸ニョキニョキで草
春休みなのに一緒に遊んでくれる奴いないとか悲惨やなw 一気見したけどキャラ崩れてないしいいね
めっちゃ続きが気になる! 全員のセリフに気合いが入ってるな
良い意味でも悪い意味でも 同好会にて
かすみ「あっ!歩夢先輩!」
歩夢「かすみちゃん、どうしたの、もう練習始めてる時間じゃ……」
かすみ「違うんです!大変なんです!聞いてください!」
かすみ「…せつ菜先輩のライブが、一週間延期になっちゃったんです!」
歩夢「えっ!?延期!?」
歩夢(そういえば、今週末は季節外れの大雪かもって、天気予報で言ってたような……)
歩夢「じゃあ機材搬入とかのスケジューリングも、もう一度組み直さないと、だね」
歩夢(あっ……一週間ってことは……)
かすみ「歩夢先輩……」
菜々「はい。私と歩夢さんのイベントが、重なってしまう、ということです」 菜々「ご存知の通り、私たち同好会は10人しかおらず、人手が十分だとは言えません。現に普段ならイベントごとの設営などは同好会総出で分担して準備してきましたし」
菜々「ですが、イベントの日程が重なってしまう、ということは、私たち10人だけで両方のイベントを同時に開催できるような工夫をしなければならない、ということです」
果林「じゃあ、どちらかのイベントを取捨選択するとか……」
あなた「選べない!選べないよそんなの!」
果林「……そうね。ごめんなさい」 菜々「幸いなことに私たちはソロ活動を主体としています。演者が重複することはないので、対応によっては両方の開催も十分に可能だとは、私も思います」
愛「そうだよ!成せばたいていなんとかなるっしょ!」
菜々「ですが、ひとつ問題があるとすれば……今までのイベント設営の指揮系統の大部分は、部長に一任してきてしまった、という点です」
あなた「そうだよね……私は主催の人との調整のために、せつ菜ちゃんの方の会場に行かなくちゃだから……」
あなた「…残りの7人の内の誰かに、設営リーダーを任せるしかない、ってことだよね?」
7人「……」ゴクリ
しずく「わ、私は、人に指示を出すとか、やったことがないので、できるかどうか……」
璃奈「私も。人とお話するのは得意じゃない。璃奈ちゃんボード『テキザイテキショ』」
栞子「……話は聞かせてもらいました」
かすみ「げっ!?三船栞子!?」 かすみ「なにしにきたのっ!?かすみんたち大ピンチなんだから、小言を聞いている暇なんてないんだからね!」
栞子「いえ、イベント延期の要請が学校側に直接入ったので、連絡しに来たのですが」
栞子「……どうやら私の想像以上に大変なようですね」
かすみ「うるさいっ!だいたい三船栞子には関係ないでしょ!」
栞子「……ですから私が、あなた方の力になろうと言ってるんです」 かすみ「は?話聞いてた?三船栞子とは何の関係もないことじゃん!」
栞子「学園の関与するイベントが中止になったら、学校の評判が傷つく恐れがあります。そうなっては私としても本意ではありませんので」
かすみ「でもっ!でもっ!三船栞子の力なんて借りなくても!かすみんたちだけで解決してみせます!」
あなた「……いや、かすみちゃん。私は今回だけは三船さんの力も、借りた方がいいと思う」
あなた「三船さんは生徒会活動でこういう設営関係は慣れてるだろうし、それに三船さんの能力が物凄く高いってことは、私たちがよーく知ってるし」
菜々「はい……それに生徒会の助力を得られれば、生徒会の所有している機材や備品等も貸していただけるかもしれません」 かすみ「でも、でも……」
あなた「それに、人手は一人でも多い方がいいからね!」
エマ「そうだよ〜、みんなで協力したほうが、きっとずっと楽しいよ〜」
あなた「歩夢ちゃんもそれでいい?」
歩夢「うん!大丈夫だよ!絶対に成功させようね!」
栞子「……どうやら、決まったようですね」
かすみ「ぐぬぬ……今回だけなんだからね!」
あなた「よーし!そうと決まれば!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会!」
かすみ「プラス部外者の三船栞子!」
あなた「イベント成功に向かって、頑張るぞー!」
10人「おー!!!」 あなた「そうと決まれば、まずは同好会を2チームに分けないとね!」
菜々「はい。各人の担当をある程度はっきりとさせておかないと、当日混乱することになりますから」
歩夢(せつ菜ちゃん、すごいなぁ。自分のライブが延期になっちゃっていっぱいいっぱいなんだろうけど、こんなにも周りのことが見えてるなんて……)
あなた「私がせつ菜ちゃんの方の、三船さんが歩夢ちゃんのサポートをするのは決定として……問題は衣装周りと、機材関係かな……」
果林「普段なら衣装周りは私がメインで担当しているから、衣装やメイクのことは、私が面倒見ようかしら?」
あなた「そうだね。私も片方は、果林さんが適任だと思う。あと衣装関係が担当出来る人は……」
彼方「は〜い。彼方ちゃん、頑張っちゃうよ〜」
かすみ「彼方先輩起きてたんですか!?それならもう少しこっちに来てくださいよ……」
彼方「えへへ〜ごめんごめん〜でも話はずっと聞いてたから〜」 彼方「彼方ちゃんも服飾のこと学校で勉強してるから、こういう場面では役に立てると思うな〜」
果林「そうね。私も彼方が適任だと思うわ」
あなた「じゃあせつ菜ちゃんチームの方に果林さんが、歩夢ちゃんチームの方に彼方ちゃんが入るってことで、お願いね」
果林「ええ。任せてちょうだい」
彼方「えへへ〜、彼方ちゃん、頑張っちゃうぞ〜、ぶいっ」ピース あなた「残りは機材関連だけど……」
璃奈「機械のことなら任せて。璃奈ちゃんボード『テキザイテキショver.2』」
あなた「うん。じゃあ璃奈ちゃんお願いね」
璃奈「了解した。璃奈ちゃんボード『ふんす!』」
あなた「となると、残りは一人……」
かすみ「はいはい!かすみん歩夢先輩の方に行きます!……三船栞子のこと監視しなくちゃいけないので!」
栞子「……別に、あなたと違って、私は悪さを企んだりはいたしませんが」
かすみ「その言葉が信用できないの!悪いことしようとしてたら、すぐ止めさせるからね!」
しずく「まあまあ、かすみさん。三船さんにも手伝ってもらうわけだし、落ち着いて……」
あなた「じゃあこれでチーム分けが決定ってことで!歩夢ちゃんもこれで大丈夫?」
歩夢「…うん!イベント成功に向けて、一緒に頑張ろうね!」
あなた「細かい部分は私と三船さんで詰めておくから、みんなは練習しに行って大丈夫だよ!」
あなた「みんな、当日は二人のサポート、よろしくね!」 菜々「はい、すみません……面倒なところばかりを押し付けるような形になってしまって……」
あなた「いいのいいの!私がやりたくてやってることなんだから!ねっ?せつ菜ちゃんも、イベントに向けて練習してきなよ!」
菜々「はい……ではお言葉に甘えて……」
さあっ!きょうもはりきって練習するわよ!
璃奈ちゃんボード「がんばるそい」
かなたちゃんも〜おめめぱっちり〜やるきぜんかいなのだ〜
わいわいがやがや
……
あなた「あっ歩夢ちゃん!ちょっと待って!」
歩夢「うん?どうしたの?あなた」 あなた「その、いろいろあって、歩夢ちゃんのせっかくのステージ見に行けなくなっちゃったから……謝っておきたくて……」
歩夢「ううん、いいの。あなたがいなくても私、精一杯頑張るから」
歩夢(それに、あなたの”一番”はもう、せつ菜ちゃんのものだから……)
あなた「でも……」
歩夢「それよりせつ菜ちゃんのこと、ちゃんとサポートしてあげないとだよ?せつ菜ちゃんのステージ、きっとすごいことになるだろうから」
あなた「え、あ、うん……」
歩夢「じゃあ私も練習あるから、もう行くね?」
あなた「あ、歩夢ちゃん!」
あなた「ええっと、その……」
あなた「頑張って、ね……」
歩夢「うん!ありがと!」 ———
歩夢(そこからの一週間は目が回るくらい忙しくて……)
歩夢(心の中に変なわだかまりを抱えたような気分のまま……)
歩夢(いよいよ、イベント当日に……)
…… 栞子「上原さん?」
歩夢「……」
栞子「上原さん!」
歩夢「え、あ、どうしたの?栞子ちゃん?」
栞子「はあ……しっかりしてください。これからリハーサルだというのに、そんな気の抜けた表情をしないで下さい」
歩夢「え、あ、うん、ごめんなさい……」
栞子「はぁ……もう少しだけ、わが校の代表としての自覚をお持ちいただきたいです」 栞子「時間がないので、手早く最終確認を済ませたいと思います」
栞子「こちら、歩夢さん用のヘッドセットになります。天王寺さんに最終調整を依頼したので、おそらく問題なく使用できるかと」
栞子「段取りについては、先日お渡しした台本通りにお願いします。具体的なキュー出しについては私が直接担当させていただきます。こちらは比較的臨機応変に対応できると思いますので、困っても焦らず、自然体で演じていて下さい」
栞子「音響や照明回りの統括は天王寺さんと中須さんに、衣装・メイク関係は近江さんに担当してもらってます。」
栞子「また、その他雑務として生徒会役員数名を待機させてあるので、トラブルにも万全の対応がとれる体制にはなっています。問題があれば、近くのスタッフにすぐにお知らせください」
歩夢「うん、栞子ちゃん、ありがと……」
歩夢(うわぁ……栞子ちゃん、すごいな……スクールアイドルのライブの準備なんて初めての経験なんだろうけど、こんなに的確に指示をとばせるなんて……私なんて、何回ライブ経験しても、まだ緊張しちゃうのに……)
歩夢(でもそれだけ私が期待されてる、ってことだよね……)
栞子「いえ。当然のことをしているまでです」 栞子「最後に。今回のイベントはファンミーティングということでMCの時間を少し多めに用意しております。」
栞子「スケジューリングは余裕があるように組んでいるので、上原さんは自分の好きなようにトークしていただいて、大丈夫かと思います。ジングルなどはこちらが柔軟に対応するので」
栞子「あなたは、自分の大好きを、自分のやり方で伝えることだけを考えていてください」
歩夢「栞子ちゃん、なにからなにまで、本当にありがとう……」
栞子「お礼は全て終わってからで結構です。まずは自分の役割に集中してください」
栞子「さあっ、リハーサル、張り切っていきましょう」
……… 控室
栞子「お疲れ様です。上原さん」
歩夢「あっ、栞子ちゃん。うん、お疲れ様」
栞子「……」
歩夢「……」
歩夢「し、栞子ちゃん!リハーサルの私、どうだった、かな?」
栞子「…概ね問題ないとは思います。段取り通りMCもこなせていましたし。十分及第点と言えるでしょう」
歩夢「よ、よかったあ……」ホッ
栞子「ですが、見ていて一つ気になったことが……」 歩夢「えっ、私どこか失敗しちゃってたかな?」
栞子「いえ、たいしたことではないのですが」
栞子「やはり上原さんとあの人の信頼関係は、筆舌に尽くし難いものだなと、感じました」
歩夢「えっ?あの人って、あの子のこと?」
栞子「はい」 栞子「実は先日簡単な手ほどきを受けた際に、さんざん言われました。上原さんのことをお願いします、と」
栞子「その時は話半分に受け流していたのですが、今思うと少し羨ましく思えてきます」
栞子「特に私は、これまで、生徒会活動でも、誰かとともに何かを成し遂げる、なんて経験が、ないから……」
栞子「すみません。今のはこちらの話ですので、忘れてください」
歩夢「ううん、栞子ちゃんも十分に、私の助けになってるよ?」
栞子(…それは詭弁です。上原さんの不安は全て、こちら側にもつつ抜けですから)
歩夢「栞子ちゃん?どうしたの?」
栞子「いえ……なんでもありません」
栞子「上原さん、もうすぐ本番です。最終確認を念入りにしつつ、些細なミスをしないように細心の注意を払ってください」
歩夢「うん、栞子ちゃん。私、精いっぱい頑張るね」 ステージ本番
歩夢「みんな〜!今日は来てくれてありがとう!みんなに会えて、とっても嬉しいです!」
ウォォォォ!!!
オレモー!!!
歩夢「それじゃあまずはいつものやつ、やりたいと思います!」
歩夢「わからない人は適当に、あーとかいえーいとかでいいので、大きな声を出してくださいねー!」
イェェェーーイ!!!
歩夢(……やっぱりここから見ると、お客さん一人ひとりの姿がはっきり見えて、応援が伝わってくるのを感じるよ)
歩夢「それじゃあ、いっくよー!」
歩夢「地球のみんな!ただいまー!」
オカエリー!!!
歩夢(本当にここからの景色は、輝いてる、ってことなのかな……)
歩夢「宇宙に届くくらい大きな声を聴かせて下さい!せーのっ!」
アユムー!!!!
歩夢(それでも……)
歩夢「うん!ありがとうございます!宇宙一幸せだよっ!」
歩夢(私のいちばんみたい顔は、その中にはなかった)
……… 虹ヶ咲学園
歩夢「おはよう……」
あっ、あれ上原さんじゃない?ほら、スクールアイドルの
ねえねえ聞いた?あの子、昨日のステージで大失敗しちゃったんだって〜
ねえ〜気の毒だよね〜
ちょっ!二人とも声大きいよ!聞こえちゃうよ!
歩夢「……」
菜々「あっ、おはようございます。歩夢さん」
菜々「あの、その……」
菜々「歩夢さん!誰にでも失敗はありますよ、だから、その……」
菜々「元気!出してください!!」
歩夢「うん、せつ菜ちゃん、ありがとう。私は大丈夫だから」
菜々「歩夢さん……」 コンコン
栞子「失礼します。上原さんはいらっしゃいますか?」
うわっ!会長の三船さんじゃん!
うわ〜一年生のくせに高圧的で、やな感じ〜
ねえ聞いた?最近いい噂、あんまないらしいよ?
歩夢「あっ栞子ちゃん……」
栞子「はあ……あいかわらずこの教室は騒がしいですね……」
歩夢「どうしたの?せつ菜ちゃんに用事とか?」
栞子「いえ、今日は上原さんに用事があって来ました」
栞子「こちら、昨日の郊外活動の報告書を作成したので、目を通したうえで、確認のサインをお願いします」
菜々「うわぁ……もう作り終わったんですか……さすがですね、三船さん……」
栞子「いえ、生徒会長としての責務を果たしただけです。生徒の郊外活動を監督し正しく実行されているかを報告する義務を負うのが、生徒会長の役割ですから」
栞子「このことは、中川さんも十分に知っているはずでは?」
菜々「そう……ですよね……」
栞子「では上原さん。こちらの書類にサインをお願いします」
歩夢「う、うん……はい、終わったよ」
栞子「ありがとうございます。では私はこれで」 栞子「……上原さん、最後にひとつ」
歩夢「どうしたの栞子ちゃん?」
栞子「…私はやはり、あなたにはスクールアイドルの適性が欠けていると思ってます」
栞子「スクールアイドルの責務は、見ている人を笑顔にすること。上原さんのパフォーマンスからは緊張や心配が一番に伝わってきます。これではお客様が心から楽しめるライブにはとうていなり得ません」
歩夢「うっ、ごめんね、栞子ちゃん……」
栞子「ですが、その……」
栞子「…『自分の気持ちが観客に伝わりやすい』ということは、見方を変えれば武器になるかもしれません。緊張や不安が伝わりやすいということは、逆に嬉しさや楽しさも、何十倍にも増幅されて伝わるかもしれませんから」
栞子「だから……」
栞子「あなたは、もう少し、型にとらわれることなく、誰かを頼ることなく、自分だけのパフォーマンスを追求してもいいのではないでしょうか」
歩夢「自分だけの、パフォーマンス……」
歩夢(……栞子ちゃん、励ましてくれてるんだよね?)
栞子「……少し話が長くなってしまいました。今のは冗談半分に受け取ってください。それでは」
……… 放課後 スクールアイドル同好会
歩夢(はあ……どんな顔して同好会行けばいいんだろ……)
歩夢(ちゃんとイベント成功させるってあの子と約束したのに……)
歩夢(あの子になんて謝ればいいんだろ……)
歩夢(はあ……憂鬱だなあ……)
ガチャッ
歩夢「こ、こんにちは……」
かすみ「あっ、歩夢先輩!お疲れ様ですっ!」
歩夢「うん、かすみちゃんもお疲れさま」 かすみ「あのっ、歩夢先輩……」
歩夢「ねえかすみちゃん、あの子はまだ来てないの?」
かすみ「はい。イベントの撤収作業があるからと……」
歩夢「ふふっ、そうなんだ」
かすみ「で、でも、先輩……」
歩夢「じゃあ私たちは私たちで、練習がんばらないとね」
かすみ「歩夢先輩……」
歩夢「行こっ?かすみちゃん」
かすみ「歩夢先輩!」
かすみ「歩夢先輩、今日の歩夢先輩、なんだか変です!どうしちゃったんですか!」
歩夢「え?そんなことないよ。私はいつも通りだよ?」
かすみ「だって……だって……歩夢先輩」
かすみ「さっきから自分が泣いてることに、気づいてないんですか?」 歩夢「え……」
歩夢(嘘……ほんとだ。顔濡れてる……)
歩夢(私……私……)
歩夢「……かすみちゃんごめん。今日はもう帰るね」ダッ
かすみ「あっ待ってください!歩夢先輩!」
かすみ「歩夢先輩……」
……… 歩夢「はぁっ………はぁっ………」
歩夢(わかんないっ!わかんないよっ!全部!)
歩夢(私らしさも!私がやりたいことも!)
歩夢(私の気持ちも!あなたの気持ちも!)
歩夢(私ひとりじゃ、全部、わかんなくて!何もできなくて!)
歩夢(胸が張り裂けて、なくなっちゃいそうだよ………)
歩夢「はぁっ……はぁっ……」
歩夢「……ここ、いつもの公園だ」
歩夢(なんでここに、来ちゃったんだろ……) 歩夢「そういえば、なんで私、スクールアイドルやってるんだっけ……」ポツリ
歩夢(自分にはこんなにも向いてないってこと、わかってるのに……)
歩夢「わからない、わからないよ……こんな簡単なことなのに……」
歩夢「あなたが見てくれないのなら、私は、もう……)
歩夢(意味なんて、なにもないのに)
歩夢(だからこれで、もうおしまい) 歩夢(これがきっと、自立ってことなんだと思う)
歩夢(いつまでもあなたに頼りっきりじゃいられないから)
歩夢(いつかこうやって、一人で歩けるようにならなきゃいけないから)
歩夢(こうしないと、私はきっと変われないから)
歩夢(ここから一人で歩きだして、そうしたら……)
歩夢(本当の『私らしさ』もきっと見つかると思うから……)
歩夢(だから——
歩夢「——バイバイ、今までの私」 あなた「歩夢ちゃん!」
歩夢(…あなたの声が聞こえる。これがきっと、未練ってものなのかな?)
あなた「歩夢ちゃん!歩夢ちゃん!」
あなた「ねえ!返事してよ!お願いだから!歩夢ちゃん!」
歩夢「うそ……本物のあなた、なの?」
あなた「!!!」
あなた「よかった……歩夢ちゃん……意識はあるみたいで……」 あなた「もうっ!歩夢ちゃんのバカ!歩夢ちゃんがいなくなったら、私、私、どうしていいか、わかんないのに……」
あなた「歩夢ちゃんと連絡取れなくて、もう二度と歩夢ちゃんに会えない予感がして、どうしていいか、わかんなくて」
あなた「私、私……」ポロポロ
歩夢「ごめんなさい……」
歩夢「でも、あなたは今日はイベントの撤収で忙しいって……」
あなた「今はそんなことどうだっていい!」
あなた「だって歩夢ちゃんがいなくなっちゃったんだよ!心配じゃないわけないじゃん!」
あなた「ずっと一緒にいたんだよ!今までこんなことなんてなかったんだから!」 あなた「それに、そっちの作業は全部、せつ菜ちゃんと三船さんに、代わってもらったから……」
歩夢「そう、だったんだ……」
あなた「それにね、歩夢ちゃん」
あなた「私がスクールアイドルに関わるようになったのは、全部、歩夢ちゃんのおかげなんだよ?」
歩夢「えっ?」 あなた「アキバのモニターでμ’sとAqoursの合同ライブを見た時、スクールアイドルを始めてみた時、思ったんだ」
あなた「これなら、歩夢ちゃんをいっぱい、輝かせてあげられるんじゃないかって」
あなた「歩夢ちゃんは昔から、人前にはあまり立たない方だったし、私をいっつも支えてくれる立場だったから」
あなた「今度は私が歩夢ちゃんを支えて、恩返しがしたいなって、ずっと考えてたんだ」
あなた「そんな時スクールアイドルに出会って、これだぁ!ってビビッとひらめいて」
あなた「ステージで輝く歩夢ちゃんの姿が目に浮かんだの」
あなた「いつか歩夢ちゃんを、あんな風に出来たらいいなって……私と一緒に……」
あなた「だからスクールアイドルは、全部私の、ワガママなんだ」 あなた「だからありがと!これからもずっと応援する……から……」
歩夢「……」ぽろぽろ
歩夢「ぐすっ……ぐすっ……」
あなた「あ、歩夢ちゃん!?わ、私何か傷つけるようなこと言っちゃった!?」
歩夢「違うの……これは、ちがうの………」
歩夢「あなたがこんなにもわたしのこと思ってくれてるなんて、考えてもなくてぇ……」
歩夢「ずっとあなたに、嫌われてるんじゃないかって、心配でぇ……」
歩夢「わたし、わたし……」
歩夢「うえーん!!!」
歩夢(……私は、年甲斐もなく、大好きな人に包まれながら、大声でただ泣いていました)
……… あなた「…歩夢ちゃん、落ち着いた?」
歩夢「ぐすっ、うん……もう大丈夫だよ……」
あなた「でも、どうして私に嫌われてるなんて心配してたの?」
歩夢「そ、それは……」
歩夢「もうっ!元はといえば、あなたが悪いんだからね!せつ菜ちゃんにあげる予定だったラブソングを、私に自慢するから……」
あなた「せつ菜ちゃん……ラブソング……」 あなた「あっ!!もしかしてあの日音楽室の近くにいたの、歩夢ちゃんだったの!?」
歩夢「え、あ、うん。そう、だけど……」
あなた「やっぱり!私歩夢ちゃんの声はっきり聞こえたって思ったんだけど、せつ菜ちゃんにいないって言われたから、考えすぎなのかなって……」
あなた「……って良くないっ!!///あの曲、歩夢ちゃんにも聞かれちゃってたってわけ!?///」
歩夢「あの、その……ごめんなさい……」
あなた「あ、いや、別にいいんだけど……ただ、私が恥ずかしいっていうか……///」
あなた「……その、あの曲、実は歩夢ちゃんをイメージしながら作ってものだから……//歩夢ちゃんに聞かれちゃうのが恥ずかしいっていうか……///」
歩夢「ええっ!!あの曲、私をイメージして弾いてたの!?じゃあ、ラブソングは、私のために……」
あなた「ちがっ!!いや、違わないけど!//別に歩夢ちゃんはただの幼馴染で!大切な幼馴染で!大好きな幼馴染だけど!//別に好きじゃないってわけじゃなくて!むしろ大好きっていうか!//なんというか!//」アセアセ
あなた「と、とにかく!別に歩夢ちゃんが嫉妬しちゃうようなことは何もないから!」
あなた「あ、安心して!!!嘘じゃないから!!」 歩夢(……ふふっ、やっぱりこういう素直なところがあなたらしくて)
歩夢(私はとっても、大好きだよ)
あなた「あ、あと!今も実はスマホの中に音源入ってるから!」
あなた「よ、よかったら、聴いて、欲しい……」 〜♪〜♪
歩夢(うん!やっぱりあなたの音楽だ)
歩夢(聞いてるだけで何かに包まれてるみたいに、あったかい……)
歩夢(それに、聴いてるだけで、今までのあなたとの思い出が全部、よみがえってくるようだよ……)
あなた「ど、どうかな?」
歩夢「うん、すごくいいと思うよ」
あなた「よ、良かったぁ……」
あなた「あっ、でも、せつ菜ちゃんに披露した時には、何かが足りないって言われちゃったんだけど……」
あなた「それがどうしてもわかんなくて……」
あなた「歩夢ちゃんはわかる?」
歩夢「……」 歩夢(……ふふっ、あなたのラブソングに足りない一つのもの。私なら、わかる気がします)
歩夢(だってそれは、ずっと待ち望んでいたことだもん)
歩夢「うん!わかるよ!」 あなた「ほんとう!?なになに?」
歩夢(私はあなたとは違って、曲も書けないし、みんなを引っ張る求心力もありません)
歩夢(でもそれでいいんだよね。だって私に出来ることは、あなたを支えてあげることだけだもん……)
歩夢「それは……」
歩夢(これが私のやり方だよ。私だけの”私らしさ”ってことだと思う)
歩夢(だから——)
あなた「わわっ!!//歩夢ちゃん!いきなりどうしたの!//近いよ!近くていい匂いしてすごいから!えっ、嘘!?////」ハワワワ
歩夢(—これは、私からあなたへ贈る、ラブソング)
チュッ
歩夢「ふふっ、こういうコト、じゃないのかなっ?///」 終わりです。お粗末様でした
最近の流行りに乗ろうとあなぽむを書いてみました
コメント&お読み下さった方々、大変ありがとうございました! アンコールはまだですか?これだけ心をときめかせたファンを待たせるSS描きなんて、板ごとDat落ちさせますよ。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています