あっ!と思う間こそあれ
下着を掴んで引き戻すことはできず
私の下腹部は外気に晒されてしまった
『おぉ、黒々とした茂みがそそるの』
男の視点が「そこ」に集中するのがわかる
茂みに例えられて、私の顔の紅潮は一気に頂点に達した
そして、身にまとう物が何もないという事実が私の心を折ってしまったのだ
「み、みないでよぉ…ぐすっ」
私は先ほどまでのお腹から出すような声はもう出せず
か細く震えた声しか出なくなっていた
この後どう抵抗しようと犯されてしまう
そう思うと目の前に真っ暗な恐怖が立ち塞がり
手足をバタバタさせるとかそういう
何をしようという意気も上がらない
ただ子ウサギのように身を縮めて震えるしかできなかった
男はそんな私をしばし見つめ
困ったような顔をした
『わしは木曽の武者輩と違って、本気で怯える女には興奮せんのだが…』
明らかに興が冷めたような感じで私のそばにかがみ声をかけてくる
『…のう、そなた』
「ひっ!」
力が強いとか弱いとか関係なく、私にはもうこの男が恐怖そのものであった
『ちょっと遊びが過ぎたかのう』
「……」
『のう、そなたを別に殺すとかそういうのはせんぞ?』
「……ッ!」
殺すという単語に反応して体がビクリと震える
『あと手込めにするのも無しじゃ』
『ややでもできたら後々面倒になるからの』
「……」
男はそっと私の肩に触れた
そっと私をなでさすりながら、同じ内容を繰り返す
先ほどのような乱暴さではなく
これは普通に人を安心させる動きだった