少年も同じ感覚を味わったようで、体をギクリ、と硬直させたまま
身じろぎもしない
「ね、ねえ少年?…これ、すごいね…」
ふーっ、ふーっと鼻息を荒くしていた少年もうなずく
私の頭の中は一気に性愛と慈愛が入り交じって高まった状態
下半身がじゅん、とさっきよりも甘く、熱くうずいているのもわかる
そして私は少年の頭を自分に向けさせると
一息に口づけをした
びっくりしたような顔をする少年
私はそこからさらに、舌を少年の唇に滑り込ませる
ちゅるっ
「んっ」
すはふっ
むちゅっ
少年の舌を探り当てると、私は舌を絡ませ始める
『んじゅうっ!』
実のところ私もディープキスなんてはじめてだが
人間の本能っていうのは凄い
まるで今まで何度もやっていますよ、と言わんばかりの舌の動き
じゅるじゅると絡ませ、吸い付く音が
木の壁に吸い込まれていく
きゅぅっ、ポン
と漫画みたいな音を立てて唇が一度離れる
『ふ、はぁっ!』
少年が大きく息をする
一拍、二拍と見つめ合う
「…ごめんね、急に」
『これが、さっき言っていた大人のキスですか』
「うん、そう」
「抱き合っていたら、愛しくて我慢出来なくってさ」
『果南さんでも我慢出来ない事ってあるんですね…』
「もう、私だってただの女の子だよ」
ほんの少しだけ、私はすねてみせる
『いまの、すごかったです』
『体からさらに何かが飛び出しそうで』
『つばとかも全然汚いとか思わなくて、ヌルヌルで頭が埋め尽くされて』
「私もおんなじだよ」
「肉体よりも精神の結びつきが欲しい感じ」
「って、言ってもわかんないか」
そういって、私はまた少年の唇に吸い付いた
んむっ…
また激しくなった口腔が接触する音と布団の衣擦れの音がしばし部屋に響いた