美渡「今日も今日とて」
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私の名前は高海美渡、沼津市にある十千万という老舗旅館の次女だ。 最近では「浦の星女学院スクールアイドル『Aqours』の高海千歌の姉」と言った方が良い反応がもらえる事が多い。 なんてったってAqoursはラブライブって言うスクールアイドルの全国大会で優勝したグループだからね。 スクールアイドルが有名になった近年での優勝の影響度は半端なく、旅館だけじゃなく内浦界隈が賑わっている。 ホントAqours様様だ……それに千歌もスクールアイドル活動を始めたおかげでだいぶ変わったしね。 いつも何かを始めては途中で投げ出していたのに、スクールアイドルだけは最後までやり遂げた。 アイドル活動を通じて人間的にも色々と成長したのだろう、この一年でだいぶ芯が強くなったんじゃないかな? とは言え相変わらずな部分もあって、根深い普通コンプレックスは解消されていないようで「皆に比べたら私なんて可愛くないし……」は口癖のように言っていた。 私は身内だから完全に客観的に見る事は出来ないけど、それでも他のメンバーと比べて引けを取らないと思っている。 ライブの時だってみかん色のブレードを持っている人もたくさん見かけるし、Aqoursの動画でも千歌に対する良いコメントだってたくさんある。 それに…… ピンポーン ……今日も来たか。 まぁ詳しくはこの後のやりとりを見てもらえれば千歌がどれだけ愛されてるかが伝わると思う。 愛され方はまぁ……ちょっとアレな感じもするけどね。 【CASE OF YOU】 曜「おじゃましまーす」 美渡「よし、帰れ」 曜「いきなり『帰れ』って言うのは酷くない?」 美渡「うっさい、帰れ」 曜「いやいやお客様なんだからもうちょい丁寧に扱ってよ!?」 美渡「仕方ないなぁ……お客様、お出口はこちらになります」ニッコリ 曜「これはご丁寧にどうも」ペコリ ガラガラッ バタン 曜「じゃないよ! 結局帰れって事じゃん!」 美渡「チッ、気付いたか」 美渡「千歌ならいないよ」 曜「え、でもここに靴あるよね?」 美渡「いないっていうかお風呂に入ってる」 曜「!」 美渡「さっきダンスの練習してて汗かいたんだって」 曜「んー、どうしよう……」 美渡「何が? 帰るかそれとも部屋で待ってるか?」 曜「お風呂に行って合法的に裸を見るかそれとも今のうちに部屋に行ってタンスを漁るか迷うなぁ」 美渡「このまま帰らせるかそれとも警察に通報するか迷うなぁ」 曜「よし、通報されたくないから温泉に行こう」 美渡「確かにそっちはセーフだな、変な事しなきゃ」 曜「変な事って? 私たち女同士だよ?」 美渡「まぁそれもそうか」 曜「だからおっぱい揉むくらいは何も問題無いよね?」 美渡「何でそう思った?」 曜「女子高なら胸の揉み合いくらい常識でしょ!?」 美渡「一度お前の常識測定器メンテに出した方がいいんじゃない?」 曜「まぁそれは後でするとして、とりあえず今は温泉にGo!」 美渡「待て!」 曜「止める気? 客が温泉に入って何が悪いっていうのさ!」 美渡「確かに客が入る事は悪くないよ、でも……」 曜「でも……?」 美渡「客ならお金払わないと、ネ♪」 曜「」 美渡「毎度ありー、それではごゆっくり」 曜「この鬼ぃ!」グヌヌ 美渡「誰が鬼ババだって!?」 曜「ババは言ってないよ!?」 美渡「もうさっさと温泉行きなよ」 曜「そうだった、早くしないと千歌ちゃんが出ちゃうかもしれない!」ダダダッ 美渡「お客様、館内では走らないでくださーい」 千歌「ふぅ、さっぱりしたー」 美渡「お、もう出たのか。早かったね」 千歌「旅館の温泉じゃなくて家のお風呂だからね、こんなもんじゃない?」 美渡「まぁそれもそうか」ハハハ CASE OF YOU 完 私の名前は高海美渡、沼津市にある十千万という老舗旅館の次女だ。 と言っても私は旅館の従業員じゃなくて別の会社で働いているんだけどね。 継ぐかどうかはともかく一度外の世界を見てこい、というのが代々の習わしらしい。 なので志満姉もそうしてきたし私もその最中。 まぁ志満姉が継ぐなら私はこのままでもいいかな、今の会社も居心地いいしね。 千歌は……どうするんだろうね? スクールアイドルの全国大会で優勝したしそっちの道に進んだり……? でも千歌一人じゃさすがに厳しいだろうなぁ……いや、もし千歌がアイドル目指すとか言ったら一緒についてきそうな人がいるな。 例えば掛け持ちしてる水泳部の方でも好成績を出す幼馴染とか、あとは…… ピンポーン 噂をすれば、ってやつかな? さぁ今日も妹を守る為に戦うとしますか。 【CASE OF RIKO】 梨子「こんにちは」 美渡「よし帰れ」 梨子「わかりました、それではまた後で」ペコリ 美渡「えっ?」 ガラガラ ピシャッ 美渡「あっさり帰った、だと……?」 美渡「おかしい、いつもならこんなあっさり帰ったりなんてしないハズ……」ウーン 志満「唸っちゃってどうしたの?」 美渡「いや、大した事じゃないんだけど……」 志満「そう? あ、二階のお掃除したばかりだから換気の為にしばらく窓開けておくわね」 美渡「はーい……って窓?」 志満「そうよ、後で閉めておいてね」 美渡「そういう事か……!」ダッ ダダダダッ ガラッ 梨子「あら美渡さん、また会いましたね」ガサゴソ 美渡「お客様、そこの窓は玄関では無いのでそこからの出入りはやめていただけます?」 梨子「そうですか、次からは気をつけますね」ガサゴソ 美渡「気をつけるんじゃなくてやめて、あと人が話してる時くらい千歌の部屋を漁るの止めてもいいんじゃない?」 梨子「失礼な、漁ってるんじゃなくて散らかってるのを片付けてるんですよ」 美渡「え、そうなの?」 梨子「そうですよ、ここ最近千歌ちゃんの部屋がキレイだと思いませんでした?」 美渡「確かに……てっきり自分で片付けてるのかと思ったけど梨子ちゃんがやってくれたんだね」 梨子「はい」 美渡「ゴメンね、疑ったりしちゃって」 梨子「気にしなくていいですよ、片付けついでに色々持ち帰ったりしてるんで」 美渡「さっきのゴメンねを返せ」 梨子「いっけね、言っちゃった」テヘペロ 美渡「かわい子ぶっても誤魔化せないからね」 梨子「ヤダもう可愛いだなんて///」 美渡「反応するとこそこじゃないから」 梨子「照れなくたっていいんですよ」 美渡「んー、私のリアクションっておかしいのかな?」アレー? 美渡「っていうか千歌の私物なんて持って帰ってどうするの?」 梨子「どうするって言われても……」 美渡「まさか千歌の服を着て『千歌ちゃんに包まれてるみたい……♡』とかやったりしてるの?」 梨子「はぁ? 頭大丈夫ですか?」 美渡「くっ///」 梨子「というか着ちゃったら千歌ちゃんの香りが薄れちゃうじゃないですか、着るなんて勿体ないですよ」 美渡「さっき言われた事をそっくりそのまま言い返してやりたい」 梨子「私が着るんじゃなくて、曜ちゃんに作ってもらった等身大千歌ちゃん人形に着せてます」 美渡「何というスキルの無駄遣い」 梨子「たまに抱き枕としても使ってます」 美渡「ん、でもそれじゃ千歌の臭いが薄まるんじゃないの?」 梨子「だから時折返却しては別の物を調達してます」 美渡「あ、無くしたと思ったのが後で見つかったりするのはそういう事か!」 美渡「ならコレやるから今日のところはもう帰ってくれない?」スッ 梨子「これは?」 美渡「冬は汗もそんなにかかないからって一週間くらい着続けてたヤツ」 梨子「!?」 美渡「ほら、バレる前に」 梨子「ありがとうございます! この御恩は忘れるまで忘れません!」 美渡「でしょうね」 梨子「それではまた!」スタコラサッサ 美渡「はーい、もう来んな」 千歌「「アレ、美渡姉どうして私の部屋にいるの?」 美渡「ん、窓から入ってきた虫退治」 千歌「そうなんだ、ありがとう」 千歌「ところでそろそろ洗濯しようと思ってたしいたけの服知らない?」 美渡「さぁ、それは知らないな〜♪」 梨子「もしもし曜ちゃん? とんでも無いお宝が手に入ったから今すぐ来れない?」 曜『!? 今すぐ向かうであります!』ヨーソロー!! CASE OF RIKO 完 私の名前は高海美渡、沼津市にある十千万という老舗旅館の次女だ。 そして浦の星女学院スクールアイドル『Aqours』の高海千歌の姉でもある。 姉は私の上にもう一人いて三姉妹という事になるんだけど、もう一人、千歌にとっては姉のような存在の人がいる。 小さい頃は一緒に遊んだり、何かあったら助けてくれたり、とにかく本当の姉妹のように仲良しだった。 そして今となっては一緒にスクールアイドルをやっている、千歌からすれば嬉しかっただろうね。 今でも千歌は姉のように慕っているみたいだけど、姉の方はというと少し愛情が捻じ曲がってしまったみたい。 そう、これはこないだの事なんだけど……。 【CASE OF KANAN】 果南「美渡姉、何してるのこんなところで?」 美渡「ちょっとそこまで買い物にね、あとついでにしいたけの散歩」 しいたけ「ワンッ」ヘッヘッ 果南「珍しいね、いつも千歌がやってなかったっけ?」 美渡「そうなんだけどね、体調崩して寝てるから今日は代わりに私がやってるの」 果南「寝込んでる!?」 美渡「寝込んでるっていうと大げさだけど、まぁちょっとした風邪だから寝てれば数日で治るよ」 果南「……よし!」 美渡「ん、何?」 果南「キスしにいこう」 美渡「はぁ!?」 美渡「何を唐突に!?」 果南「だって風邪はうつせば治るって言うじゃん?」 美渡「あ、そういう……だからってそれは無いでしょ」 果南「裸で添い寝の方がいい?」 美渡「そういう問題じゃない」 美渡「っていうか無理だよ」 果南「何が?」 美渡「うすして治す、って方法」 果南「何で? よく言うじゃん」 美渡「だって馬鹿は風邪ひかないっていうし」 果南「失礼な、私だって風邪くらいひいたことあるよ」 美渡「じゃあ聞くけど、最後に風邪ひいたのいつか覚えてる?」 果南「え〜っと、あれは確か7歳くらいの頃に真冬の海に千歌と落ちて……」 美渡「あったねそんな事、その時は千歌だけが風邪ひいたんだったね」 果南「アレ? となると……いつだ?」 美渡「少なくとも私は記憶にない」 美渡「まぁ軽い風邪くらいならいくらでもあるんだろうけどね」 果南「よし、なら逆に考えよう」 美渡「と言うと?」 果南「風邪をひかないという事は看病に向いているんじゃない?」 美渡「一理ある、でも却下」 果南「何で!?」 美渡「無いと思うけど万が一、いや億が一うつしてしまったら申し訳ないしね」 果南「大丈夫、馬鹿は風邪ひかないっていうから」 美渡「自分で言うんだそれ……まぁあとはお前が変な事しそうだから訪問自体を丁重にお断りしたい」 果南「そんな事するワケ無いじゃん、ハハハ」 美渡「>>20 とか>>21 の自分の台詞覚えてる?」 果南「それは風邪をうつす為の行動でしょ? 看病ではそんな事しないから大丈夫」 美渡「うつす為の行動だとしてもどうかと思うけどね」 果南「と言う事でGo To 十千万」 美渡「あ〜、ウチ一見さんお断りだから。ゴメンね」 果南「いや何度も行った事あるよ!?」 美渡「えー、看病できるの?」 果南「やった事は無いけど知識はあるからきっと大丈夫」 美渡「……例えば?」 果南「おでこを冷やしてあげたり」 美渡「うんうん、でもその前に熱を計ろうか」 果南「そっか、じゃあ冷やす前におでこをくっつけないと」 美渡「はいそれから?」ツッコミ放棄 果南「汗を拭いてあげる」 美渡「まぁ場合によってはそういう事もあるよね」 果南「汗が酷い時は着替えさせる、だから服を脱がせて……グヘヘ」 美渡「松浦、アウトー」デデーン 果南「すいませんでした! 今のは間違いです!」 美渡「まったく……で、ちなみに汗を拭いたタオルや着替えさせた服は?」 果南「持って帰る!」 美渡「松浦、タイキックー」デデーン 果南「間違い! 今のも間違い!」 美渡「知ってるか? 仏の顔も三度まで、って諺を」 果南「まだ二回だよね!?」 美渡「>>20 以降の自分の言動を振り返って数え直すんだな」 果南「ちょ、待っ……」 美渡「うるぁぁぁぁぁぁぁ……!!」 CASE OF KANAN 完 美渡「ただいまー」ガラッ 千歌「あ、美渡姉おかえりー」ゲホッ ゲホ 美渡「あぁ起きなくていいから寝てろって」 千歌「はーい」ポスッ 美渡「どう? 少しは体調良くなった?」 千歌「どうだろう、あんまり変わってない気がする」 美渡「そっか、ちゃんとご飯食べて薬飲みなよ」 千歌「え〜、食欲無い……」 美渡「飲まなきゃ治らないよ? リンゴ買ってきたからすり下ろしてやるよ、それなら食べれるでしょ?」 千歌「ん、多分大丈夫」 美渡「じゃちょっと待ってな」ガラッ 千歌「あっ……」 ――――― ――― ― 千歌「ごちそうさま」 美渡「よし、じゃあちゃんと薬も飲んで寝るんだよ」 千歌「美渡姉……しばらく一緒にいてほしい……」 美渡「え?」 千歌「なんかね、さっき買い物行ってた時とか台所に行ってる時とかちょっと心細かったんだ」 千歌「風邪ひくと心まで弱くなっちゃうのかな、そんなハズないのにこのまま死んじゃうのかなとか思っちゃったりして」エヘヘ 千歌「でもね、美渡姉がきてくれたらすっごく安心したの」 千歌「だからもう少しこのまま……お願い」 美渡「フフッ、しょうがないなぁ、このまま寝るまで一緒にいてあげるよ」 千歌「ありがとう、美渡姉」 美渡「今日だけだぞ」 千歌「ううん、美渡姉が覚えてるかどうかわからないけど、小さい頃に真冬の海に落ちて風邪ひいた時もこうして看病してもらったんだよ」 美渡「千歌……覚えてるんだ、それ」 千歌「もちろん! それに口喧嘩もたくさんするけど、でも何だかんだで優しいし、大切に想ってくれてる事はわかってるんだよ」 千歌「学校の体育館でライブやった時もたくさん宣伝してくれたり、他にもきっと知らないところで色々と助けてくれてたんだよね?」 千歌「だから本当にありがとう、大好きだよ美渡姉」 美渡「///」 千歌「……何か言ってよ、恥ずかしいじゃん///」 美渡「ハッ、まぁ姉として可愛い妹の為にこれくらい当然というかその……」アセアセ 千歌「あはは、美渡姉も照れてる〜」 美渡「部屋に帰る///」 千歌「あぁぁ、ごめんなさい、それだけは勘弁を〜!」 美渡「クスッ、しょうがないなぁ」 私の名前は高海美渡、沼津市にある十千万という老舗旅館の次女だ。 妹の笑顔を守るために日々色々なものと戦っている。 ……いや、違うか。 笑顔を守るためじゃなくて、千歌の笑顔を見たいんだ。 普通コンプレックスを拗らせていた昔は曇り顔でいる事もちょくちょくあって姉としては心配してた時期もあった。 でもスクールアイドルを始めた今は明るい顔をする事が多くなったよね。 本当に、スクールアイドルに出逢えて良かったな。 そして良い仲間に出逢えた事も……まぁ少しアレなところがある人もいるけどそこは目を瞑ろう、うん。 仮に何かしようとしてきても、いつものように私がなんとかするから大丈夫。 ピンポーン ……って話をするとやってくるんだよなぁ。 さぁ、今日も今日とて妹の笑顔の為に戦うとしますか。 おわり 実は妹想いな美渡姉の優しさにほっこりした いいみとちかをありがとう ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
read.cgi ver 07.4.7 2024/03/31 Walang Kapalit ★ | Donguri System Team 5ちゃんねる