愛奈「ありしゃのホクロを逆にしてみた」有紗「ううーん……?」
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https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1556537233/
こちらのもう一つの世界編、どっちを先に読んでも大丈夫、多分
口調がいまいち掴めてないので誰だお前になってるとこがあるのは目を瞑ってくれると 〜楽屋〜
愛奈「どうしましょ」
有紗「……Zzz」
愛奈「楽屋来たら先に来てたありしゃが寝てて」
愛奈「それを見たりきゃこがホクロを逆にするってイタズラしてたんだけど……」
梨香子『逃走w』ピューイ
愛奈「りきゃこどっか行っちゃったし」
有紗「……Zzz」
愛奈「ありしゃ今起きたら私がやったって思うよね……」ウーンウーン
有紗「……Zzz」
愛奈「それにしても綺麗な寝顔」 愛奈「ちょ、ちょっとくらい触ってもバレないよね?」
愛奈「どきどき……」ツンツン
有紗「……ん、うゅ……」
愛奈「か、かわいい!」
愛奈「えいっえいっ」ツンツン
有紗「んんっ……」
愛奈「癖になっちゃいそう」
有紗「ううーん……?」
愛奈「あ、やば。起きた」 有紗「……」ポケー
愛奈「おはよう、ありしゃ。よく寝てたね」
有紗「……鞠莉さん?」
愛奈「えっ?」
有紗「……???」キョロキョロ
愛奈「おーいありしゃー?寝ぼけてるー?」
有紗「……えぇっと」
愛奈「大丈夫?ありしゃ」
有紗「あの……どちら様ですか?」
愛奈「あ、ありしゃ?」 有紗(一体、何が起きているのでしょうか)
有紗(生徒会室で仕事をしてて、あまりにも眠くなってしまったので)
有紗(少し休んでいたはずなのですが……)
有紗(起きたら見知らぬ場所で、見知らぬ人が目の前に居て)
有紗(それにさっきから『ありしゃ』と連呼するこの方、鞠莉さんにとても声が似ています)
有紗(もしかして、鞠莉さんのドッキリなのでしょうか)
愛奈「ありしゃまだ寝ぼけてるの?大丈夫?」
有紗「あの、その『ありしゃ』というのはひょっとしてわたくしのことですか?」
愛奈「えっ……何言ってるの?」
愛奈「あ、そっかそっか。ありしゃねぼすけさんだからね〜」
愛奈「さっきまで見てた夢と勘違いしてるのかな?」
愛奈「……じゃないと、冗談でもそんなこと言われるの、嫌だよ」
有紗「……」
愛奈「えっと……マジ?」 有紗「申し訳ありません。貴女を傷つけるつもりは無いのですが……」
愛奈「はは、流石に冗談きついというか、からかうのにも程があるよ?」
愛奈「それに、あなたって……。ねぇ、冗談だよね?」
有紗「冗談では無いですわ。わたくしは貴女のお名前を存じ上げません」
愛奈「何それ……。ていうかその話し方は何?何でダイヤちゃんみたいな話し方してるの?」
有紗「……!わたくしのこと、知っているのですか?」
愛奈「は、はぁ?何を言って」
ガチャ
すわわ「あれ、2人だけ?」
愛奈「す、すわわ〜!」
すわわ「どうしたのあいな」 愛奈「なんかね、ありしゃが変なの」
すわわ「ありさが変なのはいつものことじゃん」
愛奈「違うのー!違わないけど違うの!」
愛奈「何か私のこと覚えてないし、ダイヤちゃんみたいな」
愛奈「あっ」
すわわ「ダイヤ?スクフェスでもやってたの?」
愛奈「ううん!やっぱ私の気のせいだったみたい!」
すわわ「ん〜?まぁあいながそう言うのなら良いけど」
すわわ「それより2人とも、ダンスリハもうすぐ始まるから準備しておいてね」
愛奈「わ、分かった!」
すわわ「じゃあ私はアイス買ってくるから〜」
愛奈「いってらっしゃーい」 愛奈「……ふぅ」
有紗「あのっ」
愛奈「ねぇ、あなたのお名前を聞かせてくれる?」
有紗「……わたくしは」
有紗「わたくしは黒澤ダイヤと申します」
愛奈「……やっぱり」 愛奈「本当に本当に、からかってるわけではないんだよね?」
有紗「……」コクッ
愛奈「はぁ〜〜〜〜〜そっかぁ」
有紗「あの、いまいち状況が飲み込めないのですが……」
愛奈「それは私も一緒だよ〜」
愛奈「ただ本当にもう信じられないことが起きてるんだと思う」
有紗「説明、して頂けませんか」
愛奈(説明って……全部しちゃって良いのかな)
愛奈(でもこれを話さないと、話がほとんど繋がらなくなるし……) 愛奈「ねぇ、もしこれからする話があなたにとって……」
愛奈「とてもショックな話だとしても、それでも全部を聞きたい?」
有紗「構いません。とにかく、今のわたくしの状況を知りたいのです」
愛奈「分かった。私の想像な部分も多いし、凄く突拍子もない話だけど、よく聞いてね?」
有紗「えぇ。よろしくお願いします」
愛奈「えっとね……」 ....................
..........
.....
愛奈「とまぁこんな感じなんだけど……」
有紗「……」
愛奈(ショック、だよね)
愛奈(自分がアニメの世界の人間だって知っちゃ……)
有紗「ふ、ふふ……」
愛奈「あり……ダイヤ、ちゃん?」
有紗「失礼。あまりにも斜め上の話すぎて、ショックを通り越して笑ってしまいましたわ」
愛奈「信じてくれた?」
有紗「状況的には信じざるをえないですわね」
有紗「あなたが鞠莉さんの声に似てる……いや、同じということにも納得出来ますし」
愛奈「何かそう言われると照れちゃいますな〜」
有紗「照れてる場合ですか!」
愛奈「あ!今のマリーとダイヤちゃんのやりとりみたいじゃなかった?」
有紗「そういうところも、鞠莉さんみたいですわね……」
愛奈「あっはっは、ごめんごめん」 ピロリン
愛奈「LINE?すわわからだ……あ、やばっ」
有紗「どうしたのですか?」
愛奈「ダンスリハ、私たち待ちだから早く来てだって」
有紗「ダンスリハ?」
愛奈「えっと、私たち今度大きなライブを控えててそれに向けた練習中なの」
愛奈「でもこんな状況でありしゃ……ダイヤちゃんに参加してもらうのは」
有紗「出ますわ」
愛奈「えっ?」
有紗「説明して頂いたお蔭で、この世界の事は概ね理解出来ました」
有紗「この世界のAqoursの事、貴女たちの事」
有紗「そして、わたくしの……有紗さんの事も」 有紗「きっとわたくしが参加しないことで、他の皆さんに心配や迷惑をかけてしまうでしょう」
有紗「それはわたくしも本意ではありません」
愛奈「でも……」
有紗「先程動画で貴女たちのパフォーマンスを見させて頂きましたが」
有紗「基本的にわたくし達と通じてるものがあります」
愛奈(まぁそりゃね)
有紗「なので、ひとまず今日を乗り切る分には問題無いのではないかと」
有紗(それに、今は身体を動かして全てを忘れたいくらいですし……)
愛奈「うーん、ダイヤちゃんがそう言うなら……」
有紗「決まりですわね。それでは行きましょうか」
愛奈「あ、その前にありしゃの話し方教えとくね」
愛奈「その話し方だとすぐに怪しまれそうだし」
有紗「なるほど、確かにその通りですわね」
愛奈「じゃあ教えるよ」 愛奈「……って感じかな」
有紗「概ね分かりましたわ」
愛奈「他のメンバーの呼び方は……」
有紗「あんちゃん、りかこ、しゅか、あいあい、かなこ、あいきゃん、すわわ、あいな」
愛奈「凄い!もう覚えたんだ」
有紗「まだ顔と名前が100%一致したわけではないですけどね」
愛奈「でもこれなら怪しまれずに済むと思うよ〜」
有紗「えぇ。愛奈さんのお陰ですわ」
愛奈「あっはっはっ!」
愛奈(愛奈さん、か……。何かちょっとむず痒いな)
愛奈「それじゃ、リハスタに行こっか!」 〜リハスタ〜
杏樹「あ、2人ともやっと来たー!」
愛奈「ごめんごめん!」
かなこ「これで練習始められるね」
ふり「おすわなんか待ちくたびれでアイス3つ食べてたしなー」
すわわ「そんなに食べてない」
有紗「……」
梨香子「遅かったじゃん。あいなと何してたの?」
有紗「……」
梨香子「無視すんなしーw」
有紗「別に無視などしてませんわ」
梨香子「え、何その喋り方w」
愛奈(あちゃー早速) 有紗(あっ、やってしまいましたわ)
有紗「いえ、なんでもないですわ。聞かなかった事にして下さい」
愛奈(ごまかすの下手すぎだよ!)
小林「ありさそんな喋り方だったっけ?」
朱夏「敬語キャラにキャラ変?」
かなこ「キャラ変というかこれは……」
すわわ「……ダイヤみたい」
有紗・愛奈(ぎくぅ!) 有紗「えっと、あの……」
すわわ「あいなが今日のありさ変って言ってたけど……」
愛奈(すわわ鋭いよ〜)
杏樹「あー!もしかして!」
すわわ「杏樹?」
杏樹「きっと役に入りきってるんだよ!」
愛奈「そ、そうなの!さっきありしゃと台本の読み合わせしてて」
杏樹「気持ちは分かるけど、ONとOFFはしっかり切り替えなきゃ駄目だよ?」
有紗「分かりま……分かってるよ」
杏樹「よろしい!じゃあ9人揃ったし練習始めよー!」
愛奈(た、助かった)
有紗(危なかったですわね)
有紗(それにしても……役、ですか) 〜練習終了〜
9人「お疲れ様でしたー!」
杏樹「いやー!今日もハードだったねー」
朱夏「でも杏樹昨日よりステップ良くなってたよ」
杏樹「ほんと!?」
梨香子「練習の成果出てるねー」
杏樹「やったー!」
有紗(はぁ……はぁ……)
有紗(思ってたよりハードでしたわ……)
有紗(果南さんのトレーニングをこなしてるので自信はあったのですが……)
有紗(それよりも、この身体に慣れてないせいで余計に疲れましたわ……)
愛奈「ダイ、ありしゃ大丈夫?」
有紗「大丈夫ですわ……」 すわわ「でも確かに今日のありさ身体重そうだったし、いつもより息上がってる気がする」
有紗「そ、そう?」
すわわ「仕事忙しいのは分かるけど、ちゃんと休みなよ」
有紗「あ、ありがとう?」
すわわ「ん」スタスタスタ
有紗「……ななかさんは優しいのですね」
愛奈「そうだね〜ってそうだ仕事!」
有紗「はい?」
愛奈「ちょっと来て!」
有紗「は、はい!」 愛奈「えーと、ありしゃの荷物は……あった」
愛奈「うぅ……スケジュール帳勝手に見ちゃうけど非常事態ってことで……」
愛奈「んー、今日はもうこの後オフ……っと。明日は雑誌の撮影のお仕事みたい」
有紗「なるほど。Aqoursとしての活動以外にもお仕事があるのですね」
愛奈「うん。でもありしゃの個人のお仕事に私が付いていくわけにはいかないし……」
愛奈「そもそも私も明日はアフレコだし……」
有紗「大丈夫ですわ」
愛奈「えっ?」
有紗「少し不安ですが、やり通してみせます」
愛奈「……分かった。でも何かあったらすぐにLINE送って」
愛奈「アフレコ中は見れないけど、終わったらすぐに飛んでいくから!」
有紗「分かりましたわ。ところでその……」
愛奈「なぁに?」
有紗「すまほとらいんの使い方を教えて頂きたいのですが……」
愛奈「……そうだ、ダイヤちゃんガラケーだったんだ!」 愛奈「これがスマホとLINEの基本的な使い方だよ」
有紗「なるほど、奥が深いですわね」
愛奈(そんな難しいことはやってないんだけどなぁ)
愛奈「あと基本的に私以外と連絡取り合わない方が良いかも」
愛奈「怪しまれないようにLINE来ても読むだけで返したりはしないで」
有紗「でもそれでは既読するーになるのでは?」
愛奈「何でそれは知ってるの!?」
有紗「この間鞠莉さんが果南さんに既読するーされたとぶつぶつ言っていまして」
愛奈「うわー何か凄いリアルな話を聞いてしまったわー」 愛奈「そういえば、お家の場所分からないよね?」
有紗「分かるような分からないような……」
愛奈「どういうこと?」
有紗「身体が覚えてる、と言うべきなのでしょうか」
有紗「頭では覚えてなくとも、身体が自然に反応するのです」
有紗「先程の練習の時もそうでした」
愛奈「そういえばほとんどありしゃの動きと変わらなかったもんね」
有紗「だから自宅の場所も無意識に分かるかなと」
愛奈「でもそれで1人で帰すのも危ないし、私が送ってくよ」
有紗「それは……いえ、ご迷惑でないのならお願い致しますわ」
愛奈「迷惑なんて全然!」 〜有紗の部屋〜
愛奈「じゃあ私は帰るけど、本当に1人で大丈夫?」
有紗「えぇ。ありがとうございます」
愛奈「不安なら泊まってくよ?」
有紗「愛奈さんも明日お仕事があるのでしょう?」
愛奈「そうだけど……」
有紗「わたくしは大丈夫ですわ。何かあったら必ず連絡します」
愛奈「うん……。じゃあおやすみ」
有紗「えぇ。おやすみなさい」 有紗「さて、どうしたものですかね」
有紗「考えれば考える程摩訶不思議なお話ですし」
有紗「寝て起きたら元の世界に戻っているかもしれません」
有紗「でも戻れなかったら……」
有紗「この世界でずっと生きていく事になるのでしょうか」
有紗「それに、わたくし達の存在……」
有紗「知ってはいけない事実を知ってしまいましたね……」
有紗「わたくしは生きているのでしょうか、それとも生かされているのでしょうか?」
有紗「……やめましょう。後ろ向きな考えをするのは」
有紗「そういえば今日は日本舞踊のお稽古の日でしたわね」
有紗「……自主的にやりますか」
有紗「お母様が見ていないからと怠けていたら堕落していくだけですし」 有紗「……ふぅ。こんなものでしょうか」
ピロリン
有紗「らいんですわね。愛奈さんからでしょうか」
諏訪ななか:ありさ、無理してない?大丈夫?
有紗「ななかさんから……。これを無視しろと言うのですか愛奈さん」
有紗「そんなこと、わたくしには……」
有紗「愛奈さん申し訳ありません。早速言いつけを破ってしまいます……」
有紗「だ、い、じょ、う、ぶ。あ、り、が、と、う」
有紗「これなら怪しまれないでしょう」 ピロリン
諏訪ななか:何でカタコトなの(笑)
諏訪ななか:たまにはゆっくり休みなよ
有紗「ふふ、本当に優しい方ですわね。果南さんみたいですわ」
有紗「それではお言葉に甘えて休ませて頂きますか」
有紗「明日はお仕事ですし」
有紗「お仕事……本当は学生のはずなんですけどね」
有紗「わたくしに務まるのでしょうか……」
有紗「なんて、弱音は言ってられませんね」
有紗「先ずは出来る事を、コツコツやっていきましょう」 〜翌日〜
カメラマン「んー、ちょっと表情固いかなー」
有紗「す、すいません」
カメラマン「ちょっと休憩にしようか」
有紗「わ、分かりました」
有紗(中々上手くいきませんわね)
マネージャー「ありちゃん大丈夫?調子悪いんじゃない?」
有紗「調子は……大丈夫です」
マネージャー「それなら良いんだけど……」
有紗「あの、少し1人にしてもらえないですか?」
マネージャー「うん。再開したらまた呼びに来るね」 有紗「はぁ……わたくしは何をやってるのでしょうか」
有紗「迷惑をかけてばかりで、これでは……」
ピロリン
有紗「らいん……愛奈さんからですわ」
鈴木愛奈:お仕事順調?終わったらご飯行こ!
有紗「ふふ、こういう所は本当に鞠莉さんみたいですわね」
コンコン
有紗「はーい」
マネージャー「撮影再開するよー」
有紗「今行きます」
有紗「……頑張りましょう!」 ちかっちがこっちの世界に来た時も慣れるまでは大変だったからなあ カメラマン「はーい、OKでーす」
有紗「ありがとうございました」
カメラマン「最初はどうなるかと思ったけど、最後は良い表情見せてくれて良かったよ」
有紗「その……ご迷惑おかけしました」
カメラマン「いいって、いいって。その分撮り甲斐があるってものよ」
有紗「そういう、ものなのでしょうか」
マネージャー「ありちゃんおつかれー」
有紗「お疲れ様です」
マネージャー「っと、あんまり引き止めてちゃお客さんに悪いか」
有紗「お客さん?」
マネージャー「スタジオの外、待ってるみたいだから早く行ってあげて」
有紗「?」 愛奈「あ、ダイヤちゃん!おつかれ!」
有紗「愛奈さんでしたか。申し訳ありません、待たせてしまったみたいで」
愛奈「いいのいいのー。好きで待ってたんだから」
愛奈「それよりも早く行こ!お腹ペコペコだよー」
有紗「えぇ、分かりましたわ」
愛奈「あ、でもそっか。ダイヤちゃん未成年だからそういうお店は行けないか」
有紗「外見は成年なので大丈夫だとは思いますが、わたくし自身は女子高生ですからね」
愛奈「ダイヤちゃんに大人の味を教えたい気持ちはあるけど、こればっかりは仕方ないねー」
愛奈「じゃあファミレスでも行こっか」
有紗「すいません、わたくしに合わせてもらって」
愛奈「気にしないで。そういうお店は大人になってからマリーや果南ちゃんとだね」
有紗「そんな日が、いつか来るのでしょうかね」 〜ファミレス〜
愛奈「何にしようかな〜ダイヤちゃんは決まった?」
有紗「わたくしは……パスタにしますわ」
愛奈「ハンバーグとグラタン駄目だもんね〜」
有紗「……」
愛奈「あ、ごめん……」
有紗「……ぷっ」
愛奈「へ?」
有紗「す、すいません。少し思い出してしまいまして」
愛奈「思い出す?」
有紗「前に……同じ事を言われたのです。鞠莉さんに」
愛奈「そっか」 愛奈「……戻りたい?って当たり前だよね」
有紗「それは……勿論です」
有紗「でも決してこの世界が嫌だからとか、あいなさん達が嫌だからではありません」
有紗「この場所は、有紗さんの居るべき場所で」
有紗「わたくしの居るべき場所ではないのです」
愛奈「うん……」
愛奈「私も協力する。ダイヤちゃんが元の世界に戻れるように」
有紗「愛奈さん……」
愛奈「って、やーねー。なんか湿っぽい雰囲気になっちゃった」
愛奈「ほら食べよ食べよ!うわ〜美味しそう。いっただきまーす!」
有紗「もう、少しは落ち着いて食べなさいな」クスクス 有紗(それから数日間、愛奈さんと一緒に元の世界に戻る方法を考えました)
有紗(でも何一つ手がかりは見つからず……)
有紗(事象が事象なだけに、参考に出来るものもあまりなく)
有紗(かと言って相談出来る相手も居ないので正直万策が尽きた状況でした)
有紗(こういうのに詳しい善子さんと話せればヒントを貰えたかもしれませんが……)
有紗(お仕事の方は順調でした)
有紗(様々な事に挑戦でき、日々発見の多い刺激的な毎日)
有紗(そんな生活にどこか充足感を覚え始めたことに)
有紗(わたくしは気付いてしまったのです)
有紗(まるで、自分自身の存在理由から目を背けるように……) 愛奈(ダイヤちゃんが元の世界に戻れるように協力する――)
愛奈(そうは言ったものの、あまりにも非現実的な話すぎて)
愛奈(相談する相手も居なければ、参考になる情報も無くてはっきり言って打つ手なし!)
愛奈(そんな状況にダイヤちゃんもどこか諦め気味で)
愛奈(今はむしろありしゃとして生きていくことに必死になってる……)
愛奈(そう見えちゃって、本当にそれで良いの?と思いつつ)
愛奈(何も力になれない私は強く言うことが出来ないでいました) 有紗(状況に進展があったのは)
愛奈(ある日のニコ生での出来事でした) 杏樹「では、次のコーナーの説明をします!」
杏樹「BOXの中にキャラクターの名前が書いてある紙が入っているので」
杏樹「1人ずつ引いてもらって、自分が引いたキャラの似顔絵を書いてもらいま〜す」
朱夏「え〜、自分以外のキャラ引いたら難しそう」
小林「中々描かないもんね」
杏樹「それじゃくじを引いていきましょー!」 有紗(……わたくしは、鞠莉さんですわね)
有紗(鞠莉さんの似顔絵……こんな感じでしょうか)
杏樹「じゃあ先ずは3年生から。有紗ちゃんいってみよー!」
有紗「はい」
ノξソ>ω<ハ6
杏樹「鞠莉ちゃんだ!」
ふり「おー、流石お姉ちゃん」
朱夏「似てる似てるー」
愛奈「あらー可愛らしく描いてもらっちゃって」
有紗(ふぅ、絵なんてあまり描かないものですから緊張しましたわ) 杏樹「じゃあ次は2年生ということで、りこちゃんいってみる?」
梨香子「はーい。私はダイヤちゃんを描きましたー」
|c||^-.^||
有紗(あら?)
すわわ「意外と上手い」
梨香子「意外とか言うなしーw」
杏樹「でも皆んな上手だねー」
愛奈「あれ、でもホクロ逆じゃない?」
梨香子「え、そうだっけ?……って合ってるじゃんかー」
朱夏「ほんとだー。またりかこがやらかしたかと思った」
梨香子「またって何w」
愛奈「えっ?えっ?」
かなこ「だって、ダイヤのホクロってありさと逆でしょ?」
小林「ありさのホクロ、うちらから見て左だよね」
梨香子「あいなびびらせるなしーw」
愛奈「え、あ、そっかそっか!いやーど忘れしちゃって」
有紗(……) 〜有紗の部屋〜
有紗「状況を整理しましょう」
愛奈「うん」
有紗「わたくしと有紗さんのホクロの位置についてですが」
ダイヤ
|c||^.- ^||
有紗
|c||^-.^||
有紗「本来はこうのはずです」
愛奈「でも今日のニコ生の他の皆んなの反応を見ると、それぞれ逆として認識してた」
愛奈「なんかコメントでも私が間違えてるって言われてたし……」
愛奈「ていうかありしゃのホクロを逆にしたりきゃこですらあの反応なんて」
有紗「ホクロを、逆にした?」
愛奈「あっ……」
有紗「詳しく聞かせて頂けませんか?」 有紗「……なるほど」
愛奈「ごめん、そこは詳しく説明してなかったね……」
有紗「りかこさんが寝ていた有紗さんのホクロを逆にするイタズラをした……」
有紗「そして起きた有紗さんの意識はわたくしのものになっていたと」
有紗「なんとなくカラクリが分かったような気がします」
愛奈「本当?」
有紗「えぇ。つまり、逆の事をしてみれば良いのではないでしょうか」
愛奈「あ、そっか!何でそんな簡単なこと気付かなかったんだろう」
有紗「灯台下暗しとはまさにこういう事ですわね」 愛奈「……よし、これで元に戻った」
愛奈「どうかな?」
有紗「……特段変化はありませんわね」
愛奈「そう簡単にはいかないか〜」
有紗「……」
愛奈「ダイヤちゃん?」
有紗「ずっと、疑問に思ってることがあるのです」
愛奈「疑問?」
有紗「わたくしの意識はこちらの世界に存在していますが」
有紗「有紗さんの意識はどこへ行ったのでしょうか?」
愛奈「あっ」
有紗「ひょっとすると、わたくしと有紗さん……入れ替わってるのではないでしょうか」 愛奈「でもそれってもしかすると」
有紗「わたくしも同じことをやられた可能性がありますね」
愛奈「えっと、そんなイタズラする子って……」
有紗「まぁ、こういう事をわたくしにするのは鞠莉さんしか居ません」
愛奈「もー、あの子ったら〜!」
有紗「でもこれで点と点が繋がった気がします」
有紗「他の皆さんがわたくしと有紗さんのホクロを逆に認識しているのも」
有紗「この世界にとって、都合の良いように作り変えられているのかもしれません」
愛奈「うわ〜凄いSFみたいな話」 愛奈「でもそういうことなら元の世界に戻る方法もこの方法で合ってそう」
有紗「……戻れてないですけどね」
愛奈「がっくし」
有紗「きっと、わたくしだけでは駄目なのでしょう」
愛奈「……ありしゃの方も同じことをしないとってこと?」
有紗「恐らくは」
愛奈「じゃあまだありしゃはこの方法に気付いてないのかな」
有紗「そうだと、良いのですけどね」
愛奈「……どういう意味」
有紗「最悪の場合があるという事です」
愛奈「……やめてよ、そういう言い方」
有紗「もしも有紗さんが元の世界に戻る事を拒んでいたら」
愛奈「やめてって言ってるでしょ!!!」
有紗「申し訳ありません……」
愛奈「私もごめんなさい……」 有紗「あくまでも可能性の話です。有紗さんが必ずしもそういう考えに至ってるとは限りません」
愛奈「うん。ありしゃはきっと戻ってきてくれる」
愛奈「いや、ありしゃのことだから最初は向こうの世界を満喫しちゃってるかもしれないけど……」
愛奈「それでも最後は戻ることを選んでくれるはずだよ」
有紗「有紗さんを、信じていますか?」
愛奈「信じてるよ。ダイヤちゃんは?」
有紗「わたくしは……分かりません」
有紗「有紗さんという方をまだ完全に理解出来ていませんし」
愛奈「そっか、そうだよね」
愛奈「ごめん、今日はもう帰るね」
有紗「愛奈さん……」
愛奈「明日は一日ダンスリハだから……ダイヤちゃんも早めに寝てゆっくり休んでね」
有紗「……分かりました」 有紗「ふぅ……」
有紗「少しわたくしも意地になってしまいました」
有紗「あれだけお世話になっている方にあんな態度を取るなんて」
有紗「でも確かに、わたくしはこの世界に順応することだけを考えてしまって」
有紗「有紗さんの事を理解するのを怠っていたのかもしれません」
有紗「でもどうすれば……おや?」
有紗「これは……こちらのAqoursの皆さんが表紙の雑誌ですか」
有紗「インタビュー記事もありますわね」ペラッ
有紗「……」ジー 〜数時間後〜
有紗「……」パタン
有紗「この部屋にある雑誌はひと通り読めましたね」
有紗「色々と、胸につっかえてたものが取れたような気がします」
有紗「この世界の事、わたくし達の世界の事」
有紗「有紗さんの事、わたくしの事」
有紗「でも気持ちの整理が出来たと、心の底から言えるようになる前に」
有紗「自分の目で確かめておかなければなりませんわね……」
有紗「その前に先ずは、愛奈さんに謝りましょう」 〜翌日〜
愛奈「……」スタスタスタ
有紗「あ、愛奈さん」
愛奈「……おはよ」
有紗「お、おはようございます」
愛奈「……」
有紗「……あ、あの!」
愛奈「私先にリハスタ行くね。準備があるから」
有紗「は、はい」
愛奈「……」スタスタスタ
有紗(やっぱり、怒ってますわね……) 朱夏「ありさとにゃー喧嘩でもしたの?」ヒソヒソ
小林「何か今日よそよそしいね」ヒソヒソ
ふり「最近ずっと一緒に居たのに……何かあったのかな」ヒソヒソ
杏樹「こらー!そこお喋りしてないの!」
わいわいわい「ごめんなさーい!」
かなこ「でも確かにあの2人の間の空気変だね」
杏樹「おすわ何か知ってる?」
すわわ「んー知らない」
杏樹「そっかぁ」 愛奈「皆んなー、練習始めよ?」
ふり「お、おう」
すわわ「まぁやるしかないでしょ」
梨香子「ありさー、あいなと何かあったの?w」コノコノ
有紗「何もないよ」 〜お昼休憩〜
朱夏「あーお昼だー!」
杏樹「お腹すいたー」
かなこ「ありさー、今日のお弁当何だったー?」
有紗「え?知らない……けど」
かなこ「えー珍しー」
有紗「そ、そう?」
小林「いつも聞いてもないお弁当の種類教えてくれるのに」
有紗「あ、ごめん。まだ見てなくて」
かなこ「まぁ別に良いけどね」 朱夏「そういえば最近ありさあんま食べないよね」
有紗「そうかな?」
杏樹「大丈夫?食欲ないの?」
有紗「そういうわけではないけど……」
すわわ「体調悪いなら無理することないよ」
有紗「すわわまで……私は大丈夫だから」
すわわ「んー、なら良いけど」 〜午後練習〜
杏樹「いやー今日もハードだねー」
梨香子「休憩w」
朱夏「今度のライブは新曲多いからその分覚えることも多いしねー」
すわわ「ねぇありさ、本当に大丈夫?」
有紗「だ、大丈夫だから」ゼェゼェ
すわわ「大丈夫そうに全く見えないんだけど」
かなこ「確かに顔色もあんまり良くないね」
小林「有紗こんなに疲れやすかったっけ?」
ふり「そんなことなかったと思うけどなー」
有紗「た、たまたまだから」ゼェゼェ 有紗(もう、何なんですか)
有紗(皆さん寄ってたかって人を病人みたいに……)
有紗(わたくしはそんなにヤワでは……)フラッ
すわわ「ありさ!」
愛奈「!?」
有紗(……何でしょうか、身体がふわふわします)
有紗(周りの景色がスローモーションになったような……)
有紗(それに、瞼が重いですわ……もうこれ以上、開けてられません……)
――ありしゃ!ありしゃ!
有紗(あぁ……鞠莉さんの声がします。ずっと聞いてたのに、懐かしい声)
有紗(もう一度、貴女の声が聞きたかった……) ....................
..........
.....
有紗「んっ……ここは……」
愛奈「ありしゃ!」
有紗「あ、愛奈さん!?」
愛奈「良かった〜!もう目が覚めないかと思ったよ〜!」
有紗「え、えっと申し訳ありません、わたくしは……」
愛奈「……ダイヤちゃんでしょ?」
有紗「は、はい……それで、わたくしは一体……?」
愛奈「貧血だって。リハスタで倒れて医務室に運んできてもらったの」
有紗「そうですか……」
愛奈「ダイヤちゃんあんまり食べてなかったでしょ?」
有紗「え、えぇ。でもそれは食欲が無いというわけではなくて」
有紗「単純にすぐお腹いっぱいになってしまっただけというか」
愛奈「そうだろうと思ったよ〜」
有紗「えっ?」 愛奈「ありしゃって結構食べるんだよね」
愛奈「でもダイヤちゃんはあんまり食べない方だから」
愛奈「頭では満腹だと思っても身体は全然満たされてなくて……」
愛奈「言ってしまえばずっと空腹状態で過ごしてたようなものなんだよきっと」
有紗「なるほど、それは一理ありますわね」
愛奈「体重も結構落ちてるんじゃないかって」
愛奈「無茶な食事制限のダイエットはやめましょうってお医者さんに言われたよ〜」
有紗「そんなつもりは無かったんですけどね」クスクス
愛奈「そうだね〜」
有紗「……」
愛奈「……」
有紗・愛奈「あ、あの!」
有紗・愛奈「……ぷっ」 有紗「ふふっ、では愛奈さんからどうぞ」
愛奈「うんっ。昨日と今日の朝は本当にごめんなさい」
愛奈「ダイヤちゃんだって分からないことがあるのは当然なのに」
愛奈「私の気持ちを押し付けちゃって……」
愛奈「今日の朝もすぐに謝ろうと思ったのに、何だか気まずくて……」
有紗「良いのです。愛奈さんの気持ちに、わたくしも救われましたし」
有紗「わたくしこそ、本当に申し訳ありませんでした」
有紗「愛奈さんにとって、有紗さんは何年も共にしている仲間なのに……」
有紗「わたくしの態度は無礼にも程がありましたわ」
愛奈「ダイヤちゃん……」
有紗「昨日、あの後雑誌を読んだのです」
愛奈「雑誌?」
有紗「この世界のAqoursの皆さんのインタビューが載っている雑誌を」 有紗「全てを理解出来たとは思えません」
有紗「それでも、有紗さんがわたくしの事をどう想っているのか」
有紗「どういう意識を持って行動しているのかはとても分かりましたわ」
愛奈「うん。ありしゃはね、ダイヤちゃんに凄い拘りを持ってるの」
愛奈「MY舞☆TONIGHT歌った時なんかほんと凄かったんだから〜!」
愛奈「放っておけばひたすらMY舞の話してたんじゃないかってくらい」
有紗「えぇ、読みましたわ。少し気恥ずかしかったですが」
有紗「……それで愛奈さんに、お願いがあります」
愛奈「お願い?」
有紗「もう一度、元の世界に戻る方法を試したいのです」
愛奈「えっ?」 有紗「有紗さんの事を少しでも理解する事が出来て……思ったのです」
有紗「わたくしも有紗さんを信じようと」
有紗「きっと、元の世界に戻る事を望んでいると」
愛奈「ダイヤちゃん……」
有紗「それに、いつまでもこの状態だと今日のような事を繰り返してしまうかもしれません」
有紗「そうなるとこの身体が先にボロボロになってしまうでしょう」
愛奈「そんな……」
有紗「手遅れになる前に、わたくしは元の世界に還らないといけないのです」
愛奈「……分かった。じゃあ今すぐにでもやろっか」
有紗「いえ、その前にお願いがもう一つ」
愛奈「この際だからじゃんじゃん言って!」
有紗「……わたくしを、沼津に連れて行って頂けませんか?」
愛奈「……っ!」 有紗「元の世界に戻る前に、この目で確かめたいのです」
有紗「この世界におけるわたくし達の“存在”を」
有紗「この事実を知ったまま生きていくのなら、その覚悟をしたいのです」
愛奈「ダイヤちゃん……」ギュー
有紗「ど、どうしたのですか?」
愛奈「ダイヤちゃんは強いね……。私だったら絶対に耐えられない」
有紗「愛奈さんが居てくれたからですわ。この世界に1人ぼっちだったら絶対に耐えられませんでした」
愛奈「うん……。次のオフの日に、一緒に行こうね」
有紗「よろしく、お願いしますわ」
バタンッ!
有紗・愛奈「……っ!」
杏樹「有紗ちゃん目覚めた……の」
朱夏「もーいきなり倒れてびっくりしたんだか……ら」
かなこ「わーお」 小林「心配してたのに2人で抱き合ってるとかさー」
愛奈「ち、ちがうの!これは……」
すわわ「ずるい、私も」ギュー
愛奈「ちょー!?すわわまで!」
ふり「おーう、3年生は今日も仲良きことで」
梨香子「イチャイチャすんなしw」
愛奈「そういうんじゃないからー!」 〜数日後〜
沼津駅
愛奈「……来ちゃった」
有紗「本当に、同じ景色なのですね」
愛奈「ほら、これで変装して」
有紗「変装?」
愛奈「ありしゃは目立つんだからすぐバレちゃうよ」
有紗「分かりましたわ」
愛奈「じゃあ行こっか。ってダイヤちゃんの方がこの辺りは詳しいもんね」
愛奈「ダイヤちゃんの行きたいところ、行ってみよ。私は付いていくから」
愛奈「えぇ。ありがとうございます」 有紗「……」テクテクテク
愛奈「……」テクテクテク
有紗「……なんというか、奇妙ですわね」
愛奈「奇妙?」
有紗「至る所にわたくし達が居て、まるでわたくしの知らない場所みたいですわ」
有紗「でも確かにここはわたくしのよく知ってる場所で……頭が混乱します」
愛奈「無理もないよ」
有紗「愛奈さん、次は内浦まで行きましょう」
愛奈「本気?」
有紗「もっと、核心に近づきたいのです」
愛奈「……分かった」 〜三津浜〜
有紗「愛奈さん、大丈夫ですか?」
愛奈「うん!大丈夫。でも砂浜はやっぱ歩きにくいね〜」
愛奈「ここでダイヤちゃんたちトレーニングしたことあるんでしょ?凄いなぁ」
有紗「えぇ。果南さんにはだいぶ鍛えられましたわ」
愛奈「そっか。それにしてもここから見る景色、何回見ても綺麗だね」
有紗「青い空と、青い海。小さい頃からずっと見てきたもの……」
有紗「本当に、わたくしの知ってる光景と全く同じですわ」
愛奈「ダイヤちゃん……」
有紗「ずっと、自問自答していたんです」
有紗「自分自身の“存在”について」 有紗「確かにわたくしは“アニメの世界”の人間で、誰かに“生かされた”存在なのかもしれません」
有紗「でも今日この街に来て思ったのです」
有紗「こんなにもわたくし達のことを想ってくれる、愛してくれる方々が居る……」
有紗「なんて誇らしい事なのだろうと……!」
有紗「この事実があるだけで、わたくしはこの先もずっと歩んでいけます」
愛奈「そうだよ、皆んなダイヤちゃんたちのことが大好きなんだよ」
愛奈「でもね、1つだけ間違ってることがあると思う」
有紗「間違ってる?」
愛奈「ダイヤちゃんたちは、ダイヤちゃんたちの世界でちゃんと“生きてる”よ……!」 愛奈「だって、私の知らないダイヤちゃんたちの、マリーたちのお話いっぱいあったもん!」
愛奈「マリーが果南ちゃんに既読スルーされた話なんて私知らないよ?」
愛奈「それって、私たちの手の届かないところで……」
愛奈「ダイヤちゃんたちが“生きてる”って証拠なんじゃないかな?」
有紗「……!!」
愛奈「だから、自分が“生かされた”存在なんて、悲しいこと言わないで」
有紗「はいっ……」フルフル 少女「……」ジー
愛奈「うわ、びっくりしたぁ」
有紗「迷子でしょうか?」
少女「おねえちゃん、泣いてるの?」
有紗「えっ?」
少女「泣くのは、ぶっぶーだよ」
有紗「……っ」 少女の母「あぁごめんなさい!もう、勝手に行っちゃだめでしょ?」
少女「はーい。おねえちゃんたちばいばーい」
愛奈「ばいばーい」
有紗「……」
愛奈「今の子、ダイヤちゃんのキーホルダー付けてたね」
愛奈「きっとダイヤちゃんのファンなんだよ」
有紗「えぇ。嬉しいものですね」
愛奈「そうだ!最後に、ダイヤちゃんを連れていきたい場所があるの」
有紗「連れていきたい、場所?」 〜某喫茶店〜
愛奈「あった!ここだよここ」
有紗「喫茶店ですか?……って、えぇ!?」
愛奈「おー、噂には聞いてたけどダイヤちゃんのグッズでいっぱいだね」
有紗「一体ここは……」
愛奈「ほら、外で立ち話もなんだし中に入ろ」
有紗「は、はい」 愛奈「ホットコーヒー2つお願いしまーす」
有紗「あ、あの……何だかとても居心地が悪いと言いますか」
有紗「わたくしに囲まれてて落ち着かないのですが……」
愛奈「あっはっはっはっ!ダイヤちゃんがダイヤちゃんに囲まれてるって、ひー!」
有紗「笑い事じゃないでしょう!?」
有紗「それで、わたくしをここに連れてきたかった理由とは?」
愛奈「あー面白い。ってそうだった、これ読んでみて」
有紗「交流ノート?」
愛奈「色んな場所にね、ファンの人たちの交流ノートが置かれてるの」
愛奈「Aqoursに対する想い、沼津に対する想い、大好きなメンバーに対する想い」
愛奈「色んなことが書かれてるの」
愛奈「特にこのお店は、見ての通りダイヤちゃんに特化してるから」
愛奈「この世界の、ダイヤちゃんのことが大好きな人たちの想い、持っていってほしいな」
有紗「……」ペラ “ダイヤちゃんのことが大好きです”
“妹思いで仲間思いで、Aqoursのみんなを見守ってくれてるダイヤちゃんが大好き!”
“いつもAqoursを支えているダイヤちゃんのこと、応援してます!”
“たまにポンコツになるダイヤちゃんめっちゃ可愛い!”
有紗「……わたくしは、幸せ者ですわね」ペラ
有紗「こんなにも、わたくしを想ってくださる方々が居るなんて……」ペラ
有紗「言葉に出来ない感情で胸がいっぱいで……こんな気持ち初めてですわ」
有紗「本当に……ありがとう」
愛奈「ふふっ。コーヒー、飲む?」
有紗「いただきます」
有紗「……」ゴクッ
有紗「……コーヒーって、こんなにしょっぱかったのですね」 〜とあるホテル〜
有紗「では、よろしくお願いしますわ」
愛奈「う、うん」
愛奈(どうしよ、決心が鈍らないうちに元の世界に戻る方法試したいって言うから)
愛奈(勢いで近場のホテル取っちゃったけど……)
有紗「どうしたのですか?」
愛奈「な、なんでもない!」
有紗「もしかして、良からぬ事でも考えてませんか?」
愛奈「ま、まだ考えてないよ!」
有紗「まだとは」
愛奈「もう!早く始めるよ」 有紗「そういえば」
愛奈「じっとしてて」
有紗「あ、ごめんなさい」
愛奈「で、どうしたの?」
有紗「いえ、少し気になったのですが……」
有紗「何故愛奈さんだけ、有紗さんの正しいホクロの位置を忘れなかったのでしょうか?」
愛奈「えっ」ドキッ
有紗「そこだけが唯一何も想像出来ませんでした」
愛奈「な、なんでだろうねー」
有紗「その反応、もしかして心当たりが?」
愛奈「そ、そうだとしても言わないよ!」
有紗「愛奈さんが言いたくないのなら無理強いはしませんが……」
愛奈「乙女の秘密なんだから!」
有紗「はぁ……」 愛奈「……よし、これで元に戻ったよ」
有紗「……変化は無いですわね」
愛奈「やっぱり、駄目なのかな……」
有紗「いえ、そうとは限りません」
愛奈「えっ?」
有紗「有紗さんが寝てる間にやったのでしょう?それなら、わたくしも寝ないといけないのでしょう」
愛奈「そっか」
有紗「少し、横になりますわね」
愛奈「うん……これでお別れなんだよね」
有紗「次に目覚めた時は、愛奈さんのよく知ってる有紗さんになってるはずです」
愛奈「うん……」 有紗「どうしたのですか?」
愛奈「ちょっと、寂しいなって」
愛奈「ご、ごめん!元の世界に戻れるように協力するって言ったのは私なのに」
有紗「良いのですよ、寂しい時は寂しいと言って」
有紗「わたくし自身、この世界を受け入れつつありましたし」
愛奈「そうなの?」
有紗「えぇ。愛奈さん達と、愛奈さんと過ごす毎日はとても楽しかったですわ」
愛奈「わ、私も!ダイヤちゃんとの毎日は楽しかったよ!」
有紗「ふふっ。なので、わたくしの今のこの感情を言葉にするならば……」
有紗「“寂しい”のだと思います」
愛奈「ダイヤちゃん……」 有紗「でも最後にこの街に来る事が出来て、本当に良かったです」
有紗「一生知る事のなかった、人の想いにも触れる事が出来ました」
有紗「二人で一つとも言える、心強い存在が居る事も知れました」
有紗「何の憂いもなく、元の世界に戻れます」
有紗「だから最後に、わたくしからお願いをしてもよろしいですか?」
愛奈「私に出来ることなら!」
有紗「わたくしは寂しさを感じながら、元の世界に戻りたくはありません」
有紗「ずっと笑っていて下さい」
愛奈「えっ?」
有紗「貴女の笑顔を見ていると、心が癒やされるのです」
有紗「まるで、鞠莉さんの笑顔を見てるみたいに」
有紗「だからそのとびっきりの笑顔で、世界を照らし続けて下さい」
有紗「願わくは、その輝きがわたくし達の世界にも届きますように」
愛奈「うん……うん……!」 有紗「段々……眠くなってきましたわね」
愛奈「もう、行っちゃうんだね?」
有紗「えぇ」
愛奈「最後に、私からもお願い良い?」
有紗「何なりと」
愛奈「マリーのこと、責めないであげて」
有紗「えっ?」
愛奈「マリー自身、きっと後悔してるし自分のことを責めてると思う」
愛奈「だからその、あんまり怒らないでというか何と言いますか……」
有紗「ふふっ、分かりましたわ。他ならぬ愛奈さんからのお願いですからね」
有紗「本当は腸が煮えくり返るくらい怒ってますけど」
愛奈「そこをなんとか!」 有紗「冗談ですわ♪」
愛奈「もうっ!」
有紗「……そろそろ、限界、みたいですわね……」ウツラウツラ
有紗「あい、な、さん……。本当に、ありが、とう……ございま、した……」ウツラウツラ
愛奈「ダイヤちゃん!」
有紗「は……い?」
愛奈「マリーと……ずっとずっと仲良しでいてね」
有紗「もちろん、ですわ……」
有紗「あいな、さんこそ……ありさ、さんと……ずっと……」
有紗「……Zzz」
愛奈「……当たり前だよ、そんなの」 〜数時間後〜
有紗「ん、んん……」
愛奈「ありしゃ!?」
有紗「ん……まり、ちゃん……?」
愛奈「ありしゃ……?」
有紗「……」キョロキョロ
愛奈「ありしゃ……なの?」
有紗「……あいな!」
愛奈「ありしゃ……!良かった!戻ってきたんだね〜!」
有紗「うん!……ん、戻ってきた?」
有紗(そっか、あいなが頑張ってくれてたんだね)
愛奈「どうしたの?ありしゃ」
有紗「ありがと、あいな」ギュー
愛奈「え、えぇぇ!?ありしゃからハグなんてラッk……じゃなくてほんとどうしたの?」
有紗「良いの。今はこうさせて」
愛奈「ありしゃ……」 有紗「ってここホテルじゃん。え、ていうかどこのホテル?……沼津!?」
愛奈「あ、えーとそれはねありしゃ」
有紗「あいなちゃん、ダイヤと何してたの……」ヒキッ
愛奈「違うから!ありしゃが思ってることは多分誤解だから!引かないで!」
有紗「ふーん。まぁ良いや、私まだ眠いから寝るね」
愛奈「う、うん」
有紗「ほら、あいなも」ポンポン
愛奈「えっ?」
有紗「眠そうな顔してるし、ずっと起きてたんでしょ」
愛奈「じゃ、じゃあお邪魔します」ゴソゴソ
愛奈(え、どういう状況これ)
愛奈「あ、あのね、ありしゃ。私やっぱり」
有紗「……Zzz」
愛奈「寝ちゃった」 有紗「……Zzz」
愛奈「……」
――『何故愛奈さんだけ、有紗さんの正しいホクロの位置を忘れなかったのでしょうか?』
愛奈「……」
愛奈(当たり前だよ。だって初めて会った時から……)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
愛奈『……』ジーーーーーーーーーーーーーーーー
有紗(えぇ……)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
愛奈(初めて会った時から、ずっと見続けてたんだもん)
愛奈(忘れるわけ、ないよ)
有紗「……Zzz」
愛奈「おかえり、ありしゃ」 愛奈(正真正銘、私の知ってるありしゃが戻ってきた)
愛奈(ありしゃが向こうの世界で何を見てきたのか、ありしゃは一切教えてくれなかった)
愛奈(ダイヤは絶対こっちでのこと誰にも言わないだろうから、私も言わない)
愛奈(それがありしゃの気持ちで、私もそう思ったから、それ以上は何も聞かなかった)
愛奈(あれから何度かありしゃが試しにホクロを逆にしてみたけど)
愛奈(人格が入れ替わるなんて不思議なことは二度と起こりませんでした)
愛奈(……きっと、たった一度の奇跡だったのかな) 〜数日後〜
有紗「ダイヤたち元気してるかなー」
愛奈「うーん、大丈夫なんじゃない?」
有紗「そっかー」
愛奈「……あ、あのねありしゃ」
有紗「?」
愛奈「改めて言うのも変だけど、私とその……ずっと仲良くしてくれる、かな?」
有紗「もー、何年の付き合いだと思ってるの」
有紗「今更言われなくても、当然でしょ」
愛奈「……うん!」
杏樹「練習再開するよー!」
有紗「ほら、練習戻ろ?ダイヤたちに負けないステージにするんだから」
愛奈「そうだね。よーし、頑張るぞー!」
愛奈(待っててね。絶対にあなたたちの世界に、私たちの輝きを届かせるから!)
〜END〜 >>76
ダイヤがスマホに慣れてないけど、既読スルーを教えて貰ったことがあるっていう単純な事実が、
ダイヤがちゃんと生きてるっていう感動的な伏線になってるとは思わなかった。 乙!
やっぱり|c||^.-^||さんのAAって秀逸なんだな ありがとう
久しぶりに続きが気になってリロードしまくるSSを読んだ 面白かった!
でもこういう真面目なssでも小林表記なのはずるいわw ありにゃの初顔合わせネタが活かされるとは思わなかった もしかしなくてもダイヤグッズでいっぱいの喫茶店ってあそこかw こういうの見ると、あっちの世界でもみんな楽しく生きていたらいいなって思うね ダイヤさんは、ありしゃが本物のμ'sと知り合いなのも
知っただろうか 書いてくれてありがとう ________________
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