曜「フリーターの集い」
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善子「」グー
曜「」チュー ズルルッ
果南「ふわあ……暇だねえ」
果南「ねえ」
曜「んー……?」
果南「何か話題無い?」 曜「ギャーン」
善子「ガムシロとシュガースティックで何してんのよ」
曜「省エネ野球だよ、テーブルの上で出来るから」
善子「省エネってそういう事なの……?」
果南「省エネって何?」
善子「後で説明するわ」 曜「でもさ、こうして3人でファミレスでまったりするだけってのも手持ち豚さんでしょ」
善子「豚さんじゃなくて無沙汰ね」
果南「善子詳しいねー」
善子「これくらい常識だから」
曜「というわけでさ、皆やりたい事とか無いの?」
善子「ああ、今日のトークテーマそれね」 果南「ズズッ……やりたい事ね……海に住みたい」
曜「海底ドリーマー?」
果南「海底どりーまーだね」
善子「海底ドリーマーって何よ……」
曜「私は1億稼ぎながらスポーツしたい」
善子「オリンピック出なさい」 曜「そういう善子ちゃんは?」
善子「広告収入で月1000千万」
果南「うわあ……どりーまーだ」
曜「ユーチューブドリーマーだね」
善子「だからドリーマーって何なのよ」 善子「ねえ」
曜「何ー?」
善子「実は私の口座に1億円入ってるのよ」
曜「ええーー!?!?」
果南「マジで?」
善子「ええ……」 果南「でもそんな事言っちゃったら……」
曜「そうだよ!善子ちゃん狙われちゃうよ!」
善子「誰に?」
曜「いや……私達に」
善子「そんな訳無いじゃない」 果南「いやいや、一億なんて大金持ってるんでしょ?」
善子「2人がそんな事する様に見えないし」
善子「それに……2人の事は信用してるもの」
曜「……グスッ……善子ちゃん……」
果南「そんな風に思ってくれてたなんて……」
善子「……言わせないでよ、恥ずかしいでしょ……こんな事///」
曜「ううー……!!善子ちゃーん!!」ギュー 善子「……っていうのは嘘だけどね」
果南「だよねー」
曜「知ってたよー」ギュー
善子「あー……」
善子「お金欲しい」
果南「あ、私達の事信用してるのは本当だよね?」
善子「当然じゃない」 曜「」カラン
果南「ねー」
曜「んー?」
果南「バイトしてみようかな」
曜「ええー!?!?!?」ガタッ 善子「驚きすぎでしょ……」
曜「だってあの果南ちゃんがバイトするって……」
曜「何、募金でもするの?」
果南「何でなのさ。ちょっとお小遣い稼ごうって思っただけだよ」 果南「ダイビングのインストラクターって夏ぐらいしか稼げないからさ」
果南「それ以外の季節は本当に暇なんだよね」
曜「でも果南ちゃんゴミ拾いしてるじゃん」
果南「それはお金にならないし」
善子「じゃあこれでも見る?」
果南「お、タウンワークじゃん。サンキュー」 果南「んー、飲食店ばっかりだね」
善子「仕方ないわよ。田舎だもの」
曜「こういう時に都会の便利さが響いてくるよねー」
果南「時給は……800円ぐらいが目安かな」 善子「どうせ稼ぐなら高めの所探しなさいよ」
果南「そうだね……おっ、時給1000円?」
曜「あ、そこ良いかも!」
善子「やめときなさい。そこの会社ブラックだから」
果南「ブラック?」
善子「超肉体労働で体育会系が集まる職場だって」
曜「それ果南ちゃんにぴったりじゃん」
果南「確かに」
善子「……そうだった、私基準で考えてたわ」
果南「よし、明日面接行ってこよ」 肉体労働で体育会系は確かに果南(曜も)がいるべき場所だ 果南ちゃんはベーリング海峡の蟹漁船でもやってけそうだわ 果南「へへ〜♪」
曜「で、で、果南ちゃん面接はどうだったの?」
果南「勿論合格だよ〜♪それで昨日から早速働いたんだ!」
善子「早いわね……」
果南「やっぱり力仕事は良いよ。それに……ほら!」ポン
曜「おお……!」
善子「こ、これって……!」 果南「昨日の仕事終わりに監督さんから貰ったんだ〜♪」
曜「6、7、8……8000円だー!」
善子「神だわ……神のチケットだわ……!」
果南「ふふふ、今日は久し振りに贅沢しちゃおうかな」
果南「何頼もうかな〜♪」ウキウキ
曜「果南ちゃん嬉しそうだね」
善子「やりがい感じてるんでしょうね……羨ましいわ」 果南「うーん……とりあえずこのステーキと刺身の盛り合わせいっちゃうか」
善子「す、ステーキ……!」
曜「うわあ〜!私も食べたーい!」
果南「ふっふっふ……勿論2人にも分けちゃう!」
曜「よっ、流石果南ちゃん!」
善子「よっ、慈愛の神!」
果南「それ褒めてるの?」 善子「……うーん、何か良い所無いかしら」
曜「あ、また部屋探し?」
果南「真剣だねー」
善子「家での風当たりの強さと、友人2人がバリバリ働いている状況から来る危機感でね」
曜「うわあ、正に八方塞だあ」
果南「善子ってメンタルは強いよね」 善子「でもさ、一人暮らしするにはある程度拘りたい訳よ」
曜「じゃああれだ。レイアウトとか考えてる?」
果南「れ、レイアウ……ト?」
曜「内装だよ内装」
果南「ああ成る程」
善子「そりゃ勿論よ、孤高の私にぴったり合う様な部屋作りをね」
曜「かっこいい……!」 善子「でも月に5万も払えない今の状況じゃレイアウトとか言ってられないのよね」
曜「じゃあさ……3人でルームシェアとかしちゃう?」
果南「あ、良いね」
善子「この辺にそんな物件とかある?」
曜「ほら……月1万5千円だって」
善子「安すぎでしょ」 曜「風呂なし、トイレなし、玄関なし」
果南「玄関無いと流石にきついよね」
曜「駅……下」
善子「どこに家作ってんの!?」
曜「屋根高め」
果南「逆に住みたいよそこ」 善子「ねえ……」
曜「んー?」
善子「私ってダメ人間なのかしら……」
曜「どうしたの?」
果南「いつにもまして暗いね」
善子「そりゃあね……」 善子「コンビニの夜勤っていう最悪の労働をしている中、イラついた先輩にそんな文句言われてみなさいよ」
善子「一日中引き摺るわよ」
曜「え、ワンオペじゃないの?」
善子「夜勤明けの疲れた体で引継ぎしている時に言われましたー」
果南「わあ、何か大変そうだ」
善子「はあ……そもそも真面目に仕事しているのにダメ人間ってどういう事なのかしら……」 曜「ほら、大体仕事って言ったらサラリーマンとかそういう人達の事を言うんじゃないかな」
善子「それって私等の存在全否定してるわよね」
曜「うーん……」
果南「あれでしょ、そういう人に限ってコンビニ無くなったら困るって人だよ」
善子「……確かに。先輩だってコンビニで働いてるんだし」
曜「うんうん!善子ちゃんに言える立場じゃないって!」
善子「え、ちょっと待って。それって私がダメ人間って事認めてる?」
曜「んー……」
果南「さー……」
善子「はあ……」カラン 曜「ねえ……」
果南「ん?」
善子「どうしたのよ、深刻な顔して」
曜「私さ。社員にならないかって言われたんだ」
果南「え!?」
善子「嘘でしょ……」 果南「曜って確か引越しのバイトやってたよね」
善子「それが社員って……何でよ?」
曜「働きぶりが評価されたっていうのかなあ……とにかくすぐにでもなろうかって思ってるんだけど」
果南「そうなんだ」 善子「良いんじゃない?曜の好きにやれば」
曜「そうなんだけど……」
果南「どうしたのさ」
曜「もうこうやって3人で集まるなんて事出来ないのかなあって」
善子「曜……」
曜「そりゃ私だって今まで通り3人で夜を明かしたいよ。でも社員になる以上責任も付いて回るしさ」
果南「…………」 曜「だから……今日が最後の夜って事になるかな、あははは……」
果南「何迷ってんの」
曜「え?」
果南「だから、何で私達に気を使ってるの?」
曜「それは」
善子「そうよ。あんたが社員になったからって縁を切らそうってつもりは更々無いんだから」
曜「善子ちゃん……」 果南「確かに曜は新しい道に進むよ。でもさ!」
果南「もしダメになったって時は……」
果南「……また3人で集まれる様に席は空けておくからさ」
果南「ね、善子」
善子「……当然よ」
善子「あんたは胸張って仕事頑張れば良いんだから……」
曜「……うん」 曜「じゃあ……早いけど私は帰るね」ガタッ
善子「……っ」
果南「うん」
曜「……3人で過ごした時間、忘れないから」
タッタッタ……
果南「善子……良く泣かなかったね」
善子「……我慢してるだけよ」
善子「曜のやつ絶対成功しなきゃ呪い掛けてやるんだから」
果南「はは、強力そうだ……」
果南「……私達も頑張らないとね」
善子「……分かってるわよ」
カラン 曜「……で、2人はどうなったの?」
果南「うん。船の資格取って漁業にも手を伸ばしてみたよ」
善子「教員免許取ったわ。公務員で安定よ!」
曜「良かった良かった!」
曜「いやー、フリーターで集まっていた時はどうなるかと思ってたよ」
果南「それを言うなら曜が真っ先に脱フリーターした事が驚きだよ」 善子「私も。まさか2人より後に決まるなんて思わなかったわ」
果南「だねー。善子はやっと人見知り直したから」
善子「それは言わないで!」
曜「まあまあ、本当に久し振りに3人で集まれたんだからさ」
果南「だね。まずはドリンクバーで乾杯だ!」
善子「ふふ、3人とも酒飲める筈なのにね」 曜「良いじゃん、これが私達のフォーマットだよ!」
果南「ふぉ、ふぉーまっと?」
善子「やっぱり分かんないのね……」
曜「ふふ。とにかくコップを持って!」
果南「はい」
善子「ええ」
曜「じゃあ……」
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