ことり「海未ちゃんを殺してことりも死ぬ」
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ことり「……」ガサゴソ
花陽「こ、ことりちゃん……?」
凛「包丁なんて取り出してどうしたにゃ!?」
ことり「海未ちゃん、海未ちゃん、海未ちゃん海未ちゃん海未ちゃん海未ちゃん!!」
ことり「……」ユラッ
海未「こ、ことり? 様子が……」
にこ「ぬぁにやってんのよ!」
ことり「ことりと一緒に死んで、海未ちゃん!!」
たったったっ
ザシュッ!
りんぱな「きゃあああああああああああ!!!」
ことり「あはっ……」
海未「こ、と……り……?」
ことり「海未ちゃんが悪いんだよ?」
ことり「海未ちゃんが浮気ばっかりするから……」
…… 遡ること数分前――
いつものように練習が終わり、海未とことりが会話しているときだった。
海未「ことり、今日のステップですが、かなり良かったですよ」
ことり「え、そ、そう、かな?」
海未「ええ。ことりは上達が早いので教え甲斐がありますね」
ことり「え、えへへ?/// 海未ちゃんの指導が上手なんだよ!」
海未「いえ、ことりが素晴らしいのです。何かご褒美をあげたい所ですが」
ことり「じゃ、じゃあ海未ちゃんに頭ナデナデしてもらいたいな?、なんて……」
海未「? そんなことでいいのですか?」
ことり「うん///」
海未「ふふ、欲がありませんねことりは。では……」
にこ「海未ちゃーん、ちょっと良い?」
海未「あ、はい。今行きます!」
海未「申し訳ありません、ことり。呼ばれたので行ってきます」
ことり「あ……、うん……」
ことり(海未ちゃんは可愛くてカッコよくて頼りになるからモテる……)
ことり(きっとみんなだって海未ちゃんのことが好きなはずだ)
ことり(いつか海未ちゃんが誰かに取られるかもしれない)
ことり(それならば、いっそ――)
――――
―――
――
― 海未「こ、ことり……」
凛「海未ちゃん! 大丈夫かにゃ!?」
にこ「あわわわっ……」
海未「近接戦闘で私に勝てると思いましたか?」ガシッ
ことり「くっ……!」グイグイッ
にこ「! きちんと包丁の腹を受け止めているわ!」
凛「海未ちゃんには傷一つないにゃ!」キャッホー
海未「だとしたら私も舐められたものです」
ことり「舐めてないよ? いろんな意味で舐めたいけど、今のは挨拶! 通用するとは思ってなかったんだ」
ことり「本命は……こっちだよ!」チャキッ
花陽「なっ、スチェッキンですか!? ソンナモノマデモッテキチャッタノォ!?」
凛「スチェッキン・オートマティック・ピストル……。セミオートからフルオート射撃まで可能なロシア製の拳銃にゃ!」
にこ「説明ありがとうニコ〜! って、そんなことよりあんなもんが相手だと流石に海未でも……!」
海未「……なるほど。絵里の仕業でしょうか」
ことり「一緒に死のう!」バァンバァン
海未「っ……!」バッ 海未ちゃんは自分が死ぬのは良いけどことりちゃんが死ぬのが許せなさそう 凛「すごい、海未ちゃん、銃弾を走って回避してるにゃ!」
ことり「な、なんで当たらないのっ!?」バンバン!
にこ「凛、アスリートが一番欲している筋肉ってどこの筋肉かわかる?」
凛「え? うーん、足の筋肉とか?」
にこ「違うわ。答えは眼筋よ」
そう、答えは眼筋である。
眼筋の強さ・素早さは動体視力に直結している。
鍛え難く、衰えやすい稀有な筋力――
それが眼筋だった。
花陽「聞いたことがあります! メジャーリーガーやトップクラスのアスリートがドーピングをする理由の殆どが、眼筋が大幅に強化されるからだって!」
にこ「見なさい、凛、花陽。海未は当てずっぽうに避けているわけではないわ。発射された銃弾をはっきりと見て避けている!」
にこ「驚異的な動体視力がなせる技よ! もう海未には銃弾でさえ当たらないんだわ!」 海未「――ッ!」バキッ
ことり「!」
凛「あっ、海未ちゃんの足が床を踏み抜いて!」
にこ「老朽化に加えて、銃をバカスカ打ち込んだせいで脆くなってたのよ!」
花陽「あれじゃあ、海未ちゃんが動けない!」
にこ「こ、ことり、やめなさい!」
ことり「ふふっ、やっぱり海未ちゃんはここでことりと死ぬ運命なんだよ」カチャ
凛「あぁ〜! もう見てられないにゃ!」
にこ「花陽、見ちゃダメよ!」
バァン! バァン! ……キィンキィン――!
鳴り響いたのは、少女たちの想像とは裏腹に甲高い金属音が2つだった。
もちろん、彼女たちは実際に人が撃たれる瞬間の音を聞いたことがあるわけはない。
テレビや映画などのフィクションの世界では聞いたことがある、そんな程度だ。
しかし、それでもあまりに想像とはかけ離れた音。
2発しか聞こえなかった銃声に対して、海未の周りに落ちている、4つの歪な欠片。
まさか実際にそんな事ができる人間がいるわけがない。
にこは、凛は、花陽は――理屈ではそう理解していた。
想像を凌駕する現実は、彼女らを戦慄させるに十分足りうるものだった。
海未「なかなかの業物のようですね。あとでメーカーを教えてもらってもよろしいですか?」
先程ことりから奪った包丁を手に、無傷で立っている海未の姿がそこにはあった。 花陽「えええええぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜!? 銃弾を切っちゃったノォ!?」
にこ「これ、最初に聞いておくべきだったかしら……」ゴクリ
にこ「海未は本当に人間なの!?」
凛「かっこいいにゃ〜〜〜〜!!!」キラキラ
ことり「……へぇ。流石海未ちゃん。そういう所、大好きだよ」
海未「退いてください、ことり」
ことり「ダメダメダメダメ。海未ちゃんはここでことりと死ななきゃあダメなのよー」
海未「何故です! 私はことりに、何かしてしまいましたか?」
ことり「……何もしなかったからだよぅ!」カチャ
バンバンバァン!
海未「!」タッタッタッ
海未「ことり!」ヒュッ
ことり「うっ……!」バシッ
にこ「海未ちゃんの投げた包丁がことり手からスチェッキンを吹き飛ばしたわ!」
凛「距離も詰めたし、もうことりちゃんに為す術はないにゃ!」 海未「ことり、もう終わりにしましょう!」
凛「勝負ありかにゃ……?」
にこ「みたいね」
ことり「まだなんだからぁ!」ピンッ ピンッ
海未(? 制服の中からなにか……?)
ボトボトッ
にこ「あれは……嘘でしょ!? 凛、花陽! 逃げるわよ!」バッ
凛「F1手榴弾だにゃ!」トテトテ
花陽「いやぁ〜〜〜〜〜!」
ことり「あはっ! 一緒に死の、海未ちゃん!」ギュウウ
海未「腕がっ……」
海未「ちぃっ!」
ドカーーン!!!
パラパラパラ…… 海未「ことり」
ことり「海未ちゃん……」
にこ「海未ちゃんとことりちゃんは無事みたいニコ!」
凛「海未ちゃんが直前に手榴弾を遠くに蹴り飛ばして、ことりちゃんを抱えて反対側に跳んだから助かったんだにゃ!」
花陽「みんな無事みたいで、よかったですぅ!」
ことり「ううっ……ぐすっ……」
海未「ことり……」
ことり「海未ちゃんのばか……」
海未「ことり、何故急にこんな事を? 言ってくれなければわかりません」
ことり「だって……」
ことり「海未ちゃんがすぐ他の人に優しくするから……」 海未「ことり、寂しい思いをさせていたならすみませんでした」
海未「ですが、これだけは信じてください。私にとってことりが大切な人であること」ギュ
ことり「ンミチュン……///」
海未「ふふ。今日は私の家に泊まりにきますか?」
ことり「いいのっ!?」
海未「ことりに寂しい思いをさせていたというのなら、その償いをしたいのです」
ことり「えへへ〜/// 嬉しいな♪」
凛「一件落着みたいだにゃ!」
花陽「よかったですぅ!」
にこ「……いい感じでまとまろうとしてる所悪いけど、このぼろぼろになった校舎なんとかしなさいよ!」
海未「……」
ことり「……」
海未「ことり、帰りましょうか」ソソクサ
ことり「ソウダネ!」ソソクサ
にこ「待ちなさいよー!」プンスコ! 〜後日〜
……練習終了後……
絵里「疲れたわねー」グター
希「えりちは頑張り屋さんやもんなぁ」
にこ「これくらいでへこたれるなんて修行が足りないわね!」フフン
絵里「さすがにこね」
希「にこっちは今日結構さぼっとったしなぁ」
絵里「マッサージでもしてもらいたいわ」
希「ウチはそういうん得意やないからなぁ……」
絵里「うーん……。あっ、そうだ」ピコーン
絵里「海未ーっ! マッサージしてちょうだい!」
海未「はぁ、何故私が」スッ
絵里「海未って武術とかやってるし、得意そうじゃあない?」
海未「覚えが無い事もないですが……」
絵里「よかった。じゃあやってくれる?」
海未「拒否しても?」
絵里「駄目よ。先輩命令」
海未「……先輩は禁止だったのでは」
絵里「それとこれとは話が別よ」
海未「はぁ……、わかりました。期待に沿えずとも、文句は聞きませんよ」
絵里「やった♪」
希「ええなー、えりち」
にこ「後でにこにもやりなさいよー」
ことり「……」 海未「ではいきますよ」グリグリッ
絵里「あー……気持ち良いわ」
海未「次は足を」
絵里「んっ……あンっ」
海未「次は腰周りです」モミモミ
絵里「あッ、イイッ! そこッ、感じるわッ! あッ♡あッ♡あッ♡」
海未「変な声を出さないでください!」
絵里「だ、だって海未の指が的確に私のイイ所を……///」アンッ
海未「言い方!」
ことり「……」ギリギリギリ
凛「こ、ことりちゃんが怖いにゃ……」
花陽「何も見なかったことにしよう」
絵里「あー、でも本当に海未のマッサージは気持ち良いわ」
海未「もう少し続けますよ」
絵里「ええ。お願いね」
海未「では……」 ゾクリ
海未「――ッ! 絵里、逃げてください!」ドンッ
絵里「へ?」ゴロゴロゴロ
パララララッ
海未「またあなたですか……」
海未「ことり!」
ことり「海未ちゃんはさぁ……堂々と浮気する人?」カチャ
凛「PP-2000……サブマシンガンだにゃ……」
花曜「ソンナモノマデモッテキチャッタノォ!?」
海未「浮気? と言うより、これは私に拒否権なんてなかったんですよ」
ことり「そうやっていろんな子に色目使ってさぁ……」
海未「話を聞いてください」 ことり「ことりの目の前でイチャついて、何のつもり!」パララララララッ
海未「分からず屋!」ダッシュ!
凛「おお、走ってマシンガンの射撃を避けてるにゃ」
花陽「相変わらずの人外っぷりだね」
凛「早すぎてゴキブリみたいだにゃ……」
ことり「待って! 海未ちゃん!」
ことり「あっ! これ絵里ちゃんにプレゼント……」ピンッ ヒョイッ
絵里「!?」キャッチ
凛「あ、絵里ちゃんにグレネードを……」
絵里「馬鹿! なんてもの渡すのよ!」ソォイ
ドカーーーーーン!!!
凛「あーっ! 一年生の教室が一部吹き飛んだにゃ!」
花陽「ど、どうするのぉ!?」
凛「明日の授業なしにならないかにゃー」 ことり「海未ちゃぁぁぁぁぁぁん!」パララララ
海未「ことり!」タッタッタッタッ
海未「いい加減に!」タタタタタッ
凛「おおおおおっ! 壁走りだにゃー!」キャッホー
海未「落ち着きなさい!」ピョン
バシィ!
花陽「マシンガンを蹴り飛ばした!」
凛「勝負ありだにゃー!」
ことり「うぅ……」
海未「ことり、一体何が気に入らないというのです!」 ことり「気に入らないことだらけだよ! 目を離すとすぐに他の子とイチャイチャして!」
海未「そんなつもりは無いのですが……」
ことり「海未ちゃんになくとも、向こうにはあるかもしれないでしょ!?」
海未「それは……そんな事は無いと思いますが……」
ことり「ことりは……海未ちゃんが他の人に取られてしまわないか心配なんだよ……」
海未「ことり……」
海未「わかりました。これからは出来るだけ、他の方にマッサージをするのは控えます」
ことり「マッサージだけじゃあなくて、他にも色々なの!」
海未「わ、わかりました……。とにかく気をつけます」
ことり「もうっ! 約束だよ!?」 海未「お詫びというわけではないのですが……ことりにもマッサージをしましょうか?」
ことり「いいの!?」
海未「ええ。勿論」
ことり「やったぁ! じゃあ、おねがぁい!」
海未「ふふ。ことり相手だと腕が鳴りますね」
にこ「はぁ〜……。あの二人の夫婦喧嘩にも困ったものねぇ」
凛「物理的に被害が出るからにゃぁ……」
花陽「今回も丸く収まったようでよかったよぉ」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています