千歌「白球を追いかけろ!!」2
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【1回表】 Aqours0−0ドラゴンズ
中野「よっ」シュッ
梅井「――」バシッ
善子(相変わらず球速はある)
善子(左で120キロ台後半)
善子(制球も特別に良い変化球もあるわけではないけど、これは厄介よね) プレイボール!
シュッ
ストライク!
善子(初球は結構いいところ)
善子(前回と同じように、ぶつけてくれれば都合よかったのに――なんて)
中野「りゃっ」シュッ
善子(甘い!)
カキーン! 千歌「打った!」
花丸「これはヒットに――」
立波「おっと」パシ――シュッ
アウト!
善子「駄目かぁ」
ルビィ「上手いねぇ、あの人」
梨子「セカンドは注意かな」 『二番レフト黒澤ダイヤさん』
ダイヤ(それでも範囲は広いわけではないはず)
ダイヤ(私の打球速度を考えれば、範囲の広いショートの東田さんより、引っ張って一二塁間を狙うべき)
立波「……」ギロッ
ダイヤ(しかし、あの迫力)
ダイヤ(できることなら避けたいものですが)
シュッ
ダイヤ(甘いコース!)キンッ
ヴィシー「ヨユウダネ」パシッ
アウト! ダイヤ(球威に押されてしまいましたか……)
曜「中野さん、調子良さそうですね」
ダイヤ「ええ、球はきてますね」
曜「分かりました」
『三番ショート渡辺さん』
曜(ここまでは2人とも全球ストレート)
曜(私にも球威で押してくるつもりかな) シュッ
曜(これは――)
ストライク!
曜「スライダー……」
曜(次は――)
シュッ
曜(打てる!)キンッ
ファール!
曜(今の、シュートかな)
曜(マズイ、2球で追い込まれた) 千歌「曜ちゃん、大丈夫かな」
善子「平気よ、曜さんならここからでも」
曜(1球外すかな)
曜(釣られないように注意して――)
中野「ふっ」シュッ
曜「!?」
梅井(よし!)バシッ
ストライク、バッターアウト! 曜「しまった、3球勝負か……」
鞠莉「完全に裏をかかれたわね」
果南「でもいい球だった。あれじゃあ打っても凡打だったと思う」
花丸「3者凡退……」
ルビィ「うゅ……」
千歌(マズイよ)
千歌(先制攻撃どころか、むしろダメージを受けちゃった感じかな)
千歌「梨子ちゃん、失点しないように頑張ろう」
梨子「ええ、そうね」 【1回裏】 Aqours0−0ドラゴンズ
『一番ライト凸田さん』
凸田「しゃっす!」
千歌(……この人、前は太めだったのに痩せたな)
千歌(前はスラッガータイプだったのに、今日は1番起用)
千歌(スタイルとかも変わったのかな)
千歌(とりあえず、低めに変化球を)
シュッ――カキーン! 千歌「初球から!?」
善子「低めをすくい上げて、器用ね」パシッ
千歌(綺麗にセンター前)
千歌(あんな打撃をする人じゃなかったのに)
千歌「ごめん、軽率だった」
梨子「私もビックリしたわ、前は振り回す選手だったのに」
『二番レフト小島さん』
千歌(次はきっとバントだよね)
小島「……」
千歌(でも小島さん、前は1番を打ってた人)
千歌(何か仕掛けてきても、おかしくないかも) 小島「……」スッ
千歌(バントの構え、流石に送るかな)
千歌(素直に一死もらおう――)
シュッ
小島「!」キンッ
千歌(バスターで叩きつけた!?)
千歌「果南ちゃん!」
果南「くっ」
千歌「ファースト!」
果南(二塁は無理か)シュッ 花丸「ずらっ」パシッ
アウト!
千歌(これなら結果は同じ――)
曜「花丸ちゃん、サード!」
ルビィ「ランナー二塁蹴ってる!」
花丸「え、えっ」シュッ
セーフ!
果南「やられた……」
梨子「は、早い」
千歌(前から体格の割に足は速かったけど、ここまで変わるなんて) 『三番センター福富さん』
千歌(しかもここでこの人)
千歌(過去の映像を見る限り、打撃は相当レベルが高い)
千歌(素行に問題がなければ、代表クラスかもしれない選手)
千歌(様子を見た攻めをしたいけど、初回からランナーは溜めたくない)
千歌(勝負をするしかない)
シュッ――ボール
千歌(ギリギリだったのに、平然と見送られた)
千歌(選球眼は良さそう) 千歌(次はストライクが欲しい)
千歌(スライダーを内寄りに)
シュッ――カキーン!
千歌「ヤバッ」
ルビィ「鞠莉ちゃん!」
鞠莉「くっ」
フェア!
曜「頭上超えた!」
ルビィ「セカンド!」
セーフ! 梨子「ツーベース……」
千歌(これもコースは悪くないのに持っていかれた)
千歌(早々に失点……マズいよ、思ったより日中の打線は強い)
千歌(しかもこの後、問題の――)
『四番ファーストヴィシーさん』
ヴィシー「〜♪」
千歌(前回の対戦ではずいぶん苦労させられた選手)
千歌(……ここはもう、出し惜しみしている場合じゃない) 梨子「やっ」シュッ
ヴィシー(甘いネ!)ブンッ
ストライク!
ヴィシー「!?」
千歌(よしっ、上手くいった!)
千歌(フォーク、きちんと制球できてる)
千歌(これで次はストレートを――)
キン 曜「キャッチャーフライ!」
千歌「オーライ!」パシッ
アウト!
千歌「ナイス梨子ちゃん!」
梨子「うん!」
千歌(これでツーアウト)
千歌(次を抑えれば、最少失点で済む) 『五番セカンド立波さん』
立波「お願いします」
千歌(雰囲気、凄いな)
千歌(見た目はスタイリッシュで格好いい感じなのに、謎の鋭さがある)
千歌(曜ちゃんと同じ? ううん、それとは違うまた独特な)
千歌(念のため、この人も初球フォークで)
千歌(まだ情報のない球なら絶対に打たれない)
千歌(意識させて、他の球で打ち取ろう) 梨子「えいっ」シュッ
立波「ふっ」カキーン!
千歌「えっ」
花丸「右中間――抜かれたずら!」
鞠莉「くっ」シュッ
セーフ!
曜「また、二塁打」
千歌「な、なんで」 立波(ふふふ、驚いた顔をしてる)
立波(私の情報収集能力を舐めないことね)
立波(浦の星と関係の近いチームを調べて、選手に『お願い』したら、あっさり教えてくれた)
立波(誰にも知られていないと思い込んでいる、新球の存在)
立波(追い込まれてからのフォークを警戒しての早打ち)
立波(早いカウントで使い始めたら、素知らぬ顔で狙い撃ち)
立波(理解できてなかった1名を除いて、しっかりハマった)
立波(ヴィシーは試合後、しっかり『指導』しないといけないけど……) 千歌「梨子ちゃん!」
梨子「狙われていたみたいね、フォーク」
千歌「どうして、外部相手には見せないようにしてたのに」
梨子「……考えても仕方ないわ」
梨子「とにかくこの後の下位打線はしっかり抑えましょう」
千歌「そ、そうだよね」
千歌「この後、怖いバッターはいない。集中していこう」
梨子「ええ」 【3回表】 Aqours0−2ドラゴンズ
花丸「ずらっ」ブン
バッターアウト!
善子「先頭のずらマルはあっさり三振……」
千歌「マズいね、ちょっと手がつけられないよ」
『九番セカンド黒澤ルビィさん』
曜「左対左、いつも緊張でガタガタな1打席目」
梨子「この場面のルビィちゃんは、流石に難しいかな」
千歌「だね」 花丸「大丈夫ですよ、今のルビィちゃんなら」
花丸「今日はちゃんと、気絶してないですから」
曜「それ、基準になるの」
カキーン!
曜「うわっ」
千歌「本当に打った――長打コース!」
セーフ!
ルビィ「ふぅ」
曜「二塁打だ!」
花丸「流石ルビィちゃんずら!」
ダイヤ(……強くなりましたね、ルビィ) 『一番センター津島さん』
善子(この試合初めての得点圏)
善子(私が返さないと!)
カキーン!
花丸「抜けた!」
千歌「善子ちゃん!」
鞠莉「一・三塁、チャンスね!」 『二番ショート黒澤ダイヤさん』
果南「ダイヤ、頼むよ!」
ダイヤ「ええ」
ダイヤ(さて、この状況)
ダイヤ(スクイズもありですが――)
千歌(打て、打て!)
ダイヤ(ヒッティングですか)
ダイヤ(私は特別バントが得意なわけではない)
ダイヤ(次は曜さん、できるだけランナーは貯めたいですからね) ダイヤ(しかし、普通に転がしては併殺もある)
ダイヤ(ここは――)
カキン
千歌「叩きつけた!」
梨子「これならホームとセカンドは大丈夫――」
東田「っと」パシッ――シュッ
アウト!
果南「内野安打はならずか」
ダイヤ「そこまで都合よくはいきませんね」 >>31
訂正
『二番レフト黒澤ダイヤさん』
果南「ダイヤ、頼むよ!」
ダイヤ「ええ」
ダイヤ(さて、この状況)
ダイヤ(スクイズもありですが――)
千歌(打て、打て!)
ダイヤ(ヒッティングですか)
ダイヤ(私は特別バントが得意なわけではない)
ダイヤ(次は曜さん、できるだけランナーは貯めたいですからね) ルビィ「でも1点返したよ!」
千歌「しかも次が曜ちゃん!」
花丸「だけど、いつもみたいに敬遠されちゃうかも」
ダイヤ「おそらく大丈夫ですよ」
花丸「ずら?」
ダイヤ「中野さんは右打者から空振りを取れる変化球を持っていない本格派」
ダイヤ「つまり、果南さんが得意なタイプなのです」
ダイヤ「私たちをしっかり研究しているなら、おそらくここは勝負でしょう」 『三番ショート渡辺さん』
曜(さて、どうかな)
立波「中野、梅井」
立波「勝負よ、分かってるね」
中野「はい」
曜(おっ、勝負っぽい)
曜(野球部に入ってからこのパターンは珍しい)
曜(第1打席、三振したのも悪いことばかりじゃなかったかな)
曜(あと、果南ちゃんには感謝だね) 曜(さっきは上手くやられた)
曜(でも今度は――)
シュッ
曜(しっかり打つ!)カキ――ン!
千歌「センターオーバー!」
ルビィ「長打コースだ!」
善子「これで――同点!」
花丸「善子ちゃん帰ってきた!」 曜(これならサード行ける!)ダッ
千歌「二塁蹴った!」
梨子「曜ちゃんの足なら余裕で――」
福富「ふっ!」シュッ――ギュン
福井「うぉ」パシッ
曜「なっ」
アウト! ルビィ「ピギィ!?」
ダイヤ「あれを刺すとは……」
花丸「す、凄い肩」
善子「曜さん……」
曜「驚いたよ、あそこまで肩がいいなんて」
鞠莉「これからは、センターには注意ね」
千歌「でも同点には追いついたよ!」
果南「ここから再スタート、しっかり守っていこう」
梨子「はい!」 【6回表】 Aqours2−2ドラゴンズ
『二番レフト黒澤ダイヤさん』
千歌「5回終わって同点のまま……」
鞠莉「お互いに上位から始まるこの回は大事ね」
果南「先頭、頼むよ!」
ダイヤ(私はここまでノーヒット)
ダイヤ(ここで打って、最上級生の威厳を示さなくては) ダイヤ「よろしくお願いいたします」
ダイヤ(球筋は掴めてきている)
ダイヤ(捉えれば、強い打球も打てるはずです)
中野「やっ」シュッ
ダイヤ(外――イメージは三遊間!)キンッ
ルビィ「抜けたよ!」
花丸「ダイヤさん!」
ダイヤ「ふぅ」
ダイヤ(ひとまず公式戦初安打ですわね) 『三番ショート渡辺さん』
曜「いいね、続かないと!」
カキーン!
ルビィ「センター前!」
花丸「これで1・2塁ずら!」
千歌「まだノーアウト、大チャンスだよ!」
鞠莉「果南、私にランナーを残しておいても大丈夫よ」
果南「いやいや、私が全部返しちゃうから」 『四番サード松浦さん』
果南「よっしゃ!」
梅井(変化球?)スッ
中野(嫌だ、直球)ブンブン
梅井(仕方ない――でも低め、低めに)
中野(了解!)シュッ
果南(ストレート!)カキ――ン!
千歌「痛烈!」
梨子「ゴロだけど凄い打球――」 立波「らっ!」バシッ!
花丸「ずらっ!?」
梨子「あれを捕るの!?」
立波「東田!」シュッ
アウト!
東田「くっ」シュッ
ヴィシー「イイネ!」パシッ
アウト! 善子「ゲッツー……」
花丸「いいあたりだったのに……」
果南「マジか」
曜「果南ちゃん、ドンマイ」
果南「あれ捕られるかぁ……」
曜「届く範囲ではあるけど、あの打球速度に反応するなんて」
果南「鞠莉、悪いけどお願い」
鞠莉「分かってる、ちゃんと取り返してくるわ」 『五番ライト小原さん』
中野「ふぅ」
鞠莉(安心しきった顔)
鞠莉(警戒しなければいけない打者の連続、ピンチでの併殺)
鞠莉(間違いなく、気が抜けた状態)
鞠莉(それは敵チーム全体に言えるわね――2人を除いて)
立波(少し、嫌な予感がするわね)
福富(……) 鞠莉(狙うのは初球)
鞠莉(球種はストレート)
鞠莉(外れたらソーリーよ)
シュッ
鞠莉(きた!)
カキ――――ン!
中野「あっ」
立波「馬鹿……」 千歌「完璧!」
曜「ホームランだ!」
果南「鞠莉、最高だよ!」
ダイヤ「鞠莉さん、ナイスバッティングですわ」
鞠莉「サンキューダイヤ!」
福富「あーあ」
凸田「やっちゃった」 中野「……」
梅井「くそっ」
立波「中野、梅井!」
立波「下を向くな! まだ2点差だよ!」
中野「立波さん……」
梅井「そうだ、気合いを入れ直そう!」
梅井「まだ6回、反撃のチャンスは十分にある」
中野「……そうね!」 『六番キャッチャー高海さん』
中野「らっ!」シュッ
バッターアウト!
千歌「私、こんな役ばっかり……」
果南「ドンマイ、今のは相手が気合入ってたからね」
鞠莉「捕手の一番の仕事は抑えること、切り替えていきましょう」
千歌「う、うん!」 【7回裏】 Aqours4−2ドラゴンズ
千歌(7回)
千歌(そろそろ曜ちゃんと交代を考えてもいいタイミング)
千歌(でも今日の梨子ちゃんは2回以降、1人しかランナーを出していない好調ぶり)
千歌(曜ちゃんも自分から準備をする気配もないし)
千歌(このまま、最後までいけるかな) 『五番セカンド立波さん』
立波(6回の攻撃はあっさり三者凡退)
立波(ここらで私が打たないと、このままいかれる)
千歌(初回はフォークを上手く打たれた)
千歌(ここは今日見せてないシンカーで様子を見よう)
梨子『コクッ』
立波(球種は気にしない、私なら打てる)
シュッ 立波(よし)
カキーン!
千歌「センター前――」
梨子(先頭は出したくない!)スッ
ビシッ
梨子「いっ」
千歌「梨子ちゃん!」
立波「右手に当てて」
曜「くっ」パシッ――シュッ
アウト!
ルビィ「曜ちゃん、ナイスカバー!」 曜「梨子ちゃん!」
梨子「っ……」
千歌「だ、大丈夫!?」
梨子「ごめん、つい腕を出しちゃった……」
千歌「謝らなくていいよ、アウト取ったんだもん」
ルビィ「そ、それより腕」
千歌「そ、そうだよ、ちょっと見せて――」グイッ
梨子「っ」
果南「これは……」 『治療の為、しばらくお待ちください』
立波「ついてなかったけど、ある意味それ以上の結果かな」
福富「また疑われますね、わざとやったとか、そんな感じで」
立波「相手が勝手に思い込むだけで、事実無根なんだけど」
立波「話しかけたら恐喝扱いで謹慎、普通に話を聞きにいったらビビッて何もせずともペラペラ話す」
福富「あなたの場合、その悪評を上手く利用するからたちが悪い」
立波「少しでも勝率を上げる為に使えるものは使う、それの何が悪いのかしら」 医者「痛むかね」
梨子「……」コクリ
果南「……これは、交代だね」
千歌「いっちゃん、準備して」
いつき「分かった!」
ダイヤ「代わりの投手、普通に考えれば曜さんですが……」
千歌「今からじゃ準備もほとんどできないよね」
果南「私が投げるしかないね」
果南「肩を作るの、私の方が早いし」 曜「いや、私が行くよ」
果南「でも」
曜「点差は少ない、緊急登板の果南ちゃんは怖い」
果南「それなら、私がいったん投げてから曜に代わるとか」
曜「どうせこの回を切らないと投球練習はできない」
曜「急いでボール触ってくるから、善子ちゃんにも伝えて」
千歌「う、うん」
曜「緊急だから苦労するかもだけど、バックよろしくね」 【選手交代】
梨子→いつき
以下ポジション+打順
1:捕・善子
2:遊・ダイヤ
3:投・曜
4:左・果南
5:右・鞠莉
6:三・千歌
7:中・いつき
8:一・花丸
9:ニ・ルビィ 曜「やっ」シュッ
バンッ
善子「わっと」パシッ
善子(またワンバン……)
曜「うーん」シュッ
善子「っと」パシッ
善子(今度は酷いボール球)
善子(緊急登板とはいえ、これはちょっと……) 『六番サード福井さん』
曜(思ったより投げられないな……)
ボール
曜(なんかこう、感覚が合わない)シュッ
ボール
曜(左のバッターボックス通過したよ……)
曜(……ストレートでこれか)
ボール ボールフォア!
善子(やっぱり全然球が来てないわ)
善子(制球も滅茶苦茶、これじゃあ) 『七番ショート東田さん』
東田「しゃっす」
東田(荒れてるな、渡辺曜)
曜(どうしようもないね、こりゃ)
曜(この手の登板、慣れてないからかな)
曜(でも置きに行くわけにはいかないし、とにかく投げてみるしか)
ボール ボール ボール
ボールフォア! 曜「ヤバい、かな」
曜(ちょっと大見得切りすぎたかも)
千歌(どうしよう)
千歌(2人のランナーが帰ったら同点、この調子だとそれ以上も――)
善子「曜さん!」
曜「マズいね」
善子「ええ」
曜「仕方ない、とにかく打たせよう」
善子「それならスライダーを使いましょう」
善子「普段ほとんど投げない分、警戒されていないでしょうから」
曜「そうだね、分かった」 善子「そろそろエンジンかけないとマズいわよ」
曜「そうだね」
善子「曜さんなら問題ないと、信じてるけど」
曜「うん」
曜「そろそろ肩もできて、感覚も合ってきた」
曜「もう簡単には打たせないよ」
『八番キャッチャー梅井さん』
梅井「よしっ」
梅井(ここで少しでも守備の分を取り返す) 曜(2点差、この人の打力を考えたら間違いなく送りバント)
善子(真ん中でもいいわ)
善子(当てられても、最悪アウトを1つもらう気持ちで)
曜(よし!)シュッ
梅井(これは――)
梅井「くっ」ギンッ
梅井(しまった、殺せてない上にピッチャー正面)
曜「よし!」パシッ
善子「サード!」 曜「千歌ちゃん!」シュッ
千歌(捕ったらすぐに投げれば併殺いける)
千歌(ここで、確実に――)
『負けたら廃校です』
千歌(っ)
ポロッ
千歌「あっ」
善子「なっ」
立波「落としてる、走れ!」
千歌「くっ」パシッ
千歌(駄目だ、どこも全部間に合わない) ルビィ「ま、満塁……」
花丸「千歌ちゃん……」
千歌「ご、ごめん」
千歌「私、焦って、つい――」
曜「大丈夫、落ち着いて」
千歌「で、でも」
曜「本職じゃない場所を守ればミスも出る」
曜「まだ点を取られたわけじゃないから、ね」
千歌「う、うん」 曜(みんな、硬い)
曜(プレッシャーで追い込まれてる)
曜(責任感の強いダイヤさん、千歌ちゃん)
曜(経験の浅いルビィちゃん、花丸ちゃん)
曜(明らかに正常じゃない)
善子「どうしたのよ」
曜「んっ?」
善子「まさか曜さんまで飲まれてるわけじゃないでしょ」 曜「……メンタル強いね、善子ちゃん」
善子「信じてるから、曜さんのこと」
曜「それはまた、ありがたいね」
曜(私はこのチームのエース)
曜(チームが苦しいときに、流れを変える役目を担ってる)
曜「善子ちゃん」
善子「なによ」
曜「三振、奪いにいくよ」
善子「了解!」 『九番大野さんに代わりまして、高平さん』
曜(立波さんに押し出された高平さん)
曜(悪くないバッターではあったはず)
曜(――でも、そんなのは関係ない)
曜(相手が誰だろうと、私はねじ伏せる!)シュッ
ストライク!
高平「なっ」 善子(よし、いつもの曜さんに戻ってきた)
善子(それどころか、いつも以上に球が走っているかも)
善子(これなら――直球で押せる!)
曜「ふっ」シュッ
ストライク!
善子(もちろん、3球連続――)
曜(ストレート!)シュッ
ストライク! バッターアウト!
高平「さ、3球で……」 ルビィ「曜ちゃん、凄い」
ルビィ(この状況で、プレッシャーを感じていない)
ルビィ(むしろ、それを力に変えてるみたい)
『一番ライト凸田さん』
凸田「……」グッ
善子(敵ながらいい表情ね)
善子(一打同点、長打で逆転)
善子(まだピンチは終わってない――けど!) 曜「ふっ」シュッ
ストライク!
善子(この球を、打たれるとは思えない)
善子(このまま、ストレートで押す!)
曜「――」シュッ
凸田「くっ」キンッ
ファール! 善子(当てられた、流石ね)
善子(それなら、カーブで簡単に――)
曜(……)フルフル
善子(……困った人)
善子(この場面で力勝負、自己主張)
善子(だけどこの人には、それが許されるだけの力がある)
善子(それでこそ曜さんね)スッ 曜(ストレート)
曜(コースは気にしない――思い切り投げ込む!)シュッ
凸田「!」
ストライク! バッターアウト!
曜「よっしゃ!」
善子「曜さん!」
曜「よーしこー!」
千歌「曜ちゃん、流石だよ!」
果南「凄いよホント!」バシバシ」
曜「あはは、痛いよ〜」 梨子「曜ちゃん、ナイスピッチ!」
曜「梨子ちゃん、怪我は?」
梨子「思ったより重症ではなさそうよ」
曜「そっか、良かった!」
立波「凸田が、ここで見逃し三振」
福富「半端ないね、ありゃ」
立波「相手が悪すぎるな、これは」
福富「流石のあなたでも、この空気は辛いね」
立波「でも諦めないよ、最後まで」
福富「ええ」 【9回裏】 Aqours6−2ドラゴンズ
立波(9回表に2点、か)
立波(リリーフで投げた田馬、調子はよかったんだけどな)
立波(赤髪ちゃんに粘って出塁されて、渡辺曜のツーラン)
立波(結局、流れどおりの転換になった)
『五番セカンド立波さん』
立波(だけど野球は最後まで分からない)
立波(先頭の私が出塁すれば、十分にチャンスはある) 善子(ここを切れば実質試合は決まる)
善子(この人の打撃技術は一級品)
善子(変化球に頼るより、力で押し切るわよ)スッ
曜(うん)コクッ
シュッ
立波「っ」ブン
ストライク!
立波(女子でこの直球は反則だ……)
立波(とにかくバットを短く持って、合わせて――) 曜「ふっ」シュッ
立波「くっ」ブンッ
ストライク!
立波(私が当てられない?)
立波(いや、まだだ)
曜「――」シュッ
ボール! 立波(ワンボール、次はカーブ?)
立波(いや、今日の調子だとストレート)
曜「やっ!」シュッ
立波(見える――いけっ)キンッ
善子「ルビィ!」
ルビィ「はい!」パシッ
ルビィ「マルちゃん!」シュッ
花丸「ずらっ!」パシッ
アウト! 立波(……当たりは悪くなかったんだけどね)
立波(運には完全に見放された、か)
曜「ワンナウト!」
曜(あと2人だ)
曜(あと2人抑えれば、私たちの勝ち)
『六番サード福井さん』
シュッ
福井「くっ」ギンッ
千歌「オーライ!」パシッ
アウト! 曜(ツーアウト)
『七番ショート東田さん』
東田(まだ、まだ終われない!)
曜(ストレート)シュッ
ストライク!
曜(ストレート)シュッ
ストライク!
善子(もちろん最後も――)
曜(ストレート!)シュッ
東田「っ」ブンッ
バッターアウト!
【試合終了】Aqours6−2ドラゴンズ 乙
立波さん良いキャラしてたけど終始オネエっぽかった(笑)
いや女性だけども しかし曜ちゃんが凄すぎる
ポジション的には根尾だけど、ピッチャーとしての能力は大谷 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています