千歌「白球を追いかけろ!」2
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
本来は正捕手固定で全員受けれると一番いいんだけどプロだと現実は難しいよね 善子ちゃん投げやすいーからの
千歌っち絶望するパティーンかと思ったわ ―グラウンド―
善子母「最期、6−4−3!」キンッ
ダイヤ「はっ」パシッ
シュッ――パシッ
ルビィ「えい!」シュッ
花丸「ずらっ」パシッ 善子母「お疲れ様、ルビィちゃんと花丸ちゃん、休んできていいわよ」
ルビィ「あ、ありがとうございました」
花丸「ず、ずらぁ……」バタン
ルビィ「マルちゃん、シャワー浴びに行こっ」
花丸「むりぃ……」
ルビィ「で、でも」
花丸「ルビィちゃん、運んで……」
ルビィ「ぴ、ぴぃ」ズルズル 善子母「あらあら、やりすぎてしまったかしら」
ダイヤ「いえ、私たちはまだ未熟者」
ダイヤ「可能な限り厳しい指導をしていただけるのはありがたいです」
善子母「ええ、もちろん限界は見極めながらだけど」
ダイヤ「ありがとうございます、わざわざコーチに来ていただいて」
善子母「いいのよ。元々何らかの形でかかわりたいとは思っていたの」
善子母「娘もいる、その友達もいる」
善子母「そして何より、私が育て上げた最高傑作の渡辺さんがいるんですから」 ダイヤ「曜さん……」
善子母「あの子は天才」
善子母「私は自分の持てる力全てを尽くして育ててきた自負がある」
善子母「だからこそ最初は驚いた、彼女が私の元から離れる決断をしたとき」
ダイヤ「千歌さんが大好きですからね、彼女は」
善子母「そうね。まだ高校生、そのぐらい単純な話」
善子母「けど最初は結構辛かったのよ、私は彼女に全く慕われていなかったんじゃないかって」
善子母「実際、私がどの程度力になれていたか、自信はなかったから」 ダイヤ「曜さんは感謝していますよ、本当に」
善子母「……そうかしら」
ダイヤ「その後も敵対しているようで、私たちを助けてくださったこと、みんな知っています」
善子母「結果的に、裏目に出てしまったようだけど」
善子母「東京の大会で受けた傷、そして――」
ダイヤ「曜さんと、千歌さんの関係ですか」
善子母「Aqoursに戻る気はない、強い意志を感じたから私は再び彼女を自分の元に迎え入れようとした」
善子母「けど今の状態になるなら、最初に追い返しておくべきだったわね」
善子母「結果的に、空白の時間があの子たちの関係を複雑にしてしまったわ」 ダイヤ「大丈夫です、あの二人の絆は深い」
ダイヤ「今は難しくても、いつか元の関係に戻るはずです」
善子母「そうね。渡辺さんにとって高海さんは、私より大切な人間ですものね」
ダイヤ「うふふ、まだ根には持っているのですね」
善子母「負けず嫌いなのよ、私は」
ダイヤ「流石は善子さんのお母様です」
善子母「……あの子、面倒な部分はしっかり受け継いだから困ったものよ」 ダイヤ「さて、それでは私は片付けを――」
善子母「ダイヤちゃん」
ダイヤ「はい?」
善子母「よかったの、貴女は自分でやりたい練習があったでしょ」
善子母「善子や渡辺さんほどでなくても、自己主張は必要なことよ」
ダイヤ「……私の伸びしろなど、たかが知れています」
善子母「そんなことは」
ダイヤ「なによりも野球をできるのはこの夏まで、未来もない人間です」
ダイヤ「それならば、未来も大きな将来もあるあの子たちの糧になるのが、最適なはずです」 善子母「……いいお姉さんね、あなたは」
ダイヤ「いえ、いつも妹には迷惑をかけてばかりです」
善子母「それは、お互いさまでしょ」
ダイヤ「……そんなことは」
善子母「不思議な姉妹よね、ダイヤちゃんとルビィちゃんは」
善子母「同じ環境で育ってきたはずなのに全く似ていない」
善子母「優秀で心の強い姉、才能はあるけど全く生かし切れず心も弱い妹」 ダイヤ「……ルビィは難しい子です」
ダイヤ「臆病でやさしすぎる、戦い向きではない性格」
ダイヤ「やさしさがあらゆる意味での弱さに繋がってしまっています」
ダイヤ「しかし力を発揮できれば」
ダイヤ「才能、意志の強さ、真面目さ、成長に必要なものを全て持っているのです」
ダイヤ「いつか誰にも負けない輝きを発することができる、私はそう信じています」
ダイヤ「あくまでも姉の贔屓目かもしれませんが」 善子母「そんなことないわよ。あの子は才能の塊」
善子母「渡辺さんはもちろん、桜内さん、小原さん、ルビィちゃん」
善子母「松浦さんも野球センスはないけど身体能力は誰にも勝るとも劣らない」
善子母「高海さんも本人の意識に問題があるけど十分な才能はある」
善子母「このチームには、寄せ集めとは思えないほどの大きな力が眠っているわ」
ダイヤ「それに、善子さんも」
善子母「あら、気を使ってくれなくてもいいのよ」
ダイヤ「彼女は特別な存在です、曜さんに近いポテンシャルを秘めているかもしれない」 善子母「精神的に大きなムラがある、こだわりが強すぎる。指導者としては難しいタイプだけどね」
ダイヤ「けど少しずつ、変わっているでしょう」
善子母「そうね。初めてできた友だち、目の当たりにした本物の天才」
善子母「初体験の刺激が、新たな段階へと導いてくれているわ」
ダイヤ「いいチームです、Aqoursは。助っ人の三人も、素晴らしい方たち」
善子母「そして花丸ちゃん」
善子母「センスも体力もないけど、一番頑張っているのはあの子」
善子母「母親失格かもしれないけど、誰よりも活躍してほしい、成長してほしいのは彼女よ」 善子母「正直、高校に入るまで全く運動をしてこなかったあの子に対する現実は厳しいわ」
善子母「アスリートに必要な幼い頃に身体の動かし方を覚える経験をほとんどしていない」
善子母「いくら努力をしても、夏までとなればヒットすら打てないかもしれない」
善子母「エラーを繰り返していわれのないヤジにさらされる可能性だってある」
善子母「現状、助っ人の誰かの方が上だと言われても私は否定できない」
善子母「それでも信じてるわ、あの子が輝く日が来ることを」
善子母「その為の努力は惜しまないつもりよ」 ―夜・体育館―
千歌「……」
梨子「……くぅ」スヤスヤ
花丸「……ずらぁ」スヤスヤ
ルビィ「……うゅ」スヤスヤ
善子母(流石に全員寝たわね)
善子母(ずいぶんと疲れたはず)
善子母(明日は早い、せめて今はゆっくり寝させておいてあげないと――) 善子「……ねえ」
善子母「善子? 早く寝ないと明日――」
善子「すぐ寝るわ、でも話したいことがあるの」
善子母「私に?」
善子「お母さん」
善子母「……ここではコーチと呼びなさい」
善子「はい、コーチ」 善子母「ちょっと、どうしたのよ」
善子母「いつもと違ってやけに素直ね」
善子「……指導をお願いする立場だから」
善子母「指導!?」
曜「……コーチ、朝ですか?」
善子母「ご、ごめんなさい。まだ大丈夫よ」
曜「よ――そろ」スヤスヤ 善子母「ちょっと、どうしたのよ」
善子母「冗談は善子ちゃんよ」
善子「冗談じゃないわ、茶化さないで」
善子母(……こんな真剣に頼みごとをする善子、初めて見た)
善子母「……なにかしら、教えてほしいことは」
善子「私に、キャッチングについて教えてくれない?」
善子母「キャッチング?」
善子「ええ」 善子母「それは、どういう風の吹き回し?」
善子「曜さんが、キャッチャーを探してるの」
善子母「そうらしいわね」
善子「だから」
善子母「自分がその役を引き受けたいと」
善子「そう、私は曜さんとバッテリーを組みたい」
善子「その為には足りないものが多すぎる。教わらないといけないことが多すぎる」
善子「だから、お願いします」 善子母「善子に教えを請われるなんて、明日は雪でも降るのかしら」
善子「曜さんいわく、ちゃんと快晴よ」
善子母「……本気なのは理解できたわ」
善子母「けど分かっているのよね、今の状況」
善子母「貴女はまだ本職の外野で練習が必要な立場」
善子母「捕手は小原さんに任せればいい」
善子母「余計なことを考えている暇はないでしょ」 善子「それでも、それでも私はキャッチャーをやりたい」
善子「曜さんとバッテリーを組んでみたい」
善子「そうすれば、あの人に一歩近づける気がするから」
善子「新しい私へと、進化できる気がするから」
善子「お願いします、コーチ」ペコッ
善子母(あの子が人に頭を下げる)
善子母(これもまた、成長か) 善子母「仕方ないわね」
善子「じゃ、じゃあ」
善子母「専門ではないけど、出来る限り教えてあげるわ」
善子母「ただし、他に影響のない範囲でね」
善子「あ、ありがとう!」
善子母「でも私は花丸ちゃんとルビィちゃんの練習をみなきゃいけないから、練習後だけよ」
善子母「厳しいけど、できるかしら」
善子「ええ!」
曜(……善子ちゃん)
千歌(…………) 今回はここまでで
ライブや個人的な体調不良などで投稿できずに申し訳ありませんでした
>>176
少なくとも、現状の千歌ちゃんよりは上手いと考えてください
>>177
高校レベルぐらいだと基本固定ですが、まあそこはチーム事情ということで
>>178
本職の経験もなく、ようちかのように深い関係性もない状態でそれは難しいかなと
努力や裏付けなしに何かができる――的な展開は基本的にない予定です 千歌「キャッチャーやるとか、冗談はよしこちゃんだよ」
曜「だね」
花丸「ずら」
善子「」チーン ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています