絵里「怪盗のことだったら」ことり「μ'sにお任せ♪」雪穂「ですっ!」 第二話
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ピーーーーーーーー!!
海未「怪盗ですっ! 怪盗がでましたよぉ―――――!!」
穂乃果「μ's!? μ'sが来たの!?」
凛「わかんないにゃ! 早く行って見るにゃ!」
海未「こら貴方達! 仕事なんですよ! 捕まえに行くんですよ!!」
バサッ!
ツバサ「…」フフ
海未「あれは――…ッ!」
凛「…A-RISEにゃ」
穂乃果「…なぁーんだ、A-RISEかぁ」
凛「もう見飽きちゃったよねぇ」
穂乃果「一週間も顔付き合わせてればねぇ…」
ツバサ「ちょっ! 一応お宝盗んでいるのよ! 捕まえに来なさいよッ!」ムキー
海未「飽きるとかそういうことじゃありません! 怪盗なんだから捕まえるのは当たり前ですよ!!」ムキー
ほのりん「えー」 ツバサ「あの警察…! 私達を舐めてると後悔するわよ…ッ!」
あんじゅ「まぁまぁ〜舐められてる隙にお仕事終わらせましょう〜♪」
英玲奈「同感だな。バカに付き合ってる暇は無い」
凛「ちょ、誰がバカにゃー!!」ムキー
穂乃果「そうだよそうだよ! 穂乃果はバカじゃないもん!」ムキー
あんじゅ「ちょっと英玲奈、挑発してどうするのよぉ〜!?」ムキー
英玲奈「悔しかったら捕まえて見ろ。怪盗としての純粋な腕で、警察に捕まる気は無い」
あんじゅ「…ま、それはそうだけどぉ〜」
海未「あんなこと言われてますよ! 二人とも警察の意地を見せてやりなさぁーい!!」
凛「捕まえるにゃー!!」
穂乃果「A-RISEなんてμ'sに比べれば大したことないよー!!」 ツバサ「…ほんっとうに、舐めてくれるわね」
ツバサ「でも――…」バッ
ボン!
凛「うわっ! 真っ白な煙にゃー! おばあちゃんになっちゃうよー!!」
穂乃果「けほっけほっ! 煙幕だよ…っ!」
海未「ま、まったく見えません…! えーい! なんとかして捕まえるのです!!」
ツバサ「私達だって、Aランク怪盗…。そこらの無名怪盗とは訳が違う…」
ツバサ「μ'sにだって、負けはしないわ…!」
……。
タタタタタタ…!
あんじゅ「…ねぇ、ツバサ?」
ツバサ「なに?」
あんじゅ「なんでそんなにμ'sにこだわるの〜?」
ツバサ「…なんで、かしらね」
あんじゅ「ちょっとぉ〜誤魔化さないでよ〜! どうせいつもの負けず嫌いグセでしょ〜?」
ツバサ「…そうね、それは間違いないわ」 あんじゅ「冗談じゃないわよぉ〜! μ'sのことなんか気にしなければ、私達だって充分名のある怪盗なのよぉ〜?」
英玲奈「Aランク怪盗は世界で1000人程度と言われているからな。この国だけでいえば、恐らく10組もいるまい」
あんじゅ「そうよそうよ! もっと自分たちらしく仕事した方が、お金だって沢山稼げるし、TVにだって…!」
ツバサ「――それでも、私たちは"Sランク"ではないの」
あんじゅ「Sランクって…」
英玲奈「Sランク怪盗…。今のところ認定されているのは、全世界でたった5人。そのうちの1人が…」
ツバサ「…南ことり」
あんじゅ「そんな天才レベルと争ってもしょうがないじゃなぁ〜い!」
英玲奈「こればかりはあんじゅにも一理あるな。μ'sというよりも、南ことりが相手というのは分が悪すぎる」
ツバサ「そうね…本当に南ことりの怪盗の腕は超一流。普通に目指しても届くはずのない雲の上の存在」
あんじゅ「だったらぁ〜!」
ツバサ「でもね、私たちが怪盗である以上…彼女を超える必要がある」 あんじゅ「そんなぁ〜…」
ツバサ「…」
英玲奈「ふ…如何にもツバサらしいよ。それでこそA-RISEの代表取締役に相応しい」
ツバサ「ありがと。…英玲奈にはいつも無茶をお願いしているわね」
英玲奈「気にするな。私もA-RISEに入った以上、一蓮托生だ」
ツバサ「…ふふ」
あんじゅ「私は嫌よぉ〜〜〜!!!」
アオーーーーーーーーン!!
……。
絵里「怪盗のことだったら」ことり「μ'sにお任せ♪」雪穂「ですっ!」
雪穂「μ's。それは、ことりお姉ちゃんが経営する怪盗の会社であり、私たち三姉妹怪盗のチーム名でもあります♪」
雪穂「長女のことりお姉ちゃん、次女の絵里お姉ちゃん、そして三女の私、雪穂! ご依頼があれば、どんなお宝だって怪盗して見せます♪」
雪穂「…えへへ、まだ私は入りたての新米怪盗だから、足を引っ張ってばかりなんだけど…」
雪穂「この国には、私たちのような怪盗がい〜っぱいいるんです! だから、もたもたしてたら私なんかすぐに他の怪盗に追い抜かれちゃう…!」
バッ!
あんじゅ「…ふふ、優木あんじゅよ♪」
英玲奈「統堂英玲奈」
ツバサ「そして私が我がA-RISEの代表取締役、綺羅ツバサよ♪」
あんじゅ「ねぇツバサ〜、毎回代表取締役っていうの、ダサダサよぉ〜…?」
英玲奈「全くだな」
ツバサ「そうかしら? 肩書きは常に押し出していかないと勿体ないじゃない」
二人「…」 雪穂「A-RISEの三人も、そんな沢山いる怪盗のうちの一つなんです。三人ともAランクで、怪盗の腕前もバッチリ!」
雪穂「…らしいけど、あんまり見たこと無いからよくわかんないや」
雪穂「ことりお姉ちゃんとは仲良いみたいで、たまに連絡取り合ってるみたいだけど…。話では、私が失敗しそうになった任務を助けてくれているとか…」
雪穂「…うぅ、そんなんじゃダメだよね。私だってちゃんと怪盗できるんだってところを見せなくちゃ!」
雪穂「その為に、今日も特訓特訓!」
雪穂「ファイト、だよっ!」
……。
コンコン
ことり「はぁ〜い☆ どうぞ〜、鍵はかかってませんよぉ〜?」
ガチャ
ことり「こんにちわー♪ 怪盗のご依頼ですかぁ〜?」
希「――はい」
ことり「えへへ、怪盗の会社を訪ねてきて怪盗の依頼じゃないなんてことないですよねぇ〜」コツン
希「はぁ…」
ことり「でもごめんなさい〜。今、依頼が何十件も溜まってましてぇ〜、受けられるのは当分先…早くて一年後とかになってしまうんですよ〜…」
希「あ…えっと…その…」
ことり「その代わり〜依頼の達成率は98%以上♪ 余程のことが無い限りは依頼達成しますので〜♪ あ、勿論相応のお金は貰いますよぉ〜? 今だったら新規顧客特典でぇ――…」
希「お、お金は大丈夫やと思います…けど、違うんです!」 ことり「違うー…?」
希「す、すぐに依頼を受けて欲しいんです…! 一年も待ってたら遅いんです!」
ことり「そんなこと言われてもぉ〜こちらもお仕事ですから〜…」
希「…っ」
ことり「ごめんなさい…」
希「――"Angelic Angel"」
ことり「!」
希「"Angelic Angel”を盗んで欲しいと言ったら、受けてくれるんやないですか…?」
ことり「…」
希「…っ」
ことり「へぇ」
希「…っ」
トコトコ…
ガチャ
ことり「…こちらへどうぞ、ゆっくりお話を聞かせて頂きますね☆」
……。
ピィーー!!
雪穂「ッ!」ダッ
タッタッタッタッタッタ…!
絵里「…ふむ」
雪穂「はぁ…はぁ…ッ!」
タッタッタッタッタッタ…!
雪穂「〜〜ゴ―――――ル…っ!」
ドサ
絵里「…」カチ
雪穂「タイムは!?」ゼェゼェ
絵里「…10秒34ね」 雪穂「け、結構いいんじゃない…!?」ハァハァ
絵里「全然ダメよ」
雪穂「嘘だぁ…! 女子で10秒台なんて良い方だよ絶対…!」
絵里「それはあくまでも平均的な人間の話。怪盗が常識の範囲内の速度で留まっていたら捕まるでしょうに」
雪穂「そ、それはそうだけどぉ…」
絵里「今度は私のタイムを計ってみなさい」
雪穂「え、ちょ…」
……。
絵里「…いつでもいいわよー」グッグッ
雪穂「う、うんー…」ゴクリ
ピィーー!!
ドンッ!!
雪穂「っ!?」
タタタタタタタ…!!
ブォン!
雪穂「〜〜っ」
絵里「――ゴール」キュッ
雪穂「は、はや…」
絵里「…タイムは?」
雪穂「…8秒23…!?」
絵里「…まぁまぁね」
雪穂「い、いや、まぁまぁじゃないし! 圧倒的世界新だし! 何その速さ!?」
絵里「怪盗だったらこれぐらい当たり前よ。まず単純な足の速さがなければ、迅速になんて行動できる訳ないじゃない」
雪穂「そ、そんなこと言ったって…」
絵里「…言っておくけれど、ことり姉さんはもっと早いわよ」
雪穂「」
絵里「言ったでしょう? 怪盗はそんなに甘いものじゃないと。…なに、怖じ気付いたの?」
雪穂「うぅ…」 絵里「いいのよ。それぐらいで音を上げられるのだったら、怪盗になんてならない方がマシ。私もことり姉さんもその方が助かるわ」
雪穂「そ、そんな言い方…!」
絵里「私は雪穂を甘やかす気は一切無いの。…そんな風に言われたくないのなら、必死で食らい付いてきなさい」
雪穂「〜〜…」
絵里「…」 雪穂「もう! 分かったよ! 付いていけるようになればいいんでしょ…っ!」」
絵里「…そうよ。私たちと同じ場所に立ちたければ、努力なさい」
雪穂「努力するよ…! お姉ちゃん達と一緒に、三姉妹怪盗として名を轟かせるんだもん…!」
絵里「…」フフ
雪穂「頑張るぞ〜〜っ!!」
絵里「…それならまずは1000M走100本よ」
雪穂「え゛」
……。
ハァ…ハァ…
雪穂「…えり…おねえ…ちゃんの…おに…ぃ…!」
絵里「ほらほら、文句言う気力があるんだったら少しでも早く足を動かしなさい」
雪穂「あぅぅ〜…し…ぬぅ〜〜…」ヘロヘロ
絵里「…」
ツバサ「相変わらずスパルタね」トッ
絵里「…急に背後に現れるのはやめてといつも言ってるでしょう、ツバサ」
ツバサ「ごめんなさい、ついクセで」
絵里「悪趣味ね」
ツバサ「別に襲うって訳じゃないんだから」
絵里「どうだか…」
ツバサ「さっき、走ってる姿見させてもらったけど…相変わらずの速さね」
絵里「…」
ツバサ「いくらことりさんに敵わないとはいえ、Sランクも間近なんじゃないかしら?」
絵里「Sランクは怪盗にとって名誉ある称号よ。そんなに簡単じゃ無いわ」 ツバサ「謙遜なんて、貴方らしくないわよ…?」
絵里「謙遜なんてしてるつもりはないわ」
ツバサ「どうだか…」
絵里「…ツバサ、世間話をしに来たと言うわけじゃ無いんでしょう?」
ツバサ「あら、つれないわね」
絵里「何か用?」
ツバサ「ふふ…それじゃあ単刀直入に言うわ」
ツバサ「私と勝負しなさい!」
……。
ことり「…で〜? ツバサちゃんとの勝負、受けたのぉ?」
絵里「まさか、受けるわけ無いでしょ」
ことり「あはは、そうだよねぇ〜☆」
絵里「全く、ツバサはやたらと私たちに絡んでくるから迷惑してるのよ」
ことり「とは言っても、一応保険をお願いしてる身だしぃ〜…」
絵里「なんでA-RISEなの? 別にあの三人じゃなくたっていいんじゃないかしら?」
ことり「うーん、それはぁ〜一応、建前上という感じで〜…」
絵里「…大体、雪穂を連れて行かなければ失敗することもないし、A-RISEに任務を流す必要もないのよ」
雪穂「ぅぅ…」ピク ことり「ちょっと〜、雪穂ちゃんに聞こえてるよぉ〜?」
絵里「聞こえるように言ってるの」
ことり「もぉ〜絵里ちゃ〜ん!」
雪穂「…」
ことり「雪穂ちゃ〜ん? 絵里ちゃんの言うことなんて真に受けなくていいんだからねぇ〜?」
雪穂「…」
ことり「ことりお姉ちゃんは雪穂ちゃんのことが大好きなんだからぁ〜♡」
雪穂「…」
ことり「一緒に怪盗したいと思ってるのはお姉ちゃんも同じだから、ゆっくり頑張ればいいんだよぉ〜?」
雪穂「…」 ことり「…あれ? 雪穂ちゃん? 雪穂ちゃぁ〜ん?」ユサユサ
雪穂「うぅ〜…」ピヨピヨ
ことり「雪穂ちゃんがぐったりしてる〜!? って、凄い汗の匂い…///」ハァハァ
絵里「1000M100本も走ったから疲れてるのよ」
ことり「またぁ〜!? 絵里ちゃん! いきなりそんなに無茶させちゃダメだって言ってるでしょぉ〜!?」
絵里「付いて来れなかったらそれまでよ」
ことり「それまでじゃないよぉ! 妹なんだよぉ!?」
絵里「――でも、雪穂は食らい付いてきた」
ことり「!」 絵里「今までのヤツらとは違って、骨のある子よ。さすが、私たちの妹なのかしらね」
スタスタ…
ことり「…」
ことり「…ふぅん」
ことり「あの絵里ちゃんがねぇ――…」
ことり「…」チラ
ことり「…♡」
ことり「雪穂ちゃぁ〜〜〜ん…///」スンスン
雪穂「あぅぅぅ〜〜〜〜?///」
……。
あんじゅ「勝負ぅ〜!?」
ツバサ「そうよ」
英玲奈「本気か?」
ツバサ「勿論」
あんじゅ「…で、μ'sはなんて〜?」
ツバサ「却下されたわ」 英玲奈「まぁ…そうだろうな」
ツバサ「なんでよ」
英玲奈「簡単な話だ。向こうにメリットがない」
ツバサ「そうかしら?」
あんじゅ「そうよぉ〜! 勝負ってエキシビジョンマッチでしょぉ!? 怪盗同士が一つの任務を競って奪い合う、三箇条に縛られない唯一の公式ルール戦!」
ツバサ「あら、よく知ってるじゃない?」クスクス
あんじゅ「そんなの怪盗なら知ってて当然よぉ! 名声を上げる一番手っ取り早い方法だけど、対決は中継されるし、ネットでも話題持ちきり、炎上だって不可避よぉ!? μ'sと対決して勝てる訳ないじゃなぁい!!」 ツバサ「そんなの、やってみなければ分からないじゃない」
英玲奈「勿論、最初から負ける気なんてさらさら無いが…さっきも言ったとおり、μ's側にこの対決を受ける理由が無い」
ツバサ「理由って?」
英玲奈「まず第一に、μ'sが既に必要以上の名声を得ているからだ。Sランクの南ことりが属するのだからそれも当然だがな」
あんじゅ「うんうん〜!」
英玲奈「第二に、我々A-RISEと勝負する意味が無い。何故なら、我々が現在のμ'sの保険業を任されているからだ。わざわざ自ら味方を潰すような真似はしまい」
英玲奈「そして最後に、三女雪穂の加入だ。彼女も南家の妹といえど、まだまだ新米だ。そんな足枷がある状態で勝負に挑む必要は皆無だ」
ツバサ「…」 あんじゅ「気が変わったぁ〜? そうよねぇ、それだけ否定的な理由があれば、いくら頑固なツバサだってぇ〜…」
ツバサ「――それでも、私はμ'sと勝負しなければいけないの」
英玲奈「…」
あんじゅ「なんでそんなに頑固なのよぉ〜! 無理なものは無理なのよぉ〜!?」
あんじゅ「μ'sなんて気にしないで、私たちは私たちでマイペースに頑張りましょうよぉ〜!」
ツバサ「これはA-RISEの…」
ツバサ「いえ――私自身のプライドの問題よ」
スタスタ…
あんじゅ「ツバサ…」
英玲奈「…はぁ」
あんじゅ「もぅ…! 本当に頑固なんだからぁ…!」
英玲奈「あんじゅ諦めろ。ツバサの性格は私たちが一番よく知っているだろう?」
あんじゅ「そうだけどぉ〜…」
英玲奈「…まぁ、ツバサがμ'sに拘る理由…分からない訳じゃ無いからな」
あんじゅ「それはぁ〜…」
……。
チュンチュン…
雪穂「ん…」ムクリ
雪穂「…」
雪穂「あれ…なんで私…」キョロキョロ
雪穂「あ、そっか…昨日は疲れて…いつのまにか寝ちゃってたんだっけ…」
雪穂「…パジャマ、お姉ちゃんが着替えさせてくれたのかな…?」
雪穂「中学生にもなって恥ずかしい…///」
雪穂「よいしょ…っと」スト
ガチャ
雪穂「…ん」
雪穂ちゃんへ
ご飯はテーブルの上のを食べちゃってね。
絵里ちゃんも今日は学校お休みで一緒にお仕事だよぉ♪
雪穂ちゃんは学校頑張って〜☆
ことりお姉ちゃんより♪
雪穂「…」ハァ
ピッ
『おはようございまーす! 本日〜月〜日の天気は晴れ♪ とっても気持ちのいい朝ですねぇ〜!』
雪穂「…」モグモグ
ピッ
ピッ
雪穂「…あっ」
『今日はμ'sのお二人にゲストで来て頂いております〜! ことりさん、絵里さん、よろしくお願いします〜』
ことり『はぁ〜い、よろしくお願いしまぁ〜す☆』
絵里『…』ペコリ 『μ'sとは、数ある怪盗の中でも超有名な会社でありチームの名でもあります♪ 南ことりさんと、南絵里さんは美人姉妹怪盗として、若者達から絶大な支持を得ているんです!』
ことり『そ、そんなぁ〜美人だなんてそんなことないですよぉ〜…ねぇ、絵里ちゃん?』
絵里『私に聞かないで』プイ
ことり『ちょっとぉ〜! TVなんだから答えてよぉ〜!』
『絵里さんのそういったクールなところも人気ですからねぇ…! 私も目の前で見られてキュンとしてます…!///』
ことり『あ、絵里ちゃんに惚れたらダメですよぉ〜?』
アハハ…!
雪穂「…」
プツン
雪穂「…」ハァ
雪穂「…学校行こ」スク
……。
ガヤガヤ
亜里沙「ゆーきほ!」
雪穂「亜里沙…おはよう〜」
亜里沙「どうー? 怪盗の特訓は?」
雪穂「んー…思ったより大変〜…」
亜里沙「そうだよね〜…お姉さんが凄い人たちだし、特訓も大変そう」
雪穂「本当地獄だよぉ…足が筋肉痛で全然動かない〜…」
亜里沙「大丈夫ー? 亜里沙がマッサージしてあげよっかー?」
雪穂「い、いいよ別に…」
亜里沙「えー?」 雪穂「…」ハァ
亜里沙「…?」
亜里沙「雪穂、なんだか元気ないー?」
雪穂「えー…?」
亜里沙「ようやくお姉さん達と一緒に怪盗のお仕事できるのに、楽しくないの…?」
雪穂「あー…」
亜里沙「…」 雪穂「亜里沙ー…」
亜里沙「なにー?」
雪穂「…姉妹って、一緒にいるのが当たり前なんじゃないのかなぁ?」
亜里沙「え…」
雪穂「…」
亜里沙「それは…そうだと思うけど…」
雪穂「だよねぇ…」
亜里沙「でも…亜里沙は一人っ子だから分からないかなぁ」
雪穂「そっか…そうだよね。ごめん」
亜里沙「んーん」
雪穂「…」
雪穂「頑張らないと、お姉ちゃんの傍にいられないのかなぁ――…」
亜里沙「…」
雪穂「…」
亜里沙「――頑張るって決めたんでしょー?」ポン
雪穂「亜里沙…」
亜里沙「その為に雪穂は怪盗になったんだもん! だったら頑張らなきゃ!」
雪穂「…」 雪穂「…そうだよね」
雪穂「怪盗なら…一緒にいられるんだもんね…」
亜里沙「そうだよ!」
雪穂「…うん…」
亜里沙「ふふ♪ 雪穂、元気出たー?」
雪穂「…ありがとう亜里沙。落ち込んでるなんてらしくないよね」
亜里沙「うん! 雪穂はいつでもどんな時でも元気が一番だよ!」 雪穂「よーし! ちょっとグラウンド走ってくる!!」
亜里沙「え!? 今から!?」
雪穂「少しでも足鍛えないと…! 筋肉痛なんてなんのその!!」
タッタッタッタッタ…
亜里沙「あ…行っちゃった…」
亜里沙「…」
亜里沙「頑張ればお姉ちゃんの傍に辿り着ける、か」
亜里沙「幸せだね、雪穂」
……。
絵里「…」
ツバサ「…」
絵里「しつこいわね、貴方も」
ツバサ「こういう性格だからね」
絵里「…だからって、果たし状眼前に突きつけるのはやめて貰えるかしら?」
ツバサ「…」ガサ 絵里「…何故そんなに勝負に拘るの?」
ツバサ「私のプライドの問題よ」
絵里「…」
絵里「はっきり言うわよ」
絵里「ツバサ、貴方達じゃ私たちには勝てない」
ツバサ「…」
タッタッタッタッタ…
雪穂「あ、おーい! 絵里お姉ちゃーん! ごめーん遅れちゃったぁー…!」
雪穂「って…」
ツバサ「私たちA-RISE三人はね、全てを賭ける覚悟で怪盗に身を捧げているの」
ツバサ「いつまでも三人でいられるように、この大事な居場所を失われないように…戦ってきたの」
ツバサ「だからこそ、私たちは今のままで終わるわけにはいかない」
ツバサ「特にμ's…貴方達だけに負けるわけにはいかないのよ」キッ
絵里「…」
雪穂「絵里…お姉ちゃん…」
絵里「雪穂…?」
ツバサ「…」チラ
雪穂「A-RISEの…ツバサ…さん…?」
ツバサ「…お久しぶり雪穂ちゃん。前に任務で会ったとき以来ね」
雪穂「は、はい…」
ツバサ「怪盗の三箇条はもう大丈夫かしら?」
雪穂「あ、ええと、その…///」
ツバサ「ふふ…」 ツバサ「絵里さん、私は諦めないわよ。…それじゃ」クル
絵里「…」
雪穂「――あのっ!」
ツバサ「…?」
絵里「雪穂?」
雪穂「…私と、勝負して貰えませんか?」
……。
――――――
――――
――
リポーター『いぇぇえええぇぇ―――――い!! 全世界の怪盗ファンのみんなぁぁぁぁ!! はっちゃけてるかぁぁああぁぁぁーーーーい!!』
ウォーーーーー!!!
『みんなお待ちかね! エキシビジョンマッチの時間がやってきたよぉぉぉおおぉぉぉ―――――!!!』
イェーーーーー!!!
『警察と怪盗による仁義なき一対一の対決! 怪盗三箇条の絶対的ルールを無視できる唯一無二のスーパァァ、ビッグイベントォォオオォォッ!!』
『怪盗と怪盗同士が持てる全力を出し切り、ぶつかり、凌ぎ合う! 勝利すればそのまま全世界にその勇姿と名声が! 負ければ地位はお察しの通り、そしてお馴染み警察の独房行きだぁぁぁああぁぁぁ!!』
ウェェーーーーイ!!!
『怪盗の誇りと命運をかけた死闘、それがエキシビジョンマァァァァァッチ!!!』
『今宵も、開幕ぅぅぅ―――――ッ!!』
ワァァァァーーーーーー!!!
リポーター『そして今宵、対決する二組は豪華だぞぉぉ!?』
リポーター『まずはぁぁ!! その佇まいは正にクールビューティー! 幼馴染みで構成された三人は息もぴったり! 知性と美貌を兼ね備えたAランクの実力派怪盗、アラァァァァァァ――――――イズッッ!!!!!』
キャーーーー!!!
あんじゅ『かんっぜんにフルハウス…♡』
英玲奈『時は来た。…それだけよ』
ツバサ『さぁ、パーティを始めましょう♪』
ツバサァァァァァーーーー!!!
アンジュチャァァァァン!!!
エレナサマァァァァーーーーー!!!
リポーター『対するは――――…!!』
リポーター『既にその名を知らぬ者はナシ!! 老若男女、同業、あまつさえ敵方の警察ですらその美貌に虜!! そして世界にたった5人しかいないとされる幻のSランクを司る超一流怪盗南ことりと!!
高校生の身分で既に人気は姉をも凌ぐかも!? その腕前も時期Sランクと噂が耐えない妹の絵里を有するチーム、それが…ミュゥゥ―――――――ッッッズ!!』
ウォォォォオオォォォォーーーーー!!!
ことり『あはは〜♪ みんなのハート撃ち抜いちゃいますよぉ〜☆』
絵里『…』
雪穂『…っ』アセアセ
コトリチャァァァァァン!!!
コトリサマァァァァァァァァーーーー!!!
エリィィィィーーーー!!!
リポーター『μ'sがエキシビジョンマッチに参戦するのは実に数年ぶり!! 既に国内では名実共にトップにいる彼女等が対決を受ける理由が皆無! しかし、今年に入って三女の南雪穂がμ'sに加入してから状況は変わったかぁぁぁ!?』
リポーター『A-RISEも過去の復権なるか!! 積年の恨みを晴らすべく、無謀にもμ'sに挑もうとする姿は正しく勇者!! 正義は一体どちらの手にィィィィ――――!!!』
雪穂「…過去の復権…?」
ツバサ「雪穂さん」
雪穂「は、はい!」
ツバサ「…貴方のおかげで、今日、この機会を設けることができた。感謝するわ」
雪穂「い、いえ…そんな…」
雪穂「それにこれは…」
雪穂「私の為でもありますから…!」
ツバサ「…」
……。
=========================
絵里「雪穂!?」
雪穂「…っ」
ツバサ「勝負…?」
ツバサ「それはつまり、私…」
ツバサ「いえ、私たちA-RISEとエキシビジョンマッチをして貰えるって認識で…合ってるかしら?」
雪穂「はい…!」 絵里「雪穂、勝手なことは言わないでちょうだい」
ツバサ「…と、絵里さんは言ってるけれど?」
雪穂「勝手なのは分かってるけど…お願い絵里お姉ちゃん! 私、A-RISEの人たちと戦ってみたい…!」
ツバサ「…」
絵里「…何故戦ってみたいと思うの?」
雪穂「それは…」
絵里「理由もないのに対決はできないわよ」
雪穂「…」 雪穂「私は…怪盗になったばかりで、お姉ちゃん達の足手まといでしかないけれど…」
雪穂「それでも…! 私は怪盗になったから…!」
雪穂「勝って一人前になりたいの…!」
雪穂「一人前になって…お姉ちゃん達と一緒に怪盗したい…!」
絵里「…」
ツバサ「…ふふ、舐められたものね。怪盗になりたての素人同然の子が私達に勝てるとでも?」
雪穂「それは…」
ツバサ「言っておくけど、この間の私たちと同じに思わないことよ。あの時の状況とは訳が違う」
雪穂「…」 ツバサ「とはいえ…勝負を受けてくれるのはありがたいけれどね。貴方がいるとはいえ、勝負は勝負。A-RISEとμ'sの対決には違いない。労せずに勝ちを拾えるなら、それに越したことは無いわ」
雪穂「…っ」
絵里「――労せずとは、見くびられたものだわ」
ツバサ「!」
雪穂「ぇ…?」
ツバサ「…ふふ、そうね。いくら一人素人が混ざっていても、Sランク怪盗と時期Sランク怪盗の二人がいるなら話は――…」
絵里「雪穂を甘く見ないことね」
ツバサ「…」
雪穂「絵里お姉ちゃん…」 絵里「この子は私の妹なのよ? …まだまだひよっこだけどね」
雪穂「あぅ…」
絵里「けれど、何れは私達と肩を並べられるような怪盗になるはず」
絵里「だから…今から舐めていると足をすくわれるわよ?」
ツバサ「…へぇ」
ツバサ「それなら、その未来のSランク怪盗の実力…見せて貰えるのかしら?」
絵里「いいわ」
雪穂「絵里お姉ちゃん…!」 ツバサ「…その言葉に、偽りは無いわね?」
絵里「偽り…?」
絵里「…分かったわ。ことり姉さんに変わって…A-RISEの挑戦、正式にμ'sが受けさせて貰うわ」
ツバサ「…」
ツバサ「…ふふ」
ツバサ「あっはははははっ!!」
ツバサ「感謝するわ、絵里さん!! 雪穂ちゃん!!」
ツバサ「私は…私達A-RISEは…絶対に負けないわ…ッ!!」バサッ!
アハハハ…!
絵里「…派手なヤツね。もう少し静かに去れないのかしら」
雪穂「絵里お姉ちゃん…」
絵里「…さ、特訓を始めるわよ雪穂」
雪穂「へ!? ちょ…それより、いいの…?」
絵里「エキシビジョンマッチのこと? 別に、雪穂が気にすることじゃないわ」
雪穂「で、でも、ことりお姉ちゃんに何も言わなくて大丈夫…?」
絵里「それは私がなんとかする」
雪穂「なんとかって…」
絵里「――勝つんでしょ?」
雪穂「!」 絵里「ツバサに、A-RISEに…」
雪穂「…」
絵里「本気でそう思っているなら余計なことを気にしない。中途半端な気持ちで勝てるほど、生易しい相手じゃないわよ?」
雪穂「…分かったよ」
絵里「…ツバサに面と向かってあれだけ強気なことを言ってのけたんだもの、期待してるわよ」
雪穂「う、うん…!」
絵里「ふふ…。分かったら、特訓よ!」
雪穂「…はい!」
……。
=========================
ザッ
雪穂「――私は、まだまだ怪盗になったばかりだし、リポーターさんに名前を呼んでもらうことすらできません」
雪穂「けど…っ!」
雪穂「お姉ちゃん達と肩を並べられるように…! いつか、三姉妹怪盗って呼ばれる日まで…頑張るつもりです!」
雪穂「その為に、特訓も沢山しました!」
雪穂「だから…私はA-RISEに勝ちますッ!!」キッ
ツバサ「!」
絵里「…ふふ」
ことり「雪穂ちゃん…///」ハァハァ
雪穂「〜〜…!」
ツバサ「…いい表情ね。さすが、ことりさん達の血を継いでることはあるわ」
ツバサ「これは、認識を改めなければいけないわね…」
ツバサ「でもごめんなさい」バッ
ツバサ「尚更、私たちの勝ちは揺るぎなくなった――」 雪穂「…?」
ツバサ「あなたが一人前のμ'sの怪盗であるというならば、私たちは全力であなたを潰すからよ…ッ!」
雪穂「…っ!」
あんじゅ「元からそのつもりだった癖にぃ〜」
英玲奈「…覚悟するんだな」
雪穂「望むところです…!」
リポーター『…そしてそして―――!! 今宵の勝負に協力してくれる依頼者は、こちらの方々ぁぁ〜〜〜〜〜!!』
ヒデコ「怪盗さんたち…! 私ら三姉妹のお宝…」
フミコ「見事に盗むことができるかしら…?」
ミカ「勝負だよぉ〜〜〜!!!」
リポーター『依頼者の三人もまさかの三姉妹!! ヒデコ、フミコ、ミカ、通称ヒフミシスターズゥゥゥ!! 三姉妹のお宝が各屋敷に眠っているぞぉぉ!!』
オオォォォオオォーーーーー!!!
リポーター『よって今回のエキシビジョンマッチは各チームが一人ずつ別れて一対一で競う形式だぁ! これは勝敗の行方が分からなぁぁぁぁ―――――――いッッ!!!』
ことり「…へぇ〜、面白〜い♪」
絵里「三人バラバラなのね…」
雪穂「…ということは、私も一人になるの…?」
絵里「そうなるわね」
雪穂「…」
ことり「…怖い〜?」
雪穂「…怖い――…けど、大丈夫だよ!」 絵里「…」
雪穂「一人で勝てれば…それだけ一人前に近づけるってことだもんね…!」
絵里「まぁ、そうね…。だけれど、無理はしないこと。雪穂はまだまだ新米なんだから」
雪穂「絵里お姉ちゃん…」
絵里「…困ったら我武者羅にならず、とにかく肌で感じなさい」
雪穂「肌で…?」
絵里「落ち着いて、ゆっくりと、焦らずに…ね」
雪穂「…うん、分かったよ。ありがとう、絵里お姉ちゃん!」
絵里「…最悪私たち二人に任せてくれればなんとかしてみせるわ。ねぇ、ことり姉さん?」
ことり「…♪」クス 英玲奈「…"やはり"我々に不利なルールだな」
あんじゅ「一対一なんて、どう考えても二勝をμ's側に取らせやすくする為じゃなぁい…!」
ツバサ「ぼやかないのよ。…私たちがエキシビジョンマッチを持ちかけた段階で、こうなることは予測の範囲内でしょ」
あんじゅ「私たちじゃなくて、ツバサがでしょぉ〜!?」
ツバサ「今更言わないで頂戴」
英玲奈「…まぁ、世間はμ'sの勝ちを望んでいるということだからな。分かりやすい話だ」
あんじゅ「失礼しちゃうわ…!」
ツバサ「――だからこそ、私たちが勝つことに意味があるの。…違う?」
英玲奈「…その通りだな」フフ
リポーター『両チームはランダムで一人が各屋敷に潜入し、相手チームよりも早く該当のお宝を盗めば勝利となりまぁす!! そして先に二勝できたチームが、今宵のエキシビジョンマッチの勝者だぁぁぁああぁぁぁ―――――ッ!!!』
リポーター『…それでは怪盗諸君、用意はいいかぁぁぁぁ〜〜!?』
絵里「…」
ことり「☆」
雪穂「…っ!」
あんじゅ「〜〜」
英玲奈「…」
ツバサ「…♪」
リポーター『エキシビジョンマァァァッチ!! スタァァァトォォォオオォォォ―――――ッッ!!」
……。
――――――
――――
――
とりあえずここまで。長くて申し訳ない…
残りは夜にあげられたら…
【23:47】
【ヒデコ邸】
アオーーーーーン!
ヒデコ「…怪盗さんたち、来るなら早く来なさい!」
ヒデコ「私のお宝はすぐそこ、逃げも隠れもしない」
ヒデコ「ただし――…」
ヒデコ「奪えるものなら、ね♪」
……。
ことり「――よっと」スト
ことり「これがヒデコちゃんのお屋敷かぁ…以外に広ぉ〜い♪」
ことり「んー…」キョロキョロ
ことり「パッと見た感じトラップとかはそんなに多く無さそうだけど…どうかなぁ〜」
バタバタバタ…
ことり「はぁ、エキシビジョンマッチだからいつもと違って騒がしいのが難点なんだよねぇ」
ことり「絵里ちゃんったら勝手に引き受けてくるんだからぁ…」ムー ことり「…♪」フリフリ
ことり「♡」←ヘリに向かって投げキッスしてる
ことり「Sランクも楽じゃ無いよねぇ〜…」ニコ
ことり「…」
ことり「ま、雪穂ちゃんの成長で手を打ってあげるよ――…♪」
……。
あんじゅ「も〜…! いきなり見つかっちゃったじゃなぁい〜〜!!」
海未「今日の勝負は負けるわけに行きませんよぉーッ!! 警察の威信にかけて、怪盗を引っ捕らえるのです!!」
あんじゅ「これだからエキシビジョンマッチは嫌なのよぉ〜〜!!」
海未「待ちなさぁぁああぁぁぁい!!」
タッタッタッタッタ…!
ことり「わぁ〜…」ガサ
ことり「あの警部さん、ことり苦手なんだよねぇ」
ことり「どうせだったらサイドテールの子の方が良かったんだけどぉ〜☆」
ことり「違うお屋敷の方だったかなぁー…? ざんねぇん」
……。
【同時刻】
【フミコ邸】
穂乃果「くしゅんっ! …誰か穂乃果の噂してるぅー…?」
穂乃果「って、そんな訳ないかぁ〜」
穂乃果「ん〜…!」ノビー
穂乃果「はぁ〜あ、エキシビジョンマッチなんて面倒だよ〜」
穂乃果「凛ちゃんが一緒にいれば適当にサボりながらできるんだけど…」 穂乃果「あー…」
穂乃果「どうせだったらことりちゃんや絵里ちゃんがこないかなぁ〜…?」
ガサ…
雪穂「ぁ…」
穂乃果「あ」
……。
スト
ツバサ「…すんなりと屋敷に潜入できたわね」
ツバサ「警備も手薄だし、仕掛けは一体どうなってるのかしら…?」
ツバサ「…」
ツバサ「考えても仕方ない、か」
ツバサ「とにかく今は誰よりも早く、お宝を盗むのみ――…!」バッ
……。
フミコ「フフ…」
フミコ「さあおいでなさい、怪盗ども…!」
フミコ「私の屋敷に踏み込んだら最期――」
フミコ「戻ることも進むことも敵わぬ地獄に誘ってあげる…ッ!」
……。
【同時刻】
【ミカ邸】
タン!
トン!
バッ!
絵里「…先手必勝。相手が誰であろうと、お宝を先に奪うのみ」
トトトト…!
絵里「…?」チラ
絵里「この気配、英玲奈ね。…さすがよ」クス
英玲奈「く…! あのスピード、ヤツは化け物か…!」
英玲奈「だが、私とてAランク怪盗の端くれ…! タダでは負けない…!」
凛「にゃにゃ―――っ!! 多分怪盗が凛を追い抜いて行ったにゃー!! どこに行ったか分からないけど待つにゃ――――!!」 ミカ「…ふっふっふっふ!」
ミカ「いいわよ〜怪盗さんたち早く来てぇ〜!!」
ミカ「私の屋敷の無尽蔵のトラップに引っ掛かって、そして…踊り狂るって死んじゃえ!!」
……。
リポーター『さぁ―――!! 各邸宅にて既に戦いが始まってるみたいだぞぉぉ〜〜!!』
ことり『♡』
ウォォォーーーー!!
コトリチャァァァァン!!
リポーター『おーっと! μ'sの南ことりは遥か上空にいるヘリに向かって余裕の投げキッス!! これにはファンも大歓喜ィィィ!! 私にも私にもぉ〜〜〜♡』
雪穂『…』
穂乃果『…』
リポーター『そしてμ'sの三女、最年少怪盗の雪穂ちゃんは早くも警察とバッタリだぁ! やはりまだ彼女に怪盗は早かったかぁぁぁぁ!!?』
絵里『…!』
英玲奈『…ッ!!』
キャーーーーーー!!
エリサマァァァァァ!!
エレナサマァァァァ!!
リポーター『そしてこちらは目にも止まらぬ速さで屋敷を駆け抜ける絵里&英玲奈!! 果たして彼女たちを止められる者はいるのかぁぁぁああぁぁぁ―――――!?』
リポーター『さぁ今回のエキシビジョンマッチ、制限時間は特にナシ!! 勝敗の行方は、どちらのチームが先にお宝を奪えるかどうかだけだぁ―――!!』
……。
【23:52】
【ヒデコ邸】
あんじゅ「先にお宝を奪えったってぇ〜…」タタタ…!
ことり「はぁ〜い、あんじゅちゃん〜☆」タタタ…!
あんじゅ「なんで私のところに南ことりなのぉ〜〜!?」ダダダ…!
ことり「ああん〜、まってぇ〜〜〜!!」ダダダ…!
あんじゅ「待つわけないでしょぉ〜〜〜!!」ダダダ…!
海未「待ちなさぁぁぁ―――――い!!!」ドドド…!
あんじゅ「折角巻いたのに、なんでまた警察連れてきてるのよぉぉ〜〜!! あんたSランク怪盗でしょぉぉ〜〜〜!!!」
ことり「てへ☆」
……。
あんじゅ「はぁはぁ…なんとか巻いたかしらぁ〜…?」チラ
あんじゅ「…はぁー…」
あんじゅ「やっと落ち着いてお宝を探しに行けるわぁ…」
あんじゅ「追いかけっこしながら屋敷の中を見回ってはいたけど…」
あんじゅ「…」
あんじゅ「罠はあんまりないみたい…?」
あんじゅ「となると宝箱の鍵の難易度が高いと見るべきかしらぁ…♪」
あんじゅ「A-RISEの鍵開け担当と言えばこの私、あんじゅにお任せよぉ♪」
……。
海未「くっ…見失ってしまいました…。なんてことでしょう…これでは警察の恥というもの! エキシビジョンマッチなんていう大舞台で、負けるわけには行かないというのに…!」
ことり「はぁ〜…私をここまで追い詰めてれば大したもんだよぉ〜…」
ことり「あの警部さん、本当しつこいんだからぁ〜…」
ことり「でも、そう簡単に終わらせる訳には行かないんだけどぉ♪」
ことり「――だーからぁ、もう少し鬼ごっこに付き合ってねぇ☆」バッ
海未「むっ! 見つけましたよぉ――!! 観念なさぁぁぁ―――い!!」
ことり「いやぁぁぁ〜〜〜〜ん♪」タタタ…!
……。
【23:53】
【ミカ邸】
シュ!!
絵里「はっ!!」
カン!!
英玲奈「ふっ!!」
カカカカカ…!!
絵里「甘いわ…!」
英玲奈「これしきの罠…!」
トン!
タン!
カン!
ミカ「えぇ〜…弓も槍も全部避けられちゃった〜。折角作ったのにぃ〜!」
凛「あわわわ…制服が槍に引っかかっちゃったにゃ…! とんでもない館にゃ〜〜!!」
ミカ「警察捕らえても意味ないよぉ〜〜!!」
タタタタタ…!!
トトトトト…!!
絵里「…早いわね」
英玲奈「そっちこそな…!」
絵里「まさか、私の全速力に着いてこれる怪盗がことり姉さん以外にいるとは思わなかったわ」
英玲奈「それは…光栄だな…っ」
絵里「…」クス
英玲奈「…っ」クス 絵里「互角なら勝負は…」
英玲奈「時の運…っ!」
タタタタタ…!
……。
【23:55】
【フミコ邸】
雪穂「〜〜」
穂乃果「ふふ〜♪ 油断しちゃったかなぁ〜雪穂ちゃん〜」
雪穂(うぅ…まさかいきなり警察に見つかっちゃうなんて…)
雪穂(A-RISEとの対決に意気込みすぎたよぉ…)
穂乃果「いやぁ〜、やっぱりμ'sとはいえまだまだ新米だもんねぇ〜」
雪穂(…言い返せないぃ〜…)
穂乃果「まぁまぁ、独房送りとは言え新米ちゃんだったら優しくしてあげるから♪」
雪穂(な、なななにされるの…?///) 穂乃果「…ん〜…! 一仕事終えたら疲れちゃったぁ」
雪穂(一仕事…)
穂乃果「はぁ〜あ〜、退屈だなぁ〜」
雪穂「た、退屈って…A-RISEを捕まえにはいかないんですか…?」
穂乃果「えー? 雪穂ちゃん捕まえちゃったし、別に良いかなぁ〜…」
雪穂「い、良いんですか…?」
穂乃果「別にいいよいいよ〜。海未ちゃん凛ちゃんが捕まえてくれればいい訳だし〜」
雪穂「はぁ…」 穂乃果「…」
雪穂「…」チラ
雪穂(どうしよう…なんとか逃げられないかな…)
雪穂(時間…)キョロキョロ
雪穂(あ、時計塔…)チラ
雪穂(55分…結構経っちゃった…)
穂乃果「――あのさぁ」
雪穂「は、はい!?」 穂乃果「穂乃果、雪穂ちゃんと前に会ったことない?」
雪穂「へ…? 私が、ですか…?」
穂乃果「うん」
雪穂(え!? え!? ど、どういうこと…? 私がこの警察の人と…?)
穂乃果「…」
雪穂(…会ったこと…多分、無いと思うけど…)
雪穂(でも、なんでそんなこと聞いてくるんだろ…?) 雪穂「え、えっと…無いと思いますけど…」
穂乃果「…うーん、やっぱりそっかぁ」
雪穂「やっぱり…?」
穂乃果「あ、いやね、別に穂乃果も会った記憶はないんだ」
雪穂「はぁ…」
穂乃果「でも、なんていうんだろ…?」
穂乃果「警察の資料で雪穂ちゃんの写真を初めて見せて貰ったとき、なんか既視感みたいなのを感じたんだぁ」
雪穂「既視感…?」 穂乃果「なんかさ、この子とはずっと昔から一緒にいたんじゃないかっていうね…」
雪穂「…」
穂乃果「穂乃果、一人っ子だし姉妹とか全然いないから、絶対そんなことはないんだけどねぇ」
穂乃果「子供の頃、近所で遊んでいた仲良しの子って線も…さすがにないよね?」
雪穂「あ…えっと…私は、子供の頃はずっと一人でしたから…」
穂乃果「一人? お姉ちゃん達とは遊んでなかったの?」
雪穂「…ことりお姉ちゃんも、絵里お姉ちゃんも、怪盗のお仕事で忙しかったので…」
穂乃果「…そっかぁ」
雪穂「…」 穂乃果「雪穂ちゃんのお姉さん達はみんな凄い人たちだもんねぇ」
雪穂「はい…」
穂乃果「実は穂乃果もことりちゃんと絵里ちゃんのファンなんだよ〜♪」
雪穂「へ?」
穂乃果「いやぁ〜凄いよねぇ二人とも! さすが世界の大怪盗ってだけあってカッコイイもんね〜!」
雪穂「はぁ…」
穂乃果「お姉ちゃんがあんな怪盗だったら、妹はそりゃ鼻高いと思うよぉ〜!」
雪穂「…そう…ですかね…」
穂乃果「そうだよぉ! 雪穂ちゃんが羨ましいよ〜♪」
雪穂「…」
穂乃果「穂乃果なんかとは大違いだもん――…」ボソ
雪穂「え…?」 穂乃果「…雪穂ちゃんもμ'sの怪盗になったってことは、お姉さん達を目標にしてるんでしょ?」
雪穂「あ…そ、それは勿論…!」
穂乃果「ふふ…それじゃあ雪穂ちゃんもいずれはSランク怪盗になるってことだね♪」
雪穂「え、Sランクなんて、そそそそんな無理ですよ…!」
穂乃果「え〜? 無理ってことはないよー。それに…お姉ちゃん達と一緒にいたいんでしょ…?」
雪穂「ぁ…」
穂乃果「…だったら、やっぱりSランクを目指さないとでしょ♪」
雪穂「…な、なれますかね…」
穂乃果「雪穂ちゃん次第だと思うよ…?」
雪穂「…はい」
穂乃果「ふふ…♪」 穂乃果「――さて、それじゃあ私はA-RISEでも追いかけよっかな」
雪穂「あ…わ、私はどうしたら…?」
穂乃果「ん? あー、好きにしていいよ〜」
雪穂「へ!? す、好きって…独房送りなんじゃ…」
穂乃果「え、独房行きたいの? あ、穂乃果といいことするぅ〜…?///」
雪穂「い、いやいや!///」ブンブン
穂乃果「あっはは! 冗談だよぉ〜!」
雪穂「///」 穂乃果「…Sランク怪盗目指すなら、こんなとこで立ち止まってる場合じゃないでしょ?」
雪穂「ぁ…」
穂乃果「さ、今からでも遅くないよ♪ A-RISEに勝ちたかったら急げ!」
雪穂「…」
雪穂「ありがとうございます…!」ダッ!
タッタッタッタッタッ…!
穂乃果「…」 穂乃果「なーんか、やっぱり他人な気がしないんだよね〜…」
穂乃果「――穂乃果にもあんな妹がいたらなぁ」
穂乃果「って、穂乃果じゃあんな風に背中を追って貰えないかぁ」クス
穂乃果「さーってと」
……。
リポーター『さぁ〜! 10分と経たないうちに、戦況は大きく動いているぞぉぉ〜〜〜!!』
リポーター『ミカ邸では絵里&英玲奈の二人が、飛び交う罠を巧みに避けながらお宝へと近付いているぅぅ!! 任務完了は時間の問題か―――!?』
リポーター『フミコ邸の捕まってしまったμ'sの雪穂ちゃんはまた行動を開始してるぞぉ−!? 捕まえた警察は何をしているぅぅぅ!? 逃げられたなら炎上は不可避だぞぉぉぉ――――!!』
リポーター『そしてヒデコ邸ではすでに優木あんじゅがお宝の開錠に入っているぅぅ!! μ'sの南ことりはどうしたぁぁぁ!!?』
ワァァァァーーーー!!!!
……。
【23:54】
【ヒデコ邸】
カチャカチャ…
あんじゅ「ふぅ〜…錠前にトラップが4つ…随分強固だこと〜」
あんじゅ「お宝までの道程が楽な分、解錠に時間かけさせるってことよねぇ」
あんじゅ「…でも、私の腕を舐めてもらっちゃ困るわよぉ〜」クスクス あんじゅ「…♪」カチャカチャ
あんじゅ「んー…パターンはHかしらぁ〜…?」
あんじゅ「ヒデコさんの頭文字にちなんでのHかしら? 簡単すぎるわよぉ〜♪ 直情的な性格の子なのかしら? んふふ、私の好みだわぁ♡」
ヒデコ「…っ」ブル
ヒデコ「な、なんか悪寒が…」
ヒデコ「まさか、もうお宝が盗まれちゃった…?」
……。
タッタッタッタッタ…!
ことり「5分くらいは鬼ごっこしてるけどぉ〜…」
海未「ま、待ちなさぁ〜〜い〜〜…!!」ヘロヘロ
ことり「あの警部さんいつまで追いかけてくるのぉ〜!?」
海未「私は負けませんよぉ〜…! 警察の意地にかけて〜…!」フラフラ
ことり「もぉ〜…仕事熱心なんだからぁ〜…」 ことり(…宝箱の鍵のパターンはHだったから、あんじゅちゃんならそろそろ解錠できる頃合いかなぁ…?)
ことり(ん〜…うずうずしちゃうなぁ〜…♪)
ことり(でもダメダメ、雪穂ちゃんの為だもん〜…♡)
海未「捕まえますよぉぉ〜〜〜〜〜…!!」
ことり「…あの警部さんには本気で捕まっちゃいそうだなぁ」アハハ
……。
【23:57】
【ミカ邸】
タン!
ガッ!
シュッ!!
絵里「ん…お宝が見えた」
英玲奈「…っ」ハァハァ
絵里「…さすがに、ずっとは付いて来れなかったわね」
英玲奈「くっ…」ハァハァ
絵里「いえ、10分間…私に並んで来れただけでも充分ね――…」
英玲奈「…まだだ…っ!」ハァハァ 絵里「無駄よ」バッ
英玲奈「なっ…!」
ヒュッ!
英玲奈「ぐぅッ!」ガッ!
絵里「その体力じゃ罠を避けるのも難しそうね」
英玲奈「くそ…!」ハァハァ 絵里「傷薬よ。致命傷になる前に手当なさい」ポイ
英玲奈「μ'sの情けは受けん…!」パシン!
絵里「…そう」
英玲奈「…」ハァハァ
英玲奈「――私の負けだよ…」
絵里「…」
シュッ
……。
リポーター『おおーーっと!! 疲労困憊の状態を襲った罠が、英玲奈の脇腹を抉ったぁぁぁ!! これは痛ぁぁぁぁい!!!』
キャーーー!!!
エレナサマヲタスケテアゲテェェェェ!!!
リポーター『そしてその隙にお宝を悠々と手に入れる絵里!! ミカ邸の勝負はμ'sに軍配があがったぁぁぁぁぁ!!!』
カッコイイーーーーーー!!!
エリサマァァァァーーーーー!!!
……。
絵里「ヒデコの日記…? これがお宝なのかしら」
絵里「中を見るのはさすがに無粋ね…」
絵里「…ふぅ。さすがに英玲奈相手は少しキツかったわ…」
絵里「――私が罠を避けきれなかったなんてね…」クラ
絵里「…」
絵里「さて、後の二人は…。ことり姉さんが遊んでなければいいけれど」
……。
【23:58】
【ヒデコ邸】
カパ!
あんじゅ「開いたわぁ♪ ふふ…私にかかればこの位の解錠簡単よぉ〜♡」
あんじゅ「…お宝は…フミコの日記〜?」
あんじゅ「ここはヒデコちゃんのお屋敷だからぁ〜…。他人の日記なんて趣味が悪いんじゃないかしらぁ〜?」
あんじゅ「…なんて」フフ
あんじゅ「カワイイお宝だこと…♪」
トッ
あんじゅ「っ!」クル
ことり「よっ…と。あんじゅちゃん、解錠終わったぁ〜?」クス
あんじゅ「み、南ことり…! ふん! お生憎様、お宝は私が先に盗ませてもらったわよ…♪」
ことり「4分か…。うんうん上出来♪ あんじゅちゃんならパターンH位、簡単だよねぇ♪」
あんじゃ「な、なんでパターンHって…」ハッ
ことり「♪」
あんじゅ「まさか…あんた、わざと…!?」
ことり「え〜、なんのことぉ〜?」クスクス
あんじゅ「…っ」 ことり「まぁまぁ、私はなぁーんもしてないよぉ? 警察に追われてただけだもん〜☆」
ことり「あんじゅちゃんが宝箱解錠して、お宝を盗んだ――…。それが全てだよ? おめでとう〜♪」
あんじゅ「南…ことり…ッ!」キッ
ことり「それじゃことりは退散するから、後よろしくねぇ〜♪」シュッ
あんじゅ「へ…?」
バーン!!
海未「追い詰めましたよぉ…! μ's…ッ!!」
あんじゅ「っ!?」 海未「な…っ!? μ'sを追っている間に、いつのまにかお宝が…!!」
あんじゅ「け、警察…?」
海未「私としたことが…不覚…ッ!」
あんじゅ「お宝はもう盗んだから勝負は終わりでしょ〜…?」
海未「…ッ!」キッ
あんじゅ「!?」ビク
海未「いいえ! まだ終わっていません! あなたただけでも独房行きですよぉぉぉ――――ッ!!」
あんじゅ「ちょ、ちょっとぉ! そんなのルール違反よぉ〜〜〜!!!」
……。
リポーター『まさかまさかの大ドンデン返しィィィ!!! A-RISEの優木あんじゅがお宝を先に奪い、μ'sの南ことりが破れましたぁぁぁぁぁぁ!!! なんということでしょう〜〜〜ッ!! ことりちゃぁぁぁぁぁんッ!!!』
コトリチャァァァァァン!!!
アンジュチャァァァァァン!!!
リポーター『しかしかぁぁぁし!! これだからエキシビジョンマッチは面白ぉぉぉぉい!!!!』
【同時刻】
【ミカ邸】
絵里「…ことり姉さんったら。嫌がらせのつもりかしら…?」
絵里「…はぁ」
絵里「…」
絵里「なんにせよ…後は任せたわよ、雪穂――」
……。
【23:56】
【フミコ邸】
タッタッタッタッタ…!
雪穂「はぁ…はぁ…っ」
雪穂「…っ」
雪穂「えっと…」キョロキョロ
雪穂「こっち…かな?」 雪穂「急がないと…っ!」
雪穂「警察に捕まって随分時間経っちゃってるし、このままじゃ負けちゃう…!」
雪穂「お姉ちゃん達なら先に二勝してくれる気はするけど…」
雪穂「ううん、そうじゃなくて、私が勝たなくちゃ意味がないんだ…!」
タッタッタッタッタッタ…!
雪穂「外からパッと見た感じ、普通の広さのお屋敷だと思ったけど…随分広いなぁ…」ハァハァ
雪穂「でも、トラップもないし…お宝の気配もしない…」
雪穂「どういうこと…?」 雪穂「…絵里お姉ちゃんは焦らないで肌で感じろって言ってたけど…」
雪穂「むむ…」
雪穂「〜〜…わかんないーっ!」
雪穂「よく考えたら私…怪盗の技術って、まだ宝箱の解錠と足の速さぐらいしか鍛えられてないや」
雪穂「お姉ちゃん達がいればこの二つだけでもなんとかなったかもしれないけど…一人だとどうしようもないよぉ…」
雪穂「はぁ…」
タッタッタッタッタ…!
ツバサ「ん…?」トッ
雪穂「あ…」
ツバサ「…へぇ、私の相手は雪穂ちゃんだったのね」
雪穂「ツ、ツバサさん…」
ツバサ「できればことりさんや絵里さんと戦いたかったけど…これも運命というやつかしらね」
雪穂「っ…!」
ツバサ「ふふ、この勝負は私が頂いたわ…!」バサッ
雪穂「は、早い…! さすがA-RISEのリーダー…!」
雪穂「くっ…! こうしてる場合じゃないや…! 私も追いかけなくちゃ!!」グッ
雪穂「…」ピタ
雪穂「…って、随分時間経ってたはずなのに、なんてツバサさんが後ろから…?」
雪穂「んー…」
雪穂「見た目と違って広すぎる屋敷内…お宝の気配がしない空間…」
雪穂「…」
タッタッタッタッタッタ…!
雪穂「あっ…」バッ
ツバサ「…あ〜〜〜〜もう!! なんて広い屋敷なの!? お宝は一体どこよ…!」
タッタッタッタッタッタ…
雪穂「…」チラ
雪穂「…もしかして、この廊下ループしてる…?」
雪穂「どういう仕掛けになってるのぉ…?」
雪穂「…まぁなんにせよ、チャンスってことだよね――?」
リポーター『…――る絵里!! ミカ邸の勝負はμ'sに軍配があがったぁぁぁぁぁ!!!』
雪穂「…ん」
雪穂「絵里お姉ちゃん…勝ったんだ。やっぱりすごいや…!」
雪穂「…」
雪穂「外――か…」
トッ!
雪穂「うっ…寒い〜〜…!」
雪穂「〜〜」ハァ
雪穂「月が綺麗だなぁ――…」
雪穂「ん…?」チラ
バタバタバタバタ…
雪穂「あ、あのヘリで中継してるのかな…?」
雪穂「…」
雪穂「絶対勝つ…!」グッ
タッ!
トン!
……。
タッタッタッタッタッタ…!
ツバサ「はぁ…はぁ…」
ツバサ「もう…10分位は走り続けてるわよ…どうなってるの…?」
ツバサ「さっき雪穂ちゃんにも出会してしまったし…まずいわね…」
ツバサ「ああ…! このまま負けて帰ったら英玲奈になんて言われるか…!」
ツバサ「私は…勝たなければいけないのよ…っ!!」 ツバサ「…っ!」ザッ
ヒュオオオ…
ツバサ「窓が開いてる…?」
ツバサ「…」
ツバサ「この足跡は…雪穂ちゃん…ね」ツツ…
ツバサ「…ふふ」
ツバサ「まんまとしてやられたわね…!」
……。
【23:59】
タタタタタタ…!
雪穂「はぁ…はぁ…っ」
雪穂「やっぱり、外から見たらそんなに大きくない…」
雪穂「この屋敷全体がトラップみたいなものなんだ…」
雪穂「…お宝の場所を…肌で感じるんだ…!」
雪穂「…」
雪穂「お宝は――…」
ゴォーン!ゴォーン!
雪穂「――時計塔の上…!!」キッ
リポーター『まさかまさかの大ドンデン返しィィィ――…!!!』
雪穂「!?」クル
雪穂「ことりお姉ちゃんが…負けた…!?」
雪穂「そんな…」
雪穂「…っ」
雪穂「ということは…」
雪穂「わ、私が勝てるかどうかで勝負が決まるってこと――…?」ブル
ツバサ「…っ!」タタタタ…!
雪穂「っ!」
雪穂「ツバサさん…! もう来たの…!?」
雪穂「急がなくちゃ…っ!」バッ!
……。
リポーター『南ことり&絵里姉妹が二勝して終わってしまうかと思われた今宵のエキシビジョンマッチ!! まさかまさかの大番狂わせによってお互いに一勝一敗!! 勝負の行方は二人の妹の手に委ねられてしまったぁぁぁ!!』
リポーター『だがしかぁぁぁ――――しッ! 相手はAランク怪盗、A-RISEの代表取締役である綺羅ツバサ!! これは分が悪いかぁぁぁ〜〜〜〜!!?』
ウォォォォーーーーー!!!
ユキホチャァァァン!!!
ツバササマァァァァーーー!!!
リポーター『状況は南雪穂が一歩リードか!? 既にお宝の解錠に入ってるぞぉぉ〜〜〜!!! 私たちに南姉妹の実力を見せてくれぇぇぇええぇぇぇ〜〜〜〜!!!』
英玲奈「大方、トラップに引っ掛かって手間取ったというところだろうな…。ツバサのやつ、実力はある癖に…」
英玲奈「…ふ、人のこと言えたものではないな…」
あんじゅ「…なにやってるのよぉ〜! 勝ちなさいよぉツバサぁ〜〜!! 南ことりに一泡吹かせてやるんだからぁぁ〜〜!!」
海未「待ちなさぁぁぁ〜〜い…!!」
あんじゅ「あんたはいつまで追いかけてくるのよぉ〜〜〜!!」
ことり「はぁ〜…♡」
ことり「TVに向かってあんな表情ができるなんてぇ〜…///」
ことり「やっぱり雪穂ちゃんは最高の怪盗になるよぉ〜…♡」
絵里「…」
絵里「――勝て、雪穂」
……。
【00:01】
【フミコ邸・時計塔】
カチャカチャ…
雪穂「…」
雪穂「このパターンなら簡単…ことりお姉ちゃんに教わった通りにやれば1分もかからない…!」
雪穂「屋敷の罠が大掛かりな分、宝箱の鍵は簡単なんだ…」 雪穂「…1分あれば…間に合う…」
雪穂「よし――…!」
ツバサ「――お生憎様」トッ
雪穂「っ!!?」バッ
ツバサ「1分なんかあげられないわ」
雪穂「…っ!」
雪穂(な…なんて速さなの…!? 絵里お姉ちゃんと同じ位の速さ…!?)
ツバサ「屋敷内では不覚を取ってしまったけど…ここまで来てしまえばこっちのものよ」
雪穂「くっ…!」
ツバサ「――」スッ
雪穂「へ…」
ツバサ「遅い」
雪穂「あっ…宝箱が――…!?」
ツバサ「…まぁ、さすがに怪盗になったばかりの新米じゃあこんなものよね」
雪穂「…っ!」
ツバサ「悪いわね…私も、負けるわけにはいかないから――…」
雪穂(…)
雪穂(やっぱり私じゃ…勝てない…)
雪穂(お姉ちゃん…ごめんなさい――…)
ツバサ「お宝は私が頂いたわ…!」
穂乃果「警察だぁ――――――ッ!!!」バーン!
ツバサ「っ!?」
ツバサ「警察!? こんな時に…!」
穂乃果「綺羅ツバサーっ!! 独房行きだよぉ――――っ!!」
ツバサ「ちょ…! なんで私だけ…! μ'sもいるじゃない!!」
穂乃果「μ's…?」
雪穂「っ!」ビク
穂乃果「…穂乃果はμ'sファンなんだから、A-RISEを捕まえるに決まってるでしょー!!」
ツバサ「ば、バカじゃないの…!? 警察が選り好みしてるんじゃないわよ!!」
穂乃果「いいじゃんー、雪穂ちゃんも可愛いしさぁ〜♪」
雪穂「…///」 穂乃果「…と言うわけでA-RISEのツバサ確保、っと」ガシャリンコ
ツバサ「へ…」
雪穂「ぇ…」
ツバサ「えぇ〜〜〜〜〜!!!?」
穂乃果「…♪」パチ
雪穂「ぁ…!」
シュッ!
カパ
雪穂「お宝…ゲット…!」
ツバサ「く…っ!!」
穂乃果「あちゃぁ…お宝盗まれたら勝負アリだよねぇ〜」エヘヘ
リポーター『…μ'sとA-RISEと警察との三すくみでなんやかんやあった模様ですが…最期にお宝を手にしたのは…! μ'sの南雪穂だぁぁぁあああぁぁぁぁ―――――――ッッ!! おめでとうぅぅぅ〜〜〜〜〜〜!!!』
ワァァァァァーーーーーー!!!!
ユキホチャァァァァァン!!!
雪穂「…か、勝った…の…?」ヘタ
穂乃果「…ふふ、おめでとう雪穂ちゃん♪」
雪穂「ぁ…えっと…その…///」
雪穂「ありがとう…ございます…警察さん」ペコリ
穂乃果「!」 穂乃果(げ…むちゃくちゃ可愛いじゃんこの子…!///)
穂乃果(なんとなく既視感覚えてたのって、単純に一目惚れ…!?)
雪穂「…?」
穂乃果(…これからは雪穂ちゃんを推していくしか…っ!)
ツバサ「〜〜…!」
ツバサ「こんなの…認めないわよぉ――――――――ッッ!!!」
……。
ことり「キャ――――!! 雪穂ちゃんさすがだよぉ〜〜〜!!!」
ことり「これで雪穂ちゃんも一人前の怪盗だよぉ〜〜〜〜!!!」
絵里「…」クス
絵里「…今度は実力で勝ちなさいよ」
あんじゅ「ツバサのバカぁぁ〜〜〜〜〜!!!」
海未「いいかげんに観念なさぁぁぁ〜〜い…!!」
あんじゅ「観念するのはあんたよぉ! もう勝負は終わったでしょ〜〜〜〜〜!!?」
……。
雪穂「…フミコの日記、かぁ…」パラ
雪穂「…」
雪穂「…」クス
雪穂「…姉妹だもんね、本当は仲良いよね」パタン
雪穂「いいなぁ――…」
……。
リポーター『と言うわけでぇぇ〜〜!! 今宵のエキシビジョンマッチの勝者はぁ〜〜〜〜!!!』
バーン!
リポーター『μ'sだぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜っ!!!!」
ワァァァァァァ!!!!
ことり『みんなぁ〜ありがとぉ〜〜♡』
絵里『…』
雪穂『…///』ペコリ
コトリチャァァァァン!!!
エリサマァァァァァァァ!!!
ユキホチャァァァァァン!!!
リポーター『当初はμ's圧勝かと思われていた今回の対決! 南ことりの敗北によって波乱の展開を巻き起こしましたが…!
新米怪盗である南家の三女雪穂が、その実力の片鱗を見せてくれたことによって見事勝利を掴むことができました!! これならば将来はSランクも夢じゃない――――ッ!?』
リポーター『μ's三姉妹の今後の更なる活躍にご期待くださぁぁぁぁぁいッ!!!』
雪穂「μ's…三姉妹…」
絵里「どうしたの雪穂?」
雪穂「…」
雪穂「――ううん、なんでも…♪」
絵里「…?」
ツバサ「…今回は私たちの負けよ」
雪穂「ツバサさん…」
ツバサ「――でも、私たちは諦めない。μ'sに勝ち、A-RISEが頂点に立てる日が来るまで…!」
雪穂「…」
英玲奈「そうだな」ガシ
ツバサ「へ?」
あんじゅ「っていうか負けたのはツバサのせいでしょぉ〜〜…!」ガシ
英玲奈「帰って反省会だ」グイ
ツバサ「ちょっと…二人とも…! 放しなさい〜〜…!」ズルズルズル… ことり「あ〜、ツバサちゃん可哀想〜…」
絵里「ことり姉さん…あんまり恨みを買うことはしないでちょうだい」
ことり「え〜何のことぉ〜?」
絵里「全く白々しいんだから…」
ことり「♪」クス
雪穂「…絵里お姉ちゃん」
絵里「…なに?」
雪穂「ツバサさんって、何か私たち…μ'sに恨みでもあるの…?」
絵里「ん…」 雪穂「なんか…妙に目の敵にされているっていうか…」
絵里「…」チラ
ことり「…☆」
雪穂「…?」
絵里「――その昔、ね」
絵里「と言っても、数年前のことだけど…まだμ'sが無名だった頃は、A-RISEが日本でトップの怪盗チームだったのよ」
雪穂「え…」
絵里「今では世界にその名を知らぬ者はいない、なんて持て囃されてるけど…以前はそこらの怪盗チームと同じ弱小チームでしかなかったわ」
絵里「当時、A-RISEは日本にいる怪盗全ての目標と言っても過言では無かった」
雪穂「…」
絵里「けれど、ことり姉さんがSランク怪盗になったことによって、全てが一変した――…」
ことり「♪」 絵里「瞬く間にμ'sの名は知れ渡り、異例の速さで頂点を取っていたわ」
雪穂「それって…」
絵里「勿論――A-RISEをも負かして、ね」
雪穂「だから…過去の栄光って…」
絵里「…ことり姉さんの実力は本物よ。それだけは誰しもが認める現実」
絵里「それは私が一番よく知っている…」
絵里「だからこそ、あっという間に頂点の座を奪われたμ'sに…ツバサは固執しているのよ」
雪穂「…」 ことり「――別に、そんな特別なことじゃないんだけどねぇ…頂点なんて♪」
雪穂「ことりお姉ちゃん…」
ことり「結果的に頂点を取ったけれど、それは私にとっては通過点でしか無いから…」
ことり「ね、絵里ちゃん…☆」
絵里「…」
絵里「はぁ…」
ことり「あ〜、溜息はひどいんじゃな〜い?」 絵里「…雪穂、これがμ'sの怪盗になると言うことよ。分かった?」
ことり「絵里ちゃ〜ん!? 聞いてる〜!!?」
雪穂「…」クス
雪穂「…うん」
雪穂「頑張るよ…! μ'sの三姉妹怪盗として――…!!」
……。
トッ…
亜里沙「…」
亜里沙「…」クス
亜里沙「――幸せだね、雪穂は…♪」
―――――――――――――――■第二話「対決、A-RISE」終
ここまでお付き合い頂けた方はありがとうございます。
楽しんで貰えていたら幸いです。
相変わらず次の話は未定になります… 雪穂はμ’sじゃないからμ’sと名乗るならあの9人の中から3人選べよ 雪穂推しだから嬉しいぜ
なんか伏線ぽいのがちらちらしてるから3話も頼む 本筋に影響しそうなのは亜里沙と希の依頼なんかな
地味に穂乃果の伏線が回収されてないのが気になるけど ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています