曜「教えて鞠莉ちゃん先生!」
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部室
曜「うーん…」
ガラッ
鞠莉「シャイニー!あら、曜」
曜「あ、鞠莉ちゃん!ヨーソロー!」
鞠莉「一人で難しい顔して、どうしたの?」 曜「実は、ちょっとわからないことがあって」
鞠莉「まあ、どんなこと?」
曜「靴下についてなんだけど」
鞠莉「靴下?」
曜「靴下って『靴の下』って名前の割には、靴の中に履くものでしょ?なんか変だなーって思って」
鞠莉「ああ、そのことね」 曜「その反応…鞠莉ちゃん、靴下を靴下って言う理由を知ってるの?」
鞠莉「一応ね」
曜「すごい!教えて鞠莉ちゃん!いや、鞠莉ちゃん先生!」
鞠莉「鞠莉ちゃん先生…ふふっ、いいでしょう」
鞠莉「全生徒、全職員の先生である、このマリーが曜の疑問にお答えするわ!」
曜「やったぁ!お願いします、先生!」 鞠莉「まっかせなさーい!…と、言いたいところだけど」
鞠莉「すぐに答えを言っちゃうのもあれだし、まずは考えるヒントをあげましょーう」
曜「ヒント、どんな?」
鞠莉「それはね…うりょっ!」バッ
わしっ
曜「…!?」
鞠莉「んー!曜ったら、また少し成長したわね」ワシワシ
曜「ま、鞠莉ちゃん!?んあっ!」
鞠莉「ふふっ。この感触、この反応。やはりエクセレントね」ワシワシワシ 曜「やっ、やめてよぉ!」バッ
鞠莉「あら、良いところだったのに」
曜「ちっともよくないって!いきなり何するの!」
鞠莉「だからヒントよ」
曜「今のどこがヒントなの!?」
鞠莉「曜、今日はちゃんと下着を着けているみたいね」
曜「当たり前でしょ!いつだって着けてるよ!?」 鞠莉「ところで曜。下着って、下半身だけに着用するものだっけ?」
曜「えっ?いや、そんなことはないと思うけど…あっ」ハッ
鞠莉「気付いたみたいね。上半身に着けても、下着と呼ぶ…靴下とちょっと似てない?」
曜「た、確かに!」
鞠莉「つまりね。ここで言う『下』って言うのは、単純な上下のことを指すのではなくて、肌に近いかどうかを表しているの」
鞠莉「上着は衣服の上に着るもので、地肌には着ないでしょ?」
曜「なるほど…逆に、下着を服の上には着ないね!」
鞠莉「靴下も同じ理由よ。肌に接するものだから、靴下と言うわけ」
曜「へぇー!そういうことだったんだ!」 鞠莉「疑問は解決したかしら?」
曜「うん、バッチリだよ!さすが鞠莉ちゃん、なんでも知ってるんだね!」
鞠莉「なんでもってわけじゃないけど、これでも理事長ですからね。わからないことがあったら質問して。私でよければ、できる限り教えるわ」
曜「ありがとう、鞠莉ちゃん先生!」
鞠莉「いえいえ♪」
鞠莉(鞠莉ちゃん先生…ふふ、悪くない響きね)ニコ ……………………………………
鞠莉「今日も練習、お疲れ様」
曜「お疲れ様!あ、ねぇ鞠莉ちゃん。昆布が海の中でダシが出ないのはどうしてなの?」
鞠莉「唐突ね。それに、どこかで聞いたことあるわね、そのフレーズ」
曜「前に流行ったよね。今になって気になり始めちゃってさ」
鞠莉「なるほどね。じゃあ、お答えしましょう」
曜「先生、お願いします!」 鞠莉「昆布が海の中で出汁が出ない理由。それは、昆布が生きているからよ」
曜「生きているから?」
鞠莉「そう。出汁の旨味成分であるグルタミン酸は、昆布の体細胞の中にあるの」
曜「グルタミン酸、家庭科で習ったね!」
鞠莉「細胞が細胞壁で守られていることも、理科で習ったでしょ?」
曜「うん。植物にしかない、硬い壁のことだよね」
鞠莉「そのとおりよ。昆布は収穫された後、乾燥処理を経て製品化されるわ」
鞠莉「乾燥させて保存性を高めるとともに、細胞壁を壊して、旨味成分が出やすくなるように加工しているってわけね」
曜「へぇ、なるほど!」 鞠莉「ここまで話せばわかったわよね。今の話とは逆に、昆布が海にいるとき。つまり生きているときは――」
曜「細胞壁が壊れていないから、出汁は出ないってわけだね!」
鞠莉「エグザクトリー!」
曜「やった!へへ、昆布の謎が解けたよー!」
鞠莉「最近の曜は、いろんなことに関心があるみたいね」
曜「そういうお年頃ですから!」
鞠莉「ふふっ、そうですねえ」クスクス 曜「あ、ずっと昆布のこと考えてたから、なんだか無性におでんが食べたくなってきた!」
鞠莉「おでんかぁ。コンビニでもおでんが始まってたわね」
曜「寒くなってきたしね。ああ、どうしよう。居ても立ってもいられないよー!」
鞠莉「行く?」
曜「うん、行こう!すぐ準備するね!」ガタッ
鞠莉「そんなに慌てなくても、おでんは逃げないよ?」
曜「油断はできないよ。私たち以外にも、昆布のことで頭がいっぱいの人が買いに行くかもしれないし!」ゴソゴソ
鞠莉「んー…滅多にいないと思うけど、そんな人」
曜「よし、準備できたよ!ではコンビニに向かって全速前進、ヨーソローっ!」 ……………………………………
曜「うーん」
鞠莉「また何かお悩みなの?」
曜「ちょっとね。これなんだけどさ」スッ
鞠莉「付箋のこと?」
曜「うん。付箋ってペタって貼れるのに」ペタ
曜「跡も残らず綺麗に剥がせて」ペラ
曜「しかもまた貼ることが出来ちゃうのは、どうしてなのかなって」ペタ 鞠莉「それはね、接着剤に秘密があるのよ」
曜「接着剤…なるほど。貼り直しが出来る、便利な接着剤を開発したからってわけだね!」
鞠莉「半分は正解ね」
曜「あれ、どういうこと?」
鞠莉「実はね、付箋に使われている接着剤は、強力な接着剤を開発する過程で生まれた『失敗作』だと言われているの」
曜「ええっ、そんな!貼っても剥がせる接着剤なんて、大発明でしょ?」 鞠莉「結果的にはそうなるんだけどね。でも、貼っても剥がせるということは、接着力が極めて弱いということよね」
曜「うん」
鞠莉「これ、強力な接着剤を作ろうと頑張ってきた、メーカーや研究者の立場からすればどうかしら?」
曜「あ…そっか。確かに、がっかりしちゃうよね」
鞠莉「苦労を重ねて作り上げた試作品は、プロジェクトのゴールとは正反対の言わば失敗作…研究者にとっては大きな挫折といってもいいわ」
曜「失敗、挫折…」 鞠莉「けど、この話が興味深いのはここからよ」
曜「えっ?」
鞠莉「メーカーの研究者の一人が、接着力の弱さ故に貼り直しが可能な特性に着目して、他の商品に応用することを考えたの」
鞠莉「その結果が、この貼っても剥がせる付箋というわけね」
曜「へぇ〜。発想の転換、ってやつ?」
鞠莉「そうね。失敗をただの失敗と思わず、別の視点から新たなブレイクスルーに活用する。付箋は私たちに、その大切さを教えてくれているの」
曜「諦めないことと、視点を変えること。それが大事なんだね!」
鞠莉「私たちも、頑張りましょうね」
曜「うん!」 ……………………………………
曜「むー…」
ガラッ
鞠莉「チャオ!あら、ひとりで何してるの?」
曜「あ、鞠莉ちゃん!」
鞠莉「それ、トランプ?」
曜「うん。備品の中から見つけてねー」
鞠莉「昼間からトランプとにらめっこなんてどうしたの?占いか、七並べの練習?」
曜「ちょっと気になることがあって。ちょうどいいところに来てくれたよ!」
鞠莉「まあ、なにかしら」 曜「トランプの絵柄についてなんだ。4種類の絵柄があるけど、よくよく考えてみると、意味も知らないままずっと遊んでたんだなーって」
鞠莉「ああ、スートのことね」
曜「これ、スートって言うんだ!鞠莉ちゃん、前にトランプの絵柄にはそれぞれ意味があるって言ってたよね」
鞠莉『スペース、ハート、ダイヤ、クラブ…これって全部意味があるんですって。知ってた?』
鞠莉「言ったわね。なるほど、ちょうどいいって言うのは、そういうことね?」
曜「えへへ、そういうことです。鞠莉ちゃんが来たら、教えてもらえるかなーって思ってたんだ」 鞠莉「待ってる間に、ネットかなにかで調べれば良かったのに」
曜「それじゃつまんないもん」
鞠莉「ふふ、欲張りさんね」
曜「そう言うわけで、今日も教えてください、鞠莉ちゃん先生!」
鞠莉「良いでしょう。ただ、私もそこまで詳しくないわよ?」
曜「私より詳しいのは間違いないもん、お願いします!」
鞠莉「あらあら、前向きですこと」クスッ 鞠莉「じゃあ説明するわね。スペードは剣、クラブは棍棒、ダイヤはお金を表しているの。ハートについては、説明は要らないわよね」
曜「へぇ、クラブって棍棒のことだったんだ!」
鞠莉「あまり馴染みがあるものではないわね」
曜「ゲームで見るくらいだよね。剣に棍棒かぁ…なんか物騒だね」
鞠莉「そうなった由来も諸説あるみたいね。加えて、時代や地域に合わせて、絵柄の入れ替えや新しい意味づけがされてきたそうよ」
鞠莉「長い歴史の中で、様々な変遷を遂げた結果が、今のトランプの絵柄というわけね」
曜「なるほど…勉強になったよ!」 鞠莉「ところで、曜。マリーがトランプの話をした時、どんな衣装を着ていたか覚えてる?」
曜「ハートの女王だよね。すごく似合ってた!」
鞠莉「それはどうも♪さっきは説明を省いちゃったけどね、ハートは見てのとおり、愛や幸せを象徴しているの」
曜「ってことは、その女王である鞠莉ちゃんは」
鞠莉「そう、愛の化身!曜にもラブとハッピーをお届けしちゃうわ!」ハグッ
曜「わあっ!こ、ここ部室だからー!」 ……………………………………
曜「うーん」ブクブク
鞠莉「曜?水中で悩んじゃって、どうかしたの?」
曜「いや、なんで水の中でも息ができるのかなって」ブクブク
鞠莉「多分さっき飲んだ熱いお茶のせいデース!」
曜「そっか、そうだよね!」
鞠莉「ふふっ、お悩み解決したところで、今日も元気よくいきましょう!シャイニー!」
曜「ヨーソロー!」
曜「…夢か」 ……………………………………
曜「そう言えばさ」
鞠莉「ん?」
曜「熱いものを手で触った時、耳たぶを触るのはどうしてなの?」
鞠莉「ああ、こういうやつ?」さわさわ
曜「いや、なんで私の耳たぶでやるの?」
鞠莉「いきなり話題にあげるくらいだから、触ってほしいのかなって」くにくに
曜「ひゃっ、ちょっとぉ!」 鞠莉「んふふー。ほっぺただけじゃなくて、ここの触り心地もなかなか…」ふにふに
曜「も、もうっ」パッ
鞠莉「あーあ、いいところだったのに」
曜「よくないの」
鞠莉「え、そうなの?」
曜「ま、まぁ…」
鞠莉「ふふっ、素直じゃないね」 曜「そ、そんなことより!耳を触るのは、なんでなのかなぁ?」
鞠莉「軌道修正が下手ねえ。いいわ、お教えしましょう」
曜「えへへっ、お願いします!」
鞠莉「熱いものを触った時、耳たぶを触る理由だけど」
曜「うん」
鞠莉「一般的に言われるのは『耳たぶが、一番冷たい部位だから』ってことね」
曜「一番冷たい…耳たぶが?」 鞠莉「寒がりの曜ならわかると思うけど、冬の寒さが厳しい日に、耳たぶが冷え切って痛くなっちゃったことはない?」
曜「あるある!冬は耳あてが欠かせないよ」
鞠莉「それだけ耳たぶは気温の影響を受けやすく、逆に言えば体温が通いにくいということなの」
曜「なるほど!耳たぶを触るのは、熱いものを触った指先を冷やすためってわけだね」
鞠莉「だからと言って、それがどれだけ効果があるかは疑問ね」
鞠莉「いくら他より体温が低いと言っても、体は体。冷却や鎮痛まで求めるのは無理があるわ」
鞠莉「火傷した時には、氷水でしっかりと冷やすのが原則よ。覚えておいてね」
曜「うん!ありがとう、鞠莉ちゃん先生!」 鞠莉「どういたしまして。さ、今日の授業料をもらおうかな」ふにっ
曜「わっ、また…んんっ…」
鞠莉「んー、いい感触。やっぱり曜って癒し系よね」さわさわ
曜「人の耳触りながら、何言って…んっ!」
鞠莉「ふふっ。マリーが良いって言うまで、動いちゃダメよ?」
曜「そんなぁ…ひゃっ!」
鞠莉「しーっ。人が聞いたら誤解しちゃうわ」
曜「なら、少しは遠慮して…んんっ」
鞠莉(じっと我慢してくれてる…かわいい)
曜「ま、鞠莉ちゃぁん…」ナミダメ ……………………………………
鞠莉の部屋、夜
鞠莉「わっ…」トサ
曜「鞠莉ちゃん…」スッ
鞠莉「ん…」
曜「…っ!」
曜(手の震えが、止まらない…!)
鞠莉「…?」
曜「う、ぅ…」
曜(ダメだ、視界までぐるぐるしてきた…大事なときなのに…)
鞠莉「…」
曜(これじゃ…こんなじゃ、私…!)ウルウル 鞠莉「曜」スッ
曜「わ、私――」
ぐるんっ
曜「わあっ!?」ポスッ
鞠莉「ふふっ♪捕まえた」ギュー
曜「ま、鞠莉ちゃん…!?」
鞠莉「曜ったら頑張っちゃって。そんなに緊張して戸惑わなくてもいいんだよ?誰にだって初めてはあるんだから」
曜「あ…で、でもっ」 鞠莉「ふふっ。いつもみたいに、手取り足取り教えてあげたいところだけど」
鞠莉「おあいにく様、私も初めてなの」
曜「あ…」
鞠莉「だから――」チュッ
曜「!」
鞠莉「だから、ゆっくりでいいの。二人で一緒に、進んでいこう。ね?」
曜「…うんっ!」 鞠莉「曜…好きだよ」
曜「私も、鞠莉ちゃん…」
終わり 全弾撃ち尽くしました。豆知識ようまりでした。
↓は前に書いたものです。よろしければ併せてお願いします。
曜「微笑みは、あの日と同じあかね色」
http://fate.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1536440623/
ありがとうございました。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています