【SS】子羊を狂わすルビィちゃん【よしルビ】
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今、ヨハネはルビィと放課後の教室で先生に勉強を教えてもらっていた。
というのも私は最初の方、学校に通ってない時期があったから、皆と少し出遅れてるのよね。
なんとなくで理解してる部分もあるけど、ちゃんと教えてもらった訳じゃないから自信がない。
そんな事をうっかり口にしちゃったのが全ての始まりで……
それが先生の耳に入っちゃって、こんな事になっちゃったってわけよ。
まぁ、こういう場を設けてくれるのはありがたいっちゃありがたいんだけど、
こういった扱いを受けるのは結構苦手。
でも、私一人じゃないのがせめてもの救いかしらね。
マンツーマンでこんな事されたら、また来なくなってたかも知れないわ。
なんて、そんな笑えない冗談を思いつつ隣に目をやる。
隣にいる子は、綺麗な赤毛をした女の子。
黒澤ルビィ。
なんでこの子も私と一緒に復習を受けてるのかは知らないけど、この場に私だけじゃないのは精神的にかなり楽だった。
私だけだったらこんな風に余所見する隙すらないものね。
ルビィは今、一生懸命先生の話を頷きながら聞いてる。
それは先生が黒板に目をやっている時でも同様で、どうやら真面目アピールをしてるわけでもないみたい。 「ねぇ?あの後、どうしたの?」
「えっとね、善子ちゃんを寝かしつけて、しばらく安静にしてたら元気になってくれたの」
「ふーん」
花丸ちゃんが更に近くに寄ってくる。
「そしたらこんなに仲良くなったんだ?」
それは何か、含みがある言い方で……
こういうのを悪寒っていうのかな?
それが首の後ろを走っていく。
でも、そんな様子は表には出さないで平静を装った。
「うん、そうだよ」
「そっか、よかったねルビィちゃん」
「うん」
「でも、それだけ?」
花丸ちゃんがルビィの髪を軽くかき上げて耳元に顔を近付けてくる。
「……な、なに?」
「ねぇ、ルビィちゃん」
そんな囁きと共に感じたのは耳たぶへの強い痛みで……
「マルの事捨てたら許さないから……」
そう耳元で囁き直して、花丸ちゃんは少し先を歩いてる善子ちゃんの方へと駆けて行った。 ルビィは思わずそこで立ち尽くしちゃったけど、これは報いの一部だからショックなんて受けてる場合じゃなくて、
そもそもこれはルビィが悪い事だから当然の報いなんだってすかさず思うようにした。
「なにしてんのよルビィ?」
「ずらぁ?」
とりあえず今は平静を装わないといけないから、笑って2人の後をついていく。
でも、2人の間にはスペースがなくて……
それはルビィが2人と並んで歩くにはどちらかの隣に行かないといけない事を意味してたの。
別に少し後ろを歩けば良いとも思ったけど、2人はそれを許さないみたいにルビィの名前を呼んでくる。
それはまるで、どちらかを選べって言ってるみたいで、
また血の気が引いてきちゃった。
でも……
「えへへ、いーれて」
その行為を上手くやったとは思わないけど、
今はそれしか思いつかなかったから2人の間に無理矢理入り込む。
顔は怖くて見てないけど、きっと2人共面白くなさそうな顔をしたと思う。
もしかしたら2人とも笑ってるかもしれないけど……
見る勇気がないから、これは一生の謎だね。
お姉ちゃんならもっと上手くやったのかな?
そもそもお姉ちゃんならこんなことにならなかったのかな?
どこで自分が間違えちゃったのかわからないけど、
今はこうして仲良し3人組でいる事しか出来ないから、ルビィはそれを演じることにしたの。
花丸ちゃんの本で記されてた通りに……
いつか罪の報酬がもたらせられるその日まで、
じっと待つことを選んだの。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています