鞠莉「曜ってさ」曜「うん」
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鞠莉「曜ってさ」
曜「うん」
鞠莉「水泳部も掛け持ちしてるんでしょ」
曜「そうだよ!というか、そっちが本業だったんだけどね」
鞠莉「評判は聞いてるわ、全国レベルの選手だって。その実力、スクールアイドルでも頼りにさせてもらうわね」
曜「あはは、期待に添えるといいけど。鞠莉さんは――」
鞠莉「ノー!」
曜「えっ?」
鞠莉「その言い方、やり直しを要求しマース」 曜「あ、うん。えっと…期待に応えられるように頑張って――」
鞠莉「そういうことじゃないの」
曜「ええっ」
鞠莉「わからない?さっきのセリフ、もう一回言ってみて」
曜「期待に添えると…」
鞠莉「その後よ」
曜「その後?ええっと、鞠莉さん…」
鞠莉「そこ、そこよ!」
曜「…まり、さん?」
鞠莉「イェス!」 曜「もしかして呼び方?」
鞠莉「イェース!」
曜「あ、あー。やっとわかったよ。ごめんね、私ったら」
鞠莉「わかってもらえた?」
曜「鞠莉さん、が良くなかったんだよね。なら、鞠莉先輩とか、小原理事長とか」
鞠莉「だから、そうじゃなーい!」
曜「ええっ、じゃあ一体何のことなの!?」
鞠莉「もうっ。ファーストコンタクトのとき、私なんて言ったっけ?」
曜「初対面の時?確か…カレー牛丼みたいなもの?」
鞠莉「どうしてそれが出てくるのよっ!」 曜「だって、いきなりヘリで登場して、理事長室に連れて行かれたかと思えば、出て来た言葉が――」
鞠莉『生徒兼理事長!カレー牛丼みたいなものね!』
曜「どうしたって印象に残るじゃん。残るよね?」
鞠莉「むうぅ、インパクトの置き所を間違えちゃったかしら…」
曜(…しかも、ハーフの美人さんだしね)ジー
鞠莉「?」
曜「あ、なんでもないよ」 鞠莉「なら、もう一度言い直すわね。気軽にマリーって呼んでほしいの!」
曜「えー」
鞠莉「むっ。なによ、その反応」
曜「マリーだと、なんだか呼び捨てにしてるみたいで」
鞠莉「ニックネームだからノープロブレム!それに私は曜のこと、曜って呼んでるじゃない」
曜「そこはほら、私の方が年下だし。私のことは好きに呼んでもらっていいんだけど、私からっていうのはちょっと」
鞠莉「…そんなに抵抗ある?」
曜「そういうわけじゃないんだけど、んー…」
鞠莉(むぅ…下級生メンバーの中でいちばん社交的だと思ったこの子でもこのリアクション)
鞠莉(この調子だと、他のみんなと打ち解けるのも、すぐにというわけにはいかなそうね) 曜「じゃあさ。鞠莉ちゃん、はどうかな」
鞠莉「鞠莉、ちゃん」
曜「うん!私だけ突然マリーって呼び始めたら、周りもきっとびっくりしちゃうから。特に果南ちゃんとダイヤさんあたりが」
鞠莉「なおさら楽しそうじゃない」
曜「あはは、そういう事言わないの。ね、どう?」
鞠莉「ん…」
鞠莉(鞠莉ちゃん…なんだかくすぐったい響きだけど、悪くない)
鞠莉「そうね。これから仲良くなろうっていうのに、呼び方を無理強いするのはおかしいものね」
曜「じゃあ、決まりだね!」
鞠莉「ええ。改めまして、よろしくね、曜」
曜「こちらこそ、鞠莉ちゃん!」 ……………………………………
鞠莉「曜ってさ」
曜「うん」
鞠莉「裁縫だけじゃなく、料理も得意なのね」
曜「得意ってほどでもないよー」
鞠莉「いいえ、あの手際と完成度は大したものよ。マリーの見立てでは、相当の修行を積んでるわね」
曜「あはは、褒めすぎだって。家でお手伝いするくらいだよ」
鞠莉「なら、曜のご両親に感謝ね。あのカレー、とってもデリシャスだったわ」
曜「へへ、そう言ってもらえると嬉しいな!」ニコッ 鞠莉「歌やダンスに水泳、さらには衣装作りや料理までこなすマルチな活躍」
鞠莉「曜ってなんでも出来て、本当に多才よね」
曜「…!」ビク
曜「そ、そうかな。鞠莉ちゃんほどじゃないよ」
鞠莉「いいえ。実際、曜が居なかったら立ち回らなかったわ」
鞠莉「海の家も、私たちAqoursもね」
曜「あはは、そんなことないってば」
鞠莉「複雑に考えないの。色んなことが出来るって、素晴らしいことなんだから。ね?」
曜「…うんっ!ありがとう!」ニコ…
鞠莉「ん」ニコッ
曜(色んなことが出来る、か…)
鞠莉「…?」 ……………………………………
某日、びゅうお
曜「私、全然そんなことないんだけど、なんか要領いいって思われてることが多くて…」
曜「だから、そういう子と一緒にって、やりにくいのかなあって…」
鞠莉(…あの表情は、そういう意味だったんだ)
鞠莉(なんでもこなせるポテンシャルの高さが、本人にとっては負い目になってしまう)
鞠莉(人には言えないわね。真っ直ぐすぎる子だから、なおさら)
鞠莉(でも、話してくれた。なら、私も――)スッ
鞠莉「ていっ!」チョップ
曜「いたっ、んっ」ムギュ
鞠莉「なに一人で勝手に決めつけてるんですか?」
鞠莉(私も、私の言葉で――) ……………………………………
鞠莉「曜ってさ」
曜「うん」
鞠莉「一年生チームと仲は良い?」
曜「んー?仲が良いかって言われるとどうかなぁ。そうだといいけど」
鞠莉「すっかり馴染んでると思うわ。部室でも話が弾んでるみたいだし」
曜「まぁね。善子ちゃんとはバス仲間だし、ルビィちゃんとは衣装仲間」
曜「花丸ちゃんとはみかんスイーツ仲間だし、みんな本当に可愛いよね!」
鞠莉「ふむ、なるほどね」
曜「なになに、どしたの?」 鞠莉「実はね、Aqoursを結成して日が経つけど、まだまだ学年の壁が厚いような気がしてて」
曜「あー、わかる」
鞠莉「曜もそう思う?」
曜「学年ごとにまとまりすぎてる感じはしてたよ。良くも悪くもさ」
鞠莉「ふむふむ」
曜「仲が悪いわけじゃないんだけど、お互い気を使っちゃってるっていうか」
曜「なんていうか、勿体無いよね」
鞠莉「我が意を得たり、ね」
曜「わがい?」
鞠莉「同じこと考えてたってこと」
曜「なるほど、我が意か。あはは」 鞠莉「ブレイクスルーが必要だって、わかってはいるんだけどね。んー…」
曜「こんなこと言うのもあれだけどさ。鞠莉ちゃんもオープンなようで、実はちょっと人見知りだよね」
鞠莉「あ、バレた?」
曜「接し方を見てるとね」
鞠莉「むぅ、不覚デース」
曜「あははっ。でも、なんで私にその話を?」 鞠莉「曜が下級生とすっかり打ち解けてるから、っていうのはさっき話したとおりだけど。上級生である私たちとも、距離を作らず付き合ってくれてるから」
鞠莉「私を初めにちゃん付けで呼んで
くれたのも、曜だったし」
曜「そうだったねー」
鞠莉「付け加えるなら、グループ全体のことを見渡して、色々と気を配りながら動いてくれてる」
鞠莉「部活経験者だからかしらね。流石だわ」
曜「えへへ、そうかな?」テレテレ
鞠莉「ね、どうしたら下級生ともっと仲良くなれると思う?」
曜「うーん。もっとありのままで良いと思うよ、私もあんまり意識してないし」
鞠莉「ありのまま。ふぅむ…」
曜「そうそう、鞠莉ちゃんらしくが一番だよ。みんな素直だから、きっと応えてくれるって!」 鞠莉「私らしく、か。いつかとは立場が逆になったわね」
曜「これでも日々成長中であります!」
鞠莉「頼もしいわ。曜に相談してよかった」
曜「お役に立てばなにより、ってね!そういうわけで、鞠莉ちゃんもなるべく自然体でね。私も見守ってるから」
鞠莉「ありがとう、お願いよ?」
曜「任せてよ!じゃあ、また明日ね!」
鞠莉「ええ、またね」 ……………………………………
曜(その後、合同での曲作りやライブを通じて、私たちは絆をさらに強くすることができた)
鞠莉「おかげさまで上手く行ったわ。曜のアドバイスどおり「私らしく」を実践できたかどうかは、自信ないけどね?」クスッ
曜(アドバイス、私の…)
鞠莉『そんなの当たり前でしょ!』
鞠莉『学校説明会は、中止になるの…』
鞠莉『千歌っち、ごめんね。てへぺろ』
曜(鞠莉ちゃんらしく、か…) ……………………………………
鞠莉「曜ってさ」
曜「うん」
鞠莉「コーヒーは好き?」
曜「コーヒー?」
鞠莉「そう、コーヒー」
曜「んー、自分じゃ頼まないかな。苦いのはあんまり得意じゃなくって」
鞠莉「匂いは大丈夫?」
曜「うん、匂いは好きだよ」
鞠莉「ん、そっか」
曜「なになに、その反応気になるよ」 鞠莉「別に、大したことじゃないの。ただ…」
曜「ただ?」
鞠莉「ただ、私がコーヒーをよく飲むから。曜にイヤな思いをさせてなかったかなって」
曜「おおっ」
鞠莉「…なによ、その顔」
曜「鞠莉ちゃんも意外と乙女でありますなぁ」ニマニマ
鞠莉「う…って、意外とはなによ、意外とは!」ほっぺむぎゅー
曜「ひょめんひょめん、ひゃわいいってひょろらおー(ごめんごめん、可愛いってことだよー)」むにむに
鞠莉「なら、素直にそう言いなさいっ」パッ
曜「はいはい、鞠莉ちゃんは可愛いよ」ほっぺサスサス
鞠莉「もう…」
曜「あははっ」 ……………………………………
鞠莉「曜ってさ」
曜「うん」
鞠莉「いいバイトとか、知ってたりしない?」
曜「バイト?あ、ダイヤさんのこと?」
鞠莉「そうそう。なんだか妙に張り切ってるから、なんだか妙に空回りしちゃって。やれやれだよ、ホント」
曜「でも、そういうところがまた可愛い、でしょ?」
鞠莉「当然デース!」
曜「ふふっ。そうだなー、前にお世話になったバイト先にあたってみるよ」
鞠莉「助かるわ。よろしくね」 曜「逆に聞いちゃうけど、鞠莉ちゃんのホテルとかはどうなの?」
鞠莉「別に構わないんだけど、知っているだけにお互い気を使ってしまうかなって」
曜「なるほどね」
鞠莉「それに、階段をずらーっと滑り降りられたり、客室に閉じこもっちゃっても困るし」クスッ
曜「あはは、なにそれ」
花丸「っくしゅ!」
ルビィ「わ、大丈夫?」
善子「季節の変わり目なんだから、気をつけなさいよ」
花丸「うん、ありがとう…?」 ……………………………………
みとシー、バイト終了後
鞠莉「お疲れ様。色々あったけど、大成功だったわね」
曜「マネージャーさんも褒めてくれてたよ、みんなよく頑張ってたって!」
鞠莉「それもこれも、曜が色々と立ち回ってくれたおかげよ。ありがとうね」ナデナデ
曜「えへへっ」
鞠莉「ところでさ。バイト中、気になってたことがあるんだけど」
曜「お、なになに?」
鞠莉「曜が入ってた、うちっちーよ」
曜「うちっちー?」 鞠莉「途中から顔をオープンにしてたでしょ。マスコットキャラ的にあれはオーケーなの?」
曜「ああ、あの場面ではうちっちー本人じゃなく、あくまで『うちっちーの格好をしたスタッフ』って役回りだったから」
鞠莉「つまり、衣装みたいな扱いってこと?」
曜「そうそう。中の人が丸出しじゃ、子どもたちの楽しい気分を壊しちゃうからねー」
鞠莉「夢を守るのも大事な仕事ってわけね」
曜「お客様に楽しんでいただいてこそのテーマパークですから!」
鞠莉「ふふっ、なかなかのプロフェッショナルですこと」 鞠莉「プロといえば、ダイヤも流石だったわ。一瞬であの混乱した状況を収めちゃうなんて」
曜「ダイヤさん、いきいきとしてたね。いや、ダイヤちゃん、かな?」
鞠莉「ん、そうね」ニコ
曜「ね、ね。鞠莉ちゃんはダイヤちゃんって呼んだことあるの?」
鞠莉「そりゃあるわよ。小さい頃はね」
曜「そっかー、だよねぇ」
鞠莉「羨ましい?」
曜「へ?」 鞠莉「なんか、羨ましそうだったから」
曜「そ、そんなことは」
鞠莉「お望みなら、曜のこと、ちゃん付けで呼んであげましょうか?」
曜「えっ」
鞠莉「こほん。曜ちゃん♪」
曜「おお」
鞠莉「ふふ、どう?」
曜「ちょっとムズムズする」
鞠莉「あら、失敗?」
曜「うーん…呼ばれてみると、案外しっくりこなかったっていうか」
鞠莉「実を言うと、私もそう思ってたの」
曜「あ、やっぱり?」
鞠莉「なんだか、ね」 曜「ならさ。この際だから、もう一つ、試してみようか」
鞠莉「そうね、お願い」
曜「いくよ。あ、でも緊張するな…お疲れ様、マリー♪」
鞠莉「おお」
曜「どうだった?」
鞠莉「悪くないけど…違うわね」
曜「だよねぇ」
鞠莉「きっと、お互い今の呼び方が気に入ってるのね」
曜「そうそう。私たちらしい呼び方ってことだよね!」
鞠莉「そうね、曜」
曜「うん、鞠莉ちゃん!」
鞠莉「ふふっ♪」
曜「あははっ♪」 ……………………………………
旧浦の星女学院高校、体育館
鞠莉「曜ってさ」
曜「うん」
鞠莉「スクールアイドル、楽しかった?」
曜「ええっ、今になってそれ聞く?」
鞠莉「確認よ、確認」
曜「しなくたってわかるでしょ。楽しくなきゃ、こんな風に集まったりしないって」
曜「浦の星の制服を着て、学校の体育館に、なんてね。鞠莉ちゃんもそうでしょ?」
鞠莉「そうだけどさ。曜の顔を見たら、言葉で聞きたくなっちゃったの」
曜「あらら。意外と乙女でいらっしゃって」ニシシ
鞠莉「だから、『意外と』は余計デース」ペシッ
曜「あたっ」 鞠莉「それで、どうなの?」
曜「それはもちろん、最高に楽しかったよ!」ニコッ
鞠莉「ふふっ、シャイニー笑顔ね。はるばる帰ってきた甲斐があったわ」
曜「…イタリア、遠いよね」
鞠莉「寂しくなったら連絡して。世界中のどこからだって駆け付けるわ」
曜「本当に?」
鞠莉「イェス!電話一本で海の彼方から貴方の元へ!どう、良い話でしょ?」
曜「んー…でも遠慮しとくよ。飛行機代とか移動時間が凄いことになっちゃいそうだから」
鞠莉「ふーん?」ニマニマ
曜「な、なに?」
鞠莉「今の発言。本当はたくさん帰って来てほしいって気持ちの裏返し?」
曜「…千歌ちゃん、そろそろかなー」
鞠莉「相変わらず嘘が下手ね、この正直者。うりうり」むにむに
曜「んむぅ」むぎゅむぎゅ 鞠莉「ふふ。この柔らかさとも、しばらくお別れかな」
曜「うん…」
鞠莉「…ならさ。曜のほっぺたの感触を確かめたくなったら、帰って来ることにする」
曜「!」
鞠莉「だから、他の人には触らせちゃだめよ?曜のここは――」スッ
鞠莉「私の特権なんだから」
曜「あ…」ドキッ
鞠莉「ね?」
曜「…しょうがないなぁ。大事にキープしておくよ。気まぐれさんがいつ帰って来てもいいように、ね」ギュ
鞠莉「ふふっ♪」
曜「えへへっ♪」 ダイヤ「お二人とも。千歌さんが来たみたいですわ」
果南「役者は揃ったってね。最後の大仕掛け、始めるよ」
曜「いよいよだね」
鞠莉「ええ。さあ、全速前進でシャイニーしましょう!」
曜「うんっ!」
終わり 全弾撃ち尽くしました。お互いに一目置いてる先輩後輩なようまりでした。
遅くなりましたが鞠莉ちゃん誕生日おめでとうございます。
↓は前に書いたものです。よろしければ併せてお願いします。
曜「鞠莉ちゃん家にお泊まり」
http://fate.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1528582668/
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