凛「凛がことりちゃんと一緒にモデルさんに!?」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
ことり「お世話になってるデザイナーさんからお願いされたの。それで、見せてもらったお洋服、凛ちゃんにぴったりだなぁって。ほら、これ!」
凛「わっ! そんな可愛い服、凛には似合わないよ!」
ことり「ぜったいにぴったりだよぉ! 一回着てみようよぉ!」
凛「で、でも、凛は……」
ことり「今、部室に誰もいないの! ほら、一緒に行こう!」
凛「ちょ、ちょっと……! 分かった! 分かったからぁ〜!」
……………………
………………
…………
…… ことり「どうかな? あけてもいい?」
凛「うぅ……」
ことり「ん? りんちゃ……」ガチャ
凛「あっ! そ、その、一応着てみたけど、やっぱり、凛にはとても……」
ことり「や〜ん!!! かわいいっ〜!!!」
凛「にゃっ!?」 ことり「丈もぴったり! 思ったとおりだよぉ!」サワサワ
凛「くすぐったいにゃあ!」
ことり「このお洋服、ラナンキュラスっていうお花をイメージして作ったんだって! パッと明るくて、かわいくて、魅力的で、凛ちゃんにぴったりだと思ったんだぁ!」
凛「そ、そうなの?」
ことり「うん! お花の妖精さんみたいで、とってもかわいいよぉ!」
凛「あはは……」 ことり「どうかなぁ? 一緒にやってみない?」
凛「……」
ことり「凛ちゃん?」
凛「そのっ、ちょっと考えてもいいかな?」
ことり「もちろん! あ、でも今週中には教えて欲しいな」
凛「う、うん」
……………………
………………
…………
…… 週末 ―凛の部屋―
凛「はぁ、もう金曜日なのに今日も言えなかったよ……」
凛「少し前までスカートだって履けなかった凛がモデルさんなんて、そんなの無理に決まってるよ」
凛「…………」
凛(だったらはやく断ればいいだけなのに、どうして凛はそうしないの?)
凛(もう明日は土曜日だし、断るなら少しでも早いほうがいいはず。だけど……)
ブブブブブ
凛「わっ!? ……ことりちゃんだ」 凛「もしもし?」
ことり『凛ちゃん? 急にごめんねぇ。いま、だいじょうぶ?』
凛「うん」
ことり『よかったぁ! あのね、この前の話なんだけど……』
凛「そ、そのことなんだけど、その、やっぱり凛には無理かなぁって」
ことり『え?』
凛「ほら、凛、ずーっとじっとしてるのとかできそうにないし」
ことり『……』 凛「返事が遅くなっちゃってごめんね! ほら、かよちんとかどうかにゃ? きっとすっごくかわい……」
ことり『凛ちゃん、あしたって空いてるかな?」
凛「へ? あした?」
ことり『もしよかったら、……ことりとデートしませんか?』
……………………
………………
…………
…… 翌日 ―待ち合わせ場所―
ことり「凛ちゃん! 待たせちゃった?」
凛「ううん、凛も今来たとこだよ」
ことり「じゃあ、どこか入ろっか。近くに行きつけのお店があるの。そこでいいかな?」
凛「うん!」 凛「こんなおしゃれなところに入ったのはじめてだよ……、大丈夫かな?」
ことり「大丈夫だよぉ! ほら、ケーキもあるの! ここのチーズケーキが美味しいの! 一緒に取りに行こっ!」
凛「わかったにゃ!」 凛「ふわぁ〜……! おいしいにゃ〜……!」
ことり「でしょっ! ここのチーズケーキ、何層にも分かれてていろんな味が楽しめるの!」
凛「ことりちゃんのチーズケーキ、表面が光ってるみたい」
ことり「これはね、表面がキャラメリゼされてるの! はい、ひとくちどうぞ!」
凛「あーん、んむんむ……、ん! 香ばしくて甘くてこっちもおいしいにゃ!」
ことり「えへへ、ことりのお気に入りなの!」
凛「やっぱり我慢できない! もう一つ取りに行ってくるにゃ〜!」タタタッ
ことり「あっ! 走っちゃダメだよぉ!」 凛「ふぅ、おいしかったー! 今度かよちんにも教えてあげよっと!」
ことり「よかったぁ」
凛「…………」
ことり「凛ちゃん? だいじょうぶ?」
凛「……あの、今日、凛を誘ったのってさ、この前のことだよね?」
ことり「……!」
凛「その、やっぱり、凛の返事が遅かったから……」
ことり「ちがうの!」 ことり「凛ちゃんが嫌だっていうなら、それでもいいの。凛ちゃんに着てほしいっていうのは、ことりのわがままだから」
凛「だったら、どうして?」
ことり「その、勘違いだったらごめんね? ことりには、凛ちゃんが迷ってるように見えたから」
凛「……!」
ことり「もし、やってみたいっていう気持ちが少しでも凛ちゃんの中にあるなら、それを押し込めちゃうのはもったいないなって思ったの」
凛「…………」
ことり「どうかな?」 凛「ちょっと前まではね、凛、こんなこと思ったこともなかったんだ」
凛「でもね、かよちんとみんなのおかげで、その、女の子らしいこと、とか、色々やってみて、それが楽しくなってきて」
ことり「うん」
凛「それでね、モデルさんとかもやってみたいって思ったの。……ちょっとだけだけどね」
ことり「うん」
凛「でも、少し怖くて」
ことり「こわい?」 凛「モデルさんって、お洋服とか、帽子とか、アクセサリーとか、そういうものの魅力を伝えるお仕事でしょ?」
凛「だったら、凛なんかよりももっと似合う人がした方がいいんじゃないかって思って」
凛「……でも、やってみたいって気持ちも消えなくて」
凛「えへへ、わがままだよね、こんなの。少し前まではスカートだって着れなかったのに」
ことり「そんなことないよ」
凛「え?」 ことり「凛ちゃんはおかしくない。わたしだって怖いよ」
凛「ことりちゃんが?」
ことり「このお洋服、好きだけど似合うかな、とか、他の人ならこの衣装のデザインもっとよくできるかな、とか、そんなことばっかり考えてるもん」
凛「…………」
ことり「でも、それでもやめられないの。凛ちゃんがわがままなら、ことりもわがままになっちゃう」
凛「違うよ! ことりちゃんは凛と違って女の子らし……」
ことり「違わないよ! ことりも凛ちゃんもおんなじ女の子だよ!」
凛「ことりちゃん……」 ことり「……あー、あー、ごほん! 凛ちゃん!」
凛「は、はい!?」
ことり「凛ちゃんはとってもかわいくて、女の子らしい女の子です! ほんの少しだけ女の子として先輩のことりが保証します!」
凛「!」
ことり「ことりのこと、信じられませんか?」
凛「……そんな聞き方、ずるいにゃ」
ことり「えへへっ」
凛「分かった! 凛、やってみる! ことりちゃんと一緒にモデルさんやってみる!」
ことり「うん! よろしくね、凛ちゃん!」 ことり「まだお昼過ぎだね。凛ちゃんは行きたいところある?」
凛「うん! お礼に凛の行きつけの店を紹介するにゃ!」
ことり「ほんと!? やったぁ!」
凛「この先にあるラーメン三郎っていうところなんだけどね! こってりしたスープがとっても美味しいの!」
ことり「……へ?」
凛「注文の仕方も凛が教えてあげるから心配しなくていいよ!」
ことり「ま、まって、気持ちは嬉しいけど、ことりはそういうのは……」
凛「ぜったいにおいしいよ! 凛を信用するにゃ! ほら、はやくいっくにゃあ!」
ことり「え、えぇ〜!? だ、だれかたすけてぇ〜! ほのかちゃ〜ん! うみちゃ〜ん!」
おわり ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています