真姫「切符を一枚」
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真姫「.....ん?」パチッ
真姫「........」キョロキョロ
真姫「....ここは、電車?なんで?夢?」
「ここはとうじょうせんよ」
真姫「とうじょうせん?東武の?」
「違うわ、とうじょうせんよ」
真姫「は?」
「乗り換えをされますか?」 真姫「いや...いきなり目が覚めたら電車の中だし、意味がわからないわよ」
「貴方は今、人生の分岐路に立ってるのよ」
真姫「分岐路?」
「そう、人生の」
真姫「...私の人生とこの東上線が何の関係があるのよ!」
「関係あるわよ、貴方もこのとうじょうせんも」
真姫「はぁ...そうね!どうせ、これは夢なんだから!考えても無駄ね!」
「貴方がこれを夢と思うか、現実だと思うかは関係ないわ」
真姫「っ......」 真姫「じゃあ!なんなのよ!さっきから貴方が言ってることが理解できないんだけど!」
「これを見ればわかるわ」スッ
希「........」
真姫「の、希?なんで....そっか、夢なんだから出てきてもおかしくはないか....」
希「........」
真姫「しかもなんか透けてるし...幻覚?」
「...喧嘩したのよね?その彼女と」
真姫「!?」
「そして今、別れようとしている、違う?」
真姫「.....だったらなんなのよ」
「だから私がいるのよ」
真姫「は?」 「私はこのとうじょうせんの運転手、そして乗客は貴方」
真姫「貴方、運転手だったのね」
「格好がまんま運転手の格好じゃない、わからないの?」
真姫「そんな深く帽子を被って顔もろくに見えない格好してたらまともな運転手だとは思わないわよ!」
「これは失礼、これが私のスタイルでね」
真姫「失礼なスタイルね」
「貴方もそんなことを言える立場なの?」
真姫「どういう意味よ」
「...........」 希「..........」
「ねぇ、彼女、なんか悲しそうな顔をしてない?」
真姫「....そうかしら?」
「喧嘩をしたんでしょ?それで別れ話まで発展してしまった」
真姫「だったらなんなのよ」
「このままでいいの?」
真姫「貴方には関係ないでしょ!!」
「関係あるわ」
真姫「なんでよ!!」
「ここは彼女の精神世界みたいものなのよ」
真姫「なによ、それ....」 「なんでこの電車が止まってるか、わかる?」
真姫「知らないわよ、そんなこと」
「彼女は今、迷っている、行先を、答えを」
真姫「.......」
「貴方も迷っているんじゃないの?」
真姫「なにが?」
「喧嘩をしたことを...ヒートアップして思ってないことを言ってしまったこととか....別れ話を言ってしまったこととか」
真姫「っ......」
「貴方が答えを出せばこの電車は進むわ、行先はわからないけどね」 真姫「答えって....」
「そうすればこの電車も動く、彼女自身も前に進むことができるわ」
真姫「そんなことをしなくても決まってるわ」
「決まってる?」
真姫「私達は遅かれ早かれこういう状況にはなっていたのよ」
「それはどういう意味かしら?」
真姫「夢の中で言っても仕方ないけど、私こう見えても意外と多忙だったりしたのよ、まぁ、今は落ち着いたけどね、今更ね....」
「多忙?」
真姫「そうよ、色々やらなくてはいけないことがあってね...希を放っておいてしまったのよ」
「それは彼女もわかっていたことなんじゃないの?貴方がそういう状態にあるってことを」
真姫「それはそうかもしれないけど、限度を超えてしまったのよ」 「貴方の彼女って意外と貴方のことを理解してないのね」
真姫「...は?」
「貴方が忙しいっていうなら、黙って支えてあげるべきなんじゃないの?」
真姫「貴方に希の何がわかるのよ」
「その彼女と喧嘩して別れることになっている貴方には言われたくないわ」
真姫「!そ、それは....」
「そんな器量のない彼女なんて別れて正解よ、さっさと別れてこの電車を動かしてよ」
真姫「希のことを悪くいうのは、やめなさい」
「だって忙しくて疲れてる貴方にわがままを言う彼女なんて邪魔でしょ?」
真姫「っ!!この!!」グッ
「....襟をつかまないでくれますか?」
真姫「希のことを悪く...言わないで!」 「解せないわね、だって彼女にわがままって言ったのは貴方でしょ?」
真姫「!!」
「そう言って喧嘩になったんじゃない、違う?」
真姫「っ.......」
「貴方は自分で言ったのに、私は言っちゃダメなの?」
真姫「それは....」
「...離して」バッ!
真姫「!」
「ふぅ...さっさと楽になったらどう?」
真姫「......」
「私も早く違う乗客を乗せるなりなんなりして、早く進みたいんだけど」 真姫「他の乗客?」
「そりゃあ、貴方と彼女が別れれば違う人間が乗るわよ」
真姫「それって」
「まぁ、彼女の恋人候補とかかしら?もちろんこの世界のことは認識しないと思うけどね」
「乗っている乗客がこうやってこの空間に来て、こうして私と喋ることなんてそうそうないしね」
真姫「......」
「その人と終点までいったりしてね」
真姫「っ......」
「なんでそんな嫌そうな顔をするのよ」
真姫「そうかしら?」
「未練...あるんじゃない?」 真姫「私にはそんな資格無いから」
「資格があるとかないじゃないわ、貴方が彼女がどうしたいかが重要なのよ」
真姫「.....」
「だからこの電車は止まってるのよ」
真姫「でも...」
「でもじゃないわ、まだ間に合うわ、だから止まってるの」
真姫「.......」
「人生っていうのはね...電車みたいに、トラブルが起きて止まったり、予定通りに進まなかったり、乗り換えだってできたりもするわ」
「そして駅があって...どこの駅で降りるかは、どこが終点かは貴方次第、でも線路のように色んな道を選ぶこともできるわ、それが人生よ」
真姫「ふふ、なによ...それ」
「車掌さんからのありがたーいお言葉よ」 ガタ!ガタ!!
真姫「!」
「あら、どうやら動きがあったようね」
真姫「え!それって...」
「安心しなさい、彼女は行先をまだ変えてないわ」
真姫「変えてない?....あれ?体が?」スッー
「元の世界の彼女が呼んでるのよ、貴方を...頑張るのよ?」
真姫「...そうね」
「いってらっしゃい、私」スッ
真姫「え!?私?」
「もう来るんじゃないわよ!!」 真姫「〜♪」
花陽「真姫ちゃん、今日は機嫌がいいね」
真姫「そうかしら?」
凛「凛、知ってるよ、希ちゃんと仲直りしたからだよ」
真姫「な!なんで貴方が知ってるのよ!」
凛「真姫ちゃんと喧嘩した時、希ちゃんがどこにいたと思う?」
真姫「そういうことね...」
凛「リリホワの絆は固いにゃ!」
真姫「ありがとね...」
凛「え?」
真姫「なんでもないわ」 凛「それで今度、旅行に行くんだって?」
真姫「え、それって今朝言ったばかりなんだけど...」
凛「希ちゃんから嬉しそうなLINEが来てたから」
真姫「お喋りなんだから...もう...」
花陽「旅行ってどこにいくの?」
真姫「まだ決まってないわ、でも電車で行こうかと思ってるわ」
凛「新幹線とかじゃなくて?」
真姫「ゆっくり二人で行くのもたまにはいいでしょ?」 真姫「荷物は持った?」
希「持ったよー?でも切符なんてなんでまた?Suicaのがよくない?」
真姫「気分よ、気分、旅行って感じがするでしょ?」
希「まぁ、そうかもしれないけど」
真姫「だからこうしてこんな降りたこともない駅に降りたんじゃない」
希「冒険みたいやね」
真姫「人生は冒険よ?希」
希「ふふ...なにそれー?変な真姫ちゃん」クスクス
真姫「ふふふ...」 真姫「ここは券売機がないのね」
希「レトロな駅やね」
真姫「あそこの窓口で買うのね」
希「あ、待ってよ!真姫ちゃん」
真姫「切符を2枚ください...えっと、行先は....」
おしまい これでおしまいです
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