穂乃果「海未ちゃん、時間反転演算子はどうして反ユニタリ・反線形演算子で定義されるの?」
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海未「はぁ〜……穂乃果、貴女ちゃんと授業を聞いていたのですか?」
穂乃果「えへへ…途中から寝ちゃって…」
海未「もう…高校の頃から全然変わりませんね…」
穂乃果「だってぇ〜、先生ったら穂乃果が理解できないまま話し進めちゃうんだもん!」
海未「手を挙げて質問すればいいのでは?」
穂乃果「質問を考えてる間にもバンバン進んじゃって質問しようがないよ!」
海未「まぁ、その点は同意ですが…」 海未「まず、物理法則はどの座標系から見ても同じ形になってほしい、という考えが根本にあります」
海未「今の話で言えば、まず例えばΨ(x,t)という波動関数がシュレディンガー方程式を満たすとしますね」
穂乃果「うん」
海未「シュレディンガー方程式が時間反転に対して不変な形になってほしい、つまり時間反転Tを施した波動関数Ψ'(x,t')=TΨ(x,t)もまた、シュレディンガー方程式を満たしてほしいんです」
海未「つまり、そうなるように時間反転演算子の性質を定義してやる必要があるんです」
穂乃果「うんうん!…ていうか海未ちゃん、穂乃果そこまで馬鹿じゃないよ!」
海未「順を追って説明しているんですから黙って聞いてください!」
穂乃果「…はい」 海未「では、まず古典論での時間反転t→-tを考えてみましょう」
海未「穂乃果、古典論において、位置と運動量を時間反転するとどうなりますか?」
穂乃果「確かこうだよね?」
t→-t
で
x → TxT^{-1} = x
p → TpT^{-1} = -p
海未「そうですね。時間反転は『運動の反転』を意味するので、運動量のみが反転するのでした」 海未「ついでに、何故こうなるか、せつめいできますか?」
穂乃果「う〜ん、忘れちゃった…」
海未「おやおや…まぁそこは今度復習しておいて下さいね」
海未「簡単に言えば、時間反転とはビデオテープの逆回し(t→-t)に例えられます。右に進んでいる車の映像を逆回しすれば、位置関係はそのままで(x→x)、逆向きに等速で(p→-p)動き出しますね」
穂乃果「ほーほー!」
海未「この辺りについての議論は、J.J.サクライ先生の『現代の量子力学 2巻』の時間反転の章で分かりやすく簡潔に載っているので、オススメですよ」
穂乃果「後で図書館で探してみよーっと」
海未「とにかく、この時間反転の要請を量子力学においても、演算子となったx、pに対して流用します」 海未「で、どうして量子論では時間反転Tが反ユニタリ・反線形で定義されるか、という話ですね」
穂乃果「うんうん」
海未「ではとりあえず、時間反転演算子Tは反ユニタリ・反線形であると仮定します。つまり」
a,bを任意の複素ベクトル、c1,c2を複素定数、(,)を内積として、
(Ta,Tb)=(a,b)^(*) =(b,a) (反ユニタリ)
T(c1a+c2a)=c1^(*)a + c2^(*)b (反線形)
穂乃果「この仮定の下、上手く妥当な結論を導ければ、この仮定が正しいことになるんだね」
海未「そうです」 海未「では、シュレディンガー方程式を書きます」
ih∂tΨ = HΨ
海未(hはバーがないですが、エイチバーのつもりでお願いします)
海未「先ほど定義した時間反転演算子Tを両辺に左から掛けます」
T(ih∂tΨ) =THΨ
-ih∂tTΨ = THΨ (Tが反線形であることに注意)
海未「tを変換後のt' = -tで書き換えましょう」
ih∂t' TΨ = THΨ
海未「そして、T^{-1}T=1 をHとΨの間にねじ込みます」
ih∂t' TΨ = THT^{-1} TΨ
穂乃果「出た、常套テクニック!穂乃果これ好き〜」
海未「ふふっ、何か裏技みたいな感じがして楽しいですよね」
海未「Ψ'(x,t')=TΨ(x,t) を代入して、THT^{-1}もH'と書いておきましょうか」
ih∂t'Ψ' = H'Ψ'
穂乃果「お、らしい形になってきた!」 海未「さて、ここでTHT^{-1}というものが出てきましたが、穂乃果、これはなんですか?」
穂乃果「時間反転の変換を受けたハミルトニアン?」
海未「そうですね。ではハミルトニアンは時間反転によってどのような変換を受けているかみてみましょう」
海未「穂乃果、ハミルトニアンの表式を書いて」
穂乃果「ハミルトニアン?こういうこと?」
H=p^{2}/2m + V(x)
海未「そうです」
海未「いま、ポテンシャルは時間依存しないとします」
海未「Hの変換を見るために、xとpの変換を代入します」 H=p^{2}/2m + V(x)
海未「ここでp→-pになったところで、運動エネルギー項p^2/2mは不変です。xはもとより不変ですから、ポテンシャルV(x)も不変」
H → H' = (-p)^{2}/2m + V(x)
= p^{2}/2m + V(x) = H
海未「よってハミルトニアンも不変で」
H → H'=THT^{-1} = H
海未「ということです。したがって」
ih∂t'Ψ' = THT^{-1} Ψ'
は
ih∂t'Ψ' = HΨ' 海未「では、元の式と変形した式を比べて見ましょう」
元のシュレディンガー方程式
ih∂tΨ = HΨ
上を変形した式
ih∂t'Ψ' = HΨ'
穂乃果「…ハミルトニアンHの形が変わっていないということは式全体の形が変わっていないってことだから…ΨがTの変換を受けたΨ'も、シュレディンガー方程式を満たしているってこと?」
海未「ええ、ですからシュレディンガー方程式は時間反転について対称な式になっているということです
海未「これは正に『時間反転の下に物理法則が不変である』という我々の要求を満たしていることに他なりません」 海未「では、もしTが反ユニタリ・反線形でなくユニタリ・線形だったらどうでしょう?」
穂乃果「複素数にTをかけた時に*が付かないんだよね?」
海未「そうです。つまり先ほどの計算で、シュレディンガー方程式の左辺のiの符号が反転せず」
T(ih∂tΨ) =THΨ
+ih∂tTΨ = THΨ
海未「先ほどと同様に計算を進めると」
-ih∂t'Ψ' = HΨ'
穂乃果「マイナスがついてる…」
海未「ええ。マイナスのせいでシュレディンガー方程式ではなくなってしまっています」
海未「ですからシュレディンガー方程式が形を変えないためには、反ユニタリ・反線形である必要があるわけです」
穂乃果「なるほど…」
海未「ね、簡単だったでしょう?」 じゃあこれで、
時間反転Tを施した波動関数Ψ'(x,t')=TΨ(x,t)もまた、シュレディンガー方程式を満たすことがわかったので、
問題はここからだな
時間反転演算子に仮定した反ユニタリと、反線形の証明 穂乃果「…でもさ、海未ちゃん」
海未「はい?」
穂乃果「それを満たしたいなら、反線形でありさえすればいいんじゃないの?」
海未「…?」
穂乃果「だって、iの符号が反転してほしいだけなら、反線形の必要があっても、反ユニタリじゃなくてユニタリでもいいんじゃないの?」
海未「あ、あぁ……」
穂乃果「海未ちゃん、反ユニタリ・反線形って言ってるけど、今の議論ではユニタリか反ユニタリとかいう話は出てこないよね?」
海未(あ、確かに…)
穂乃果「そこら辺はどうなの?」
海未「…う〜ん…すぐにはよく分からないです…」
穂乃果「そっかぁ〜…」
海未(そういえばそこら辺の議論は見落としてましたね…それなのに得意げに語ってしまって、馬鹿みたいで恥ずかしいです…///)
海未(穂乃果にちゃんと説明出来ないのが悔しいです…) 穂乃果「じゃあさ、これから図書館に行って一緒にそのJ.J.サクライさんの本で調べてみようよ」
海未「でも、それでは午後に予約していた映画に遅れてしまいますよ?また今度でいいのでは?」
穂乃果「でも、このままじゃ気持ち悪いもん…。映画に集中出来ないよ」
海未「でも、調べるのに5分やそこらで済む保証はないですし…」
穂乃果「う〜ん、じゃあ借りるだけ借りて映画が終わってから喫茶店にでも寄ってやろうよ」
海未「…ええ、それならいいですが…」
穂乃果「よしっ!」
海未(…穂乃果がここまで勉強に意欲を見せているのは初めてです…)
海未(というか穂乃果って、結構こういう細かいところを気にする性質なんですね…。いえ…これは私が気にしなさすぎなだけですかね…反省ですね…)
穂乃果「じゃあ早く図書館行こう、海未ちゃん!映画に間に合わなくなっちゃうよ!」タッタッタッタッ
海未「あ、待ってください!」
海未(穂乃果とは案外良い勉強仲間になれそうですね…♪)
おわり まぁいいほのうみだということだけは分かったちゅん
乙 描写されてないけど横でひたすら>>18みたいな顔して座ってた人がいたらしい 穂乃果「あんこを食べ続けたことによってここ三ヶ月で私の血糖値はこのように変化しているんだよ」グラフ
穂乃果「つまり、あんこ以外のおやつが必要と言うわけ。お分かりかな?」
意識高い系穂乃果ちゃんイラッとくるな 何故毎回こういうスレで絵里は理解できてない側にされるのか >>2
>海未「まず、物理法則はどの座標系から見ても同じ形になってほしい、という考えが根本にあります」
これがよくわからないんだよなぁ。
「対称性があると美しい」とか「物理法則が対称性を持っているといいな」というのはまぁわかるが、
「物理法則は対称性を持っているはずだ」という自信はどこから来るのだろう? 対称性というより必然性客観性の話では?
落下するボールを上から眺めても下から眺めても、
そのボールに係る物理法則は変わらない
そもそも物理法則そのものが観測者に寄らない普遍的なものという定義を内包してるから、
対称的であってほしいとなるのは当然だと思うが
最も量子力学の世界ではそうとも限らないわけだが よくわからんからスレタイだけ読んで書き込んでる奴は俺以外にもいるはず >>30
その方が可愛いから仕方ない
公式設定と逆にするのはもはや様式美 >>34
なるほどねぇ
昔NHKスペシャルの「神の数式」って番組で、素粒子の標準理論の発展についてやってたんだけど、
なんで物理法則の数式が対称性を持たなければならないのか、素人の俺には理解できんかったわ
自発的対称性の破れなんかも、
「数式は対称性を持っているのに現実世界は対称性を持たないって、それ数式が間違っているだけじゃね?」
って思ってたわ 理系「こんなん理系なら中学生レベルやで」
文系「恋愛経験は?」
理系「中学生レベルやで……」 >>37
自発的対称性の破れ、知らなかったから今ググって見たけど、
これは物理法則(基本方程式)では対称的として表せるが、それが現実は対称性を持たない、というか
対称性が破られるものの、あくまで別の対称性を持った基底状態に移るっていう話なのではないんですか? わかった!完全に理解した!
穂乃果ちゃんはとってもかわいいってことですね! >>35
この手のスレは外野の面白さで成り立っているからな >>42
物理屋さんにとっては、理論的な裏付けの無い経験式がバンバン出てくる工学の本にびっくりするとか 早稲田文学部卒だけど1mmもわからん
やっぱ私大文系ってクソだな 電電だが波動関数と波動方程式は違うの?
1つも言葉が入ってこなかったわ 理系でもシェイクスピア位は読むべきだし文系でも熱力学第二法則位知るべきとか誰か言ってたな あるまとめサイトのとこで瞬間コメ数トップになったね
内容はあれだけどw 波動関数Ψの私の二乗は事情によりけり猫ちゃんだって存在してるんだからさ
理系様この歌詞の解説求む 文系としては>>1と>>22だけ理解してほのうみだったという事で終わる事にした ことり「へーそうなんだぁ、それでね明日の夜なんだけど合コン行こっ♪」 >>59
波動関数の二乗は存在確率を表している
一方、猫が差しているのはシュレディンガーの猫で、
これは量子論を皮肉るような例え話なんだが
閉じられた箱の中に確率的に作動する毒ガス装置と、猫が入っていて
猫は観測されるまで生きてもいるし死んでもいる状態にある
つまり、私(波動関数)の二乗=私の存在や自我
は事情(世の中の様々なこと)であやふやだけど、
シュレディンガーの猫は確かに存在しているように
私も存在していたいという心の叫びを謳っていると言える ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています