ルビィ「善子ちゃん、起きて」善子「んぅ……?」
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善子「なに……なんなのよ…」パチ
ルビィ「あっ、起きた」
善子「…ぁ……ルビィ……?」
ルビィ「うん、そうだよ」
善子「……あぁ、そう……」
善子「…………って」
善子「なんであんたがここにいるのよ!!?」バッ ルビィ「まあまあ落ち着いて善子ちゃん」
善子「落ち着けるか!」
ルビィ「大丈夫だよ、ルビィは今…善子ちゃんの家にいるわけじゃないから」
善子「…は? なに言ってるのよあんた、ここが私の家じゃなかったら何処だって言うわけ」
ルビィ「ここはね、夢の中」
善子「はあ? 夢?」 ルビィ「うん、現実じゃなくて……ううん、そのもっと先かな」
善子「よく分からないんだけど…」
ルビィ「分からなくていいんだよ」
善子「はあ……」
善子「えーっとつまり、このわけのわからないやり取りもそういう夢を見てるからってことでいいのね?」 ルビィ「そう、だからルビィはここにいるの」
善子「ふーん……」
善子(なんかやたらと詳しいし、私の意識もはっきりしてるけど…まあ夢の中ではよくあることよね)
善子「それで? ルビィは一体何しに来たのよ?」
ルビィ「…うーん、そうだねぇ……」 ルビィ「善子ちゃんを起こしに…かなぁ」
善子「え、それだけ?」
ルビィ「うん、それだけ」
善子「でもここ夢の中じゃない」
ルビィ「クスッ、そうだね」
ルビィ「でも大丈夫、そろそろだから」
善子「???」 ルビィ「それと目が覚めたら、ちゃんとルビィもいなくなってるから安心してね」
善子「いや…ルビィちょっと待って、もう少し説明……」
ルビィ「それじゃあ善子ちゃん、バイバイ…」
善子「待ってってば!……」
……
… ─
善子「…………ん」
善子「…ここは、私の部屋ね……」
チュンチュン
善子「ということは夢からは覚めたってわけね、ルビィもいないし」ヨイショ
ヨシコーゴハンヨー
善子「…はーい」トテトテ 善子母「おはよう善子」
善子「ん、おはよう」
善子「…あれ、またパンなのね?」
善子母「…? 何言ってるの、昨日はご飯とお味噌汁だったじゃない」
善子「え? ……あれ?」
善子(そうだったっけ?) ─
善子「それじゃあ、いってきます」ガチャ
善子母「いってらっしゃい」フリフリ
善子「さてと、今日は確か…朝練はなかったわよね」スタスタ
(あるよ)
善子「え? そうだったかしら? なら少し急がないと…」タッ
(そうだね、遅れちゃうかも) 善子「…………」タッタッタ
善子「………」タッタッ…
善子「……」ピタッ
善子「なに今の!?」
(どうしたの善子ちゃん)
善子「ほらまた!」バッ
(あぁービックリするよね)
善子「いやあんたのせいなんだけど!」 (あっ、そうだねごめんね)
善子「ごめんねじゃないわよもう……」
善子「え……っていうかその声…ルビィ?」
(うん、そうだよ)
善子「…なに、あんたテレパシーでも使えるようになったの?」
(んー、そういうわけじゃないんだけど)
善子「じゃあ何なのよ…気味が悪いんだけど」 善子「それに、大体これだと私が一人で勝手にぶつぶつ言ってるみたいで変な目で見られちゃうじゃない」
(別に直接口に出さなくても、念じれば大丈夫だよ)
善子「いやいや念じるって……超能力者じゃないんだから…」
ヨシコチャーン!
善子「ん?」 ルビィ「善子ちゃんおはよう!」
花丸「おはようずら、善子ちゃん」
善子「ああ、おはよう二人とも」
善子「…………」
善子「……」
善子「…はあ!?」
ルビィ・花丸「!?」ビクッ
(あ、ルビィと花丸ちゃんだ) ルビィ「え? ど、どうしたの善子ちゃん…」
花丸「具合でも悪いの?」
善子「あ…いや……」オロッ
善子(どういうことなのよ…)
(ルビィとそこにいるルビィは同じだけど違うってことだね)
善子(えっなにそれ怖い) 善子(ねえそれってつまり、ドッペルゲンガーってことなの……?)
(うーん、ちょっと違うかも)
(まあそれはそれとして、今みたいな感じで念じれば口に出さなくてもルビィとお話しは出来るからね)
善子「今チュートリアルやってるんじゃないのよこっちは!!」
ルビィ・花丸「!?」ビクッ
善子「あっ……」シマッタ ルビィ「善子ちゃん…本当に大丈夫?」
善子「いや、まあ……うん」
花丸「善子ちゃん、ちゅーとりあるって何ずら?」
善子「それはえーっと…言葉の綾というかなんというか……」
ルビィ「……あっ、もしかしてゲームのお話し?」
善子「えっ…ああ、そうね、そうなのよ! 昨日ちょっと徹夜して…」 ルビィ「そっかぁ、疲れてるんだね」
花丸「善子ちゃんやりすぎは良くないよ?」
善子「分かってるわよ、大丈夫だから」
ルビィ・花丸「本当にー?」
善子「本当だってば!」 善子「ほら…そんなことより早く行くわよ、このままだと本当に遅刻しちゃうわ」
ルビィ・花丸「え?」
ルビィ「遅刻って……」
花丸「何が?」
善子「…? いや、だから朝練あるでしょ」 ルビィ・花丸「朝練…………!!」
花丸「あーっ! すっかり忘れてたずら!」
ルビィ「ルビィも!」
善子「ええ……」
ルビィ「急いで行かなくちゃ!」タッ
花丸「善子ちゃん早く早く!」グイグイ
善子「ああ、ちょっと…分かってるから引っ張るなー!!」 (クスクス…大変そうだね善子ちゃん)
善子(うっさいわね! 自分には関係ないからって!)
(えへへっ…)
善子(……全くもう)
善子(…でもなんでこっちのルビィは朝練があるって知っていたのかしら……?)
……
… ─それから…
─昼休み、屋上
善子「はぁーっ…どっと疲れたわ……」ペタン
(お疲れさま、善子ちゃん)
善子「一応労いの言葉として受け取っておくわ」
(でもどうしたの? お昼ごはん食べた後すぐに屋上に来るなんて)
善子「あんたに色々聞きたいことがあったからね」
善子「ここなら周囲の目も気にしなくて済むし」 (なるほど、流石善子ちゃん)
善子「今はそういうのいいから」
(あははっ…それで聞きたいことって?)
善子「決まってるわ、あんたの正体よ」
(……)
善子「朝のときはなあなあになってたけど実際のところどうなの? 本当にルビィなの?」
善子「あんたはルビィ本人が知らないことも知ってた…いや、それどころか今日の授業だって─」 ─
『……』
(善子ちゃん、善子ちゃん)
『……?』
(次、当てられるよ…教科書の93ページのところ)
『は…? あんた、何言って…』
『えーじゃあこの問題は…津島さん』
『!? はいっ!』ガタッ
(クスッ……ほらね) 善子「─あんたは分かってたわよね、私が当てられること」
善子「あの先生は気まぐれで生徒を当てるから順番とか規則性はなくて、いつもバラバラ…なのにどうして知ってたの? ご丁寧に何ページのどこかも指定して」
(それは…)
善子「あんたさ…何者なの?」
(……ルビィだよ、これは本当)
善子「……」 (…でも、それだけじゃ納得してもらえなさそうだよね)
善子「…まあね」
(うーん、もうちょっと落ち着いてから話そうと思ったんだけど……でも、しょうがないかなぁ)
(こうなっちゃったのもルビィがドジだったからだし)
善子「……」 (じゃあ、聞いてくれる? 善子ちゃん)
善子「ええ」
(あのね、ルビィはね……幽霊なの)
善子「…………え?」
(もう、死んでるの) |c||σ.-σ|| なんてことなの。なんてことなの…… 善子ちゃんが起きたらルビィちゃんが存在しない世界になってるかと思ったらちゃんといて安心した矢先にこれですよ
期待 善子「え、ちょっと待って、死んでるって……え?」
(……)
善子「あの、言ってる意味がよく…分からないんだけど」
(そのまんまの意味だよ、ルビィはもう……)
善子「そういうことじゃなくてっ!!」
(!!)
善子「あっ…ごめん」
(ううん、いいの) 善子「…………大体さ、それなら今学校にいるルビィは何なのよ? 本当に死んでいるなら、学校になんて…いるはずないでしょ」
善子「だから、嘘なんでしょ…そうに決まってるわ」
(…違うよ)
善子「…何が違うのよ」
(嘘じゃないってこと、だってあれは─)
(死んじゃう前のルビィだから)
善子「………は? なに、それ…」 (善子ちゃん、ちょっと前に夢の中でルビィに会ったよね)
善子「……ええ」
(善子ちゃんはあの時間だけが夢の中で、この世界は現実のものかと思ってるかもしれないけど……)
(でもね、違うの)
善子「…何が言いたいの」
(つまりここは善子ちゃんが生きている本当の世界じゃないってこと)
(ここはね、ルビィの記憶の中なの) 善子「ルビィの…記憶……?」
(ねえ善子ちゃん、走馬灯は知ってるよね?)
善子「……死に際に今までの思い出が映像として流れるっていう、アレのことでしょ…知ってるわよ」
(うん、この世界はねそのルビィの走馬灯で作られたものなの)
善子「ちょっと待って……理解が追いつかないわ、つまり…どういうことなのよ?」
(えっとね、簡単に説明すると) (ここは死んじゃったルビィが見てる走馬灯…思い出の中で、善子ちゃんはそこに連れてこられちゃったってことかな)
善子「なんで……私が」
(…………それは…)
(…それはね、きっとルビィに未練があったから)
善子「未練…?」
(うん、だからね…善子ちゃんが元の場所に帰るためにも)
(ルビィを……成仏させてほしいんだ)
……
… ─
善子「……」ガラッ
花丸「あれ? 善子ちゃん遅かったね、どこに行ってたの?」
善子「……花丸」
花丸「? 善子ちゃん…?」
「あっ戻ってきた!」
善子「─!」 ルビィ「おかえり善子ちゃん!」タッ
善子「ルビィ……っ…」
ルビィ「……どうしたの? あんまり元気ないみたいだけど」ジーッ
善子「……」
ルビィ「何かあったの?」
善子「……そう、そうね…」
善子「ねえ…花丸、ルビィ……私、今あんまり気分が良くないの…だから次の授業は休むわ、保健室に…行ってくるから」 ルビィ「えっ、善子ちゃん…大丈夫?」
花丸「辛いならマルたちも一緒に……」
善子「いいからっ!!」
ルビィ・花丸「!」
善子「……ごめん、でも大丈夫だから……一人でも」
善子「じゃあ、またね…」ガラッ ルビィ「善子ちゃん、どうしちゃったんだろう…」
花丸「そういえば今日は朝からちょっと変だったし、心配だね…」
ルビィ(それもあるけど…でも)
ルビィ(ルビィの見間違いかな……善子ちゃんさっき)
ルビィ(泣いてた、気がする……)
ルビィ「……」
花丸「ルビィちゃん?」
ルビィ「…えっ? う、うん…そうだね」 ─保健室
善子「……はぁ…」
善子「なんか今日の私、怒鳴ったり…謝ったりしかしてない気がする」
善子「もう一日の半分くらいなのに、ね」クス
善子「……」
善子「…………あぁ、もう…本当にどう、して……」ギュッ
善子「なんで……よりにもよって……私なのよ……っ…!」ポロポロ ───
『何よ成仏って……』
(ここはルビィの世界、ということはルビィが成仏して消えちゃえばこの世界もなくなるってこと)
(そうすれば善子ちゃんもきっと目が覚めるはずだから…)
『…それを私にやれっていうの? わざわざ死んでる人間に対して追い打ちをかけるようなことを、ルビィは私にしろって言ってるの?』
(追い打ちじゃないよ…だって、幸せにならなくちゃ成仏は出来ないから)
『どっちでもいいのよそんなことは!! ルビィ、あんた自分が何言ってるか分かってるの!?』 『幸せだろうとなんだろうと…消してって言われてそう簡単に頷けるわけないでしょうが!』
(……)
『勝手なことばかり言わないでよ! 私はっ……私はねえっ…!』
『ルビィのこと……!』
(善子ちゃん……)
『……っ……』 『……もういいわ、教室に戻る』
(……)
『今ここであんたと話をしたところで、気分が悪くなるだけだわ』
(…………ごめんなさい)
『……それと…今日はもう私に話しかけてくるのやめて』
『少なくとも今は……何も聞きたくないから』
(……うん)
─── 善子「……」スゥースゥー
(…ごめんね善子ちゃん、辛かったよね)
(でもね、やっぱりこのままじゃいけないの)
(だって善子ちゃんは……まだ死んでいないから…こっちの方に来たら駄目なの)
(だから絶対に帰らなくちゃ…返してあげなくちゃいけないんだよ)
(ルビィが……)
……
… ─翌日、善子の部屋
善子「……」フゥーッ
善子「……ねえ…ルビィ、いる?」
(……うん、いるよ)
善子「そう…やっぱりいるのね」
(…嫌だった?)
善子「そんなわけないでしょ」
(そっか…) 善子「……あの、さ」
(なに?)
善子「聞いてほしいことがあるんだけど」
(うん)
善子「ルビィ、私ね…正直、昨日は色々ありすぎて頭の中がぐちゃぐちゃになってたの」
善子「ルビィが言ってたことだって何一つ信じられなかったし、信じようともしなかった」
(……) 善子「でも、その…全部吐き出して寝るだけ寝たら、ちょっとはスッキリして…だから」
善子「ルビィの言ってること、少しだけ信じてみようって…そう思ったの」
(そっか…ありがとう善子ちゃん)
善子「それでもまだ、受け入れられないところはあると思うけどね」
(うん、それでもいいよ)
善子「ええ、分かったわ……あとね」
(?)
善子「昨日はごめん…怒鳴り散らして」 (クスッ、やっぱり善子ちゃんは優しいね)
善子「…別に、そんなことないわよ」
(ううん、あるよ)
善子「ないから」
(あるって)
善子「ない」
(ある)
善子「あーもう! しつこいわねえ!」
(善子ちゃんだって) 善子「フフッ…あー馬鹿馬鹿しい」
(えへへっ、そうだね)
善子「フウーッ……さてと、とりあえずこれから何をするのか決めなくちゃね」
善子「幸い今日は休日だし、考える時間はそれなりにあると思うけど」
(うーん、そうだねぇ……) >(だって善子ちゃんは……まだ死んでいないから…こっちの方に来たら駄目なの)
これヤベエな
なんかめっちゃ緊張してきた ずっと近未来ハッピーエンドの歌詞が頭のなかで流れてる (まだ色々分からないこともあると思うし、ちょっと今の状況を整理してみようよ)
善子「まあ確かにそうね…気になっていることもそれなりにあるし」
(じゃあ、改めて確認してみよっか)
(まずはこの世界のことについてだね)
善子「ねえルビィ、それなんだけど一つ気になる事があったのよね」
(なに?) 善子「ほら、今私ってこれから先ルビィが死んでしまうってことをその…知ってるわけじゃない?」
(うん)
善子「それなら未然に死を防ぐことも出来るんじゃないかってそう思ったんだけど、どうなの?」
(それは……出来ないかも)
善子「…理由はあるのかしら」
(えっとね、まずこの世界はルビィが死んじゃったことで出来たものだから…それを変えちゃうときっとこの世界は壊れてしまう)
(ルビィの存在を否定することにもなっちゃうしね) 善子「……そう」
(それに、善子ちゃんも多分元の世界に帰れないと思うよ)
善子「それはどうして?」
(あっちにはルビィはもういないからね)
(もし…仮にルビィが助かったとして、善子ちゃんもここから抜け出すことが出来たとしても)
(その戻った先に善子ちゃんの知ってる学校やAqoursのみんながいるっていう保証は…どこにもないんだよ) 善子「……根本的な部分は変えようがないってわけね」
(そうなるね)
善子「正直あまり認めたくないわね…でも、仕組みみたいなものはなんとなく分かってきたわ」
善子「昨日の私の行動一つ取っても、本来のルビィの記憶にはない出来事があったはずだからもしかして、と思ったけど…」
善子「そう上手くはいかないみたいね……これは推測だけど」
善子「ルビィの死を最終的な“結果”として考えると、私が変えることが出来るのはそこに至るまでの“過程”までってことになるのかしら?」 (うん、そんな感じかな)
善子「成程ね、大体理解はしたわ」
善子「やっぱり、死からは逃れることは出来ないのね……」
(ごめんね、ルビィのために色々考えてくれてたのに)
善子「あんたが謝ることでもないでしょ」
(そう、かな…)
善子「気にすることないわよ……次、聞いて言いかしら?」
(うん) 善子「じゃあ、そうね……ルビィの未練って何なのかしら? それを知らないと何も始まらないと思うんだけど」
(あっ……そういえばそうだった)
善子「…あんたって肝心なところで抜けてることあるわよね」
(あははっ……そうかも)
善子「はぁ…話を戻すけど、例えばラブライブ優勝とかそういうの?」
(それは時期的に無理かなぁ) 善子「そう…ということは決勝の前に…ってことよね」
善子(じゃあ、つまり私がいた元の世界って…………いや、やめておこう…)
善子(こんなことを今考えたところで…暗くなるだけだわ)
(……)
善子「なら…他に未練があったっていうこと?」
(え? うーんと…まあ…そうだねぇ) 善子「…なんか歯切れが悪い返事ね? そんなに言いづらいことなの?」
(あのね? さっきと違って重たい話じゃないんだけど…)
善子「じゃあ普通に言えばいいじゃない」
(そうなんだけど…やっぱり緊張して)
善子「…は? 緊張? 何に?」
(……善子ちゃん)
善子「…わたし?」 (……うん)
善子「もう、どうしたのよ急に…とりあえず言ってみなさいよ」
(……じゃあ、言うけど)
善子「ええ」
(ルビィの未練はね…その…多分善子ちゃんと付き合えなかったことだと思うの)
善子「…………え?」 善子「ちょっと待って……なんて?」
(えーっと、もう少し正確に言えばルビィが善子ちゃんに告白できなかったことが……)
善子「ストップストップストップ!! 急に何それ!? 何その落差!?」
(あの、一応真剣な話なんだけど…)
善子「だとしてもでしょ! いや確かに教えてとは言ったけど!」
善子「あれだけ深刻な話をした後でこれって……正直、振り幅が大きすぎてついていけないわ…」 善子だけがすぐに終わりを迎えてしまう恋人関係のスタートとか切ないけどそういうの好き……。
さぁどうなる。 (それは…ルビィも思うけど)
善子「それに、まさかこんな形で知ることになるなんてね……なんか複雑な心境だわ」ボソッ
(え?)
善子「いやいや何でもないわよ? 別に、ええ」
(……?)
善子「まあとにかく、これでルビィの未練が何なのかは分かったってことよね」
(うん) 善子「ただ…ねえ? あまりにも予想外だったものだから……」
(そうかなぁ?)
善子「そりゃルビィからすればそうなんでしょうけど…」
善子「というかこれってつまり…アレよね? 成仏させるためには付き合わないといけないってことでしょ?」
(うん、善子ちゃんは嫌かもしれないけど……)
善子「別に嫌なんて言ってないわよ私は…」
(そうなの?)
善子「いや……まあ、ね」 善子「けど昨日の出来事を考えると、そんなすぐに付き合いを始めるわけにもいかないでしょう」
善子「あっちのルビィは多分私を心配してるわけだし…」
(何も知らないしね、それに昨日のことがなくても善子ちゃんの方からそんな話が出たらビックリしちゃうかも)
善子「え、なんでよ?」
(善子ちゃんって女の子とかあんまり好きにならないんじゃないかなぁって思ってたから)
善子「ふーん…」 善子「もしかして、そういうのもあったから告白できなかったとか?」
(うん、かもしれない)
善子「となると…まずはルビィとの距離を縮めることから始めたほうがいいかもしれないわね」
(というと?)
善子「こっちから脈があるってことをそれなりにアピールするのよ」
善子「それにもっと仲良くなることで言いやすい雰囲気みたいなものも出てくると思うし」
(なるほど…でも上手くいくかなぁ?)
善子「何言ってるのよ……上手くいかなきゃ私たちが困るでしょ」 (そっか…そうだよね)
善子「とりあえず今日のところはずら丸とルビィに大丈夫だって連絡だけしておきましょう」
善子「付き合い云々の件は明後日の学校からってことで」
(あれ、明日の休みには会わないの?) 善子「あー駄目よ“その日は確か昼に大雨が降る”んだから」
(……え?)
善子「買い物でもしようと思って外に出た途端に突然降ってきたのよ? 本当不幸よね」クス
(善子ちゃん…?)
善子「…? 私、何かおかしなこと言ったかしら?」
(う、ううん言ってないよ…あははっ、災難だったね) 善子「別に私は慣れてるからいいんだけど、人と会うとなるとちょっとね」
善子「まあそういうわけだから明日は家でのんびりしておくわ」
(善子ちゃん今まで大変だったもんね、うん…やっぱりその方がいいよ)
善子「なら決まりね……はぁーっ…やっと一段落ついたわ」
(お疲れさま善子ちゃん)
善子「全くよ……本当に、疲れているんだから」ポフンッ 善子「……ぁー…気持ちいい……」
(善子ちゃん、寝るなら着替えたほうがいいよ)
善子「……寝ないわょ……べつに…」ウトウト
善子「…………」
(善子ちゃん?)
善子「……すぅ……すぅ……」
(もう、だから言ったのに…しょうがないのかもしれないけど) 善子「……」スヤスヤ
(……さっきので分かったよ)
(やっぱり善子ちゃんがこっちにきた原因はルビィの未練だけじゃない…)
(でも、それを善子ちゃんに知られるわけにはいかないよね……)
(だって善子ちゃんは───)
(優しすぎるから) ─翌日
善子「……」ゴロン
善子「………暇…」
善子「なんかルビィはルビィの様子が見たいから一回ルビィの家に帰るっていう頭が混乱するようなこと言って出てったし…」
善子「はぁーっ…何しようかしら」 善子「……あっ、でも折角一人になれたんだからあの子がいない間に色々調べてみるっていうのもアリよね」
善子「よし、そうと決まれば早速…パソコン、パソコン」ガタッ
善子「えっと検索ワードは……走馬灯にしてみようかしら」
善子「この世界が出来た原因だもの、もしかしたら何かヒントがあるかもしれないしね…」カタカタ
善子「ん、出てきたわね…なになに……走馬灯を経験する人は比較的若く、その多くが20歳以下…」 善子「また、走馬灯を見た多くの人は突然の危機的な状況に見舞われた際“自分はもうすぐ死ぬという確信”を抱いていたという…」
善子「瀕死となった状況は溺死の割合が最も多く、次いで自動車事故、転落死と続くが後になるにつれ走馬灯を見る確率は低くなっていく…」
善子「ただ、このような条件が全て揃っていても走馬灯を経験する人は滅多におらず、更にそこから生還する人物は極めて稀である……か」 善子「……まあ条件としては、全部当て嵌まってそうよね…」
善子「死亡の原因は流石に分からないけど、どれもここでは可能性としてはなくはない」
善子「都会ならまだしも海が近い内浦なら溺死だって十分考えられるし…」
善子「自動車事故、転落死なんて言わずもがなよね……」
善子「…知らないほうが良かったのかも」 善子「知ったところで止められもしないし……ってあれ……?」
善子「……」
善子「……ちょっと、ちょっと待って…」
善子「今まで全く気付かなかったけど…これって、何かおかしくない?」 善子「向こうではルビィはもう死んでいて…だからこっちの世界が出来て私が連れてこられたのに」
善子「どうして私は死因どころかルビィが死んだという事実さえ知らなかったの…?」
善子「だって、普通知らないわけがない…私たちは同じ学校で、同じ教室で…同じスクールアイドルで」
善子「ルビィ自身も黒澤家っていう名家の娘でしょ、死んだなんて大事件があればすぐに広まってもおかしくない……それなのに」
善子「私の頭にはそんな情報が何一つなくて、ルビィ本人に聞いて初めてそれを知った……」
善子「今考えたら……違和感しかない」 善子「それに、今より先の日から来たはずなのに……」
善子「その間に起きたことが何も……記憶にない…!」
善子「思い出そうとしても…“思い出せない”っ…!」
善子「なにこれ……どうして……? 私──」
─なんでこうなってるの?─ このペースだとあっさりオチを誰かに書かれそうだな、ベタなオチでも過程が良ければ構わんが オチが分かっても書かないのがマナーってヤツよ
我々は黙って読んでいればいいのだ ─
(ただいまー)スーッ
善子「いや、ここルビィの家じゃないんだけど」
(えへへっ…でも言ってみたくて)
善子「変なの…」
(そうかなぁ? 変なのは善子ちゃんも一緒だと思うけど) 善子「…どういう意味よそれ」
(だってさっきからずっと難しそうな顔してるから)
善子「……」
(何かあったの?)
善子「…別に、また一つ気になる事が増えただけよ」
善子「まあでも…だからってあんたに聞いたりはしないけどね」 (え? どうして?)
善子「なんか、聞きたくないっていうか…嫌な予感がするのよ、何となくだけど」
善子「今は聞いちゃいけないような、そんな気が……」
善子「だから、今はやめておくわ」
(……そっか) 善子「それより、そっちはどうだったの? 見てきたんでしょ?」
(善子ちゃんからのLineを見て安心してたよ、多分もうそんなに気にしてないと思う)
善子「そう…」ホッ
(うん、この調子なら帰りにデートに誘うくらいだったら、すんなり行くかも)
善子「…いきなりぶち込んでくるわね」
(一応本題だから) 善子「しかし…デート、ねえ」
(そんなに難しく考えなくても、最初はアイスを一緒に食べるくらいで大丈夫だと思うけど)
善子「はあ!? アイス!? もう冬に差し掛かってるのよ!?」
(好きなものなら季節は関係ないよ?)
善子「いや……いやー、ないでしょ」
(まあまあ、そんなこと言わないでルビィを信じてみて欲しいな、きっと上手くいくから)
善子「本当かしら……」 ──
ルビィ「美味しいね、善子ちゃん!」
善子「…ええ、そうね」
善子(ホントに上手くいってるし……)
(ね? 言ったでしょ?)
善子(っていうかなんであんたまで付いてきてるのよ…) (それは…当事者だからかなぁ、本当はあまり邪魔したくないんだけど)
(経過は見ておく必要があるし、何かあればアドバイスも出来そうだから)
善子(まあ、理由は分かったけど……)
善子(でもルビィと付き合うためにルビィからアドバイス貰うって、絶対おかしいわよね……何なのかしらこの状況)
ルビィ「善子ちゃん、どうしたの?」
善子「ううん、何でもないわよ」 善子「それより今日はありがとね、私に付き合ってくれて」
ルビィ「ううんいいよ、ルビィも楽しかったから……それにね」
善子「?」
ルビィ「善子ちゃんも元気になったみたいで良かったなぁって」ニコッ
善子「…そんなに心配だったの?」
ルビィ「うん、でもルビィだけじゃないよ」
ルビィ「花丸ちゃんもお姉ちゃんも、みんな心配してた」 善子「…そう」
ルビィ「だから、今日の善子ちゃんを見て良かったなぁって思って…」
ルビィ「ルビィね、それが一番嬉しかったの」
善子「!」
ルビィ「…善子ちゃん?」
善子「なんでもないわ……ありがと、ルビィ」ギュッ
ルビィ「えへへっ…」 ルビィ「─今日は楽しかったね!」
善子「そうね、やっぱりちょっと寒くなったけど……」
ルビィ「あははっ…ごめんね? ルビィのためにアイス一緒に食べてくれたんだよね」
善子「ええ、でも別にいいのよ、私だってそうしたかったから」
ルビィ「クスッ…そっか」 善子「……ねえルビィ」
ルビィ「ん? なに?」
善子「あのさ、ルビィが良ければなんだけど」
ルビィ「うん」
善子「今度もまた、こうして出かけましょうか」
善子「今日みたいに……二人で」
ルビィ「!」 ルビィ「…いいよ、じゃあまた今度ね」
善子「ええ、約束よ?」
ルビィ「うん、約束……またね善子ちゃん!」フリフリ
善子「……行っちゃったわね」
(そうだね)
善子「…で、どうだったの? 本人の目から見て」
(うーん、普通に振舞ってたけど凄く嬉しかったと思うよ) 善子「…なら今日のところは上手くいったってことでいいのかしら」
(大成功だよ、次のデートの約束も出来たし…流石善子ちゃん!)
善子「ま、これがスタートラインみたいなものだしね…念くらい入れておかないと」
(ふーん、ねえねえデートのほうはどうだった? 楽しかった?)
善子「さっきも言ったでしょ、楽しかったわよ……あとは、そうね」
(?)
善子「あっちのルビィの方が健気で可愛かったわ」
(善子ちゃんひどい)ムスッ 善子「大丈夫よ、半分冗談だから」
(半分なの!?)
善子「フフッ…さーて帰りましょ帰りましょ」スタスタ
(うう、あんまりだよぉ…)
……
… ─それから数日後
果南「はい、今日の練習はここまで! みんなお疲れさま!」
善子「ふう…今回は中々にきつかったわ……」
(お疲れさま善子ちゃん、振り付け凄くよかったよ!)
善子(そう、それならいいんだけど)
善子(ラブライブ本選のこと……結末はどうあれ、手は抜きたくないから)
(……そうだよね) 善子(さてと、それはそれとして…今日はどうしようかしらね? 流石に何回も短い間隔で誘うのも気が引けるし…)
(そこまで気にしなくてもいいと思うけどなぁ、ルビィだって絶対嬉しいはずだし)
善子(そうは言われてもねえ……)
(善子ちゃんって、変なところで真面目だよね)
善子(うっさいわね! ほっときなさいよ!) 善子(大体私にもペースってものがあるのよ)
(うーん…でもそんなに時間ないよ?)
善子(……そういえば、聞いてなかったけどルビィの最後の日って……)
ヨシコチャーン!
(あれ?)
善子「! …ルビィ?」 ルビィ「よかった、まだ帰ってなかった…」タッ
善子「ん、なに? どうしたのよ」
善子(ルビィのほうから来るなんて珍しいわね)
(もしかして……)
ルビィ「えっと…あのね、今日善子ちゃんと一緒に帰りたくて…」
善子「え、そうなの? 私は別にいいけど」 ルビィ「やった…ルビィね、今日は善子ちゃんと行きたいところがあって…」
善子「へえ、何処なの? それ」
ルビィ「えっと……っていうところで」
善子「ふーん、ちょっと気になるわね」
(……へえ〜) ルビィ「うん、それでね……」
(善子ちゃん、善子ちゃん)
善子(…なによ、今は話の途中でしょ)
(そろそろいけるかもしれないよ)
善子(いける? 何が?)
(告白、もう成功するかも)
善子「!? んなっ……!」 ルビィ「? 善子ちゃん、いきなりどうしたの?」
善子「あっ…えーっと……これは」
善子「そう! 忘れ物があったのを思い出したわ!」
善子「ルビィ、ちょっと取りに戻るからそこで待ってて!」タッ
ルビィ「え? うん、いってらっしゃい」 ||^.- ^||b|三|c||^.- ^||
|c||^.- ^||
|c||σ.-σ||
|c||;.-;|| 善子「ねえ…っ…いきなりああいうこと言うの、やめてくれる?」ゼエゼエ
(ごめんね、報告しておいたほうがいいと思ったから)
善子「あーもういいわ……それで…はぁ、どうしてそう思ったの?」
(ルビィの方から善子ちゃんを誘ったっていうのもあるんだけど…一番は目線かなぁ)
善子「目線?」
(うん、あんまりルビィと目が合ってなかったでしょ?)
善子「言われてみれば…そうかも」 (ちょっとの会話だけでもあれだけ恥ずかしがって緊張してるなら…)
(それくらい善子ちゃんのことを意識してるってことだよね?)
善子「つまり…」
(告白してもすぐに返事が来るくらいには、善子ちゃんのことが好きになってると思うよ)
善子「……そう、そうなのね…」 (善子ちゃん?)
善子「いや……なんか、聞いたら一気に緊張が…」
(大丈夫だよ善子ちゃんなら、ただ真っ直ぐに…気持ちを伝えれば)
(絶対に応えてくれるから、逃げないから)
善子「……そうだったわね、ルビィは…自分の気持ちに正直で、好きなものからは絶対に目を背けない」
善子「そういう強さがあったの……忘れていたわ」
善子「……行ってくる」
(うん、頑張って) 善子「お待たせ」
ルビィ「あっおかえり、忘れ物はあった?」
善子「ええ、意外とすぐ近くにあったわ」
善子「私が、見落としていただけだった」
ルビィ「そっか、見つかって良かったね!」
善子「フフッ、そうね……じゃあ行きましょうか」
ルビィ「うん」 ─
ルビィ「善子ちゃん、ここだよ」
善子「装飾品のお店? しかもここ……」
善子「なんか星の形をしたものが多いような」
ルビィ「うん、そういう場所なんだって」
善子「ここを私と来たかったの? どうして?」 ルビィ「善子ちゃんに何かプレゼントしたくて」
善子「プレゼント?」
ルビィ「いつもありがとうってお礼がしたかったから」
善子「そんな大したこと…してないわよ」
ルビィ「ううん、そんなことないよ」
善子「……でも、なんで星なの?」 ルビィ「あのね、これはルビィが勝手に思ってることなんだけど」
ルビィ「善子ちゃんってお星さまみたいだなぁって」
善子「え?」
ルビィ「真っ暗なところが好きで、でもキラキラ輝いていて……」
ルビィ「たとえ周りにたくさん星があっても、逆に何もないときがあっても」
ルビィ「負けないで、頑張って、光ろうとするところが……凄く綺麗で」
ルビィ「なんか、似てるなぁって」
善子「……」 ルビィ「善子ちゃんは堕天使っぽくない! って怒るかもしれないけど……」アハハ
善子「……関係ないわよ、堕天使じゃなくたって」
善子「誰かが本気でそう想ってくれるなら…それだけで、嬉しいのよ」
ルビィ「え?」
善子「ねえルビィ、私が選んでいいかしら─」
……
… ルビィ「買い物してたら遅くなっちゃったね」
善子「そうね、結構時間がかかったから」
ルビィ「善子ちゃんすごく迷ってたもんね」
善子「まあね、でも当然でしょ? ルビィから貰うプレゼントなんだから」
ルビィ「善子ちゃん……」
善子「大切にするわね、このブレスレット」
ルビィ「…うん」 ルビィ「じゃあもう遅いし、そろそろ……」
善子「……」
善子「待って」パシッ
ルビィ「……善子ちゃん?」
善子「帰る前に一つだけ、いいかしら」
ルビィ「……なに?」
善子「ルビィ、私は───」 ─
善子「……ただいま」ガチャ
(おかえり、遅かったね)
善子「先に帰ってたのね」
(言ったでしょ? あまり邪魔したくないって)
善子「いつまでいたの?」
(善子ちゃんが告白するちょっと前まで) 善子「そう」
(……上手くいったんだ)
善子「声だけでもニヤニヤしてるってわかるわね」
(だって嬉しいもん、ニヤニヤしちゃうよ)
善子「まあ…分からなくもないけどね」 善子「……」
善子「…ねえ、これで未練はなくなったのよね?」
(そのはずだけど?)
善子「なら、どうしてさっきから帰れないのよ」
(それは…多分、善子ちゃんが原因じゃないかなぁ)
善子「なに、今度は私?」 (だって善子ちゃん、まだ帰りたいと思ってないでしょ)
善子「それは……」
(まだ自分の知らないことや気になること、たくさんあるから)
(全部知るまで、帰りたくないって思ってるんだよね)
善子「……あんたと離れたくないからって理由も入れておきなさいよ」
(えへへっ…ありがとう、ルビィがまだ消えないのもそういうことだもんね) (まあとにかく、善子ちゃんが帰るのはもうちょっとだけ先になるかな)
善子「……成程ね、ちなみに聞くけどその私が気になることっていつになったら知られるのかしら?」
(……一番長くて三週間後)
(ルビィの、最期の日だね)
善子「!!」
(そこがタイムリミットだから) 善子「タイムリミットって…」
(どっちにしても終わりのところまできたらルビィは消えちゃうし)
善子「なにそれ、だったら未練なんて関係……」
(あったよ、これをどうにかしなかったらきっとルビィは世界の終わりにまで善子ちゃんを巻き込んでた)
(だから今は、帰る日が早くなったか…遅くなったか、それだけの違いだよ) 善子「……」
(善子ちゃん…どうする?)
善子「…帰らないわ」
善子「私、見届けたいの……ルビィの最期を」
善子「たとえ変えられなくても…どんなに悲惨なものでも」
善子「それでも……最期まで貴女の傍にいたいから」
(……わかった) (じゃあこれからもよろしくね、善子ちゃん)
善子「ええ、よろしく」
善子「さてと、明日は早いからもう寝るわ……おやすみ」
(うん、おやすみ)
(……)
(どっちが辛いのかな…この世界で全部思い出すのと、帰ってから全部思い出すほうなら…)
(ルビィも…もう分からないや) 例え救いの無い話であってもどんな結末へと紡ぐのかを見届けたい……ウッウッ…… ─
一週間後
善子「……ねえ」カチカチ
(なに?)
善子「もうあれから一週間が経ったのね」カチカチ
(そうだねぇ……あっ、そこ取り逃してる)
善子「えっ、危なっ! ギリギリだったわ…」フゥーッ (最初に来た時も含めると二週間だよね)
善子「そうね、おかげでこの生活にすっかり馴染んでる自分がいるわ」
善子「ほぼ四六時中幽霊が側にいるなんて考えられないことだけどね、しかも話しかけてくるし」
(でもほら、声だけだから)
善子「干渉してくること自体が問題だと思うんだけど……」
(あははっ、それもそうだね) 善子「…不思議よね」
(?)
善子「私がいて、あんたがいて、ルビィがいて……それって本来おかしなことなのに」
善子「どうしてか…意外と悪くないって、そう思うのよ」
(……)
ピンポーン
善子「ん、来たわね…ちょっと出てくるわ」スクッ ─ガチャ
ルビィ「あっ、善子ちゃん! こんにちは!」
(いらっしゃーい)
善子(あんたが言うな、というか別に来なくていいのに)
善子「いらっしゃいルビィ、寒かったでしょ? ほら、早く入って」
ルビィ「うん、お邪魔します」
─バタン ルビィ「んしょ…」ストン
善子「悪いわね、何も出せなくて」
ルビィ「ううん、大丈夫」
善子「そう…寒くなったら言ってね、暖房つけるから」
ルビィ「ありがとう善子ちゃん」ニコッ
(善子ちゃんが温めてあげればいいのに)
善子(あんたはちょっと黙ってなさい) ルビィ「あっ、善子ちゃんゲームやってたんだ」
善子「え? あー、まあね」
(ルビィと一緒にいることが多くなったから全然進める時間がないんだよねそのゲーム)
(いいなあ、いいなあルビィが羨ましいよ)
善子(さっきからうるさいわよあんた…) ルビィ「ねえ、ルビィも一緒にやっていいかなぁ?」
善子「…そういえばこれ二人でプレイすることも出来たのよね」
善子(今までずっと一人でやってきたから、なんか新鮮だわ…)
(善子ちゃんって一人でのめり込むタイプだもんね)
善子(ほっときなさいよもう!)
善子「じゃあ二人でやりましょうか」
ルビィ「うん!」
コレハドウヤッテススメルノ? アア、ココハトマトヲマグマニカエテ…… ヘエー!ソウナンダ! ─数時間後
善子「……きた!」
ルビィ「やったあ! コイン全部集まった!」
善子「これでようやくお土産が買えるわね…」
ルビィ「長かったね、善子ちゃん!」
善子「そうね、特にここは100枚だったから尚更……」
(ちょっと感動するよね) 善子「よし! このままの勢いで次の国も……」
タダイマー
ルビィ「? 誰か来たね?」
善子「ママじゃない! もうそんな時間が経ってたの……?」
(二人ともゲームに熱中しすぎだよ…)
善子(あんたも人のこと言えないでしょ)
善子「ルビィ、ちょっと待っててくれる?」
ルビィ「うん」 善子「ママ、おかえり」
善子母「ただいま、お友達と遊んでたの?」
善子「え?」
善子母「知らない靴があったからそうかなって」
善子「ん、まあ……ちょっとだけ、ね」
善子母「へえ……仲がいいのね?」クス
善子「からかわないでよ」 善子母「フフッ、ごめんなさい……あっ、せっかくだからその子も家で夕飯食べていったらどうかしら?」
善子「ああ、そういえば今日の夕食はシチューだったわね…」
善子母「あら? よく知ってるわね、どうして分かったの?」
善子「え? どうしても何も…今日はカレーよりシチューの素のほうが安く売ってたからって昨日ママが……」
(!)
善子母「確かにそうだけど……昨日?」
善子「………え……? ……あ、あれ……?」 善子(どういうこと…? つまり…私がママから聞いたのは昨日じゃなくて、明日ってことで……)
善子(でも、明日って……なんで私が明日のこと…知って……)
ズキッ
善子「……ぃた……っ!」
善子(なに…!? 急に、頭が……)
(善子ちゃん!?)
善子母「…善子!? どうしたの急に! 大丈夫!?」
善子「……大丈夫、平気…」 善子母「……本当に?」
善子「うん、もう痛くないし」スッ
善子(良かった、痛みは一瞬だけだったみたいね……)
(……)
善子母「それなら……いいんだけど」
善子「本当に大丈夫だから、友達呼びに行ってくるわね」
善子母「ええ……」 善子母「善子、ライブの練習とかがあるから疲れているのかしら…」
(……違う、きっと…記憶が戻り始めてるんだ…)
(前にもあったけど、今のは無意識にっていうよりも自分から思い出しにいってるような感じがした…)
(多分、善子ちゃんもさっきのがおかしいってことに気付いているはず……)
(…………そろそろ思い出すのかな、全部…)
(……でも、やっぱり心配だよ) ─
ルビィ「善子ちゃん今日はありがとう」
善子「気をつけて帰りなさいよ」
ルビィ「うん、また明日ね」
善子「ええ、また明日…」 善子「……行ったわね」
(そうだね)
善子「…聞きたいことがあるんだけど」
(なに?)
善子「どうして私の記憶が無くなってるの?……それに、どうして思い出せないの?」 (…それはルビィにもはっきりとは分からない)
(でも…心当たりなら、あるよ)
善子「……教えてくれる?」
(多分、善子ちゃんはショックで一部の記憶を失っているんだと思う)
善子「ショックって、ルビィが死んだことへの?」
(もしかしたら……そうかもしれない) 善子「いや、もしかしたらって…それ以外に何があるのよ」
(……そうだね、ないね)
善子「…なら次、私が思い出せないのはどうして?」
(…分からない)
善子「……そう、まあいいわ私たちも帰りましょう…今日は冷えるしね」
(うん) (……思い出したくないだけじゃないかな)ボソッ
(きっと、覚えていたころの善子ちゃんが無意識的に…)
善子「……? 今なにか言った?」
(……ううん、なんでもないよ)
板復帰(NG!:Gather .dat file OK:NOT moving DAT 690 -> 690:Get subject.txt OK:Check subject.txt 690 -> 690:fukki NG!)0.75, 0.63, 0.66
sage Maybe not broken 善子「ふーん? ま、何もないならいっか」
(うんうん、いいんだよ)
(ほら、早く行こう?)
善子「そうね……もう、本当に寒いし」
(走ったら暖かくなるかも?)
善子「走れって…はぁーっ…気楽に言ってくれるわよね」タッ (あっ、でも滑って転んじゃうかも)
善子「はあ!? いやそういうこと急に…!」ツルッ
善子「んなぁっ!? ……っとと…あ、危なかったわ……」
(おぉー…)
善子「ちょっとルビィ!! おぉーじゃないでしょ!」
(あははっ、善子ちゃん頑張って!)
善子「鬼畜め…やっぱりあんたには可愛げがないわ……」 善子「けど……」
(善子ちゃーん! こっちこっち!)
善子「はいはい、今行くってば!」タッ
善子「なんでか憎めないのよね……あの子」クス
……
… ─
更に一週間後…
善子「……むにゃ……」
(善子ちゃん、善子ちゃん)
善子「……ん…」
(善子ちゃんってば)
善子「……るびぃ…? ……なによ…休みなんだからもう少し、寝かせて…」 (え、でも今日デートだよね?)
善子「……そうだけど……まだ早いでしょ」
(んー、そうでもないよ)
善子「え……ふわぁ…なに…今、何時…?」
(えっとねー11時)
善子「じゅう、いち…………11ぃ!?」ガバッ 善子「ちょっ…待ち合わせまであと一時間しかないじゃない!」
(だから早く寝たら? って言ったのに……)
善子「……とにかく! 急いで支度を済ませないと!」
(待って善子ちゃん、寝ぐせ寝ぐせ)
善子「あぁーーーーー!!」 ─
ルビィ「……」ハァ
善子「ルビィ!」
ルビィ「善子ちゃん! こんにちは」ニコッ
善子「待った……わよね」
ルビィ「ううん、ルビィもさっき来たところだから大丈夫だよ」
善子「そう…」
(本当は三十分くらい前からいたんだけどね)
善子(そういう余計なこと言わなくていいから) 善子「じゃあ行きましょうか」ギュッ
ルビィ「うん」
善子(手、冷た……だいぶ待たせちゃったのね、ごめんルビィ)
(健気だねー)
善子(自分で言う?) ……
善子「…なんか」スタスタ
ルビィ「うん?」テクテク
善子「町の様子もすっかり冬っぽくなってきたわね」
ルビィ「だって冬だもん、そうなるよ」フフッ
善子「それはまあ…そうなんだけど」
善子「ただ、今年ももう少しで終わるんだって思うと…ちょっとね」
ルビィ「…そっか」 善子「……いつもね、思うのよ」
ルビィ「何を?」
善子「私たちは毎日やることがいっぱいで…一日一日が長くて、大きなものなのに」
善子「振り返るとこんなにもあっという間で…今更になってやりたかったことがどんどん浮かんでくるの」
ルビィ「……」
善子「そしてそれはきっと…次には持ち越せないんだって、そんな気がして」 善子「だからね…今年は良かったなって思うの」
ルビィ「え?」
善子「ルビィに気持ちを伝えられたから」
ルビィ「─!」
善子「それだけで、今年はもう十分よ」ニコ
ルビィ「……」
善子「…まあ欲を言えばもう少しやりたいことはあったんだけど」 ルビィ「クスッ、そうだね…ルビィも同じだよ」
善子「フフッ…そう」
ルビィ「ルビィもね、やりたいこといっぱいあったけど」
ルビィ「でも、それは後でもいいかなぁって思っちゃった……だって」
ルビィ「これからは善子ちゃんが一緒にいるから!」 (……)
善子「ええ……そうね、ありがとうルビィ」
ルビィ「えへへっ…」
善子「…そろそろ帰りましょうか」
ルビィ「うん!」 静かーにバッドエンドに向かってる感じがなぁ
次の更新楽しみにしてる ─
ルビィ「…そういえば」
善子「なに?」
ルビィ「この帰り道で善子ちゃんが告白してくれたんだよね」
善子「あー、そうだったわね」
ルビィ「あれからもう二週間かぁ……本当にあっという間だね」 善子「そうね……でも」
善子「本当に良かったわ、今度はちゃんと告白が出来て…上手くいって」フフッ
ルビィ「? 今度?」
善子「ええ、あの時私はルビィに告白しようとして……それで……」
(えっ……)
善子「それ……で…………?」
ルビィ「……善子ちゃん?」
ズキッ
善子「!!? ……ぁああああ! っ……たぃ……! 痛い!!」 善子(まただ……! また……でも…!)
善子「……何、これ…頭が……!」
善子「頭が…割れそう……!」ガクッ
(!!)
ルビィ「善子ちゃん!?」
善子「ぁ……ルビィ…っ」
善子「わたしっ……私……」
ルビィ「善子ちゃん! どうしたの善子ちゃん!」ギュッ 善子「私の…せいなの……? 私が…」
ルビィ「え…?」
(!? 違っ……)
善子「…あぁ……っ……なんで…肝心なところが、見えないのよ……!」ズキズキッ
善子「あと……あと、もう少しなのに……! ……うぅ…!」ヨロッ
ルビィ「善子ちゃん! 無理しないで!」
善子「ル、ビィ……大丈夫よ……私は、大丈夫だから……っ」 善子「っ! ……ハアーッ……ハアーッ……」ポタポタ
ルビィ「全然大丈夫じゃないよ! すごい汗だよ!?」
ルビィ「ねえ善子ちゃん病院に行こう!? 今ならまだ……」
善子「私のことは…いいのっ……それよりも」
善子「ルビィ…」ガシッ
ルビィ「え?」
善子「聞いて…大事な話が、あるの」 ルビィ「大事な……」
善子「……」フゥーッ
善子「いい? ルビィ……貴女はこの一週間、家から出ちゃ駄目」
(─!!)
ルビィ「えっ…?」
善子「学校も休んで、デートも…しばらくはなしよ」
ルビィ「じゃあ…練習は?」
善子「そんなの以ての外でしょ……とにかく絶対に外に出たら駄目」 善子「もし、それで何か困ることがあればいつでも私を頼っていいから」
ルビィ「ちょ、ちょっと待って善子ちゃん……」
善子「…なに?」
ルビィ「ねえ…急にどうしたの? なんで外に出たら駄目なの?」
善子「……」
ルビィ「あの、やっぱり具合が悪いんじゃ……」
善子「……違うわよ…」
(善子ちゃん、駄目だよ) ルビィ「でも……」
善子「違うから」
(ねえ)
ルビィ「じゃあどうして……」
善子「……危険なのよ」
(聞こえてるよね?)
ルビィ「え?」
善子「外に出たら危険だって言ってるのよ!」
ルビィ「!」ビクッ ルビィ「……あの」
ルビィ「危険って……何が、危ないの?」
善子「そんなの……そんなの私にだって分からないわよっ! けど!」
善子「それでも…私には分かるの…! 知ってるのよ!」
(……っ! いい加減にしてよ!!) 善子「ルビィ、このままじゃ貴女が──!」
(善子ちゃんっ! 帰れなくなってもいいの!!?)
善子(うるさい! そんなのもうどうでもいい!! 邪魔しないで!)
(……っ…!)
(……じゃあ…ルビィの存在もどうでもいいんだ!?)
善子「!! それは……っ…!」
(何してるの? 早く言いなよ! もうどうでもいいんでしょ!?) 善子「……私は……私は、ただ…! ルビィが……!」
(…………分かってるよ…だけど、それでも駄目だよ……)
善子「…………」
(…お願い)
ルビィ「……よし、こちゃん…?」
善子「……ごめん、ルビィの言った通り…今の私はちょっとどうかしているみたい」
善子「今日はもう…帰って休むことにするわ……本当にごめんなさい」
善子「さっきのことは……忘れて」 ─
善子「……」
善子「……ルビィ、いるんでしょ?」
(……)
善子「自分を盾にするなんて……随分と卑怯なのね」
(……ごめんなさい、でも…)
善子「大丈夫よ、私だってあんたのこと……ちゃんと分かってるから」 (ありがとう…)
善子「…別に」
(…………あの、聞いてもいいかな?)
善子「なにを?」
(その…記憶のこと)
善子「……」 (……思い出したの?)
善子「…事故が起きる寸前……私がルビィと一緒にいたのを“見たわ”」
(!!)
善子「実際にそこで何が起こったのかまでは…知られなかったけどね」
(…………)
善子「…でも、一つだけ言えることは」
善子「そのとき私が何か行動を取っていれば、もしかしたらルビィは死なずに済んだかもしれないってことよ」
(……それは…) 善子「……やっぱりそうなのね」
(あっ……ち、違う、違うよ! 善子ちゃんのせいじゃないっ!!)
(あれは……あれはっ…! 本当にどうしようもなかったの!!)
善子「なら……言えたんじゃないの? 事故のことだって……私に」
(っ! ……無理だよ…言えない……! そんなの…言えるわけない…!)
善子「…………もういいわ、今日はもう……疲れた」
(善子ちゃん……!)
善子「……帰るわよ」
(…………はい) すごい面白いわ、先が気になる
どう転んでもハッピーエンドが想像できないけど
板復帰(NG!:Gather .dat file OK:NOT moving DAT 707 -> 707:Get subject.txt OK:Check subject.txt 707 -> 707:fukki NG!)0.65, 0.47, 0.44
sage Maybe not broken ─数日後
善子「……」
善子「…………はぁーっ……」ポフンッ
善子(結局、あれ以降あんまり話さなくなったわね………どっちのルビィとも)
善子(なんか、雰囲気とか…そういうのも変わっちゃったし)
善子「……」
善子「…何やってるのかしら、私」 善子「もう少しで、時間なのに……あんなこと言って……でも」
善子「そんなつもりじゃ、なかったのに……っ…」ジワッ
善子「このままじゃ…気まずいまま終わって……!」ポロポロ
善子「……私、どうしたらっ…!」
(なら…もう一回話してみればいいんじゃないかなぁ?)
善子「!」 善子「……ぁ…ルビィ…?」
(あれ? 駄目だったかな?)
善子「っ……ううん…そんなことない……けど」
(けど?)
善子「急に話しかけてこないで……ズルいわよ、そういうの」ゴシゴシ
(えへへっ…ごめんなさい) 善子「…いや、謝るのは私のほうよね…ごめん、それと…」
善子「ありがとう、ルビィ」
(善子ちゃん……ううん、もういいの)
善子「……でも、そうよね、自分から動かなくちゃ…何も変わらないわ」
善子「決めた…ルビィに電話してくる、ちょっと待ってて」
(うん、わかった) ─
善子「……ふぅ」ピッ
(どうだった?)
善子「明日、一緒に帰ろうって」
(そっか…)
善子「ええ、数日ぶりのデートってところかしらね」
善子「……そして、それが多分…最後になる」
善子「…明日が、“ルビィの最期の日”だから」
(……うん) 善子「……やっぱり、死を変えることなんて出来なかったわね」
(……)
善子「…だけど、それならせめて私たちが後悔しない道を選びたい」
善子「このまま別れるのは…嫌だから」
(そうだね…)
善子「さあ…今日はもう寝ましょう、流石に夜更かしなんて出来ないものね」
(うん、おやすみ善子ちゃん) 善子「ええ、おやすみ……ルビィ」
善子「…………」スヤ
(……やっぱり善子ちゃんは強いね、ルビィが思っていたよりもずっと…)
(それなら…ルビィが言うことももう何もないかな)
(善子ちゃん…また“あっち”で会おうね……待ってるから)スゥー…
……
… ─そして、翌日…
最終日
善子「…………ん」パチ
善子「今……何時…?」
善子「……朝……の、7時…か」
善子「ふわぁ……行きましょ」スクッ 善子「おはよう」
善子母「あら、今日はちょっと早いのね」オハヨウ
善子「……大事な日だから」
善子母「そう、今パンくらいしかないけど…食べてく?」
善子「うん」 ─
善子「それじゃあ、行ってきます」ガチャ
善子母「行ってらっしゃい」フリフリ
善子「さてと、今日は確か…朝練はなかったわよね」スタスタ
善子「ちょっとゆっくり行っても間に合うか…」 善子「……」スタスタ
善子「……こうして歩くのも、これで最後なのよね」
善子「ねえルビィ……」
シーン……
善子「……? ルビィ……? 可笑しいわね、どこかに行ってるのかしら」
善子「……いや…もしかしたら、気を遣っているのかもしれないわね……ありがとう」
善子「……行ってくるわ、ルビィ」 それから……
キーンコーンカーンコーン
善子「……はぁーっ、ようやく終わったわね」ガタ
ルビィ「あの、善子ちゃん…」ヒョコッ
善子「ルビィ…昨日はありがとう、お願い聞いてくれて」
ルビィ「ううん、ルビィも一緒に帰りたかったから」
善子「そう…それじゃあ、行きましょうか」
ルビィ「…うん」 善子「……五日」スタスタ
ルビィ「え?」テクテク
善子「こうしてまたルビィとこの帰り道を歩くの……五日ぶりなの」
ルビィ「そう、なんだ……」
善子「ええ……」 善子「…ずっと、会いたかった」
ルビィ「!」
善子「昨日の電話もね、本当は直接会って話が出来たら良かったのにって、そう思ったの」
善子「少しでも、ルビィと一緒にいたかったから」
ルビィ「善子ちゃん…」
善子「ルビィ…この間はごめんなさい、変なこと言って…」 ルビィ「…気にしてないよ、あの時善子ちゃんの言ったことがどういうことなのか、ルビィにはよく分からなかったけど……」
ルビィ「でも、ルビィのこと心配して言ってくれたんだもん」
ルビィ「だから、謝らなくていいよ」
善子「……ありがとう」 ルビィ「…良かったぁ」
善子「…? なにが?」
ルビィ「善子ちゃん、笑ってくれたから」
善子「あっ……」 ルビィ「クスッ…ルビィね、やっぱり笑ってる善子ちゃんのほうが好き」
善子「そう……私も、同じよ」
善子「私も…笑ってるルビィのほうが好き」
ルビィ「そっか」ニコッ
善子「ええ、そうなのよ」フフッ 善子「……」
善子「…あのね、ルビィ」
ルビィ「ん?」
善子「改めて言いたいことがあるの」
ルビィ「なに?」
善子「私ね、ルビィのことが好き…大好き」
ルビィ「うん」 善子「だから……だからね」
善子「ルビィ」
ァァァァァ…… ァァァアアア…
ルビィ「…?」クルッ
ルビィ「…………!!」 善子「これからも私と一緒に……」
ルビィ「待って!! 善子ちゃん! 後ろっ!!」
善子「……後ろ?」
パアアアアアアアアアアアアア!!!
善子「な……っ……え……嘘…」
善子(なに、これ……こんな……なんで…)
善子(……嫌……わたし………死…っ……)
ルビィ「っ!! 善子ちゃん!」ドンッ 善子「え……?」フワッ
善子(る…びぃ……?)
ルビィ「……」ニコッ
善子「…!! 待って!やめて!ル───」
キイイイイィィィィッッ!! ドンッ!
グチャ…… ─ああ、やっと……思い出した
そうだ……“あの時”と……同じだ…
あの時も、私たちのところに急にトラックが飛び出して来て……それで…
ルビィは……私を、庇って……庇ったから…
私のせいで… 善子「」ガンッガンッガン!ザザザザザッ
善子「………ぁ……ル、ビィ……」ズル…
善子「……わた……し……の……」
私の、せいで……
善子(ごめん……な、さい……っ…)バタ
─プツンッ なんか死をテーマにしたSS流行ってんの?たくさんあるわだが…
そして、やっぱつれぇわ… ───
──
─
チャン…… ヨシコチャン……
ルビィ「善子ちゃん…………善子ちゃん、起きて」
善子「…………んぅ……」 ルビィ「あっ、起きた」
善子「……ぁ……ルビィ……?」
ルビィ「うん」
善子「っ……ルビィ!!」ダキッ
ルビィ「わわっ…」
善子「ごめんなさい…ごめんなさい……っ……! 私……!!」ギュゥ
ルビィ「そっか……思い出したんだね、全部」
ルビィ「ルビィも、ごめんなさい……嫌なものばかり見せて…辛かったよね」ギュッ
……
… 善子「……」グスッ
ルビィ「少し落ち着いた?」
善子「ええ……」
ルビィ「なら良かった…」ニコッ 善子「……ねえルビィ」
ルビィ「?」
善子「あの、ここってもしかして…」
ルビィ「うん、そうだよ…ここはルビィと善子ちゃんが初めて会った場所」
ルビィ「生と死の…境界線の世界」
善子「……」
ルビィ「じゃあ改めまして……」
ルビィ「久しぶり、善子ちゃん」 善子「……私はこんな形で、また貴女に会うなんて思ってなかったけど」
ルビィ「……」
善子「…知ってたわね、全部……どうして言ってくれなかったの」
ルビィ「…だって、本当のこと話したら善子ちゃん絶対自分のこと責めちゃうでしょ」
ルビィ「ルビィが死んだのは私のせいって」
善子「……」
ルビィ「だから言わなかったの、善子ちゃんには自分が元の世界に帰ることだけ考えて欲しかった」 ルビィ「だって善子ちゃんがこっちに巻き込まれたのはルビィのせい…「違うわね」
善子「それは間違ってるわ」
ルビィ「……え?」
善子「……」フゥーッ
善子「…確かに、ルビィの未練も私がこっちに来た原因の一つかもしれない……」
善子「でも、本当はそれだけじゃない……ルビィ、貴女も分かってるはずよ」
ルビィ「……」 善子「おかしいとは思っていたの、どうして未練がなくなったはずなのに私の想いひとつでルビィを引き留めることが出来たのか」
善子「なんでルビィの記憶を基にして作られた世界なのに、私の家での生活や出来事が事細かに再現されていたのか」
善子「……そして何故、私がルビィの世界で自分自身の記憶を辿ることが出来たのか」
ルビィ「……それは」
善子「─それは私も貴女と同じで、自身の走馬灯を経験していたから…そしてその記憶がルビィの世界に反映されていたから」
ルビィ「!!」
善子「つまり、あの世界はルビィの記憶だけじゃない……本当は、私の記憶も混ざって出来ていたもの……そうでしょ?」
板復帰(NG!:Gather .dat file OK:NOT moving DAT 709 -> 709:Get subject.txt OK:Check subject.txt 709 -> 709:fukki NG!)0.35, 0.40, 0.44
sage Maybe not broken ルビィ「……」
善子「私が連れてこられた原因……そのもう一つは」
善子「私が誰よりも死に……ルビィに近い存在だったから」
善子「違う?」
ルビィ「……善子ちゃんはすごいね」 善子「じゃあ…やっぱり」
ルビィ「うん、そうだよ……全部善子ちゃんの言う通り」
善子「…………そっ、か…」
善子「……もう一つ聞きたいことがあるんだけど」
ルビィ「なに?」
善子「ねえルビィ……私も本当は、死んでるの?」
ルビィ「…ううん、まだ死んでない」
善子「まだ?」 ルビィ「そう……善子ちゃんはまだ生きているの」
ルビィ「……だから、帰そうって思ったんだ」
善子「…どういうこと?」
ルビィ「あの事故の後を……ちょっとだけ見たの」
善子「!」 ルビィ「トラックに轢かれた後、ルビィたちはすぐに病院に運ばれて……」
ルビィ「手術の結果、善子ちゃんは助かったんだ……ただ」
善子「ちょっと待って……ルビィは?」
ルビィ「…轢かれた時に、もう死んでたんだって」
善子「……っ……それで?」 ルビィ「うんそれでね、助かったのは良かったんだけど」
ルビィ「善子ちゃん…ずっと目を覚ましていないの」
善子「……まさか、こっちの世界に来てるから?」
ルビィ「……そう、意識がルビィの世界に……死後の世界に引っ張られていたから」
ルビィ「善子ちゃんの記憶が反映されていたのも…きっとそれが原因」
善子「……」 ルビィ「だからね…ルビィの未練を無くして、あの世界を消す必要があったの」
ルビィ「そうすれば善子ちゃんは目を覚ますかもって、そう思ったから」
善子「……死後の世界が無くなることで行き場所を失い…結果元の場所に戻らざるを得なくなるから?」
ルビィ「うん、大体そんな感じ、それにその予想も当たってたみたい」
善子「え?」
ルビィ「善子ちゃん、後ろの方……見てみて」
善子「後ろ……えっ……!?」 善子「あれって……私?」
ルビィ「そう、元の世界の病院で寝てる善子ちゃん」
善子「……それに、周りにいるのって」
ルビィ「ご両親はお仕事なのかな? 今日は花丸ちゃんたちが来てるみたいだね」
善子「みんな……」
善子「! 映像が…どんどん近くなってきてる……」 ルビィ「…そろそろ帰る時間ってことかな」
善子「!」
ルビィ「よかった、上手くいって……これで善子ちゃんも」
善子「……」
善子「……待ってよ」ギュッ ルビィ「善子ちゃん……?」
善子「私……私っ…まだルビィに言いたいことたくさんあるのに!!」
善子「これからのことだって! 私はどうすればいいの!? ルビィがいなくちゃ……何もっ……!」
善子「…嫌……別れ、たくない……!!」ポロポロ
ルビィ「……」 いま読み始めたけどまだ終わってなかった!
結末気になる…でも終わってほしくない もうそろそろ終わりと見せかけてここから何スレ使っても付いていくから悲しい涙を流さなくて良い結末に辿り着いて欲しいわ…… ルビィ「……ありがとう善子ちゃん」
善子「……え……」
ルビィ「ルビィ、善子ちゃんに何もしてあげられなかったのに……それでも」
ルビィ「ルビィのこと、こんなに想ってくれて…ありがとう」
善子「…っ…なら一緒にいてよ!! 私に何かしてあげたいって思ってるなら…!」
善子「さよならなんて……言わないでよっ……ねえ!」 善子「ルビィ…!」
ルビィ「……大丈夫」スッ
─チュ
善子「───!」
ルビィ「大丈夫だよ……どんなに遠く離れていても…ルビィの気持ちは…心は」
ルビィ「いつでも善子ちゃんの傍にあるから……ずっと」ニコッ
ルビィ「だから、安心して」トンッ 善子「! そんなっ……! 待って! 待ってよ!!」スゥー
ルビィ「……バイバイ善子ちゃん、ルビィは本当に…幸せだったよ!」ポロポロ
善子「─!! ……何よそれ……ズルいわよ……」
善子「そんな……そんなの…卑怯よ……!」
善子「だって…だって!! 本当は……私もっ……!」
善子「……幸せに…………」フッ
ルビィ「…………」
ルビィ「…ありがとう」 ───
──
─
「…………」
善子「………ん……」パチ
「!!?」 善子「…………ここは……」
花丸「……ぁ……ああぁ……っ……!」
曜「……嘘……っ…よしこちゃ……」
善子「……花丸、曜さん……?」
花丸・曜「っ…善子ちゃああああああああああん!!」ダキッ 花丸「やっと……やっと……ぇぐっ……! 善子ちゃんっ…!」
曜「良かった…! 本当にっ…! 私っ……もう……!!」
善子「……二人、とも…………なんで…」
善子「……あぁ………そぅか…………私」
善子「帰って、きたのね……っ……」
善子「…うぅっ……くっ……ああああああああああああ!!!」ボロボロ
……
… ─それから、数日後
善子「…………」
ガチャ
善子母「調子はどう?」
善子「ママ……大丈夫、平気」
善子母「そう……これ学校のみんなから、フルーツゼリーですって」
善子「……うん」
善子母「食べられる?」
善子「…………うん」 善子母「はい」
善子「……」パクッ
善子「……美味しい」
善子母「そう…良かったわね」
善子「うん……」 善子「……あの、さ」
善子母「なに?」
善子「…………退院」
善子母「え?」
善子「もう少しで出来るって」
善子母「ええ、先生から聞いたわ……本当に良かった」ギュ
善子母「本当に…………」ポロポロ
善子「ママ……」 善子「……あの、それで…」
善子母「……?」グスッ
善子「退院したら、すぐに行きたいところがあるんだけど……」
善子母「……“あそこ”ね」
善子「うん……あの子に…早く元気になったって、そう伝えなくちゃ」
善子「私……葬儀には出られなかったから」 善子母「善子……分かったわ、必ず連れていくから」
善子母「でも、今はゆっくり休んで……ね?」
善子「……ありがとう、ママ」
善子「……」パクッ
善子「……おいしい」 ─そして……
善子「やっと着いたわね…」
善子「…………お待たせ…ごめんなさい、遅くなって」スッ
善子「…………」
善子「……ふぅ」
善子「立派なお墓ね……それに、綺麗に磨かれてて…きっとダイヤさんかしら」
善子「…本当に幸せ者ね、ルビィは……」
善子「……」 善子「…あの事故の後、黒澤家は道路交通安全に積極的に取り組んでいるそうよ……特にダイヤさんが」
善子「もうルビィのような犠牲者を出さない為にって…鞠莉さんも協力してるみたい」
善子「他のみんなも必死にライブの練習に励んでいるわ……」
善子「今を一生懸命に、必死に……輝きを残すために」
善子「…本当に、強い人たちばかりよ……」 善子「…ああ、それと─このブレスレット」
善子「見覚えあるでしょ……貴女の部屋から見つかったものよ」
善子「前から私にプレゼントしようと、してたんだってね」
善子「……」
善子「ありがとう…こっちでも、ちゃんと大事にするから…」
善子「…あと…………最後に、なるけど」 善子「……ルビィ、私ね…決めたことがあるの」
善子「私…スクールアイドルを続けるわ……三年生が卒業しても、Aqoursが解散しても、浦の星が…廃校になっても」
善子「私は絶対にやめない、貴女が愛したスクールアイドルを、私は絶対に…最後までやり遂げてみせるから」
善子「私と、ルビィで……だから……見守っていてね」
善子「…今日はそれだけ言いに来たの」
善子「……じゃあね、また会いに行くから」クルッ 善子「……」スタスタ
─善子ちゃん、ありがとう。
善子「─!!」
─ルビィね……善子ちゃんのこと、大好きだよ。
善子「……」
善子「…………馬鹿ね」 善子「そんなこと…知ってるわよ……」
善子「……ちゃんと…っ……知ってるから……!……」ポロポロ
善子「私、だって……! 私だって!! 貴女のこと…!」
『大丈夫だよ……どんなに遠く離れていても…ルビィの気持ちは…心は』
『いつでも善子ちゃんの傍にあるから……ずっと』
─ずっと……一緒に。
善子「ルビィ…うぅっ……! あああっ…!! うわああああああああああ!!!」 ─私は……ああ、駄目ね…上手く言葉が出てこない
難しいのね、こういうのって…
……ええ、ありがとう…もう大丈夫、続けるわ
…ルビィ、私は正直に言うと…ずっと貴女が羨ましかった
本当よ? ルビィは自分のこと、何にもないって思ってそうだけど
最近になって分かったことがあるの、貴女は人が思ってるよりずっと、ずっと……強いんだって どんなに辛いことがあっても、悲しいことがあってもそれを全部受け止めて、前に進んで
何より、好きなものに一生懸命で……私はね、そんなルビィを見て…救われたの
私もいつまでも落ち込んでちゃ駄目だって、頑張ろうって……そう思えたのよ だからね、誰よりも先に
私が頑張っている姿をルビィに見て欲しいの
……あーっ……えっと…つまり…
今から頑張るってことよ
フフッ……じゃあ、聞いてくれる? ……
…
ルビィ、私ね
貴女が、あなたのことが──
大好き。 終わりです。長い間保守していただき本当にありがとうございました 文脈でうるっときた、乙です
ストーリー自体はよくある系統だったけどそれでもよかった お疲れ様でした
読んでいてとても引き込まれました
しかしこの遣り場のない気持ちをどうしたらいいか… 最近よしルビ熱が高まって来てるたからこんなん読んだら涙腺崩壊してまうやないか…
お疲れでした 悲しいなあ
でも無事に完結して良かった。何か思いついたらよしルビまた書いてほしい 乙でした
切ない終わり方ですが、善子ちゃんが
未来に向かって走りだせたのが救いですね ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています