曜(25)「千歌ちゃんの結婚式」
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曜の部屋
梨子(24)「曜ちゃん起きて」ユサユサ
曜(25)「ん……んん……」
曜「……なんで梨子ちゃんが私の家に?」
梨子「もう、自分が呼んだんでしょ」
曜「え?」
梨子「引き摺ってでも連れて行ってって」
曜「あ……」
梨子「朝ご飯もうすぐできるから」
曜(そうだ……今日は……)
曜(千歌ちゃんの結婚式だ) 教会の一室
果南「まさか私達の中で一番最初に結婚するのが千歌とはねー。意外」
千歌「どういう意味ですかそれー」
果南「ふふっ、冗談だよ」
千歌「むー、みんなこのままだと美都ねぇみたいに行き遅れちゃうよ?」
果南「お、言うようになったねぇ。美都さんに言っていい?」
千歌「やめて、死にたくない」 千歌「ねぇ、果南ちゃん」
果南「んー」
千歌「今日のブーケ、受け取ってもらえる?」
果南「ん、いいよ」
果南「ただ、私は別に結婚に興味ないけどね」
千歌「またまたー」
千歌「私、知ってるよ?」
果南「何を?」
千歌「今気になってる人がいるの」
果南「なっ、誰に聞いた!? 鞠莉!? ダイヤ!?」
千歌「ひっみつー」
果南「もう! 絶対誰にも言うなって言ったのに!!」 広場
善子「お、来たわね」
花丸「こっちこっちー」フリフリ
ダイヤ「お二人ともお久しぶりです」
ルビィ「久しぶりヨハネちゃん、花丸ちゃん」
善子「ちょっと! その名前で呼ぶなっていつも言ってるでしょ!」
ルビィ「え〜? 昔はいつもそう呼べって言ってたじゃん」
善子「昔は昔! この歳になってヨハネなんて痛すぎるわよ!」
花丸「昔も十分痛かったけどね」
善子「は〜な〜ま〜る〜?」
善子「アンタなんて未だに自分のこと、まるって言ったり語尾が出たりする癖に」
花丸「た、たまにだし。善子ちゃんと違ってむしろプラス要素だもん」
善子「うわっ、自分でプラスとか言っちゃう!?」
花丸「善子ちゃんに比べたらって意味ずらー!!」
ダイヤ「ふふふ、お二人は変わりませんね」
ルビィ「ね。安心する」 ダイヤ「他の方は?」
善子「果南は先に千歌のとこ行ってるわ」
花丸「まだ来てないのは、鞠莉ちゃんと曜ちゃんと梨子ちゃんだね」
ダイヤ「そうですか」
ルビィ「Aqoursが揃うなんていつぶりだろうね」
ダイヤ「そうね……。この歳にもなると九人で会うのはこういう機会でもないと」
善子「ということは最低でも、あと八回は集まれそうね」
花丸「七回の間違いじゃ?」
善子「私が結婚できないって言いたいわけ〜?」
花丸「別に善子ちゃんとは言ってないもーん」
善子「……いいわよねぇ、アンタみたいな『武器』がある奴は!」
善子「これがあれば男になんて困らないでしょうね!!」モミッ
花丸「ひゃぁ!」
花丸「セクハラ! 犯罪ずら! ルビィちゃん通報して!」
パシャッ
ルビィ「インスタにあげよ〜っと♪」
花丸「ルビィちゃん!?」 プルルルルルピッ
ダイヤ「もしもし、鞠莉さん?」
鞠莉『シャイニー☆』
ダイヤ「懐かしいですわねそれ」
鞠莉『うん、自分でも今思った』
ダイヤ「それで? 間に合いそうなの?」
鞠莉『式には遅れるかも』
ダイヤ「あら……」
鞠莉『披露宴までには必ず。なんならヘリ飛ばすから』
ダイヤ「どこに着陸するつもりですか……」
鞠莉『それより』
ダイヤ「はい?」
鞠莉『曜、もう来てる?』
ダイヤ「まだですね。おそらく梨子さんとご一緒かと」
鞠莉『そ。梨子っちがついてるなら安心ね』
ダイヤ「何がですか?」
鞠莉『こっちの話』
鞠莉『それじゃまた後で』
ダイヤ「ええ。お気をつけて」
――――
―― 千歌ちゃんってば無邪気に曜ちゃんにスピーチ依頼してそうでツラい… 教会
〜〜♪
曜「……」
曜(千歌ちゃんとは物心ついた時からずっと一緒で、どれだけの時間が過ぎただろう)
神父「これより新郎――と新婦、高海千歌さんの結婚式を執り行います」
曜(ずっと千歌ちゃんの傍にいた)
曜(気持ちを伝える時間は無限の様にあった)
曜(なのに私は……)
曜(女同士だからとか……そんなことは関係なくて……)
曜(ただ……)
曜(ただ私に勇気がなかったから……) 神父「新郎。あなたは神の教えに従い、その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、敬い、慰め、助け、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
新郎「はい。誓います」
神父「新婦、高海千歌。あなたは神の教えに従い、その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、敬い、慰め、助け、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
千歌「はい。誓います」
曜(千歌ちゃんは今日、結婚する……)
神父「それでは、誓いのキスを」
曜(世界で一番大好きな人が。結婚する) 披露宴
千歌「あ、曜ちゃん!」
曜「千歌ちゃん」
千歌「この式場ね、会社の先輩が教えてくれたんだー。いいとこでしょ?」
曜「来てビックリしたよ。こんなとこあったんだね」
千歌「ねー。値段も他より安いからオススメだよ!」
曜「あはは……」
千歌「あ」
千歌「ど、どうかな?」ヒラヒラ
曜「うん。すごく似合ってるよ」
千歌「えへへ……ありがとう」 千歌「今日さ、曜ちゃん来るの遅かったね」
曜「あぁ……ごめんごめん。昨日、梨子ちゃんと飲んでたら寝坊しちゃって」
千歌「もー! 曜ちゃんスピーチするんだから気を付けてよね!」
曜「深く反省しております……」
曜「その分、スピーチは気合を入れてやらせて頂きますゆえ……」
千歌「うむ。頼んだぞよ」
曜「あはは」
千歌「ふふふ」 曜「一つ、聞いてもいいかな?」
千歌「よかろう」
曜「千歌ちゃんはさ」
曜「後悔してることってある?」
千歌「後悔?」
曜「うん」
曜「やり直したいこととか」
千歌「うーん……」
千歌「私は……ないかな」
千歌「これで良かったんだって……そう思うようにしてきたから」
曜「そっか……千歌ちゃんらしいや」 千歌「私からも一つ聞いていいかな?」
曜「もちろん」
千歌「曜ちゃんと梨子ちゃんってお付き合いしてるの?」
曜「えっ」
千歌「こっち(東京)来てからすごい仲いいよね」
曜「そ、そうかな」
千歌「そうだよ! ね、どうなの?」
曜「付き合ってないよ。第一女同士だし……ありえないよ」
千歌「……だよね。二人とも浮いた話聞かないからさ、良かった」
曜「良かった?」
千歌「うん。私の今の夢はね……」 千歌「曜ちゃんとママ友になること!」
曜「ママ友……」
千歌「私達の子供も幼馴染になれたらいいなぁって夢」
曜「夢……」
梨子『私の夢はね、曜ちゃんと千歌ちゃんの結婚式で私がピアノ弾くの。だから早く告白してよね』
千歌「だからさ、曜ちゃんも早くいい人見つけて結婚してよね!」
曜「簡単に言うなぁ」
千歌「スピーチは私やるから!」
曜「千歌ちゃん以外いないよ」
千歌「ありがとっ。そろそろ時間だから戻るね。スピーチよろしく!」
曜「まかせて!」
曜(ごめんね)
曜(夢。叶えられなくて)
―― 司会「それでは、新婦のご友人を代表して幼少期からの親友である。渡辺曜さんよりメッセージを頂戴したいと思います」
パチパチパチパチ
曜「……」スタスタ
曜「えー、この度はお二人のご結婚、本当におめでとうございます」
曜「千歌さんとは幼い頃からずっと一緒で、学生時代のほとんどを共に過ごしてきました」
曜「そんな中で一番思い出深いといえば、やはり、高校でのスクールアイドル活動で――」
曜「私達が最も輝いていた時だと思っていました」
曜「それも束の間。千歌さんの輝きは今日この日、更新されました」
曜「まさか自分は普通、地味とばかり言っていた彼女が我先にと結婚してしまうとは私達八人思ってもみなくて……」
曜「本当に……眩しすぎて見ていられないくらい今日のお二人は輝いて見えます……」
曜(思わず泣きそうになった……ウェディングドレスを着た千歌ちゃんがあまりにも綺麗で……その隣にいられないことがなによりも悔しくて……)
曜「――――本当に……おめでとうございます。末永くお幸せに」
パチパチパチパチ
千歌「ありがとう……曜ちゃん……絶対に幸せになるからね――」 曜「ただいま!」
梨子「頑張ったね曜ちゃん」
善子「最高だったわよ曜」
花丸「思わず泣きそうになったずらぁ」ポロポロ
ルビィ「いや泣いてるし」
鞠莉「私も早く結婚したーい」
ダイヤ「え? 仕事と結婚するんじゃなかったの?」
鞠莉「そのつもりだったけど――いざ、こういうの見ちゃうとねぇ」
果南「まぁ、鞠莉ならすぐ見つかるでしょ」
鞠莉「おっ、既に相手がいる人は随分と余裕なことで」
果南「あっ! やっぱりお前か! 千歌に喋ったの!?」
鞠莉「なんのことかしら〜?」
ルビィ「果南ちゃん、相手いるの!?」キラキラ
花丸「気になるずら!」
善子「花丸、語尾でてるって」
ワーワー 曜「……」
梨子「大丈夫?」
曜「うん、平気だよ」
曜「さすがにもう吹っ切れた」
梨子「そう……ならいいんだけど……」
曜「今までありがとう梨子ちゃん」
梨子「今までなんて言わないでよ。深読みしちゃうから」
曜「あはは、信用ないなぁ」 結婚なんて良いのは最初の半年だけだよ
お互いの地味に嫌なところがどんどん分かってくるし好きなことに使える金も時間も少なくなっていく 曜(梨子ちゃんは優しい)
曜(こんな私を見守ってくれて……傍にいてくれて……)
曜(梨子ちゃんがいてくれなかったらスピーチも……ここに来ることさえ出来なかったと思う)
曜(感謝しきれないくらい梨子ちゃんには助けられた)
曜(だからもう……これ以上は……)
曜(甘えちゃいけない)
曜(一人で立たなきゃ)
曜(たとえ――進むことが出来なくても) 司会「ただいまよりスライドショーをお楽しみ頂きます」
司会「こちらは新婦のご友人である小原鞠莉様と幼い頃より姉の様にお慕いしていた松浦果南様にご用意して頂きました」
司会「どうぞご覧ください」
パチパチパチパチ
曜(映し出される写真は見覚えのあるものばかり)
曜(それはそうだ)
曜(私はずっと千歌ちゃんの傍にいたんだから)
曜(写真に一緒に写った回数だって私が一番多い)
曜(一緒にいた時間も家族を除けば私が一番だって自信を持って言える)
曜(それなのに……)
曜(どうして今はこんな遠くに感じるんだろう)
曜(たった一言)
曜(好きだと言えていれば――)
曜(今よりは前に進めていたのかな) 『ファーストライブ後の写真』
曜(懐かしい)
曜(この日が私達Aqoursの始まり)
曜(大雨で最初はお客さんいなくて、その上ライブ中に停電までして散々だった)
曜(――この日、私は初めて千歌ちゃんの悔し涙を見た)
曜(それだけスクールアイドルに本気なんだって)
曜(今までと違うんだってわかった)
曜(だから私は、ずっと続けていた水泳をやめて千歌ちゃんの隣にいようと決めた)
曜(私と千歌ちゃんの距離が一番近くだったこの時――)
曜(戻りたい……)
曜(戻ってやり直したい……)
曜(きっと全部上手くいく……ファーストライブも地区予選も……廃校だって……)
曜(もう一度)
曜(もう一度……)
曜「もう一度――」
パチン! 「オスカー・ワイルドはこう言っている」
曜「わっ!」
「男は女の最初の恋人になりたがるが」
「女は男の最後の恋人になりたがる」
「女でありながら女に恋をするお前はどうだ?」
曜「えっ?」
曜「その……千歌ちゃんの最初で最後の恋人に……」
「はっ」
「なんて強欲な女だ」
曜「……」 「その強欲さがありながら、一度もその想いを伝えることなく今日という日を迎えるとは」
「とんだ笑い種だな」
曜「うぅ……」
曜「確かに私はどうしようもないへたれですよ……へたれですけど!」
曜「それよりも! あなた一体どなたですか!?」
「私か? 私はこの教会に住む『妖精』だ」
曜「妖精……?」
曜「妖精!?」
妖精「そ」
妖精「こういうのはもう引退したつもりだったんだがな」
妖精「お前があまりにも『あの男』に似ているからつい出て来てしまった」
曜「あの男?」
妖精「お前と同じでどうしようもなく往生際の悪い男だ」
妖精「男である分、あいつのが質が悪いと言えるが」
曜「はぁ……」
妖精「何も昔話をしに出てきたわけじゃない」 曜「もう何がなんだか……」
妖精「余計なことは考えなくていい」
妖精「あの日に戻りたいのか、戻りたくないのか」
妖精「どちらか一つを選べばいい話だ」
曜「そんなの戻れるなら戻りたいに決まってるじゃないですか」
妖精「よしわかった」
曜「いや、わかったって……」
妖精「これお前のエビフライか?」
曜「えぇ、まぁ……」
妖精「うむ。十年経ってもエビフライは変わらないな」モグモグ
曜「……」 妖精「お前はこれから、あの写真が撮影されるまでの時間を悔いのない様にやり直す」
曜「やり直すって……」
妖精「私から一つアドバイスをやろう。私は紳士だからな、一度しか言わんぞ」
妖精「本質を忘れるな」
曜「本質?」
妖精「そうだ。耳を貸せ」
曜「はい」
ゴニョゴニョ
曜「はぁ……」
妖精「ハッキリと。ちゃんとポーズも決めてな。得意だろ?」
曜「まぁ」
妖精「求めよ、さらば与えられん」
曜「……ハレルヤー、チャンス!」ビシッ!
曜「ぬ、ぬおおおおおおおおおおおおおおおお」
☆――☆ 前もプロポーズ大作戦パロあったけど展開は大分違いそうだから期待 あれ三人ともイイヤツなのが辛いところ
新郎も選ばれた以上できた人なんだろうなぁ 藤木直人先生ほんと良い奴だったからなぁ…
他のドラマでも藤木直人は恋人寝取られてて可哀想だった 泣きそうになってたら一筋縄じゃ終わらなかった
支援 ハレルヤチャンスくっそ好きで最近丁度サンシャインのプロポーズ大作戦パロのSS見つけて読んだばっかりなんだよ
こっちも超期待 タイトルからもしかしたらプロポーズ大作戦じゃないかと思ってた!
期待 なんかみんな結構な年なのね
さっぱりわからん
SSはSSで期待だけど >>74
さすがにここにリンク貼るのは>>1に申し訳ない
「ラストミッション・ハレルヤチャンス」で検索すれば出てくるよ すっごく良い
>>1 ありがとう
頑張れようちゃん 元ネタ知らんけど普通に新郎可哀想
これ新郎の今の幸せ奪うってこと? 懐かしいから期待しかない
ついでに東京03の花嫁を連れていかれた新郎のネタも面白いので暇があればどうぞ 新郎俺「君はやっぱり曜ちゃんと結婚すべきだ。行ってこい!」
千歌「新郎俺くん…///」 >>79
藤木も最初は山Pと長澤をくっつける気だったけど山Pがヘタレだったから自分が幸せにすることにした
だった気がする 千歌っぱい好きにしてる野郎がいると思うと生きる気力なくなるな プロローグで泣きそうになってたら懐かしくて思わずああって声が出た
死ぬほど期待 高校生以降の物語ってなんか常にノスタルジーな雰囲気漂ってるわ >>98
脳内修正求む・・・
明日昼、夜で2回更新します >>99
いいんだよ人間だから間違えるさ
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