598 現場の名無し(千葉県) (アウアウウー Sa1f-TpxU)[sage] 2022/05/13(金) 13:56:13.95 ID:8NZvI6kxa
ここは有名アパレル企業が集う新製品発表会。一人の男が自信に満ちた様子で壇上に現れる。恵まれた肩幅を持つ彼の名前は、岡本。
今若者の間で最もホットなアパレル会社、「PLE ASS」の社長だ。

彼は、部活動やブラック職場での異常な追い込みで身につけた体育会系のバイタリティ、そしてスマブラを通して学んだ"考え抜く"力と、機会を逃さず大胆な経営戦略を打ち出すあばら式の嗅覚を活かして、現在の成功者としての地位を手にしていた。

若き時代には、麺処経営に手を出し失敗したこともあったが、それも今では大成に繋がったいい思い出だ。

「ーーー以上、理想の押し付けにもなるかも知れませんが、そういう盛り上がりを私は目指し渇望しています。自分自身の立場を活かして先述した環境や風土を前のめりに作っていきたいです。」

彼のスピーチが終わると、会場からは万雷の拍手が鳴り響いた。


発表を終え、岡本は喫煙室で一服していた。
(今日の発表も大成功だったな。この調子でどんどん会社を大きくしていかないと。)
余韻に浸る彼が、ふと目線を落とす。
(あいつら、今何してるかな。)

思い出すのはスマブラに捧げた日々と仲間たちのこと。海外大会での大敗を受け競技者を引退してから、会社経営に打ち込むのに従ってスマブラ勢とは疎遠になってしまっていた。

(でも、仕方ないよな。あのまま勝てないスマブラを続けるよりはーーー。)

岡本が郷愁に身を任せていると、彼の居る喫煙室に、異様な風体の男が入ってきた。

「おい、あんた何してんだ。ここVIPルームだぞ!」

声を荒げる岡本に向かって、黒フードの男はゆっくりと口を開いた。

「たけらさん。久しぶりやな」
「そ、その声は…」
「"俺"や。」