バガヴァッド・ギーター 第十五章

クリシュナは、アルジュナに、このように語る。

「無畏、善性の増大、智慧のヨーガ、布施、
節制、祭祀、ヴェーダの学習、非暴力、廉直、
不瞋恚、苦行、正直、離欲、生類に対する慈悲。」

「小言を言わないこと、欠点を探さぬこと、
平静、威光、寛容、堅固、清潔、柔和、謙虚、
アルジュナよ、以上は、神性に属すものである。」

「口が煩いこと、他の人の欠点を探すこと、
思い上がり、尊大、高慢、憤怒、粗暴、無知。
アルジュナよ、以上は、魔性に属すものである。」
「アルジュナよ、君は、神性を持っている。
神性は、天人の性質であり、人を解脱に導き、
魔性とは、修羅の性質であり、人を束縛に誘う。」

「世の創造物に、神性と魔性の二つがある。
既に、神性について、君に説明しているから、
今度は、魔性について、君に解説するとしよう。」

「魔性の者には、勧戒と禁戒の分別がない。
礼儀も弁えないし、清らかさの欠けらもない。
彼らは、不誠実であり、誰もが、不正直である。」

「魔性の者は、得てして、このように言う。
世界は幻影であり、因も無いし、神も居ない。
すべては、性欲により、生じているに過ぎない。」
「このように考えるため、彼らは自ずから、
知性を失い、無智に覆われ、堕落を免れない。
残酷な行為を喜んで、世界を破滅に導いていく。」

「欲は飽きを知らず、独善に嵌り慢に陥る。
迷妄なるがゆえに、誤まった見解に囚われて、
不浄なる信念を抱き、邪まなる行動に捕われる。」

「欲望を満たすことが、進化に必要である。
魔性の者は、このように考え、死に至るまで、
欲望の享受に没頭して、焦燥感に苦しめられる。」

「数え切れない、欲望の網に捕らえられて、
情欲と瞋恚に心身を委ね、快楽を求めるため、
彼らは、不法な手段で、富を蓄積しようとする。」
「魔性の者は、無智のために、妄想してしまう。」
(´・(ェ)・`)
(つづく)