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1バガヴァッド・ギーター
第一章(つづき)
ハヌマーンを掲げる、敵の軍勢を切り裂いた。
アルジュナは、クリシュナに向かって、言った。

「ああ、クリシュナよ、戦車を止めてくれ。
わたしは、誰と戦うべきか、分かっていない。
見よ、戦うべき敵軍に、我が親族が集っている。」

「クリシュナよ、敵陣に並ぶ、親族を見て、
我が口は渇き、皮は焼かれ、足は震えている。
心が苦しむ余り、立つ事さえも、ままならない。」

「戦いで親を殺して、良い報いが有ろうか。
どうして、王国の勝利を望むことが出来よう。
王国も、勝利も、彼らの為に、望んでいたのに。」

「師匠、父親、息子、叔父、その他の縁者。
彼らが私を殺そうとも、私は彼らを殺せない。
たとえ、全宇宙の為にも、況や、王国の為には。」

「我らを危める者を、我らが殺めるならば、
我らの方にこそ、その報いは降り懸るだろう。
それゆえ、殺されようとも、殺すべきではない。」

「心を乱された者が、罪を犯したとしても、
心を乱さない者が、法を侵すべき道理はない。
我が一族が罪を犯せば、全ての民族が法を侵す。」

「ダルマが破られて、アダルマが現われる。
アダルマは、この世の、カルマを汚していく。
カルマに歪められて、カーストが壊されていく。」

「宇宙の秩序である、カーストが壊れれば、
地獄の蓋が開いて、すべての人が地に落ちる。
地上の王国が滅びる、そんな類いでは済まない。」

「どうして、王権の為に、大罪を犯せよう。
真剣を掲げた彼らが、王権を捨てた私を殺す。
それこそ、私が望むべき、相応しい結末である。」

それだけ言うと、戦いの最中、彼は座り込んだ。
(´・(ェ)・`)
(おわり)