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「ふづがる」
0001◆9mlfsjFH9PIs 2022/12/12(月) 05:42:26.03ID:/UtxIAkX
頻度遅めで書き溜め無しだけど暇つぶしにでもなれば

小学生の時、何をするにも一緒だったH君という男の同級生がいた。H君は親から甘やかされ、何でもねだれば買って貰え、その上ルックスも良いから結構わがままで王様気質なやつだった。
対して私は今は真逆だが子どもの頃は気が弱く、すぐに泣く、人見知り、思った事を言いたくても言えない静かな男だった。
だからH君に言われるがまま遊んだり、どこかに行ったりしていた。
私たちが住むのは田舎。高齢者がたくさんいて自然に囲まれた土地。
コンビニやカラオケ、イオンとかそんなものはなく
遊び場は海、川、山、駄菓子屋(商店)
川でうなぎを捕まえて焼いて食べたり、山一つ丸々鬼ごっこの範囲にして裸足で駆け回ったり、神社の御神木の上に捨ててあった犬小屋にロープを巻きつけて担ぎながら上によじ登り秘密基地としたり
そんな事をやっていた。
何をするにもH君の後ろについて行く。H君の一声。
少しでもH君の意に反すると睨まれる。
「主従関係」みたいな状態だった。
遊ぶ時は大体家電でH君の祖父母宅に呼ばれ、H君が親から買い与えられたゲームをH君がして、私は隣で見てるだけ。外では私がビビりなのを利用してかどうかはわからないが、近所の犬にちょっかいを出す、火薬を詰めて音を出すおもちゃのピストルでロシアンルーレット的なものをする、高い所に連れて行かれて登らされるとかしていた。
0002◆9mlfsjFH9PIs 2022/12/12(月) 05:44:44.25ID:/UtxIAkX
※忘れてました。他板で一度書き込みましたが創作とか色々言われ、言われるだけならまだしも荒れに荒れてしまいましたので新たにこちらに書き込ませていただきます。スレ違いだろと思われるかもしれませんがご了承下さい。
0003◆9mlfsjFH9PIs 2022/12/12(月) 05:50:11.58ID:/UtxIAkX
ある日H君からいつものように電話がくる。
「おい、K。今日もばーちゃん家こいよ。今からいいよ」
私は親からお小遣い100円を貰って家を出る。

いつものようにゲームを1人でするH君。私は出されたお茶菓子を食べながらそれを眺めていた。
H君「あー、飽きたなー。ねぇ、今日神社いって遊ぼうよ」
学校の近くにある神社は私たちの遊び場の一つだった。
私はいつも通り「いいよ」と返事をしてH君と自転車を走らせて神社へ向かった。

神社に着く頃には曇りになり、昼間というのに辺りは薄暗く不気味な雰囲気だった。

H君「ねぇ、中に入ろうぜ」
0004◆9mlfsjFH9PIs 2022/12/12(月) 05:54:26.97ID:/UtxIAkX
私「ええ‥さすがにダメだって。中暗いし‥」
ビビる私に
H君「あ?いいって!」
と無理矢理私の手を引っ張り扉を開けた。
ギシギシと床が鳴り、冷たい風が外から吹きつける。
H君「神棚みたいなやつしかないね」
奥の神棚がぽつんとあるだけの中。
するとH君は何を思ったのかそこから木の棒を取った。
H君「これハリーポッターの杖みたいじゃん!」
0005◆9mlfsjFH9PIs 2022/12/12(月) 06:15:25.91ID:/UtxIAkX
H君は私の静止を無視してそれを持ったまま神社からでる。
H君「ウィンガーディアムラバオーサ!」
持ち出した木を振り回しながら自転車を漕いで商店に向かう私とH君
0006◆9mlfsjFH9PIs 2022/12/12(月) 06:23:39.24ID:/UtxIAkX
「レビオーサじゃないのかな‥」
そんな事を思いつつ口には出さずH君の後ろにつく。
商店について、私はもらった100円でお菓子を買う。
H君はジュースだけ買って相変わらず木を振っている。
H君「ねー、今から何する?学校のグラウンドで遊ぶ?」
その日は学校は休みで部活もされてなかったから使い放題だ。
私はいつも通りいいよと言いグラウンドへ向かう。
グラウンドに到着し、いつも隠してあるサッカーボールを体育館脇の物陰から引っ張り出してサッカーをする。
ふと、H君が木を持っていないことに気づく。
私「H君、あの木はどこにやったの?」
H君「え?ああ、もう飽きたから自転車漕いでる時にテキトーに捨てた」
絶対バチあたるなと心の中で思った。

日も傾き、私とH君はそれぞれ帰宅した。
0007◆9mlfsjFH9PIs 2022/12/12(月) 06:29:38.24ID:/UtxIAkX
後日、学校でH君から朝一で話される。
H君「なんか神社に入り込んだヤツがいるって先生たちが朝から職員室で話してた。ちくった?」
私はそんなことしないよと言うが、H君はお得意の睨みをきかせる。

ホームルームで先生からのお話。
先生「最近神社に入り込んだ人がいるらしくて、神社の人が扉が開いてて、中のお供物が無くなってるのに気づいたそうだ。みんな、何か知らないか?」

しまった、出る時扉閉めてなかった。
当然しらばっくれる私とH君。
しばし教室が静まり返ったあと先生は
「そうか、誰もいないな?わかった」と話をしめる。

その後休み時間にH君は「あれ、とったらまずい物だったんじゃないかな」と不安そうな顔をしている。
その場にいた私も少し不安になっていた。
0008◆9mlfsjFH9PIs 2022/12/12(月) 09:49:23.46ID:/UtxIAkX
私たちの悪事がバレることなく数日が経った。
夜、いつも通り自宅で寝てるなか夢を見た。

どこかの森の中に立ってる私。森は風でザワザワ音を鳴らしている。
木々があることはわかるが空間がねじれているような感じになっており異世界にいるような感覚に包まれていた。
そして私の5メートルほど前に奇妙なものが浮いていた。
それは市松人形の顔をゲッソリさせたような頭部で首は90度曲がっていて長い髪が地面に着くんじゃないかというくらい。
胴体、四肢はあのH君が盗んだ木のような棒で形成されており棒人間のよう。
その物体はカタカタ小刻みに震えながら私に向かって


「せ‥せ‥せ‥せ‥せえぇぇぇ‥」


と言い続けている。
夢の中の私は恐怖心はなく、それが何を言っているのか真剣に聞き入れようとしていた。
すると夢から覚めた。
すでに朝になっており、寝ていた和室から何故かリビングのソファーに移っていた。
母「あんた大丈夫?夜中どこかに行ってると思ってみてたらリビングの中央に立って両手を振り回して、やめてよやめてよってなんか必死だったけど」
朝食の支度をしていた母に言われた。
あの夢が何か関係していたのだろうか。
0009◆9mlfsjFH9PIs 2022/12/12(月) 10:03:44.88ID:/UtxIAkX
「今日の夢のこと、H君に話してみよ」
そう思いながら学校に到着、教室に入りH君を待つが一向に来ない
H君が来ないまま担任の先生が入ってきてホームルームが始まった。
1人1人出席をとる中で
先生「ああ‥H君は今日お休みです。熱が高いらしい」と。
私は夢のこともあってか、H君が本当に呪われたんじゃないかと少し心配になった。

放課後、先生から呼ばれ
先生「K君ごめんな。H君にプリントと給食のデザート持って行って欲しいんだよね。仲良いからさ」
と言われる。
断る理由もないので「はい」と言い受け取ってH君の家に向かった。
0010◆9mlfsjFH9PIs 2022/12/12(月) 10:17:53.34ID:/UtxIAkX
H君の家に着き、呼び鈴を鳴らすとH君のお母さんが出てきた
H母「あら、K君こんにちは」
私「学校のプリントとか持ってきました」
お母さんに手渡す
H母「あ〜ありがとうね。Hちゃん、昨日の夕方から急に熱が出てずっとうなされてるのよ。K君も風邪ひかないようにね」
やはり、H君も何か良くない夢を見てるのだろうかと考えた。
私「はい。じゃあ僕かえります」
と言い帰宅しようとすると
H母「あ、待って。良かったらお菓子持っていって」
と袋いっぱい包装紙に英語が書かれてる洋菓子を渡された。
私「あ‥いや良いですよ、こんなにたくさん悪いです」
小学生低学年で一度は断るというスキルを身につけていた私。
H母「いいのよ。わざわざプリントとか持ってきてくれたんだし、いつもHちゃんと仲良くしてくれてるし。」
そう言われ「はぁ‥」と言いながら受け取った。

食べ歩いてるのが他の生徒に見つかったら先生に密告されるため、リュックに入れたお菓子たちを一つずつ出しては一気に口に詰め込むという形でコソコソ食べつつ自宅に向かった。
「H君、やっぱりあの木を盗ったのがいけなかったんだろうな‥」
そんな事を考えているうちに
「あの神社に行ってみよう」
と何故か考えが至った。
私は自宅とは全く違う、神社がある方角へ進路を変え歩いた。
0011◆9mlfsjFH9PIs 2022/12/12(月) 10:27:01.14ID:/UtxIAkX
神社に到着。
夕方で神社を囲む木々が影を作り、神社そのものは既に夜かというくらい暗い中で佇んでいた。
ビビりな私が何故いまここに1人でいるのか、そんな事は何も考えてなかった。
「中に入らなければいいんだ。外から中を覗くだけ‥」
そう思い、賽銭箱裏の数段の階段を上がり、目の前の扉の格子状になっている部分の隙間から中を伺った。

中は相変わらずただ奥にポツンと神棚があるだけの空間。
しかし、この前入った時と少し違う。
H君が盗み出した木が置いてあった所にお札とお酒数本、白い皿にのったお米が置かれていた。
「あれ?この前あんなのなかったよな‥」
そう思いながら、マジマジと中を見ていたら背後から
「こらっ!イタズラしちゃいかんぞ!」
と声。
ビクッと思いすぐに振り返ると、してやったりとニヤニヤした表情を浮かべるおじさんが立っていた。
0012◆9mlfsjFH9PIs 2022/12/12(月) 10:52:12.08ID:/UtxIAkX
おじさんは背は低く、少し腰が曲がっている。
髪は長くボサボサで来ている服もボロボロ
手やサンダルから出る足先もかなり真っ暗で
失礼ながらいかにもホームレスといった感じだった。
私「いや‥中がどうなってるかなって思っただけで‥」
そういうと
おじさん「ヘッヘッヘッ。こんなとこで遊んでたらバチあたるぞ」
どうやらおじさんは真に注意してるわけではないみたいだ。
コミュ障の私は以後どうしていいか分からず、無言で固まっていた。
そんな私におじさんは「まぁ座れよ」と扉前の階段に腰かけた
おじさんと少し距離を開けて私も腰かける。
2人でお賽銭箱の裏面を目の前にしつつ話をする。
おじさん「学校はもう終わったのか?」
私「はい‥」
おじさん「宿題とかたくさんあるんじゃねぇのかよ。ヘッヘッヘッ」
私「今日はでなかったです‥」
こんな当たり障りないやりとりをしていた。
ふと、おじさんが持ってた唯一の荷物のビニール袋に目がいく。
ビニールには「○○酒店」と書いてあり、パンパンに中に何か入れてある。
おじさんと私の間にそのビニール袋の荷物が置いてあり、私はジーッとそれを見ていた。
するとそれに気づいたおじさんが
「あ?‥ハハッ、そんな高価な物は入ってねーよ」
と袋をひっくり返し、中身をぶちまける。
ボロボロの紺色のスラックス、何か小説のような小さい本、1円と5円玉ばかりの小銭、お茶の空き缶、他はゴミみたいな細々した物たち(すいません、細かいのは覚えていません)
これで、おじさんが家が無い人なんだと私は心の中で確信した。
おじさん「な?ゴミばっかだろ?笑」
私はなんて返事をしていいかわからなかった。

ゴミばっかりだなぁって思いつつ、出されて散らかってたおじさんの所有物を眺めてたらその中に小さなメダルが混ざっていた。
私「これなんですか?」
おじさんに尋ねると
おじさん「ん?‥あーそれは、説明すると難しいんだけど‥お守りみたいなもんよ」

へぇ〜とメダルを手に取り、眺めてる俺を見てたおじさんが
「それ、やるよ。俺が持っててもどーしよーもねぇからな」と言った。
正直、心底要らなかったので断ったが何故か折れないおじさんにすぐ根負けしてメダルを受け取った。
おじさん「それがお前さんを守ってくれるかもしんねぇな!その中には神さまがちゃんといるから。捨てたりすんじゃねーよ?(確かこんな事言ってた)」
そんなおじさんの言葉に「はぁ‥」とあからさまに疑ってますと言わんばかりの返事をした。
0013◆9mlfsjFH9PIs 2022/12/12(月) 11:06:37.22ID:/UtxIAkX
おじさんと話しているうちに陽が落ちてきていた。
おじさん「ああ、もう夜になるな。お前ももう帰らないと父ちゃん母ちゃんに怒られるぞ。ヘッヘッヘッ」
そう言い、おじさんはよっこらと立ち上がった。
私「おじさんは今からどこに行くんですか?」
立ち上がってストレッチをしているおじさんに問う
おじさん「うーん‥わかんね。」
とだけ答えるおじさん。
なんとなく可哀想に思えた私は、リュックに入ってるH君母から貰った洋菓子の存在を思い出した。
リュックから両手で手づかみし
私「貰ったものですけどあげます」
おじさんにお菓子を差し出した。
おじさんは目を丸くした後に
おじさん「俺甘いもんあんまり好きじゃねーんだけどな。でもありがたく貰おうか」と受け取った。
私は少し嬉しかった。
その後おじさんと別れ帰宅した。
おじさんから貰ったメダルはリュックの中に常に入れてる「大切な物入れ」という名の小さい巾着袋に入れて、常に持ち歩くようにした。

以降、おじさんと会うことはなかった。
0014◆9mlfsjFH9PIs 2022/12/12(月) 11:23:14.30ID:/UtxIAkX
小学生の間は特にこれといって事件的なものもなく、あの高熱からH君はしっかり復活したので特に書き記すものはない。

無事に中学に上がった。といっても田舎の学校のためエスカレーター式で顔を合わせるメンツは全く一緒。
私は相変わらずH君と大体行動を共にしていた。
変わったところと言えば、私自身が変化があった。
それまでは恥ずかしがりで泣き虫で意見を言えない人間だったのに、自分でも何が原因かわからないが性格がガラッと変わり、なんでもモノを言う、何事にも動じない、ちょっとだけ不良じみた立ち振る舞いというか態度をとる人間になった。決して何かに憧れたり、カッコつけたりとかではなくそれが自然だった。
これまではH君の言うことに従い、H君の顔色をどこか伺う自分だったが
中学からは対等、もしくは私の方が強くでる時が多いような関係性になっていた。
普通に余裕のある感じに自然と話せるようになったためか中学から女子生徒と頻繁に関わるようにもなった。

ある日、Hと何もない田舎を小学生の頃と変わらず海に入ったり川でうなぎや魚をとって満喫していた。
その最中ふとあの神社の件を思い出した
私「なぁH、お前が盗みに入ったあの神社のこと覚えてる?」
それに対し
H「あー、覚えてるよ。てか、盗みに入ったって人聞き悪いなぁ」
と。
私「あの後お前熱だしたじゃん?それ以降は何もないわけ?」
H「特にはないけど」
そうやって2人で神社のことなどを話した。
そして再び行ってみようとなった。
小学校も中学校もあの神社も、自転車ですぐ行ける距離なのにHはお供物を盗んだあの日、私はおじさんに会った日以降神社へは足を運んでいなかった。

2人で小学生の時と同じように自転車を漕いで向かう。
0015◆9mlfsjFH9PIs 2022/12/12(月) 11:32:09.06ID:/UtxIAkX
神社にすぐ到着。
変わらず薄暗く、どこか少し不気味な感じだった。
私「お前もう何も盗むなよ」
H「盗むって言い方やめろって」
そんなやりとりをしながら、小学生の時と同じように扉前に立つ。扉の格子状の隙間から中を伺う
H「あれ?木が置いてあったところにお札とか色々置かれてるぞ。」
私「あー、あれお前が木盗んだ後に誰かが置いたみたいよ」
H「ふーん。ていうか、Kお前あの後ここに来たことあったの?」
私「まーね」
こんなやりとりをした。
覗きにも飽きてHはその場に座る。
私は何気なくグルッと外側を一周しようと歩き出した。

神社のちょうど反対に差し掛かったくらいの時に木に寄り添うように何かが落ちているのを目にした

「○○酒店」
0016◆9mlfsjFH9PIs 2022/12/12(月) 11:48:41.93ID:/UtxIAkX
見覚えのあるビニール袋
中には何かパンパンに入っている。
私は袋をひっくり返し中身を広げた。
紺色のスラックス、小銭、英語が書かれてる洋菓子の封が切られてて中身がない袋‥
間違いなくあのおじさんの所有してた袋だった。
(なんでこんなところに。ビニールも同じだし、そんなに劣化してない。まぁでも同じ酒店で買い物して新しいビニールをもらって入れ替えたってのもあるけど‥、だって会ったの小学生低学年の時だぞ?
もし最近落とされたか置いたとしたら、おじさんはまだここら辺にいるって事だよな。よく○んでなかったよな明らかにホームレスっぽかったし‥)
と色々と考えていると後ろからHが来た
H「何してんの?‥うわ、きたな。よく触れるな」
ここで初めてHにおじさんの事を話した

H「‥なるほど、だからお前あの神棚のお供物が変わってたの知ってたのか。てか、普通に考えてそのおじさんとっくに○んでるか、どこか別の場所に行ったり奇跡的に住む場所決まったり何かしらしてるだろ。いつからそこにあったかわからないけど、小学生低学年の時に持ってたおじさんの物がそっくりそのままここにあるってなんかおかしい気がするんだが」

Hも私と似たような考えだった。さらに

H「そのおじさんからもらったメダル?はまだ持ってんの?」

と聞かれた。

私「あー、確か小学生の時に使ってたリュックにずっと入れっぱなしだから‥無くなってはないはず。一度も小袋から出してないし。小袋さえ無くしてなければあるよ」

と答えた。
Hが「ふーん」と興味なさげなテキトーな返事をしたので「お前が聞いてきたから答えてやったのになんだその反応は」と心の中でツッコミを入れた

その時、何かの気配がした
0017◆9mlfsjFH9PIs 2022/12/12(月) 12:08:19.16ID:/UtxIAkX
自然の中にある神社が故に、誰か第三者がいるとすぐにわかるくらい静かな場所だったため
その音は私とHの2人によく聞こえた

「ギィィィ‥ギィィィ」

拝殿本殿内をゆっくり歩くような音

ちょうど建物外の裏手にいた私とHはその音を聞くや否や2人で小声で話し始める

私「誰か入ってるな」
H「神社の人かね。俺らがここに居るの見たら絶対怪しむよな」
私「どうする?その人いなくなるまでここで待つ?それともゆっくり気づかれないように神社から抜け出す?」
H「動いたらバレるだろ。下砂利だし」
私「そうか。じゃあ俺先に神社から出とくから。頑張れよ。」
H「おい待てよ」
そんな少々ふざけたやりとりをしていると足音らしき音が止んだ。
Hが動こうとしたが、私がHの身体を抑え首を横に振った。

拝殿から本殿へ移動するような足音みたいなものが止んだ‥つまりその音を出してる正体はまだ本殿の中、私たちのすぐ目の前の壁一枚の先にいるという事になる。
今動けば確実に私たちの音が聞かれてしまう。
しばらくはここでジッとしておくべきだ。

Hとは言葉を交わさずアイコンタクトと身振り手振りだけでやりとりをする。
肝心の中の音はというと、聞こえなくなったり、またギィィィと床を歩くような音がしたりの繰り返しだった。
その音は本殿から拝殿へ向かうことはなく、ずっと本殿の中だけで鳴っていた。
つまり、一向に外に向かっていかず私たちと距離を離さない状態だった。
0018◆9mlfsjFH9PIs 2022/12/12(月) 12:16:16.80ID:/UtxIAkX
10分程度その状態が続いたと思う。
全く離れていく気配がなく、音は鳴ったり止んだりを繰り返している。
隣りのHはしっかり沈黙しているとはいえ、ムスっとした表情を浮かべていた。
その顔をみてなんとなく「あ、こいつやるな」と感じた。

予感は的中した。
突然Hが
H「あー!もういいわ!どうせ誰もいないやろ!ただ木の床が軋んでるだけやろ!」と大声を出し歩き出した。
私は、あいつアホや‥と思いながらHのあとを追った
私たちがいた裏手からグルッとまわり、再び正面へ行った

そしてそこでの光景を目にして私とHは絶句した
0019名無し百物語2022/12/12(月) 17:06:45.28ID:HurhwDcG
そこで止まるんか
0020◆9mlfsjFH9PIs 2022/12/12(月) 21:45:20.46ID:/UtxIAkX
見てくださってる方がいるとは‥
すいません、仕事がバタバタしてまして
なんとか時間見つけて続きかきます
0021◆9mlfsjFH9PIs 2022/12/13(火) 19:35:08.60ID:dY4yRgVk
扉が開いており、神棚に置いてあったさまざまなお供物が床に散乱していた。
床は足跡というより、足を引きずって歩いたみたいな‥
わかりやすく言えば車のブレーキ痕に近い跡が残っていた
その跡は微かに中に差し込む太陽光で光って見えていた。
H「なにこれ‥、色々散乱してるけど。落ちた音とか聞こえなかったよね?」
私「‥とりあえずここから離れようか」
Hと私は逃げるように神社をあとにした。
帰り道、Hと私はあまり会話せず、途中で別れそれぞれ帰宅する。
その日の夜21時ごろだったろうか
H宅から電話がかかってきた。
何故かH父から私宛にだ。


「ああ、K君か。いきなりごめんね。Hが帰ってこないんだけど何か知らないかい?」
0022◆9mlfsjFH9PIs 2022/12/13(火) 19:54:59.96ID:dY4yRgVk
私「え、途中まで一緒でしたけど‥」
H父「うーん、警察にやっぱり電話した方がいいか‥」
事情を把握した私の父とH両親でそれぞれ車で探しに行くことになった。
私父「ここで別れたんだな?じゃあここからH君の家に向かって車ゆっくり進めるから、よくみとけよ」
私「わかった」

その道は街灯はあるものの、山の麓をぐるっと周るような道で、運転席側は山の斜面が壁となっていて、私側の助手席側が崖とまでは言わないが5メートルほどの高さがあり、下は木々と草が生い茂っている。
この道は、この先の住宅街に住んでいる人が使ったり、農業する年寄りたちが使う。21時以降という時間は滅多に車も当然人も通らない。
私「そもそも暗すぎて下が見えん」
私父「窓から手だして懐中電灯で下を照らしながら見ろよ。もしかしたら落ちてるかもしれないから」
私は言われた通り窓から懐中電灯を持った手を出して下を照らしながら注意深く見た。
0023◆9mlfsjFH9PIs 2022/12/13(火) 20:25:50.62ID:dY4yRgVk
30分くらいだろうか、特に下では見つけられず目の前からH両親が車で来て向かい合わせでお互い止まった。
H父「いやぁすいません、ご迷惑おかけして。どうでした?」
私父「こっちの道はどうやらいないみたいですね。どこか友達の家に行ったとか?」
H父「今までそういう時は事前に言ってから行くやつだからなぁ‥うーん‥」
このような会話をしてる時に何気なくその地点の下を懐中電灯で照らした。
すると自転車のタイヤのような物が少し背の高い草むらの中に見えた。
私「あれ自転車じゃない?」
私父「あ、ほんとだ」
H父「ああ、ほんと!H!聞こえるか!?」
H父が大声で呼びかけるが返答はないし草が動いたりH自身が見えるということはなかった。
私父「不法投棄の自転車か?」
私「俺降りてみてくるよ」
H母「だめよ、危ないから」
私父「まぁお前こういうとこばっかで遊んでるだろうから、行ってこい」
私は草が一部剥げててしっかり地面が見えている所を上から懐中電灯で照らして、そこに焦点を合わせ5メートルを飛び降りた。
降りると草が思ったより背が高く、上の親たちの誘導がないと方向が全然わからない。
私父「もう少しそのまま‥その先に自転車のタイヤがあるぞ」
誘導され、草をかき分けながら進んだら自転車までたどり着いた。

私「Hの自転車だ!」
大声で親に知らせる
0024◆9mlfsjFH9PIs 2022/12/13(火) 20:37:50.39ID:dY4yRgVk
H母のヒッという声が聞こえた。
H父「K君!そこあたりにHはいないか!?」
Hの自転車を軸に、周辺を懐中電灯で照らして草を踏み倒しながら探すがHは見当たらない。
私「ダメだ!Hはいない!」
私父「とりあえず一回こっちに上がってこい!」
私は言われた通り、上に戻った。5メートルの土の壁を丈夫そうな太めの草や木を掴みながら。
おかげで手を何箇所か切ったり泥まみれになった。
私父「これは警察、消防団にお願いした方がいいですね」
H父「ですね。とりあえず自転車が見つかっただけ大きいです。ほんとにありがとうございます。K君もすまなかったね。」
私「いえ‥」
H母はほぼ放心状態だった。
警察や消防団に説明が必要になるだろうし、居なくなる前に最後にHを見たのが私のため、警察がH宅に到着して説明をするためH宅にそのまま向かった。
すると誰かが玄関で座っている。

Hだ
0025◆9mlfsjFH9PIs 2022/12/13(火) 21:23:58.76ID:dY4yRgVk
Hはグッタリしてたがこちらに気づいて少し笑った。
H父「どうしたお前!」
H母「Hちゃん、どうしたの!?」
H「いたい‥」
Hは身体の右側を庇っていた

H父「痛いのか!?‥すいません、ちょっと今から病院に連れて行きます。K君ありがとうねこんな夜遅くに協力してもらって」
そういうとHとH両親は車を走らせ病院へ行った。
翌日H父から連絡が入り、どうやらHは右腕と右足を骨折していたらしい。
本人の話では、私と別れて1人自転車を漕いでる途中、顔に蜘蛛の巣より丈夫な‥長い髪の毛みたいなものが顔にまとわりつくような感覚がして必死に手で振り払おうとするがその感覚が抜けずに
一旦自転車を停めようとした瞬間に後ろから誰かにとてつもなく強く押されたような衝撃が走り、5メートル下にぶっ飛んで行ってしまったと。
最初は助けてと叫んでたが、通る車はみな気づかずで
暗くなってきて、このままじゃいけないと自力で這ってなんとか家までたどり着いたらしい。
H父が自転車を引き上げに昼間行ったら、自転車からさらに数メートル斜面を降りた所にHの私物が散乱しててHが居たであろう所の草が倒れてた。そこから草が倒れて道のように伸びていってたので本当にHは這って行ったんだろうと。
とりあえず生きて発見されたのは幸いだった。
お見舞いに行ったら「神社に用もなくなく行ったからバチあたったんだな」と笑って元気そうなHだった。
0026◆9mlfsjFH9PIs 2022/12/13(火) 21:31:57.19ID:dY4yRgVk
その出来事の一週間後、私の夢に以前見たアレがまた出てきた。
市松人形のげっそりした顔に曲がった首、Hが盗んだ杖のような木の身体。
しかし、小学生の頃と違う部分があった。
その物体の右腕にあたる部分と右足にあたる部分が途中でもげているように無くなっていた。
その物体は前回同様、空間がねじれた森の中に浮いてて、何も言わずカタカタと小刻みに震えているだけだった。

夢から覚めた私は、この夢のことをHに話すべきかを考えた。
もしかすると、あの木は呪われている物じゃないのか。
返さないとHがどんどん酷い目に遭うのではないか。
しかし、ありのままを話すとHがパニックを起こしたりするのではないか。
色々考え、結局ストレートには言わずにやんわりと伝えようと決心した。
0027◆9mlfsjFH9PIs 2022/12/13(火) 21:39:28.68ID:dY4yRgVk
しばらくしてHが退院して学校に戻ってきた。
Hはすっかり元気そう。
これまで通り私はHと関わる。
ある日、一緒に帰宅してる時にHにあの件を話す。
私「なぁ‥お前が持ち出したあの木覚えてる?あれのせいでお前怪我したんじゃない?」
H「は?呪い的な?まさかそれは無いだろ。だってあれ小学生の時だったし、何で今さら。」
私「うーん‥なんとなくあの木、返した方が良いと思うんだけど‥」
H「返すってどうやって。途中捨てちゃったし、小学生の頃だからもうあるわけないだろ」
笑ってHは言う。
私「‥ちょっと探すだけ探してみない?」
H「ええ、まじかよ!?」
しかしHは私の真顔を見て、なんとなく笑い事じゃないかもしれないと察したのだろう
H「まぁ‥わかった」
そういった。

Hの記憶をたどり、Hが木を捨てた辺りに2人で向かった。
0028◆9mlfsjFH9PIs 2022/12/13(火) 21:48:50.95ID:dY4yRgVk
田舎の良いところは中々景観が変わらないところだ。
私たちが小学生の頃から何年も経っているのに、そのままのかたちで残っているものがほとんどだ。
H「確かここ辺りの草むらに投げ込んだ」
私「じゃあここ探すか」
そこは元々家があったが、取り壊され更地になり草むらと化したフェンスで囲まれた空き地だ。
新たに家が建ったり、整備されることなくそのままの形でずっと残っている。(放置されている?)」
2人で隅から隅まで3時間程探したが見つからなかった。
H「いくらなんでもやっぱ無いよ。小学生の頃なんだし」
私「ほんとにここで場所あってんのか?」
H「フェンスの中に投げ込んだ記憶だからここで合ってるとは思う。でも、今さら無理だって。見つけて返すとか。1000円拾えてラッキーで終わりで良いじゃん。これでなんか買って帰ろうぜ。」
私は諦めがつかなかったが、Hの楽観的な感じで探す気が少し失せてしまい、Hの言う通り捜索をやめてしまった。
0029◆9mlfsjFH9PIs 2022/12/13(火) 22:14:07.17ID:dY4yRgVk
それから中学生活は特に何事もなく終了し、高校生になった。
田舎なので小学生から一緒だった同級生たちはほとんどが皆同じ高校を受験して通うようになる。
私とHもその高校を受験、合格した。
しかし、当然周辺の中学からたくさん入学してくるため人数がとても多く、私とHは高校からは一切関わらなくなった。
Hは持ち前のルックスで初めの頃は女子たちから王子様と呼ばれていたが、あまりのナルシストで王様のような振る舞いが痛手となり、孤立まではいかないが女子生徒からの評判が悪くなった(という噂が広まっていた)
私は他中学から寄せ集まった不良グループと行動するようになり、私自身はそんな悪いことはしないものの小学中学一緒だった同級生たち(特に女子)から敬遠されていた。
私はグループの中でも特にMとYの2人とよく行動していた。その2人はグループのボス的存在で何かを仕出かす爆弾コンビだった。
そして私が不良グループに入った(?)原因がMだ。入学早々Mに呼び出され、そこで訳の分からない因縁をつけられ殴り合いになった‥というか先に私の胸辺りを叩いてきたMを私が数倍返ししてすぐ終わった。
(Mは私が武道経験者ってのをどこかで聞いて、それでちょっかい出したかっただけど後に話した)
男の友情とは奇妙なもので、そういうのがきっかけで仲良くなるものだ。

M「なぁK。お前の同じ中学のHってナルシスト。あいつ目障りじゃね?ボコろうか」
私「いや、お前弱いからやめといた方がいいよ」
M「お前ムカつくなぁ」
Y「次の授業物理とかだっけ?佐藤(先生)だろ?ダルいから抜けてタバコ吸い行こうぜ」

その他の奴ら「じゃあ3人は気分悪くなったから休んどくって佐藤に言っとくね!」
大体こんな感じを繰り返す日々だった。
0030◆9mlfsjFH9PIs 2022/12/13(火) 22:32:06.72ID:dY4yRgVk
私たちが喫煙所にしていた場所は、学校の裏手から少し歩いていって、山の麓の草むらの中のお墓の前。
そこならご近所さんにも見られないし、万が一教員が捜索に来ても見つからない
我が校の不良グループの伝統的な溜まり場だった。よく先輩たちと鉢合わせることもあった。
M「今日も○○さん(先輩)たちいるかもな」
Y「あ、タバコ買ってくんの忘れた。ちょっと買ってくる」
私「おい、制服脱いでいけよ」
Y「チン○ンぶん回しながら行くわ。タバコ屋のばーちゃん気絶させてくる」
M「いや、発情するやろ」
私「いや、全部は脱ぐなよ」
そうこう言ってるものの数分で到着。
Mの言う通り先輩たちがいた。
M「チーっす。先輩たちもサボりっすか」
先輩「お前ら一年のくせにサボってんじゃねーよ」
M「そんな、良いじゃないですかー。」
Mはタバコの封をそこらに捨てる
私「おい、この墓一応俺ん家のご先祖さんの墓だから散らかすなよ」
M、先輩「え、まじ?」

まさかうちのご先祖様のお墓前が伝統的な喫煙所になってるとは入学するまで思ってもなかった。

M「そりゃバチあたるな」
先輩「なんか‥すんませんな笑」
Mと先輩たちはタバコを咥えたまま手を擦り合わせナンマイダナンマイダと墓に向かって言っていた。

先輩「M、今日夜動くぞ」
M「今日はどこっすか」
先輩「○○神社」
その神社は俺とHが入ったあの神社の名前だった。
私「え、○○神社って△△中学の近くのですか?」
先輩「そうそう」
M「そっかお前△△中だったな」
私「何しに行くんですか?」
先輩「夜に行くってことは肝試ししかないだろ〜お前さん」
MやYは夜な夜なバイクで先輩達と色々なとこに行ってるってのは聞いていたが、まさかそこに行くとは
0031名無し百物語2023/02/15(水) 23:28:45.30ID:QvuxQZ1I
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