カナンとルナという名前の4歳児の双子がいた。
彼女たちは生まれた時から虐待を受け、言葉も教わらず育ったせいか、喋れるのは自分の名前と「はい」の返事のみであった。

ある日そんな双子を知る賊が誘拐した。幼女の双子を求める富豪に売りつけるためだ。
賊はトラックの荷台に双子を乗せて山中を走らせていた。が、道中で雨によるスリップ事故を起こしてしまった。族が荷台に乗せていた双子を確認しに行くと、二人のうち片方は頭が真っ二つに割れ、息絶えていた。
賊は仕方がなく死んだ方を土の中に埋葬すると共に、ふと死んだのがどちらの方か気になったので、死体の廃棄を終えたタイミングで生きている方に尋ねた。

「おい片割れ。今埋めたコイツの名前はカナンか?ルナか?ええ?」

「カナン」

「じゃあお前はルナの方か。よく聞けルナ。今から素直に俺の指示に従っていれば解放してやる。だから黙って大人しく言うことを聞け。いいな、ルナちゃんよ?」

「はい」

返事がルナから返ってきた。